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スカイアクティブXとは?搭載車は?いつから発売されるかまで解説!

最近自動車業界を賑わせた話題のひとつにマツダの開発中の新型エンジンの話題があります。

スカイアクティブX(SKYACTIV-X)と呼ばれるこのエンジンは世界の名だたるメーカーが開発に難航している仕組みを持つもので、世界に先駆けてマツダが量産化にこぎつけたエンジンです。

今回はそんなスカイアクティブXエンジンについてご説明しましょう。

スカイアクティブXとは

スカイアクティブXエンジン

スカイアクティブテクノロジーはマツダの次世代の自動車技術の総称を表す名称で、エンジンだけでなく車両設計やトランスミッション、制御関係などを統合的に開発するプロジェクトです。

これまでエンジンについてもSKYACTIV-G(ガソリン)やSKYACTIV-D (ディーゼル)といったエンジンシリーズが生まれており、これらも他のメーカーにないユニークな技術でマツダを代表するエンジン技術を体現したものでした。

スカイアクティブX(SKYACTIV-X)はGやDに続く第三のエンジンで、これまでのガソリンエンジンやディーゼルエンジンとは違った構造を持つ画期的なエンジンです。

それまでのガソリンエンジンと比較して燃費で20%~30%向上、発生トルクも10%~30%向上するとされており、内燃機関の非常に大きなブレークスルーとなる技術です。

量産車への搭載は2019年とマツダからアナウンスされており、その登場が非常に期待されています。

まずはそんなスカイアクティブXの何が核心的なのか、構造などからその辺りをご説明しましょう。

HCCIエンジンとは?

スカイアクティブXはHCCIHomogeneous-Charge Compression Ignition:予混合圧縮着火)という構造を持つエンジンで、ガソリンエンジンでありながらディーゼルエンジンの点火機構を持つというこれまでのエンジンとは全く違う構造のエンジンです。

自動車用のエンジンは長らくガソリンエンジンとディーゼルエンジンが使われており、その基本構造は19世紀末に開発された頃から変わっていません。

ガソリンエンジンはガソリンを燃料に火花着火で点火する構造、ディーゼルエンジンは軽油を燃料に圧縮時の自己着火によって点火するという違いがあります。

HCCIエンジンはこの2つの特徴をミックスしたエンジンであり、実は研究開発自体は世界中で20年以上前から行われているエンジンです。

HCCIではガソリンを燃料としながら圧縮での自己着火で点火するエンジンなのですが、ここで問題となるのはガソリンの自己着火が非常に制御が難しい点にあります。

普通のガソリンエンジンには「ノッキング」という異常燃焼の課題が昔からあり、エンジンの圧縮比をあげすぎるとガソリンが予期せぬタイミングで点火してしまい、エンジンの稼働を妨げてしまいます。

エンジン部品への影響も大きく、最悪の場合はピストンやコンロッドといったエンジン部品の破損にも繋がる重大なものです。

HCCIエンジンというのはこのノッキングの現象を完全にコントロールすることを目指しているのですが、この制御がなかなか上手にいかないのが開発の枷となっていました。

マツダはこの問題を解決して量産化にもっていけたわけですが、その構造をご説明する前にHCCIエンジンがガソリンエンジンやディーゼルエンジンのどんな問題を解決できるのかをご説明しましょう。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの問題点

世界中で乗用車用として使われているガソリンエンジンやディーゼルエンジンですが、130年以上の歴史があるにも関わらず根本的な問題を抱えています。

まず内燃機関というものは基本的にピストンで作動ガスを圧縮する圧縮比によって効率が決まり、圧縮比が高いほどエンジンの効率と燃費が向上します。

ガソリンエンジンは前述したノッキングの問題があるため圧縮比をあげるのには限界があり、圧縮比は10.0~14.0(この最大もマツダのSKYACTIV-Gによるもの)がノッキングを起こさないギリギリの線です。

これ以上の圧縮比では運転条件によってスパークプラグで点火するより早いタイミングで自己着火が起こってしまい、エンジンの出力が下がるばかりか、異常振動やエンジン破損の危険があります。

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンとは燃料が違い自己着火に適した軽油を使っていますので、ある意味ではノッキングを完全に制御して燃焼を行っています。

積極的に自己着火を起こす必要があるので圧縮比は高く、一般的には16.0~18.0、マツダのSKYACTIV-Dが低圧縮比の限界を狙って14.0で成立させた例もあります。

圧縮比が高いのでディーゼルエンジンはガソリンエンジンより効率も燃費もよく、低速でのトルクにも優れる優秀なエンジンなのですが、その反面ガソリンエンジンより高回転時の最大出力が低かったり、排気ガスに混ざる有害物質が多いというデメリットも抱えています。

HCCIエンジンではこれらのデメリットを打ち消して、なおかつ各形式のメリットを最大限活用することをコンセプトにしており、簡単二表にすると次のような形になるでしょう。

ガソリン
エンジン
HCCIディーゼル
エンジン
燃費(圧縮比)
低速トルク
最大出力
排気ガス浄化

ガソリンとディーゼルのよいとこ取りでまさに夢のエンジンなのですが、とにかくガソリンの自己着火の制御の難しさというのが技術的なネックとなって、実験室レベルではともかく量産エンジンとしては実用化に難ありと長い間言われ続けてきました。

そこにマツダは独自の技術を組み合わせることで大きなブレークスルーを果たし、世界に先駆けて実用化にこぎつけたのです。

マツダのSPCCI

SPCCIエンジン

HCCIの難しいところはガソリンと空気の混合気に点火するタイミングが温度次第という点で、任意のタイミングで点火できるガソリンエンジンとは違って完全に予測頼みでした。

しかしそれではさまざまに状況の変わる実際の運転条件には対応ができず行き詰まっていたのですが、マツダはHCCIにスパークプラグを併用するSPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)という方式にすることにより、HCCIに非常に近い形で燃焼タイミングを制御することに成功したのです。

HCCIはスパークプラグを使わずに自己着火のみで点火するのがこれまでの常識でしたが、SPCCIではスパークプラグによる点火を自己着火のきっかけとするシステムです。

SPCCIではガソリンと空気の混合気をピストンで圧縮するのですが、圧縮はガソリンが自己着火するギリギリに留められておりそのままでは点火しません。

その状態の混合気の一部にスパークプラグで点火すると、ガソリンの燃焼が広がるより早く爆発の圧力が混合気にかかり、自己着火寸前だった混合気をさらに圧縮し自己着火に導くのです。

つまり混合気をピストンで下から圧縮した上に、上から爆発の圧力でさらに圧縮してサンドイッチするようなイメージですね。

この構造によりスパークプラグで完全に点火タイミングをコントロールしながら、全体の燃焼は自己着火で行うHCCI的な燃焼が可能となったのです。

よく勘違いされるのはスパークプラグで点火しているのだからガソリンエンジンとかわらない、というものですが、ガソリンエンジンはスパークプラグで点火した火種が燃え広がって燃焼するのに対し、SPCCIではスパークプラグで点火した瞬間に混合気全体が自己着火で燃焼することです。

つまりガソリンエンジンよりSPCCIのほうが燃焼が早く、理想的なタイミングで燃料のもつエネルギーを動力に変換できるのです。

またHCCIエンジンはディーゼルエンジンと同じく高回転域は多少苦手としているのですが、SPCCIでは高回転域を普通のガソリンエンジンと同じように火花着火エンジンとして使うことで全域で安定した出力を得られるようになっています。

じつはHCCIエンジンの開発のなかで高回転域などでスパークプラグを活用するのは一般的となっていたのですが、マツダはもう一歩踏み込んで全域でスパークプラグを活用したというところが革新的でした。

またエンジン始動時のエンジンが冷えた状態も熱で点火するHCCIが苦手とする領域ですが、ここでもスパークプラグを使うことで安定した燃焼も可能となります。

SPCCIは厳密に言えば完全なHCCIではありませんが、夢のエンジンを現実化するための重要な技術です。

マツダはSPCCIで獲得した経験をもって、完全なHCCIも実用化に向けて開発中とのことです。

スカイアクティブXのメリット・デメリット

スカイアクティブXのメリットはHCCI燃焼が実用化できるというのが最大のものなのですが、HCCI燃焼にはそれに伴う各種のメリットがあるのです。

スカイアクティブXのメリット

スカイアクティブXはまだ開発中で全貌が見えていないのですが、現時点でわかっているメリットをご説明しましょう。

スーパーリーンバーンが可能

HCCI燃焼が可能となったスカイアクティブXでは燃料消費量を大幅に減らすスーパーリーンバーンという燃焼形態が使えるようになります。

一度ブームが終わったリーンバーン

エンジンには形式によって空気と燃料の最適な割合と言うものがあり、燃料が完全燃焼する空気量を理論空燃費と呼びます。

ガソリンエンジンでは燃料1に対して14.7の空燃費がそれにあたり、燃料または空気量を調整して理論空燃費付近で燃やすのが効率がよいとされています。(ストイキ燃焼)

しかしエンジンは理論空燃費より空気をたくさんエンジンに送り込んでも燃焼は可能で、ガソリンエンジンの場合は低回転ではそのほうが効率がよい場合があります。

これをリーンバーンといい、理論空燃費より燃料消費量が少なくなるので燃費にもよい影響があります。

リーンバーンは1970年~1990年ごろに一度大きなブームがあり、空燃費17あたりで低回転では燃費走行、高回転になるほど燃料を濃くしてストイキ燃焼に近づけて出力をかせぐのです。

リーンバーンで燃費はある程度よくなるのですが、リーンバーン時には燃焼温度や燃焼圧力が高くなることでNox(窒素酸化物)の生成が多くなって排気ガス規制に対応できなくなり一度ブームが終わりました。

また高回転になれば結局燃料消費量は増えますので、燃費改善効果もおもったほどではなかったようです。

リーンバーンを上回るスーパーリーンバーン

リーンバーンの問題点は燃焼圧力や温度の多かさにあったわけですが、もしもっと燃料の量を減らせばそもそもの燃焼エネルギー自体が少なくなるのでNoxの生成が減ることは知られていました。

しかし普通のガソリンエンジンでやろうとしても燃料が薄すぎてしまい、スパークプラグで点火できても燃焼が伝播せず安定した燃焼ができないのです。

そこで活用できるのがHCCIの圧縮自己着火で、スパークプラグで着火できない燃料の薄さでも自己着火ならば燃焼ができ、しかも薄く広がった燃料それ自体が発火するわけですから燃焼が伝播する必要もないわけです。

これによりリーンバーンを大きく上回る空燃費30.0ものスーパーリーンバーンが可能となっており、従来のガソリンエンジンやディーゼルエンジンより大幅に燃料消費量を削減できます。

マツダはスカイアクティブXで燃費を30%も改善するとアナウンスしていますが、その技術的背景にはスーパーリーンバーンの存在があるわけです。

ちなみにスカイアクティブXではスーパーリーンバーンでも最初だけスパークプラグでの点火が必要なので、プラグ周辺だけに燃料を追加で噴くなどの工夫はされているようですね。

また空気を大量にエンジンに送り込む必要があるので、機械式のスーパーチャージャーによって過給するようになっています。

この場合は出力アップのための過給ではないので、マツダは「高応答エアー供給機」という名前でスーパーチャージャーとは呼ばないようです。

排気ガス浄化に三元触媒が使える

スーパーリーンバーンの燃焼ではリーンバーンの問題であったNoxの生成が抑えられ、リーンバーンでは使うことができなかったガソリンエンジンの三元触媒が使えるようになります。

普通のガソリンエンジンでもNoxの生成は起こるのですが、三元触媒というHCやCOと共にNoxを浄化する理想的な触媒がガソリンエンジンにはあります。

ディーゼルエンジンに比べて非常にシンプルな浄化装置で処理ができるので、後処理装置にかかるコストが抑えられます。

しかし三元触媒は触媒内部でNoxを還元させて処理している構造上、燃焼後に空気が残るリーンバーンでは酸素が多すぎてNoxの処理が効率的にできませんでした。

このジレンマは同じく酸素が多く残るディーゼルエンジンも抱えており、ディーゼルエンジンではコストのかかるNox専用の触媒が必須になるなど後処理装置のコスト増が大きな問題となります。

しかしスーパーリーンバーンではそもそものNox生成量が減りますので、たとえ残存酸素が多くても三元触媒の能力内でNoxを浄化することが可能です。

ガソリンエンジンと同レベルの後処理装置で処理ができることはコスト面で限りなく大きなメリットであり、ひいては今後年々厳しくなる排気ガス規制への対応もしやすいことを意味します。

圧縮着火による低速トルクの強化

HCCI燃焼は燃料のエネルギーを効率的に引き出せるので、ディーゼルエンジンのように低速トルクを強化することが可能です。

エンジンが低回転の状態ではシリンダーひとつが発生させるエネルギーによって発生するトルクが決まります。

ガソリンエンジンより圧縮比が高いディーゼルエンジンはこの特性を持っており、低回転時の大トルクと加速のよさがディーゼルエンジンの大きなメリットでした。

スカイアクティブXではガソリンエンジンより圧縮比を多角で気、なおかつガソリンのエネルギーを効率的に取り出せるので、ガソリンエンジンよりトルクを出すことが可能となります。

マツダの試算では従来のガソリンエンジンに対して10%~30%のトルクアップが見込めるとしており、ディーゼルエンジンまではいかないものの大幅なトルクアップが期待できます。

ポンピングロスがなくなる

従来のガソリンエンジンは基本的に燃料の量が一定で空気の量で空燃費を調整し、また出力調整も行っていました。

空気量の調整には回転式の弁を持つスロットルチャンバーを使っているのですが、このスロットルは吸気管にフタをする形で空気量を調整するので、ここを通る際に空気は大きな抵抗を受けてしまい、総じてエンジン出力に悪影響を与えるポンピングロスというものを生じさせます。

それに対してディーゼルエンジンは空気量が一定で燃料の量で出力調整をしているので、ポンピングロスがない分ガソリンエンジンより効率がよくなります。

そしてHCCIエンジンでもディーゼルエンジンと同じ構造をとりますので、ガソリンエンジンでは必要悪となっていたポンピングロスを完全になくすことが可能となります。

スロットルによるポンピングロスはガソリンエンジンのすべてのロスの3割を占めるほど大きなものですので、これがなくなれば燃費にも出力にもよい影響を与えるのは確実でしょう。

スカイアクティブXのデメリット

スカイアクティブXは開発中のため特有のどんなデメリットがあるかは現時点では不明です。

基本的にはガソリンエンジンとディーゼルエンジンのメリットをあわせ持ち、またそれぞれのデメリットを打ち消すエンジンですので、致命的なデメリットはなさそうです。

ですが現時点で考えられるデメリットとしては、従来のガソリンエンジンより圧縮比が高いことによるエンジン振動と音の悪化でしょうか。

ガソリンエンジンよりディーゼルエンジンの振動が大きく音もうるさいのはディーゼルエンジンの圧縮比が高いことが関係しており、燃焼圧力の高さとそれに耐えうるピストンなどが重くなることで振動が大きくなっています。

ガソリンエンジンが乗用車用エンジンとして広く普及したのには振動が少なく音も静かなことが関係しており、ディーゼルエンジンより上質感があるのです。

スカイアクティブXはガソリンエンジン以上、ディーゼルエンジン以下の圧縮比が想定されており、圧縮比だけを見るとガソリンエンジンよりは振動や音が悪化しそうなエンジンです。

しかし燃焼エネルギー自体はスーパーリーンバーンで低くなりますのでそのあたりのトレードオフでどうなるかは楽しみなところでもあります。

いずれにしてもディーゼルエンジンほどには悪くならないでしょうから、ディーゼルエンジンの乗用車で振動や音の低減に取り組んだマツダには大いに期待できるでしょう。

スカイアクティブX搭載車

マツダ KAI CONCEPT

現時点では明確にスカイアクティブXの登場時期や搭載車種はアナウンスされていませんが、基本的にはこれまでのガソリンエンジンを完全に置き換えられるエンジンのはずですので、スカイアクティブGの採用されている車種には順次スカイアクティブXが採用されると予想されます。

最終的にはマツダ車のラインナップすべてにスカイアクティブXは採用されていくでしょうし、スペック次第ではスカイアクティブDのディーゼルエンジンすら置き換えていくことも考えられます。

車種で言えばデミオやアクセラなどのコンパクトカーから、CX-3、5、7などのSUV、アテンザなどの上級車種まですべての車種にスカイアクティブXは採用されるでしょう。

ハイスペックの出力重視のスポーツカーなどには少々使いづらいスカイアクティブXですが、マツダにはライトウェイトスポーツのロードスターしかスポーツカーはありませんのでスカイアクティブXが苦手とする車種はマツダにはないといえます。

ロードスターであればスカイアクティブXの特性があっています。

スカイアクティブX搭載車の発売開始

さてスカイアクティブXの登場時期ですが、現時点でマツダからアナウンスされているのは2019年に量産開始ということだけです。

もう1年ほどなので意外とすぐスカイアクティブXの車に乗ることはできそうです。

2017年にスカイアクティブXが発表された際には現行アクセラをベースとした試作車が公開されたため、スカイアクティブXの登場はアクセラのフルモデルチェンジのタイミングでは?と言われています。

現行アクセラは2013年登場で2019年には確かにフルモデルチェンジの時期でもありますので、可能性は結構高いのではないかと思われます。

決して先の未来の話ではありませんので、夢のエンジンの登場は非常に興味深く待ち遠しいものですね。