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ターボラグとはどんな意味?起こる原因と解消する対策について解説!

自動車のエンジンをパワーアップする手段として昔から使われていたのがターボチャージャーで、エンジンに多くの空気を取り込むことで出力やトルクを増大させる装置です。

しかしターボチャージャーには「ターボラグ」というデメリットが付き物で、このラグをいかに解消するかがターボエンジンの設計の肝となっています。

今回はターボエンジンのターボラグについてご説明します。

ターボラグとは

車のメーター
ターボラグはターボチャージャーを搭載したエンジンに特有の現象で、アクセルを踏み込んでからターボ特有の強烈な加速が来るまでに発生するタイムラグのことを指します。

ターボラグは1990年代のターボエンジン車に乗ったことのある人ならなんとなくわかるのですが、車のスピードをあげようとアクセルを踏み込むと一瞬の間は加速が始まらず、ワンテンポ遅れてググーッと一気に加速します。

ポイント

タイムラグは普通が1秒にも満たない短いものですが運転していると結構気になるもので、とくに高速道路での合流時などでは「早く加速してくれ!」と思ってしまいます。

ただ大きなターボチャージャーを装着した車などはターボラグが大きい傾向にあり、1秒~2秒ものターボラグが発生することもあります。

この特性からターボラグが大きい車のことを「ドッカンターボ」と呼ぶこともあり、一般的には喜ばしくないものです。

この特性があるのでターボエンジンが嫌いという人もおり、自然吸気エンジンの滑らかな加速のほうが良い場合もありますね。

ターボラグが起こる原因

ターボラグはターボチャージャーの独特な構造から起こるものであり、どんなターボチャージャーでもターボラグを完全になくすことはできません。

ターボチャージャーは吸気の空気密度を圧縮して高めることが目的で、エンジンに大量の酸素を送り込んで効率を高める装置です。

空気を圧縮するエネルギーは排気ガスの捨てられるエネルギーを回収して使っており、タービンという回転する羽根に排気ガスを当てて、タービンと直結したコンプレッサーで吸気を圧縮します。

排気ガスのエネルギーが多ければターボチャージャーの効率もよくなるわけです。

さてターボラグがどこで起こるかというと2箇所原因があります。

タービンの立ち上がり

エンジンが低回転の状態だと排気ガスのエネルギーも低くタービンの回転数も抑えられますが、アクセルを踏み込んでもすぐにはタービンの回転数が上がらないことでターボラグが生まれます。

低回転の状態からアクセルを踏み込んでもターボに流れる排気ガスはしばらく低いエネルギー状態のままなので、タービンの回転数は少しの間低いままです。

エンジンの回転数が上がるにつれて排気ガスのエネルギーが上がってタービンが回り、その状態でようやくターボが働き始めます。

ターボチャージャーが排気ガスを活用して稼働している以上、低回転から高回転までさまざまな運転条件で走る自動車ではターボラグはどこかで必ず発生します。

吸気管内の空気の流れの淀み

ターボで空気を圧縮したあとは吸気管を通してエンジンに送り込んでいるのですが、ガソリンエンジンにはその間にスロットルバルブという部品があり、スロットル部分で一部の圧縮空気が阻害されることでターボの働きを悪くしています。

ガソリンエンジンはスロットルバルブで吸入空気量を絞っており、アクセルを開くと共にスロットルを開いて空気を増やしてエンジン出力をあげています。

そのため吸気管内はエンジンにいくまでの間にかなり抵抗のあるバルブを通らなければならず、ポンピングロスというエンジンの効率を悪化させるほどの抵抗があります。

ターボで圧縮された空気もスロットルを通ってエンジンに向かうのですが、それまで低い圧縮状態だったところにターボで急激に圧力が上がった空気が送られてきてもスロットルで一部が跳ね返されます。

その圧力は吸気管を遡ってターボにまで届き、ターボに対する抵抗となるのでターボの働きが悪化するのです。

少しすると吸気管内の圧力は均等化されるので影響がなくなるのですが、その間の時間がターボラグとなります。

つまりターボラグは、ターボの回転数が上がらない間の時間と、吸気管内の圧力の均等化ができるまでの時間で生まれるのです。

なおディーゼルエンジンでもターボはよく使われるのですが、ディーゼルエンジンはスロットルが不要なエンジンなのでターボラグは少ない傾向にあります。

ターボラグの多い車と少ない車

ターボラグはどんなターボチャージャーでも構造的には大なり小なり発生してしまいますが、ターボの性能によってターボラグが多いものと少ないものがあります。

ターボチャージャーにはいくつかの重要な設計条件があり、排気ガスが通る通路の大きさ、ターボの容量、過給圧の大きさなどがあります。

これらを調整することでターボチャージャーは大きく次の2種類に別れ、車に求められる性能に応じて使い分けられます。

  • 小型ターボ:低回転からターボが効くが、高回転では頭打ち
  • 大型ターボ:高回転時の出力増加は大きいが、低回転では効きが悪い

小型のターボはタービンが小さいものが使われているので、排気ガスのエネルギーが小さくても軽いタービンはよく回ります。

大型のターボではタービンが大きくて回すのにエネルギーが要りますが、一度回転し始めれば高い過給圧を発揮できます。

このうちターボラグが大きくなるのは大型ターボのほうで、低回転時の立ち上がりが悪いのが理由です。

大型のターボを必要とするのは出力やトルクを高くしたい中、大型車やスポーツカーなどで、とくにスポーツカーで出力重視の場合には大きなターボラグが発生します。

その分ターボラグが終わったあとの加速は激しいものがあって、ドッカンターボと呼ばれるほど強烈なものとなります。またエンジンの最高出力を高くすることができます。

しかしそこまでの最高出力が要らない中小型車の場合、小さい排気量で燃費を稼いでターボで出力を補填するという使い方をします。

この場合は小型のターボで十分であり、ターボラグが小さくて日常使いで扱いやすい車となります。

ターボラグの解消・改善の対策

ターボラグの存在はターボチャージャーというものが自動車に搭載されて以来常に付きまとう問題で、これまでさまざまなターボラグ対策が生まれました。

ターボ本体の改良からシステム的なものまで多種多様で、ターボラグの解消がいかに難しかったかがわかるでしょう。

これまで開発されてきたターボラグ対策は本当に種類が多く、今回はまず一覧表にしてみました。

ターボラグ削減技術
ターボ技術の改良小型、低回転ターボ
セラミックターボ
ボールベアリングターボ
ツインターボ
シーケンシャルツインターボ
ツインスクロールターボ
可変ノズル(ジオメトリ)ターボ
別仕様の過給気スーパーチャージャー
ツインチャージャー
電動過給機
ターボラグ削減システムミスファイヤリングシステム
パワーバルブシステム

ではこれらのターボラグの対策の詳細をご紹介していきます。

小型、低回転ターボを使う

まずもっとも基本となるのは前述でもご説明した小型、低回転向きのターボを使うことです。

ターボラグの根本原因であるタービンの立ち上がりを良くするには、なにより低いエネルギーでも回転数の稼げるターボを使うことです。

ですが小型のターボでは不十分な車種というのも沢山ありますので、小型ターボの特性をうまく活用する形でさまざまなターボラグ対策が生まれてきました。

軽量タービンの開発/セラミックターボ/ボールベアリングターボ

小型ターボがなぜ低い回転数で回るかというと、タービンが小型軽量で、回転させるのに少ないエネルギーで済むからです。

ということは大型のタービンでも軽量で少ない抵抗で回せるのであれば、同様にターボラグが減らせます。

そういった考えで作られたのがセラミックターボと、そのあとに出てきたボールベアリングターボです。

軽量なセラミックターボ

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ターボチャージャーのタービンは非常に付加の高い状況で使われる部品で、1,000℃近くに達する高温の排気ガスを常に受けながら、20万rpmという高速回転をしなければなりません。

そのためターボチャージャーに耐熱合金の鋼製のタービンが使われてきましたが、これではどうしても重量が重たくなってしまいます。

そこで生まれたのがタービンをセラミックス製にしたセラミックターボで、セラミックスの持つ軽量さと硬さ、耐熱性の高さから大型タービンでも軽くすることができ、ターボラグの現象に繋がりました。

セラミックスは比重が鋼の半分以下ですので、同じ大きさのタービンでも重量をかなり削減できたのです。

セラミックターボは日産自動車が世界に先駆けて開発した技術で、日産車のターボによく使われました。

その効果は確かに高く、軽快な加速が当時の日産車の大きな特徴ともなったものです。

MEMO

ですがセラミックス製のタービンの製造には特殊な技術が必要でコストが高かったことと、セラミックスという素材が衝撃に弱いという弱点を持っていたことで繊細なターボであったともいえます。

セラミックスは要はお皿などに使われる陶器ですから、衝撃が入ったら割れたり欠けたりするわけですね。

セラミックターボは性能的には素晴らしいものがあったのですが耐久性や信頼性の面で少々弱点があり、現在では採用されていません。

ボールベアリングターボ

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セラミックターボの後継としていまでも活用されているものにボールベアリングターボというものがあり、これはタービンの回転軸にボールベアリングを採用して回転抵抗を減らしたものです。

MEMO

タービンを軽快に回すのには軽量化のほかに回転抵抗を減らしてもできるのですが、前述した通りターボは高温、高回転で回る部品なので普通のベアリングやボールベアリングは使えない状況でした。

ターボの軸受けはオイルベアリングというものが長く使われており、オイルで満たしたベアリングの中で軸が浮いているような状態になる部品です。

オイルが良好な状態にあるかぎりオイルで潤滑も放熱もでき、軸の焼き付きを押さえることができます。

ですが軸受けとしての抵抗は高くタービンの回転を阻害するものだったので、昔からボールベアリングが使えないか長い間研究開発がなされてきました。

その結果ボールにセラミックスを使って耐熱性と耐磨耗性を高めたボールベアリングが開発され、これによってボールベアリングターボが実用化されました。

回転抵抗が減るのでタービンが少ないエネルギーでも回るようになり、ターボラグを削減します。

ですがコスト的にはやはりオイルベアリングのターボよりは高くなり、また小型のターボなどではボールベアリングの効果がそこまで発揮されないことから、状況に応じて普通のターボと使い分けがされています。

ツインターボ/シーケンシャルツインターボ

ターボラグは大きなタービンを使うから生まれるのであれば小型のターボを使えば良い、という基本を踏まえながらエンジンの出力も高くしようとした対策が「ツインターボ」と呼ばれるものです。

またツインターボから派生したシーケンシャルツインターボという仕様も存在します。

ツインターボでのターボラグ削減

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ツインターボはその名の通りターボチャージャーを2つ搭載したエンジンのことで、スポーツカーの代名詞的な存在です。

ツインターボは比較的小型のターボを2基搭載し、エンジンの気筒数の半分ずつをそれぞれのターボに繋ぐことで低い回転数からタービンが回るようにしています。直6エンジンであれば3気筒に1基のターボがあるような形ですね。

ツインターボ化することで低回転でのターボラグは削減でき、また出力も2基の小型ターボによって大型ターボ1基に匹敵するスペックを発揮できます。

鋭い加速が得られ、さらに最高出力とトルクも両立できるツインターボはいまでもスポーツカーに必須のものです。(その分燃費は悪いのですが…)

使い分けのシーケンシャルツインターボ


シーケンシャルツインターボもターボチャージャーを2基搭載しますが、こちらは小型ターボと大型ターボという組み合わせになっており、運転状況に応じて使い分けをするエンジンです。

エンジンから各ターボチャージャーまでは電子制御のバルブ付きの排気管で繋がっており、必要に応じてどちらのターボに排気ガスを流すかを切り替えられます。

エンジンが低回転時にはターボラグを削減するために小型のターボを使い、高出力がほしい場合にはバルブを切り替えて大型ターボを使う、といった使い分けです。

これにより低回転から高回転まで安定した性能が得られ、同時にターボラグを最小限にできるのです。

シーケンシャルツインターボでは大型ターボ使用時に小型ターボを併用する場合と完全に使い分ける場合がありますが、使い分ける場合には状況に応じてどちらかのターボはただの重量物となってしまうので、デメリットもあります。

また一般的にピーク出力はツインターボには及ばず、もう少しマイルドなスポーツカーに向いています。

ツインスクロールターボ

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シーケンシャルツインターボを発展させた仕様にツインスクロールターボというものがあり、こちらはターボチャージャーは1基ですが内部には排気ガスの流れる流路が2つあり、低速用と高速用で排気ガスの流れを変えるターボチャージャーです。

低回転時には流路を1つだけとしてタービンに効率よく排気ガスが流れるようにし、高回転で排気ガス量が増えた場合には2つの流路を使って対応します。

外観からは大型ターボにちかいものがあり高回転域での動作は大型ターボそのものですが、低回転時のレスポンスとターボラグを軽減できます。

その分ターボチャージャー内部の構造が複雑になったり、流路の切り替えバルブが必要になったりとシングルターボとしては高コストなのがデメリットです。

可変ノズル(ジオメトリ)ターボ

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こちらもシングルターボでターボラグを削減しようとする仕様で、ターボ内部の流路は一本ですがタービンのブレード(羽根)が可動することで排気ガスの流れをコントロールするターボです。

タービンのブレードはその形状や径などによって低回転用か高回転用かが決まるのですが、可変ノズルターボはその点を変化させることで低回転から高回転までカバーしてターボラグを削減させます。

可変ジオメトリターボ(VGターボ)とも呼ばれ、ターボのジオメトリーを運転中に能動的に変更できる唯一のターボです。

欠点はやはりその可動機構にあり、複雑なタービンの構造と可変させるアクチュエーターの必要性などでコストは高くなります。

またタービンブレードの構造は高い耐久性と耐熱性を確保しながら可動しなければならないので、技術的に高度でこれもコスト高の原因です。

ディーゼルエンジンは排気ガスの温度が比較的低いので可変バルブターボがよく採用されますが、温度の高いガソリンエンジンではコスト高からあまり採用例はなく、現在ではガソリンエンジンではポルシェのスポーツカーで使われるのみです。

スーパーチャージャーへの変更

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ここまではターボチャージャーの構造や仕様でターボラグを削減するものでしたが、ここからはターボチャージャーと別の過給機で対応する方法です。

エンジンの過給機にはターボチャージャーのほかにスーパーチャージャーというものがあり、こちらは排気ガスのエネルギーではなくエンジン本体の回転を用いてコンプレッサーを動かす過給機です。

エンジンのクランクシャフトからベルトやチェーンなどで動力を伝達し、スーパーチャージャーの羽根やローターを回転させて吸気を圧縮します。

スーパーチャージャーはエンジンが回転し始めたときから稼働しますのでターボチャージャーのように回転数で稼働しにくいなどということがなく、構造的にターボラグのようなものは発生しません。

自然吸気エンジンをそのままパワーアップさせたような運転感覚であり、滑らかな吹け上がりが特徴です。

しかしエンジンの回転数が増えるほどスーパーチャージャーの回転数も上がるわけですが、機械的な回転物には付き物のフリクションロスがどんどん増大していくことでもあり、高回転にいくほど効率が低下します。

そのためターボチャージャーよりも高出力に対応しずらく、スーパーチャージャーは低回転~中回転を得意としています。

ツインチャージャーの採用

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2種類の過給機のうち、ターボチャージャーは高回転高出力が得意で、スーパーチャージャーは低回転が得意でターボラグがない、という特徴があります。

と、いうことはこの2種類を組み合わせれば低回転から高回転まで対応できるというわけであり、両方の過給機を搭載したツインチャージャーエンジンが登場しました。

あるところツインターボと同じ考え方をもった仕様といえますが、スーパーチャージャーを使う分ツインターボより低回転に強く、なによりターボラグはほとんど無くせます。(ターボがある以上0にはならない)

高回転で効率の悪くなるスーパーチャージャーには動力ON、OFFを切り替えられるクラッチがついており、スーパーチャージャーが不要な場面では切り離すことができます。

これによりエンジンの性能としては理想的なエンジンが完成しますが、問題はやはりその複雑さで、別々の動力で稼働する過給機に対応した2種類の構造を持たせなければなりません。またコストもその分高く、重量も増加します。

ですが近年ではダウンサイジングターボコンセプトの流れで採用は増えており、エンジンの排気量を小さくした上でツインチャージャーを採用するので、コストや重量はそれほど問題となりません。

フォルクスワーゲンや日産などがコンパクトカーで採用していますが、そこまで高額の車にはなっていませんね。

電動過給機

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近年採用が増えつつあるのが電動過給機と呼ばれるもので、簡単に言えば排気ガスやエンジン回転で回していた過給機を電動モーターで稼働させるものです。

構造によって電動ターボチャージャーと呼ばれたり電動スーパーチャージャーと呼ばれたりしますが、基本的な構造や特性は同じです。

エンジンの動力に関係しない電動モーターで過給しますのでターボラグなど発生することはなく、また低回転から高回転まで効率の良い電動モーターですので高出力化にも対応できます。

この特性から近年では大型のスポーツカーに採用される例が増えてきています。

非常にスペックの高い過給機といえるのですがデメリットも大きく、電動ターボチャージャーの稼働にはそれに応じたバッテリー容量と発電機の存在が不可欠です。

ですので現在では電動ターボのみで構成されることはほぼなく、ツインチャージャーのように通常のターボチャージャーと一緒に採用されたり、通常のターボチャージャーの内部にモーターも合体させたハイブリッド型などがあります。

ハイブリッド型では、電動モーターとして使わないときには逆に排気ガスのエネルギーで発電する発電機となるわけで、排気ガスの無駄なエネルギーを電気として回収もできます。

ターボラグ解消システムの採用

ターボチャージャーの改良やほかの過給機を採用することでターボラグはかなり削減されますが、さらにターボラグを削減するためのシステムも生まれました。

ミスファイヤリングシステム


これは主にラリーで磨かれた技術なのですが、アクセルオフで回転数が減ると排気ガスのエネルギーが減ることへの対策システムです。

ポイント

排気ガスのエネルギーとは燃料の燃焼エネルギーのことですので、エンジンの回転数が低いときには燃料が少なくてエネルギーも低いわけです。

そこで生まれたのが「ミスファイアリングシステム」で、燃料をシリンダー内ではなくターボチャージャー直前の排気管内で燃焼させることによって強制的に排気ガスのエネルギーを高めるシステムです。

こうすればエンジンの回転数に関係なくターボチャージャーに安定したガスのエネルギーを送れます。

構造としてはエンジンのシリンダーから排気ガスを排出する直前に混合気に点火し、燃焼中のガスをそのまま排気管に流します。

これはエンジンの燃料が濃すぎる時に起こる失火を故意に起こしており、アフターファイヤーが起こるので「パンパン」といった特徴的な爆発音も発生します。

常にターボチャージャーが高速回転できるので、積極的にターボラグが削減できて低回転から強烈な加速が得られる反面、燃料を無駄に使っているのと同じことなので燃費は悪化します。

また排気管内で爆発が起こるので排気管やターボチャージャーにはかなりの耐久性が求められ、専用部品が必要なのでコストも高いです。

MEMO

このシステムはラリーカーで実現されましたが、当時のラリーでは参戦する車は一定数市販しなければならないという規定(ホモロゲーション)があり、市販車でもシステムが搭載された車があります。

ですが市販状態では排気ガス規制に対応できないので作動しないようになっており、市販車でこのシステムを使うには改造が必要です。

「頭文字D」という漫画でこのシステムが登場したので知っている人も多いのですが、一般では実際に使える車は少なく、また使いこなせる場面などほとんどないと言えるでしょう。

ボルボ:パワーパルスシステム

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こちらはボルボ独自のターボラグ削減システムとなっており、市販車にも採用されている実用性の高いものです。

ポイント

パワーパルスシステムには吸気管に圧縮空気を送れる専用の電動コンプレッサーと、圧縮空気を一時保持しておけるエアータンクが設置されます。

エアータンクから配管がタービン側に接続されており、タービンの回転数が小さい場合にエアータンクから送られた高圧空気をタービンに送り込むことで、立ち上がりを早くします。

ある意味ミスファイアリングシステムと同じような考え方ですが、こちらは燃料の燃焼も必要なく環境性能も高くなります。

電動コンプレッサーを使うという点では電動過給機と似たところもありますが、パワーパルスでの使い方はあくまでも補助だけなのでそこまで大きな電動システムが不要なのも利点です。

エンジン出力が高い時に電動コンプレッサーを稼働させて高圧空気をためておけるので効率もよく、環境性能も考えたボルボの最新システムです。

番外編:ヒールアンドトゥでの回転数維持

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さて自動車開発においてターボラグの削減には類いまれなる熱意がつぎ込まれてきたことが分かって頂けたかと思いますが、ドライバーのほうでもターボラグをなくすための運転技術を産み出しています。

F1で有名なアイルトン・セナや、ラリーの主要なドライバーがこぞって使った運転技術で、「ヒールアンドトゥ」という技術です。

ターボラグの起こる原因はエンジンの回転数が低くなるからで、それを無くすために減速中やコーナーで速度が落ちたときなどにもアクセルを踏んでおいてエンジンの回転数を維持しておけば、再加速に移るときに排気ガスのエネルギーは高いままなわけです。

考え方はシンプルなのですが、それを運転の中、とくに高速で常に状況の変わるレースで実現するのはかなり難しいのです。

ポイント

レーシングカーは3ペダル式のMTが基本ですが、減速時にはクラッチを踏みながらブレーキを踏むので2本の足はどちらもアクセルに乗せることができず、普通は減速時にアクセルを踏みたくても踏めません。

そこで生まれたのがヒールアンドトゥで、その名のとおり右足の爪先(ヒール)でブレーキを踏みながら、かかと(トゥ)で同時にアクセルを踏む技術です。

2本の足で3つのペダルを自在に使う技術ですが、そのコントロールは難しく非常に高度な運転技術と言えます。

レースの世界で話題となったこの技術は一般にも伝わり、サーキットや峠などを走る人が走りに取り入れたりしています。

実際にヒールアンドトゥが使えるようになるには大変な練習が必要で、一般道では事故の危険もあるので、危険のない広い場所で行う必要があります。

MEMO

なおATやCVTなどのオートマでは不可能ですが、スポーツ走行する車はMTが多いのでMTがもてはやされた理由でもあります。

しかし現在ではMT車でもクラッチを自動化した2ペダルMTが広く普及しており、ヒールアンドトゥの必要性はかなり薄くなっています。

レースの世界ではすでに2ペダルMTが主流で、ヒールアンドトゥのような働きをするシステムによってエンジン回転数を維持していますが、市販車では燃費の悪化や騒音の悪化などがあるのでそういったシステムは一般で普及は難しいでしょう。