老若男女問わず人気のエコカーと言えばトヨタのプリウスでしょう。
ハイブリッドカーのパイオニアとして新しいジャンルを切り開いてきたプリウスは、どれくらいの加速性能があるのでしょうか。
現行プリウスだけでなく、現行プリウス PHVや先代プリウスも含めて詳しく解説していきます。
プリウスの加速性能
停車状態から100km/h出るまでにかかるタイムは、加速性能を比較するのによく用いられます。
このタイムを元にプリウスの加速性能を解説していきましょう。
プリウスの3つのドライブモード
タイムを解説する前に知っておきたいのが、プリウスには現行モデル、先代モデルどちらにも以下の3つのドライブモードがあるという点です。
- エコドライブモード
- ノーマルモード
- パワーモード
エコドライブモードはアクセル操作に応じた車の反応が緩やかで、冷暖房の効き具合も抑えられた文字通りエコを意識したドライブモードです。
ノーマルモードは通常走行時のドライブモードです。パワーモードは、スポーティーな走りを楽しみたい時に使うドライブモードです。
アクセル操作に対しての反応も良く、ドライビング情報を検知して、鋭い加速や減速時のエンジンブレーキを制御しています。
これらドライブモードはスイッチを操作することで変更が可能で、今どのモードなのかはマルチインフォメーションディスプレイに表示され、一目で分かるようになってます。
鈍感な人であってもその走りの違いは体感できるでしょう。
また、厳密にはモーターのみで走行できるEVモードもありますが、推奨使用状況は深夜の住宅街などの静かに走行したい時です。加速性能を語る上では必要ないので今回はあえて触れていません。
EVモードについては以下の記事で詳しく解説しています。こちらも目を通してみてください。
プリウスのEVモードとは?使い方から速度まで徹底解剖します!現行プリウス(50系)の0-100km/hの加速タイム
では実際にプリウスの加速性能はどれほどのものなのでしょうか。
エコドライブモードのタイムはデーターが見つけられなかったので、ノーマルモードとパワーモードの2つを紹介します。
- ノーマルモード…10.7〜11.0秒
- パワーモード…9.4〜10.0秒
いずれも2WDモデルのタイムで、ノーマルモードとパワーモードの差はおよそ1秒です。
具体的なタイムは分かりませんでしたが、同様の理由でエコドライブモードはノーマルモードよりさらに遅いタイムになるでしょう。
一方で、アクセルを全開状態で加速タイムを計測する0-100km/hの加速は、プリウスに限らずほかの車でもドライブモードによるタイム差は発生しないという意見もありますし、実際にそれを証明している動画もあります。
確かにドライブモードの違いは、アクセルレスポンスや、アクセル開度に対するスロットル開度を変えたりするのが主で、単純にエンジンパワーがアップするものではありません。
よって0-100km/h加速のスタート直後の全開までのアクセルの踏み込み加減によるスロットル開度の反応の良し悪しが、結果的にタイムが前後することに関係していると推測されます。
なおプリウスの実際の加速感については試乗レポートでも解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
新型プリウス(50系後期)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!先代プリウス(30系)の0-100km/hの加速タイム
実はモーターとエンジンを合わせた最高出力は、現行の50系プリウスが122PSであるのに対して先代の30系プリウスは136PSとなっています。
燃費性能を高めるために現行モデルはあえて出力が抑えられたという話もありますが、加速性能に違いはあるのでしょうか。(燃費性能の詳細は以下の記事をご参照ください。)
プリウスの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!0-100km/hの加速タイムは以下の通りです。
- ノーマルモード…9.5〜10.7秒
- パワーモード8.6〜9.7秒
いずれも2WDモデルでのタイムです。
現行モデルよりテスト動画が多い分タイムに幅が出ていますが、現行モデルよりわずかに速いことが分かります。
出力の差がそのままタイムに現れましたね。
現行プリウス PHV(52系)の0-100km/hの加速タイム
プリウス PHVにはプリウスと同様の3つのドライブモードに加えて、EVモードとHVモードを切り替えることのできるスイッチもついています。
ただ、PHVの場合も加速性能を比較する上で必要となってくるのは、パワーモードとノーマルモードの2つです。
プリウス PHVの加速タイムは
- ノーマルモード…11.0〜11.3秒
- パワーモード…9.5〜10.0秒
となっています。
ノーマルモードは若干PHVの加速性能の方が劣るものの、パワーモードではほとんどプリウスと変わらない加速タイムですね。
モーター出力はプリウスの方がわずかに大きい数値となっていますが、同じエンジンを搭載している両者の加速性能はほぼ同じという認識で間違いないでしょう。
なおプリウスPHVの実際の加速感については試乗レポートで解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
トヨタプリウスPHVの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!タイムから分かるプリウスの加速性能の差
ここまで0-100km/hの加速タイムを解説してきましたが、改めて紹介した3車種を速い順番に並べてみます。
先代プリウス(30系) > 現行プリウス(50系) ≧ 現行プリウスPHV(52系)
基本的に同じエンジン、同じハイブリッドシステムを使っているので、最高出力がタイム差にそのまま現れたものの、加速性能に極端に大きな違いはないことが分かります。
また、プリウスPHVはデュアルモーターシステムを採用しています。
これは走行シーンに応じて駆動用のモーターに加えて、発電用のモーターも駆動用として使って加速性能をアシストするというものです。
実は同等レベルの加速性能を持つプリウスとプリウス PHVですが、車両重量は以下のように最大で200kgもプリウス PHVの方が重くなっています。
- プリウスPHV…1510〜1530kg
- プリウス…1310〜1400kg
プリウス PHVはこの重量差によってアクセルを踏み込んだ時の加速性能が劣ってしまうことがないように、デュアルモーターシステムを採用して、優れた加速性能を実現しています。
プリウスが採用するシリーズパラレル式ハイブリッドシステムとは?
ハイブリッドシステムにはいくつかの種類があり、プリウスが採用しているのはシリーズパラレル式です。
これはエンジンとモーターの両方でタイヤを駆動するもので、発進時や高速走行時といった走行状況に応じて、それぞれの得意領域を踏まえた効率の良い状態でシステム全体を制御しています。
それぞれの強みをそれぞれの持ち場で最大限に活かすことが低燃費性能に繋がり、なおかつパワーが欲しい時にはエンジンとモーターの双方から出力を得ることが可能です。
また、走行中モーターは発電を行いながら駆動力を伝えることもできるのがこのシステムのメリットです。
これからプリウスを買おうと思っているなら、正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!プリウスの実際の加速感
プリウスの数値上での加速性能が分かったところで、実際にプリウスを運転している人はどのように感じているのでしょうか。
Twitterでのツイートを参考に解説します。また、YouTubeからプリウスの加速感の分かる動画を紹介します。
加速性能は良いが、運転には注意が必要
ウチのも30前期プリウスですけどね。加速性能半端じゃないので踏み間違いしたら飛んで逝きます。そのくせボディ剛性はイマイチ、足廻りも貧弱で(これはトヨタ車共通だけど)止まって欲しい時に止まりません。急ブレーキかけると(ABS)でブレーキ緩解して制動距離めメチャクチャのびますよ😨
— John Doe(身元不明ぐで@東京港) (@ano_ny_mouse) October 25, 2017
プリウスは30しか知らないけどあのモーターの加速感は好きよ
力の割に体ふにゃふにゃだからおっかないけど— はげミ (@c26xxxxx) May 2, 2018
加速性能は確かに良いが、ほかの性能がイマイチという声が多く聞かれます。
年々改良されてきているので今は言われなければ分からないレベルにまでなってきていますが、ハイブリッド車特有のブレーキシステムはブレーキタッチに少し癖があるので注意が必要です。
なお加速は関係ないですが、上記のツイートでプリウスの事故の多さについて言われていますね。このことについては以下の記事で分析しているので、こちらもぜひご覧ください。
プリウスは危険な欠陥車?暴走事故が多いのはなぜか徹底考察!ハイブリッド特有の滑らかな加速感が◎
母親の30プリウスが追突されて代車が新型なんだけど、50の滑らかで車重を感じさせない加速感と乗り心地は凄い良いな。 絶賛
— Atsushi (@atsushi_1125) February 3, 2018
プリウスはシフトの問題よりも、加速感がスムーズすぎて、いつの間にかスピードが上がっている事に気がつきにくい事が事故につながっていそう。
ただ、基本に忠実に(スピードメーターを見ながら)運転してれば、問題ないはずなので、潜在DQNドライバーセンサーと言えるのかも。— はたふり@7/7,8 HMJ H162 (@hatahuri) November 1, 2017
AT車のような変速ショックとは無縁のプリウスは、シリーズパラレル式のハイブリッド車ならではのスムーズな加速が乗り心地の良さにも繋がっていることから、ユーザーからの評判が良いようです。
一方で、「プリウスを運転していて気が付いたらスピードが出過ぎていた…!」という声も多く聞かれるので注意が必要ですね。
なおプリウスの口コミ・評判は以下の記事でも詳しくまとめているので、興味のある方はこちらもあわせてご参照ください。
プリウスの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!現行プリウス(50系)と先代プリウス(30系)の加速比較動画
両モデルの簡単な車両情報も比較できる分かりやすい動画ですね。
モーターの力が最も重要となる低速での速度差が、速度が上がった後もそのまま埋まることなく加速していってることが分かります。
現行プリウス(50系)と現行プリウス PHV(52系)の加速比較動画
今度は現行プリウスとプリウス PHVの比較動画です。
まさかの同タイムに驚きですね!この結果からも、両モデルの加速性能に優劣がないことが分かります。
プリウスの加速性能をほかの車と比較
プリウスの各モデルの加速性能の差について分かったところで、プリウスを選ぶ際のライバルとなる車種の加速力はどれくらいのものなのでしょうか。
ここでは、「ノート e-power」「アクセラ」「フィット ハイブリッド」という、日産・マツダ・ホンダの売れ筋コンパクトカー及びCセグメントの国産車と比較してみましょう。
ノート e-powerの加速力と特徴
ノート e-powerの加速力が優れていることは度々、新車試乗記やネットの口コミでも触れらています。
そんなノート e-powerの0-100km/hの加速タイムは以下の通りです。
- ノーマルモード…8.1〜8.5秒
- Sモード…7.5秒〜8.0秒
100km/hに達するのにプリウスより2秒も速いタイムとなりました。
ノート e-powerの特徴はエンジンを発電専用として使う、シリーズ式のハイブリッドシステムを採用した点です。
そのためタイヤに伝える駆動力はモーターからの力のみですが、モーターは発進時から一気に最大トルクに達し、そのトルクを維持できるというメリットがあります。
一気に最大トルクに達するということはアクセルを踏み込んで車が動き出す瞬発力も高く、結果的に優れた0-100km/hの加速タイムを実現することができたのです。
ノートは1.2Lの自然吸気エンジンを搭載していますが、モーターが発生するトルク性能は2Lターボエンジン、または3L自然吸気エンジン並みのトルクを実現しています。
コンパクトカーには必要十分過ぎるパワーを備えており、加速が速いことも納得の数値ですね。
なおノートについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
日産ノート(e-power)の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!日産ノート(e-power)の燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!アクセラの加速性能と特徴
アクセラのパワートレインは以下の4種類です。
- 1.5Lガソリンエンジン
- 1.5Lディーゼルエンジン
- 2.2Lディーゼルエンジン
- 2.0Lガソリンエンジンのハイブリッド
この中でも、トヨタからシステムの供給を受けているハイブリッドモデルと、燃費と走行性能を両立した経済的に優れた1.5Lディーゼルエンジンモデルの2つのモデルの加速性能に注目してみましょう。(燃費の詳細は以下の記事をご参照ください。)
アクセラの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!それぞれの0-100km/h加速性能は以下の通りです。
- ハイブリッドモデル…10.2〜10.5秒
- 1.5Lディーゼルモデル…13秒前後
アクセラ ハイブリッドにはプリウスにあるパワーモードはありません。
またエンジンは0.2L排気量が大きいですが、出力は同じに抑えられています。タイムもほぼプリウスと同等レベルですね。
一方で1.5Lディーゼルはよく走ると評判が良いですが、0-100km/hのタイムだけ見るとかなり遅い部類に入ります。
これはディーゼルエンジンはレスポンスが悪いという特性があり、停車状態からの出足の加速力(瞬発力)が苦手であることが原因の一つとして挙げられます。(仕組みの詳細は、以下の記事を参考にしてみてください。)
スカイアクティブD(クリーンディーゼル)とは?欠点2つ!不具合や故障が多く耐久性に難あり?!また、低〜中回転で太いトルクを発生する特性から、アクセル全開で高回転まで回すよりもアクセルの踏み加減はそこそこの方が、加速感を感じるという声も多く聞かれます。
ですので実際にドライブしていて、0-100km/hのタイムそのままに加速力が悪いと感じることはまず無いでしょう。
ちなみにディーゼルモデルにも、パワーモードやスポーツモードのようなドライブモードを選択できる装備はありません。
アクセラの加速性能の詳細は以下の記事で解説しています。詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
アクセラの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?フィット ハイブリッドの加速性能と特徴
ハイブリッドが世の中に今ほど出回っておらず、まだまだガソリンエンジンが主力だった時代から、燃費の良さとコンパクトカーとは思えない居住空間の広さが定評だったのがホンダ フィットです。(燃費の詳細は以下の記事をご参照ください。)
フィットの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!今は以下の3つのパワートレインを搭載しています。
- 1.5Lガソリンエンジンのハイブリッド
- 1.3Lガソリンエンジン
- 1.5Lガソリンエンジン
この中でプリウスと直接的なライバルとなるのはハイブリッドモデルでしょう。
そのハイブリッドモデルの0-100km/hの加速タイムは以下の通りです。
- ハイブリッドモデル…7.6〜8.4秒
日産ノート e-powerと同じくらいのタイムで、一般的なコンパクトカーの中で加速性能の実力は十分過ぎるレベルですね。
ホンダのハイブリッドシステムはあくまでエンジンが主役で、モーターはそのサポートをするというのが根本的な考え方で、パラレル式のハイブリッドシステムを採用しています。
よって、プリウスのモーター出力が82PSなのに対してフィットハイブリッドのモーター出力は29.5PSしかありません。
それでもトータルのシステム出力は137PSと、先代プリウスの136PS、現行プリウスの122PSよりも高いパワーを実現しています。
パワーが必要な時は、エンジンとモーターの双方からフルに出力を得ることができるというのが、パラレル式のハイブリッドシステムの強みですね。
また、フィット ハイブリッドではデュアルクラッチトランスミッションを採用することで、ダイレクト感のある加速が魅力です。
アクセル操作に対する駆動力を大きくし、スポーティーな走りをサポートするSモードスイッチも備えています。
フィットの加速性能については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
フィットの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?プリウスの加速力は今や特別速い訳ではない
ハイブリッドカーの先駆けとして、日本の自動車市場を席巻してきたプリウスは燃費が良いだけではなく、一般的な乗用車らしからぬ加速感の良さが話題になることも少なくありませんでした。
しかし、その後各社からさまざまなハイブリッドカーが続々と誕生し、それぞれライバルとは差別化を図ってきました。
その中で、特に日産のe-powerやホンダのSPORT HYBRIDを搭載した車は、エコというイメージしかなかったハイブリッドカーに、走る楽しさという付加価値を付けてユーザーにアピールしています。
それは実際の走行性能においても数値で分かりやすく証明されています。
ノート e-powerもフィット ハイブリッドも、0-100km/hの加速タイムが示す、7秒台という優れた加速性能がそのひとつです。
このように加速性能は上を見ればキリはありませんが、プリウスの加速性能は決して悪い訳ではありません。
それは、Twitterなどで実際に運転した人の多くが、プリウスの加速力に対して「速い」という印象を受けツイートしていることからも分かります。
4代目の現行型で新世代プラットホーム「TNGA」を採用したプリウスは、加速力はもちろんのこと燃費性能からコーナリング性能や安全性能まで、高い次元でユーザーを満足させてくれるために、これからも進化を続けていくことでしょう。(TNGAの詳細は以下の記事をご参照ください。)
トヨタのTNGAとは?読み方は?エンジンの種類から採用車種までわかりやすく解説!これからプリウスを買おうと思っている方は、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。購入の参考になりますよ。
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