2018年夏に登場したカローラの新型モデル「カローラスポーツ」。
同年に国内販売を終了した「オーリス」の実質的な後継モデルであるほか、新世代車載通信機「DCM」を全グレードで標準装備するなど、コネクティットカーとしての性質も高められたことで注目を集めています。
そしてネーミングからもわかるとおり走行性能も充実していることが、カローラスポーツの特徴です。
そこで今回はカローラスポーツの加速性能について、エンジン性能や0-100km/h加速タイムを元にして、解説していきたい思います。
ライバル車とも比較してみましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
カローラスポーツの加速性能
オーリスの後継としても注目を集めるカローラスポーツですが、加速性能はなかなか高く評価されているようですよ。
ただし、スポーツ要素を第一に求める方にとっては、やや物足りなく感じるかもしれません。モデルネームに「スポーツ」を冠していることから、期待値が上がってしまいますよね。
それでは、こちらの諸元表を参考にしながら、カローラスポーツの加速性能について解説をしていきたいと思います。
項目 | 諸元 | |
種類 | 直列4気筒ターボ | 直列4気筒+モーター |
排気量 | 1,196cc | 1,797cc |
最高出力 | 116PS/5,200-4,000rpm | エンジン:98PS/5,200rpm モーター:72PS |
最大トルク | 18.9kgf・m/1,500-4,000rpm | エンジン:14.5kgf・m/3,600rpm モーター:16.6kgf・m |
車両重量 | 1,400kg | 1,400kg |
PWR | 12.07kg/PS | 14.29kg/PS |
TWR | 74.07kg/kgf・m | 96.55kg/kgf・m |
0-100km/h | 9秒 | 10秒 |
※直列4気筒、ターボ、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!補足させていただくと、「エンジン種類~車重」の項目は公式カタログから引用し、「PWR・TWR」は平均重量から算出しました。「0-100km/h加速」のタイムは、オーナーさんの口コミを元にしています。
0-100km/h加速タイムをチェック
加速性能ということで、まずは0-100km/h加速のタイムからチェックしていきたいと思います。
カローラスポーツの加速タイムですが、1.2Lガソリンモデルが9秒、1.8Lハイブリッドモデルが10秒程度というデータがでていますね。これについては後ほど計測動画を紹介しますので、そちらで確認してみてください。
さて比較してみると、わずかにガソリンモデルのほうが加速性能が高いみたいですね。排気量を考えるとなかなか優秀な数値といえます。
中身が似ているプリウスよりも、若干速いです。ピンとこない方のため、トヨタの人気モデルをまとめてみたので、参考までにどうぞ。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
86 | 7.3秒 |
クラウン(ターボ) | 7.5秒 |
プリウス | 9.5秒 |
ヴォクシー | 11秒 |
シエンタ(ガソリン) | 12秒 |
なお上記の表にある車種については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
クラウンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シエンタの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?改良された2種類のエンジン
続いてエンジンについて目を通していきたいと思います。ガソリンとハイブリッドの2種類を備えているので、それぞれの性能をチェックしてみましょう。
ハイブリッドモデルはコンフォート志向
1.8Lハイブリッドモデルですが、こちらには「2ZR-FXE型」エンジンに「1NM型」モーターを組み合わせたユニットが採用されています。これは3代目プリウスなどに代表されるもので、中身はほとんど同じといっていいでしょう。
プリウスの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ほかにもヴォクシーやエスクァイアなどにも採用されているので、スポーツというよりもコンフォート志向のモデルといえます。性能はなかなか優秀ですが、どちらかといえば「快適性」が重視していると思われます。
ガソリンモデルはアクティブ志向
次に1.2Lガソリンモデルですが、こちらには「8NR-FTS型」エンジンが搭載されています。
このパワートレーンはC-HRやオーリスに採用されていたもので、ハイブリッドモデルよりはアクティブ志向の強いモデルといえるでしょう。
C-HRの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ターボが備わっているので、1.2Lと小さめな排気量ながら「116PS、18.9kgf・m」という数値。コンパクトカーなどと比較すると、エンジン性能は優秀ですね。
共通のユニットとはいえ、オーリスより新しいモデルであることから、最高回転数の引き上げなどの改良点が見られます。ペダルワークに対する瞬時のレスポンスや、滑らかに伸びる加速フィーリングが味わえます。
スポーツ色の強いトランスミッションを採用
トランスミッションの完成度は走行性能を左右しますから、ここもぜひチェックしておきたいところ。
カローラスポーツの最大の変更点といえば、トランスミッションの改良です。CVTと6MTの2種類が用意されていますが、どちらも素晴らしい仕上がりなんですよ。
CVTは10速シフト
CVTというと、なんとなく「加速がかったるい」というイメージがあります。燃費性能が高まることからハイブリッドモデルに多く採用されますが、いまいち加速が楽しめません。
ところがカローラスポーツには「10速スポーツシーケンシャルシフトマチック」というシステムが採用されているんですよ。
簡単にいうとステアリング脇のパドルシフトを操作することで、10段階のシフトを選択できる仕組みです。
ドライバーが積極的にシフトチェンジを行えるので、非常にきめ細やかなドライビングが楽しめます。
SPORTモードを選択して走行すれば、シフト操作に対するレスポンスが向上するので小気味いい加速が味わえます。
こういった多段変速システムは高級モデルに採用されるのが通例です。そのため走行性能を重視しない国産コンパクトモデルに採用されるのはレアなんですよ。
国内モデル初の6MTシステム「iMT」
CVTシステムだけでも魅力的ですが、なんとカローラスポーツには6MTの設定があるのだから驚きです。普通こういったモデルにはMTの設定がありませんからね。
しかもただのMTではありません。通称「iMT」と呼ばれるこのシステムは、電子制御によってエンジン回転数を調節するのです。
システムがクラッチ操作を検知すると、変速後のエンジン出力を自動調節し最適にトルクアップします。
すなわち変速によるショックを抑えるので、良い乗り心地を維持したままシフト操作を楽しむことが可能となります。
このシステムは国内モデルでは初搭載ということで、注目を集めているようですね。もちろん乗り心地や燃費だけでなくエンジンのポテンシャルを最大に引き出すことができるので、加速性能もおのずと高まりますよ。
高剛性化を果たしたボディ
車体のつくり込みにも目を向けてみましょう。
カローラスポーツのプラットフォームにはボディ開口部に環状骨格構造を採用しているので、ボディのねじれ現象を抑制し優れた操縦安定性を実現しています。
ボディパーツのつなぎ目に「構造用接着剤」を使って面接合しているので、先代カローラシリーズよりも大幅に剛性が強化されました。
また「超高張力鋼板」や「高剛性ウレタン接着剤」を居住区周りに採用しているので、キャビンの強度も高められています。
これは静粛性や乗り心地を高めるだけでなく、加速Gをボディ全体で受け止めることから、走行性能にも活きてきます。
もしカローラスポーツを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!カローラスポーツの実際の加速感
数字だけではいまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。オーナーさんの投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。
Twitterで加速感をチェック
先日、カローラスポーツに乗ってみた
信号ダッシュの加速ハンパない!(´⊙ω⊙`)ハヤ!
0-100km/h 7秒は切れるんじゃないかな?高速でのクルージング走行も付いているからめっちゃラク
前車追走、車線認識、指定速度維持できるから、アクセル、ブレーキ踏む必要ないし、ハンドルも最低限の操作で十分 pic.twitter.com/TATQIKpOix— まっち(´・ω・`)vミソシル (@matchi600rr) 2019年1月13日
カローラスポーツに試乗経験のある方の投稿です。よほど手応えが良かったのか、かなり褒めていますね。
まず感じたのは「0-100km/h加速で7秒を切るんじゃないか」ということだそうです。とはいえさすがに6秒台には及びませんが、それくらい錯覚させるほどの鋭い発進なんですよ。
中~高速域にかけては伸び悩んでしまいますが、低速が効くので街中では非常に役に立ちます。
カローラスポーツのMTを試乗してきた~~
1200ccだけどターボだからピンゾロの倍くらい加速が速い卍
オートブリッピング楽だし足もいい具合に固めで楽しかった🙆
ただ、シフトの位置が高くてギアが入れにくかったのと、エンブレが効かないのが慣れないな pic.twitter.com/VymSc1UGUA— ゆーた (@trueno__ae__111) 2018年11月24日
こちらの男性もカローラスポーツに試乗したことがあるようですね。それも乗ったのは6MTの「iMT」モデルだそうです。とにかく加速の速さには驚いたご様子。
「オートブリッピング」というのは、すなわち自動で回転数を合わせるシステムのことです。
ブリッピング(シフトダウンで回転数を合わせる操作)はMT車の醍醐味だと思うので個人的には「楽しさが半減かな?」と感じますが、たしかにドライブが楽になりそうな予感がしますね。
カローラスポーツで1000km走った感想①
・1.2Lターボ(4WD)だけどそこそこ速い
・SPORTSモードにするとグングン加速するし、レスポンスも良いので結構楽しい
・立体駐車場の急な坂道ではパワー不足を味わったけど、それ以外では必要十分
・MTモードはエンブレ効きにくくて使い所がない走りは総じて◯
— あてごん (@ategon206) 2018年12月12日
こちらの投稿者さんは実際のオーナーさんでしょうか。カローラスポーツを1,000km運転してみた感想について「1.2Lターボだけどそこそこ速い」と語っています。
いっぽうで弱点として「斜面でのパワー不足」「エンジンブレーキの弱さ」を挙げていますが、「210~260万円」「1.2Lモデル」ということを考えると、性能に対するコスパは十分ではないでしょうか。
なおカローラスポーツは実際に試乗もしているので、興味のある方は試乗記事もあわせて参考にしてみてください。
カローラスポーツの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!You Tubeで加速感をチェック
それでは1.2Lターボモデルの加速感を動画でご覧いただきましょう。35秒あたりから発進加速(0-100km/h)と中間加速(60-100km/h)の2パターンがテストされています。
測定結果はそれぞれ「8.96秒」「6.23秒」というタイム。まず0-100km/h加速ですがこのクラスの乗用車としては優秀な性能ですね。とくに、発進~60km/hにかけてのスムーズな加速は素晴らしいの一言。
ただしトルクが低速域に寄っているせいか、60km/h以降で伸び悩んでいるのが見てとれます。口コミにもあったとおり、中~高速域にかけてパワーが落ち込んでしまっているようです。
カローラスポーツの加速性能を他の車と比較
カローラスポーツの加速感については一通りお話しましたので、続いてライバル車と性能を比較してみたいと思います。
今回選んだのは、キャラクターが似ているスバル「インプレッサ スポーツ」、マツダ「アクセラ スポーツ」、ホンダ「シビック ハッチバック」の3台です。0-100km/h加速のタイムや、TWRなどに注目しながらご覧ください。
スバル インプレッサスポーツ
項目 | 諸元 |
種類 | 水平対向4気筒DOHC16バルブ |
排気量 | 1,599cc |
最高出力 | 115PS/6,200rpm |
最大トルク | 15.1kgf・m/3,600rpm |
車両重量 | 1,360kg |
PWR | 11.83kg/PS |
TWR | 90.07kg/kgf・m |
0-100km/h | 12秒 |
「インプレッサ スポーツ」はネーミングからスタイルにいたるまで、カローラスポーツと共通点の多いモデルです。排気量の設定など細かい部分は異なりますが、加速性能を比較するとどちらが上でしょうか。
というわけで、まず0-100km/h加速タイムを見てみると、カローラスポーツのほうが2~3秒短いことがわかりますね。この差なら、単純な直線加速はカローラスポーツが上手とみて間違いありません。
インプレッサスポーツのTWRが「90.07kg/kgf・m」であるのに対し、カローラスポーツは「74.7kg/kgf・m」ということで、ここの差が影響しているのでしょう。
なおインプレッサについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
インプレッサは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!インプレッサは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!マツダ アクセラスポーツ
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | 111PS/6,000rpm |
最大トルク | 14.7kgf・m/3,500rpm |
車両重量 | 1,360kg |
PWR | 12.25kg/PS |
TWR | 92.52kg/kgf・m |
0-100km/h | 11秒 |
マツダのミドルクラスセダン「アクセラ」のハッチバックモデルが「アクセラ スポーツ」ですね。欧州を意識したスタイルが人気で、走りも高評価を受けるモデルです。
しかしながら、0-100km/hのタイムは「11秒」ということで、カローラスポーツには及びません。
排気量・エンジン性能・車格を見てみると、どちらかといえば、性質はインプレッサスポーツに似ていますからね。
タイムではアクセラスポーツがわずかに上ですが、加速性能としては「カローラスポーツ>アクセラスポーツ=インプレッサスポーツ」といったところでしょうか。
なおアクセラスポーツについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アクセラの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?アクセラの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ホンダ シビックハッチバック
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | 182PS/6,000rpm |
最大トルク | 22.4kgf・m/1,700-5,500rpm |
車両重量 | 1,350kg |
PWR | 7.42kg/PS |
TWR | 60.27kg/kgf・m |
0-100km/h | 7.6秒 |
最後に比較するのは、ホンダ渾身のスポーツモデル「シビック」のハッチバックモデルです。ベース車両がスポーツモデルですから、走行性能には定評のある一台。
0-100km/h加速を見てわかるとおり、カローラスポーツよりも2秒近く速いんですよね。
100km/hまでの加速に8秒かからないモデルは、一般的に高性能な部類に入るので、シビックハッチバックはカローラスポーツの1段上の加速性能であると考えられます。たしかにPWR・TWRで見ると、その差は一目瞭然ですからね。
なおシビックハッチバックについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
シビックハッチバックの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シビックハッチバックの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!カローラスポーツは価格を考えるとかなり優秀な一台
というわけで、カローラスポーツの加速性能についての解説は以上になります。
排気量が小さいゆえ、高速域や斜面でのパワー不足感は否めませんが、出だしの加速は非常に優れているモデルなのです。街中の運転においては、かなり使い勝手のいい加速性能だと思いますよ。
格上のモデルと比較すると当然見劣りしますが、1.2Lガソリンでターボで「210~245万円」、1.8Lハイブリッドで「241~268万円」という価格を考慮すると、かなりおすすめの一台といえるでしょう。
なおカローラスポーツについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
【画像/写真】カローラスポーツの内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!カローラスポーツの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!