日産の2018年といえば、「セレナ e-POWER」の大躍進が記憶に新しいですよね。
その特徴は、アクセルペダルひとつで加減速が可能な先進システム「e-Pedal」と、フル加速中でも車内で会話が楽しめる静粛性。
そして、ミドルクラスミニバンとしてトップクラスの加速性能です。
これについて気になっている方も多いようなので、今回はセレナの加速性能について解説をしていきたいと思います。
エンジン性能や0-100km/h加速タイムを引用し、ライバル車とも比較してみたので、ぜひ参考にしてみてください。
セレナの加速性能
2018年の年次改良で、先進のハイブリッドシステム「e-POWER」をラインナップに加えた日産セレナ。その加速性能は、ミドルクラスのミニバンとは思えない水準に達しているんです。
まずは、公式ページから引用した主要諸元をご覧ください。
項目 | 諸元 | ||
種類 | 水冷直列3気筒DOHC+モーター | 直列4気筒DOHC+モーター | 直列4気筒DOHC |
排気量 | 1,198cc | 1,997cc | 1,997cc |
最高出力 | エンジン:84PS/6,000rpm モーター:136PS | エンジン:150PS/6,000rpm モーター:2.6PS | 150PS/6,000rpm |
最大トルク | エンジン:10.5kg・m/3,200-5,200rpm モーター:32.6kg・m | エンジン:20.4kg・m/4,400rpm モーター:4.9kg・m | 20.4kgf・m/4,400rpm |
車両重量 | 1,740-1,770kg | 1,730-1,760kg | 1,630-1,700kg |
PWR | 12.64kg/PS | 11.73kg/PS | 11.33kg/PS |
TWR | 54.29kg/kgf・m | 86.27kg/kgf・m | 83.33kg/kgf・m |
0-100km/h | 8.5秒 | 10秒 | 11秒 |
※直列3・4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!主要諸元の左がe-POWER、中央が通常のハイブリッドモデル、そして右がガソリンモデルとなっています。
ちなみに「PWR・TWR」は平均重量から算出し、「0-100km/h加速」のタイムはオーナーさんの口コミを元にしています。それでは具体的に評価していきましょう。
0-100km/h加速タイムをチェック
加速性能ということですから、てっとり早く0-100km/h加速タイムから目を通していきたいと思います。
まず今回の主役にあたるe-POWERですが、実測値で8.5秒という好タイムをマークしているんです。従来のミドルクラスのミニバンは、100km/hに達するまでに10秒ほど要していたので、突出していることがわかります。
事実2.0Lのハイブリッドモデルとガソリンモデルは、それぞれ「10秒」「11秒」という数値が計測されていますからね。
こちらに、トヨタ車の人気モデルのタイムをまとめてみたので、ピンとこない方は参考にしてみてください。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
ハリアー(ターボ) | 7.0秒 |
86 | 7.3秒 |
クラウン(ターボ) | 7.5秒 |
アルファード 3.5L | 7.5秒 |
プリウス | 9.5秒 |
シエンタ(ガソリン) | 12秒 |
なお上記の表にある車種の加速性能については以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハリアーの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?アルファード/ヴェルファイアの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?クラウンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シエンタの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?エンジンの性能をチェック
続いてエンジン性能の数値をチェックしてみましょう。ここで注目するのは、最高出力と最大トルクです。とくに、トルクは加速性能に影響力が大きいので、よく見てみたいと思います。
上級モデルに匹敵するパワー
まず、e-POWERですが、エンジンは発電用なので、走行にかかわるのはモーターだけです。
このモーターですが、なんと「136PS、32.6kgf・m」という出力を誇るんです。最大トルクに関しては、2.5~3.5Lクラスの上級モデルに匹敵するほど。低~中回転域ではモーターが主体となって駆動するので、出足の速さはスポーツカー乗りでも驚くと思いますよ。
2.0Lモデルに関しては、同様のエンジンを走行用に積んていることから、大きな性能差は見られませんね。モーターのパワーが加わる分、ハイブリッドモデルのほうがわずかに初期加速が速いでしょう。
e-POWERとは?
ここで、e-POWERについて簡単に触れておきましょう。
e-POWERとは、2016年に日産が発表した新たなパワートレインの総称です。通常のハイブリッドグレードとは差別化されていますが、基本的な構造は同じになっています。ひとつ違うのは、搭載されるモーターが、かなり強力だということ。
強力なモーターを駆動に組み込むことで、搭載エンジンの小型化、ひいては環境性能の向上しています。2016年にノートに設定されたグレードで、2018年に二号機としてセレナにも設定されました。今後もラインナップの増加が予想されますね。
ちなみにノート e-POWERの0-100km/hタイムは「7.5秒」とされており、コンパクトカーとしてはトップクラスの加速性能を誇ります。
日産ノート(e-power)の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ボディの軽量性もチェック
エンジン性能についてわかったところで、次はボディのほうを評価してみましょう。ボディ性能というと、加速に重要なのは軽量性ですよね。
車の軽量性を示す指標に、「PWR(パワーウェイトレシオ)」「TWR(トルクウェイトレシオ)」というものがあります。聞きなれない言葉かもしれませんが、簡単に説明すると、出力・トルクが負担するボディ重量のことです。
ボディ重量を出力・トルクで割った値で示されるので、「数字が小さいほど加速が速い」と考えるとわかりやすいでしょう。
セレナ e-POWERは、それぞれ「12.6kg/PS」「54.29kg/kgf・m」という、これまたミドルミニバンらしからぬ数値を残しています。
同じセレナでも、2.0LモデルのTWRは「83.33~86.27kg/kgf・m」という数値になっているので、その違いは一目瞭然。トルク性能が優れているので、1,700kgもの重量があっても加速性能を確保できるんですね。
こちらに、先ほどのトヨタ車のPWR・TWRを、それぞれまとめてみたので参考にしてみてください。
車種 | PWR | TWR |
ハリアー(ターボ) | 8.66[kg/PS] | 56.0[kg/kgf・m] |
86 | 6.15[kg/PS] | 58.9[kg/kgf・m] |
クラウン(ターボ) | 7.06[kg/PS] | 48.1[kg/kgf・m] |
アルファード (3.5L) | 7.14[kg/PS] | 58.4[kg/kgf・m] |
プリウス | 13.98[kg/PS] | 94.5[kg/kgf・m] |
シエンタ(ガソリン) | 12.52[kg/PS] | 94.2[kg/kgf・m] |
もしセレナを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!セレナの実際の加速感
数字だけではいまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。オーナーさんの投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。
Twitterで加速感をチェック
日産セレナe-POWERに試乗させてもらったら、安全性の面でドライバーをサポートする機能がたくさんあって驚いた
そして加速がスムーズで静か。
今乗ってる某ドイツ車よりずっと先進的に感じた
子供たちとたくさんお出かけしたくなりそうな車でした#日産 #セレナ #試乗— のくり (@norari_kurarii) 2019年1月7日
試乗経験のある方の投稿です。とにかく驚いたのは、セレナの「先進性」とのこと。「インテリジェントモビリティ」というだけあり、e-POWERには安全技術が詰め込まれているんですよ。
そして加速のスムーズさにも驚きを感じたようです。強力なモーターを使った加速は、低燃費であるだけでなく、出足が速くて静かですからね。その加速を、「某ドイツ車よりずっと先進的」と表現しています。
気になってたセレナe-Powerをちょっとだけ試乗。ラジコンみたいな加速、静かな走行音、ペダルを踏まないと減速するなど面白いミニバン。アラウンドビューがメーターパネル内に組み込まれ、目線移動が少なくて楽。eに限らずわくわくゲートに対抗した結果、ダブルダンパー。ハイテク家電ですね。 pic.twitter.com/DNv9a8mA4x
— ましょー (@Masho_443) 2019年1月13日
こちらの投稿者さんは、おもしろい表現をなさっていますね。セレナ e-POWERを試乗してみて、「ラジコンみたいな加速」と感じたようですよ。たしかに、セレナの加速を表すのに的確な一言といえるでしょう。
セレナには、アクセルワークである程度スピードを低下させる「e-Pedal」をはじめ、新たな機能が満載。安全性も向上しているので、走行性能が高いだけのミニバンではないのです。
セレナにフル乗車で走ってたんだけど6人降ろした瞬間加速がすごくてスポーツカーかと思った(8人乗りセレナはマジで加速しない
— ううたろ (@uutarou10) 2018年12月9日
さすがに、8人も乗ると加速性能は衰えるようですね。大排気量で加速させる車ではないので、人や物が乗るほど、著しく性能が低下するのです。あえて弱点を指摘するなら、この点が挙げられるでしょう。
なおセレナの口コミ・評判については以下の記事で詳しくまとめているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
セレナ(e-power)の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!You Tubeで加速感をチェック
こちらはe-POWERの加速を撮影した動画になります。0-100km/h加速の測定は、開始から30秒ほどから始まりますね。
測定の結果は8.49秒ということで、排気量が小さめなミドルクラスミニバンとしては、かなりの好タイムといえますね。
セレナ e-POWERでサーキットを走行する動画を見つけたので、引用してみました。こちらを見ていただくと、直線加速だけでなく、ワインディングや減速の感じもイメージしていただけるかと思います。
サーキットでインプレッションされるあたりに、業界からの注目がうかがえますね。ドライバーの方がおっしゃる「ミニバンの新しい次元に入った」「これはもう高級車だ」という言葉に、すべてが凝縮されています。
セレナの加速性能を他の車と比較
加速感についてご覧いただいたところで、続きましてライバルと呼ばれる国産車と、その実力を比較してみたいと思います。
今回比較してみるのは、同クラスの国産車であるトヨタ「ヴォクシー」、三菱「デリカ D:5」、ホンダ「ステップワゴン SPADA」の3台です。
トヨタ ヴォクシー
まず比較するのは、トヨタのミドルクラスミニバン「ヴォクシー」です。
「ノア」「エスクァイア」とは姉妹関係にあるこのモデルは、アクティブなキャラクターが支持を得ています。おそらく、セレナ最大のライバル車種といえるでしょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒+モーター |
排気量 | 1,797cc |
最高出力 | エンジン:99PS/5200rpm モーター:82PS |
最大トルク | エンジン:14.5kg・m/4000rpm モーター:21.1kg・m |
車両重量 | 1,570kg |
PWR | 15.7kg/PS |
TWR | 74.06kg/kgf・m |
0-100km/h | 11.6秒 |
0-100km/h加速のタイムは「11.6秒」ということで、セレナの2.0Lモデルとは同等の加速性能です。しかし、やはりe-POWERには及びません。これはモーター性能を見れば一目瞭然ですね。
エンジン性能には排気量の差が表れていますが、e-POWERの強力なモーターと比較すると、実に「30.4PS、11.5kgf・m」もの差があります。車重では200kgほど重いものの、それを覆すだけの力強さです。
なおヴォクシーについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ヴォクシーの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ヴォクシーの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!三菱 デリカ D:5
続いて比較するのは、三菱から販売されるミニバン「デリカ D:5」です。
アクティブなキャラクターがウリのこのデリカは、トルクが強力なディーゼルモデルが人気。ディーゼルとe-POWERを比較してみると、加速性能はどう違うのでしょうか。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHCディーゼルターボ |
排気量 | 2,267cc |
最高出力 | 148PS/3,500rpm |
最大トルク | 36.7kgf・m/1,500-2,750rpm |
車両重量 | 1,880-1,910kg |
PWR | 12.91kg/PS |
TWR | 52.04kg/kgf・m |
0-100km/h | 9秒 |
0-100km/h加速においては、2tにせまる車重を持ちながらも9秒という優れた数値のデリカ。
ですが、タイムで見るとセレナe-POWERのほうがわずかに上回っています。性能数値が競る2台ですが、この差は中~高回転域の伸びに要因があるように思えますね。
ディーゼルエンジンはその特性上、低回転域には強いのですが高回転域では力不足に陥りがちです。いっぽうセレナは、低回転はモーターが担当し、中~高回転にかけてエンジンの力が介入してきます。
こういった事情から、走破性という点においては低速トルクの強いデリカが有利ですが、トータルでの加速性能はセレナ e-POWERが上だといえるでしょう。
なおデリカD:5については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
デリカD:5の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!デリカD:5の燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!ホンダ ステップワゴン SPADA
最後に比較するのは、ホンダのミドルクラスミニバン「ステップワゴン SPADA」。
上位モデルの「SPADA ハイブリッド」には、スポーティな走行をするシステムが組み込まれているので、セレナe-POWERにもっとも近いモデルです。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,993cc |
最高出力 | エンジン:145PS/6,200rpm モーター:184PS |
最大トルク | エンジン:17.8kgf・m/4,000rpm モーター:32.1kgf・m |
車両重量 | 1,680-1,780kg |
PWR | 11.72kg/PS |
TWR | 84.54kg/kgf・m |
0-100km/h | 6.7秒 |
0-100km/h加速のタイムで見ると、ステップワゴンが大きくリードしています。1秒以上の差があるので、直線加速においてはステップワゴンが上手と考えられますね。
ステップワゴンには、先進ハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」が組み込まれており、たびたびその性能がe-POWERと比較されます。そして、多くの場合「i-MMDのほうが優れている」と結論付けられているんですよ。
強力なモーターを「パラレル方式」という優れた機構によって作動させるi-MMDは、低~中回転域では圧倒的な加速力を誇ります。見ていただくとわかるとおり、モーターだけでも、出力・トルクが2.0Lエンジン並みです。
そもそもi-MMDは、「レジェンド」「アコード」「オデッセイ」などの上位モデルに搭載される高級なシステムなので、その実力は折り紙付きなのです。実用化したのもe-POWERより数年早いですしね。
なおステップワゴンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ステップワゴンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?ステップワゴンの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!セレナは静かでスムーズな加速が病みつきになる一台
セレナの加速性能については、大体こんなところでしょうか。
e-POWERは静かでスムーズな加速を発揮する、まさに「乗っていて楽しい一台」といえますね。
そのうえ実用性も高いので、ミドルクラスミニバンに走行性能を求めるなら、かなりおすすめのモデルですよ。
なおセレナについては以下の記事でも取り上げているので、もっと詳しく知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
セレナ(e-power)の燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!セレナの月、年間の維持費を計算!高いのか安いのか比較して解説!