日本における大型トラックにはさまざまなカスタムがありますが、その中に音に特徴をもたせる「マニ割り」というカスタムがあります。
今回はそんなマニ割りのサウンドについてご説明します。
マニ割りのサウンドの特徴
マニ割りとは主に商用の大型トラックで行われるカスタムで、エンジンのエキゾーストマニホールドを一部分割することでエンジンサウンドを変化させるものです。
仕組みについては後ほどご説明しますが、まずはマニ割りを行うとどんなエンジンサウンドになるかを見ていただきましょう。
※マニ割り自体については以下の記事で詳しく解説しています。ご存知でない方はまずはこちらからご参照ください。
トラックのマニ割りとは?車検は対応してる?ターボでもできる?基本を解説!マニ割りを行ったトラックのサウンド
この動画にはさまざまなカスタムトラック、通称「デコトラ」が走っていますが、どのトラックも特徴的なエンジンサウンドであるのがわかります。
通称「叩き音」と呼ばれるドコドコドコドコという低い振動音や、「鳴き音」と呼ばれるヒュルルルルルという感じの高い音があります。
この2つのサウンドがマニ割りのカスタムの特徴的なサウンドとなっていますが、動画にもあるように音の特徴はトラックごとに違っており、この違いはカスタムの度合いやパーツの組み合わせで変わります。
デコトラはその見た目も重要ですが、この独特なエンジンサウンドをどのような音にするのかも注目される点です。
なおこの非常に特徴的なマニ割りサウンドですが、実はベースとなったと言われているエンジンサウンドがあります。
V8エンジンサウンドへの憧れ
マニ割りのエンジンサウンドを、あのようなサウンドにしたことについての起源については諸説ありますが、どうやらV8エンジンを搭載した大型トラックのエンジンサウンドに近づけようとしたもののようです。
以下の動画はさまざまなアメリカで走っている大型トラックやトレーラーヘッドの走行シーンですが、これらのトラックには大排気量のV8エンジンが搭載されています。
まずはそのエンジンサウンドをお聞きください。
大型トラックのV8エンジンにもドコドコドコドコという振動音とヒュルルルルルという鳴り音がありますが、これはV8エンジンがもともと持っているエンジンサウンドであり、マニ割りをしたからではありません。
V8エンジンはシリンダーがV型に配置された8気筒エンジンですが、このエンジンは非常に独特なサウンドを持つことでも有名です。
詳しくは以下のV8エンジンの記事でご紹介していますが、特徴的な低い振動音はアメリカの車好きやトラックマニアなどの間でも特に好まれるものです。
V8エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!アメリカの大型トラックはその広大な国土を走り抜けるためにV8エンジンが必要ですが、一方で日本ではそこまで大きなエンジンはあまり必要ではなく、直列4気筒エンジンや直列6気筒エンジンなどが一般的です。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!直列6気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!エンジンサウンドはV8エンジンに比べると穏やかで特徴が少ないのですが、トラック乗りの間ではV8エンジンへの憧れなどもあり、エンジンサウンドをなんとかV8エンジンに近づけようとしたのが、マニ割りが始まった起源のようです。
マニ割りのサウンドの仕組み
マニ割りの特徴的なサウンドはエキゾーストマニホールドとマフラーなどの改造によって生まれており、その改造方法や使用する部品によっても音が変わります。
マニ割りの改造方法としてはエキゾーストマニホールドの1気筒分を切断し、そこに新たな排気管を取り付ける形で行います。
その排気管には消音器であるセカンドマフラーや、排気ガス規制対策用の触媒などを取り付けます。
また切断しなかったほうの排気管は基本的には改造前のままですが、エンジンサウンドのチューニングのために部品の交換や取り外しなども行います。
また排気管の径や長さなどでもサウンドは変化しますので結構微妙な要素が関わってきます。
マニ割りの改造作業はある程度の部品はあるものの、基本的にはハンドメイドによる現物合わせで改造します。
そのため同じようなカスタムを行ったとしても1台1台エンジンサウンドには違いがあり、どんなエンジンサウンドになるかはカスタムが終了したあとに初めてわかるものです。
マニ割りのサウンド造りは専門のカスタムショップの腕次第というところはあり、腕の良いショップは業界では名前が知れ渡っているようです。
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マニ割りの叩きの音を出す方法
マニ割りの特徴的なサウンドを出す方法は経験則のような面が大きいですが、ある程度カスタムの傾向があります。
まず叩き音と呼ばれる特徴的なサウンドの出し方ですが、この音が主に発生するのは1気筒分割した側の排気管になります。
こちら側の排気管に設置するマフラーを排気管のテールパイプから遠くに置くと叩き音が出やすくなります。
また通称「タイコ」と呼ばれるマフラーの容積や数によっても叩き音は変化しますので、このあたりはカスタムしてみないと変化がわかりにくい点です。
加えてエンジンの排気量によっても違いが出ますが、小排気量のエンジンでは叩き音は出にくく、大排気量で回転数の低いエンジンのほうが叩き音は大きくなります。
叩き音が出やすい、もしくは少なくするチューニングの塩梅は素人ではなかなか難しいものがあり、やはりノウハウのあるカスタムショップにお願いするのが最も確実です。
マニ割りの鳴きの音を出す方法
もうひとつの特徴的な音である鳴き音については、エキゾーストマニホールドを分割しない多気筒側の排気管から生まれます。
鳴き音はおもにアクセルオフしてエンジンブレーキがかかった際に発生するのですが、鳴きの音を重視するためには多気筒側の排気管につけるタイコが重要です。
タイコの大きさと位置によって鳴き音も微妙に変わってきますので、こちらも基本的には取り付けてみてサウンドの変化を見なくては効果がわかりません。
またマフラーエンドと呼ばれる部分でも変化が起こります。
こちらも個人でやるにはなかなか試行錯誤を要するものですので、経験のあるカスタムショップにお願いするのがベストでしょう。
エンジンサウンドの微妙な変化を楽しむマニ割りですので、微妙なチューニングは専門家におまかせしたほうがよいです。
なおエンジンサウンドについては以下の記事でも取り上げています。興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ターボエンジン音の特徴!「プシュー」「キーン」音の正体とは?ボクサーサウンドとは?特徴はうるさい?復活の可能性もあり?!