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(クリーン)ディーゼルの煤問題とは?除去・洗浄や対策方法まで全て解説!

ディーゼルエンジンは自動車用エンジンとしてはトルクが高くて力強く、また燃費もよいという理想的なエンジンです。

ですがディーゼルエンジンの排気ガスには多くの有害物質が含まれており、そのうちの煤はディーゼルエンジンの大きな問題です。

今回はそんなディーゼルエンジンの煤問題をご説明します。

ディーゼルエンジンの煤問題とは?

320d エンジン

ディーゼルエンジンはピストンとシリンダーで構成されるレシプロエンジンの一種類で、圧縮着火機関と呼ばれる燃焼方法のエンジンです。

圧縮着火機関は燃料の自己着火によって燃焼を開始する構造で、ピストンで圧縮した高圧、高温の空気の中に燃料を噴射し、シリンダー内の高い温度で燃料自身が着火して燃焼します。

これに適している燃料が「軽油」でディーゼルエンジンの基本的な燃料となっていますが、その燃焼時にはさまざまな有害物質が発生することが知られており昔からディーゼルエンジンの大きな問題となっていました。

そのうちの一つが煤の問題で、専門的にはPM(粒状黒鉛)と呼ばれる細かなカーボンの粒子が発生することです。

この問題からディーゼルエンジンは一度国内で廃れたこともあり、現在はその対策を取り入れたクリーンディーゼルエンジンが主流となっています。

ではその煤の発生するメカニズムと問題点をご説明していきます。

煤の発生メカニズム

煤(PM)は炭素を主成分とするカーボンですが、そのカーボンは燃料である軽油が不完全燃焼することで生まれています。

ディーゼルエンジンは圧縮した空気に燃料を噴射することで燃料の温度をあげて着火しますが、その燃焼は均一ではなく燃焼室内で燃料の濃い範囲、薄い範囲などムラが出来ます。

エンジン動作時に燃料が燃焼できる時間は非常に短いもので、圧縮着火機関はとくにピストンが上死点付近にある圧縮の高い時間しか燃焼できません。

ポイント

ですが燃料が濃い部分では燃料と空気の混合が悪い部分ができるので燃焼時に燃料全てが燃えるわけではなく、酸素が少ない部分は不完全燃焼する部分がどうしても出来てしまうのです。

この不完全燃焼を起こした箇所で発生するのが煤であるPMで、霧状の細かい燃料の燃えカスなので非常に細かい物質です。

中国などで問題となるPM2.5もまさにこの一種類であり、ディーゼルエンジンではどうしても発生するものです。

自動車用のディーゼルエンジンでは、低速から高速までさまざまな運転条件がありますが、このうちPMが発生しやすいのはエンジン負荷が低い低回転時です。

つまり街乗りや信号待ちでのアイドリングなどで多く発生する物質であり、街乗りがほとんどの自動車では大きな問題です。

煤の環境への影響と対策

ディーゼルエンジンから排出されるPMは環境へ大きな悪影響を与えるもので、とくに人間の肺など呼吸器への影響が大きい物質です。

1990年の中頃までは国内でもディーゼルエンジン乗用車が発売されており、販売台数の10%程度のシェアがありました。

ですがディーゼルエンジン車の増加は大気汚染を加速させる大きな要因となり、昔からディーゼルエンジンへの排気ガス規制はどんどん厳しくなっていきました。

MEMO

ですがそれでもディーゼルエンジンから発生する有害物、とくにPMを含んだ真っ黒い黒煙の排気ガスはディーゼルエンジンへのネガティブなイメージを加速させることとなり、2000年に入るころにはディーゼルエンジン乗用車は国内でほとんどなくなりました。

ですが欧州ではディーゼルエンジンの持つ高トルク、低燃費、低CO2排出量などの特徴を重視してディーゼルエンジンの開発を続け、2000年以降に「クリーンディーゼルエンジン」と呼ばれる、高い排気ガス処理性能を持つディーゼルエンジンが生まれました。

クリーンディーゼルではDPF(Diesel Particulate Filter)と呼ばれるPM処理用の触媒が搭載されており、フィルター上の触媒でPMを排気ガスから99%以上分離し、非常にクリーンな排気ガスのディーゼルエンジンが実現できています。

クリーンディーゼルの登場によってディーゼルエンジンは未来につながる環境技術を手に入れ、PM処理に関してはDPFがその解決策です。

もうひとつの煤問題

ディーゼルエンジンの煤問題は排気ガスとともに排出されるPMが大きな問題でしたが、それはDPFの出現によってクリアできました。

ですがクリーンディーゼルエンジンではもうひとつ別の煤による問題が起こっており、それは煤がエンジン内部、とくにインテーク側に堆積してしまうというものです。

MEMO

PMは燃料の燃焼によって生まれるので、PMは基本的に排気ガスとともにエンジンから排出されるものです。

その排気ガスは排気管を通って車両後部まで運ばれて排出されますが、その途中にDPFが設けられておりそこでPMは分離されて処理されます。

そのため普通はPMがインテーク側に移動することはないのですが、そこにEGR(Exhaust Gas Recirculation)というシステムが組み合わされるとインテーク側にもPMが移動します。

EGRは排気ガスの一部を吸気管のほうに循環させるシステムで、その目的は排気ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)の生成を減らすことです。

NOxもディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる有害物質の一つで、他の有害物質より処理が難しくて大きな問題となっています。

ですがNOxは燃焼温度を下げることで生成を減らすことができるので、燃焼後の不活性ガスである排気ガスを吸気に混ぜることで燃焼温度を下げることが可能となります。

しかし排気ガスが吸気側に移動するとその中に含まれるPMの一部も一緒に運ばれますが、PMはエンジン内のエンジンオイルと結びついてスラッジと呼ばれる固形物を生成してしまい、それがディーゼルエンジンのインテーク側に堆積してしまうのです。

このスラッジの堆積はごく微量ずつ堆積していくのですが、走行距離が伸びればその分堆積料は増えていきますので、次のようなトラブルを引き起こすことがあります。

ディーゼルエンジンの煤が溜まり過ぎたら

大気汚染

ディーゼルエンジンの内部に煤やスラッジが溜まるのは近年のクリーンディーゼルエンジンの構造上仕方ないのですが、煤の溜まり過ぎはいろいろなトラブルを誘発します。

エンジン内部への煤の堆積はメーカーの設計要件の中には織り込み済みであり、ある程度の煤の堆積では直接的なトラブルは起こりにくくなっています。

しかしPMの発生条件は運転条件と密接に関連しているので、車の走り方によってはメーカーの想定以上に堆積することもあります。

煤が溜まりすぎると、次のようなトラブルが発生します。

DPFへの過剰な煤堆積

まずPMの発生が過剰になると、それを処理する触媒であるDPFへの過剰な堆積が起こり、それが原因でDPFの溶損などのトラブルにつながる場合があります。

MEMO

DPFはそもそも煤を触媒内に一度蓄積し、そこに高温の排気ガスを流し込むことで、未燃焼状態のカーボンを再燃焼して完全燃焼させます。

このプロセスを「DPF再生」といいますが、そうすることでカーボンは無害な排気ガスに変わり、大気汚染を起こさないクリーンディーゼルエンジンとなるのです。

ですがDPFに煤が溜まりすぎた状態でDPF再生を行うと、燃焼温度が高くなりすぎて触媒そのものを熱で溶損させてしまう場合があります。

DPFにはそうならないようにさまざまなセンサーが取り付けられており、DPFに過剰に溜まらないうちに自動的に処理しようとするのですが、運転条件が悪いと処理が出来ない場合もあるのです。

DPFの再生は排気ガスの温度が高くないと出来ないので、エンジンの回転数が高く燃焼エネルギーが高い領域がなければなりません。

通常は車のコンピューターによる自動処理を行いますが、溜まりすぎた時のためにクリーンディーゼル車にはDPFの警告灯と、手動再生スイッチが装着されています。

警告灯が点灯したら速やかに手動再生を行い、DPFから煤を適切に処理することが重要です。

インテークバルブへの堆積

EGRシステムを通ってインテーク側に移動したPMについてはエンジンオイルと混ざったスラッジとなりますが、これはインテーク側に少しづつ堆積します。

その堆積したスラッジはインテークのバルブ上部にも溜まり、それがバルブとシリンダーヘッド間に挟まると圧縮抜けなどの問題が出てきます。

インテークのバルブは吸気管からシリンダーの間にフタをしている部品ですので、インテーク側のスラッジはバルブ上部には溜まりやすい構造です。

ですが多少であれば吸気とともにシリンダーへと送り込まれ、そのまま燃焼されるので大きな問題とはなりません。

ですがスラッジの量があまりに多くなると少しづつバルブの上に堆積した上に、バルブとシリンダーヘッドの間にはさまってしまうのです。

バルブはしっかり密閉しなければならない部品なのに、そこにスラッジが挟まってしまえば微小とはいえ隙間が開くことになります。

注意

そこからはシリンダー内で圧縮した際の空気や燃焼ガスなどが漏れることとなり、いわゆる圧縮抜けのトラブルとなるのです。

圧縮抜けが起こるとエンジンの性能は正常に発揮できませんので、出力やトルクの低下、燃費の悪化などの問題が起こります。

もしエンジンの出力が前より出ない、燃費が著しく悪くなった、などの症状が出るならばバルブへのスラッジ堆積を疑う必要があるでしょう。

吸気抵抗の増大

スラッジの堆積はインテークマニホールドなどの吸気管の内部にも付着しますが、その付着によって吸気管の断面積は少しづつ狭くなります。

吸気管の断面積は吸気の抵抗に大きく影響しており、狭くなるとそれだけ空気を吸い込みにくくなりますので、吸気抵抗の増大という問題が起きてきます。

注意

スラッジの堆積はメーカーでも把握していて、ある程度吸気管の断面積低下も考慮に入れて設計されていますが、それでも過剰にスラッジが溜まった場合には問題となります。

吸気抵抗の増大はそのままエンジンの抵抗の増大ですので、エンジン効率の低下と出力低下などを引き起こします。

その影響はわずかづつ増加していくので気づきにくいのですが、以前より性能が低下していると感じるほどならスラッジ堆積が過剰になっている可能性があります。

スラッジによって吸気管が全て塞がることはほぼありませんが、もしそうなったらエンジンは停止してしまうでしょう。

PM、スラッジ除去のための整備費用

もしPMやスラッジの堆積が過剰になった場合、基本的にはエンジン部品を取り外して物理的にPM、スラッジを取り除く必要があります。

このトラブルは近年のクリーンディーゼルエンジンでは増加傾向にあり、ディーラーや自動車整備工場などでメンテナンスを受けることができます。

吸気管や排気管を外しての作業となるためそれなりの作業費用がかかり、100,000円前後が費用の相場です。

エンジン出力が低下するほどスラッジが堆積した場合には、このメンテナンスをしなければ正常には戻りませんので、クリーンディーゼルエンジン車に乗っている際にはこのトラブルにあう可能性はあると思っておいたほうがよいでしょう。

またもしDPFの溶損までトラブルが進展した場合にはDPF自体の交換と関連部品を含めた部品交換が必要ですが、その費用は150,000円〜200,000円近くにもなるほど高額なものです。

もしDPFの警告灯が点灯した場合にはすみやかに対処しましょう。

クリーンディーゼルエンジンの煤問題への対策

運転

クリーンディーゼルエンジンの煤の過剰な発生と堆積はディーゼルエンジン車の大きな問題であり、車の開発時にもさまざまな対策がトラれています。

しかしそれ以外にもドライバーの車の走らせ方による影響も大きく、煤の発生しにくい、また堆積させにくい走り方というのが重要となります。

ディーゼルエンジンのPMが発生する条件は前述したとおりエンジン負荷の低い領域ですが、煤の発生をできるだけ減らすためにはそういった領域をあまり使わないようにすることです。

つまりある程度エンジン回転が高い走行条件を続けることが重要で、ストップアンドゴーの多い街中よりも比較的スピードの出せる郊外を走るのは有効です。

住んでいる地域や道路条件、車の用途などによっても変わってきてはしまいますが、煤の発生の少ない走り方を把握しているだけでも走り方が変わるものです。

またDPFに関しても同様の走り方が重要で、DPFの再生に必要な排気ガス温度はエンジン回転数がある程度高くなければ生まれませんし、短時間の街乗りが多くなるとそもそもエンジンが温まらないので排気ガス温度は低下気味になります。

ポイント

そのためクリーンディーゼルエンジン車は一回30分以上の走行をすることが推奨されており、DPFの再生に必要な温度を生み出せる状況を作り出す必要もあります。

つまりクリーンディーゼルエンジン車は街乗りばかりや短時間の運転などが苦手であり、そういう乗り方を続けていると煤やスラッジによるトラブルに見舞われやすいと言えます。

それを防ぐためにはクリーンディーゼルエンジンに合わせた走り方を心がける必要があり、日本のようなディーゼルエンジンに慣れていないドライバーが多い国では特に重要です。

ディーゼルエンジン車は買いか?

現在日本市場ではクリーンディーゼルエンジン車が全体のわずか1%ほどのシェアしかありませんが、一時期完全に0になったことを考えればかなりクリーンディーゼル車を所有する人が増えたことを表しています。

ポイント

ですがガソリンエンジンとは違う走り方をしなければ煤によるトラブルが起こることを把握しているドライバーはまだ少なく、ここ数年でようやくそのトラブルが認知されるようになってきました。

そのためディーゼルエンジン車の煤やスラッジ除去のメンテナンスができる場所も増えてきており、以前より整備の面においては良い環境が出来つつあると言えるでしょう。

ディーゼルエンジンおよびクリーンディーゼル車には煤の問題は欠かせないので、ガソリンエンジン車より悪いのではないかと思われがちですが、ディーゼルエンジンのもつ高いトルクと燃費の低さはガソリンエンジンを凌駕する大きなメリットであり、十分クリーンディーゼル車には魅力があるのです。

煤の問題も走行距離が増えてこなければ顕著化しませんし、車の走り方をクリーンディーゼル車にあわせればそこまで大きなトラブルは起こらないでしょう。