自動車のエンジンは常に環境対応を迫られており、燃費の改善やCO2排出量の削減のためにハイブリッドカーやダウンサイジングターボといった技術が登場しています。
しかしそんなハイブリッドカーとターボの組み合わせというのはあまりみかけません。
今回はそんなターボ付きハイブリッドカーについてご説明します。
ターボ付きハイブリッドの車種
ハイブリッドカーとターボエンジンはそれぞれ独立したエンジン技術であり、それぞれに目的が違います。
ハイブリッドカーは自動車の燃費を改善することを目的としており、そのためにエンジンに電動モーターを組み合わせていることが大きな特徴です。
ハイブリッドカーとは?メリット6つとデメリット/問題点11つ特徴をわかりやすく解説!一方でターボエンジンはエンジンの出力強化のために過給器の一種類であるターボチャージャーを組み合わせたエンジンのことで、その目的はエンジンの馬力やトルクの強化にあります。
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!ハイブリッドカーはその燃費性能は素晴らしいのですが、効率重視の設計のために走行性能が平凡な場合が少なくありません。
そこでハイブリッドカーにターボを組み合わせるという仕様は昔から一定の層に求められてきたこともあり、実際に結構な種類の車種は登場しています。
そこで今回はまず、現在存在するターボ付きハイブリッド車を一覧でご紹介しましょう。
今回は国産車と海外車にわけてまとめました。
国産ターボハイブリッド
国産メーカーはハイブリッドカーの開発に積極的なメーカーが多く、世界で初めて量産ハイブリッドカーを登場させたトヨタを始めとしてハイブリッドカーの本場ともいえます。
トヨタ プリウスなど非常に燃費性能に優れたハイブリッドカーも多く、年々その種類は増えてきています。
ですがハイブリッドカーにターボの組み合わせというのは非常に少なく、実は国産メーカーで限定すると次の3種類しかありません。
メーカー | 車種 | エンジン スペック | 燃費 | エンジン 最高出力 | エンジン 最大トルク | モーター 最高出力 | モーター 最大トルク | 価格帯 |
スズキ | 軽自動車(ワゴンR、 ハスラー、スペーシア) | R06A 658cc 水冷直列3気筒 DOHC12バルブ | 28.0km/L~ 28.4 km/L | 47kW (64PS)/ 6,000rpm | 98N・m (10.0kgf・m)/ 3,000rpm | 2.3kW (3.1PS)/ 1,000rpm | 50N・m (5.1kgf・m)/ 100rpm | 1,658,880円前後 |
スズキ | クロスビー | K10C 996cc 水冷直列3気筒 DOHC12バルブターボ | 20.6km/L~ 22.0 km/L | 73kW(99ps)/ 5,500rpm | 150N・m(15.3kgf・m)/ 1,700-4,000rpm | 2.3kW(3.1ps)/ 1,000rpm | 50N・m(5.1kgf・m)/ 100rpm | 1,765,800円〜 2,145,960円 |
ホンダ | NSX | JNC型 3,492cc V型6気筒 直噴DOHC ツインターボ | 12.4km/L | 373kW (507PS)/ 6,500-7,500rpm | 550N・m (56.1kgf・m)/ 2,000-6,000rpm | 27kW(37PS)/ 4,000rpm×2基 モーター(後): 35kW(48PS)/ 3,000rpm×1基 | モーター(前): 73N・m(7.4kgf・m)/ 0-2,000rpm×2基 モーター(後): 148N・m(15.1kgf・m)/ 500-2,000rpm×1基 | 23,700,000円 |
国産メーカーで積極的にターボハイブリッドを投入しているのはスズキで、最も身近なのは何種類かある軽自動車でしょう。
最近スズキは軽自動車やコンパクトカーにも簡易的なハイブリッドシステムであるSエネチャージを投入してきており、既存の軽自動車用エンジンに組み合わせる形でハイブリッドカーの軽自動車を登場させています。
Sエネチャージとは?ハイブリッドより評価が高い?搭載車種はこれ!表には3車種ほどあげていますが、スズキの軽自動車用ターボハイブリッドは同スペックのものを流用しており、燃費や出力性能はほぼかわりません。
またスズキ ハスラーに関しても軽自動車の派生車種として1.0L直3ターボエンジンを搭載しており、そこにSエネチャージを組み合わせたハイブリッドカーです。
ハスラーの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!国産メーカーの中で最もパワフルなターボハイブリッド車なのはホンダが誇るスーパーカーのNSXです。
この車は1基のツインターボエンジンと車の前後に1つずつモーターを持つハイブリッドシステムとなっており、スポーツカーとして必要な出力や加速性能を持たせるためにハイブリッドカーの構成をしています。
ツインターボエンジンとは?仕組みは?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!燃費もスポーツカーにしては悪くないのですがあくまでスペック重視の車であり、ターボハイブリッドを燃費性能のみでは採用していません。
これ以外の国産ハイブリッドカーはほとんどが自然吸気ガソリンエンジンとモーターの組み合わせとなっており、一般的に同クラスのターボハイブリッドよりも燃費性能が多少勝っています。
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国産メーカーのターボハイブリッドが非常に少ないのに対し、海外メーカーは多くの車種にこの仕様を展開しており、その戦略は対象的です。
海外メーカーのターボハイブリッドの車種には、従来型のHEV(ハイブリッド)車に加えて近年増加傾向にあるPHEV(プラグインハイブリッド)系の車種も増えてきており、日本にもかなりの種類のターボハイブリッド車が導入されています。
今回はHEV系とPHEV系の車種に分けて、ターボハイブリッド車を燃費順にご紹介します。
HEV(ハイブリッド)系車種
海外メーカーは国産メーカーに比べてハイブリッドカーのシステムに「マイルドハイブリッドシステム」を数多く採用しており、燃費改善性能は限定的であるのに対しコストメリットが高いシステムとなっています。
マイルドハイブリッド(MHEV)とは?仕組み/構造は?搭載車の燃費は悪いのか解説!そのため様々な車種への展開が比較的楽であり、車種が多いのもこれが理由です。
ハイブリッド車としては以下の表よりもっと多くの車種が存在しますが、ターボエンジンとの組み合わせになっているHEVは次の車種です。
メーカー | 車種 | エンジン スペック | 燃費 | エンジン 最高出力 | エンジン 最大トルク | モーター 最高出力 | モーター 最大トルク | 価格帯 |
メルセデス・ ベンツ | S300h | 651型 直4 DOHC ディーゼルターボ 2,142cc | 20.7km/L | 150kW(204PS)/ 3,800rpm | 500N・m(51.0kgf・m)/ 1,600-1,800rpm | 20kW(27PS) | 250N・m(25.5kgf・m) | 9,980,000円〜 13,530,000円 |
BMW | アクティブ ハイブリッド3 | N55B30A-M230型 2,979cc 直列6気筒 DOHCターボ | 16.5km/L | 225kW(306ps)/ 5,800rpm | 400N・m(40.8kgf・m)/ 1,200-5,000rpm | 40kW(54ps) | 210N・m(21.4kgf・m) | 7,510,000円 |
アウディ | A6 ハイブリッド | CHJ型 1,984cc 直列4気筒DOHC ターボ | 13.8km/L | 155kW(211PS)/ 4,300-6,000rpm | 350N・m (35.7kgf・m)/ 1,500-4,200rpm | 40kW(54PS) | 210N・m(21.4kgf・m) | 7,100,000円 |
アウディ | A8 ハイブリッド | CHJ型 1,984cc 直列4気筒DOHC ターボ | 13.8km/L | 155kW(211PS)/ 4,300-6,000rpm | 350N・m(35.7kgf・m)/ 1,500-4,200rpm | 40kW(54PS) | 210N・m(21.4kgf・m) | 9,980,000円 |
アウディ | Q5 ハイブリッド | CHJ型 1,984cc 直列4気筒DOHC ターボ | 12.7km/L | 155kW(211PS)/ 4,300-6,000rpm | 350N・m(35.7kgf・m)/ 1,500-4,200rpm | 40kW(54PS) | 210N・m(21.4kgf・m) | 7,350,000円 |
BMW | アクティブ ハイブリッド5 | N55B30A-M230型 2,979cc 直列6気筒 DOHCターボ | 13.6km/L | 225kW(306PS)/ 5,800rpm | 400N・m(40.8kgf・m)/ 1,200-5,000rpm | 40kW(54PS) | 210N・m(21.4kgf・m) | 9,280,000円 |
メルセデス・ ベンツ | C200 アヴァンギャルド | 1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ | 13.6km/L | 135kW(184PS)/ 5,800-6,100rpm | 280N・m(28.6kgf・m)/ 3,000-4,000rpm | 10kW(14PS) | 160N・m(16.3kgf・m) | 5,600,000円〜 5,880,000円 |
メルセデス・ ベンツ | S450 | 256M型 DOHC 直列6気筒 ツイン スクロールターボ+ 電動スーパーチャージャー 2,998cc | 12.5km/L | 270kW(367PS)/ 5,500-6,100rpm | 500N・m(51.0kgf・m)/ 1,600-4,000rpm | 16kW(22PS) | 250N・m(25.5kgf・m) | 1,170,000円〜 13,900,000円 |
メルセデス・ ベンツ | CLS450 | 256型 2,996cc 直列 6気筒DOHCターボ | 11.9km/L | 270kW(367PS)/ 5,500-6,100rpm | 500N・m(51.0kgf・m)/ 1,600-4,000rpm | 10kW(16PS) | 250N・m(25.5kgf・m) | 10,590,000円 |
BMW | アクティブ ハイブリッド7 | N63B44A-K210型 4,394cc V型8気筒 DOHCツインターボ | 9.1km/L | 330kW(449PS)/ 5,500rpm | 650N・m(66.3kgf・m)/ 4,500rpm | 40kW(54PS) | 210N・m(21.4kgf・m) | 12,800,000円 |
BMW | アクティブ ハイブリッドX6 | N63B44A-K210型 4,394cc V型8気筒 DOHCツインターボ | – | 407PS(300kW)/ 5,500rpm | 61.2kgf・m(600N・m)/ 1750-4500rpm | 低速用モーター 91ps 高速用モーター 86ps | 低速用モーター 26.6kgf・m 高速用モーター 28.5kgf・m | 14,900,000円 |
上記の表で分かるように、HEVでターボハイブリッドの車種を展開しているのはメルセデス・ベンツ、BMW、アウディなどのドイツの高級車メーカーです。
これらのメーカーの車種は大型のセダン系が多く、もともと燃費はそこまで良い車種ではありません。そこを改善するためのハイブリッドであり、基本的にエンジンは通常仕様と変わりません。
そのためこれらのハイブリッドカーは比較的出力やトルクが高く、国産のハイブリッドカーにはない高い走行性能をもっています。
一方で燃費性能は国産車に比べれば少し劣っており、あくまでマイルドハイブリッドというコスト重視のシステムということです。
ですが海外メーカーがハイブリッド車を積極的に展開した世代の車種であり、環境性能のアピールという意味で一定の効果があった車種でした。
PHEV(プラグインハイブリッド)系車種
現在海外メーカーはHEVに変わって新たにPHEV系の車種を拡充させており、続々と各社から登場しています。
プラグインハイブリッド(PHEV)とは?EV,PHV,HVとの違いからメリット/デメリットまで解説!PHEVはHEVに充電機能を追加した車種ですが、HEVの発展形ということでターボエンジンをそのまま採用している車種も多くあります。
またそれ以外にもPHEV専用車も出てきており、海外メーカーのハイブリッド車はPHEVに軸足を移しています。車種が多いため、カテゴリーにわけてご紹介しましょう。
メーカー | 車種 | エンジン スペック | 燃費 | EV走行 可能距離 | エンジン 最高出力 | エンジン 最大トルク | モーター 最高出力 | モーター 最大トルク | 価格帯 |
AUDI | A3 スポーツバック e-トロン | CUK型 1,394cc 直列4気筒DOHC ターボ | 23.3km/L | 52.8km | 110kW(150ps)/ 5,000-6,000rpm | 250N・m/ 1,500-3,500rpm | 55kW(75ps) | 330N・m | 56,400,000円 |
フォルクス ワーゲン | ゴルフGTE | CUK型 1,394cc 直列4気筒DOHC ターボ | 19.9km/L | 45km | 110kw(150ps)/ 5,000-6,000rpm | 250N・m/ 1,500-3,500rpm | 80kW(109PS) | 330N・m(33.6kgm) | 4,690,000円 |
BMW | 225xe アクティブ ツアラー | B38A15A型 1,498cc 直列3気筒 DOHCターボ | 17.6km/L | 42.4km | 77kW(105PS)/ 5,500rpm | 134N・m(13.70kgf・m)/ 5,000rpm | 65kW(88ps)/ 4,000rpm | 165N・m(16.8kgf・m)/ 3,000rpm | 5,350,000円~ 5,560,000円 |
コンパクトカーのPHEVには小排気量のターボエンジンが搭載されており、燃費自体も良好です。
面白いのはアウディのA3 スポーツバックe-トロンとフォルクスワーゲン ゴルフGTEには同じエンジンが搭載されていますが、これはアウディがフォルクスワーゲンの傘下にあるためです。
フォルクスワーゲンの傘下ブランド・会社の一覧!ポルシェやランボルギーニも?フォルクスワーゲンが開発したPHEV用ユニットがアウディにも流用された形です。
メーカー | 車種 | エンジン スペック | 燃費 | EV走行 可能距離 | エンジン 最高出力 | エンジン 最大トルク | モーター 最高出力 | モーター 最大トルク | 価格帯 |
BMW | 530e | B48B20A型 1,998cc 直列4気筒 DOHCターボ | 17.4km/L | 52.5km | 135kW(184ps)/ 5,000rpm | 290N・m(29.9kgf・m)/ 1,350-4,250rpm | 50kW(68ps) | 130N・m(13.2kgf・m) | 8,270,000円~ 8,520,000円 |
フォルクス ワーゲン | パサートGTE | CUK型 1,394cc 直列4気筒DOHC ターボ | 21.4km/L | 51.7km | 115kW(156ps)/ 5,000-6,000rpm | 250N・m(25.5kgf・m)/ 1,500-3,500rpm | 116kW(156ps) | 330N・m(33.6kgf・m) | 5,199,000円 |
フォルクス ワーゲン | パサートGTE ヴァリアント | CUK型 1,394cc 直列4気筒DOHC ターボ | 21.4km/L | 51.7km | 115kW(156ps)/ 5,000-6,000rpm | 250N・m(25.5kgf・m)/ 1,500-3,500rpm | 116kW(156ps) | 330N・m(33.6kgf・m) | 5,399,000円 |
キャディラック | CT6 プラグイン ハイブリッド | 2.0L 直列4気筒 DOHCターボ | 不明 | 48.0km | 115kW(156ps)/ 5,000-6,000rpm | 250N・m(25.5kgf・m)/ 1,500-3,500rpm | 116kW(85ps) | 330N・m(33.6kgf・m) | 8,200,000円 |
ボルボ | V90 T8 Twin Engine AWD インスクリプション | B420型 1,968cc 水冷直列4気筒 DOHC16バルブ ICターボ Sチャージャー | 15.0km/L | 45.0km | 235kW(320ps)/ 5,700rpm | 400N・m(40.8kgf・m)/ 2,200-5,400rpm | 64kW(87ps)/ 7,000rpm | 240N・m(24.5kgf・m) | 9,640,000円 |
BMW | 740e | B48B20B型 1,998cc 直列4気筒 DOHCターボ | 15.6km/L | 42.0km | 190kW(258ps)/ 5,000rpm | 400N・m(40.8kgf・m)/ 1,500-4,400rpm | 83kW(113ps)/ 3,170rpm | 250N・m(25.5kgf・m) | 12,630,000円 |
BMW | 330e | B48B20A型 1,998cc 直列4気筒 DOHCターボ | 17.7km/L | 36.8km | 135kW(184ps)/ 5,000rpm | 270N・m(27.5kgf・m)/ 1,350-4,600rpm | 65kW(88ps) | 250N・m(25.5kgf・m) | 5,540,000円 |
メルセデス・ ベンツ | S550 プラグイン ハイブリッド ロング | 276M30型 2,996型 V型6気筒 DOHCツインターボ | 13.4km/L | 33.0km | 245kW(333ps)/ 5,250-6,000rpm | 480N・m(48.9kgf・m)/ 1,600-4,000rpm | 85kW(115ps) | 350N・m(35.7kgf・m) | 15,900,000円 |
メルセデス・ ベンツ | C350e アバンギャルド | 274型 1,991cc 直列4気筒DOHC ターボ | 17.2km/L | 28.6km | 155kW(211ps)/ 5,500rpm | 350N・m(35.7kgf・m)/ 1,200-4,000rpm | 60kW(82ps) | 340N・m(34.7kgf・m) | 7,210,000円〜 7,260,000円 |
メルセデス・ ベンツ | E350e アバンギャルド | 274型 1,991cc 直列4気筒DOHC ターボ | 15.7km/L | 20.1km | 155kW(211ps)/ 5,500rpm | 350N・m(35.7kgf・m)/ 1,200-4,000rpm | 65kW(88ps) | 450N・m(45.9kgf・m) | 8,110,000円 |
セダン系の車種は前述した海外HEVのターボハイブリッドの進化系のような車種もありますが、ボルボやフォルクスワーゲンなど別メーカーはPHEV系のターボハイブリッドだけを展開していたりします。
ここでもフォルクスワーゲン パサートGTEにゴルフGTEに採用したエンジンが流用されています。全体的にPHEV化された車種は燃費も向上しており、それとともに価格も上昇しています。
メーカー | 車種 | エンジン スペック | 燃費 | EV走行 可能距離 | エンジン 最高出力 | エンジン 最大トルク | モーター 最高出力 | モーター 最大トルク | 価格帯 |
カルマ・ オートモーティブ | レヴェーロ | 2.0L 直列4気筒 ターボ | 不明 | 80km | 190kW(260ps) ※システムトータル 301kW(403ps) | ※システムトー 981 lb·ft(1,330 N·m) | 不明 | 不明 | $169,000 |
ケーニグセグ | レゲーラ | 5.0L V型8気筒 ツインターボ | 非公開 | 50km | 820kW(1,100ps)/ 7,800rpm ※システム合計出力: 1.1Mw(1,500ps) | 1,280N・m/ 4,100rpm ※システム合計トルク: 2,000N・m | クランク搭載 モ-タ-1基: 160kW ドライブシャフト 搭載モ-タ-2基: 180kW (左右後輪に1基ずつ) | クランク搭載 モ-タ-1基: 300N・m ドライブシャフト 搭載モ-タ-2基: 260N・m (左右後輪に1基ずつ) | 214,000,000円 |
ポルシェ | パナメーラ ターボS E-ハイブリッド | 3,996cc V型8気筒 ツインターボ | 34.5km/L | 49km | 404kW(550ps)/ 5,750-6,000rpm | 770N・m(78.5kgf・m)/ 1,960-4,500rpm | 100kW(136ps)/ 2,800rpm | 400N・m(40.8kgf・m)/ 100-2,300rpm | 28,310,000円〜 30,440,000円 |
BMW | i8 | B38K15A型 1,498cc 直列3気筒 DOHCターボ | 19.4km/L | 40.7km | 170kW(231ps)/ 5,800rpm | 320N・m(32.6kgf・m)/ 3,700rpm | 96kW(131ps)/ 3,800rpm | 250N・m(25.5kgf・m)/ 0-3,700rpm | 20,930,000円~ 22,980,000円 |
PHEVの中には前述したNSXのようにハイブリッドスポーツカーもあり、パワフルなターボエンジンが搭載されている車種もあります。
特にケーニグセグ レゲーラなどは強力なターボエンジンの強化としてPHEVを活用している車種です。
一方でBMW i8などのように燃費を重視したスポーツカーもあり、これには小型のターボエンジンが組み合わされています。
メーカー | 車種 | エンジン スペック | 燃費 | EV走行 可能距離 | エンジン 最高出力 | エンジン 最大トルク | モーター 最高出力 | モーター 最大トルク | 価格帯 |
ランドローバー | レンジローバー スポーツP400e | 1,997cc 直列4気筒 ターボ | 非公表 | 48km | ※システム合計 404ps/5,500rpm | ※システム合計 65.3kgf・m/ 1,500-4,000rpm | 116ps(85kW) | 28.0kgf・m | 11,850,000円〜 13,150,000円 |
ランドローバー | レンジローバー P400e | 1,997cc 直列4気筒 ターボ | 非公表 | 48km | ※システム合計 404ps/5,500rpm | ※システム合計 65.3kgf・m/ 1,500-4,000rpm | 116ps(85kW) | 28.0kgf・m | 15,080,000円〜 28,660,000円 |
ボルボ | XC60 T8 Twin Engine AWD インスクリプション | B420型 1,968cc 水冷直列4気筒 DOHC16バルブ ICターボ Sチャージャー | 15.7km/L | 45km | 233kW(318ps)/ 6,000rpm | 400N・m(40.8kgf・m)/ 2,200-5,400rpm | 前側モーター 34kW/2,500rpm 後側モーター 65kW/7,000rpm | 前側モーター 160N・m/ 0-2,500rpm 後側モーター 240N・m/ 0-3,000rpm | 8,990,000円 |
MINI | クーパーSE クロスオーバー ALL4 | B38A15A-P160型 1,498cc 直列3気筒 | 17.3km/L | 42.4km | 100kW(136ps)/ 4,400rpm | 220N・m(22.4kgf・m)/ 1,400-4,300rpm | 65kW(88ps)/ 4,000rpm | 165N・m(16.8kgf・m)/ 0-3,000rpm | 49,800,000円 |
ボルボ | XC90 T8 Twin Engine AWD プラグイン ハイブリッド | B420型 1,968cc 水冷直列4気筒 DOHC16バルブ ICターボ Sチャージャー | 15.3km/L | 35.4km | 320ps(235kW)/ 5,700rpm | 40.8kgf・m(400N・m)/ 2,200-5,400rpm | 前側モーター 34kW/2,500rpm 後側モーター 65kW/7,000rpm | 前側モーター 160N・m/ 0-2,500rpm 後側モーター 240N・m/ 0-3,000rpm | 10,090,000円 |
BMW | X5 xDrive 40e | N20B20A-P251型 1,997cc 直列4気筒 DOHCターボ | 13.8km/L | 31km | 180kW(245ps)/ 5,000rpm | 350N・m(35.7kgf・m)/ 1,250rpm | 83kW(113ps) | 250N・m(25.5kgf・m) | 9,270,000円〜 9,930,000円 |
メルセデス・ ベンツ | GLC350e 4MATIC Sports | 274型 1,991cc 直列4気筒DOHC ターボ | 13.9km/L | 30.1km | 155kW(211ps)/ 5,500rpm | 350N・m(35.7kgf・m)/ 1,200-4,000rpm | 85kW(116ps) | 340N・m(34.7kgf・m) | 8,880,000円 |
SUV系のPHEV車にもターボハイブリッドは数多くあり、悪路走行などのエンジンスペックが必要な車種でもあるので比較的排気量のあるエンジンが搭載されます。
モーターが前後に搭載されている車種も多く、SUVには必須な4WDをPHEVシステムで実現している車種もあります。
なおPHEVについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プラグインハイブリッド(PHEV)の車種一覧とおすすめ!2019年今後の予定の車種も紹介!ターボ付きハイブリッドの車種が少ない理由
さて国産メーカーにターボ付きのハイブリッドが少なく、海外メーカーでは非常に多彩なことには理由があります。
これにはハイブリッドカーの効率に関係する点、もう一つは欧州を中心とするダウンサイジングターボエンジンの関係です。
ハイブリッドカーと高効率エンジン
ハイブリッドカーは何より燃費を重視した車種であり、その搭載エンジンも燃費重視のエンジンセッティングであることが多いです。
ハイブリッド車は燃費が悪い?低燃費車を比較してランキング形式で紹介!エンジンを燃費重視にするためには燃料消費量を減らさなければなりませんが、そのためにはエンジンは出力をおさえなくてはなりません。
ですがターボエンジンはターボチャージャーによって出力を高める際に燃料消費量も増加するので、基本的にはエンジンの燃費は悪化します。
そのため国産車のハイブリッドカーはエンジンに自然吸気エンジンを採用している例が大半で、ターボエンジンというのはハイブリッドカーの燃費改善に対して悪影響があります。
NAエンジン(自然吸気エンジン)とは?メリット5つ!音が最強の魅力?!またハイブリッドカー用のエンジンは専用設計であることも多く、これはエンジンのサイクルと呼ばれる基本的な仕様を燃費の良い高効率なセッティングにしています。
そうすることで燃費自体は高くなりますが、エンジンの最大出力などは控えめになり、車の走りはおとなしくなります。
その走行性能に不満を持っている人もすくなくなくありませんが、どうしても燃費重視となるのはハイブリッドカーとしては仕方ないといえるでしょう。
そんな中でスズキのみが小型車や軽自動車にターボハイブリッドを採用していますが、これはスズキの既存のエンジンが小排気量で、もともとパワーを補うためにターボチャージャーを採用していたためです。
そのエンジンをハイブリッド用として流用したため、スズキのみがターボハイブリッドとなっています。
欧州のターボエンジン事情
一方で海外車、とくに欧州車ににターボエンジンのハイブリッドカーが多いのは、これまで欧州メーカーが推進してきた環境対応エンジン「ダウンサイジングターボエンジン」の普及があります。
日本でハイブリッドカーが普及したのと同時期に、欧州メーカーでトレンドとなったのがダウンサイジングターボエンジンです。
2000年頃のハイブリッド技術で欧州の運転条件では必ずしも効率がよいわけではなく、その代わりに比較的低コストの小排気量化したターボエンジンを環境対応技術の中心に据えていました。
絶対的な燃費はハイブリッドカーのほうが高いものの、ダウンサイジングターボエンジンの燃費性は能一定の効果があり大いに普及したのです。
ですがダウンサイジングターボエンジンによる低燃費化にも限界があり、その後欧州メーカーもハイブリッドカーを開発する必要性に迫られました。
そこで従来のダウンサイジングターボエンジンを流用してハイブリッドカーを開発することになり、現在のような多車種のラインナップとなりました。
また欧州では日本よりも高速道路での走行が多く、ターボエンジンの持つ高速性能が必要だったという点もあります。
自然吸気エンジンは高速走行性能でターボエンジンより劣っており、一般的に自然吸気エンジンのハイブリッドカーは高速走行が苦手です。
日本では一般道路の走行が圧倒的に多いのでそれでも良いのですが、欧州の事情に合わせるとターボハイブリッドが求められたのです。
このように欧州と日本の道路事情の違いによってターボハイブリッドの普及状況が大きく違い、国産メーカーと海外メーカーのラインナップの差となっています。
なおダウンサイジングターボについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ダウンサイジングターボとは?デメリット/欠点2つとメリット3つ!搭載車種も紹介もしハイブリッド車を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
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さて欧州車では多いターボハイブリッドですが、ターボエンジンとハイブリッドシステムの相性というのは、燃費などを考慮すると必ずしもよくありません。
まずそもそもターボエンジンは前述でもご説明した通り燃費はそこまでよくありません。ターボチャージャーは過給器という種類のエンジン部品でその目的はエンジン内により多くの空気を送り込むことにあります。
エンジンの燃焼時には空気と燃料の割合が決まっており、多くの空気があればそれだけ燃料を多く燃やしてエンジンの出力やトルクを向上させます。
そのためターボエンジンは自然吸気エンジンより確実に燃費は悪化するので、燃費効率重視の車には不向きです。
加えてハイブリッドカーはモーターによる走行で特に低速域の走行を得意としており、ガソリンエンジンが不得意としている領域をカバーする効果があります。
ですがターボチャージャー、とくにダウンサイジングターボエンジンに使われる小型ターボにも同様の効果があるので、ハイブリッドシステムとターボではその効果が重複します。
ハイブリッドカーの効果はガソリンエンジンとモーターで苦手な領域を補うことにあるので、ターボが加わる必要性はそこまで高くないのです。
しかし特定の活用方法として、ホンダ NSXやケーニグセグ レゲーラ、ポルシェ パナメーラなどのスポーツ系の車種において、ハイブリッドシステムを車の走行性能を強化するために使うのは素晴らしいパフォーマンスを発揮します。
ホンダNSXの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?ターボエンジンとハイブリッドの組み合わせで出力やトルク重視のシステムとすれば、従来の車に対してモーターを活用する分鋭い加速が得られ、スポーツカーの魅力が増大します。
このようにハイブリッドカーの目的である燃費改善にとってターボエンジンはあまり向きませんが、走行性能を重視する特定の車種についてはその効果は絶大なものがあります。
ターボ付きハイブリッド車は燃費を重視するなら買いではない
さてここまでご説明してきたように、ターボ付きのハイブリッド車というのは最高の燃費性能を追求することには向いておらず、車の燃費を重視するオーナーには不向きといえます。
実際前述したスズキの軽自動車についても、同じ車種でターボハイブリッドモデルと自然吸気ハイブリッドモデルでは2〜3km/Lの燃費の差があり、経済性を重視するのであれば自然吸気モデルのほうが良好です。
加えてターボエンジンモデルは自然吸気エンジンより価格も高いので、コストパフォーマンスではターボハイブリッドはあまりおすすめできません。
ターボハイブリッドが有利なのは走行性能を重視する場合で、ハイブリッドカーといえどもある程度の燃費と走りを両立したい場合などに魅力ある車となります。
ターボとモーターの両方を活用した高い加速性能や出力は普通のターボエンジン車には出せないものであり、これこそがターボハイブリッドのメリットといえるでしょう。
ターボハイブリッドは国産車だけを見ているとあまり考慮にはいらない車種ですが、輸入車の購入を考えている方は一度試乗してその走りを試してみるといいかもしれませんね。
なおハイブリッド車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
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