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ロータリーエンジンとは?仕組みのメリット5つとデメリット6つを解説!

ロータリーエンジンはマツダ自動車が長年量産車に採用していたエンジンで、世界の名だたるメーカーのなかでもマツダしか実用化していない珍しいエンジンでもあります。

構造も特徴も普通のレシプロエンジンとは違った独自のもので夢のエンジンと呼ばれていたこともありましたが、現在はある理由から一旦生産中止となっています。

今回はそんなロータリーエンジンの特徴や構造、また生産中止となった背景など、このエンジンのすべてをご紹介しましょう。

ロータリーエンジンとは

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ロータリーエンジンはマツダが世界に誇る珍しい構造をもつエンジンで、一般的なレシプロエンジンがピストンの往復運動を回転運動に替えて動力を産み出しているのに対し、ロータリーエンジンは最初から回転運動のみで動力を産み出せるので「ロータリー」という名前がついています。

マツダでは1967年にコスモスポーツというスポーツカーに初搭載され、以降マツダのフラッグシップモデルに数多く採用されてきました。

2012年にRX-8の生産終了とともに一旦ロータリーエンジンは生産終了となりましたが、独特な構造と小型軽量でハイパワーを出せるこのエンジンはいまでもファンが非常に多く、復活を待ち望む人はかなりの数に上ります。

ロータリーエンジンは丸みを帯びた三角形(おむすび型)のローターが、円を二つ繋いだようなハウジングの中を回転することによって作動するエンジンです。

ローターがハウジングの中を一回転する間に、内燃機関エンジンの基本動作である、吸入、圧縮、爆発(膨張)、排気を行っており、円と三角形の位置関係で圧縮や膨張が起こります。

ロータリーエンジンの動きはなかなか文章ではわかりづらいので、まずは次の動画をご覧ください。1:50あたりから動きがよくわかる動画となっています。

そんなロータリーエンジンですが、まずは簡単に歴史をご紹介し、その後に構造についてご説明しましょう。

ロータリーエンジンの誕生

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ロータリーエンジンはマツダが完全な実用化を行っているのでマツダが開発したと思っている人も多いと思いますが、実はそうではなく発明者はドイツ人のフェリクス・ヴァンケルという人です。

1951年にNSU(現在のAUDI)にてヴァンケルを中心としてロータリーエンジンの開発が始まり、1957年に開発に成功しました。

それまでのレシプロエンジンの構造とはまったく違う革新的なエンジンとして高い評価を受け、未来のエンジンと称されることもありました。

このことからロータリーエンジンのことを「ヴァンケルエンジン」と呼ぶこともあります。

NSUは西ドイツの自動車メーカーでしたので、世界初のロータリーエンジン搭載車はマツダではなく、NSUの「ヴァンケルスパイダー」です。

1964年に登場したヴァンケルスパイダーは500cc 1ローターのロータリーエンジンを搭載していましたが、それまでの同排気量のレシプロエンジンと比較しても2倍近い出力を出す画期的なエンジンであり、当時の世界の自動車技術の中でも最先端だったのです。

そんなロータリーエンジンの素晴らしい性能に世界中の自動車メーカーがこぞって参入し、NSUからライセンス供与という形でロータリーエンジンの開発競争が始まりました。

当時マツダはそんなメーカーたちの1社であり、ダイムラー・ベンツ、ロールスロイス、ポルシェなどの大メーカーに埋もれた日本の中小メーカーに過ぎなかったのです。

しかし開発したNSUでさえこのロータリーエンジンの問題点をすべて克服できているわけではなく、ヴァンケルスパイダーで実用化にはこぎ着けたもののトラブルも多発し、決して成功というわけではありませんでした。

ヴァンケルスパイダーの後継車で量産セダンタイプの「Ro 80」も発売されましたが、ロータリーエンジン特有のトラブルはまったく解消されておらず、この車のトラブル対応の費用がかさむことでNSUは経営が傾き、フォルクスワーゲン傘下のアウディに吸収される形でNSUは消滅しました。

なぜいまでも、マツダがロータリーエンジンを世界ではじめて実用化した、と言われているかと言えばこのトラブルを完全にクリアしたためであり、本格的に実用レベルのロータリーエンジンが開発できたのはマツダがはじめてだったのです。

悪魔の爪痕

明広 田代さん(@akihiro_tashiro)がシェアした投稿

ロータリーエンジンの開発における最大の問題点はマツダ社内では「悪魔の爪痕」と称されるほど開発陣を苦しめたものでした。

ロータリーエンジンはおむすび型のローターの頂点が常にハウジングの内面に接触しており、そこでシールすることでガスの圧縮、膨張などを区切っています。

頂点にはアペックスシールと呼ばれるゴムを主体としたシール材が付いているのですが、このアペックスシールがハウジングの内壁を擦ってできる傷「チャターマーク」がロータリーエンジン開発の最大の障害で、爪で引っ掻いたような痕なのでマツダの開発陣からは「悪魔の爪痕」と呼ばれていました。

NSUでの開発時にもすでにこの問題はあったのですが、何より世界初の実用化を急いだために欠陥を抱えたままヴァンケルスパイダーやRo 80は発売され、走行距離が短いにも関わらずトラブルが続出する耐久性のないエンジンとなってしまっていたのです。

マツダがNSUからライセンス供与を受けて貸し出されたNSUのエンジンにもすでにこのチャターマークが現れており、マツダのロータリーエンジン開発は悪魔の爪痕との対決といってもよいものでした。

言葉でまとめるほど簡単な開発ではありませんが、最終的にはマツダの開発陣は悪魔の爪痕が起こる最大の原因がアペックスシールの共振によって起こることを突き止めます。

チャターマークの発生については解決の目処はたったものの、もうひとつアペックスシールの耐久性も上げなければエンジンの耐久性は向上しません。

長期間高速回転と圧縮や爆発の圧力に耐え、さらに高温にさらされるという非常に過酷な環境に耐えるアペックスシールでなければ、そのうちシール性が悪化して圧縮抜けなどの原因となります。

100種類以上のさまざまな材料を試しました。牛骨すら試した結果、最終的にはゴムにアルミを浸透させる新素材を使って十分な耐久性を確保できました。

ロータリーエンジンの開発の肝はまさにこのアペックスシールの設計と耐久性を確保することにあり、NSUが解決できなかった問題はマツダによってようやく解決されたわけです。

ロータリーエンジンの構造

ロータリーエンジンは基本的にはおむすび型のローター、繭型のハウジング、エキセントリックシャフトと呼ばれる出力軸から成り立っています。

ローターには三ヶ所のかどにアペックスシールがあり、ハウジングとの間をシールしながらローターとともに回転します。

ロータリーエンジンは基本的にはガソリンエンジンとして稼働させますので点火にはスパークプラグを使いますが、火炎伝播を良好にするためにローターひとつについてスパークプラグが2箇所あるのが特徴です。

そしてハウジングの外周にはウォータージャケットが刻まれており、水冷式のエンジンを形成しています。

レシプロエンジンに比べると非常に単純な構造で部品点数も少なく、またコンパクトにエンジン本体がまとまりますのでスペース効率がよいエンジンとなります。

エンジンの排気量はローターの吸入行程と圧縮行程の差で決まり、マツダのエンジンではおおよそ1ローターで600cc前後となります。

普通乗用車用としては1ローターでは不足ですので、基本的にはローターを連結して2ローターや3ローターとして使われます。

レシプロエンジンでは混合気の吸入、排気ガスの排出のコントロールにはバルブと呼ばれる弁を使いますが、ロータリーエンジンの場合はローターそれ自体がバルブの役割を果たすためバルブ関係が不要なのもコンパクトのまとまる理由です。

ロータリーエンジンの構造上の弱点はやはりシールにあり、ハウジングに接触する面積の多いアペックスシールがもっとも重要ですが、それ以外もローター側面をシールするサイドシール、アペックスシールとサイドシールの繋ぎ目をシールするコーナーシールと、レシプロエンジンに比べてシールする継ぎ目が多いのです。

また各シールとハウジングの接触面には潤滑油としてエンジンオイルが必要で、オイルの膜がなけれシールはすぐに焼き付いてしまいます。

そのためハウジングの横からオイルを噴出させる構造となっており、シールを潤滑したオイルの一部ははガソリンと一緒に燃焼されます。

レシプロエンジンとはまったく違う構造を持つロータリーエンジンは軽量コンパクトな反面、技術的には高度なものが必要であり、マツダ以外が最終的に開発から撤退するほど難しいエンジンなのです。

ハウジングとローター形状

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ロータリーエンジンのハウジングとローターは円と三角形が完璧に隙間なく回転する奇跡のような形状をしていますが、実はこの形状は「ペリトロコイド曲線」という数学的に確立された形状であり、道具さえあれば簡単に紙の上に描くことができます。

ペリトロコイドの書き方は、まずある軸に内接する円を描き、この軸と円の半径の比を2:3とし、その円を軸上で内接させながら回転させます。

その円上の1点が描く軌跡がペリトロコイド曲線となり、ロータリーエンジンではハウジングの形状になります。

またその円がペリトロコイド曲線と干渉しない範囲を作図してみると3つの頂点を持つおむすび型の三角形となり、これがロータリーエンジンのローター形状となります。

数学的に確立された形状なので無駄がなく美しい形状となっており、一見複雑に見える形状ですが実は単純な形状でもあるのです。

しかし紙の上では簡単に描けるペリトロコイド曲線ですが、それを実際のエンジンで再現するのは大変なものであり、連続した曲線で作られるハウジングやローターを製作するにはかなりの技術力と加工工作精度が必要となります。

レシプロエンジンを製作する時とはまったく違う設備や加工機械を持たなければならないのも、ロータリーエンジンを実用化する上での障害となるのです。

ロータリーエンジンのメリット

さてマツダがどうしてこんな難しいエンジンに挑んだのかと言えば、ロータリーエンジンにしかないいろいろなメリットがあるからであり、それは総じてハイパフォーマンスエンジンに向いているメリットといえるでしょう。

レシプロエンジンの2倍の回転

まずロータリーエンジンの構造上の大きなメリットは同排気量のレシプロエンジンより大出力を出すことが可能という点で、シャフト一回転あたりの爆発回数がレシプロエンジンの2倍あることがその理由です。

レシプロエンジンの主流である4ストロークエンジンでは吸気→圧縮→燃焼→排気の各工程を順番にこなすため、クランクシャフトが2回転するごとに爆発が一回起きるサイクルとなっています。

それに対してロータリーエンジンではローターの回転に伴って各行程が同時並行的に進みますので、シャフト1回転あたり1回ずつ爆発が起こる構造となっており、単純計算でレシプロエンジンの倍の出力を出せるわけです。

実際にはいろいろな損失によって2倍都まではいきませんが、1.5倍ぐらいは確実に出力が高くなっておりロータリーエンジンの税金を決める根拠ともなっています。

マツダの2ローターのエンジンは1,300ccほどですが、実力的には2,000cc前後のレシプロエンジン並みの出力があります。

実際マツダ RX-7に搭載された13B型エンジンなどは1,300ccでターボも併用してですが、280馬力前後の最大出力を持っており、当時日産やトヨタなどの2.5L~3.0Lエンジンと同レベルのスペックを持っています。

排気量が小さいながらも格上の出力を叩き出せるロータリーエンジンですので、NSUが発表した当時に未来のエンジンと呼ばれた訳がよくわかるでしょう。

軽量コンパクトで搭載が容易

排気量が少なくても出力が出せると言うことはそれだけエンジンを小さくすることができるのですが、ロータリーエンジンはそれだけでなく構造上も単純なのでコンパクトにまとめられます。

レシプロエンジンはシリンダー、ピストンやコンロッド、クランクシャフトなどの大きな部品のほかにも、バルブの動弁系部品、タイミングチェーンなどの伝達系部品が必須であり、かなり複雑で部品点数がどうしても多くなります。

しかしロータリーエンジンは構造上そういったものが一切不要で、ハウジング、ローター、エキセントリックシャフトぐらいが大きな部品としてあるだけで非常に単純な構造で構成されます。

そのためエンジン本体は高さも幅もエンジン全長も短い非常にコンパクトなものに仕上がっており、レシプロエンジンでは実現不可能なほど小型のエンジンにできます。

エンジン本体が小型ということは重量も当然軽くなるわけで、自動車部品の中で最大限の重量を持つエンジンが軽くなるというのは走行性能や燃費に与える影響ははかり知れません。

さらに車への搭載スペースも少なくてすみますので、車自体をコンパクトにすることも可能です。

実際最初のロータリーエンジン搭載車であるヴァンケルスパイダーはベース車両にはレシプロエンジンが搭載されていたのですが、ロータリーエンジンに変更してスペースが余った結果、エンジンの上側に荷物スペースが作られたほどなのです。

小型、軽量コンパクトで高出力を叩き出すロータリーエンジンは車の走行性能を確実に向上させることができ、特にスポーツカーには持ってこいのメリットとなります。

エンジン回転が滑らかで振動が少ない

ロータリーエンジンは動作が回転運動しか伴わないので回転が滑らかであり、また発生する振動が少ないというメリットがあります。

レシプロエンジンはピストンの上下運動をクランクシャフトで回転運動に変換しているので、その変換時にはどうしてもロスが発生することとなりエンジンの回転はぎくしゃくします。

多気筒化によってある程度は緩和できるものの、根本的にロータリーエンジンのように回転運動のみで回るエンジンより劣ってしまいます。

また前述した爆発回数でも回転の滑らかさは違っており、シャフト2回転で1回爆発するよりも1回転で1回爆発するほうが連続して回転させることができるわけです。

またレシプロエンジンではピストンの上下動による上下振動がどうしても発生します(水平対向エンジンを除く)が、回転運動しかしないロータリーエンジンではその問題がなく、エンジン振動も低く抑えられます。

エンジン振動はエンジンの騒音に直結しますので、ロータリーエンジンは低振動、低騒音のエンジンであるわけです。

バルブがなく摩擦損失が少ない

レシプロエンジンでは必須の吸排気バルブは、バルブを稼働させる際に動弁系の部品に摩擦損失を発生させてしまうので、少なからず出力や燃費に影響を与える原因となります。

しかしロータリーエンジンは動弁系が不要なエンジンですので、そういったところでの摩擦損失が発生しないメリットを持ちます。

動弁系はエンジンのなかでも複雑で部品点数の多い構造で、バルブを上下させるロッドやアーム、バルブ開閉を制御するカムシャフト、カムシャフトとクランクシャフトを繋ぐタイミングベルトなど、さまざまな構成部品を持っています。

いずれもレシプロエンジンでは当たり前の構造で簡単に廃止などできないのですが、これらすべてが不要なロータリーエンジンがどれだけのコスト的、重量的なメリットを持つかは自明の理です。

またほとんどが回転部品と擦動部品で構成されていますので、部品と部品の接触する箇所には必ず摩擦が生まれてしまい、それが損失となって性能にも小さくない影響を与えます。

動弁系部品はエンジン本体のスペースもかなり占有するものなので、搭載性の面でもロータリーエンジンが大きなメリットを持ちます。

Noxの発生が少ない

ロータリーエンジンは後述する理由でエンジン内の燃焼温度が低く、高温燃焼時に発生する有害物質であるNox(窒素酸化物)の生成が少ないことはメリットとなります。

ガソリンエンジンの排気ガス中の有害物質はおもに3つあり、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、Nox(窒素酸化物)の3種類です。

車の排気ガス規制ではガソリン車はこれら3つをすべて削減せねばならず、中でもNoxは処理の難しい成分でもあります。

その生成が少ないのは喜ばしいことではあるのですが、実はロータリーエンジンは他2つの発生が多くなってしまうデメリットを抱えており、これがロータリーエンジンが生産中止に追い込まれた大きな原因のひとつでもあるのです。

では次にそういったロータリーエンジンのデメリットをご説明していきましょう。

ロータリーエンジンのデメリット

ロータリーエンジンはエンジン性能や車の走行性能といった点ではレシプロエンジンよりも大きく優れており、未来のエンジンと呼ばれるのもうなずけます。

しかしその反面特徴的な構造からくるデメリットも多く、特に環境性能に対してはレシプロエンジンより大きく劣るためにロータリーエンジンを開発していた世界のメーカーが撤退していった経緯があります。

マツダは長らくロータリーエンジンの改良を重ねて初期よりは大きく環境性能を改善したロータリーエンジンを実現してきたものの、年々厳しくなる規制に次第に対応できなくなっていき、2012年についに生産中止を決定します。

2012年以降もロータリーエンジンが復活していないのは環境対応がうまくいかない為と言われており、今後新型ロータリーエンジンが登場するためには後述するデメリットの克服が欠かせないでしょう。

熱効率が悪く、燃費が悪い

レシプロエンジンに代表される内燃機関にはその効率を示す「熱効率」という指標があり、燃料の持つ燃焼エネルギーのどのぐらいをエンジン出力に変換できているかを表します。

熱効率が高いほど少ない燃料で出力を発揮できるので燃費がよくなるのですが、ロータリーエンジンは構造上レシプロエンジンより熱効率が低いため燃費が大幅に悪いのです。

熱効率を悪くする原因はさまざまな損失にあり、後述する冷却損失などもその大きな原因となります。

しかしロータリーエンジンは構造的に熱効率をあげられない理由があり、それはエンジンの圧縮比をあげられないことにあります。

内燃機関の熱効率をある程度向上させるのは実はそこまで難しくなく、エンジンの圧縮比をあげれば熱効率は比例して上がっていきます。

レシプロエンジンではピストンの移動するストロークを長くとれば圧縮比は簡単に上がるのですが、あげすぎるとノッキングという別の問題は出てきます。

しかし圧縮比11.0~13.0ぐらいまでは現在のレシプロエンジンで実現可能なレベルなのですが、ロータリーエンジンは9.0~9.5がこれまでの実績の限界です。

レシプロエンジンと違ってロータリーエンジンの圧縮比はハウジングとローターの形状で決まってしまっており、またその形状もペリトロコイド曲線という数学的な曲線に沿っています。

そのためレシプロエンジンほど自由に圧縮比を変えることができず、圧縮比を下げるだけならローターにつける窪みの形状で調整は可能ですが、圧縮比をあげる方向には構造変更が難しいのです。

ですので燃費を向上させようにももっとも効果が高い方策が使えず、「ガソリンを撒いて走る」などと揶揄されるほど燃費がわるいのが大きなデメリットです。

また熱効率が悪いことで低速時のトルクも低くなってしまうデメリットを抱えており、ロータリーエンジンは低速に弱いと言われる原因でもあります。

未燃ガスが残留しやすく排気ガス規制への対応が難しい

もうひとつのロータリーエンジンの大きなデメリットは排気ガス規制への対応が難しいという点であり、このデメリットのせいでマツダはロータリーエンジンの生産を中止したのです。

前述でNoxの生成が少ないのはロータリーエンジンのメリットとご説明しましたが、その燃焼温度の低さという点はHCやCOの生成を増やす結果となり、その浄化に多大な費用が必要となります。

とくにHCはロータリーエンジン最大の問題で、その発生原因はロータリーエンジンの燃焼質形状が複雑という点にあります。

ガソリンエンジンの燃焼はスパークプラグから始まって次第に回りの燃料に燃え移っていくのですが、プラグから遠い場所には火炎が行き渡らなくなることがあり、ロータリーエンジンではそれが顕著なのです。

ロータリーエンジンの燃焼室の隅っこは鋭角で火炎伝播を阻害する形となってしまっており、ここの未燃ガスからHCが大量に発生します。

マツダは年々厳しくなる排気ガス規制に対応させるため、この未燃ガスをサーマルリアクターという方法でもう一度燃焼させることで完全燃焼させる方式で対応してきました。

しかしそれは燃料を使って燃焼させるために、元々燃費の悪いロータリーエンジンの燃費をさらに悪化させることとなってしまい、燃費と環境性能という板挟みにあってしまいました。

またガソリンエンジンの排気ガス対策には三元触媒という触媒システムで大部分が解決するのですが、HCの多すぎるロータリーエンジンでは三元触媒だけでは対応が難しく、HCの低減をする必要があります。

マツダのここ20年のロータリーエンジン開発はこの排気ガス規制対応であったといってもよく、燃焼室形状の見直し、点火エネルギーの増加、直噴化などさまざまな対策がとられたのですが、燃費の向上と排気ガス規制への対策を同時に進化させることが技術的に難しくなったためロータリーエンジンは生産中止となったのでしょう。

エンジンの冷却損失が大きい

ロータリーエンジン熱効率が上がらないもうひとつの理由は冷却損失が大きなことで、これも燃費を悪化させる原因となります。

冷却損失はエンジン本体が奪っていく熱の多さを言うのですが、ロータリーエンジンはハウジングの表面積が大きくそこから奪われる熱が大きいので、燃料のエネルギーの多くを熱として捨てていることになります。

またローターが燃焼しながら回転する構造上燃焼ガスの温度も下がりやすい構造となってしまっており、構造的にロータリーエンジンは冷却損失が大きいというデメリットを抱えてしまうのです。

しかし冷却性能自体を落としてしまうと熱に弱いアペックスシールなどのシール部品が焼き付いてしまうためそれも難しく、効率のよい冷却ができていないことを意味します。

各シールの摩擦損失が大きい

冷却損失も大きいロータリーエンジンですがもうひとつ大きな損失がシール部での摩擦損失で、シール部分の多いロータリーエンジンではどうしようもないデメリットでもあります。

レシプロエンジンではシールによる摩擦損失はピストン回りのピストンリングぐらいなものですが、ロータリーエンジンでは前述したように3種類ものシール部品があり、その接触長もレシプロエンジンより長いのです。

その長いシールがローターの回転と共にハウジングとの間で摩擦損失を生むので、その分やはり燃費に悪影響が出ます。

ちなみにその摩擦は熱に変換されるので冷却損失が大きくなる原因ともなります。

オイル消費量が多い

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接触長の長いシール部品はその分潤滑を必要としており、潤滑用に使われるエンジンオイルの量はレシプロエンジンよりも多くなります。

とはいってもエンジンオイルがなくなるほどのレベルではなく、常識の範囲内でレシプロエンジンより多いと言うことです。

ロータリーエンジンのシール、とくにアペックスシールにはオイルによる潤滑が不可欠で、初期の頃には吸気内にエンジンオイルを吹き入れることで燃焼と同時に潤滑も行う構造でした。

しかしそれでは効率が悪い面もあり、最終的にはサイドハウジングから直接シールにオイルを噴射する方式となりました。

どちらの形式でも噴射されたオイルの一部はガソリンと共に燃えてしまってガスとなるので、オイルが再循環できる量もレシプロエンジンより少なくなります。

そのためロータリーエンジンではエンジンオイル交換のメンテナンスが重要であり、またオイルも燃えてもカーボンなどの堆積の少ない専用オイルを使う必要があります。

オイル交換費用がレシプロエンジンより多いというのがデメリットとなるのです。

頻繁なメンテナンスが欠かせない

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ロータリーエンジンは長期間の耐久性を確保するためにはメンテナンスがとくに重要で、オイル交換もそうですがエンジン内部部品の洗浄や交換もレシプロエンジンより気を使う必要があります。

ここでも問題となるのはやはりシール部分であり、シールは長期間のエンジン回転や高熱、高圧、摩擦などで少しずつ劣化していきます。

シールが劣化していくと少しずつですが気密が保てなくなっていき、「圧縮抜け」と呼ばれる圧縮ガスの漏れが起こるようになります。

また潤滑用のオイルが燃焼した際に発生するスラッジなどが堆積することでも圧縮抜けが起こり、レシプロエンジンよりもそういった現象が起こりやすいエンジンといえます。

それを解消するにはまずもってシール類の交換とエンジン内部の洗浄が欠かせず、メンテナンスをしっかり行うことで圧縮抜けがない状態に戻すことが可能です。

そういったメンテナンスを行ってはじめてロータリーエンジンはレシプロエンジンと同等レベルの耐久性を持たせることができるので、しっかりしたメンテナンスがロータリーエンジンには欠かせないのです。

当然維持費はレシプロエンジンより多くなるので費用面がもっとも大きなデメリットといえるでしょう。

ロータリーエンジンの車は買いか

ロータリーエンジンは前述のとおりメリットもデメリットも多数あるエンジンですので、ロータリーエンジンは乗り手を選ぶエンジンといえます。

そのためロータリーエンジンの搭載車は生産中止となった今ではより向き不向きがあり、ロータリーエンジンのメリットに合った人でなければ長く乗ることはできないでしょう。

ロータリーエンジンのメリットはなんといっても軽量コンパクトでパフォーマンスに優れるという点です。

そのため何より車の走行性能を重視する人、快適性や燃費よりも走りのよさを重視する人にはいまでもロータリーエンジン搭載車は素晴らしい1台といえます。

燃料代もメンテナンス費用も普通の車より多くなりますが、そういった費用面のデメリットに対応できる経済力も必要でしょう。

しかしロータリーエンジンを快適な乗用車という形で乗ろうとすると決してよい選択肢とはいえません。

とくに最終型のRX-8にしてもすでに登場から6年以上経過しており、車自体もそれなりに劣化が進んでいます。

ロータリーエンジン車への知識がそれなりにありメンテナンスの重要性を認識しているオーナーでなければそのうち大きなトラブルに遭遇してロータリーエンジン搭載車を手放さなければならなくなるでしょう。

ロータリーエンジン搭載車はスポーツカーとしての素晴らしい性能からファンも多く、いまでも憧れを持っている人は数多くいるのですが、今現在となっては憧れだけではのり続けることは難しくなってきている車と言えるでしょう。

ロータリーエンジンの搭載車

ロータリーエンジン搭載車はマツダでも車種は少なく、選択肢も少ないのですが中古車としてまだ購入できる車は多いです。

そんなロータリーエンジン搭載車をいくつかご紹介しましょう。

RX-8

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RX-8はマツダの最後のロータリーエンジン搭載車で、最終型のロータリーエンジンである「RENESIS」が搭載されています。

2003年から生産が開始され、2012年に生産終了した割と生産期間は長いモデルでした。

マツダを代表するスポーツカーのRX-7の後継として開発された車ですが、RX-7よりも乗用車寄りの車となっており、変則的ですが観音開き式のクーペタイプの4ドアセダンとなっています。

北米への展開も視野に入っているため後席の居住性もそれなりにあり、バランスのよい車に
仕上がっています。

RX-8
エンジン13B-MSP型 654cc×2
最高出力250PS/8,500rpm
最大トルク22.00kgf・m/5,500rpm

搭載されるロータリーエンジンは2ローター式との13B-MSP型で、654cc×2の排気量から250馬力を発生させます。

RX-7のエンジンはターボチャージャー付きの過給エンジンでしたが、RX-8では自然吸気のエンジンになっておりレスポンスと低速トルクが増しています。

車として運転しやすいエンジンに仕上がっています。

RX-8は性能的にももっとも進化したロータリーエンジン搭載車ですが、それよりなによりもっとも新しい車であるというのが最大のメリットであり、中古車としてはまだ十分なクオリティを残している車種といえます。

性能面でもまた車の使い勝手のよさからも最良のロータリーエンジン搭載車です。

RX-7 FD型

マツダのロータリーエンジン搭載車の代名詞といえばRX-7で、その最終型がFD型です。

RX-8より一世代古い車で、1991年~2002年が生産期間の20年近く前の車となります。

RX-7は純粋な2ドアクーペタイプの車で、流線型を多用した滑らかなデザインはいまでも化なりの人気を誇ります。

スペックもスポーツカーとして素晴らしいものがあり、マツダの誇る最高級車としての性能をしっかりと保持しています。

RX-7 FD
エンジン13B-REW型 654cc×2 直列2ローター
最高出力280PS/6,500rpm(MT)
265PS/6,500rpm(タイプRB)
255PS/6,500rpm(AT)
最大トルク32kg·m/5,000rpm(MT)
30kg·m/5,000rpm(タイプRB)
30kg·m/5,000rpm(AT)

エンジンにはロータリーエンジンにシーケンシャルツインターボを組み合わせた大出力エンジンとなっており、最高出力もトルクもかなりの性能があります。

その分燃費はかなり悪く、ハイオク仕様のRX-7は維持費がかなりかかるのが悩みの種です。

RX-7は生産終了から15年以上経過したいまでもかなりの人気があって、状態のよいRX-7は中古車市場で5,000,000円近くの値がつくほどプレミアがついてきています。

それなりの状態の車でも数百万円はかかる中古車になってきており、今後も値段は上がっていくでしょう。

しかしいくら高額だからといって古い車ということは変わりなく、ロータリーエンジンをはじめとした車のメンテナンスやオーバーホールなどは必要となった車が多いので、やはり維持費はかなりのものが必要となります。

現時点でロータリーエンジン搭載車として状態がよい車といえばRX-8、その次にRX-7しかなく、それ以前の車はさらに維持費のかかる大変な車であるといえます。

レースの世界で生き残るロータリーエンジン

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小型で軽量、高回転という特徴を持つロータリーエンジンはレース用エンジンとしても適したエンジンであり、レシプロエンジンより部品点数が大幅に少ないことでレースエンジンでは頻繁に行うオーバーホールの時間が短いことも大きな特徴ともなっています。

マツダはさまざまなレースへの参戦経験も豊富で、1970年ごろからはロータリーエンジンを搭載したレーシングカーを多数産み出してきました。

その集大成が1991年のル・マン24時間耐久レースで優勝した「787B」で、日本車としては初となる総合優勝をロータリーエンジンで成し遂げました。

小排気量で出力の高いエンジンはレースカーにはもってこいなのです。

ですが1992年からはマツダ本体がレースから撤退してしまったためロータリーエンジンのレースカーは急速になくなり、またロータリーエンジン自体がレシプロエンジンとの性能均衡が難しいのでロータリーエンジン搭載車の参戦ができないカテゴリーも増えてしまいました。

しかし現在でも北米ではロータリーエンジン搭載のフォーミュラーカーでのワンメイクレースが行われており、北米マツダが車両とエンジンを供給しています。

フォーミュラ・マツダとプロ・マツダ チャンピオンシップという2つのカテゴリーがあり、プロ・マツダ チャンピオンシップはアメリカで有名なレースであるインディ・カーレースへの登竜門のひとつとしてかなり重要なレースに位置付けられています。

そのため2012年に量産車用のロータリーエンジンは生産中止になったあとでもレース用として少数生産が続いており、RX-8に搭載されたロータリーエンジンをベースとしたエンジンが生産されています。

ロータリーエンジンの将来性

sekizsilindirさん(@sekizsilindircom)がシェアした投稿

マツダでは2012年にロータリーエンジンの生産を終了したあとも開発は続けており、燃費や排気ガス規制をクリアしたロータリーエンジンを模索し続けているようです。

数年に一度ぐらいの間隔で新型ロータリーエンジン登場の噂が流れて自動車業界が騒然としますし、数年前のモーターショーでは次世代の試作エンジンなども登場しました。

しかしながら現時点では正式にロータリーエンジン復活の話はでていません。

ロータリーエンジンはその特性をいかしてエコカーである水素ロータリーエンジンなども開発されていましたが、同じく水素を燃料とする燃料電池車などが出てきたことで開発は中止されているでしょう。

またハイブリッドカー用のコンパクトな発電用エンジンとして復活するなどの噂も出ていますが、発電用エンジンでも燃費の悪さというのは致命的なデメリットですので、かなりのブレークスルーがなければ実現は難しそうです。

ですが、マツダはここ10年でレシプロエンジンの開発においていくつもブレークスルーを成し遂げており、SKYACTIVという技術郡をもって世界初の構造や特徴を持つエンジンを開発してきました。

2019年にはこれまで世界のどのメーカーも実用化できなかったHCCI(予混合圧縮着火)エンジンの量産化も開始する予定であり、ことエンジン技術に関しては世界をリードする技術力をメーカーとなっています。

そんなマツダなのでロータリーエンジンの復活に期待するファンはまだまだ数多く、いまだロータリー熱は冷めやらぬのです。