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48Vマイルドハイブリッドシステムとは?仕組みや燃費への効果も全て解説!

ハイブリッドカーは日本のトヨタが世界に先駆けて開発したエコカーで、いまでは世界のエコカーの代表となっています。

しかしここに来て欧州を中心に「48Vマイルドハイブリッド」という技術が脚光を浴び始めており、トヨタのハイブリッドシステムと真っ向勝負を挑む様相を呈しています。

今回はそんな48Vマイルドハイブリッドについてご説明していきます。

48Vマイルドハイブリッドとは

ベンツ エンジン

48Vマイルドハイブリッドというシステムはこれまでのハイブリッドシステムの改良型といった形のシステムなのですが、その特徴はシステム電圧に48Vの直流電源を使うことです。

自動車のメインバッテリーは長らく12Vの鉛蓄電池が使われており、自動車の電装品はすべてこの12Vのシステム電圧で動くように設計されます。

またハイブリッドカーの場合はそれに加えてハイブリッドモーター用の専用大型バッテリーを持っており、こちらは200V以上の大電圧を扱う電池となります。

ではこの状況で48Vという電圧を使うことでどんな特徴が生まれるかを、詳しくご説明していきます。

48Vマイルドハイブリッドの目的

48Vシステムの最大の目的とは、これまでより低コストである程度の性能を持つハイブリッドカーを作ることであり、燃費についてはトヨタ方式には及ばないもののコストメリットで勝負しようというものです。まずはその構造の差をご説明します。

フルハイブリッドの構造

これまでトヨタ方式と呼んだハイブリッドシステムは「フルハイブリッド」もしくは「ストロングハイブリッド」と呼ばれるもので、トヨタが1999年に世界初のハイブリッドカー、プリウスで採用した方式です。

ハイブリッドシステムで燃費が改善する仕組みは、車が減速する時に熱として捨てていたエネルギーを電気エネルギーとして回収して再利用することで、燃料のエネルギーを効率よく使っているからです。

電気エネルギーとして回収したエネルギーはバッテリーに一時貯めておき、それを走行時にモーターの駆動力とすることで無駄なエンジンの稼動を減らすのです。

このエネルギー回収システムを「回生ブレーキ」と呼んでおり、具体的には減速時にモーターが逆回転することで発電を行います。

トヨタ方式のフルハイブリッドシステムはこの回生ブレーキを最大限効率よく行うためのシステムであり、効率のよい大型の交流3相モーターと、非常に大容量のハイブリッド用バッテリーを必要とします。

3相モーターは摩擦が少なく効率が良いので、回生ブレーキの発電時に効率よく電気エネルギーを生み出せます。

そこで生まれたエネルギーは大型のバッテリーへ大量に貯めることができるので、モーターでの駆動時間も長くできて、結果燃費が大幅に改善するのです。

ですがフルハイブリッドシステムには直流のバッテリーと交流モーターをつなげるための「インバーター」という部品が必要で、直流と交流の変換およびモーターの制御を行っています。

そのためフルハイブリッドシステムはかなり複雑なシステムとなってしまうものであり、モーター、大型バッテリー、インバーターどれもが高コストの部品のため、ハイブリッド化に要するコスト増加が大きな問題となります。

マイルドハイブリッドの利点

ベンツ マイルドハイブリッド

フルハイブリッドと対象的にコスト面でのメリットを重視したシステムがマイルドハイブリッドで、これもいくつか方式はあるものの今回は48Vシステムにつながる方式で説明します。

マイルドハイブリッドは簡単に言えばモーターもバッテリーも小型で低コストなものを採用するシステムで、燃費改善効果はフルハイブリッドほどないものの、システムコストが低いので多数の車種に展開しやすいという利点があります。

その方式の一つに「スタータジェネレーター方式」があり、これはエンジンにこれまでついていた発電機:オルタネータをハイブリッド用のモーターとして活用する方式です。

オルタネータは自動車用の直流発電機で、エンジンのスパークプラグを始めとする電装品はすべてオルタネータが発電した電気で動いています。

ですがオルタネータは構造上はモーターと何ら変わらないので、逆にオルタネータに電気を送ればモーターとして活用でき、さらにエンジンスターターも兼ねる、というのがこの方式の肝となります。

既存の部品を強化した形にはなりますが、スタータジェネレーターでは次の3つの機能をオルタネータに集約させています。

  • 発電機能
  • エンジンアシストモーター
  • エンジンスターター

スタータジェネレーターはオルタネータと同じくエンジンとベルトで繋がっているので、ベルトを経由して回生ブレーキで発電したり、エンジンパワーのアシストやスターターとしての機能を果たします。

そこで発電された電気は小型のハイブリッド用バッテリーへと送られますが、その際は車のシステムと同じ12V直流電源が基本となっています。

ですが実は12Vという低い電圧ではハイブリッド用として役不足であり、効率と燃費を上げるためにはフルハイブリッドのように高電圧のほうが効率が良いのです。そこでより電圧を上げた48Vマイルドハイブリッドが登場します。

48V化:効率のよい低コストハイブリッド

マイルドハイブリッドシステムの電圧を48V化することによって、スタータジェネレーターでエンジンをアシストできる領域が格段に広くなりますが、それでもフルハイブリッドに対しては燃費では勝てません。

ですが48Vシステムはコスト面でフルハイブリッドに対してメリットが生まれるので、これまでのマイルドハイブリッドの性能を高めたものといえるでしょう。

MEMO

48Vマイルドハイブリッドでも部品構成は基本的に変わらず、スタータジェネレーター、ハイブリッド用バッテリーが基本構成となります。

それに加えてその他の12V電装品への送電用に、48Vから12Vに変換するDC-DCコンバーターも組み込まれることが多いです。

これらのコンポーネントはどれもフルハイブリッドより小型、低コストであり、部品の搭載スペースという面でも大きなメリットを生みます。

ポイント

燃費とコストでどのぐらいフルハイブリッドと差があるかはシステム構成次第とも言えますが、一般的にはコストで1/4~1/3、燃費で3割減といったところです。

つまりコストが大幅に下がった上に、ガソリン車と比べたら結構な燃費改善代が得られるというわけです。

ですが48Vハイブリッドシステムの開発にはそういった性能面やコスト面でのこととは別に、また違った目的もあるのです。

欧州メーカーのハイブリッド攻勢

48Vハイブリッドシステムを開発している中心は欧州、それもほぼドイツと言っても良く、その中心はドイツの自動車部品メーカー「BOSCH(ボッシュ)」です。

MEMO

実はこの48Vシステムはドイツで基本的な規格が定められたシステムで、2011年頃にボッシュと、ダイムラーベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの自動車メーカー5社によって制定されています。

これら6社はすべてドイツ企業であり、つまるところ48Vマイルドハイブリッドシステムとは、ドイツが新たに立ち上げたハイブリッド方式なのです。

その目的は明白で、トヨタを中心とする日本のハイブリッド勢から市場を取り戻そうとする動きであり、日本とドイツのハイブリッドカー合戦が新たに始まったことの証です。

トヨタ プリウスの登場とともにハイブリッドカーの燃費の良さは世界に広まりましたが、パイオニアだけあってトヨタの一人勝ちが続いており、プリウス=ハイブリッドカーという図式はもはや世界の常識です。

欧州メーカーは燃費競争でこの流れに乗り遅れており、後追いでハイブリッドカーを出すものの決してトヨタに叶うものではありませんでした。

その背景にはフルハイブリッドのコア技術のほとんどをトヨタが握っていることにあり、特許などの面から見てもフルハイブリッドの分野ではトヨタは世界一なのです。

そこで全く新しいハイブリッド方式として生まれたのが48Vマイルドハイブリッドというわけで、低コストを武器にトヨタの牙城を崩す意図があるのは明白でしょう。

その証拠に48Vマイルドハイブリッドの開発には欧州の部品メーカーが協同していますが、日本メーカーはほぼ関わっておらず、閉め出されている状態です。

もし今後48Vマイルドハイブリッドが世界の主流となった場合、日本の自動車メーカーは欧州から部品を購入しなければならない事態も十分考えられます。

ハイブリッドカーの技術はトヨタが頂点というこれまでの常識は少しずつ変わってきており、48Vマイルドハイブリッドは今後の展開が非常に興味深い技術なのです。

他のハイブリッドとの違い

さて48Vマイルドハイブリッドと他方式のハイブリッドシステムの違いは前述でも軽く触れましたが、ここで簡単にまとめておきましょう。

なおマイルドハイブリッドの詳しいことについては別の記事でご紹介していますので、ここでは簡単にまとめます。

ハイブリッドシステム構成フルハイブリッドマイルドハイブリッド
(交流モーター式)
マイルドハイブリッド
(直流モーター式)
48Vマイルドハイブリッド
システム
電圧
ハイブリッドシステム交流200V以上交流100V~200V以上12V48V
その他電装品12V12V12V12V
主要構
成部品
モーター交流モーター交流モーター12Vスタータジェネレータ48Vスタータジェネレータ
ハイブリッドバッテリー大型バッテリー小型バッテリー小型バッテリー中型バッテリー
インバーター大型インバーター小型インバーター不要不要もしくは小型インバーター
DC-DCコンバーター必要必要不要必要
燃費対策効果(4段階評価)4213
コスト(4段階評価)1243

さて48Vマイルドハイブリッドと他形式を簡単にまとめましたが、48Vシステムは性能面でもコスト面でもトップクラスの性能ではありませんがバランスよく高レベルでまとまっているといえます。

マイルドハイブリッドでも交流モーター式のほうが性能は出ますが、ハイブリッドシステム全体のコストが高いのでバッテリー容量を増やすことが難しい場合が多く、結果的に燃費は振るわない場合が多いです。

48Vマイルドハイブリッドはコンポーネント自体のコストが比較的安価に済みますので、その分バッテリーにコストをかけることができますので、燃費に対しても有利です。

なお48スタータジェネレーターを使ったマイルドハイブリッドは決して新しい発明ではありませんが、既存のコンポーネントをうまく活用してバランスよくまとめたのが48Vマイルドハイブリッドです。

48Vマイルドハイブリッドのメリット・デメリット

メリット、デメリット

48Vマイルドハイブリッドシステムの最大のメリットはコストがフルハイブリッドより安いことですが、その反面燃費性能がフルハイブリッドに及ばないというのが最大のデメリットでもあります。

ですがこの他にも48Vマイルドハイブリッドシステムのメリットとデメリットがありますので、そちらをご紹介しましょう。

48Vマイルドハイブリッドのメリット

ではメリットをいくつかご紹介していきますが、このシステムはまだ採用例が少ないシステムでもありますので、今後発揮されるメリットがあります。

エンジンアシスト性能の高さ

マイルドハイブリッドシステムは基本的にモーターのみの走行は考えられておらず、エンジンのアシストがメインとなります。

48Vマイルドハイブリッドであればモーターの出力が高いので、エンジンアシストのパワーが高いのです。

この特性によって48Vマイルドハイブリッドの車はパワフルな車種が多く、のちほどご説明しますが現在はドイツ系の大型車種がほとんどです。

ハイブリッドでのパワーアシストが効くのでその分エンジンを小排気量化することができ、そちらでの燃費改善効果も期待できるわけです。

またモーターアシストが入った発進加速の鋭さはハイブリッドならではのもので、重たい車をしっかり加速させるだけのスペックを比較的低コストで導入できるというわけです。

車種展開の広さ

48Vマイルドハイブリッドの構成部品はフルハイブリッドより小型なため、さまざまな車種への搭載が楽というメリットがあります。

フルハイブリッドでは大型のバッテリーとインバーターの搭載位置は大きな問題であり、車両側での専用設計がかなり重要となります。

またモーターについてもトランスミッションなどに収める関係上大きな改良が必要であり、車とエンジン+トランスミッションが完全にハイブリッド専用にする必要があるのです。

ですがマイルドハイブリッドであれば、小型バッテリーと小型のDC-DCコンバーターの置き場所さえ確保すれば、エンジンとトランスミッションには大きな手を入れることなく搭載できます。

マイルドハイブリッドのモーターはこれまでオルタネータが位置していた場所に置き換える形で載せるので、エンジンのベルト周りのちょっとした改良のみで済みます。

ということは小型車から大型車までさまざまな車種への展開が楽ということであり、ハイブリッド専用車種など開発しなくてよいのでコストメリットもあるわけですね。

高電圧保護の規制外

これは48Vという電圧を決める際にあらかじめ織り込まれた要件ですが、60V以上の電圧を扱う際に必要な高電圧保護の規制に対応しなくて良いというメリットがあります。

高電圧保護の規制は、簡単にいうと事故などのときに外部に電気が漏れた際の安全装備の要件です。

事故などでハイブリッドシステムが損傷を受けると高電圧の電流は車を通して外の人間に伝わる可能性があります。

そのためハイブリッドカーや電気自動車は異常が起こった時に早急に送電をカットする機構が組み込まれており、コストのかかる安全装置が必要なのです。

ですが48Vであればその必要はなく、漏電防止の安全装置は簡易なもので済みます。また万が一事故で漏電してしまったとしても、家庭用電源より低い電圧であれば人間に対する影響は少ないというわけです。

さらにハイブリッド部品への衝突安全性の確保が不要となるため、部品の配置位置の自由度も確保できます。

部品共用化によるさらなる低コスト化

48Vハイブリッドシステムは前述した6メーカー共同で開発されていますが、コンポーネント部品をこのメーカー内で共用することでのコストダウンも考えられています。

部品のコストは採用数によるスケールメリットでかなり抑えることができるものであり、同じ部品を多くの自動車メーカーで共用できることはかなりのメリットを持ちます。

これがあるので世界の自動車メーカーはさまざまな提携関係を持っており、できるだけ低コストで共用化を図るわけです。

ですがこれまでフルハイブリッドシステムは自動車メーカー各社がさまざまな独自開発をしているのが実情であり、メーカーの機密の塊でもあるので安易に共用化はできませんでした。

また車によって必要な大きさ、搭載可能な大きさにも違いがあり、なかなか共用化でのコストダウンは難しいのが現状だったのです。

コンポーネントが小型で搭載性が良い48Vマイルドハイブリッドシステムであれば、同じ部品をたくさんの車に採用できる可能性は高く、また複数の自動車メーカーが最初から開発に関わっている点でも共用化はあらかじめ考慮されるのです。

これは共同開発しているメーカーにとっては大きなメリットとなりますが、実はその他のメーカーにとってはそこまでメリットにならない可能性もあります。

なぜなら共同開発していないメーカーには高い部品費で提供するというのがこれまでの常識であり、簡単に安売りしてくれるものではないからです。

ハイブリッド以外のコンポーネントの展開

48Vの電源を使うシステムは何もハイブリッドシステムに限定されているわけではなく、他の自動車部品も48V電源で稼動させることができます。

MEMO

これまでの12Vよりパワーのある電装品が実現できますので、従来電気化が難しかった部品がモーター駆動にできる可能性が広がるのです。

例えばこれまでエンジンパワーで動いていたターボやスーパーチャージャーなどの過給機を電動化した「電動過給機」というものが実用化されており、これは48V電源でのパワーのあるモーターによって実現できたものです。

ターボにはターボラグという特有のデメリットがあるのですが、電動化することでそれがなくなり大きな改良が可能となります。

また他にはエアコンコンプレッサーがあり、ベルト駆動だったコンプレッサーを電動化できるようになります。

実はフルハイブリッドや電気自動車ではすでに電動エアコンコンプレッサーは採用されていますが、48V電源によってマイルドハイブリッドでも採用することが可能となります。

これらの部品の48V化は搭載位置の自由化というメリットも生まれており、これまでエンジンの特定の位置にしか置けなかった部品をスペース効率のよい位置におけるのです。

ほかにもブレーキやステアリングなどさまざまな電動部品の効率化ができるようにもなり、車全体の電気部品を一新できる可能性につながっています。

48Vマイルドハイブリッドのデメリット

このシステムでのデメリットはやはり燃費の改善代が少ないことに尽きますが、そのためにこのシステムは将来性が少ないという指摘もあります。

ハイブリッドカーや電気自動車による燃費改善の流れは今後さらに加速するものであり、環境重視の流れの中でマイルドハイブリッドは縮小傾向にあるのは間違いないからです。

燃費を確保するならフルハイブリッド化が必要ですので、いくらマイルドハイブリッドにコストメリットがあったとしてもそのうち通用しなくなってくるはずです。

そのため48Vマイルドハイブリッドシステムであっても一時しのぎの技術であるという意見は、ある意味正しいと言えるでしょう。

ですがその一時しのぎが数年なのか何十年かなのかで大きく状況は変わるわけで、マイルドハイブリッドはまだ当分の間は有効でしょう。

フルハイブリッドはプリウスが登場して20年近く経ちますが、いまだにその上を行く電気自動車や燃料電池自動車はあまり普及していないので、完全な電気駆動の車が普及するまではハイブリッドは必要な技術です。

48Vマイルドハイブリッドの評価・口コミ

48V電源を使った車はようやく最近発売されてきてこれから盛り上がる分野ですが、Twitterなどではこれに関してさまざまな意見がありますのでご紹介していきましょう。

48Vマイルドハイブリッドの市場予測

48Vマイルドハイブリッドの普及に関して研究所での台数予測が発表されており、EVやPHEVの普及に時間のかかる現状に置いては一定のボリュームがあることが予想されています。

この予想通りに市場が動くかどうかはわかりませんが、今後10年ぐらいはまだマイルドハイブリッドに競争力がありそうですね。

日本勢の動きに注目

欧州の自動車メーカーは48Vシステムに移行していく流れは確実にありそうですが、日本メーカーがどういう方向に向かうかは現時点では不透明です。

トヨタは自前のハイブリッドがあって不要ですし、ホンダや日産も自前のハイブリッドシステムがあり、マイルドハイブリッドはなくしてきています。

それよりはマツダやスズキ、スバルなどの中堅メーカーがマイルドハイブリッドに積極的なので、これらのメーカーの動きが気になるところです。

ハイブリッドのバイクも登場

48Vマイルドハイブリッドは車がメインの技術ではありますが、最近ハイブリッドバイクも登場しました。

このバイクは日本のホンダ製で、車では採用が不明な同メーカーがスクーターに初採用したのです。

48V化でコンポーネントが小型化されたことがバイクへの搭載を可能としており、価格は高いですが面白いバイクが登場しましたね。

48Vマイルドハイブリッド搭載車

では現在発売中もしくは登場予定の48Vマイルドハイブリッド搭載車をご紹介しましょう。

メルセデス・ベンツ Sクラス

メルセデスベンツ Sクラス
48Vマイルドハイブリッドの先駆けとなった車種は以外にもメルセデス・ベンツの最高級車であるSクラスで、直列6気筒エンジンの復活とともに大きな話題となりました。

なぜならこの車のマイルドハイブリッドは直列6気筒エンジンを小型化するための技術ともいってよく、マイルドハイブリッドなくしては成り立たないシステムだからです。

Sクラスは言わずとしれた最高級のラグジュアリーカーで、日本でも社長や財界人などが乗っている車です。

エンジンのラインナップが豊富なことでも知られており、最高級のV12エンジンからベースグレードの直4エンジンまでさまざまありますが、そこでV6エンジンの置き換えとして登場したのが3.0L直列6気筒+48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたモデルとなります。

スペックS450S400h
エンジン256M型 2,998cc 直列6気筒DOHC ツインスクロールターボ+電動スーパーチャージャー276型 3,498cc V6 DOHC
モーターエンジン出力軸直結ISG21227
交流同期電動機
最高出力エンジン:
270kW(367ps)/
5,500-6,100rpmモーター:
16kW(22ps)
エンジン:
245kW(333PS)/
6,500rpmモーター:
20kW(27PS)
最大トルクエンジン:
500Nm(51.0kgm)/
1,600-4,000rpmモーター:
250Nm(25.5kgm)
エンジン:
620Nm(63.2kgm)/
3,500-5,250rpmモーター:
250Nm(25.5kgm)
モード燃費未公表
(参考燃費:9.8km/L)
15.4km/L
価格13,630,000円10,900,000円

SクラスにはこれまでフルハイブリッドのS400hがありましたが、S400hの消滅とともに登場したのがS450です。

この車はシステム上は48Vマイルドハイブリッドなのですが、実はコスト面のメリットで採用したわけではなく、むしろ直列6気筒エンジン復活のための技術と言えます。

直列6気筒エンジンはV6エンジンに比べて全長が長く衝突要件で不利なため、ここ20年の間採用がほとんどなかったエンジンです。

ポイント

ですがベンツは48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせることにより、補機ベルト関係の部品をすべて撤廃、それによりエンジン全長を短縮して搭載可能としたのです。

そのためS450はスタータジェネレーターをトランスミッションに収める方式を取っており、オルタネータ代わりの部品はありません。

直6エンジンはエンジンが静かで上質なのが最高の魅力であり、それを復活させるために48Vシステムを活用した形になります。

また同システムを活用して電動過給器を採用し、パワーを向上させています。

これによりS400hのV6ハイブリッドよりも少ない排気量で高いパワーを発揮しており、これらの魅力を際立たせるための車といえるでしょう。

その証拠にS450は価格がS400hよりも高く、マイルドハイブリッドでありながらフルハイブリッドより高価で燃費も少し低いという車になっています。

アウディ Q8

 

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ベンツの次に登場した48Vマイルドハイブリッド車はアウディのSUV Q8であり、こちらはオルタネータ式のスタータジェネレーターを使ったマイルドハイブリッドとなります。

Q8はアウディの48Vマイルドハイブリッドの最初の車で、2018年8月に欧州で発表されました。

ポイント

Q8はアウディのラインナップの中でも大型SUVの部類に入りますので、高級マイルドハイブリッドになります。

なおQ8ではすべてのモデルに48Vマイルドハイブリッドが標準搭載となっています。

アウディはこれまでもマイルドハイブリッドの車種を出してきましたが、これまでは12V電源のシステムだったので燃費効果は限定的でした。

48Vシステムならより燃費改善には期待できますが、現時点では詳しいスペックや燃費についてはまだ正式に発表されていないのでわかりません。ですが日本に導入されるのはもう少しかかりそうです。

その他の48Vマイルドハイブリッド車

 

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現時点で正式に発売されたのはメルセデス・ベンツSクラスだけで、それにアウディQ8が続く形になりますが、ほかの欧州メーカーでも新型マイルドハイブリッド車の開発の最終段階にさしかかっているようです。

BMWは48Vマイルドハイブリッドの開発の車種に売れ筋セダンである3シリーズを選んだようで、すでに開発中のテストカーが何度も目撃されています。

公道走行も始まっているということは開発終盤であることを指し示しており、BMW初の48Vマイルドハイブリッド車の登場は間近に差し掛かっています。発表時期は2018年後半が想定されているようですね。

もう一つの開発情報はフォルクスワーゲンの新型ゴルフについてで、来年発売予定の新型ゴルフに48Vマイルドハイブリッドが設定される見込みです。

事前情報ではゴルフには12Vシステムと48Vシステムの2種類のマイルドハイブリッドが登場するらしく、12Vシステムは低コストのモデル向き、48Vはスペックの必要なGTIなどの上級車種向けとなるようです。

今後も欧州車には48Vマイルドハイブリッドがどんどん登場してくることが予想されており、日本にも導入が待たれますね。

48Vマイルドハイブリッドの今後

48Vマイルドハイブリッドは最新のハイブリッドシステムの一つであることは間違いなく、今後十年程度は主流のシステムの一つとなるものでしょう。

MEMO

しかしその背景には燃費向上の要求に加えて欧州でのディーゼルエンジンの衰退が大きく関わっています。

欧州メーカーはこれまで日本のハイブリッドに対抗するためのメイン技術としてクリーンディーゼルエンジンを開発していたのですが、年々厳しくなる排気ガス規制をクリアするのにコストがかかることが問題でした。

さらに数年前にフォルクスワーゲンを始めとしたドイツメーカーで、ディーゼルエンジンの排気ガス不正、いわゆる「ディーゼルゲート」問題が発覚し、一気にディーゼルエンジンに対する信頼性が揺らいだのです。

この不正が発覚した直後、欧州と中国政府が今後全ての車を電動化するという方針を発表し、欧州メーカーは一転してハイブリッドか電気自動車への転換を余儀なくされたわけです。

ポイント

その状況の中ではコストのかかるフルハイブリッドは不向きであり、コストメリットのあるマイルドハイブリッドに白羽の矢が立ったわけです。

48Vマイルドハイブリッド自体はディーゼルゲート事件よりかなり前から開発が進んでいるのですが、この事件をきっかけとして需要が加速したことは間違いありません。

こういった流れがあるので欧州メーカーはどうしてもマイルドハイブリッドを主流にする必要があり、今後確実に採用が増えていくでしょう。