自動車の開発時にはさまざまな記号が使われますが、皆さんは「TNGA」という言葉をご存知でしょうか。
日本の最大手メーカーであるトヨタ自動車の最新システムなのですが、かなり複雑で複合的なものとなっています。
今回はそんなTNGAについてご説明します。
TNGAとは
TNGAとは「Toyota New Global Architecture」の略で、自動車の開発に関わる様々な事柄を総合的に改革するトヨタの新システムとなっています。
なおTNGAと全く同じシステムでDNGAというものがあり、こちらはトヨタと提携しているダイハツの「Daihatsu New Global Architecture」で、このシステムはトヨタとダイハツの共同開発システムです。
TNGAは自動車開発におけるエンジンやプラットフォームの共用化、部品共用化、調達などを最適化することで開発費の負担を軽減するシステムです。
ですがこれまでのシステムと違って対象が多岐にわたっており、ただ単純な共用化システムではないのです。
TNGAの目的
TNGAは「もっといいクルマづくり」という表題を掲げて2012年に発表されたシステムで、自動車開発の企画、開発にとどまらず、調達、生産準備、生産などすべての行程をユーザーの声を元に改善することを目的としています。
これまでもさまざまなメーカーが「アーキテクチャー」と呼ばれる開発の基本骨格を作ってきており、エンジンの共用化、プラットフォームの共用化などで開発を効率化し、開発期間の短縮や開発費の圧縮を行ってきました。
ですがトヨタが目指しているのはもっと総合的な取り組みで、単純な共用化にとどまらない見直しをTNGAを元に行おうというものです。
トヨタは世界有数の自動車生産台数を誇り、日本のみならず世界中で車を生産しています。
そのため各仕向地ごとに非常に多くの車種や仕様、エンジン機種を抱えており、今後ますます増大する開発費、生産費に対して対策が求められていました。
部品などの共用化だけでもかなり難しい取り組みですが、あらゆる面で見直しを行うことでさらなる改革を目指しています。
TNGAには主に5つの柱がありますので、簡単にご紹介しましょう。
TNGAの5本の柱
TNGAの改革には次の5つの柱があり、これまでのアーキテクチャーよりも非常に幅広いものとなっています。
- 商品力の向上
- グルーピング開発による効率化
- ものづくり改革
- グローバル標準への取り組み
- TNGAと連動した調達戦略
商品力の向上
商品力の向上はその名の通り車の性能を一気に改善するもので、車の低重心化と低フード化、およびプラットフォームの改善とエンジンの改善の行います。
車の商品力はデザインや内装の良さにもありますが、車の走行性能や運転しやすさ、車の基本性能である「走る」「曲がる」「止まる」などの性能を改善することでも上昇します。
TNGAの場合は車の低重心化と低フード化を大きな目的にしており、低重心化によって車の運動性能を大幅に向上させ、さらに低フード化によって良好な視界を確保することを目指しています。
また車両の骨格であるプラットフォームの共用化やエンジンの共用化も進め、高性能なプラットフォームとエンジンを多数の車種に展開することも行います。
グルーピング開発による効率化
グルーピング開発とは何車種もの車を同時に開発することで、中長期的な商品ラインナップを最初に決めてそれに合わせて複数車種の開発をまとめることで効率化を図ります。
これまでも何車種かの複数開発はトヨタでも行っていましたが、それをもっと計画的に行うのがこの項目で、同時開発することで部品とユニットの共用化を進めます。この項目によってこれまでより2割~3割の開発効率化を目指しています。
また同時開発によって部品配置の最適化も行って、トヨタ車の総合的な向上も目指すものです。
ものづくり改革
ものづくり改革とは自動車の生産部門の改革のことで、より生産しやすく高い品質の確保を目指しています。
ものづくり改革では部品の仕入れ、調達、生産技術、開発の4者を統合的に改革することで、前述の部品共用化やシステムの共用化を果たし、また生産しやすい車の開発を行います。
生産技術の向上は車の品質を大きく向上させるものですので、車の信頼性を高めるためにも重要なものです。
なおトヨタの車の信頼性については以下の記事で取り上げているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
トヨタは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!グローバル標準への取り組み
グローバル標準とは世界中のメーカーが採用するグローバル標準規格に車を対応させることで、よりコストメリットのある標準部品を使えるようにするものです。
トヨタに限らず自動車の部品は各社独自の企画でまとめられているものが多く、部品の共用化は主にメーカー内部だけで行われてきました。
その場合でも生産台数の多さによって部品コストを下げる効果がありますが、それより世界的な標準部品が使えればさらなるコスト低減が可能となります。
現在は各部品メーカーが大きな開発力を持っているので標準部品も多くなっており、その部品をそのまま使えることを目指します。
TNGAと連動した調達戦略
調達戦略は自動車の部品を世界中のメーカーから調達してくる戦略のことを指し、この面でも共用化を高めます。
TNGAは世界中の生産拠点、仕向地用の部品を総合的に調達することを目指しており、車種、地域などをまたいだ発注ができるようにしています。
これまではそれぞれの生産拠点の近くから調達することも多かった面を、共用化を更に高めることで競争力を上げることを目指しています。
以上5つがTNGAの中核となる内容で、2012年頃から開発がスタートしてここ数年でその成果が出てきています。
TNGAのエンジン
TNGAはトヨタ内部での改革が多くその成果はなかなか外からは見えにくいのですが、その成果の一つとして新型エンジンの存在があります。
TNGAを元に開発されたエンジンは「Dynamic Force Engine」という総称があり、2017年にA25A-FXS型 2.5L 直列4気筒直噴エンジン、2018年に 新型2.0L 直列4気筒直噴エンジンが登場しました。
またTNGA全体ではエンジンは9機種・17バリエーション、トランスミッションは4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入が予定されており、2023年までに80%以上の車種に搭載される見込みです。
A25A-FXS:2.5L 直噴エンジン
2.5LエンジンであるA25A-FXSは既にトヨタの数車種に搭載されており、中型セダンのカムリやフラッグシップモデルのクラウンに搭載されています。
スペック | TNGAエンジン | 前型エンジン |
エンジン形式 | A25A-FXS | 2AR-FXE |
エンジンスペック | 2,487cc 直列4気筒DOHC16バルブ 直噴 | 2,493cc 直列4気筒DOHC16バルブ |
最高出力 | ・130 kW(177PS)/5,700 rpm ・135 kW(183PS)/6,000 rpm | ・118kW(160PS)/5,700rpm ・112kW(152PS)/5,700rpm |
最大トルク | ・220 N・m(22.5kgf・m)/3,600rpm- 5,200 rpm ・221 N・m(22.5kgf・m)/3,800rpm- 5,400 rpm | ・213N・m(21.7kgf・m)/4,500rpm ・206N・m(21.0kgf・m)/4,400rpm~4,800rpm |
圧縮比 | 13(ガソリン車) 14(ハイブリッド車) | 12.5 |
※直噴、直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直噴エンジンとは?メリット3つとデメリット4つ!不具合と耐久性が欠点?!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!このエンジンはこれまでの2.5Lエンジンを大きく改良したエンジンとなっており、その目玉は新開発の直噴燃料インジェクタ採用による圧縮比向上、効率および出力アップにあります。
また高速燃焼技術の採用、圧縮比の向上、可変容量オイルポンプなどによって熱効率が大幅に向上しており、ハイブリッド用で41%、エンジン車で40%という世界トップレベルの性能を持ちます。
これらの技術により最高出力、最大トルクとも上昇しており、燃費も20%近く向上している新世代のエンジンです。
新型2.0L 直噴エンジン
TNGA第二段の新型エンジンは2.0L 直列4気筒エンジンで、2018年2月に発表されました。
このエンジンはまだ発売されていませんが、基本的には2.5LのA25A-FXSエンジンの技術を並行採用したエンジンとなります。
スペック | TNGA 2.0Lエンジン | 前型エンジン |
エンジン形式 | 不明 | 3ZR-FXE |
エンジンスペック | 1,986cc 直列4気筒DOHC16バルブ 直噴 | 1,986cc 直列4気筒DOHC16バルブ |
最高出力 | エンジン車:126kW/6,600rpm ハイブリッド:107kW/6,000rpm | 112kW(152PS)/6,100rpm |
最大トルク | エンジン車:205N・m/4,800rpm ハイブリッド:180N・m/4,400rpm | 193N・m(19.7kg-m)/3,800rpm |
圧縮比 | 13(ガソリン車) 14(ハイブリッド車) | 10.5 |
基本的には2.5Lの新型エンジンの技術を採用して、効率向上と圧縮比上昇によって、こちらもハイブリッド用で41%、エンジン車で40%の熱効率を発揮します。
これにより前型エンジンのZR型より出力もトルクも上昇し、高い環境性能も持っています。
このエンジンは2018年中には量産車に搭載される見込みで、登場が待たれます。
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トヨタ以外のメーカーもさまざまなアーキテクチャー戦略を持っており、各社とも開発や生産の効率化を総合的に行おうとしています。
今回は国内メーカーのマツダとドイツ最大手のフォルクスワーゲンを例に取り、TNGAとの違いを見ていきましょう。
TNGAとマツダ コモンアーキテクチャー
国内中堅メーカーのマツダは最新のアーキテクチャー戦略で成功を収めているメーカーの一つで、世界的な話題になりました。
マツダはこれを「コモンアーキテクチャー」と呼んでおり、TNGAとは違った切り口のアーキテクチャーです。
TNGAを始めとしたアーキテクチャーの基本は前述したグルーピング戦略にあり、同クラスの車種やエンジンをまとめることで開発の効率化と部品共用化を進めるものです。
この場合はクラスごとにそれぞれ別の戦略を立てて開発しており、クラス同士のつながりは限定的です。
しかしトヨタのような大きなメーカーなら生産台数も多くこの方式でも効率化は出来ますが、マツダのような生産台数の少ない中堅メーカーではこの方式では厳しかったそうで、マツダ コモンアーキテクチャーでは考え方を180°変えて、クラスごとの横割りではなくクラスをまたいだ縦割りのアーキテクチャーとなっている点がTNGAと大きく違っています。
コモンアーキテクチャーではすべての車種を同一の生産ラインで混流生産することを目的とし、開発する車の生産設備や部品構造をこれに適応するように開発しています。
そのためにはラインナップの全車種を一括企画する必要があり、必然的に部品の共用化も進むわけです。
またマツダはラインナップの車種のデザインコンセプトを統一する方式を取っており、このこともコモンアーキテクチャーと同時に採用されています。
マツダのコモンアーキテクチャーはこれまでのアーキテクチャーからしたら非常に異質なものであり、当初はうまく行かないのではなどと囁かれたこともありましたが、現在では高い成功を収めた革新的なものとして評価されています。
今後は全車種でのアーキテクチャーではなく、もっと効率的にスモールとラージという2つのグループに分けた戦略を進めていくようです。
TNGAもコモンアーキテクチャーも企画から生産までを一括するアーキテクチャーですが、その内容は180°違っており、現時点ではマツダの戦略のほうが成功しているというのが世間の評価となります。
なおマツダ車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
【画像】マツダ車はかっこいいのか?デザインについて徹底分析!マツダ車は故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!TNGAとフォルクスワーゲン MQB
ドイツ最大手のフォルクスワーゲンもトヨタと同規模の世界最大クラスのメーカーであり、そのフォルクスワーゲンが採用しているアーキテクチャーがMQBです。
これはドイツ語の「Modulare Quer Baukasten」の略で、英語に訳すとModular Transverse Matrix(モジュラー・トランスバース・マトリックス)となります。
このアーキテクチャーも一括企画と共用化を目指すアーキテクチャーですが、その根幹は車のプラットフォームの共用化を目的としたもので、TNGAに比べて適用範囲が限定的です。
ですがプラットフォーム開発としてみると幅が広く、車種のクラスを表すセグメントの枠を超えたプラットフォームの部品共通化を目指すものです。
TNGAなどではセグメントごとのプラットフォーム共通化を目指して開発を行いますが、MQBではセグメントをまたぐために車の主要部位ごとにモジュラー化を行い、モジュラーの組み合わせを変えることで小型の車種から大型の車種までまとめて開発しようというものです。
MQBで使われるプラットフォームは、は前輪からアクセルペダルまでの間隔が固定されている以外はすべての寸法を変更することが出来、小型コンパクトカーのAセグメントから、大型セダンのDセグメントまでをひとつのプラットフォームとモジュールの組み合わせで対応できるようになるそうです。
TNGAでもプラットフォームごとでは組み合わせで複数車種に対応しているものの、MQBに比べれば共用化の適用範囲が狭いといえ、トヨタが従来行ってきたアーキテクチャーの延長線上でしかありません。
そのためTNGAでは共用化のために無駄な構造が発生することも多く、MQBより効率の面では低いと言わざるを得ません。
TNGAにはプラットフォーム以外の点での効率化も入っていますのでトータルで見るとわかりませんが、目に見えるプラットフォームやモジュール設計などを見るとMQBのほうが優れているように見えます。
なおフォルクスワーゲン車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
フォルクスワーゲンとトヨタの関係は?提携してる?撤退した?わかりやすく解説!フォルクスワーゲンは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!TNGAの世間からの口コミ・評価
TNGAは一般的な車の評価とは違いトヨタ全体の戦略なので全体像が見えにくい点がありますが、それでもTwitter上には様々な意見があります。
今回はその中からいくつかご説明します。
TNGAの走りは良い
あの車の売りは1番は剛性力。
ハンドルを切った時のボディの一体感は感動。
アクセルと速度のリニアリティも楽しいね。
ただブレーキの制御はもう一歩。
TNGAの頭出しとしては成功の車だと思うよ!
あとはラインナップが微妙だからもう数年待ってMCの時がさらに楽しみな車だね!— たいがちーの@部品取りカプチ (@k6a100ps) April 22, 2017
TNGAのプラットフォームの肝である低重心化は車の走行性能に大きな改良を与えており、実際に乗った人からはなかなか良い評価を受けています。
とくに剛性感の高い走行感覚と安定感のあるカーブ性能は良いようで、それまでのトヨタ車とは一線を画す性能があります。
こういった面はTNGAの効果をはっきり感じられる点です。
漠然としていてわかりにくいTNGA
「TNGAは、「もっといいクルマづくりのフィロソフィー」なんです。いろいろな表現があってわかりにくいかもしれませんが(笑)、いいクルマづくりをしていこうという活動そのものなので終わりがないんですよ。」
マツダのSKYACTIVよりさらに曖昧な概念なのか。言ったもん勝ちだなw
— 神戸大助 (@d_kanbe) June 9, 2018
TNGAは非常に多岐にわたる改革を行うアーキテクチャーですが、その全体像というのは一般人からはあまりよくわからないものでもあります。
開発の効率化や開発コスト低減はたしかに必要なのはわかりますが、それが車の値段に直接的に反映されているかがわからないのです。
車の値段が一気に下がるなどあれば実感もできるでしょうが、実際には上昇傾向にあるからです。
TNGAは道半ば
日経新聞)トヨタ自動車は9日、2018年3月期の連結決算を発表した。純利益は36%増の2兆4939億円と過去最高。一方、19年3月期の純利益は15%減の2兆1200億円を見込む。業績のカギを握るのが、生産や設計などの新手法「TNGA」の対応車種を増やす取り組みだが、現状ではコストが増えるなど成果は道半ばだ。
— はやぶさトニー (@umibeni154) May 9, 2018
TNGAは開発コストの低減を目指すものなのですが、直近のトヨタの決算などを見ているとその効果はまだ表れていないようです。
直近の純利益が目減りしていることからTNGAは失敗なのでは?とも言われていますが、効果が出てくるのにはもう少し時間が必要なのでしょう。
最終的にTNGAの結果が分かるのは2020年以降になりそうです。
TNGAの採用車種
TNGAを本格的に採用した車種は現時点ではまだ少ないのですが、現状で発売されているTNGA対象車種をご紹介します。
トヨタ 4代目プリウス
TNGAを初採用した車種は2015年登場の現行プリウスで、この車種からTNGAの効果を体感できるようになりました。
プリウスのTNGAは主にプラットフォームに関するものとなっており、新開発のTNGA-Cプラットフォームを採用しています。
TNGAの特徴である低重心フォルムはプリウスのデザインにも大きく影響を与えており、低いフードはスポーティな感じを与えます。
走行感覚もキビキビした運動性を持つようになり、車の性能は確実に向上しています。
一方でエンジンとハイブリッドシステムに関してはTNGA化はされておらず、エンジン排気量が1.8Lに拡大されてはいますが従来のエンジンラインナップの延長線上です。
ですが熱効率は40%を達成するなど改良は行われており、エンジン性能も確実に向上しています。
TNGAの第一弾としてその成果を十分感じられる車になっている一方で、デザインが非常にアクの強いものとなってしまったことで厳しい評価も多い車となってしまっており、TNGA以外の点で不利な点がついてしまった車です。
なおプリウスについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プリウスの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!プリウスの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!トヨタ 新型カムリ
TNGAの中で中型セダンとして登場したのが新型カムリで、この車種にはTNGA-Kプラットフォームが採用されています。
Kプラットフォームも低重心化を目的としたプラットフォームで、それまでおとなしめのデザインだったカムリにスポーティなデザインを与えることにも繋がっています。
カムリは北米を中心に非常に人気の高いモデルであり、その性能の向上とデザインの進化はカムリの人気に拍車をかけることとなりました。
またエンジンには前述したTNGAエンジンであるA25A-FXS型:2.5L 直4直噴ガソリンエンジンが初採用され、高効率のエンジンとなっています。
スペックと燃費が向上したこともカムリの魅力を高めることに繋がっており、TNGAの成功例の一つと言えるでしょう。
またこの車種はダイハツにもOEM供給されており、ダイハツ アルティスとしても発売されています。
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カムリの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!カムリの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!トヨタ クラウン
クラウンは国内でのトヨタの重要車種で、セダンとしては圧倒的な人気を誇る車種です。そのクラウンの15代目が2018年に発売されましたが、こちらにもTNGAが採用されています。
クラウンには大型セダン用のTNGA-Lプラットフォームが採用され、やはり低重心化が目玉の特徴です。
クラウンはこれまで高級路線からスポーツセダンの路線に少しづつ移行してきましたが、15代目クラウンからはTNGAの採用もありこれまででもっともスポーティで上質感のあるクラウンとなっています。
私もこれまでクラウンは少し遠い存在だったのですが、新型となってからは非常にかっこよい車になったと思います。
クラウンにはいくつかのエンジンラインナップがあり、2.0L 直4、2.5L 直4、3.5L V6エンジンとありますが、この中でTNGA化されたのはカムリにも搭載されたA25A-FXS型のみとなります。
動力性能は前型のクラウンに対して向上しており、ハイブリッドシステムと組み合わされることで大きく燃費も上昇しています。
ただクラウンの2.0Lエンジンは新開発のダウンサイジングターボエンジンで、スペック的には2.5Lエンジン以上のものがあるので、A25A-FXSは環境重視エンジンという位置づけです。
今後クラウンの他のエンジンもTNGA化されていく可能性はありますが、現時点ではクラウンがTNGAとして最も最新の車といえるでしょう。
なおクラウンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
【画像/写真】新型クラウンの内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!新型クラウン(ハイブリッド/ターボ)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!TNGAの今後・将来性
TNGAは少しずつその成果が車として結実してきていますが、未だ道半ばの感じがあります。
トヨタの計画では2020年以降もTNGAの登場が続くとしており、今後の成果を見ればTNGAが成功か失敗かが見えてくるでしょう。