新型にモデルチェンジして、斬新なルックスが話題となったトヨタ「シエンタ」。
実用性だけでなく、インテリアなど全体的に質感が向上したとして、好評の声をよく聞きます。
そのいっぽうで、走行性能はあまり期待されていないイメージがありますが、実際のところどうなんでしょうか?
今回はトヨタ シエンタについて、「加速性能」という点に着目して解説していきたいと思います。
エンジン性能や0-100km/h加速タイムを参考にしながら、ライバル車とも比較してみたので、ぜひご覧になってください。
シエンタの加速性能
シエンタの加速感を一言で表すと、「街乗りには十分な加速」がピッタリかと思います。
スポーティな走りには至りませんが、普段使い用に乗りやすい車とをお探しなら、ちょうど扱いやすい加速性能ではないかと。
これを踏まえたうえで、シエンタの加速性能を順序だてて解説していきたいと思います。というわけで、さっそく諸元表を見ていきましょう。
項目 | 諸元 | |
種類 | 直列4気筒DOHC | 直列4気筒DOHC+モーター |
排気量 | 1,496cc | 1,496cc |
最高出力 | 109PS/6,000rpm | エンジン:74PS/4,800rpm モーター:61PS |
最大トルク | 13.9kgf・m/4,400rpm | エンジン:11.3kgf・m/3,600-4,400rpm モーター:17.2kgf・m |
車両重量 | 1,320-1,380kg | 1,380kg |
PWR | 12.66kg/PS | 17.25kg/PS |
TWR | 99.28kg/kgf・m | 112.12kg/kgf・m |
0-100km/h | 11秒 | 12秒 |
※直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!補足させていただくと、「エンジン種類~車重」の項目は公式カタログから引用し、「PWR・TWR」は平均重量から算出しました。「0-100km/h加速」のタイムは、オーナーさんの口コミを元にしています。
それでは、具体的な評価を見ていきましょう。
0-100km/h加速タイムの評価
性能表の一番下の項目に、「0-100km/h加速タイム」を表示していますね。これは読んで字のごとく、静止状態から100km/hへ加速するまでの時間を測定したものです。
実際の運転では考えにくい状況ですが、単純に加速性能をイメージするうえではわかりやすい指標ですよね。
シエンタの加速タイムですが、ガソリンモデルが約11秒、ハイブリッドモデルが約12秒という意見が多かったです。普通乗用車の多くは10秒前後といわれているので、標準的な加速性能ということになります。
トヨタの主要な車種をいくつかピックアップしてみたので、参考までにご覧ください。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
アルファード 3.5L | 8秒 |
カローラフィールダー | 9秒 |
プリウス | 9.5秒 |
ヴォクシー | 11秒 |
シエンタ(ガソリン) | 11秒 |
シエンタ(ハイブリッド) | 12秒 |
スポーツカーや大排気量モデルは8秒を切る数値になりますが、プリウスやヴォクシーなど、一般的にファミリーカーといわれる車は、このように10秒前後に固まりますね。
ここでは12秒以下の車は除外していますが、13~14秒の普通車も少なくありませんし、軽自動車なら14~16秒くらいが一般的です。
なお上記の表にある車種の加速性能については以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?エンジンとボディの性能評価
「エンジン性能」はもちろん、加速性能には「ボディのつくり」も大切な要素です。この2点について、少し解説を交えたいと思います。
まずシエンタのエンジンですが、直列4気筒の1.5L自然吸気ユニットがベースになっています。
NAエンジン(自然吸気エンジン)とは?メリット5つ!音が最強の魅力?!ガソリンモデルなら高出力(109PS、13.9kgf・m)のエンジン、ハイブリッドモデルなら低出力(74PS、11.3kgf・m)のエンジンに加え、モーターを配して構成されています。パワーでいうとガソリンモデルのほうが一歩リードしていますね。
加速性能を評価するには、ただエンジン性能を見るだけでは不十分です。重要なのは、「エンジンによる駆動力がどのくらい車重を負担しているのか?」なんですよね。これを示すのが「PWR(パワーウェイトレシオ)」「TWR(トルクウェイトレシオ)」というわけ。
簡単にいうと、出力・トルクに対するボディ重量のことですね。軽量性を示しているので、「数字が小さいほど加速が速い」と考えるとわかりやすいでしょう。
シエンタはというと、この数値も12.66~17.25kg/PS、99.3~122.12kg/kgf・mと標準的な数値です。これについても、さきほど参照したトヨタ車でまとめてみました。
車種 | PWR | TWR |
アルファード (3.5L) | 7.14[kg/PS] | 58.4[kg/kgf・m] |
カローラフィールダー | 8.29[kg/PS] | 66.3[kg/kgf・m] |
プリウス | 13.98[kg/PS] | 94.5[kg/kgf・m] |
ヴォクシー | 10.33[kg/PS] | 79.7[kg/kgf・m] |
シエンタ(ガソリン) | 12.66[kg/PS] | 99.3[kg/kgf・m] |
シエンタ(ハイブリッド) | 17.25[kg/PS] | 122.12.[kg/kgf・m] |
基本的には、この数値はモーター出力は含まれていないので、ハイブリッド車は低めに表されます。
これを考慮すると、0-100km/hの加速タイムはちょうどPWR・TWRで左右されますね。
もしシエンタを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!シエンタの実際の加速感
数字だけではいまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。オーナーさんの投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。
Twitterで加速感をチェック
レンタカーでシエンタ乗ったんですけど乗った感じやっぱ普通車は軽より良いなってのともっとデカいの乗りたいなって感じでした。加速もなかなか良かった
— にゃんたんく (@Nyan_kas3) 2018年12月17日
シエンタの加速感を検索してみると、おおむね「良い」と評価する人が多いように感じますね。とくに普段軽自動に乗っている方などが加速を感じる傾向にあるようです。
こちらの投稿者さんはレンタカーでシエンタの乗ったようですが、評価としては「なかなか」とのこと。
今日はミニバン初挑戦。
トヨタのシエンタを運転してみた。
今までは軽やコンパクトカーしか運転してこなかったから、横幅の感覚等が全然違って、まだまだ慣れるまで練習が必要だと感じた。
今までの車は1.2Lまでだったけど、この車は1.5L。パワーの差をすごく感じた。安定して気持ちよく加速できた。 pic.twitter.com/kyqOUoudx3— 黒さん (@Yukik930) 2018年10月8日
こちらの女性も、シエンタの加速感にパワフルさを感じたようですね。普段コンパクトカーに乗っているとのことですが、やはり300ccの差は大きく感じたみたい。
ある事情でシエンタを修理に出し代車がヴィッツなのだけど、加速性はヴィッツの方が断然良いな。
— タミQ (@s_minyu) 2018年12月14日
いっぽうで、このように物足りなく感じる人もけっこういますね。普通車としては標準的なスペックなので、際立って「速い」ということはないですからね。
トヨタ公式のページをのぞくと、シエンタは走行性能よりも居住性や積載性といった部分の記載が多く見受けられます。つまり、ユーティリティに特化したモデルなのです。
低燃費性や実用性に注目しているので、メーカーとしても加速性能を押し出していないので、加速力を求めて買う車ではないということですね。
なおシエンタの口コミ・評判は以下の記事でさらに詳しくまとめているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
シエンタの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!You Tubeで加速感をチェック
それでは実際の加速感を目で確かめてもらいたいと思います。こちらの動画はハイブリッドモデルとガソリンモデルを比較した内容ですね。動画の開始45秒から加速テストが始まるのでご覧ください。
結果はガソリンモデルが11.24秒、ハイブリッドモデルが12.20秒となりました。
加速中の景色も見ていただきたいので、もうひとつ動画をピックアップしてみました。こちらは外国で撮影されたもので、巡航の一部始終が収録されています。
どうでしょうか?車線変更から追い越しまで、わりとスムーズに運んでいますよね。普段から速い車に乗っている人は物足りなく感じると思いますが、そうでなけでば十分な加速性能でしょう。
なおシエンタの実際の加速感は以下の試乗記事でまとめているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
シエンタ(ガソリン/ハイブリッド)の試乗レビュー・感想!乗り心地はいかに?!シエンタの加速性能を他の車と比較
加速感についてご覧いただいたところで、続きましてライバルと呼ばれる国産車と、その実力を比較してみたいと思います。
今回比較してみるのは、同クラスの国産車であるスズキ「ソリオ」、ホンダ「フリード」、日産「ノート e-POWER」の3台です。
0-100km/h加速のタイムや、TWRなどに注目しながらご覧ください。
スズキ ソリオ ハイブリッド
コンパクトカーに定評のあるスズキからは、ソリオ ハイブリッドを比較対象に選んでみました。排気量は1.2Lと小柄ですが、居住区間を大切にしている点など、シエンタとは共通点を多くもちます。
加速性能についてはどちらが優れているんのでしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,242cc |
最高出力 | エンジン:91PS/6,000rpm モーター:13.6PS |
最大トルク | エンジン:12.0kgf・m/4,400rpm モーター:3.1kgf・m |
車両重量 | 930-970kg |
PWR | 10.66kg/PS |
TWR | 80.83kg/kgf・m |
0-100km/h | 11秒前半 |
エンジンではソリオ、モーターではシエンタに分がありますね。パワーユニットだけを見たら、どちらが上か判断できません。
次に注目するのはボディ重量。これはソリオが400kg近いアドバンテージがあります。よってPWR・TWRもソリオが大きくリード。結果として、ソリオのほうが加速タイムが1秒ほど速いですね。
パワーユニットというよりボディの有利から、加速性能はソリオが上手とみて間違いないでしょう。
ホンダ フリード ハイブリッド
ホンダのコンパクトミニバンは「フリード」が代表的なモデルでしょう。シエンタのようにサイズ感を重視したモデルですし、価格帯も近いので、いい比較対象になるでしょう。
人気モデルのハイブリッド同士で見ていきたいと思います。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | エンジン:110PS/6,000rpm モーター:29.5PS |
最大トルク | エンジン:13.7kgf・m/5,000rpm モーター:16.3kgf・m |
車両重量 | 1,400-1,480kg |
PWR | 13.45kg/PS |
TWR | 90.80kg/kgf・m |
0-100km/h | 9.2秒 |
車重で見るとシエンタのほうが100kgほど軽量なのですが、PWR・TWRを比較してみると、フリードのほうが優れた数値をだしていますね。
とくに、トルク性能は直線加速の優劣に直結する要素なので、TWRのアドバンテージはかなり大きいです。
この性能差から、0-100km/h加速のタイムもフリードのほうが2秒近く速いという結果に。総合的に見て、加速性能はフリードに軍配があがるかと思われます。
なおフリードについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
フリードの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?フリードの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!日産 ノート e-POWER
最後に比較するのは、日産のコンパクトミニバンであるノート。シエンタのように柔らかい印象のルックスとは裏腹に、スポーティな一面も備えるモデルです。
なかでも、同社「リーフ」のモーターを搭載し、高出力のハイブリッドシステムとしては注目される「e-POWER」と比較してみたいと思います。それでは性能を見てみましょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC+モーター |
排気量 | 1,198cc |
最高出力 | エンジン:79PS/5,400rpm モーター:29.5PS |
最大トルク | エンジン:10.5kgf・m/3,600-5,200rpm モーター:16.3kgf・m |
車両重量 | 1,190-1,310kg |
PWR | 16.58kg/PS |
TWR | 80.36kg/kgf・m |
0-100km/h | 7.5秒 |
PWR・TWRはシエンタよりも優れた数値ではありますが、その差以上に加速タイムに開きが見られますね。これはモーターの特性に秘密があります。
電気モーター最大の利点は、低回転から即座に高出力を発揮できることですよね。ゆえにハイブリッドカーは「出足が速い」といわれるのですが、ノートに搭載される「EM57型」モーターはとくにこの特色が濃いです。
ペダルを軽く踏み込むと、まるで2.0Lターボ並みのビッグトルクを発揮するのでグングン加速します。したがって、シエンタよりも加速性能は優れているということになりますね。
なおノートについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
日産ノート(e-power)の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!日産ノート(e-power)の燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!速くはないが日常使用なら申し分ないモデル
というわけで、シエンタの加速性能についての解説は以上になります。
実用性を第一に考えられた車ですから、加速を求める方には物足りなく感じることは否めませんが、日常使用程度なら十分使える加速性能ですよ。
なおシエンタについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
シエンタの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!シエンタの辛口レビュー/評価!欠点/短所と魅力/長所をすべて暴露!