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マイルドハイブリッド(MHEV)とは?仕組み/構造は?搭載車の燃費は悪いのか解説!

日本ではエコカーの主流はハイブリッドカーになっており、数多くのハイブリッドカーはたくさんのメーカーから発売されています。

そんなハイブリッドカーの種類のひとつに「マイルドハイブリッド」というものがあるのですが、どんな特徴があるのかご存知でしょうか。

今回はマイルドハイブリッドについてご説明していきます。

マイルドハイブリッドとは

マイルドハイブリッド

ハイブリッドカーはエンジンと電気モーターを併用して走行する車のことで、トヨタが1999年にプリウスで登場させて以来、日本だけではなくエコカーとして世界的なトレンドになっています。

ハイブリッドカーの特徴は電気モーターを走行やエネルギーの回生に使うことで燃費を向上させることができる点で、それまでの車が捨てていたエネルギーを効率よく活用できるというのが大きな面です。

その一方で普通のエンジンに加えて大型の専用バッテリーとモーター、制御装置のインバーターなどを組み込まなければならず、コスト的には普通のエンジン車よりも高くなります。

ハイブリッドシステムにはいくつもの種類があるのですが、今回ご説明するマイルドハイブリッドとはもっとも簡易的なシステムといえるでしょう。

マイルドハイブリッドの特徴

マイルドハイブリッドの特徴は、車の走行にはエンジンをメインで使い、電気モーターはその補助に徹するシステムのことです。

他のシステムとのちがいはのちほどご説明しますが、マイルドハイブリッドのモーターはあくまでエンジンを補助することが目的なのでモーターだけでの走行は基本的に行いません。

イグニッションキーを回すと普通にエンジンがかかって、走行中も常にエンジンが動いているので走行感覚は普通のエンジン車と変わりません。

ではモーターは何をしているかというと、発進時にエンジンの動力にプラスする形でパワーを与えており、エンジン単体だけと比較するとパワフルな加速や走行感覚が生まれます。

また減速時にはモーターが逆回転することで発電を行う「回生ブレーキ」を使って、減速時にブレーキが熱として捨てていたエネルギーを電気エネルギーとして回収しています。

ハイブリッドカーの燃費の良さというのはこの回生ブレーキシステムが大きな役割をしており、エンジンが発生した走行エネルギーをブレーキの熱で無駄に消費することなく電力として回収することで、エネルギーを節約して燃費を向上させています。

しかし回生ブレーキ自体はほかのハイブリッドシステムでも使っていますが、マイルドハイブリッドでは効果は限定的です。

マイルドハイブリッドは積極的に燃費を稼ぐシステムではなく、エンジンを主体としてモーターが”マイルド”に補助をするシステムなのです。

マイルドハイブリッドシステムの構造

ハイブリッドシステムにはエンジンとモーターの関係でいくつもの構造があるのですが、マイルドハイブリッドの中だけでも大きく分けて2種類のシステムがあります。

その違いは交流モーター方式か直流モーター方式か、という点です。

交流モーター式マイルドハイブリッド

交流モーター式は基本的にはプリウスなどのフルハイブリッドとシステムは同じで、走行および回生ブレーキに使用するモーター部分がハイブリッドカー専用の交流モーターで構成されています。

基本構成は、モーター、ハイブリッド用バッテリー、インバーターの3点です。

交流モーターは別名3相モーターやブラシレスモーターなどとも呼ばれており、交流電流を使って回転するモーターです。

モーターの回転子が周りと非接触で回転できるので効率がよく、また耐久性の高いモーターにすることができるのですが、一方で車に使う場合には交流電源の確保が必要となります。

ハイブリッドシステムに使われるバッテリーは直流電圧ですので、バッテリーとモーターの間には交流変換器およびモーターのコントロールをするインバーターが必要です。

電力の流れは走行中はバッテリーからインバーター、そしてモーターへと流れていく流れで、回生ブレーキ使用時には正反対にすることでバッテリーを充電しています。

バッテリーやインバーターは単独部品としてエンジンルームや床下などに配置されますが、モーターについてはエンジンからタイヤまでつながる駆動軸の途中に装着されており、駆動軸と同軸上でアシストするシステムが一般的です。

そのため従来のエンジンやトランスミッションを改良してモーターの搭載位置を確保する必要があり、概ねエンジンとトランスミッションの間に収まることが多いようです。

マイルドハイブリッドの場合はモーターだけでの走行は考えていないので、ハイブリッド用バッテリーの容量は比較的少なめでよく、フルハイブリッドに対してのメリットとなります。

直流モーター式マイルドハイブリッド

もう一つの直流モーター式はより簡易的なハイブリッドシステムとなっており、こちらの特別な部品はモーター機能付き発電機と小型のハイブリッド用バッテリーのみです。

ここでいう発電機とは一般的なエンジンにも使われているオルタネーターのことで、ハイブリッド用にするために発電機能のほかにスターターモーター機能と駆動モーター機能を組み込んだものです。

このため従来のエンジンにあったスターターモーターは不要となっており、さらにオルタネーターはベルト駆動なのでハイブリッドでも同様の接続となります。

このシステムでは基本的にオルタネーターで発電および駆動を行いますので、電流は直流電流でシステムが完結します。

そのためインバータは不要であり、また従来あった12Vの鉛バッテリーとハイブリッド用の小型バッテリーの両方を活用するシステムです。

交流モーター式と比べてモーターでの走行サポート機能は限定的なのですが、その分専用のモーターが不要であり、それまでのオルタネーターと置き換えるだけでエンジンが完成します。

非常に簡易的なシステムなので車の改造範囲も小型バッテリーの追加にとどまっており、ハイブリッドカーのデメリットであるコスト増加が少なくて済みます。

燃費改善代は少ないものの、その分安価で多数の車に展開できる手軽さが魅力です。

マイルドハイブリッドとその他の仕組みの違い

さてハイブリッドと一言で行っても、現在世界にはさまざまな形のハイブリッドシステムが生まれており、その種類を表す言葉も数多くつかわれています。

そこでこの項ではマイルドハイブリッドとその他の方式の違いを簡単に解説するとともに、名前の違いについてもご説明しましょう。

マイルドハイブリッドと通常のハイブリッド

マイルドハイブリッドは補助的なシステムのハイブリッドであることに対し、通常のハイブリッドシステムは積極的にモーターを活用するシステムです。

プリウスを始めとするハイブリッドカーの大本はこのシステムであり、特徴としてはモーター単体での走行が可能である点です。

バッテリーに電力が豊富に残っている状態であればエンジンは停止してモーターのみで走行を行い、バッテリーが減ったり速度があがってエンジンが必要となったときに初めてエンジンスタートをさせます。

そのためエンジンとモーターの間には動力を切り替えるためのクラッチが設置されていて、エンジンが不要なときには切り離してモーターとトランスミッションのみで走行をします。

ポイント

この方式はスプリット式やパラレルハイブリッド式のハイブリッドシステムが構成でき、モーターの活用範囲が広いのでより燃費向上に効果が高いのがメリットです。

その反面大型のハイブリッド用バッテリーが必要となるので、マイルドハイブリッドよりもコスト面で不利となります。

フルハイブリッド、ストロングハイブリッドについて

ハイブリッドシステムの呼び方は非常にさまざまなものが表れており、同じシステムでも別の呼び方がされていたりと結構混沌としています。

マイルドハイブリッドと対比する形で使われる「フルハイブリッド」や「ストロングハイブリッド」もその一つで、この2つは基本的に前述でご説明した通常のハイブリッドシステムのことを指します。

プリウスが登場した当時はハイブリッドとしては一種類しかなかったのですが、マイルドハイブリッドの登場でそれと対比する呼び名が必要となったので「フル」や「ストロング」という言葉をつけたわけです。

ほかにもメーカーごとに独自の名前を付けている場合もありますが、基本的にはマイルドか、フルorストロングしかありません。

Sエネチャージとの違い

Sエネチャージ

マイルドハイブリッドの代表格としてよく紹介されるシステムにスズキのSエネチャージがありますが、これは前述した直流モーター式のハイブリッドシステムのスズキでの呼び名です。

現在はSエネチャージはマイルドハイブリッドという名称に統合されていますが、構造は同じものです。

スズキはさまざまな名称でハイブリッドシステムを実用化しており、オルタネーターを改良した直流モーターを活用するシステムはスズキが採用率が高く、Sエネチャージがマイルドハイブリッドの代名詞となっているのです。

Sエネチャージはその簡便さとコストの安さから、コンパクトカーだけにとどまらずコスト面で厳しかった軽自動車にも採用されており、軽自動車の燃費も大幅に強化されました。

なおスズキにはほかにエネチャージというシステムもありますが、こちらはオルタネータの発電機能を強化して回生システムとして使うもので、モーターでの駆動アシストおよびスターター機能は持ちません。

Sエネチャージよりより簡易的なシステムですが、駆動力として使えないのでハイブリッドシステムとは呼びません。

マイルドハイブリッドの音

マイルドハイブリッドシステムはエンジンが常に稼働しているシステムですので、その音は普通のガソリン車と基本的には変わりません。

次の動画はSエネチャージを搭載したスズキ ワゴンRの走行音ですが、マイルドハイブリッドの走行音がどういったものか参考になります。


動画の中盤でいちど完全停止してからの走行する場面がありますが、停止時にはアイドリングストップによってエンジンは完全に停止しています。

そこからブレーキを離してオートマのクリープ走行で走っているときだけは一応モーター走行ですが、アクセルを踏むと途端にエンジンがかかります。

その間わずか数秒といったところなので、走行時の音はほぼ全てエンジン音となるでしょう。

なお参考としてフルハイブリッドのプリウスの走行音の動画をご紹介しておきますが、こちらはモーター走行の領域が広いためアクセルを踏んでもしばらくは静かな走行音です。

このあたりがマイルドハイブリッドとフルハイブリッドの大きな違いと言えるでしょう。


マイルドハイブリッドのメリット・デメリット

メリット、デメリット

マイルドハイブリッドは通常のエンジン者と比べると燃費に関してメリットが生まれますが、一方でフルハイブリッドと比較するとそこまでの燃費向上代がないことがわかります。

今回は燃費の点とあわせてマイルドハイブリッドのメリットとデメリットをご説明していきます。

マイルドハイブリッドのメリット

マイルドハイブリッドの燃費的なメリットはガソリン車以上、フルハイブリッド以下で、比較対象でメリットもデメリットもうまれます。

一応メリットとしてご説明しますがあわせてフルハイブリッドとの比較も行います。

燃費の向上

今回燃費を比較するのはスズキのコンパクトカーソリオで、この車種は同じエンジンを使いながらエンジン車、マイルドハイブリッド、フルハイブリッドの3仕様がラインナップされている珍しい車です。

スペックソリオ マイルドハイブリッドソリオハイブリッドソリオ ガソリンモデル
エンジンK12C型:
1,242cc 直列4気筒DOHC
K12C型:
1,242cc 直列4気筒DOHC
K12C型:
1,242cc 直列4気筒DOHC
モーターWA05A型:直流同期電動機PB05A型:交流同期電動機なし
最高出力エンジン:
67kW (91PS)/6,000rpm
モーター:
2.3kW (3.1PS)/1,000rpm
エンジン:
67kW (91PS)/6,000rpm
モーター:
10kW (13.6PS)/3,185rpm-8,000rpm
67kW (91PS)/6,000rpm
最大トルク118N・m (12.0kg・m)/
4,400rpm
モーター:
50N・m (5.1kg・m)/100rpm
エンジン:
118N・m (12.0kg・m)/
4,400rpm
モーター:
30N・m (3.1kg・m)/1,000-3,185rpm
118N・m (12.0kg・m)/
4,400rpm
モード燃費23.8 km/L~27.8 km/L32.0 km/L22.0 km/L~24.8 km/L
実燃費16.03 km/L~16.76 km/L18.85 km/L15.50 km/L

ソリオのスペックは前述の通りで、エンジンの性能は全く同じところに、直流モーターを使ったマイルドハイブリッドと交流モーターを使ったフルハイブリッドが展開されています。

MEMO

モード燃費ではマイルドハイブリッドの最高地で27.8km/Lとなっており、ガソリン車と比較すると1割程度の改善代となっています。

しかしフルハイブリッドでは32.0km/Lと大幅な改善効果があることがわかり、マイルドハイブリッドとフルハイブリッドの差が如実に表れています。

ですが実燃費となるとそこまでの差ではなく、フルハイブリッドのほうが少し良いといった感じですね。

おおむねガソリン車とマイルドハイブリッドとフルハイブリッドの関係はこのようになっており、カタログ燃費としてみればフルハイブリッドに大きなメリットが出ます。

ですが次にご説明するコスト的な面ではマイルドハイブリッドに分があるので、それと合わせてマイルドハイブリッドはちょうど中間的な位置づけとしてメリットがあるのです。

フルハイブリッドよりコストメリットあり

コスト

マイルドハイブリッドはフルハイブリッドに対してのメリットとしてはコスト面が大きく、これこそがマイルドハイブリッドの価値と言えます。

マイルドハイブリッドのうち交流モーターを使ったものはフルハイブリッドと部品構成は同じですが、それでもハイブリッド用のバッテリーを小型にできるというメリットがあり、この面で大きなコストメリットが生まれます。

ハイブリッド用のバッテリーはコストが非常に高くハイブリッドカーのコスト増加の最大要因です。

マイルドハイブリッドではモーターのみでの走行を行う必要がないのでバッテリー容量がそこまで必要なく、小型でコストが低く搭載も容易なバッテリーで済みます。

また直流モーター式についてはさらにコストメリットが大きく、交流モーターやインバーターなどの特別な部品がいらないということが大きなコストメリットです。

それまであったオルタネーターをハイブリッド用に交換するので非常に簡単で、またハイブリッド用バッテリーもより小型で済みます。

その分ハイブリッドカーとしての性能は限定的になりますが、コストメリットが大きいのです。

ではどのぐらいの価格差かというと、前述のソリオの例ではガソリン車とマイルドハイブリッドで300,000円の価格差、マイルドハイブリッドとフルハイブリッドで300,000円の価格差ですので、どれだけフルハイブリッドが高いかがわかります。

車種展開が比較的容易

マイルドハイブリッド、とくに直流式のシステムのほうはさまざまな車種への展開が簡単というメリットがあります。

ハイブリッドカーはモーターやインバーター、バッテリーの増設により車両側の大幅変更が必要であり、多くの車種はハイブリッド専用車となるかハイブリッドカーベースの車種となることが多いです。

台数の出るプリウスやアクアなどの車種であればそれでも十分な利益率が稼げますが、多くの車種ではフルハイブリッドシステムとなるとハードルが高いのも事実です。

その点マイルドハイブリッドであれば比較的簡便なシステムによって車種展開が容易と鳴っており、直流式であればハイブリッド用バッテリーの搭載位置さえ確保すれば多くの車種で同じシステムが使えます。

前述のコストメリットとあわせてこの特徴を活かせば多くのラインナップをハイブリッド化することができるので、メーカーの平均燃費を大幅に増加させることができるのです。

フルハイブリッドより故障率は低め

故障

フルハイブリッドの走行距離が多い車は、インバーターの故障やバッテリーの劣化などで故障時の修理費が高いのが問題です。

ですがマイルドハイブリッドであればそれぞれの部品への負担が少ないこともあって、基本的な故障率は低い点がメリットとなります。

また故障しても交換部品はフルハイブリッドより安く済みますので、整備性、維持費が良いと言えるでしょう。

特に高額となるのがバッテリーで、フルハイブリッドでは交換に数十万円かかるところが、マイルドハイブリッドでは容量が少ない分半分程度で済むのです。

日本では年々車の長期所有が進んでおり、また高年式、高走行の中古車の取引も活発になってきているので、メンテナンス性のよさはより重要となってきています。

マイルドハイブリッドのデメリット

マイルドハイブリッドにはいくつかのメリットがあるものの、デメリットとしてはやはり中途半端なであるという面があるでしょう。

ハイブリッドカーの最大の魅力はなんといっても燃費なわけですが、その魅力はフルハイブリッドには及ばずマイルドハイブリッドは魅力にかけるわけです。

さらにガソリン車より燃費は良いとはいっても微妙な増加代であり、価格差分の価値があるのかどうかがわかりにくい面もあります。

またハイブリッドカーはモーター走行時の静かさが特徴であるのですが、マイルドハイブリッドはほとんどエンジンがかかっていますので、運転していてもハイブリッドカーに乗っている気がしないのです。

同乗者やまわりへのアピール性にも乏しいですし、満足感が今一歩といえるでしょう。

マイルドハイブリッドはガソリン車とフルハイブリッドの中間といえば聞こえは良いですが、燃費でもコスト面でもいまいち中途半端なのです。

マイルドハイブリッドの評価・口コミ

マイルドハイブリッドに対する評価は昔よりいまのほうが高くなってきており、日本のみならず欧州でもマイルドハイブリッドの流れが来ています。

そんなマイルドハイブリッドに対する評判をTwitterから集めてみました。

スズキのマイルドハイブリッドは使いやすい

スズキ イグニスには直流モーター式のマイルドハイブリッドがありますが、乗った人の評価によるとなかなか乗りやすくて良いクルマのようです。

停止中はアイドリングストップが効くのは昔から結構使われていたのですが、スターターを使わないマイルドハイブリッドのモーターだと始動音が静かでかなり便利なようですね。

スターターでアイドリングストップからの始動をすると、どうしてもキュルキュルという音が気になるのです。

欧州に来るマイルドハイブリッドのトレンド

日本ではマイルドハイブリッドを含めてハイブリッドは当たり前となってきましたが、今後は欧州でもさらに広がりを見せる可能性が高く、その主流はマイルドハイブリッドになりそうです。

欧州政府は2040年までにすべての車を電動化するという発表をしており、これは全部を電気自動車にするということではありません。

ハイブリッドを含めた電動車にするということなので、導入コストの少ないマイルドハイブリッドは実は欧州では主流となるメリットをもっているのです。

マイルドハイブリッド搭載車

マイルドハイブリッドを搭載した車は国産メーカーからさまざまな車種が登場しており、今回は各メーカーの採用状況と代表車種をご紹介します。

またドイツのアウディが最近新型のマイルドハイブリッド車を登場させましたので、一緒にご紹介します。

トヨタのマイルドハイブリッド

 

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ハイブリッドカーのパイオニアであるトヨタはさまざまな車種にハイブリッドカーを設定しているのですが、実はマイルドハイブリッドとなると非常に少ないのです。

MEMO

というのもトヨタのハイブリッドは基本的にフルハイブリッド仕様であり、燃費に特化したシステムであるためです。

マイルドハイブリッドよりコストのかかるフルハイブリッドですが、トヨタには非常に大きな台数メリットを活かせる土台があるのでコンパクトカーから大型セダンまでフルハイブリッドが展開できるのです。

その代表車はトヨタ アクアで、他社がマイルドハイブリッドで戦っているセグメントにおいてフルハイブリッドで販売台数上位を獲得する人気車種です。

ではトヨタのマイルドハイブリッドがないかというと、数世代前のクラウンで採用例があります。

11代目のクラウンハイブリッドに設定されたマイルドハイブリッド「TMS-M」は直流モーター式のシステムで、モーター機能をもたせたオルタネータによってエンジンの補助をするシステムです。

燃費はガソリン車の11.4km/Lに対して13.0km/Lに改善しましたが、それよりもアイドリングストップと再始動時の静かさなどがセダンであるクラウンには魅力だったようです。

なおこれ以降のクラウンハイブリッドはプリウスなどと同じシステムのフルハイブリッドになりましたので、現時点でトヨタにはマイルドハイブリッドの車種はありません。

日産のマイルドハイブリッド

 

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日産は長らくトヨタにハイブリッド技術で遅れを取っていましたが、マイルドハイブリッドの導入によって一定の改善を見せました。

日産のマイルドハイブリッドは「Sハイブリッド」と呼ばれており、これも直流モーター式のマイルドハイブリッドです。

日産ではECOモーターと呼んでいるオルタネータ式のモーターによって、エンジンのアシストと回生でのエネルギー回収をしています。

Sハイブリッドは日産の売れ筋ミニバンであるセレナに標準搭載されており、マイルドハイブリッドを基本とした車種に仕上がっています。

燃費の改善代は1.0km/Lとあまり大きくないものの、大きなコスト増加を招かず標準装備できたという点が大きいでしょう。

ですがライバルであるトヨタ ノア、ヴォクシーなどには価格は高いですがフルハイブリッドがあり、セレナのマイルドハイブリッドではいまいちであったことも事実です。

そして現在は日産独自のフルハイブリッドシステムである「e-power」がセレナにも搭載され、エンジンではなく電気モーターメインで走行する独特な走行感覚を持つハイブリッドカーが登場しています。

Sハイブリッドは標準仕様としてまだ残っていますが、人気は圧倒的にe-powerのほうが高いようです。

ホンダのマイルドハイブリッド

 

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ホンダのマイルドハイブリッドは交流モーター式の「IMA(Honda Integrated Motor Assist System)」であり、エンジンと直結した交流モーターによってエンジンをアシストするシステムです。

MEMO

ホンダはトヨタについでハイブリッドカーを実用化したメーカーで、プリウスに対抗する車種としてIMAを搭載したホンダ インサイトを同時期に発売しました。

トヨタとは違い、エンジンの走行感を前に押し出すことでスポーティなホンダらしさを表した車だったのですが、どうしても燃費の点でプリウスには及ばず苦戦した車種でもあります。

しかしIMAはそれ以降もホンダ独自のハイブリッドシステムとして多くの車種に搭載され、最後のモデルは初代フリードハイブリッドです。

IMAを搭載したフリードハイブリッドのカタログ燃費は24.0km/Lで、ガソリンモデルの17.0km/Lを大きく超えており、マイルドハイブリッドとはいえ高い効果を持っています。

ホンダのマイルドハイブリッドでは、後期型からわずかな時間ですがモーターのみでの走行モードも追加されており、このことが燃費の改善に大きく寄与しています。

フルハイブリッドに近いマイルドハイブリッドといえ、一定の評価を獲得したといえるでしょう。

なお現在はホンダはフルハイブリッドシステムである「Sport Hybrid i-MMD(Intelligent Multi-Mode Drive)」というシステムに刷新されており、さらなる燃費向上を果たしています。

そのためIMAはほぼ採用されなくなっており、ホンダもフルハイブリッドに移行しています。

スズキのマイルドハイブリッド

スズキ ワゴンR

近年マイルドハイブリッドの採用を拡大させているメーカーはスズキ自動車で、前述でご説明したSエネチャージをさまざまな車種に展開しています。

Sエネチャージの搭載車種は現在以下の車種に展開されており、スズキの中核技術となっています。

カテゴリー車種カタログ燃費
軽自動車ワゴンR33.4km/L
ハスラー32.0km/L
スペーシア32.0km/L
コンパクトカークロスビー22.0km/L
スイフト27.4km/L
ソリオ27.8km/L
イグニス28.8km/L

軽自動車からコンパクトカーまで7車種に渡って展開されており、軽自動車では燃費は32km/L~33.4km/Lに達しています。

これは軽自動車トップの燃費であり、フルハイブリッドのコンパクトカーに肩を並べる数値です。

軽自動車はどうしてもコストの問題があってハイブリッド化による燃費改善が厳しかったのですが、マイルドハイブリッド化によって達成できています。

コンパクトカーでもかなり良好な燃費を記録しており、スズキの環境対応技術の柱となっています。

なおコンパクトカーではフルハイブリッドシステムのモデルもあり、燃費ではそちらが一歩先をいきます。

スバルのマイルドハイブリッド

スバル フォレスター

スバルは長い間ハイブリッドが登場せずに燃費面では苦しい戦いをしていましたが、2013年発売のXVハイブリッドでようやく本格的なマイルドハイブリッドの車が登場しました。

現在「e-Boxer」と呼ばれているスバルのマイルドハイブリッドシステムは、交流モーター式によるエンジンアシストシステムで、スバル独自の部品で構成されています。

燃費はガソリン車の15.8km/Lから20.0km/Lに向上しており、一定の燃費改善代がありました。

同じシステムは先代のインプレッサスポーツや現行フォレスターにも採用され、台数は少ないもののスバルのハイブリッドということで貴重な存在です。

フォレスターハイブリッドの燃費は2.5Lのガソリン車が14.6km/Lに対して、2.0Lハイブリッドで18.6km/Lと、そこまで大きな燃費改善代ではありません。

コストを抑えたマイルドハイブリッドで、あくまでエンジン補助が主体のシステムですので仕方ないと言えるでしょう。

それでもフォレスターのようなSUVにはモーターアシストのトルクは走行性能に対してメリットがあり、決して燃費だけのハイブリッドではないのです。

なお今後スバルにはトヨタのハイブリッドシステムを搭載したフルハイブリッドモデルが登場すると言われており、スバルのハイブリッドは燃費の点でも大きく改善しそうです。

そうなるとマイルドハイブリッドの立ち位置は微妙となりますが、今後が気になるところです。

マツダのマイルドハイブリッド

スバルとおなじ中堅メーカーのマツダですが、実はハイブリッドに関しては他社とは違う戦略を取っており、電動化ではなくエンジンの燃費向上を環境対策の主軸に据えているメーカーです。

そのためこれまでほとんどハイブリッドはモデルになく、唯一あるのはアクセラ ハイブリッドのみです。

ですがこのアクセラハイブリッドのハイブリッドシステムは、トヨタのシステムの流用でありフルハイブリッドシステムとなっています。

そのため現在マツダのラインナップにはマイルドハイブリッドは存在しておらず、次期モデルなどで登場予定もなさそうです。

ですが車の電動化による燃費改善は今後10年の間の必須事項であり、マツダのような中堅メーカーが採用するとしたらコストメリットのあるマイルドハイブリッドが有効なことは確かですので、今後のマツダには注目です。

アウディとベンツの48Vマイルドハイブリッド

メルセデスベンツ Sクラス

海外ではハイブリッドよりダウンサイジングターボによる燃費対策がトレンドでしたが、前述した欧州の状況変化によりマイルドハイブリッドに一躍焦点があたっています。

半年前に登場したメルセデス・ベンツSクラスや、先日登場したアウディ Q8のマイルドハイブリッドには、今後のトレンドとなる可能性の高い「48Vマイルドハイブリッドシステム」が搭載されており、もう一つのマイルドハイブリッドシステムが本格的に登場し始める先駆けといえます。

このシステムは基本的には直流モーター式のマイルドハイブリッドシステムですが、全体の電圧をDC12VからDC48Vにアップさせることで効率向上を目指しており、マイルドハイブリッドでも高い燃費性能を発揮するシステムです。

48Vマイルドハイブリッドシステム

直流モーター式のハイブリッドシステムはこれまで12Vという低い電圧でしか稼働しなかったので、実はあまり出力の高いエンジンアシストができていませんでした。

ポイント

その分交流モーター式よりコストメリットで戦っていたのですが、それならば直流モーター式でも電圧を上げればよい、ということで生まれたのが48Vマイルドハイブリッドシステムです。

モーター、ハイブリッドバッテリーを始めとするハイブリッドシステムをすべて48Vの専用電源とし、高い効率と強力なモーターアシストを目指したこのシステムは、ドイツの部品メーカーであるボッシュ主導で開発されています。

そのためベンツとアウディがおなじ48Vというシステムで構成されているわけで、今後も欧州車ではこのマイルドハイブリッドが主流になるのではと言われています。

ただ車のすべての電装品が48Vになるわけではなく、エンジンを始めとしたこれまでの部品はすべて12V電源であり、普通のバッテリーも搭載されます。

なおフルハイブリッドの場合は200V~700Vというさらに高い高電圧を扱うシステムであり、それより電圧の低い48Vシステムであればフルハイブリッドに対してはコストメリットがあるのです。

ベンツとアウディの48Vマイルドハイブリッド

ベンツ マイルドハイブリッド

現在このシステムを採用している車は少なく、メルセデス・ベンツではSクラスとCクラス、アウディではQ8がその車種です。

ポイント

Sクラスについては別の記事で詳しくご説明しているので簡単にご紹介するにとどめますが、この車ではメルセデス・ベンツが久しぶりに直列6気筒エンジンを復活させたことが話題であり、その復活にはマイルドハイブリッド化が欠かせないものとなっています。

重たい車なので燃費はそこまでではないものの、加速性能などの面で大きなメリットをマイルドハイブリッド化で受けています。

ベンツCクラスのマイルドハイブリッドではSクラスとは違ったシステムとなっており、モーター兼オルタネータを採用するタイプです。

こちらは2.0Lエンジンと組み合わせたハイブリッドで、燃費は18.6km/LとCクラスのような中大型セダンにしてはかなり良い部類と言えるでしょう。

最後にアウディQ8ですが、こちらは大型SUVということで燃費に対する影響はあまり大きくありませんが、やはりパワーとトルクの面で大きなメリットを受けている車種です。

アウディ得意の4WDシステムと組み合わさったマイルドハイブリッドであり、パワフルな走行性能が魅力です。

MEMO

マイルドハイブリッドなので全車への標準装備化が噂されており、欧州のマイルドハイブリッドの普及に一役買う車となるでしょう。

なおアウディはこのほかにもA6やA8などでマイルドハイブリッドを持っていましたが、当分の間は並行して販売されるものの、今後は48Vシステムに統合される可能性が高いでしょう。

マイルドハイブリッドの今後

マイルドハイブリッドはかつてはフルハイブリッドに燃費で及ばない中途半端なシステムとして、あまり主流ではなかった技術です。

その証拠にトヨタを始めとしてホンダも日産もフルハイブリッドに移行しており、そういった意味でのマイルドハイブリッドはスズキのような低コストメーカーによって発展していく技術でしょう。

ポイント

日本ではスズキのほかにもダイハツ、マツダなども今後が期待でき、軽自動車やコンパクトカーなどコスト面で厳しい車種を中心に簡易的なマイルドハイブリッドが主流となるはずです。

しかしそれとは違う流れは欧州の48Vマイルドハイブリッドの登場であり、間違いなく今後の注目技術の一つとなるものです。

欧州でも中国でも車の完全電動化が目標に掲げられたこともあって、コストの少ないマイルドハイブリッドへの期待はかつてないほど膨らんできていると言えます。

この流れが本流化すれば、日本メーカーも同様の流れとなる可能性は高く、トヨタ以外のメーカーが48Vシステムに移行することも十分に考えられます。

トヨタが初めて常に世界をリードしてきたハイブリッド技術ですが、ここに来て欧州勢に新たな流れが生まれたことは今後目を離せない点と言えるでしょう。