スバル レヴォーグはスバルの次世代のステーションワゴンで、大型化したレガシィツーリングワゴンの代わりに国内向けとして開発された車です。
スタイリッシュで使い勝手もよいレヴォーグですが、その一方で故障の発生についてはどれぐらいの信頼性があるのでしょうか。
今回はレヴォーグの故障についてご説明します。
レヴォーグの故障率
レヴォーグは2014年に登場した比較的新しい車種ですが、改良のスピードが早く初期型がA型だったのに対し現行はD型となります。
ほぼ1年に1回のペースで改良されていますが、正式なマイナーチェンジとしては2017年7月に行われたD型となっており、衝突安全性能の強化の他、走行性能の改善が行われています。
国内ではスバルのステーションワゴンの人気は相変わらず高いのですが、それまで定番だったレガシィツーリングワゴンは北米での人気を受けてワイド化、ロング化が進み、国内ではワゴンとしては少々大きくなってしまいました。
その点レヴォーグは国内にマッチしたサイズを主眼として開発されましたので現在では非常に人気が高く、スバルの代表車種のひとつにまで成長しました。
発売からまだ4年足らずのレヴォーグですが、現状で故障に関してはどんな実情なのかをデータをもとに見ていきます。
スバルの信頼性データ
レヴォーグの車種としての故障率が見れるとよいのですが、そういったデータはメーカーが収集しているものの最重要機密データですので私たちでは見ることはできません。
そのため他に参考にできるデータは民間調査会社が調べている信頼性調査データで、10年近い調査実績のあるJ.D.パワー社の「自動車耐久品質調査」が参考にできます。
この調査では新車を購入して3年~5年経過した期間に起こったトラブルの件数を聞き取り調査しており、それを集計して各自動車メーカーのランキングとしています。
レヴォーグは発売から4年経過しているので2017年の調査であれば対象に入っています。
2017年 日本自動車耐久品質調査
ランキング | メーカー | スコア |
1 | トヨタ | 59 |
2 | レクサス | 63 |
3 | ホンダ | 74 |
業界平均 | 74 | |
4 | メルセデス・ ベンツ | 75 |
5 | スズキ | 79 |
6 | 三菱 | 80 |
6 | 日産 | 80 |
8 | ダイハツ | 82 |
8 | スバル | 82 |
10 | MINI | 88 |
11 | マツダ | 93 |
このランキングでは国内の自動車メーカー9社が比較されていますが、スバルはダイハツと同率の8位に位置しており、国内メーカーとしてはそこまで高いランクにはありません。
故障件数を表すスコアも82ポイントと、トップのトヨタ、3位のホンダなどと比べると結構離されているのがわかります。
ただ日産や三菱とはそこまで大きな差ではなく、中堅メーカーとしてのスバルはそこそこの信頼性は持っていると言えるでしょう。
メーカーごとの故障率については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
スバルは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!日産車は故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!ホンダは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!レヴォーグは初期不良がまだ多い
レヴォーグは新車発売から4年、マイナーチェンジからは1年程度しかたっておらず、まだ初期不良が取りきれていない時期にあたります。
車の信頼性は新車時の設計でほぼきまるのですが、発売後に現れる初期不良を少しずつ改良することでさらに信頼性が高くなります。
どのぐらいとは一概に言えませんが、設計的な問題は1年程度、部品の劣化などによるトラブルは3年~5年ぐらいで現れてきます。
そうなるとレヴォーグのいくつかの初期不良はまだ残っていることとなりますので、信頼性を向上させるにはもう少し熟成が必要です。
とはいえスバル車は車が頑丈に設計されているのが特徴なので、大きな主要部分についてはそこまでのトラブルは起こりません。頑丈さの詳細は以下の記事をご参照ください。
スバル車に耐久性はないのか?真実に基づき解説します!むしろ中堅メーカーの苦手としている電装系や、細かい点でのトラブルが比較的多いでしょう。
中古のレヴォーグの故障しやすさ
レヴォーグの中古車は市場にもそれなりに台数がありますが、登場から4年しかたっていない状態なので基本的にはよい状態の車がほとんどで、経年劣化による故障はまだ気にする必要はないでしょう。
車の部品は走行距離が増えたり年式が古くなると、経年劣化によって故障が増える傾向にあります。
国産車ですとおおよそ走行距離で80,000km~100,000km、年式で10年経過がひとつの目安であり、年式についてはレヴォーグはまったく問題ありません。(走行距離の限界は以下の記事をご参照ください。)
中古車は走行距離が何万キロまで安心して乗れる?答えはこれだ!走行距離に関しても1年10,000km程度の走行距離ならまだまだ80,000kmには届きませんが、レヴォーグは旅行やレジャーにも便利な車なので中には走行距離の多い中古車はあるでしょう。
レヴォーグの故障の大半は初期不良によるところが多く中古車といえどそのリスクはありますが、基本的には車の状態は悪くないといってよいでしょう。
あとは基本的に中古車の選び方の一般的なポイントを抑えておけば、大きな問題はありません。中古車の一般的な選び方が分からない方は、こちらの記事もご覧ください。
初心者が絶対意識すべき中古車の選び方の5つのポイント・コツ!レヴォーグオーナーの評判
レヴォーグの故障に関する評判はTwitterにいくつも投稿されており、故障の実態を調べるにはかなり参考にできる情報です。
今回はその中から3件ご紹介しましょう。
噂のビルシュタインダンパートラブル
レヴォーグの右フロント前から異音が。まーたビルシュタインのアッパーマウントかしら。
前のBP5レガシィの時もビルシュタインはダメだったしなぁ。
— ASHIKING🐱6/2,3海 (@hirometix) October 8, 2016
この方のレヴォーグには特別仕様のビルシュタイン製ダンパーが装着されているようですが、異音がしてトラブルの予感です。
どうやら以前もアッパーマウントを交換されたことがあるようで、再発でしょうか。
足回りの異音はレヴォーグに多いのですが、とくにビルシュタインダンパーは発生頻度が高いそうです。これについてはのちほどご紹介します。
CVTは油温に注意
CG10月号で面白かったのは長期テスト車のレヴォーグのCVTの不調の話。スポーツ走行でミッションの油温上昇でシフト不能になることがあるらしく、メーカーに問い合わせた所、そういう使用方法は想定してないので、改善の予定はないとのこと。スポーツワゴンとして売っておいてそれはないと思う。
— T (@swingroove) September 29, 2015
レヴォーグのトランスミッションは全車CVTですが、エンジンがハイパワーなレヴォーグではCVT油温が上がりぎみになります。
雑誌の企画では結構激しい運転をしたところフェールセーフに入ってしまったそうなのですが、そこまで激しい走りは一般的ではないとはいえ苦手としていることは確かでしょう。
外装部品にサビ?
レヴォーグのアクセサリーライナーに錆が出てるんですが、これって無理交換の対象なんですかね?
レヴォーグ乗りの方よければ教えてください!— らう (@raurau12341) April 24, 2018
これはレヴォーグの初期型に現れるトラブルで、アクセサリーとしてつけられたLEDライトのまわりに錆が出てくるというものです。
現在は改良がされて対策品になっていますが、初期のA型は注意が必要です。
もしレヴォーグの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!レヴォーグの故障事例
それではツイートにもあった故障事例をいくつかご説明していきましょう。
ビルシュタインダンパーのトラブル
レヴォーグはスポーツワゴンの性格が強い車で、スバルがスポーティーなイメージもあることから足回りにもスポーツサスペンションのオプションがあります。
ノーマルダンパーより柔らかい
ドイツの有名なサスペンション部品メーカーであるビルシュタイン製ダンパーを純正でレヴォーグに装着することができ、レヴォーグGT-Sというグレードで設定が可能です。
ビルシュタインダンパーにすると、ノーマルのカヤバ製ダンパーよりも硬めでしっかりした乗り心地になり、高速走行時やカーブ走行などの際に余計な跳ねを押さえてくれます。
ノーマルのダンパーはそれよりも柔らかめで小さな凸凹は対応しやすいのですが、限界が低いというわけです。
どちらがよいかは一概にはいえず、結局どちらの乗り味が好みにあっているかで決めるところです。
異音が発生
さてこのビルシュタインダンパーはノーマルより約280,000円ほど高い装備なのですが、どうやらトラブルの発生率はこちらの方が多いらしく、ショック本体よりも取り付け部のアッパーマウントの不具合が多いようです。
もちろんショック本体が問題な場合もありますしさまざまですが、どれをとっても症状としてはサスペンション部分からゴトゴトと異音や振動がするようです。
この不具合はとくに初期型のA型に多いそうなので、それ以降は少し改善されたのかもしれません。
修理には怪しいと思われる部品の交換をして様子を見るのですが、アッパーマウント交換だけで済めば30,000円程度です。
しかしもしサスペンション交換となるとビルシュタイン製ということもあって高額で、4本で100,000円以上かかることもザラです。
アッパーマウントだけなら該当部位岳を交換しますが、サスペンション交換となるとさすがにセッティングが狂ってくるので、基本は4本まとめて交換することです。
ビルシュタインダンパーは素晴らしい走りを実現するダンパーなのですが、トラブルはそれなりに多く、また維持費がかかることは覚えておきましょう
CVTの油温上昇
レヴォーグのトランスミッションは全車CVTとなっており、燃費とスムーズな走行感覚を狙って採用されています。
高負荷走行による影響
CVT(Continuously Variable Transmission)は無段変速機と呼ばれるオートマチックトランスミッションで、プーリーとベルトによって連続的に変速を行うシステムです。
一般的なステップATと比較すると変速ショックがないことと、変速効率が高いのが利点で、変速が切れ目なく行えますので素晴らしくスムーズです。
一方でプーリーとベルトの摩擦によって動力を伝達しているので高負荷がかかる場面を苦手としています。
近年はCVTの技術も進化してきて高トルクの車にも採用できるようになり、レヴォーグのような最高出力300馬力、最大トルク40.8kgf・mの車でも使えるようになりました。
しかし前述のツイートでもあったように、無理な走行をするととたんにCVTへの負荷は上がってしまい、その影響はまずCVTフルードと呼ばれるオイルの温度上昇に繋がります。
そしてそのまま高負荷走行を続けると、油温の上がりすぎによるフェールセーフ(安全制御)が入り、車のスピードダウンやエンジン停止などになります。
前述のツイートでは少々激しすぎる走行をおこなったことが原因でしたが、そういった状況以外にも高速道路での走行や、夏の暑い日で冷却が満足に行えない状況などでもCVT油温は高めとなります。
ちなみにCVTの段階のない走行は、一部の人で苦手と言われたりしています。詳細は以下の記事で解説しているので、こちらもあわせてご覧ください。
レヴォーグの決定的な5つの欠点!弱点を徹底的に洗い出します!油温上昇の対策
対策はとにかくCVTにかかる負荷をさげる走行をすることであり、スピードを下げる、一時停止して油温を下げる、などで対応すればひとまずは大丈夫です。
しかし油温が高い状態で負荷の高い走行を続けると、そのうちプーリーとベルトの間の潤滑がうまくいかなくなることでプーリーとベルトが焼き付いたり滑ったりして、プーリーに傷がつきます。
そして一度傷がついてしまうとそこを起点としてさらに傷が深くなってしまうので、一度プーリーに問題の起こったCVTはもはや正常ではありません。
そのままでは異音や異常振動の原因になりますし、さらに進行すると変速自体が不可能になるところまでトラブルが進行します。
こうなるとミッションの載せかえしなければ修理はできず、300,000円以上の修理費用がかかるのです。
ここまでCVTに起こる最悪の事態をご説明しましたが、基本的には普通の運転をしている限りはここまでの事態にはなりません。
しかしレヴォーグのスポーツ性能を最大限発揮しようとすると最初に悲鳴をあげるのはCVTですので、油温警告が出る前に控えめに走るのがよいでしょう。
ちなみにレヴォーグの走行性能については、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもぜひご覧ください。
レヴォーグの走りは最高?走行性能を解説しつくします!LEDアクセサリーライナーに錆が出る
これはおもにA型と呼ばれる初期型レヴォーグで起こるトラブルですが、バンパーに設置するオプションである「LEDアクセサリーライナー」になんと錆が出るというものです。
LEDアクセサリーライナーはLEDのライトの周りに金属製の枠があるような部品なのですが、なんとこの金属部はメッキがあまりうまくいっておらず、新車同然の状態であっても錆が出てきてしまう不具合があります。
このトラブルが起こった部品はメーカーの無償修理の対象なので基本的には無料交換で対応できますが、リコールではないので初期型のレヴォーグではまだこういった部品も残っているかもしれません。
中古車で購入する場合などは要チェックの部分ですね。
なお現在生産されている車には対策品が採用されており、プラスチックにメッキする部品になったようなので錆の心配はなくなりました。
新しい車の部品に錆が浮くなんて考えられないトラブルなので、ようやくちゃんとした部品になったということですね。
レヴォーグは買っても大丈夫か?
レヴォーグは現行のスバル車の中ではスタイルもよく使い勝手も抜群で、かなりの人気モデルとなっています。
車のモデル自体もまだ新しく、また改良によって最新のシステムも織り込まれていくので、問題があっても改良も早い車といえるでしょう。
しかしやはり中堅メーカーとしての細かい部分のトラブルはありますので、故障はそれなりに発生します。
現在はまだほとんどの車が保証期間内ですのでそこまで心配することはありませんが、今後は維持費がかかってくるでしょう。
これからレヴォーグを買おうと思っている方は、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。購入の参考になりますよ。
レヴォーグのよくある8つの不満点!不満の声から分析しました!レヴォーグが高い理由2つ!ただ高額なだけじゃなかった?!