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5バルブエンジンとは?メリット2つとデメリット5つの特徴を解説!

自動車用のエンジンは性能向上のため年々様々な改良を繰り広げていますが、その中の一つに「5バルブエンジン」というものがあります。

一時期エンジンの高性能化技術として世界的なトレンドにもなったのですが、現在はほとんど見かけることの無くなったエンジンでもあります。

今回はそんな5バルブエンジンをご紹介しましょう。

5バルブエンジンとは

バルブ エンジン

バルブとは、レシプロエンジンのシリンダーに吸気や排気を行うポートのフタの役割をもつ部品で、吸気や排気時にはバルブが開いてシリンダーに混合気を吸い込んだり、排気ガスを排出したりします。

「5バルブエンジン」はそのバルブが1シリンダーあたり5個ついているエンジンのことで、レシプロエンジンの歴史の中では最多です。

このバルブを増やす設計を「マルチバルブ化」と呼んでエンジンの高性能さをアピールするものでもあるのですが、まずはマルチバルブ化による効果についてご説明しましょう。

マルチバルブ化の効果

自動車やバイクで主流となっている4ストロークエンジンは作動行程が4つに分かれており、吸気→圧縮→膨張→排気の順番で動いています。

この内シリンダーに混合気を取り入れる吸気行程と、排気ガスの排出行程ではバルブを開き、あとの2行程では閉じてシリンダー内を密閉しています。

エンジンが開発された当初は吸気、排気ともバルブは1つだけでしたが、すぐにエンジンの性能向上の要求が高まるにつれ、エンジンに取り入れる空気の量を増やす必要性が出ました。

レシプロエンジンは空気を取り入れる量が多ければ多いほど出力を出すことが可能で、その取り入れ口であるポートを増やすことで、一気に取り入れる空気量を増やしたのです。

これを吸排気効率といい、エンジンの性能を高めるために重要な要素です。

これがマルチバルブ化の効果であり、増えた吸気バルブにあわせるように排気バルブも増やし、4バルブ式のエンジンが登場します。

4バルブ式は現在ほとんどの自動車やバイク用エンジンで採用されており、最も一般的なバルブ形式です。

ただ近年は損失の少なさからシングルバルブ(2バルブ式)のエンジンが改めて登場したりもしています。

なお吸入空気量を増やすためにポート径を大きくしたシングルバルブ化も出来ますが、そうなると密閉性の悪化や燃焼室形状の悪化があって普通は採用されません。

5バルブエンジンの登場

そんな中1984年に日本のバイクメーカーであるヤマハが、2輪車用エンジンとして5バルブエンジンを世界で初めて発表し、その高性能さから自動車にも採用が一気に広がりました。

ヤマハの成功によって当時は5バルブが高性能エンジンの代名詞となり、日本ではトヨタや三菱、海外ではフェラーリ、アウディ、フォルクスワーゲンなども相次いで5バルブエンジンを投入しています。

5バルブエンジンは前述の吸排気効率のさらなる向上を狙ったもので、吸気3バルブ、排気2バルブによって構成されます。

吸気バルブの数が増えたことでより取り入れる空気量を増やすことが出来、ヤマハでは10%の出力上昇があったとしています。

また他にもメリットはありますが、こちらは後ほどご説明します。

当時の日本車はエンジンにバルブ数を表示するのが一般的な方法で、例えば4気筒エンジンで4バルブなら「直列4気筒 16バルブ」となります。

MEMO

他のメーカーの車が16バルブだったところに、5バルブ化で「直列4気筒 20バルブ」の名称で売り出せるので、セールス面でも5バルブエンジンは高性能をわかりやすくアピール出来ました。

しかしその後車の環境性能の高まりとともに5バルブエンジンは次第に無くなっていき、アウディが最後まで5バルブエンジンを採用していましたが現在は廃止されています。

それには後ほどご説明する5バルブのデメリットが大きくなったことが理由です。

5バルブエンジンのメリット・デメリット

メリット、デメリット

5バルブエンジンにはエンジンの高性能化、特に出力向上に対しては一定のメリットを持ちますが、デメリットもそれなりに多い機構です。

そんな5バルブエンジンのメリット、デメリットをご説明していきます。

5バルブエンジンのメリット

5バルブ化という最大級のバルブ数は次のようなメリットを持っています。

吸排気効率の向上

まず一番のメリットは前述でも説明した吸排気効率の向上で、吸気側ポートが増えるのですからそれだけ吸気を吸い込みやすくなります。

エンジンの吸気は過給でもしない限りはシリンダーに自然に入っていくもので、ピストンが下がる時の負圧によってシリンダーに吸い込まれています。

ですが吸気ポートが小さいと吸い込み量が減るばかりか吸気抵抗も大きくなってしまうので、5バルブのうち3つを吸気バルブとすることで効率よく吸気を吸い込めるようになります。

吸気量の向上によりエンジンの出力とトルクはアップすることが見込め、これこそが5バルブエンジンの目的です。

バルブリフト量の低減での高回転化

もう一つのメリットはバルブの動く長さであるリフト量を減らすことができる点で、このことからエンジンを高回転化することが出来ます。

MEMO

エンジンは回転数が上がれば上がるほど出力を延ばすことが出来、スペック上の最高出力を狙うならエンジンを高回転型にすることが近道です。

ですがその妨げとなるのは以外にもバルブ系で、エンジンの回転数が上がるとバルブの動きも激しくなるので、そのうちバルブの戻りが追いつかなくなってくるのです。

これは押し下げたバルブを戻すスプリングのサージングと呼ばれる現象で、弱いスプリングほど戻りが悪くサージングが起こりやすくなります。

ですがスプリングが強ければ良いというものでもなく、強いと今度は押し下げる力が必要でエンジンの損失に繋がります。

ポイント

そのため高回転型エンジンではバルブのリフト量自体を少なくするのが一番であり、短いリフト量なら戻りはよくなります。

リフト量が少なくなると吸排気抵抗が大きくなるのですが、5バルブエンジンは4バルブよりも数が多いことで、1つあたりのリフト量を少なくしても影響が少なく、エンジン全体として高回転型に設定することが出来ます。

そのため5バルブエンジンは高出力化が可能となっており、スペック上で高い性能を発揮します。

5バルブエンジンのデメリット

5バルブエンジンはある程度の出力改善は可能であり、そのため一時期トレンドとなりましたが、次第に次のようなデメリットがあることがわかってどんどん廃止されました。

部品点数の増加

5バルブ化することでどうしても起こるデメリットが部品点数の増加で、1気筒あたりバルブひとつ分の構成部品が必要となります。

バルブ系は細かい部品の組み合わせであり、バルブの他にバルブスプリング、カム、ロッカーアームなどの金属部品を接続させることで動いています。

エンジンの中でもとくに部品点数の多い部分であり、4気筒エンジンでは4バルブエンジンに対して1気筒分のバルブ系が追加されるようなものです。

エンジンのコストは部品点数の多さでほぼ決まっているので、5バルブ化によるコスト増加は決して無視できないレベルのものです。

また重量もそれだけ増加することになりますので、燃費性能などへ悪影響を与えます。

とくに生産台数の多い車にとってはこういったデメリットは少なくない影響があるので、廃止されていったのはある意味当然といえるでしょう。

燃焼室形状の偏平化

また5バルブ化はエンジン性能に悪影響を与える点もあり、それはエンジンの基本的な性能を決定する燃焼室形状にあります。

エンジンの燃焼室は、圧縮後のピストンとシリンダーヘッドに挟まれた狭い空間のことを指しますが、シリンダーヘッド側の理想的な形状は半円状の滑らかな形状です。

そのほうが混合気が燃焼室全体にすばやく行き渡り燃焼が安定するからなのですが、マルチバルブエンジンはそこにバルブという邪魔者が多いので、燃焼室形状に対しては悪影響を与えます。

それでも4バルブエンジンであれば半円とは行かないまでも吸気2、排気2のバランスの取れた形状にすることが出来、決して悪くはありません。

ですが5バルブ化すると増えたバルブを収めるスペースを確保するために燃焼室形状がどうしても偏平化してしまい、理想的な燃焼室形状を作れなくなります。

この影響は燃焼状態に現れてエンジン出力や燃費に影響を与えるほか、安定した燃焼が必要な排気ガス性能へも悪影響があります。

バルブ以外で対策も可能ではありますが、その分コストも増加しますので、基本的に5バルブエンジンは効率の良いエンジンとはならないのです。

燃焼室内の空気流れの妨げとなる

さらにバルブがシリンダーヘッドに増えて偏平化したことで、吸気を十分に撹拌するための空気流れが悪くなる影響もあります。

吸気管から送り込まれた空気と燃料の混合気はシリンダーに入った後も十分な撹拌が必要で、そのためには混合気が渦を巻くような球状の燃焼室が必要です。

ですがバルブがたくさんあるシリンダーヘッド側の形状ではその流れの妨げとなりますので、この点でもエンジンの効率を下げていることになります。

なおこういった影響はシリンダー内の混合気の流れがコンピューターの解析などで判明したことでわかったことで、5バルブエンジンが登場したあとのエンジン開発技術の熟成により悪影響が判明し、5バルブエンジンが減っていったのです。

機械的損失の増加

5バルブエンジンは前述したとおりバルブ系の部品が増えますので、それを可動させるためのエネルギーの分エンジン出力を下げていることになります。

このことを機械損失と呼びますが、エンジン内のすべての部品はすべて燃料の爆発エネルギーによって動いており、可動部分が増えるということはそのエネルギーを走行以外に消費していることに繋がります。

バルブのような小さな部品の動きでも、毎分何千回転としているエンジンでは決して無視できない損失となり、エンジンの高出力化に対して悪影響を与えることにもなります。

それでも初期の5バルブエンジンでは出力向上のほうがメリットが大きかったのですが、エンジン本体の効率が向上するに従ってデメリットのほうが大きくなった結果、機械損失の少ない4バルブエンジンのほうがメリットが大きかったのです。

燃焼室の熱損失の増大

もうひとつ5バルブエンジンでの損失増大に熱損失があり、これは燃焼室形状の複雑化によって引き起こされたものです。

理想的な半円状の燃焼室のシリンダーヘッド形状は表面積を最小にする効果もあり、そこから金属伝いに逃げる熱による損失を最小限に抑える効果があります。

エンジンは高温となるので水冷などによる冷却は不可欠ですが、必要以上の冷却は燃料のエネルギーを熱として捨ててしまうこととなり、エンジン効率を下げるものにも繋がります。

5バルブエンジンの偏平的な燃焼室は熱損失を少なからず増やしてしまいますので、エンジンとしては決して効率的ではないのです。

5バルブエンジンの評価・乗り心地

5バルブエンジンは一斉を風靡したこともあり今でも魅力を感じる人は少なくありません。

そういったツイートがTwitterにいくつも投稿されていますので、いくつかご紹介しましょう。

市販車で5バルブは魅力的

これは多分トヨタの5バルブエンジンのことだと思いますが、5バルブ化によってエンジンの回転数レッドゾーンが9,000rpm付近まで上昇し、スポーツカー好きは狂喜乱舞したものです。

市販車でレーシングカーのような回転数で走れる車となれば、自然にほしいと思ってしまうのは仕方ないですよね。

ですが実際のところそこまで回す機会というのはほとんどなく、また回したとしてもエンジンに大きな負荷を欠けてしまうので推奨されたことではありません。

軽にもあった5バルブ

当時は軽自動車にもパワー競争の波が来ており、三菱などは軽自動車用の小型エンジンにも5バルブエンジンを投入しました。

軽自動車は馬力の上限があるのでそこまで大きな効果はなかったはずですが、乗ったことのある人はすごかったとおっしゃってます。

多分トルクも太くなったことで加速が良くなったのだと思いますが、軽自動車でそういったスポーティな乗り味は大きな魅力ですね。

レースの世界でも効率の悪さが判明

5バルブエンジンは高回転エンジンを必要とするレースの世界でも一時期使われていましたが、こちらでも別の問題が起こって4バルブに戻ったそうです。

というのもレーシングエンジンは市販エンジンよりさらに高い回転数で使いますので、5バルブ化によって狭くなった吸気流路では抵抗がかえって増大してしまい、出力やトルクに悪影響を与えたからです。

市販エンジンの回転領域ではあまり影響の少ない点ですが、レーシングエンジンでも5バルブは非効率だったのです。

5バルブエンジン搭載車

5バルブエンジンはバイクから始まった技術ですが、幅広く広がったのは自動車の世界であり、多種多様な車種のハイパワーエンジンとして採用されました。

ここではその中から何台かご紹介しましょう。

トヨタ スプリンタートレノ AE101

 

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トヨタはいまでこそハイブリッドを中心としたエコカーのイメージが強いメーカーですが、1980年代~1990年代にはトヨタにもパワフルなエンジンを搭載したスポーツカーが何台もありました。

その中でFRで2ドアの中型クーペがスプリンタートレノという車種で、若者から絶大な人気を誇った車種です。

そのトレノの6代目が1991年に登場したAE101型で、トレノとしては初めて5バルブ化した4A-GE型エンジンが搭載されました。

スペックスプリンタートレノ AE101スプリンタートレノ AE92
エンジン4A-GE型:1.6L 直列4気筒 20バルブ4A-GE型:1.6L 直列4気筒 16バルブ
最高出力160ps(118kW)/7,400rpm140ps(103kW)/7,200rpm
最大トルク16.5kgf・m(161.8N・m)/5,200rpm15.0kgf・m(147.1N・m)/6,000rpm

AE101型の前期型であるAE92型にもおなじ4A-GEエンジンが搭載されていますが、排気量は同じものの5バルブ化によって出力が20馬力増大しています。

トルクも1.5kgf・m増加しており、5バルブ化による性能向上がなされています。

トレノはAE101からより都会的なスポーツカーとなって大人気となり、その人気の一つに5バルブエンジンがあったのは間違いありません。

また前述した9,000rpmまでポテンシャルのあるこのエンジンは、現在では載せ替え用のスワップエンジンとしても人気があり、その魅力は今でも色あせていません。

三菱 パジェロミニ

 

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三菱は当時さまざまな車種に5バルブエンジンを展開させていましたが、後年まで採用され続けた車種の一つにパジェロミニがあります。

パジェロミニは三菱の大人気SUVであるパジェロの小型版として人気のあるモデルで、軽自動車ながら力強いデザインとパワフルなエンジンに定評があります。

1998年に登場した2代目パジェロミニから三菱の660cc 5バルブエンジンである4A30型エンジンが搭載され、軽自動車としては高いトルクを持っています。

スペック2代目パジェロミニ 前期型2代目パジェロミニ 後期型
エンジン4A30TwinT型 659cc直列4気筒DOHC20バルブICツインスクロールターボ4A30T型 659cc直列4気筒SOHC16バルブICターボ
最高出力64ps(47kW)/7,000rpm64ps(47kW)/6,000rpm
最大トルク10.2kgf・m(100N・m)/3,500rpm9.0kgf・m(88N・m)/4,000rpm

2代目パジェロミニの登場時には5バルブエンジンの4A30型 DOHCターボエンジンが搭載されましたが、2002年のマイナーチェンジで4バルブ化された4A30型SOHCターボエンジンに変更されています。

この際ターボチャージャーの仕様も高価なツインスクロールターボから通常のターボに変更されており、多少スペックダウンするとともに燃費の向上を図っています。

軽自動車のエンジンは64馬力という上限規制があるため最高出力に関しては変わりませんが、エンジンの仕様変更の影響は最大トルクの低下に現れています。1.2kgf・mダウンは軽自動車としては大きな差であり、加速には明確な違いが出ました。

これは4バルブ化だけの影響ではなくターボの変更、SOHC化も影響していますが、どのみち軽自動車用エンジンの5バルブ化はそれなりの性能向上代があったわけです。

ですが三菱としては軽自動車にしては悪かった燃費の改善のために4バルブ化する必要がどうしてもあったわけです。

フォルクスワーゲン ポロGTI

 

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海外メーカーでも一定数の5バルブエンジン車が登場していますが、その中で比較的新しい車にフォルクスワーゲン ポロのハイスペックモデルであるGTIがあります。

ポロはフォルクスワーゲンのエントリーモデルのコンパクトカーですが、歴代モデルにはいわゆるホットハッチと呼ばれるハイスペックモデルが設定されます。

ノーマルのポロは大人しい走りであるのに対し、GTIではエンジンや足回りの改修によって有り余るほどの性能を与えてあります。

2代目にあたる2005年のポロGTIに5バルブ化されたエンジンが搭載されました。

スペック2代目ポロGTI
エンジンBJX型 1.8L 直列4気筒DOHC 20バルブ ICターボ
最高出力150ps(110kW)/5,800rpm
最大トルク22.4kgf・m(220N・m)/1,950rpm~4,500rpm

日本ではトヨタ ヴィッツやホンダ フィットクラスに当たるポロですが、GTIに搭載されたエンジンは150馬力ものハイパワーを持つエンジンで、さらにトルクは22.4kgf・mとスポーツカーに匹敵するトルクを備えています。

5バルブエンジンでの高出力化もありますが、それに加えて低回転から効きのよいターボチャージャーによる過給がこの大トルクを生み出しています。

このエンジンによりポロGTIの加速は素晴らしいものに仕上がっており、普通のコンパクトカーでは満足しない層にも人気を得ました。

2代目ポロGTIは同じエンジンで2010年まで生産されましたが、次期型である3代目ポロGTIからは4バルブ式の1.4L TSIエンジンに切り替わっていますので、フォルクスワーゲンの5バルブエンジンはこれ以降登場していません。

また1.4L TSIエンジンは高効率のエンジンであり、同じターボエンジンで排気量が小さいにもかかわらず、最高出力で29馬力もアップさせています。

このあたりはエンジンの軽量化と燃焼室の高効率化によって、5バルブのメリット以上のものを4バルブエンジンで得られたことによるものでしょう。

5バルブエンジンの今後

5バルブエンジンは高性能を追い求めるエンジンの歴史において一定の成果を上げたエンジンです。

確かな性能向上代を持ち、とくに高出力エンジンには向いている点も多かったのですが、現在となってはどうしても非効率な面が足を引っ張っており採用がほとんどなくなっています。

今後も5バルブエンジンに革新的な技術が付与されない限りは、残念ながらこの状況が続いていくことでしょう。