ハイブリッド車は非常に燃費の良いエコカーとして有名で、日本では爆発的の普及が進みました。
そんなハイブリッド車ですが、燃費が良いと言っても実際にはどのぐらいの燃費なのでしょうか。
今回はハイブリッド車の燃費についてご説明します。
ハイブリッド車の燃費
ハイブリッド車はエンジンと電動モーターの2種類の動力源を併せ持つ車両の総称で、従来のガソリン車やディーゼル車を大きく超える低燃費性能を持っています。
ハイブリッドカーとは?メリット6つとデメリット/問題点11つ特徴をわかりやすく解説!ハイブリッド車自体はかなり昔から存在していたのですが、現在のように日本のみならず世界中に普及したのはここ20年ほどで、その大本は日本のトヨタ自動車です。
トヨタが1999年に発売した「プリウス」は初登場時点から燃費の良さが話題となり、いっきにトヨタの人気車種の仲間入りをしました。
まずはそんなプリウスを例にあげて、ハイブリッド車の燃費がどのぐらい良いのかをご説明していきましょう。
ハイブリッド車との燃費比較
トヨタ プリウスは現行車が4代目となるのですが、プリウスは常にハイブリッド車の燃費競争のトップに位置している車です。
今回はプリウスと同時期に発売されたトヨタの同クラスの乗用車と燃費を比較してみます。
燃費比較 | 販売期間 | カタログ燃費 | 実燃費 |
初代プリウス | 1997年〜 2003年 | 28.0km/L(初期モデル) 31.0km/L(最終モデル) | 18.26km/L〜 19.02 km/L |
カローラフィールダー | 2000年〜 2006年 | 15.0km/L~ 17.2km/L | 11.59 km/L |
2代目プリウス | 2003年〜 2011年 | 30.0km/L~ 35.5km/L | 20.02 km/L |
カローラアクシオ | 2006年〜 2012年 | 16.2km/L〜 17.2km/L | 13.31km/L |
3代目プリウス | 2009年〜 2015年 | 35.5km/L~ 38.0 km/L | 19.71 km/L |
カローラアクシオ | 2012年〜 現行 | 18.0km/L〜 23.4km/L | 14.77km/L |
4代目プリウス | 2015年〜 現行 | 37.2km/L~ 40.8 km/L | 23.78 km/L |
プリウスもカローラシリーズもエンジンは1,500cc〜1,800cc前後で同クラスの車で、車格的にもほぼ同等のカテゴリーです。
今回ピックアップしたカローラはガソリンエンジンのみのモデルでカローラハイブリッドなどは含んでいません。
まず初代プリウスについてですが、当時の最新のガソリンエンジン車の燃費がようやく17km/L程度に差し掛かっていた時期に、プリウスは一気に28.0km/Lという低燃費性能をもって登場しました。
車の燃費はそれまで少しずつ改良に改良を重ねて良くなってきたものだったのですが、それを一気に10km/Lも更新したプリウスは、文字通り革新的な車だったのです。
そして初代プリウスの最終モデルは31km/Lまで燃費が伸び、ガソリンエンジン車の倍も燃費が良いという車になりました。
このプリウスの成功をうけてハイブリッドカーは爆発的に増加し始め、プリウスも2代目、3代目と燃費を伸ばしていきました。
その間ガソリンエンジンの燃費も向上はしていますが、カローラアクシオが2012年にようやく23.4km/Lという燃費を達成したころにはプリウスは38.0km/Lを達成しており、その差はより開いています。
そして現行型プリウスはついに量産車としては初めて40km/Lを超える燃費を達成し、ハイブリッドカーとしてだけではなく自動車の歴史に名を刻む記録を達成しています。
プリウスの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!なおハイブリッドカーも普通のエンジン車と同じく、実際の実燃費はカタログ燃費より悪くなります。しかし全体的に見てもハイブリッドカーの実燃費は良好です。
ハイブリッド車の高速燃費
前述でご説明した実燃費は概ね一般道での走行時の燃費となりますが、もう一つ気になるのが高速道路での燃費です。
ガソリンエンジン車に乗っていると高速道路では実燃費が大きく向上することが知られており、一般道で走るときと比べて3割程度は改善できます。
これにはガソリンエンジンの特徴が関係しており、低回転域では決して効率のよくないエンジンが高回転域で効率の良さを発揮するからです。
しかしハイブリッド車の場合、高速域でもガソリン車ほどの改善代はみられず、おおよそ1割程度しか改善しません。
それでも現行プリウスなどでは高速道路での実燃費で25km/L前後を発揮しますので、車としての燃費は非常に良いことにはかわりません。
ハイブリッド車はモーターを活用することで燃費を大幅に改善する車種なのですが、高速域ではモーターでの走行はほとんど行っておらずエンジンをメインで走行しています。
そのため本来の燃費改善はみられないのですが、加えてハイブリッド車のエンジンは特に効率重視で設計されており、高速走行を苦手としているのも理由の1つです。
こういった特徴からハイブリッド車は高速燃費が悪いとよくいわれるのですが、数値としての燃費としては依然ガソリン車を凌駕しています。
なおハイブリッド車の高速道路走行については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッド車は高速道路走行に不向き?燃費も悪く加速もイマイチ?!ハイブリッド車の燃費の理由
さてハイブリッド車が同クラスのガソリンエンジンを搭載した車とここまで燃費に開きがあるのは、電気モーターの活用によるところが非常に大きいです。
これまでのガソリンエンジンは、エンジンが生み出しているエネルギーのうちの何割かが損失となっており、これが燃費を悪化させている大きな原因です。
その中で大きな割合を占めているのがブレーキによる減速時の損失で、走行エネルギーを摩擦熱として放出してしまうブレーキは燃費を大幅に悪化させています。
そこでハイブリッド車では減速時にブレーキの一部をモーターの発電抵抗で補うシステム「回生ブレーキ」を搭載しており、おもに減速時に発電を行ってバッテリーを充電します。
そこで発電した電気は低速走行域でモーターでの走行に使われ、その間はエンジンを停止させることができるので燃料の消費を減らすことが可能となります。
この回生ブレーキによる損失の回収と、それを活用したモーター走行の2つでハイブリッド車は従来の車より大幅に燃費を伸ばすことが可能となりました。
またモーターの活用領域の増加とバッテリーの大型化などによってハイブリッドカーはさらなる燃費改善の可能性を秘めており、今後も燃費は伸びていくでしょう。
もしハイブリッド車を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
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ハイブリッド車はトヨタ プリウスの登場から現在まで年々種類が増えており、トヨタのみならずほぼ全ての国産メーカー、および多くの海外メーカーが独自に開発して販売しています。
今回はその現行ラインナップの中から、日本国内市場でのハイブリッド車のランキングをご紹介しましょう。
なおハイブリッド車の種類が現在非常に多いため、燃費ランキングのトップ10となります。
燃費 ランキング | メーカー | 車名 | カタログ燃費 | 実燃費 |
1 | トヨタ | プリウス | 37.2km/L~ 40.8km/L | 23.78km/L |
2 | トヨタ | アクア | 34.4km/L~ 38.0km/L | 23.32km/L |
3 | トヨタ | プリウスPHV | 30.8km/L~ 37.2km/L | 27.19km/L |
4 | ホンダ | フィット ハイブリッド | 28.0km/L〜 37.2km/L | 22.08km/L |
5 | 日産 | ノート e-power | 34.0km/L~ 37.2km/L | 19.29km/L |
6 | ホンダ | グレイス | 26.6km/L〜 34.8km/L | 21.49km/L |
7 | トヨタ | ヴィッツ ハイブリッド | 34.4km/L | 21.87km/L |
8 | トヨタ | カローラ フィールダー | 33.0km/L〜 34.4km/L | 21.43km/L |
8 | トヨタ | カローラ アクシオ | 33.0km/L〜 34.4km/L | 23.89km/L |
9 | トヨタ | カローラ スポーツ | 25.6km/L〜 34.2km/L | 21.74km/L |
9 | ホンダ | インサイト | 25.6km/L〜 34.2km/L | 発売直後のため データーなし |
10 | ホンダ | シャトル | 27.6km/L〜 34.0km/L | 21.15km/L |
ハイブリッド車の燃費競争は非常に厳しくどの車種も35.0km/L前後という低燃費性能を持つ車ばかりです。
その中でもプリウスだけが40.0km/Lを超える性能を有しており、世界トップの低燃費ハイブリッド車といってよいでしょう。
またメーカーを見てみると圧倒的にトヨタが多く、ホンダや日産が数車種ランクインするのみです。
トヨタはプリウスで培ったハイブリッドシステムを様々な車種に展開しており、優秀なシステムで多くの車種をハイブリッド車にしたことで燃費性能では常にトップクラスとなっています。
ただ実燃費の値を見てみるとそこまで大きな差はなく、おおよそ21.0km/L〜23.0km/L付近にまとまっています。
プリウスPHVのみ27.19km/Lと突出していますが、これはプラグインハイブリッドという次世代のハイブリッド車だからであり、外部から充電して電動モーターのみで長い距離を走れる車種だからです。
プリウスPHVの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!カタログ燃費はハイブリッドモードでの燃費なので普通のプリウスと変わりませんが、実燃費では充電の頻度などで従来のハイブリッド車より高い実燃費を叩き出すことが可能です。
なおこれらハイブリッド車の燃費ランキングのトップには海外メーカーは1つも入っていませんが、海外メーカーは比較的燃費よりもコスト重視のハイブリッドシステムを重要視しており、絶対的な燃費性能としては国産車のほうが高い性能を持っています。
ハイブリッドシステム/方式の種類一覧!各メーカーの違いを比較してわかりやすく解説!ハイブリッド車はまだまだ魅力的で買いの車
ハイブリッド車は20年ほど前に登場したときから、「電気自動車が普及するまでのつなぎ」という評価が常にあり、実際それは環境性能の面では正しいものです。
ですが現時点においてはまだまだハイブリッド車には魅力があり、これからでも買いといえる車種でしょう。
ハイブリッド車はガソリン車やディーゼル車に比べれば燃費は良いものの、どのみちエンジンを動かすことで環境への負荷はかわらず高いといえます。
「ハイブリッド」vs「クリーンディーゼル」の違い8つ!燃費や維持費まで比較!その点純粋な電気自動車は車自体では一切燃料を消費せず、電気の充電のみで走行が可能なため車としては環境に非常に優しい車です。
将来的には電気自動車が世界の自動車の主流となるのは確実であり、そのときにはハイブリッド車は廃止の方向に向かっているでしょう。
ですが現時点においては電気自動車はまだまだ完全に普及するには至っておらず、そのバッテリー性能から航続距離やコスト面で問題を持っています。
これらは今後の技術革新で解決されていくのでしょうが、それまであと何年、何十年かかるかは定かではありません。
そのため、そこまでの間の現実的な手段としてのハイブリッド車は依然重要な位置を占めており、価格や航続距離の面から電気自動車よりハイブリッド車のほうが便利なことは間違いありません。
さらに前述で述べたプラグインハイブリッドという次世代のハイブリッド車も続々登場しており、これから購入を検討するならプラグインハイブリッドは非常に有効な選択肢となるでしょう。
プラグインハイブリッド(PHEV)とは?EV,PHV,HVとの違いからメリット/デメリットまで解説!ハイブリッド車で燃費を向上させるコツ・方法
さてハイブリッド車がいくら燃費が良いとはいっても、その走り方によっては実燃費は良くも悪くもなるものです。
ハイブリッド車の燃費を伸ばすにはなによりモーターでの走行領域をたくさん確保することにあり、エンジンの使用をどれだけ減らせるかが鍵となります。
そういったハイブリッド車の燃費走行のコツをいくつかご紹介しましょう。
減速時に回生ブレーキをしっかり使う
ハイブリッド車の燃費を左右するのはバッテリーをいかに多く充電できるか、という点ですが、それには減速時に回生ブレーキをどれだけ使えるかにかかっています。
ハイブリッド車の減速時には自動的に回生ブレーキが作動するようになっているのですが、その回生ブレーキの強さは車の走行モードによって結構変わります。
回生ブレーキの走行感覚はガソリン車などと少し違うので、スポーツモードや標準モードではそこまで強い回生ブレーキにならないセッティングの車がほとんどです。
ですがエコモードのような燃費重視の走行モードにすると回生ブレーキは強くかかるようになり、充電を強力に行なえます。
またドライバーの走り方によっても回生ブレーキは効き方が違い、減速時にできるだけブレーキペダルを踏まずに自動的に速度が下がることに任せておいたほうが、回生ブレーキを最大限活用できます。
しかしブレーキ自体は確実に停止するためには必要なのでずっとブレーキを踏まないのも問題なのですが、車の走り方や減速の仕方を把握すればコントロールは十分可能です。
これらの方法で回生ブレーキをしっかりきかせてあげれば、ハイブリッド車は自動的にモーターを優先して長い距離を走れるようになり、結果的に燃料節約に繋がります。
急な加減速を行わない
ハイブリッド車にできるだけエンジンを稼働させないようにするには走行時の走り方も影響しており、急な加減速をできるだけ控えることが燃費を向上させることに繋がります。
これは普通のエンジン車でもそうなのですが、エンジンは急激に回転数を上下させると効率が大きく低下し、その結果燃費は悪化します。
できるだけ一定の回転数、一定の速度で常に走ったほうが燃費が良くなるのですが、ハイブリッド車ではこの傾向が顕著です。
ハイブリッド車の場合、通常走行時にもモーターは動いており、エンジンの補助をするようなアシストを行っています。
ですがアクセルを急に踏み込んだりするとエンジンの使用領域が一気に増加し、モーターを活用できないことで燃費が悪化します。
またその後に急減速するとどうしてもブレーキを踏むことになるので、前述の回生ブレーキが使えない分充電の効率も下がります。
これらのことからハイブリッド車はとにかく落ち着いた走りが重要な車種であり、燃費を重視するなら走りを重視したような乗り方は控えたほうが良いでしょう。
高速走行の速度を抑える
ハイブリッド車の高速燃費があまりよくないということは前述でご説明しましたが、それでも高速道路での燃費をできるだけ伸ばすには速度を抑えることが有効です。
現在日本の主要な高速道路は制限速度100km/hとなっているところもあり、昔より全体的な平均速度が上がっています。
ですがハイブリッド車を効率的に高速走行させるにはもう少し速度を控えたほうが良く、70km/h〜80km/hぐらいで一定速度で走行するほうが燃費が良くなります。
高速走行ではどうしてもエンジンは回転数が高めとなるのですが、それでもエンジンの効率の良い領域でできるだけ走ることが燃費には有効で、おおよそ前述の速度ぐらいがその領域です。
なおハイブリッド車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッド車を中古で買う際の注意点3つ!選び方の重要なポイントも解説!ハイブリッド車の寿命/耐久性は走行距離や年数だとどれくらい?