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S2000の加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?

スタイリッシュなオープンスタイルと「V-TEC×FR」という組み合わせによって、販売終了後も根強い人気を誇るS2000。

休日のクルージングからサーキット走行まで、運転を楽しめる「オトナなスポーツカー」です。

スポーツ色が強いため、「S2000はどれだけ加速が速いのか?」気になりますよね。

というわけで今回は、ホンダ S2000の加速性能について、様々な角度から解説していきたいと思います。

エンジン性能はもちろん、SNSの口コミやライバル車も載せてみたので、ぜひ参考にしてください。

S2000の加速性能

ホンダ S2000

生粋のFRスポーツとして、現在でも中古市場で人気のS2000ですが、よくいわれるのが「コーナリングはいいが、直線では遅い」ということ。

もちろん、乗用車とは比較にならないほど速いのですが、加速を武器をするスポーツモデルには、一歩及ばないという印象です。

これを踏まえたうえで、S2000の加速性能を順序だてて解説していきたいと思います。というわけで、まずはこちらの諸元表をご覧ください。

項目諸元
種類水冷直列4気筒DOHC16バルブ水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量2,156cc1,997cc
最高出力242PS/7,800rpm250PS/8,300rpm
最大トルク22.5kgf・m/6,500-7,500rpm22.5kgf・m/7,500rpm
車両重量1,250-1,270kg1,250-1,270kg
PWR5.16kg/PS5.00kg/PS
TWR55.6kg/kgf・m55.6kg/kgf・m
0-100km/h6.8秒8秒

※水冷、直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。

ポルシェ 水冷エンジン水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!BMW 直4エンジン直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!エンジンDOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!

ちなみに、右は2005~2007年式の「AP2型」、左は1999~2004年式の「AP1」型のスペックです。今回は、最終型のAP2型をメインに解説していきたいと思います。

表について補足させていただくと、「エンジン種類~車重」の項目は公式カタログから引用し、「PWR・TWR」は平均重量から算出しました。「0-100km/h加速」のタイムは、オーナーさんの口コミを元にしています。

それでは、具体的な評価を見ていきましょう。

0-100km/h加速タイムの評価

まず、目を通したいのが0-100km/h加速のタイムです。日常の運転では考えにくいシチュエーションですが、加速性能を単純にイメージするなら一番わかりやすい指標ですよね。

S2000の加速タイムですが、一般的には6.8秒といわれています。前期型にあたるAP1型は8秒程度という意見が多いです。国産車ならファミリーカーが10秒程度、セダンやSUVが8~9秒程度が標準なので、速い部類であることは間違いありません。

しかし、ターボチャージャーを搭載し加速を武器とするスポーツカーたちは、わずか5秒で100km/hに達してしまうので、そういったモデルを基準とすると「物足りない」と言わざるをえませんね。

こちらにトヨタの人気車種のタイムをまとめてみたので、よかったら参考にしてみてください。

車種0-100km/h加速タイム
マークX(3.5L)5.9秒
867.3秒
クラウン(ターボ)7.5秒
アルファード 3.5L8秒
プリウス9.5秒
シエンタ(ガソリン)12秒

なお上記の表にある車種の加速性能については以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

トヨタ マークXマークXは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!クラウン メーター点灯クラウンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?ヴェルファイアを運転アルファード/ヴェルファイアの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?プリウス 運転プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シエンタのガソリンモデルの運転シエンタの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?

エンジン性能の評価

続いて見ていくのはエンジン性能です。S2000の加速性能について、エンジン性能から見えてくることを解説してみたいと思います。

高回転に強いエンジン

242PS、22.5kgf・mということで、2.0LクラスのNAモデルとしてはかなり優れた数値をもっていますね。そのため、同クラスのなかでは速い部類です。これについては後ほど比較をしてみたいと思います。

S2000は見出しにあるとおり、「高回転に強い」という特性をもちます。諸元能表を見ていただくと、出力・トルクが6,000~8,000rpmで発揮できることがわかりますね。V-TECと呼ばれる可変バルブ機構を備えるので、5,000~6,000rpmから猛烈な加速が最大の持ち味といえます。

VTECエンジンVTECエンジンとは?仕組み/構造は?搭載車はバイクにもあり?!

いっぽうで、ターボモデルなどと比較すると、低回転域では弱いイメージがありますね。同じ2.0Lでも、インプレッサのような「4WD×ターボ」のモデルに慣れている人は、加速で物足りなく感じることでしょう。

しかしながら体感する加速フィーリングは、V-TECサウンドによって数字の印象以上のものが味わえますよ。この加速感がS2000の醍醐味といえますね。

VTECエンジンVTECエンジン音サウンドの特徴!切り替わり音が最高すぎる?!

AP1型とAP2型の違い

念のため、モデルの違いについても解説しておきましょう。

先ほど触れたように、S2000には2種類のエンジンユニットが存在します。2004年までは2.0Lエンジンですが、後期型の年次改良によって2.2Lへとボアアップしました。

パッと見た感じ、最高出力で勝るAP1型(2.0L)のほうが、AP2型(2.2L)よりも加速が速そうですよね?しかし、実際にはAP2型のほうが直線加速には優れているんです。

これはボアストローク比の違いによる、出力性能にポイントがあります。ボアストローク比とは、シリンダーのボア(内径)とストローク(行程)の比率のこと。

AP1型は「87:84」という数値で、高回転に強い「ショートストローク型」。いっぽうでAP2型は、これが「87:90.7」に設計されており、低回転に強い「ロングストローク型」なのです。

低回転からパワーを発揮できるので、0-100km/h加速ではAP2型のほうが優れているんですね。

ボディ性能の評価

加速性能はエンジンだけでなく、ボディのつくりこみも重要な要素です。軽量性や駆動方式など、様々な要因で左右されますからね。

優れたボディ軽量性

車の軽量性を示す指標に、「PWR(パワーウェイトレシオ)」「TWR(トルクウェイトレシオ)」というものがあります。

簡単にいうと、出力・トルクに対するボディ重量のことですね。「数字が小さいほど加速が速い」と考えるとわかりやすいでしょう。

S2000はPWRが「5.16kg/PS」、TWRが「55.6kg/kgf・m」という数値で、2.0Lクラスとしては非常に優れています。

ピンとこないと思うので、先ほどと同じようにトヨタの人気モデルを参考にしていただきましょう。

車種PWRTWR
マークX(3.5L)4.87[kg/PS]40.1[kg/kgf・m]
866.15[kg/PS]58.9[kg/kgf・m]
クラウン(ターボ)6.90[kg/PS]47.3[kg/kgf・m]
アルファード (3.5L)7.14[kg/PS]58.4[kg/kgf・m]
プリウス13.98[kg/PS]94.5[kg/kgf・m]
シエンタ(ガソリン)12.52[kg/PS]94.2[kg/kgf・m]

FRゆえ直線よりもコーナー向け

軽量なのに直線加速がいまいちなのは、エンジンが高回転型という以外に、駆動方式がFRであることも要因といえます。

一般に「FFは直線安定性がよく、FRはコーナリングがいい」とされますが、まさにのとおりなのです。操舵と駆動が前後輪で分担できるFRは、ご存知のとおり操縦性に優れていますよね。

いっぽうで、プロペラシャフトを介して後輪に動力を伝えることから、FFよりも出力のロスが大きいんです。そのため、同程度のエンジン性能なら、FFのほうが速く加速できるんですよ。

急発進など、リアにトラクション(荷重)が乗るシチュエーションを除けば、エンジンの真下に駆動があるFFのほうが強くグリップできますしね。事実、ノーマル同士なら、エンジン性能で劣るインテグラのほうが直線加速はわずかに速いです。

MEMO

もしS2000を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。

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S2000の実際の加速感

数字だけではいまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。オーナーさんの投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。

Twitterで加速感をチェック

こちらの投稿者さんは、期間を空けてS2000に乗ったところ、その加速に驚いてしまった様子。余暇用に所持しているのでしょうか?

他のスポーツカーと比較すると、際立って速いということはありません。しかし、先入観をもたずに乗ると、かなりの加速をみせるんです。

友人に、インプレッサ(GDB)からS2000に乗り換えた者がいましたが、「思っていた以上に速かった」と言っていましたね。後日、横乗りさせてもらったところ、非常に鋭い加速を味わいました。

なおインプレッサについては以下の記事で取り上げているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

インプレッサインプレッサは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!

S2000の醍醐味といえば、やはり高回転のフィーリングです。バイクなみにエンジンを回せるので、ターボ車のようなドカンとくる加速とは違った楽しさがあります。

かといって普通のNAともずいぶん違い、V-TECが効いてくると加速感が一段上がります。それまではスムーズに加速していたのが、鋭いサウンドを奏でながら、延々と加速していくんですよね。

街中ではめったに発揮できないでしょうが、空いてる高速道路など、たまに踏むととても楽しそう。

ただ、数値で見ると、体感ほど速くはないんですよ。先ほど少し触れましたが、ノーマルの状態だと、排気量の小さいインテグラのほうが直線加速は若干速いですからね。これがインテグラがスポーツカーとして優秀ということもありますが。

ただし、S2000はチューニングを施すとかなり化けるので、サーキットでもけっこう見かけます。数字を出したい方にもおすすめというわけですね。

数字はでませんが加速フィーリングは抜群なので、もちろんノーマルの状態で乗っても申し分ない一台です。

You Tubeで加速感をチェック


こちらはAP1型の加速動画ですね。開始40秒ほどから0-100km/h加速の計測が始まります。タイムは8.36秒ということで、数字で見るとそれほど速くはありません。

ただし、メーター上部を見てみると、回転数が7,000~8,000rpmは当たり前なんですよね…。普通の車では考えられないです。


こちらはAP2型の加速動画で、開始55秒あたりから0-100km/h加速が始まります。外見はやや手が施してありますが、おそらくエンジンはノーマルでしょう。

計測の結果は6.75秒とのこと。AP1型よりもずいぶん速いことがわかりますね。低い回転域からパワーが発揮できるので、加速を楽しみたいならAP2型を購入することがおすすめです。

S2000の加速性能を他の車と比較

加速感についてご覧いただいたところで、続きましてライバルと呼ばれる国産車と、その実力を比較してみたいと思います。

今回比較してみるのは、S2000と同じく2.0Lクラスの2ドアモデル、マツダ「ロードスターRF」、トヨタ「86」、BMW「Z4」の3台です。

マツダ ロードスターRF

マツダ ロードスター RF

S2000とよく比較になる国産モデルといえば、やはりロードスターの名が挙がるでしょう。

オープンスタイルのFRスポーツということで、非常に似ているキャラクターです。年式は異なりますが、現行の2.0Lモデル「RF」と加速性能を比べてみます。

項目諸元
種類水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量1,997cc
最高出力184PS/7,000rpm
最大トルク20.9kgf・m/4,000rpm
車両重量1,100kg
PWR5.98kg/PS
TWR52.6kg/kgf・m
0-100km/h7.4秒

まず、0-100km/hはS2000のほうが速いことがわかりますね。さらに細かい部分を見ていくと、出力・トルクもS2000のほうが優れています。

TWRと回転域が低いことから、出足はロードスターのほうが速いと思われますが、エンジンが回るほどにS2000が有利になるでしょう。

したがって、S2000のほうがスポーティな加速を楽しめるモデルといえます。得意な回転域から、街中では大差はないでしょう。

なおロードスターについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

マツダ ロードスターロードスターの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?マツダ ロードスターロードスターを買って後悔している人はいるか?実態を調査してみた!

トヨタ 86

86のフロント

トヨタの現代スポーツカーとして代表的なモデルといえば「86」ですよね。

S2000よりもサイズが大きく、見た目の印象がずいぶんと異なりますが、実は「2.0L」「FR」「2ドアスポーツ」という共通点を持ちます。

項目諸元
種類水平対向4気筒DOHC
排気量1,998cc
最高出力200PS/7,000rpm
最大トルク20.9kgf・m/6,400-6,600rpm
車両重量1,270kg
PWR6.35kg/PS
TWR60.7kg/kgf・m
0-100km/h7.6秒(公称値)

0-100km/h加速を見てもわかるように、直線の発進加速はS2000のほうが上手のようです。ボディは同じくらいの重量ですが、出力・トルクがS2000のほうが優れていますからね。

86も高回転型にセッティングされたモデルなので、特性はAP2型に近いものがあります。

したがって、パワーで上回るS2000が、加速性能において有利といえるでしょう。ただしAP1型の場合は、86のほうが扱いやすいかも?

なお86については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

86の外観トヨタ86(ハチロク)の試乗レビュー・感想!乗り心地はいかに?!86のフロント【画像/写真】トヨタ86の内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!

BMW Z4

BMW Z4のフロント

輸入車も含めるなら、現行モデルでもっともキャラクターが似ているのはBMW「Z4」ではないでしょうか。2019年にフルモデルチェンジとのことですが、2017年式の性能と比較してみます。

項目諸元
種類直列4気筒DOHCターボ
排気量1,997cc
最高出力184PS/5,000rpm
最大トルク27.5kgf・m/1,250-4,500rpm
車両重量1,500kg
PWR8.15kg/PS
TWR54.5kg/kgf・m
0-100km/h7.2秒

2.0Lと3.0Lの2種類をラインナップしていますが、2.0Lと比較してみましょう。

0-100km/h加速はいい勝負ですが、わずかにS2000のほうが速いです。エンジン特性としては低回転型なのが印象的で、ターボゆえにトルクが強力。しかし、車重が重いことが加速勝負においては不利といえますね。

このように、加速タイムとしてはS2000がリードしていますが、得意とする分野がはっきり分かれています。スタイリングは似ていますが、性能は対照的なモデルなのです。

「低回転から力強く加速するZ4、高回転から鋭く加速するS2000」という具合に、スポーツカーとしてのアプローチが大きく異なります。甲乙つけがたいところですが、個人的には高回転型のS2000が好きですね。

なおBMWについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

BMW8シリーズのタイヤBMWで安いモデルは?いくらから買えるか安い順に紹介!BMW Z4次期型のホイールBMWは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!

S2000は「数値」よりも「感覚」を楽しむスポーツカー

というわけで、S2000の加速性能についての解説は以上になります。

冒頭で「S2000は直線加速がいまいち」と申しましたが、それは第一線のスポーツカーを基準とした場合なんですよね。

それ以上に、S2000は加速フィーリングがすばらしいモデルなんです。ルーフを開ければ、バイクのように風を切る加速を楽しめるので、コンパクトスポーツに乗りたいなら、かなりおすすめですよよ。