自動車用エンジンの中にはターボエンジンというタイプのエンジンがありますが、高性能で加速の良いことが特徴のエンジンです。
そんなターボエンジンですが、本来の性能を発揮させるためにはエンジンオイル交換が重要で、ターボのない自然吸気エンジンよりもメンテナンス頻度が高いのです。
今回はそんなターボエンジンのオイル交換についてご説明します。
ターボ車のエンジンオイル交換の必要性
ターボエンジンはターボチャージャーという過給機を装着したエンジンのことで、ターボは排気ガスのエネルギーをタービンの羽根で受けて吸気を圧縮する部品です。
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!そうしてエンジンに大量の空気を送ることで高出力を得られるのがメリットで、小排気量のエンジンでもワンランク上の性能を発揮することができます。
ターボチャージャーの潤滑と冷却
自動車用エンジン向けには非常に有用なターボチャージャーですが、常に高温の排気ガスにさらされる部品のため、内部はかなり環境の厳しい部品です。
特に問題なのが排気ガスで回るタービンと空気を圧縮するコンプレッサーをつないでいるシャフトを保持するベアリングで、20万rpmという超高回転をするシャフトを保持し、さらには高熱での焼付きも防がなければなりません。
こういった厳しい環境に置かれているため、ターボチャージャーのベアリングは「フローティングベアリング」という特殊なものを使います。
これは言ってみればオイルによってシャフトを半分浮かせた状態で保持するもので、金属のベアリングとシャフトの間に薄いオイルの膜を作ることで焼き付きを防ぎます。
またそのオイルを循環させれば同時に冷却も可能となるので、ターボチャージャーの環境にもってこいのベアリングなのです。
そこで使われるオイルは特殊なものではなく、エンジン内部に使われるエンジンオイルを送り込んで使用しています。
厳しい環境のターボ車エンジンオイル
エンジンオイルの役割はエンジン本体にあり、高速で擦れ合うシリンダーとピストンの間の潤滑、冷却、焼付き防止、ゴミや金属粉の除去など、さまざまな役割を果たしています。
しかしターボエンジンではそれに加えてターボチャージャーの冷却や潤滑もしなければならないため、ターボのない自然吸気エンジンよりもエンジンオイルへの影響が大きく劣化も早まります。
NAエンジン(自然吸気エンジン)とは?メリット5つ!音が最強の魅力?!そのため一般的にターボエンジン車のエンジンオイル交換頻度は自然吸気エンジンより高く、劣化したオイルを早めに交換しなければなりません。
もし劣化したエンジンオイルのままで走行を続けたりすれば、ターボチャージャーの冷却効率が落ちたり、粘度の上がったオイルで潤滑がうまくいかなかったりと、トラブルの原因になります。
最終的にはベアリングとシャフトが焼き付いてしまい、ターボが破損するタービンブローに至るでしょう。
また同様の問題はエンジン本体のシリンダーやピストンにも起こりますので、最悪の場合はシリンダーとピストンの焼付きでエンジンブローとなり、エンジンが1基ダメになってしまうでしょう。
そうならないためにはエンジンオイルのメンテナンスが何より重要で、自然吸気エンジンの車よりも意識を高めて置かなければなりません。
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ターボエンジンのエンジンオイルの交換方法
ターボエンジンだからといってエンジンオイルの交換方法は特別ではありません。
一般的なエンジンオイルの交換方法は次の通りで、非常に簡単なものなので個人でも交換できます。
- エンジン下部のオイルパンのドレンプラグから古いオイルを抜く
- オイルが抜けたらドレンプラグを閉め、エンジン上部のフィラーキャップから規定量のオイルを入れる
ただ自然吸気エンジンと違うのはエンジンオイル交換を行うインターバルです。
オイル交換のインターバル
エンジンオイル交換を行う間隔ですが、一般的には自然吸気エンジンで走行距離10,000kmごとに交換のところをターボエンジンでは5,000kmごとに行います。
これはエンジンを設計したメーカーの推奨距離で、エンジン設計時にオイルの劣化具合を考慮に入れて決められています。
ただ多少であれば距離を超えても問題はなく、5,000kmを超えてすぐエンジンが故障するわけではありません。
ですが何千キロもオイルが古いままで走るのはエンジンによくないので、可能な限り推奨距離に近いところで交換するのが望ましいです。
また推奨距離より短いインターバルで交換する分には何の問題もなく、むしろエンジンの調子を保つためにはそのほうがよいでしょう。中には3,000kmごとにオイル交換をするという人もいます。
オイルの減少と限界
エンジンオイルは各部を冷却や潤滑しながらエンジン内をぐるぐる循環するのですが、一方でシリンダーを潤滑した際にほんのわずかな量が燃料と一緒に燃えていますので、エンジンオイルの量というのは少しずつ減少していっています。
このオイル減少も含めてエンジンオイル交換インターバルは決まっており、あまり長く推奨距離をオーバーしてしまうとオイル量自体が少なく十分な働きができなくなります。
エンジンには「オイルレベルゲージ」というエンジンオイルの量を測るゲージがついており、簡単に取り外せる位置に合って誰でもチェックが可能です。
もし何らかの問題で5,000kmに満たなくてもオイル量が「LOW」を下回っているときには、エンジンオイル交換が必要です。(オイル量が減った原因特定もいりますが)
またオイル量チェックの際にはオイルの粘度も調べるとよく、真っ黒くてベタベタしたオイルになっている場合にはそのエンジンオイルは限界です。
オイルが熱や経年劣化で変化してタール状の物質に変化してしまっており、潤滑に悪影響を与えているからです。
新品のオイルというのはサラサラでキツネ色をしたキレイなもので、少し使えば黒くなるのは仕方ないにしても粘度はそこまであがらないものです。
オイルレベルゲージでのチェックは車の運行前点検にも含まれており、できればチェックしておくと良いでしょう。
ですが基本的にはターボエンジンは5,000kmごとの交換という点に気をつけておけばよく、たまにガソリンスタンドでの無料点検を受ければほぼほぼ大丈夫です。
オイル交換2回ごとにオイルフィルターも交換を
エンジンオイルは距離ごとに交換をするものですが、そのエンジンオイルからゴミや金属粉を除去してくれるエンジンオイルフィルターも定期的に交換が必要なものです。
交換目安としてはエンジンオイルを2回交換するごとに1度ですので、ターボ車では10,000kmに1度というところですね。
エンジンオイルフィルターはエンジンの各部を循環して汚れたオイルをキレイにする部品で、主にゴミと金属粉の除去を行います。
エンジン内部には各部の擦れで発生した金属粉や、燃料やオイルの燃えカスなどがゴミとして発生するので、常にオイルの状態を保つためにフィルターはかかせません。
それらをフィルターで濾し取っているので、長年使ったフィルターは交換が必要となるのです。
オイルフィルター交換もエンジンのメンテナンスとしては簡単なほうで、エンジン設計のときにフィルターは作業しやすい位置に配置されています。
オイルフィルターはネジ留めで固定されているので、専用のオイルフィルターレンチというものを使って取り外し、新品のオイルフィルターを逆の手順で組み付けるだけです。
自動車用品店などでも交換用のオイルフィルターやオイルフィルターレンチが売っていますので、個人で作業はできます。
ですが基本的にはオイル交換のときに一緒にお店にお願いしてしまうほうが楽で、費用もそこまで高くないのでそちらのほうが良いと思います。
ターボ車のエンジンオイルの選び方
エンジンオイルにもさまざまな種類があり、おもに「粘度」で性能が変わってきます。
エンジンオイルの粘度は硬さとも呼ばれ、粘度の低いオイルはサラサラ、高いオイルはある程度ドロッとしているのです。
これまでは一般的には普段乗りの中、小型車は低粘度オイル、高性能車ほど高粘度のオイルがよいといわれてきました。
ですが近年はオイルの性能も向上し低粘度オイルが主流となってきており、車の性能もそれに適したものとなっています。
昔のターボ車は性能重視で出力が高いものが多かったので、高回転まで安定している高粘度オイルが必要でした。
ですが現在主流のターボエンジンはダウンサイジングターボといって比較的低回転域で効くターボで、以前ほど高粘度オイルが必要なエンジンではなくなっています。
ダウンサイジングターボとは?デメリット/欠点2つとメリット3つ!搭載車種も紹介オイル粘度は燃費や性能を考えると粘度が低いほうがよく、粘度の高いオイルを循環させるのはエネルギーがいるのです。
エンジンオイルにはこういった特徴があるものの、基本的にはエンジンオイルはメーカー推奨の粘度を入れておけば間違いありません。
車に詳しくない人にはオイルの粘度は難しいので、メーカーがおすすめする粘度のオイルなら車の性能は必要十分に発揮できます。
ターボエンジンのエンジンオイルのおすすめ
ターボ車のエンジンオイルはメーカー推奨品が基本となりますが、他にも社外品のエンジンオイルも多数販売されており、ターボエンジンに適したオイルもたくさんあります。
こういったオイルは主に高性能車向けのもので、過酷な環境でもエンジンの性能を発揮するためのものです。
今回はそんなエンジンオイルの銘柄をいくつかご紹介しましょう。
CASTROL GTX DC-TURBO
自動車用オイルメーカーとして昔から有名なカストロルですが、そこが発売しているターボ用オイルがこのGTX DC-TURBOです。
粘度は10W-30と少し硬めで、昔から中、大型のターボ車向けの定番オイルです。
硬めとはいっても普段使いでも十分な性能があり、バランスの良い高性能オイルといえるでしょう。
Mobil1 スーパー 1000
カストロルと並んでオイルメーカーとして有名なのがMobil1で、カストロルのオイルとライバル関係にある定番オイルのひとつですね。
粘度も同じく10W-30で、こちらもバランスの良いオイルです。
価格も同じぐらいですが販売しているところで価格に差がありますので、価格差でカストロルかMobil1かを選べばよいでしょう。あとは使ってみてどちらが良かったか比べてみるのがいいですね。
GULF エコテクノ
ガルフはポルシェのレーシングカーのイメージが強いオイルメーカーですが、高性能オイルを販売する一方でエコテクノという低粘度オイルも発売しています。
5W-30なので中、小型車などに使われることの多い粘度ですが、このオイルはターボ車にも対応しており近年の低燃費ターボ車に合っています。
ターボ車だけでなく自然吸気エンジンにも使えるようなので、適用範囲が広いですね。
なおターボについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ターボチャージャーとスーパーチャージャーの違い2つを比較!両方搭載も可能?!ターボエンジン車は燃費が悪い?燃費向上は走り方次第で可能?!