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SOHCエンジンとは?仕組み/構造は?メリット3つデメリット3つ!

自動車のエンジンはこれまでさまざまな進化をしてきましたが、動弁系もいろいろな構造のものがあります。

そのなかにSOHCという仕様がありますので、今回はこれについて詳しくご説明していきます。

SOHCエンジンとは

エンジン

SOHCはオーバーヘッドカムシャフト(Single OverHead Camshaft)の略で、動弁系を動かすカムシャフトがシリンダーヘッドの上側に配置されているため、オーバーヘッドという名称となっています。

動弁系とは内燃機関エンジンのシリンダー上部にあるバルブをコントロールするシステムのことで、バルブの開閉によってシリンダー内に混合気を取り込んだり、排気ガスを排出したりします。

またピストンで圧縮するときにはバルブは閉じており、シリンダーを密閉する役割も持っています。

SOHCには次のような構造上の特徴があり、現在の自動車用エンジンの主流の構造です。

なおSOHCはOHC(OverHead Camshaft)とも呼ばれますが、これはDOHC(Double OverHead Camshaft)という構造が登場して区別のために呼ばれています。OHCでもSOHCでも構造は全く一緒です。

SOHCの構造

何種類かある動弁系の基本的な構造はバルブとその開閉をコントロールするカムシャフトによって構成されており、おもにカムシャフトの配置で種類が別れています。

エンジンの初期のころにはOHV(Over Head Valve)という形式が基本で、バルブはシリンダーの上にありますが、カムシャフトはエンジンの下側、クランクシャフト付近にあり、その間をプッシュロッドという棒で接続しています。

ですがSOHCではカムシャフトもシリンダーの上側に配置されており、プッシュロッドは不要となります。

またOHVはクランクシャフトとカムシャフトがギアなどで直動されているのですが、SOHCではクランクシャフトから遠いカムシャフトまで、タイミングベルトもしくはタイミングチェーンというベルト状の動力伝達装置をもっています。

これらの構造の違いと動きを簡単にまとめた動画がありますので、こちらも参考にしてください。


SOHCの基本構造は一本のカムシャフトが上側にあるということですが、バルブの作動方式にはいくつか種類があります。

なおバルブの本数に関してはDOHCよりSOHCのほうが少ないと思われがちですが、設計によってはSOHCでも4バルブ式のエンジンもありますので、本数には直接的に影響しません。

ロッカーアーム方式

SOHCの一番基本的な構造がロッカーアーム式で、カムシャフトからバルブの間にロッカーアームという別部品を介している構造です。

ポイント

ロッカーアームはOHVの頃から存在したもので、プッシュロッドで押し上げる力をバルブを押し下げる力に変換する、てこやシーソーのような部品です。

SOHCはプッシュロッドをなくしてカムシャフトで直接動かす形式なので、プッシュロッドがそのまま残っている形式がオーソドックスです。

後ほどご紹介する直動式に対してロッカーアームという部品がある分、摩擦や慣性質量の増加といったデメリットがあるものの、ロッカーアームの長さをチューニングすることでバルブのリフト量を調節できるというメリットを持ちます。

またアームを介しているのでカム自体を大型化しなくてもバルブリフト量を自在に変更できるのもメリットで、設計自由度が高い面があります。

直動式

直動式はSOHC化によって可能となった方式で、カムシャフトでバルブを直接押し下げる方式です。

MEMO

プッシュロッドもロッカーアームも不要という非常にシンプルな構造となっています。

実際にはカムシャフトとバルブの間にはタペットと呼ばれる金属筒がついており、これによりバルブにかかる圧力を分散してバルブの曲がりや破損を防いでいます。

タペットが直接カムに接しており、カムに常に触れることでバルブを上下させます。

またタペットとカムの接触をセッティングするために、薄い金属板であるシムによって高さを調節してあります。

ポイント

ロッカーアーム式に比べると部品が少なくなり、また慣性質量なども減っていることから一般的に高回転型の特性を得られるとされています。

ですが現在では設計によってはそうでない場合も多く、直動式のメリットはコンパクト化と部品点数の少なさ、重量の減少にあります。

バルブリフト量としてはロッカーアーム式より柔軟性が少なく、カムシャフト自体を変えないとバルブリフト量が変化できません。

なおこの直動式は進化版のDOHCにも受け継がれています。

SOHCの普及率

SOHCが初めて生まれたのは割と古く、1897年にルドルフ・ディーゼルが開発したディーゼルエンジンはSOHC式でした。

ですが当時のエンジンの主流はOHV式や別方式のサイドバルブ式が殆どで、SOHCが本格的に普及し始めたのは1960年代になってからです。

OHVのほうが設計的な難易度は少なく、また耐久性のあるエンジンを作りやすかったので、昔はSOHCは少なかったのです。

ですが自動車の性能向上の要求が高まるに連れて、高回転型に向いているSOHCに少しずつ移行していき、1970年頃にはOHVよりもSOHCが主流になったほどです。

その後SOHCは拡大を続け、1990年頃には国産メーカーはほぼすべてのエンジンがSOHCとなりました。

欧州メーカーも同様で、OHVを積極的に採用しているのは現在では米国メーカーだけです。

SOHCエンジンのメリット・デメリット

メリット、デメリット

SOHCの構造はOHVと比較した時にさまざまなメリットを持っていますが、一方でデメリットもたしかにあります。

そんなSOHCのメリットとデメリットをご説明します。

なおSOHCをさらに発展させたDOHCと比較してもメリットデメリットがありますが、そちらはDOHCを解説する記事でご紹介します。

SOHCのメリット

SOHCのOHVに対するメリットは車の性能向上に対するものがほとんどで、OHVをほとんど駆逐してしまったのがうなずけます。

バルブジャンプ、サージングが起こりにくい=高回転型に向く

SOHCがOHVに対して決定的に大きなメリットとなっているのが、エンジンの高回転化が可能という点であり、これによりエンジンの出力やトルクをより高めることができます。

エンジンの高回転化の障害となる要素はたくさんありますが、その中の一つがバルブ系の応答速度にあり、バルブの上下動が高回転域でも問題なくできることが重要です。

バルブを押し下げる時はカムシャフトやロッカーアーム、プッシュロッドなどで物理的に押し出しているのですが、バルブが戻る時にはバルブスプリングの反力で戻っています。

回転数が低いうちはスプリングの力で問題なくバルブが戻るのですが、高回転になってバルブが往復する回数が増えていくと、そのうち往復が追いつかなくなる現象が起こります。

この問題は2つ可能性があり、バルブジャンプとバルブサージングという現象が起こります。

バルブジャンプはバルブが閉まるスピードがエンジンに追いつけなくなった結果、適切なところで開閉できなくなったり、圧縮抜けが起こる現象です。

MEMO

バルブサージングはバルブ系がエンジン回転数と共振することで異常な運動や振動を起こす現象です。

これらはバルブ系に関係する部品が多ければ多いほど起こりやすく、介在する部品が多ければそれだけ慣性質量が増えるので、微小なズレや遅れが高回転域では大きな影響となります。

その点においてプッシュロッドがないSOHCはOHVよりも高いエンジン回転数まで対応できるので、エンジン性能向上のためにはSOHC化は必須だったのです。

部品点数が少なく軽量化できる

OHVに対してプッシュロッドが無い分、SOHCは部品点数が少なく、その分軽量化ができます。

プッシュロッドはまっすぐの棒状の部品ですが、エンジンの下部から上部まで接続するので結構長い部品であり、重量もそれなりにあります。

またバルブの数だけプッシュロッドが必要なので、高性能化のためにバルブ数を増やすとその分部品点数が純増してしまいます。

エンジンの重量は自動車部品の中で最も大きいので、重量削減が可能なSOHCのほうがメリットが大きいのです。

また部品点数の少なさは当然ながらコストダウンにも繋がっており、SOHCのほうが安くエンジンを作ることが出来ます。

大衆車はとにかくコストダウンが重視されますので、OHVよりSOHCのほうが量産エンジンには向いているのです。

摺動抵抗が少なく、燃費に良い

SOHCがOHVより介在部品が少ない点は、部品同士の摩擦を減らせるメリットがあり、それは燃費の良さに直結します。

カムシャフトからプッシュロッドやロッカーアームを介してバルブに動きを伝達する間には、それぞれの部品の間に摩擦が発生しています。

ポイント

それを摺動抵抗といってエンジン内の抵抗の主要因の一つとなっているのですが、その抵抗を乗り越えて動かしているというのはエンジンの発生する出力を使っているということです。

ということは燃料によって生み出されたエンジンのエネルギーを走行以外に消費しているということであり、燃費を悪化する要因でもあります。

SOHCはプッシュロッドがない分この摺動抵抗がOHVより少なくできるメリットがあり、結果的に燃費を向上させることができます。

バルブ系の部品だけを見れば非常に小さく抵抗も小さく見えるかもしれませんが、「塵も積もれば山となる」の通り、決して無視できるレベルのものではありません。

エンジンは毎分数千回転という高速回転をしており、バルブもそれと同じ回数動いていますので、小さな抵抗はトータルで見るとかなり積み重なります。

SOHCのデメリット

SOHCにはエンジンの高性能化に向いたメリットが多いものの、OHVに対するデメリットもあり、その点から未だにOHVを採用するメーカーもあります。

シリンダーヘッド部の大型化

シリンダーヘッド

SOHCはプッシュロッドがなくなって部品点数自体は少なくなっているものの、OHVでエンジンの下側にあったカムシャフトを植え側に配置しているので、エンジンの上部が大型化するデメリットを抱えています。

カムシャフト関係はシリンダーヘッドと呼ばれるシリンダー上部の構造部に収められますが、回転部分を持つカムシャフトはかなり場所を取る部品で、かなりシリンダーヘッド周りは肥大化します。

その悪影響はエンジン全体の重心を上げる方向に向かってしまい、結果的に車全体の重心も上げてしまいます。

車の重心が高くなると走行性能には悪影響が多く、とくに横に振られるロールという現象が増大します。

このことは車のコーナリング性能を悪化させるものであり、走行性能が重要なスポーツカーには重大な欠点となりえます。

MEMO

そのため主に米国車のスポーツカーでは重心を下げるためにOHVを採用している車もまだ多く、アメリカ車の伝統ともなっています。

スポーツカーにはエンジンの高性能化が必要でSOHCのほうがメリットが大きいのですが、アメリカ車は排気量増大によってそれを補っているのでOHVで低回転でも十分な出力を得られています。

その影響はどうしても燃費に現れますが、このあたりは国ごとの車の好みの差といえるでしょう。

またシリンダーヘッドの大型化は水平対向エンジンをフロント置きで使用するスバルでも大きなデメリットであり、水平対向エンジンではエンジンの横方向が大きくなるので車への搭載性が悪化します。

そのためスバルは結構後年までOHVを採用していた歴史がありますが、エンジンの性能アップは必要だったので、車両の構造変更によってSOHC化を果たしています。

タイミングベルトの交換が発生する

SOHCはクランクシャフトからカムシャフトまで動力を伝達するために、タイミングベルトやタイミングチェーンといった伝達部品を持っています。

ですがベルトやチェーンは長時間使っていると伸びや耐久性の低下が起こるため、定期的な交換が必要となるデメリットも併せ持ちます。

自動車のエンジンのメンテナンスの主要なものにタイミングベルト交換があり、エンジンメンテナンスの最も重要なものの一つです。

そんな頻繁に交換するものではなく、走行距離100,000kmごとで設計されていることがほとんどですので、新車で買ったら交換しないで売却することもあるでしょう。

ですが長い時間乗るためにはタイミングベルトの交換は必要で、OHVよりメンテナンスが必要といえるでしょう。

またスポーツカーなどでは30,000kmごとに交換するエンジンもあり、エンジン設計によってはかなり頻度の高い交換部品です。

ですが現在は金属製のタイミングチェーンの性能が上がったことでメンテナンスフリーのエンジンが増えてきており、交換不要なSOHCエンジンも多くあります。

そのためデメリットが少なくなってきており、将来的にはほとんど問題ない点となるでしょう。

OHVより耐久性で劣る

これも主にタイミングベルトやチェーンを使っていることによるものですが、OHVのプッシュロッドのほうが機械的にはシンプルで耐久性が高いという点があります。

前述のメンテナンスの点も含めて、SOHCのタイミングベルトやタイミングチェーンは結構複雑なシステムです。

長いベルトやチェーンを使うことや、それらにテンションをかけるテンショナーなどが組み合わされており、プッシュロッドに比べると複雑な構造です。

そのため構造的な耐久性ではSOHCはOHVに劣っているといえ、アメリカ車はこの点も重視してOHVにしている場合もあります。

ですが現在ではSOHCは十分な耐久性を持つように技術的な進化を遂げており、実用上SOHCがダメということはありません。

SOHCエンジンの評価・口コミ

SOHCに対する評価や体験談などがTwitterにはたくさん投稿されているので、その中からいくつかご紹介しましょう。

バランスのよいSOHC

SOHCはOHVより高出力が狙えるのは構造上確かですが、実際の出力はバルブだけで決まるわけではなくさまざまな要因があります。

そのためアメリカ車ではOHVでも高い出力を持つエンジンはたくさんあります。

またSOHCとDOHCについてもDOHCが必ず高性能というわけではなく、摺動抵抗などの面ではSOHCのほうがよかったりします。SOHCは全体的にバランスの良さが目立つ形式です。

音も違うSOHC

SOHCとOHVはエンジン音も少し違っており、介在部品の多いOHVのほうが雑音が多いと言われます。

ですが実際には他の要素もエンジン音には関係しているので、バルブ系の音の特徴だけが突出しているわけでもありません。

昔のエンジンは全体的に音が大きかったので、SOHCとOHVの音の違いがよくわかったようですね。

SOHCは高性能化になる

この方はバイクでOHVからSOHCに乗り換えた経験があるようですが、加速の滑らかさや軽快さはSOHCがやはり高かったようですね。

これは高回転に向くSOHCのメリットが顕著に現れた例で、燃費もよかったそうです。

ですがバイクは滑らかさが全てではないので、OHVのほうが好きという人も少なくありません。

SOHCエンジン搭載車

SOHC形式のエンジンは今では一般的となっており搭載車を挙げるのも多すぎますので、今回はOHVとSOHCの切り替え時期のいくつかの車種をご紹介します。

トヨタ スターレット

 

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スターレットはトヨタのかつての主要ハッチバックコンパクトカーで、2代目から3代目でSOHC化されました。

排気量はほぼ一緒なので比較がしやすく、次の表にまとめてみました。

スペック2代目スターレット3代目スターレット
エンジン型式4K-U型 1,290cc 直列4気筒 水冷OHV2E-ELU型 1,295cc 直列4気筒 水冷 SOHC
最高出力72PS/5,600rpm93PS/6,200rpm

スターレットは2代目から3代目でエンジンが大きくスペックアップしていますが、エンジンの排気量自体は変わっていません。

エンジンの形式が違うのでさまざまな効率改善がされた結果ではありますが、その一つがSOHC化によるものです。

最高出力のエンジン回転数を見るとよく分かるのですが、2代目スターレットが5,600回転までしか回っていないのに対し、3代目スターレットのSOHCでは6,200回転まで回るようになり、その分最高出力が増しています。

排気量が同じエンジンでここまでスペックアップが期待できるSOHCですので、OHVから置き換えが進むのも当然と言えるでしょう。

日産 サニー

 

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サニーは日産が持つセダンタイプの車で、こちらもトヨタと並んで長い歴史を持つ車です。

1970年に発売された2代目のサニーは当初OHVのみの設定でしたが、トヨタがスペックの高いエンジンを搭載したことに対抗するためにSOHCが後から追加されました。

OHVのA12型は1,200cc、SOHCのL14型は1,400ccと排気量も違いますが、同じモデルの中でスペック違いとして種類分けされています。当然SOHCのほうが上級グレードですね。

スペック標準仕様エクセレント
エンジン型式A12型 1,171cc 直列4気筒 水冷OHVL14型 1,428cc 直列4気筒 水冷 SOHC
最高出力シングルキャブ仕様:68PS/6,000rpm
SUツインキャブ仕様:83PS/6,000rpm
シングルキャブ仕様:85PS/6,000rpm
SUツインキャブ仕様:95PS/6,400rpm
最大トルクシングルキャブ仕様:9.7kgf・m/3,600rpm
SUツインキャブ仕様:10.0kgf・m/4,000rpm
シングルキャブ仕様:11.8kgf·m/3,600rpm
SUツインキャブ仕様:12.4kgf·m/4,000rpm

A12エンジンもL14エンジンもそれぞれ2仕様が設定されており、コスト重視のシングルキャブと、スペック重視のSUツインキャブ仕様があります。

どちらもツインキャブ仕様は高い性能を発揮していますが、L14型エンジンは排気量の高さもあってさらに格上の性能を持っています。

ポイント

こちらも最高回転数を比較すると分かるのですが、SOHC化によってツインキャブ仕様は回転数が高くなっており、その分出力が出やすくなっています。

シングルキャブでは最高回転数は変わらないものの、効率の面ではSOHCのほうが性能が高く、排気量アップと伴って出力は高いです。

この頃はSOHCというだけで大きなアドバンテージがある時期であり、車の魅力のアピールにも使われました。

トヨタと日産は互いにエンジン性能の競争をしており、SOHCはどちらのメーカーにとっても大きな武器だったのです。

SOHCエンジンの今後

SOHCエンジンはかつては高性能エンジンでしたが、今では標準的なエンジンとなっており今後も主流となることは間違いありません。

OHVは日本ではその特徴が生かせないので今後復活することはないでしょうから、SOHCがまた置き換わるということはないでしょう。

またDOHCが一時期SOHCをほとんど駆逐したこともあったのですが、燃費が重視される現在においてはSOHCにも再評価の流れが生まれています。

今後も燃費に対する要求は高まりますので、SOHCはDOHCとともに両翼として引き続き普及していくことでしょう。