日本でエコカーといえばハイブリッドカーが人気で、その燃費の良さから今後もエコカーの中心に位置する車種です。
そのハイブリッドカーの発展型の車として「プラグインハイブリッドカー」というものが登場しており、次世代のエコカーになるかもしれません。
今回はプラグインハイブリッドカーについてご説明していきます。
プラグインハイブリッド(PHEV)とは?
ハイブリッドカーは日本が世界に先駆けて実用化した環境対応車で、その定義は2つの動力源を搭載した車という意味です。
ですが一般的なハイブリッドカーはガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせたパワーユニットを指し、電気モーターを積極的に活用することで燃費の向上を図ります。
ハイブリッドカーの構造や特徴については以下の記事で詳しくご説明しますが、今回ご説明するプラグインハイブリッド、通称「PHEV」は、既存のハイブリッドカー以上の低燃費を実現する技術です。
ハイブリッド車の仕組み/構造を簡単にわかりやすく解説!言葉の意味が重要?!その最大の特徴は、電気モーターのみで走るEVモードでの航続距離が長くなったことにあり、電気自動車のような使い方ができることで燃費を大幅に改善できることです。
そんなプラグインハイブリッドの構造をご説明しましょう。
プラグインハイブリッド(PHEV)の特徴
プラグインハイブリッドとこれまでのハイブリッドシステムは基本的には同じなのですが、プラグインハイブリッドの最大の変更点としては駆動用バッテリーが大型になったことと、充電機能が追加されたことです。
この充電機能が「プラグイン」という名前のもととなっており、コンセントのようなプラグを車に指すことで駆動用バッテリーを直接充電することが可能となります。
PHEV/PHVの充電方法!料金は無料?充電時間や場所/スポットの詳細も解説!ハイブリッドカーが既存のガソリンエンジン車よりも燃費が良いのは、一定の運転領域でガソリンエンジンを停止してその間を電気モーターで走行することで、燃料であるガソリンが節約できるためです。
このモーター走行を一般的に「EV走行領域」と呼びますが、この領域が広いほど燃料節約ができるため車の燃費が良くなります。
ですがこれまでのハイブリッドカーではEV走行領域はわずか数km走行できるほどしかなく、それ以降はエンジンとモーターの併用で走行しています。
既存のハイブリッドシステムでは主に回生ブレーキで発電した電気を駆動用バッテリーに充電し、それをEV走行時に消費しています。
回生ブレーキは車の減速時にタイヤからの反力でモーターを逆回転することで発電を行っており、その発電量はそこまで多くはありません。
そこでプラグインハイブリッドでは駆動用バッテリーを外部から直接充電することでEV走行領域を大幅に伸ばすことを目的としており、駆動用バッテリーの容量も大幅に増加しています。
この変更によってプラグインハイブリッドカーはEV走行領域を一気に50km〜70km程度まで増加させており、短い距離なら充電した電気だけで走行することも可能となっています。
プラグインハイブリッドの構造
プラグインハイブリッド(PHEV)のシステム構成は基本的に普通のハイブリッド(HEV)と大差はありませんが、そのシステム電圧やバッテリー容量には大きな違いがあります。
次の表に簡単に違いをまとめましたが、主な違いはシステム電圧とバッテリー容量の差、および充電機能の有無です。
ハイブリッドシステム構成 | プラグインハイブリッド | フルハイブリッド | |
システム電圧 | ハイブリッドシステム | 交流300V程度 | 交流200V以上 |
その他電装品 | 12V | 12V | |
主要構成部品 | モーター | 交流モーター | 交流モーター |
ハイブリッドバッテリー | バッテリー容量:参考プリウスPHEV 8.8kWh | バッテリー容量:参考プリウス1.3kWh | |
インバーター | PHEV用インバーター | HEV用インバーター | |
DC-DCコンバーター | 必要 | 必要 | |
充電機能 | 必要 | 不要 |
これらの違いについてもう少し詳しくご説明しましょう。
PHEVのバッテリー容量
ここでいうバッテリー容量とは簡単にいえば駆動用バッテリーの大きさを示しますが、容量が大きいほど一度に貯められる電力量が多くなるので、その分EV走行領域を伸ばすことができます。
今回はハイブリッドカーの定番であるプリウスと、その派生車種であるプリウスPHEVを例に上げてみますが、プリウスの駆動バッテリーが1.3kWhのバッテリー容量であるのに対し、PHEVは8.8kWhと約6倍もの開きがあります。
プリウスの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!プリウスPHVの辛口レビュー/評価!欠点/短所と魅力/長所をすべて暴露!この差はそのままEV走行で走れる距離に直結しており、メーカーのトヨタが公表しているPHEVのEV領域の航続距離は68.2kmとなっています。
これまでのHEVが数kmほどの航続距離しかなかったことを考えると、大幅に増加しています。
このEV走行時にはガソリンエンジンは停止しているので燃料消費はまったくなく、バッテリー容量が大きければ大きいほど車の燃費を大幅に向上させることに繋がります。
うまくEV走行だけを続ければ、純粋な電気自動車としての運用も可能となります。
充電機能の追加
PHEVのシステム構成上でHEVから追加されたものといえば、外部からの充電機能です。PHEVの大容量バッテリーは車の回生ブレーキでの発電では十分な電力を確保することができませんので、基本的には外部からの充電が必要です。
純粋な電気自動車でもそうですが、家庭用のコンセントや専用の急速充電ポートなどから駆動用バッテリーに充電するので、PHEVには必ず専用の充電システムが必要となります。
HEVには外部から充電するポートは不要で燃料給油口ぐらいしかないのですが、PHEVではそれに加えて充電ポートが車の何処かに設置されます。
駆動用バッテリーへの充電が十分であるならPHEVは比較的長い距離をEVモードで走行することができるので、この充電行程がPHEVの重要な肝となります。
PHEVには必須の充電行程
PHEVの充電行程は基本的には電気自動車と全く同じ設備で可能となっており、家庭用電源でも十分可能です。
PHEVの充電には主に3つの方法があり、家庭用電源の電圧や、急速充電設備の有無で駆動用バッテリーの満充電までの時間が変わります。トヨタ プリウスPHEVの場合には次のとおりとなっています。
充電方法 | 満充電までの所要時間 |
家庭用電源(100V/6A) | 約14時間 |
家庭用電源(200V/16A) | 約2時間20分 |
急速充電 | 約20分で80%まで充電可能 |
家庭用電源として最も一般的な100Vの場合は、満充電まで半日以上という長い時間が必要ですが、設備的には家庭用のコンセントがあるだけで十分で、どんな家庭でも設備投資なしで充電が可能です。
もっと充電時間を短くしたいのであれば200Vのコンセントを設置するとよく、これであれば一晩あれば十分充電できる時間になります。200Vのコンセントは多少の設置費用はかかりますが、状況が良ければ数万円程度で済みます。
最も短い時間で充電できるのは急速充電設備で、80%までという制限はありますがわずか20分で充電できるという高速さです。
自動車ディーラーや高速道路のSAなどでも急速充電設備が増えてきているのですが、家庭で設置するのには高価です。
メーカーにもよりますが1基1,000,000円以上するのが一般的であり、家庭用として導入するのは無理があるでしょう。
基本的にPHEVを購入する場合は100Vの家庭用電源で十分ですが、頻繁に車を使う場合には200Vを設置することでPHEVの環境性能を最大限活かせるでしょう。
もしPHEVを買おうと考えているならあわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくと、充電設備の導入の負担も軽くなりますよ。
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プラグインハイブリッド車はその走行音も独特で、普通のハイブリッドカーとも違います。
というのもちょっとした街乗り程度であればEVモードのみで走行できるため、エンジンがかからず電気自動車と同じ走行音となるためです。
次の動画ではプリウスPHEVの走行音をまとめてあり、EVモードとHEVモードそれぞれの走行音が聞き分けられます。
この動画でもわかるようにEVモードの時の走行音は非常に静かで、モーターやインバーターが発する高周波音が聞こえるだけです。
住宅地などでハイブリッドカーが後ろから接近した時に、あまりの静かさに車が来ていることすらわからない程度の走行音です。
ここからエンジンとモーターを併用するHEVモードに切り替わると、エンジンが発する低い唸り音が入り、馴染みのある車の音となります。
プリウスなどのHEVは基本的にはこの走行音で走っている状況が多いのですが、PHEVの場合には普段使いではEVモードのほうが多いかもしれません。
なおプリウスの静粛性については以下の記事で取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
新型プリウス(50系後期)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!プラグインハイブリッド(PHEV)とその他の仕組みの違い
プラグインハイブリッドという車は登場してからまだそこまで経っておらず、一般への浸透はまだまだ弱いカテゴリーです。
そのため他の形式のエコカーと違いがわからないという人のために、簡単に名称や構造の違いをご説明します。
PHEVとPHVとの違い
プラグインハイブリッドは「PHEV」と略されることが多いのですが、市場では「PHV」という名称の車も見かけます。
ですがこれらは実はどちらもプラグインハイブリッドを表しており、構造などで違いがあるわけではありません。
PHEVは「Plug-in Hybrid Electric Vehicle」の略ですが、PHVは「Plug-in Hybrid Vehicle」の略となっています。名称の上では電気自動車を表すElectricがあるか無いかという違いに見えますが、PHVもEVモードでの走行は可能なのです。
今後プラグインハイブリッドが一般的になっていけば名称が統一される可能性はありますが、現在はまだ混在したままなのです。
PHEVとEVの違い
プラグインハイブリッドはハイブリッドカーの一種ですが、近い名前であるEVは「電気自動車(Electric Vehicle)」の略であり、エンジンが搭載されない完全なモーター駆動の車のことを指します。
プラグインハイブリッドでモーター走行をEVモードと呼んでいるのもここからであり、電気自動車と同じ走行という意味です。
電気自動車はハイブリッドカーより大容量の駆動用バッテリーを持ち、完全に電気エネルギーだけで走行する車です。
走行にガソリンを使わないので究極のエコカーといわれている車種で、環境対応車のハイブリッドカーやプラグインハイブリッドの行き着く先はEVとなります。
ですが現在の技術ではまだ大容量のバッテリー製造にかかるコストが大きく、EVでガソリン車やハイブリッドカー並の航続距離をもたせようとすると車の値段が大きく上がってしまうデメリットがあります。
プラグインハイブリッドはそんなデメリットを改善するために生まれたといってもよく、ハイブリッドカーとEVの中間的な存在です。
現在の自動車市場ではまだPHEVもEVも発売されている台数が少なく珍しいのですが、今後はこれらのカテゴリーはどんどん増えていくでしょう。
なおハイブリッドカーについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッドカーとは?メリット6つとデメリット/問題点11つ特徴をわかりやすく解説!プラグインハイブリッド(PHEV)のメリット・デメリット
プラグインハイブリッドにはハイブリッドカーからさらにいくつかのメリットが生まれていますが、一方でデメリットもあり、それが普及にはネックとなっています。
プラグインハイブリッドのメリット
プラグインハイブリッドのメリットはHEVとEVの中間という特徴からきており、次のようなものがあります。
車自体の燃費向上
プラグインハイブリッドの最大のメリットといえるのは何より燃費の向上にあり、HEV以上に燃費を伸ばすために作られました。
HEVは日本のトヨタ自動車が圧倒的なシェアを持っており、燃費についてもプリウスやアクアなどの車種で世界トップクラスの40km/Lまで燃費は向上しています。
プリウスの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!アクアの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!ですがこれ以上の大幅な改善は難しく、さらなる燃費の強化に向けてプラグインハイブリッドが登場しました。
プラグインハイブリッドはEV走行モードで走っている限りは燃料消費がありませんので、充電だけで走れば燃費は実質考えなくてもよくなります。
通常のガソリン車やHEVは車のスペックにカタログ燃費というものが記載されていて、車の燃費を比較するときの基準となります。
ですがプラグインハイブリッドの場合はカタログ燃費での記載が難しく、EV走行領域が多いためにカタログ燃費だけでは燃費の良さが表せません。
そのためトヨタ プリウスPHEVを例に取ると、「HEV時のカタログ燃費37.2km/L、EVモードの航続距離68.2km」というように記載されます。
プラグインハイブリッド車が実際にどのぐらいの燃費の値となるかはドライバーによってまちまちで、うまくEVモードのみで走ればほとんど燃料消費がなくても車が走らせられます。
確実にハイブリッドカーよりも燃費は向上しますので、できるだけEVモードを活用することが肝となります。
なおPHEVの燃費については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
PHEV/PHVの燃費/実燃費は悪い?電気代も含めて計算して比較!充電が切れても走行可能
もう一つのメリットは電気自動車で問題となる充電切れがクリアできるという点にあり、いざとなればガソリンエンジンで走行が可能なので航続距離が大幅に伸ばせます。
電気自動車の欠点はなんといっても航続距離にあり、長距離運転する際には充電が切れないように気をつけながら走行し、時には途中に充電するなどの方策が必要になります。
ですが充電設備はガソリンスタンドほど普及していないので場所が限られますし、充電時間も長くちょこちょこ休憩しながらでなければ長距離走行ができません。
しかしプラグインハイブリッドカーであれば、万が一充電が切れたとしてもガソリンエンジンというバックアップがあるので、長距離走行でも心配することがなくなります。
またガソリンが減っても豊富にあるガソリンスタンドで補充が簡単にできるので、普通のガソリン車やハイブリッドカーと扱う感覚がほとんど変わりません。
電気自動車は現時点ではどうしても心配しながら運転しなければなりませんが、プラグインハイブリッドであれば安心して運転できるという点がメリットです。
プラグインハイブリッドのデメリット
プラグインハイブリッドが持つメリットはこれまでのエコカーを超える素晴らしさを持っているのですが、一方でその複雑さからくるデメリットもあります。
さらなるコスト増加
そもそもハイブリッドカーという車はガソリン車に比べると構造が複雑で、コスト増加や重量増加が多くなるのですが、プラグインハイブリッドカーはさらに構造が複雑です。
ハイブリッドカーは同クラスのガソリン車より数十万円近く高額になるのがあたりまえで、これは電動モーターや駆動バッテリーなどのハイブリッドシステムの追加によるコスト増加分です。
ハイブリッドカーの燃費は確かにガソリン車よりも良くなるものの、そこで浮いた燃料代分で車の価格差を埋めようとすると100,000km以上の走行距離が必要になっています。
ですがプラグインハイブリッドカーの場合はガソリン車に比べると百万円単位で価格が上昇してしまっており、ハイブリッドカーと比べてもその価格差は非常に大きなものとなります。
このコスト増加原因は駆動バッテリーの大型化と充電機能の追加にあり、プラグインハイブリッドの中核であるEV走行領域の増加には欠かせないものとなっています。
EVモードを駆使すれば燃料代を大幅に節約できるプラグインハイブリッドカーですが、価格がいくら高額でも内装や車格などの点ではもっとランクが低い車と同程度となっており、値段に見合った満足度が得られるかどうかは微妙なところです。
同じ値段を出すならもっと上級の高級車にも手が届きますし、いくら燃料代が節約できるからといっても価格差を埋めるほど節約するためには長時間がかかります。
このコスト増加が大幅にあるために、プラグインハイブリッドカーはまだ普及するほどには至っていません。
充電設備の設置ができない場合
これは前述でもご説明しましたが、プラグインハイブリッドカーを満足に使うためには最低限200V電源の設置が必要で、住宅環境によっては難しい場合も発生してきます。
個人所有の一軒家などでは、費用はかかるものの工事自体は難しいものではなく、車の駐車場付近に200Vのコンセントを設置すれば工事は完了します。
ですが問題となるのは借家の場合であり、とくにマンションやアパートなどの集合住宅では簡単に設置するというわけには行きません。
大家さんの許可が貰えれば工事が可能な場合はあるでしょうが、自分の持ち家でもありませんし、他の住人との兼ね合いもあるのでなかなか難しいのです。
また集合住宅住宅の場合は駐車場がない場合も多く、その際は近隣の別の駐車場を使わなければならないので、充電設備の設置はもっと難しくなります。
都内などでは電気自動車やプラグインハイブリッドカー用の設備を持った駐車場も登場してはいますが、以前なにもない場所のほうが圧倒的に多いので、こういった状況ではプラグインハイブリッドカーは宝の持ち腐れとなってしまうでしょう。
電気自動車も同様の問題を抱えていますが、プラグインハイブリッドカーには駐車場の設備というものが非常に重要なのです。
なお充電設備については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
PHEV/PHVの充電設備の設置ガイド!自宅工事費用から補助金まで全て解説!電気代が発生する
プラグインハイブリッドカーはEVモードで燃料を節約できるのが特徴ですが、EVモード時に使用する電力だって無料というわけではなく、燃料代が節約できた分は家庭の電気代が上昇することになります。
基本的に車のガソリンエンジンで発電する場合より、大型の発電所などで発電する場合のほうが効率はよく、もし火力発電所で作られた電気であるにしても燃料消費量という観点ではメリットはあります。
しかしそれでも電気代がどれぐらい上がるかは充電回数や走行距離、または各自治体の電気代の基本料金などで変動するので、安く上がるところもあれば結構高額となる場合もあるでしょう。
さらに200Vを設置すると基本料金も上がりますので、あまり運転しない家だったりすると基本料金だけが上がってうれしくない場合も出てきます。
それでもガソリンを購入するよりは節約できるでしょうが、決してプラグインハイブリッドがメリットだけではないということは考えておきましょう。
製造時のCO2量の多さ
ハイブリッドカーや電気自動車のメリットとしてよく上げられるのは、化石燃料の消費が少なくなるので発生するCO2が少なくなるというものです。
ですが車の場合、その製造時には機械の運用や製造に使用する電気などでもCO2が発生しており、一般的に複雑で大きな車ほどその割合は増加します。
純粋な電気自動車はバッテリーやモーターはあるものの、車全体としてみればエンジンがないぶんだけシンプルな構造となっており、製造時のCO2排出量として考えるとガソリンエンジン車と大差はないでしょう。
しかしハイブリッドカーはエンジンとハイブリッドシステムの両方を搭載しなければならないので、非常に構造は複雑で部品点数も多く、ガソリンエンジンよりも製造時のCO2は大幅に増加してしまうことが知られています。
さらにプラグインハイブリッドとなると駆動バッテリーも大きくしなければなりませんし、充電機能の追加も必要なので、ハイブリッドカーより更に複雑な車です。
いくら燃料消費が少なくて環境によいといっても、車トータルで見ると必ずしも環境を考慮しているとは言えないのが、プラグインハイブリッドの見えにくいデメリットでしょう。
プラグインハイブリッド(PHEV)の評価・口コミ
プラグインハイブリッドは日本でもまだめずらしい車ではありますが、次第に台数は増えてきておりTwitterなどでも評価が広がっています。今回はその中から3件ほどご紹介します。
PHEVで実現する圧倒的な燃費
【e燃費】アウトランダーPHEV 164.51km/L JC08燃費達成率884.46% #enenpi
1,780km走って10.82ℓしか入らなかった😅
最近はEV走行率がかなり高いからこんな燃費だけど、年末年始の帰省とかで燃費悪化は免れないだろうなあ😂 pic.twitter.com/DuASAXTBz7— らんだー (@lander_tw) December 9, 2018
この方はPHEVのEVモードを積極的に活用した使い方をされている方で、燃費の記録も漬けておられるので、PHEVという車の燃費がどこまで良くなるかを示す良い例です。
この方の場合1,780kmほど走行してもガソリン消費量がわずか10Lしかなく、真面目に燃費を計算すれば178km/Lとなります。
もちろんこの間電気代はかかっている計算にはなりますが、PHEVの有効な使い方といえるでしょう。
PHEVは電源としても有用
アウトランダーPHEVは燃費も良いし、災害時の電源にもなって良いですよね。
私はマンションなので充電も電源の利用もできないので、ガソリンをボーボー燃やして走る車になります。なんかごめんなさい。
— かこうとん2bro (@kakouton2bro) December 23, 2018
PHEVの持つ大容量バッテリーはハイブリッドカーでは不可能だった電力の使い方を実現しており、家電製品なども十分に動かせるほどの電源にもなります。
キャンプや災害時などの非常電源としての使い方がPHEVでは可能で、これまでの車では特別な装備がなければ不可能だったものです。
もっと大容量のバッテリーがある電気自動車の場合も同じ使い方はできますが、電気自動車では航続距離を気にしなければならないので、そこまで大胆な使い方も難しいです。
その点PHEVならばガソリンさえあれば走行不能になることがないので安心です。
PHEVの普及にはハードルが
条件さえ整えばPHEVは主婦の電動アシストみたいな感じで爆発的に普及すると思いますねぇ。1日50km以内の移動って人は相当多いんじゃないかな。PHEVは実質一軒家持ってる人じゃないと乗れないからハードル高いですもんね。
— moyashi (@hitoriblog) December 27, 2018
プラグインハイブリッドカーは性能やEVモードとしての使い勝手は非常に良いのですが、前述のデメリットでも上げた充電設備の設置がなにより普及のハードルとなっているようです。
現実的にはやはり一軒家でなくてはPHEVを満足に利用することはできず、マンションやアパートの増加する日本ではまだまだ現実が付いてきてきません。
今後せめて100V電源などを完備した駐車場が増えればPHEVの普及につながるのですが、自動車メーカー以外の努力が必要なので大きなネックとなっています。
もしPHEVを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!プラグインハイブリッド(PHEV)搭載車
プラグインハイブリッド車はここ数年で一気に種類が増加してきており、日本、欧州、米国のいくつかのメーカーから登場しています。
その中から代表的なプラグインハイブリッドカーを3車種ご紹介しましょう。
トヨタ プリウスPHV
まずプラグインハイブリッドカーの中で最も代表的な車種として挙げられるのが、ハイブリ最大手のトヨタが手がけるプリウスPHVです。
プリウスはいわずと知れた世界最初の量産型ハイブリッドカーで、1999年の登場以来トヨタの看板車種としての地位を築いてきました。
そのプリウスには3代目からPHEVが追加されましたが、現行車は更に改良されて4代目プリウスベースとなったプリウスPHVです。
スペック | プリウスPHV | プリウスHEV |
エンジン | 2ZR-FXE型:1,797cc 直列4気筒DOHC | 2ZR-FXE型:1,797cc 直列4気筒DOHC |
モーター | 1NM型:交流同期電動機 1SM型:交流同期電動機(ジェネレーター兼用) | フロント:1NM型:交流同期電動機 リヤ:1MM型(E-Fourのみ)交流同期電動機 |
最高出力 | 72kW (98PS)/5,200rpm モーター(1NM型):53kW (72PS) モーター(1SM型):23kW (31PS) | 72kW (98PS)/5,200rpm フロントモーター:53kW (72PS) リヤモーター(E-Fourのみ):5.3kW (7.2PS) システム最高出力:90kW (122PS) |
最大トルク | エンジン:142N・m (14.5kgf・m)/3,600rpm モーター(1NM型):163N・m(16.6kgf・m) モーター(1SM型):40N・m(4.1kgf・m) | エンジン:142N・m (14.5kgf・m)/3,600rpm フロントモーター:163N・m(16.6kgf・m) リヤモーター(E-Fourのみ):55N・m(5.6kgf・m) |
カタログ燃費 | 37.2km/L(ハイブリッドモード) EV航続距離:68.2km/L | 34.0km/L〜39.0km/L |
価格 | 3,325,320円〜3,829,680円 | 2,519,000円〜3,284,000円 |
※直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!プリウスPHVは日本で購入できるPHEVの最もオーソドックスな車種であるとともに、ハイブリッドカーをラインナップの中心に据えるトヨタの最新エコカーです。
基本はプリウスをベースとして車のサイズや内装などは共通として、PHEV専用のシステムと専用のフロント、リアデザインをまとっています。
搭載されるハイブリッドカー用のエンジンはプリウスと一緒ですが、モーター、とくにジェネレーター兼用のモーターが強化される形で搭載されており、PHEVの走行性能を確保しています。また最大トルクはほとんど変わりはありません。
ハイブリッドカーとしての燃費はプリウスのほうが最大値は多いですが、これはもっとも軽量なグレードのものであり、プリウスの基本はPHVと同じく37.2km/Lです。
ただ価格面を比較してみると、1.5Lクラスの車としてはプリウスの時点でも高価な部類になりますが、PHVはそこから600,000円〜800,000円も値段が増加しており、トヨタとしては上級セダンに手が届く価格になってしまっています。
なおプリウスPHVについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
トヨタプリウスPHVの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!【画像/写真】プリウスPHVの内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!三菱 アウトランダーPHEV
アウトランダーは三菱の中型クロスオーバーSUVですが、トヨタの次に国産車でPHEVを発売したのは予想に反して三菱自動車でした。
三菱自動車は電気自動車技術に長けており、そちらからのフィードバックを織り込むことでアウトランダーをPHEV化しました。
車のサイズが大きいことで駆動用バッテリーの搭載スペースに余裕があり、またSUVがアウトドアで活用されることを見越してのものです。
アウトランダーにはPHEVに加えて、2.0Lおよび2.4Lのガソリンエンジンモデルがあります。初期型では2.0LエンジンベースでPHEVが構成されていましたが、現在は2.4Lエンジンベースとなり性能に余裕が出ています。
スペック | アウトランダーPHEV | アウトランダー20M |
エンジン | 4B12 MIVEC型:2,359cc 直列4気筒DOHC | 4B12 MIVEC型:2,359cc 直列4気筒DOHC |
モーター | 永久磁石式同期モーター(フロント×1、リア×1) | なし |
最高出力 | エンジン:87kW (118PS)/4,500rpm モーター(前):60kW (82PS) モーター(後):60kW (82PS) | エンジン:124kW(169PS)/6,000rpm |
最大トルク | エンジン:186N・m (19.50kgf・m)/4,500rpm モーター(前):137N・m(14.0kgf・m) モーター(後):195N・m(19.9kgf・m) | エンジン:220N・m (22.4kgf・m)/4,200rpm |
カタログ燃費 | 18.6km/L(ハイブリッドモード) EV航続距離:65.0km/L | 14.6mkm/L |
価格 | 3,939,840円~5,090,040円 | 2,940,840円〜3,356,100円 |
※MIVECエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
MIVECエンジンとは?サウンドが特徴的?VTECの仕組みとの違いまで解説!アウトランダーはSUVで4WDの要求が大きいため、アウトランダーPHEVも4WDとなっています。
フロントとリアに一つずつ駆動用モーターを持っており、床下に配した大容量バッテリーから電力を供給しています。
トヨタとはハイブリッドシステムが少し違い、発電用モーターや駆動用モーターの一や大きさなどに差があります。
スペック面ではSUVらしくトルクの高さが際立っており、モーターのみの走行でも十分な走行性能を発揮します。
EVモードでの航続距離は65kmと十分な距離を確保できており、普段使いで十分な航続距離といえるでしょう。
重量がある車なのでハイブリッドモード時の燃費はプリウスほどではありませんが、同排気量のガソリンエンジンと比較してみれば良くなっているのはわかります。
ですがアウトランダーPHEVも価格の面ではガソリン車と大きな開きがあり、同クラスの車で1,000,000円近い価格差があるのが購入検討時の大きなハードルです。
なおアウトランダーについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アウトランダーは雪道に弱い?雪道走行の性能について分析してみました!三菱アウトランダーがキャンプに最適な理由4つホンダ クラリティPHEV
クラリティPHEVはホンダの最新型プラグインハイブリッドカーで、日本に導入されたのが2018年という非常に新しい車です。
もともとクラリティという車名はホンダが開発を進めていたFCV(Fuel Cell Vehicle):燃料電池車の車名でしたが、現在ではクラリティシリーズとしてPHEVの車名にもなりました。
スペック | クラリティPHEV |
エンジン | LEB型:1,496cc 直列4気筒DOHC |
モーター | 駆動用モーター:フロント×1 |
最高出力 | エンジン:77kW (105PS)/5,500rpm モーター:135kW (184PS)/5,000rpm〜6,000rpm |
最大トルク | エンジン:134N・m (13.70kgf・m)/5,000rpm モーター:315N・m (32.10kgf・m)/0rpm〜2,000rpm |
カタログ燃費 | 28.0km/L(ハイブリッドモード) EV航続距離:114.6km/L |
価格 | 5,880,600円 |
クラリティPHEVはセダンタイプの中型車ですが、PHEV専用車として設計されただけあってその走行性能は他メーカーの車を凌駕しています。
特に駆動用モーターの出力やトルクが高く、エンジンよりも高い性能が出せるあたりはかなりEV寄りの車になっています。
駆動用バッテリーの容量も大きいので、EV航続距離は114kmまで伸びており、ほとんどエンジン付き電気自動車という感じの位置づけですね。
ハイブリッドモードでも28.0km/Lという良好な燃費であり、クラリティPHEVでは稼動する領域は少ないかも知れませんがエンジン走行でも低燃費です。
その一方で価格が6,000,000円前後と非常に高額なのがこの車のネックであり、ベース車両がないために開発費が価格に大きく反映されてしまっています。
この価格帯では輸入車の高級車にも手が届くほどなので、クラリティPHEVの売れ行きは良くないようです。
プラグインハイブリッド(PHEV)の今後
今後世界の自動車技術はさらなる環境性能を求めていることは間違いなく、その到達点の一つはエンジンのないEV(電気自動車)であることは疑いようがありません。
EVのバッテリー容量や価格などは年々改善されていっており、今後EVの車両価格はどんどん下がり航続距離も伸びていくでしょう。
ですがそこに到達するにはまだ10年以上はかかるとみられており、その間を繋ぐのは間違いなくPHEVとなるでしょう。
その証拠にPHEVは世界のメーカーが続々と豆乳を発表しており、2020年ごろにはかなりの数のPHEVが登場する見込みです。
当分の間はエコカーはハイブリッドカーとプラグインハイブリッドカーが両立する時期が続き、その間に電気自動車が成熟していくと見られています。
なおプラグインハイブリッドについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プラグインハイブリッド(PHEV)の車種一覧とおすすめ!2019年今後の予定の車種も紹介!PHEV/PHVのSUVの全車種まとめ!価格から特徴まで解説!