インプレッサシリーズの後継として登場したスバル「WRX」。
世界を獲ったインプレッサの系譜というだけあり、さすがに高い加速性能を発揮するモデルです。
とくにSTIモデルは、今でもなおモータースポーツの第一線で活躍する、日本を代表するスポーツカーとして世界中で愛されています。
その陰に埋もれてしまってますが、ベースモデルの「S4」も非常に優れているんですよ。
今回はWRXのベースモデル「 S4」について、加速性能について詳しく解説していきたいと思います。
エンジン性能や0-100km/h加速タイムを元に、ライバル車とも比較してみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
WRX S4の加速性能
WRXといえばやはり「STI」の印象が強いですが、S4も非常に優れたモデルなんです。
そもそもインプレッサから派生したスポーツモデルなわけですからね。加速についても、同クラスでは群を抜いた性能を発揮しますよ。
これを踏まえたうえで、WRX S4の加速性能を解説していきたいと思います。まずはこちらの諸元表をご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 水平対向4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,988cc |
最高出力 | 300PS/5,600rpm |
最大トルク | 40.8kgf・m/2,000-4,800rpm |
車両重量 | 1,540kg |
PWR | 5.13kg/PS |
TWR | 37.75kg/kgf・m |
0-100km/h | 6.8秒 |
※水平対向4気筒、DOHC、ターボ、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水平対向4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!補足させていただくと、「エンジン種類~車重」の項目は公式カタログから引用し、「PWR・TWR」は平均重量から算出しました。「0-100km/h加速」のタイムは、オーナーさんの口コミを元にしています。
0-100km/h加速タイムをチェック
まずはてっとり早く、0-100km/h加速のタイムからチェックしていきましょう。諸元表にあるとおり、S4はわずか6.8秒で100km/hに達します。これは2.0Lクラスとしてはかなり速いタイムです。
噂によると、純正の状態でも5秒台で走れるともいわれていますが、確証が得られなかったため、今回は6.8秒というタイムを参考に話を進めていきたいと思います。
乗用車のスペックとして、こちらにトヨタの人気モデルのタイムを一覧にしてみたので、よかったら参考にしてください。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
ハリアー(ターボ) | 7.0秒 |
86 | 7.3秒 |
クラウン(ターボ) | 7.5秒 |
アルファード 3.5L | 7.5秒 |
プリウス | 9.5秒 |
シエンタ(ガソリン) | 12秒 |
なお上記の表にある車種の加速性能については以下の記事で詳しく解説しているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハリアーの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?クラウンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?アルファード/ヴェルファイアの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シエンタの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?エンジンの性能をチェック
加速が速いとなると、気になるのはエンジン性能ですよね。載っているのはSTIモデルとは異なる「FA20型」エンジンですが、一体どれくらいのスペックなのでしょうか。
スバル伝統のボクサーエンジン
スバルといえば水平対向エンジン、通称「ボクサーエンジン」というイメージがありますが、ご多分に漏れずWRX S4に搭載されています。
水平対向エンジン/ボクサーエンジンのメリット5つとデメリット5つ!音がいい?!シリンダーに直接ガソリンを噴射する「直噴システム」、そして強力な過給を可能にする「ツインスクロールターボ」によって、発揮する出力・トルクは「300PS、40.8kgf・m」という数値。車が好きな方なら、一目見てわかるパワフルさですよね。
ツインスクロールターボとは?仕組み/構造は?BMWとレガシィが搭載車?!乗用車でいえば「200PS、30kgf・m」もあれば、十分パワフルに感じるはずです。とくにトルクに関しては、スポーツカーに乗った経験がない方が30kgf・mのフル加速を味わったら、恐怖を覚えることでしょう。
ところがWRX S4は、これを上回るパワーを軽々と出してしまうんですよね。これで加速が遅いわけがありません。
加速フィーリングも抜群
性能だけでなく、体感的な加速フィーリングも抜群です。
WRX S4をはじめ、スバル車の多くに搭載される水平対向エンジンはピストンが水平に往復することから、互いの力を打ち消し合うように稼働します。これによって生まれる「滑らかで気持ちのいい回転フィーリング」が魅力的。
また
- 軽量
- コンパクト
- 低重心
の3拍子がそろった水平対向エンジンは、軽快でスポーティな走行を可能にします。「これぞスポーツカー」という加速感が、他では味わえない興奮を生み出すことでしょう。
ボディの性能をチェック
エンジンだけでなく、ボディのつくりこみにも目を向けてみたいと思います。元々はラリーで研鑽を積んだモデルですから、ボディ性能も非常に仕上げられていますよ。
国産トップクラスのPWR・TWR
車の軽量性を示す指標に、「PWR(パワーウェイトレシオ)」「TWR(トルクウェイトレシオ)」というものがあります。
簡単にいうと、出力・トルクに対するボディ重量のことですね。「数字が小さいほど加速が速い」と考えるとわかりやすいでしょう。
WRX S4の車体は1,540kgと、それほど軽量なわけではありませんが、エンジンがパワフルなのでPWR・TWRはかなり高水準です。その数値は「5.13kg/PS、37.75kg/kgf・m」というもので、一般的な乗用車と比較すると一線を画しています。
さきほど一覧にしたトヨタ車について、PWT・TWRもまとめてみたので、ぜひ比較してみてください。比べてみると、その差は圧倒的です。
車種 | PWR | TWR |
ハリアー(ターボ) | 8.66[kg/PS] | 56.0[kg/kgf・m] |
86 | 6.15[kg/PS] | 58.9[kg/kgf・m] |
クラウン(ターボ) | 7.06[kg/PS] | 48.1[kg/kgf・m] |
アルファード (3.5L) | 7.14[kg/PS] | 58.4[kg/kgf・m] |
プリウス | 13.98[kg/PS] | 94.5[kg/kgf・m] |
シエンタ(ガソリン) | 12.52[kg/PS] | 94.2[kg/kgf・m] |
スバル伝統のAWD
また伝統という言葉がでてきました。「スバルといえばAWD」というイメージを持つ方も少なくないはず。四輪が常時駆動するので、FFやFRよりも強くグリップします。
スバルの「シンメトリカルAWDシステム」は、バランスに優れた水平対向エンジンを核として、前後左右に適切に重量を分配します。これにより4輪がしっかりと地面を掴むので、エンジンの出力を効率よく推進力に変えるんですよ。
かつてWRCを獲っただけあり、スバル車のなかでもWRXシリーズはとくに強くこだわられているため、かなりアグレッシブな加速を見せます。
もしWRX S4を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!WRX S4の実際の加速感
数字だけではいまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。オーナーさんの投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。
Twitterで加速感をチェック
WRX S4 STI納車❗
慣らしで120kmほど走ったけど、加速良いのでちょっと踏んだだけで結構出ちゃいますね…笑
気いつけて走らなすぐ捕まるわこれ笑😅
これからのドライブ楽しみです✌️ pic.twitter.com/T6QLr03y8y— TAKASHI(暇人⭐てつお) (@kips6208) 2018年10月25日
こちらの方は、比較的最近WRX S4を納車したようですね。まだ新車感のある一番楽しい時期なのでしょう。
走ってみての感想は、「加速良いのでちょっと踏んだだけで結構出ちゃう」とのこと。過去のインプレッサシリーズもそうですが、現行WRXはまさに「すぐスピードがでる」のです。
細かい部分については個人の好みがありますが、単純な加速性能は国産車でもトップクラス。
今まで借りたクルマの中で一番性に合ったのはWRX S4。うち(WRX STI GVF)のよりも低速域の加速が鋭い。もちろん中間速から高速域はこっちに軍配が上がるけど、街乗りだけだとS4のが速く思えてしまう。次点はレヴォーグ。不足なくいい走り。「レギュラーガソリンでアレかー」って感心したなぁ。
— どらりゅう先生 (@DORARYUE) 2019年1月25日
こちらの男性は、過去に代車としてWRX S4に乗ったことがあるご様子。なんとGV型インプレッサ(WRX STI)を所有しているようで、意見が気になるところです。
感想としては、過去に借りた車で「一番性に合っていた」とのこと。低速域では、GVFよりも鋭い加速を披露したようです。
さすがに、中~高速域の加速はGVFに軍配が上がりますが、出足の良さから、街乗りではS4のほうが速く感じるのです。
普段使いの速度域では、S4のほうが「トルクの美味しい部分を使いやすい」ということですね。
なおWRX STIについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
WRX STIの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?WRX S4、4年目に入りましたが、0発進加速時の一瞬の無反応時間がやはり気になります。前車BL型B4 2.0GTも同様だったため、ターボラグやCVT特性ではなく、無過給でも相当のトルクがある事を考慮すれば誤発進対策と思うのですが、右折時には時折危険。#WRX S4#ターボラグ#CVT pic.twitter.com/w2BA3Ddkt8
— fujimaru (@Kada_maru) 2018年5月24日
インテリアの画像とともに投稿されたこちらの意見は、加速について少し気になるポイントが指摘されています。
納車から4年目ということですが、「0発進加速時に一瞬の無反応時間がある」とのこと。
こちらのオーナーさんはレガシィB4(BL型前期)に乗っていたことがあるみたいで、そのときにも起きた現象のようです。実はこれターボラグではなく、強力すぎるエンジン性能を抑えるシステムなんですよ。
ターボラグとはどんな意味?起こる原因と解消する対策について解説!優れた加速性能を有しているため、こういったシステムが組み込まれているので、なかには気になる人もいるかもしれませんね。こちらの方は「右折時は注意」と注意を促していますしね。
You Tubeで加速感をチェック
それでは、WRX S4の加速を、実際に動画でご覧いただきたいと思います。通常の加速と、噂の「裏モード」の加速動画を2種類用意したので、ぜひチェックしてみてください。
まずは通常の加速をご覧いただきましょう。0-100km/h加速のタイムは動画の最後に記載されていますが、3分あたりから加速動画が始まります。
測定の結果は「6.6秒」という好タイム。STIモデルなどと比較すると劣りますが、抜群の加速性能は確認できますよね。
そして、こちらが噂の裏モードの加速動画です。計測によると、なんと「5.4秒」という本格スポーツカー顔負けのタイムをマークしました。
裏モードとは、簡単にいうと「S#モード」に入れてブレーキを同時操作する発進方法のことで、いわゆるローチコントロールのことです。
S#モードに設定したら左足でブレーキを踏み込み、アクセルを踏んで回転数を上げてから、ブレーキを解除して発進します。
WRX S4の加速性能を他の車と比較
加速感についてご覧いただいたところで、続きましてライバルと呼ばれる国産車と、その実力を比較してみたいと思います。
今回比較してみるのは、同クラスの国産車であるマツダ「アテンザ」、ホンダ「シビック ハッチバック」、トヨタ「マークX」の3台です。0-100km/h加速のタイムや、TWRなどに注目しながらご覧ください。
マツダ アテンザ
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ ディーゼルターボ |
排気量 | 2,188cc |
最高出力 | 190PS/4,500rpm |
最大トルク | 45.9kgf・m/2,000rpm |
車両重量 | 1,610kg |
PWR | 8.47kg/PS |
TWR | 35.07kg/kgf・m |
0-100km/h | 8.6秒 |
まず比較するのは、マツダのミドルクラスセダン「アテンザ」です。とくに低速トルクの強力なディーゼルモデルをチェックしてみましょう。
さっそく0-100km/h加速を見てみると、「8.6秒」ということで、発進加速は圧倒的にWRXのほうが速いですね。2秒という差は、実際に運転してみるとかなり大きいです。
アテンザの武器である最大トルクは、「15.9kgf・m」という抜群の数値ではあるのですが、WRX S4「40.8kgf・m」を考えると特別強力には感じませんね。最高出力ではWRX S4が110PSもリードしているので、どの領域においても加速性能は上回っていますよ。
なおアテンザについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アテンザの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?アテンザの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ホンダ シビック ハッチバック
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | 182PS/6,000rpm |
最大トルク | 22.4kgf・m/1,700-5,500rpm |
車両重量 | 1,350kg |
PWR | 7.42kg/PS |
TWR | 60.27kg/kgf・m |
0-100km/h | 7.59秒 |
続いて比較していきたいのは、国産車でもっともキャラクターの近い「シビック ハッチバック」です。スポーツカー全盛期からともに第一線で研鑽されてきたモデルとして、ぜひチェックしてみたいところ。
まず0-100km/h加速ですが、アテンザより速い「7.6秒」という好タイムです。一般的にいえば十分速い部類に入りますね。
ですが、WRX S4のタイムには1秒近く及びません。この要因は、やはり出力とトルクの差にあります。
車重で見るとWRX S4のほうが200kgほど重いですが、その差を補って余りあるパワーを発揮できますから。とくに中~高速度域にかけての加速は大きく引き離すと思います。
なおシビックについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
シビックハッチバックの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シビックハッチバックの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!トヨタ マークX
項目 | 諸元 |
種類 | V型6気筒DOHC |
排気量 | 2,499cc |
最高出力 | 203PS/6,400rpm |
最大トルク | 24.8kgf・m/4,800rpm |
車両重量 | 1,570kg |
PWR | 7.53kg/PS |
TWR | 61.7kg/kgf・m |
0-100km/h | 6.8秒 |
最後に比較するのは、トヨタの上級セダン「マークX」です。ハイパワーなエンジンを搭載し、その加速性能はトヨタのなかでもトップクラス。2.5Lと3.5Lの2種類がありますが、今回は2.5Lモデルをチェックしてみたいと思います。
マークXの0-100km/h加速ですが、「6.8秒」という好タイムでWRX S4と同等の数値ですね。ところが、性能的な部分としては、出力・トルクともにWRX S4のほうが強力で、車重も同じ程度なんです。
ポテンシャルとしては圧倒的にWRX S4のほうが上回っているのですが、0-100km/hのタイムが同じ水準なのは、制御システムによる影響が大きいのでしょう。さきほども少し触れたように、WRX S4には誤作動抑制装置が搭載されていますからね。
そのため、エンジン性能を解き放った裏モードによる走行ならWRX S4に軍配が上がりますが、街中ではそう大差ない加速性能といえるでしょう。
なおマークXについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
マークXは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!マークXは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!WRX S4は国産車でもトップクラスの加速性能
というわけで、WRX S4の加速性能についての解説は以上になります。
くりかえるように、STIモデルには及びませんが、国産の同モデルと比較するとかなり加速が優れていることがわかりますよね。
その性能はまさに圧倒的という言葉がピッタリです。ミドルクラスセダンにスポーツ色を求めるなら、間違いなくおすすめのモデルといえるでしょう。
なお加速性能については以下の記事で別の車種を取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
インプレッサは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!レガシィB4は速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!