1分で車を60万円値引きする裏技

直噴エンジンとは?メリット3つとデメリット4つ!不具合と耐久性が欠点?!

自動車用のエンジンにはさまざまな種類があり、パワー重視のエンジンや環境対応エンジンなどこれまでいくつもの目的で開発されてきました。

その中の一つに「直噴エンジン」というものがあり、変わった特徴をいくつももつエンジンです。

今回はそんな直噴エンジンをご説明していきます。

直噴エンジンとは

クラウン エンジン システム

直噴エンジンとは自動車用ガソリンエンジンの一種類で、燃料をシリンダー内に直接噴射するところから「直噴」という名前がついています。

一般的なガソリンエンジンはシリンダーに入る前に空気と燃料を混合する「ポート噴射」という形を取るのですが、直噴エンジンは最初に空気だけをシリンダーに取り込んで圧縮し、点火直前に燃料を直接シリンダーに噴射します。

一見単純な構造なエンジンに見えますが、実用可能なエンジンが完成したのはごく最近のことで、エンジンの種類としてはかなり新しい部類なのです。

まずは簡単に直噴エンジンの歴史と、その後に構造をご説明していきます。

直噴エンジンの登場

 

View this post on Instagram

 

|All Things Cars|さん(@superrichofghana)がシェアした投稿


直噴エンジンという技術自体は第二次世界大戦のころには成立しており、ドイツの戦闘機であるメッサーシュミット Bf109に採用されたのが初めてです。

その後自動車用にも技術が転用されて1954年にはメルセデス・ベンツの300SLというスポーツカーに採用されたのが自動車としては初めてです。

ですが直噴エンジンは技術的に高度なものが必要でありその後は全く日の目を見なかったエンジンなのですが、自動車用エンジンとして復活したのは1996年になってからです。

1996年に日本の三菱自動車が量産車としては世界初のリーンバーン直噴エンジン「GDI」を登場させ、ギャランやレグナムといった中型セダンに搭載したことから、日本メーカーを中心に直噴ブームともいえるトレンドが置きます。

1997年には日産自動車「DIG」が、1998年にはトヨタ自動車「D4」が相次いで登場し、その後欧州メーカーにもだんだん浸透していきます。

MEMO

2000年代に入るとフォルクスワーゲンが直噴エンジンの採用を一気に増やしたり、日本では軽自動車への採用が相次いで、いまでは自動車用エンジンの主流の一つにまで進化しています。

わずか20数年たらずでここまで浸透したのは直噴エンジンの構造的な特徴と、走行性能や環境性能に優れた性能を発揮するエンジンだからです。

直噴エンジンの動作

直噴エンジンはポート噴射系のエンジンとは多少動作の違うところがあり、それは燃料噴射のタイミングと点火タイミングです。

MEMO

ポート噴射を行うエンジンでは燃料であるガソリンはあらかじめ空気と混合されて「混合気」を形成します。

混合気には空気と気化したガソリンが含まれており、シリンダーに取り込んだ後にスパークプラグなどの火花点火機構で爆発を起こします。

あらかじめ混合気となっているので火種さえあればいつでも燃焼可能な状態なのです。

ですが直噴エンジンでは空気のみをシリンダーに取り込むので、そのままでは爆発は起こりません。

直噴エンジンの燃料噴射のタイミングは吸気から圧縮の間で、非常に微細な霧状の噴射する必要があります。

ポイント

燃料であるガソリンは気化しやすい燃料ですが、エンジンの爆発直前という非常に短い時間の間に気化させるためには燃料がごく微小の液滴でなくてはならないので、霧状にするために高圧で燃料を噴射しています。

噴射されたガソリンが気化するタイミングでスパークプラグによって点火を行い、その後は普通のガソリンエンジンと同じ動作となります。

直噴エンジンの構造

直噴エンジンはこれまでのガソリンエンジンの燃料噴射系を改良したエンジンといえるのですが、実現にはそれ以外にもいくつか構造的な特徴があります。

燃料系の特徴

まず直噴エンジン最大の変更点といえる燃料系ですが、シリンダー内への燃料噴射を行うインジェクターと、そこに燃料を送る高圧燃料ポンプが必要となります。

直噴エンジンでは前述したように高圧で燃料を噴射する必要があるので、従来の燃料ポンプでは圧力が足りません。

ポイント

そこでエンジン動力で回転する高圧燃料ポンプを設定しており、ポート噴射エンジンにはない部品が必要となります。

またインジェクターもポート噴射用より高圧噴射が可能なインジェクターを備えていますが、燃料をシリンダー内で混合させる目的からインジェクターはシリンダーの横に設置されることが多いです。

噴射と同時に後述するスワール流により迅速に空気と燃料を混合し、効率よく燃焼しやすい状況を作るためです。

インジェクターは部品自体がシリンダー内の高圧、及び爆発の圧力を受けますので、部品も頑丈にしなければなりません。

MEMO

さらに高圧燃料ポンプからインジェクターまでつながる配管内には、常に50MPa~200Mpaという圧力の燃料が流れますので、配管系も特別なものが必要です。

特に配管同士やポンプとインジェクターの接続部は頑丈なナット状で締め付ける必要があり、万が一の燃料噴出を防いでいます。

直噴エンジンの中でもっともコストがかかるのもこの燃料系の部分であり、このエンジンの心臓とも言える部分です。

ピストンヘッドの形状

シリンダーヘッド

直噴エンジンでは混合気を圧縮するピストン上部の形状も重要で、ピストンヘッドは燃焼室の一部としてスワール流を生み出す働きを兼ねています。

スワール流とは空気の作り出す渦巻状の流れのことで、直噴エンジンではこの流れにより空気と噴射されたガソリンの混合を早めることが重要となります。

毎分何千回転という高速稼動をしているエンジンの内部ですばやく混合気を作り出さなければならないので、普通に空気に燃料を噴射しただけでは不十分で、渦を巻く空気の中に噴射することで対応しています。

そのためピストンヘッドにはポートからの空気が流れ込む円形の溝が彫ってあり、溝に沿うような形で空気が流れ込むことで、円周上に渦を巻くスワール流を発生させています。

性能の良いスワール流を効率よく生み出せるかどうかが直噴エンジンの技術の見せ所であり、これまで各メーカーからさまざまなピストンヘッドの形状が出てきました。

ポート噴射のガソリンエンジンは平らなピストンヘッドをしていますので、ピストンを一個見ればそれが直噴エンジンかそうでないかが一目瞭然でわかります。

直噴エンジンの特性

直噴エンジンの構造がポート噴射とは違うのはおわかりいただけたと思いますが、これによって得られる効果はそれまでのエンジンを凌駕するもので、これが直噴エンジンが急速に普及した理由です。

直噴エンジンの特性については主に2つあり、これは直噴エンジン最大のメリットです。

圧縮比を高くできる:耐ノック性の高さ

直噴エンジンはポート噴射のそれまでのエンジンと比較すると「ノッキング」という現象が起きにくく、エンジンの圧縮比を高めることができます。

MEMO

ノッキングはガソリンエンジンの最大の問題といってもよく、昔から現象は認識されており、ガソリンエンジンの効率向上の妨げになる要因です。

現象はガソリンの異常燃焼で、ガソリンのような燃料が高温になると自動的に発火する自己着火が起こる現象です。

ピストンが空気や混合気を圧縮していくと温度も上がっていくのですが、圧縮が大きすぎるとガソリンが圧縮途中で自己着火によって燃焼してしまい、想定外の爆発が起こり振動が増えたりエンジンが破損することもあります。

ガソリンエンジンは圧縮比を上げれば上げるほど効率が上がるのですが、ノッキングが壁となって大きく圧縮比をあげることはできません。

ですが直噴化することによって、まず空気のみを圧縮するので圧縮の途中でノッキングが起こりにくくなります。

さらに液体の燃料を噴射するので、燃料が気化するときに気化熱を奪う冷却効果もあり、シリンダー内の熱が上がりにくいのもノッキング対策となります。

ポート噴射のエンジンではどうしても圧縮比10以上は難しいのですが、直噴化によって11以上が可能となります。

現在ではマツダが圧縮比14という高圧縮比のエンジンを実用化しており、これも直噴化による効果です。

リーンバーン燃焼が可能

リーンバーン燃焼とは燃料が希薄な状態での燃焼を行う方法で、燃費改善に大きな効果のある燃焼方法です。

エンジンには空燃比というものがあり、燃料と空気の重量比を指します。燃料であるガソリンが完全燃焼するには14.7倍の量の空気が必要で、14.7の空燃比を「理論空燃比」もしくは「ストイキ」と呼んで一つの基準としています。

14.7より低くて燃料が多い状態をリッチ燃焼、反対に少ない状態をリーン燃焼と呼んでいます。

空燃比がリーンの状態では燃料が全部燃焼したとしても、まだ空気の中に酸素が残っている状態ですね。

MEMO

リーンバーンは燃料消費量が少なくなるので当然ながら燃費が良くなる可能性が高いのですが、燃料が薄いということは火の付き方が悪いということでもあり、安定した燃焼ができなくなるのが問題でした。

とくに空燃比20を超えるようなリーンバーンはポート噴射のエンジンでは失火して燃焼自体が起こりません。

ですが直噴エンジンの場合、直噴後の燃料の偏りを利用することでリーンバーンを可能となります。

直噴エンジンは噴射直後は空気と燃料が十分に混ざっていないので、設計上の空燃比が高くても実際の燃焼室の中には燃料が比較的濃い領域が生まれます。

そこでは限定的にストイキに近く点火しやすい状況にありますので、その濃い領域をスパークプラグの近辺に持っていくことで燃焼は可能となります。

このことにより直噴エンジンでは空燃比20~55という圧倒的に燃料の少ない状態での燃焼ができ、燃費改善という点において大きな効果を果たすのです。

ですがリーンバーンが可能なのはエンジン負荷の低い出力のいらないときに限られており、エンジン回転数を上げていくと次第にストイキ燃焼に近づけていきますので、全域で燃費が良くなるわけではありません。

直噴エンジンの音

直噴エンジンは構造が特徴的ですがそのエンジン音にも特徴があり、どちらかというとデメリットにつながるものです。

まずは最新直噴エンジンの一つであるマツダのスカイアクティブGのエンジン音をお聞きください。


このエンジンの始動後からカチカチカチカチという音が聞こえると思いますが、この音こそ直噴エンジン特有のエンジン音で、その源は高圧燃料噴射インジェクターです。

燃料を高圧で何度も噴射することでこの音が出ており、直噴エンジンの構造上さけられないものです。

ですがスカイアクティブGはかなり音としては静かなレベルであり、昔の直噴エンジンはもっとこの音がひどかったです。

この音は車室内にいれば遮音材の効果などであまり大きく聞こえないのですが、上質とは言い難い音ですので気になる人は気になるでしょう。

なおこの音は実はディーゼルエンジンでも聞かれる音であり、ガソリンエンジンなのにディーゼルエンジンのような音がするというのはやはりデメリットになってしまいます。

直噴エンジンのメリット・デメリット

メリット、デメリット

直噴エンジンにはいくつものメリットがあり採用が増えているのですが、その反面デメリットもそれなりにあり一時期はそれが元で採用が減ったこともあります。

直噴エンジンのメリット

直噴エンジンのメリットは前述した圧縮比の向上とリーンバーンの実用化という2点がありますが、そのメリットを活かして次のようなことが可能です。

出力、トルクの向上

直噴化によって圧縮比を向上できるとエンジンの効率が上昇しますが、そのメリットはエンジンの出力やトルクを増加させることに直結します。

圧縮比が1上がるだけでもシリンダー内の空気や混合気の圧縮度合いはかなり増加します。

より狭い空間で爆発が起こるのですから、その分得られるエネルギーは大きくなるのです。

これによりエンジンの排気量は同じでも直噴エンジンのほうがよりパワフルなエンジンが実現でき、走行性能が良くなるのです。

同排気量のエンジンでも直噴化によって出力やトルクは1割以上向上することが多く、エンジンの高性能化には優秀な技術です。

また出力とトルクが向上するということは、同等のスペックに抑えるなら排気量を減らすことができ、車によっては一段低い税金のクラスに落とすこともできるでしょう。

燃料消費量の削減

直噴化による出力とトルクの向上を別の使い方をすると、燃料消費量つまり燃費の改善が可能となります。

それまでのエンジンと同じ燃料噴射量でも直噴化すれば出力、トルクが向上するわけですが、出力とトルクを据え置くようにすればその分燃料は少なくて済みます。

また直噴化によるシリンダー内の冷却効果は全域でのトルクを向上させる効果もあり、豊富なトルクは加速の良さ、レスポンスの良さをアップさせます。

トルクが太くなればそれだけ加速時に回転数を上げなくて済むので、この点でも燃料消費量は削減できます。

圧縮比向上によってエンジンの効率が上がることはさまざまな面でエンジンにメリットをもたらします。

冷間時の排気ガス有害物質削減

排気ガス

直噴エンジンの燃料噴射はエンジンの冷間始動時のクリーン化に効果があり、冷間時はポート噴射よりも有害物質を削減できます。

ポート噴射の冷間始動時というのは、エンジンも車もまだ冷たい状態で、燃料の気化が通常よりも悪くなってしまうので排気ガスには多量の有害物質が出てきます。

そのためガソリンエンジンはどれだけ早くエンジンを暖められるかどうかが排気ガス規制のクリアの鍵となっており、この規制はコールドスタートエミッションとして基準化されています。

ポイント

年々排気ガス規制が厳しくなっていくに従ってこの要件も厳しくなっており、ガソリンエンジン開発の問題点の一つです。

ですが直噴エンジンの場合は冷間始動であっても混合状態への影響は少なく、スワール流さえしっかりしていれば燃料の拡散と気化は十分行えます。

そのため冷間始動時ではポート噴射よりも有害物質の発生を抑えられるため、この点では排気ガス規制に対して有利です。

直噴エンジンのデメリット

直噴エンジンのデメリットについては独特の構造からくるものが多く、ポート噴射エンジンでは見られないものです。

コストの増加

直噴エンジン特有の構造である高圧燃料系は、高い圧力に耐えうる構造のために非常にコストが高くなっています。

直噴の燃料噴射インジェクターは高圧燃料を細かく何回も制御しながら噴射しなければならないので、制御用の電子系が複雑です。

部品自体もシリンダー内の圧力に耐えながら噴射を行うため頑丈で、その分コストは高いです。

また直噴なので1シリンダーあたり一本必要となりますので、気筒数が多いほどコストは高くなります。

交換部品の場合、一本で10,000円~20,000円ぐらいになることもあります。

MEMO

もう一つが高圧燃料ポンプで、これも同様の理由から頑丈にしなければならず、高速回転もしなければならないのでかなり負担が大きい部品です。

高圧燃料ポンプを持ってみると分かるのですが、非常に重たく鉄の塊のような部品です。そのため一個あたり100,000円弱することもある高額部品ですが、負荷の大きさからトラブルも少なくありません。

高圧燃料系は重量も非常に重く、軽量化の観点からはあまりうれしいものではありません。

PM、スラッジの発生が多い

直噴エンジンはガソリンエンジンにしてはPM(粒状黒鉛)の発生が多く、それを元にしたスラッジでのトラブルが多くなるデメリットがあります。

PMはディーゼルエンジンでは発生が多いもので、不完全燃焼した燃料が細かな粒の黒鉛となって残る現象です。

昔のディーゼルエンジンが黒い煙を吐いていたのはこのPMが原因で、排気ガス中の有害物質の一つです。

普通ガソリンエンジンは燃料をほぼ完全燃焼できるのでPMの発生は非常に少ないのですが、直噴エンジンに関してはそうはいきません。

注意

直噴エンジンではシリンダー内に直接燃料を噴射しますので、その一部はシリンダーの内壁に液体の状態で付着します。

その一部は気化していくのですが、エンジンの稼動の短い時間ではすべての燃料が気化せず、一部が液体のまま燃焼が起こってしまいます。

液体の状態のガソリンでは効率よく燃焼しませんので不完全燃焼してPMを生み出してしまうのです。

さらにPMはシリンダー内壁を潤滑しているエンジンオイルを吸収して「スラッジ」と呼ばれる粘度の高いタールのようなものを生成してしまいます。

スラッジは簡単にはエンジンから排出されず、エンジン内部やバルブ、排気管などに少しづつ堆積して排気経路を圧迫、少しずつ経路を狭くしていったりします。

MEMO

また最近はEGR(Exhaust Gas Recirculation)というシステムを環境対策でつけていますが、これは排気ガスの一部を吸気に混ぜるシステムのため、その過程でスラッジは吸気側にも溜まっていきます。

そのため長い距離を乗った直噴エンジンをばらしてみるとあちこちにスラッジが堆積しているのがわかり、とくに吸気側では吸気管が狭くなっているのがわかります。

自動車メーカーでの設計時にスラッジ堆積についても評価しており、ある程度スラッジで詰まっても性能が確保できるようにはしてあるのですが、もちろんスラッジ堆積はないほうが性能が良くなるのは当然です。

ノイズの発生

前述の直噴エンジンの音についてご説明したように、直噴エンジンのデメリットの一つはその独特な音です。

高圧燃料インジェクターの噴射にともなうカチカチ音は直噴エンジンではしかたないものですが、残念ながら車の音としては低級音に分類されるものです。

いくら遮音材などで音を静かにしたとしてもその分コストがかかりますし、コストのかけられない中小型車ではどうしてもこのノイズから逃れられません。

日本ではハイブリッドカーの普及によって車の静かさが格段に増していますので、それと比較するとどうしても直噴エンジンは煩いといいうことになるでしょう。

リーンバーンでの排気ガス悪化

一時期流行った直噴エンジンのリーンバーンですが、ある領域での燃費には大きな効果があったものの、全域で見ると排気ガスの有害物質が増加して対策が難しく、それが原因で三菱などが開発を中止したほどです。

直噴エンジンでもリーンバーンが可能な領域というのはそこまで広くなく、加速時や高速走行時などはストイキ領域まで燃料を濃くして出力を出さなければなりません。

リーンバーンからストイキに移行する過程で燃焼状態が大きく変わるのですが、その切り替わりのところで有害物質が増加します。

またリーンバーンではNOx(窒素酸化物)の処理が難しく、三菱はその対応ができずに生産を中止した過去があります。

また前述したPMは当然排気ガスに混ざって排出されていますが、昔はガソリンエンジンにPMの規制がゆるく、またディーゼルエンジンほどの排出量もなかったことであまり問題視されてきませんでした。

しかしディーゼルエンジンがDPFなどによってPMを排出しないエンジンとなった現在では、直噴エンジンのPMが次の問題であり規制対象となるのは確実です。

その対策には多額のコストがかかるので、今後直噴エンジンの課題のなる点でしょう。

直噴エンジンは故障や不具合が起きやすいのか

故障

直噴エンジンの本体系はポート噴射のエンジンと大きく変わらないので故障率などはさほど変わらないのですが、問題となるのはやはり高圧燃料系です。

直噴エンジンの故障や不具合の発生が多いのはやはり燃料系であり、とくに高圧燃料ポンプはその筆頭です。

部品の耐久年数である10年もしくは100,000km走行に近づくと、高圧燃料ポンプの電気系統や内部の回転部などに問題が現れます。

突然エンジンが停止したりするとこの可能性が多く、修理には高額の部品の取り換えとなってしまいます。

またスラッジでも結構不具合が出る場合があり、とくにバルブに堆積することでの圧縮抜けは問題です。

MEMO

スラッジがバルブに挟み込まれてしまうとバルブが一部浮いたような形になり、そこから圧縮中のガスが漏れて正常な圧縮比を発揮できません。

こうなるとスラッジを除去するしか方法はなく、大幅なエンジンバラシと内部洗浄が必要となります。

それでなくてもスラッジの堆積は性能を劣化させてしまいますので、修理工場などではスラッジ洗浄メニューなどもあるほどです。

またスラッジを減らすエンジンオイルや添加剤などもありますので、こういったものを使うのも効果的です。

このような点があるのでポート噴射のガソリンエンジンより直噴エンジンはメンテナンスが必要なエンジンだといえるでしょう。

直噴エンジンのトレンド

ここまでご説明したような特徴から、直噴エンジンにはこれまで2回のトレンドができており、後半のトレンドはまだ継続中です。

最初のトレンド:リーンバーン直噴エンジン

最初のトレンドは三菱のGDIエンジンから始まったリーンバーン直噴エンジンで、おもに日本車を中心に流行った形式です。

直噴化による出力とトルクをアップさせながら、リーンバーンで燃費改善を狙うこのエンジンは、登場時にはまさに夢のエンジンでした。

その流れに乗るように日産やトヨタを始めとする国産メーカー、海外メーカーが相次いでこのコンセプトのエンジンを市場投入しましたが、このトレンドはなんとわずか5年ほどで終了してしまいます。

その理由は前述した排気ガス規制の問題があって規制への対応が難しかったこと、さらにはリーンバーンの効果が思ったほど実用燃費に結びつかなかったことです。

リーンバーンは限られた領域、とくにカタログ燃費の点で大きくアップさせることができるのですが、実走行時にはどうしても燃料を濃くする場合が多く、実際の燃費はそこまで伸びなかったのです。

当時の直噴エンジンは出力、トルクを重視したハイパワー車でしたので、燃費がいいのはカタログだけ、などと言われて急速に魅力がなくなってしまったわけです。

直噴エンジンの先駆けとなった三菱でも、一時期全車GDI化を果たして話題になったものの、2007年には完全に生産終了となっています。

ですが直噴エンジンというコンセプト自体は次のトレンドに引き継がれており、今度の主役は欧州となりました。

第2のトレンド:直噴ダウンサイジングターボ

直噴エンジンの次のトレンドは欧州、とくにフォルクスワーゲンが中心となった、「直噴ダウンサイジングターボ」エンジンの登場です。

ポイント

2000年頃から始まったこのコンセプトは改良を続けながら現在まで続いており、世界的なトレンドに発展しました。

直噴ダウンサイジングターボもエンジンの燃費向上が目的のエンジンですが、リーンバーンとは大きくコンセプトの違うもので、こちらはストイキ燃焼がベースです。

燃料量が多く直噴エンジン本来のパワフルな走りを、このコンセプトでは燃費対策として使います。

「ダウンサイジング」の名前通り、このコンセプトはまずエンジンの排気量をワンランク減らすところからスタートします。

例えば2.5Lエンジンなら2.0Lエンジン、1.8Lエンジンなら1.5Lや1.3Lにといった具合です。

MEMO

排気量が小さくなるので当然燃料消費量は減るので燃費は良くなりますが、その分出力やトルクといった部分でデメリットを受けます。

ですがその不足した出力とトルクを、直噴化による圧縮比の向上と、さらにターボチャージャーやスーパーチャージャーなどの過給機を組み合わせることで、ワンランク上の出力とトルクを実現します。

つまり排気量が減った影響を直噴と過給器でれで補填することで、同クラスの車に小排気量で燃費の良いエンジンを搭載できるのです。

またエンジンが小型化するので軽量化にも繋がっており、直噴エンジンのデメリットである重量増加は気になりません。

フォルクスワーゲンが次世代の環境車として登場させたこのコンセプトは優秀で、小型車のみならず中、大型車にまでその影響は広がっています。

いまではさまざまな車が以前より小型のエンジンを積むようになりましたが、燃費はもちろんのこと出力やトルクはむしろ向上しており、今後もまだまだ伸びのあるトレンドなのです。

直噴エンジンの評価・口コミ

直噴エンジンに関する評価はTwitterにも多数上がっていますが、賛否両論あり、そこからいくつかご紹介します。

直噴エンジンの加速は素晴らしい

この方はスバルの直噴エンジン車に乗っていらっしゃるようですが、停止状態からの加速が素晴らしく驚かれたようですね。

ポート噴射のガソリンエンジンは比較すると低速トルクが不足しておりあまり加速が良くないのですが、直噴化によって大幅に改善します。

特にスバル車はスポーティさが売りですので、直噴化はかなり魅力を増すものですね。

直噴エンジンのトラブル

直噴エンジンで急にトラブルが起こった場合、やはりスラッジによる圧縮抜けか燃料系を疑うのが多いです。

特にスパークプラグなどの点火系を交換しても治らないということは、十中八九間違いないでしょう。

直噴エンジンには起こりがちなトラブルとはいえ、高額修理になるのが目に見えている状況ではガックシきちゃいますね。

GDIの燃費の悪さ

三菱がGDIに社運をかけていたのは間違いなく、当時燃費の良さをアピールした広告やCMが多かったのを覚えています。

最初こそ効果はあったものの、実燃費に関する情報が出るに従って次第に燃費が実はあまり良くないことが判明し、リーンバーンの直噴エンジンは急速にしぼんでしまいました。

一時期問題となった三菱の燃費改善問題はどうやらそのころからすでに行われていたようで、GDIにもその影響がなかったとは言えないでしょう。

三菱はGDIの失敗で大きな痛手を負ってしまい、最近ようやく立ち直ってきた感がありますね。

直噴エンジン搭載車

直噴エンジンは最初こそトレンドが短かったものの、ダウンサイジングコンセプトによる直噴化は世界中に広がっており、いまや国産メーカーのほとんどと海外メーカーでも採用がどんどん増えています。

各社の直噴エンジンの広がり

直噴エンジンの元祖とも言える三菱が撤退してしまっているのは残念ですが、他のほとんどの国産メーカーは現在直噴エンジンをラインナップしています。

トヨタは主に中、大型車向けのエンジンへの採用が多く、レクサスなどの高級車にも搭載されます。

トヨタの場合は小型車の燃費対策にはハイブリッドが使えますので、そこまで直噴化する必要がないのです。

ホンダや日産、スズキは逆に中小型車への採用を進めており、コンパクトカーを中心に小型直噴エンジンや直噴ターボが数多く登場しています。

軽自動車にはまだ搭載されていないものの、技術的には十分可能です。

また他の中堅メーカーであるスバルやマツダはダウンサイジング化のための直噴をこのところ増やしており、ターボチャージャーとの組み合わせも増えてきました。

ですがダイハツに関しては直噴化はあまり成功しておらず、別のアプローチで燃料噴射系を工夫していますね。

MEMO

他にも海外で勢力が強いのはやはりフォルクスワーゲングループで、主力の中、小型車は数多くが直噴エンジンです。

それに追従するようにメルセデス・ベンツやBMWも相次いで直噴エンジンを増やしており、いまや世界のエンジンの何割かが直噴エンジンになるほどの広がりを見せています。

次からは直噴エンジンを搭載したいくつかの代表車種をご紹介します。

三菱 ギャラン GDI

 

View this post on Instagram

 

ℕ さん(@nadia_zenina)がシェアした投稿


まず直噴エンジンの先駆けともなった三菱のGDIエンジン搭載車、ギャランをご紹介しましょう。

ギャランは長らく三菱の中型セダンとして名前を知られた車種で、スポーティな外見のセダンは若者に大人気でした。

GDIが搭載されたのは1996年発売の8代目ギャランからですが、2005年の生産中止まで同エンジンで頑張った車種です。

その後は別の車であるランサーのセダンタイプの車種として名前が残りましたが、現在はギャランはラインナップから外れています。

スペックギャラン VR-G7代目ギャラン GE
エンジン4G94(GDI)型 1,999cc 直列4気筒DOHC16バルブ6A11型 1,834cc 直列4気筒SOHC16バルブ
最高出力107kW(145ps)/5,700rpm81kW(110ps/6,000rpm
最大トルク191N・m(19.5kgf・m)/3,750rpm154.0N・m(15.7kgf・m)/3,000rpm

前型モデルから排気量アップとともに直噴化でのパワーアップを果たしており、ベースグレードでの比較でも十分しっかりした性能が発揮されています。

特にトルクは20kgf台にまできており、なかなかよい発進加速が得られるでしょう。

その走行感覚は車好きには愛されてなかなか良いセールスを記録したのですが、一方でいかんせん燃費が悪いのがたたって後半はモデルチェンジもされませんでした。

カタログ燃費は10km/L前後ぐらいだったのですが、実燃費としては7km/L程度とかなり悪かったようです。

ギャランの消滅とともに三菱のGDIエンジンは終焉を迎え、現在ではポート噴射の環境エンジンとハイブリッドや電気自動車などの電動化に軸足を移しています。

トヨタの新型直噴エンジン:クラウン

トヨタ クラウン

一方トヨタでは直噴エンジンの開発は非常に活発で、2.0L~2.5Lクラスの直列4気筒エンジンで直噴エンジンが多数登場しています。

またV6やV8エンジンでも直噴エンジンを多数持っており、ハイブリッドとは違ったトヨタの一面を見ることができます。

トヨタの最新型直噴エンジンは、トヨタのフラッグシップモデルである最新型クラウンにも採用されており、2.0L直噴ターボエンジンなどはダウンサイジング化の流れをくむものです。

スペック2.0Lターボ 2.5Lハイブリッド3.5Lハイブリッド
エンジン8AR-FTS型:
1,998cc 直列4気筒 直噴DOHC
A25A-FXS型:
2,487cc 直列4気筒 直噴DOHC
8GR-FXS型:
3,456cc V型6気筒 直噴DOHC
モーターなし1KM型:交流同期電動機2NM型:交流同期電動機
最高出力180kW(245PS)/
5,200-5,800rpm
エンジン:
135kW (184PS)/
6,000rpm
モーター:
105kW (143PS)
システム:
166kW (226PS)
エンジン:
220kW (299PS)/
6,600rpm
モーター:
132kW (180PS)
システム:
264kW (359PS)
最大トルク350N・m (35.7kgf・m)/
1,650rpm-4,400rpm
エンジン:
221N・m (22.5kgf・m)/
3,800-5,400rpm
モーター:
300N・m(30.6kgf・m)
エンジン:
356N・m (36.3kgf・m)/
5,100rpm
モーター:
300N・m(30.6kgf・m)

クラウンはハイブリッドを含めた全モデルが直噴化されており、現在ではトヨタを代表するエンジンとなっています。

直噴エンジンのレスポンスの良さはクラウンにスポーティなイメージを与えることに成功しており、ハイブリッドではモーターによりトルクと燃費も向上しています。

またベースグレードの2.0Lエンジンは直噴ターボとなっており、直噴ダウンサイジングターボの代表エンジンの一つです。

スペックを比較してみるとわかるのですが、2.0Lエンジンにもかかわらず上級グレードの2.5Lエンジンに匹敵する最高出力を持っています。

さらにトルクに関しては2.0Lエンジンの方が圧倒的に高く、小さい排気量では走りも悪いというのは過去のこととなりました。

トヨタはこの他にもV8エンジンまで直噴化が進んでおり、そちらはトヨタの上級ブランドであるレクサスに採用が多いエンジンです。

フォルクスワーゲン 新型ポロ

フォルクスワーゲン ポロ

直噴エンジンのもう一つのトレンドを作り出したフォルクスワーゲンも新型の直噴エンジンを続々登場させており、最新型のコンパクトカー ポロには1.0L直列3気筒直噴ターボエンジンというコンパクトなエンジンが積まれています。

ポロはフォルクスワーゲンのコンパクトカーのエントリーモデルで、ゴルフよりも一回り小さい車体が日本などでは人気があります。

国産車だとトヨタ ヴィッツやホンダ フィットクラスの車なので、フォルクスワーゲンの重要な売れ筋車種です。

6代目となる新型ポロは2018年発売で、まさに最新の直噴エンジンが搭載されています。

スペックポロ
エンジンEA211型 999cc直列3気筒DOHCターボ
最高出力70kW(95ps)/5,000rpm-5,500rpm
最大トルク175Nm/2,000rpm-3,500rpm

ポロに採用される3気筒直噴エンジンはゴルフなどの4気筒直噴エンジンと共通設計化(モジュラーエンジン)となっています。

従来は3気筒と4気筒は全く別のエンジンとして設計されていましたが、現在は可能な限りの共用化とコストダウン、信頼性設計の共有化などによって効率的な設計手法を取ります。

ポロクラスの車としては標準的なスペックと言えますが、それを実現しているのはわずか1.0Lの小型エンジンであり、直噴化とターボが高い効果を発揮しています。

また走行感覚も低速トルクの効きが良くてキビキビしており、3気筒エンジン特有のノイズもそこまで気になりません。

ポロは日本のフォルクスワーゲンの中でも最量販モデルであり、コンパクトカーながら欧州譲りのしっかりした走りは魅力的です。

直噴エンジンの今後

直噴エンジンはここまでご説明したように世界的に大きな広がりを見せており、年々進化するエンジン効率追求のためには必須の技術と言えます。

ポート噴射にもそれなりのメリットがあるので直噴一辺倒とはならないでしょうが、ガソリンエンジンのトレンドを2分する流れは今後も続きます。

ですが直噴エンジンにはPMの問題が常につきまとっており、今後排気ガス規制などでPMの排出削減が必要となると直噴エンジンは厳しくなります。

対応にはコストのかかる触媒などを使わなければならず、もともとコストの高い直噴エンジンには厳しい状況となるでしょう。