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4サイクル(ストローク)エンジンとは?仕組みや構造の特徴・長所を解説!

自動車用の内燃機関にはいくつか種類があるのですが、現在ほぼすべてのエンジンは「4サイクル」もしくは「4ストローク」と呼ばれる種類のエンジンです。

昔は何種類ものエンジンが市場に投入されていたのですが、さまざまな理由から採用が難しくなり、4サイクル/4ストロークエンジンがほとんどとなりました。

今回はそんな4サイクルエンジン/4ストロークエンジンについてご説明します。

4サイクルエンジン/4ストロークエンジンとは

エンジン

4サイクルエンジン、もしくは4ストロークエンジンと呼ばれているのは、内燃機関エンジンの作動動作が4つに別れているエンジンのことで、それぞれの動作を「行程」と呼びます。

正式には4ストロークが正しく、「4ストローク1サイクル機関」と呼ぶのが正解です。ですが4サイクルエンジンという名前も一般化しており、どちらを使っても通じるでしょう。

ではまずは4ストロークエンジンがどんな構造や特徴を持っているか、ご説明しましょう。

4ストロークエンジンの行程

内燃機関のエンジンは、エンジンの内部で爆発を起こすことで出力を得ています。

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爆発を起こすためにはエンジンに空気と燃料を取り込み、その後に点火する必要があるのですが、4ストロークエンジンではその行程が4つあり、それぞれ次の行程となります。

内燃機関エンジンは大きく分けてガソリンエンジンとディーゼルエンジンがあり、燃料噴射のタイミングに違いがありますが、4ストロークエンジンである限り基本的な行程はかわりません。

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次の表にそれらを分けてまとめました。

行程役割ピストン位置
ガソリンエンジンディーゼルエンジン
①吸気シリンダーに空気と燃料(混合気)を取り込むシリンダーに空気のみ取り込む下死点
②圧縮混合気を圧縮する空気を圧縮する上死点
③爆発(膨張)圧縮した混合気に火花で点火する圧縮した空気に燃料を噴射し、自己着火で点火する下死点
④排気燃焼の終わったガスを排気する燃焼の終わったガスを排気する上死点

4ストロークエンジンでは①~④までの行程を1サイクルとして、これを連続して行うことでクランクシャフトを回転させて出力を得ています。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは燃料噴射と点火の構造が違うものの、行程としてみれば同じエンジンといっても差し支えないでしょう。

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また4ストロークエンジンの各行程のピストン位置を併記しましたが、下死点はピストンが一番下がった位置、上死点は一番上がった位置であり、上死点~下死点の動きでクランクシャフトが一回転します。

つまり4ストロークエンジンでは1サイクル終わるごとにクランクシャフトは2回転するのが大きな特徴でもあります。

4ストロークエンジンの採用状況

内燃機関のレシプロエンジンにはストロークで分けると3タイプあり、4ストロークエンジンのほかに2ストロークエンジンと6ストロークエンジンがあります。

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ですが世界的に自動車を始めとしたエンジンはほとんど4ストロークエンジンで、ほかのタイプは年々減少しています。

4ストロークエンジンと2ストロークエンジンの違いについてはのちほどご説明しますが、6ストロークエンジンに至っては燃費を競う競技車にしか使われていません。

2ストロークエンジン2サイクル(ストローク)エンジンとは?仕組みは?かからない特徴あり?!
ポイント

さて4ストロークエンジンですが、自動車、バイク、航空機、船舶などの大型エンジンから、発電機、芝刈り機、草刈り機、機械用エンジンなどさまざまな用途で使われています。

以前は2ストロークエンジンもこれらの分野で広く使われていたのですが、おもに環境性能の点から4ストロークエンジンへの置き換えが進んでおり、2ストロークエンジンを見かけること自体が珍しくなってきました。

印象的なできごととしては小型エンジン付機械の分野で世界的に評価の高いホンダが、2000年ごろに芝刈り機や発電機などを4ストロークエンジンに変更したことです。

ホンダは自動車やバイクでは4ストローク化をだいぶ前に果たしていましたが、小型機械まで変更してきたということで2ストロークエンジンというものが減ってきたと思わせるものでした。

日本国内ではまだ小型発電機、芝刈り機でも2ストロークエンジンを採用しているメーカーもありますが、今後4ストロークエンジンに変更されていく可能性は高いでしょう。

またアジア市場ではまだ2ストロークエンジンのバイクが一般的なのですが、こちらも環境性能の問題からやはり4ストロークに変わっていくと考えられます。

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4ストロークエンジンの振動特性

エンジンのストロークは振動や音とも密接に関係しており、特に振動の周波数に関係します。

MEMO

振動の周波数はHz(ヘルツ)で表しますが、これは1秒間に何回振動したかという単位です。

エンジンの場合には振動の原因となるのは燃料の爆発ですので、簡単に言えば1秒間に何回爆発が起こったかでエンジンの振動数が決まります。

4ストロークエンジンはクランクシャフトが2回転するごとに1度爆発が起こりますから、単気筒エンジンでエンジンの回転数が3,000rpm(1分間の回転数)のときには1分間に1,500回もの爆発が起こっているのです。

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これを1秒間あたりで計算すると25回爆発していることとなり、このエンジンの振動周波数は25Hzと計算できるわけです。

もし単気筒ではなく4気筒エンジンの場合には、この周波数も4倍となりますので100Hzになります。

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ということはエンジンの気筒数が増えれば増えるほどエンジンの振動は高周波になっていきますので、エンジンが発する音も高くなるわけです。

こういった振動計算は車の設計時などに頻繁に行われており、部品の共振やエンジン音の低減対策などさまざまな面で重要な要素です。

4ストロークエンジンの構造や特性を知って置かなければこういう計算はできませんので、普段私たちが乗っている車が快適なのもこの計算のおかげです。

4ストロークエンジンと2ストロークエンジンの違い

では次に4ストロークエンジンと2ストロークエンジンの違いをご説明しましょう。

2ストロークエンジンは4ストロークエンジンと同じレシプロエンジンの仲間ですが、その構造は大きく違っており、より簡便な行程を持つエンジンです。

2ストロークエンジンの行程はたった2つしかなく、①下降行程、②上昇行程のみです。

前述の表を使って、ガソリンエンジンにおける2ストロークエンジンと4ストロークエンジンの行程を比較すると次のようになります。

4ストロークエンジン2ストロークエンジンピストン位置
行程役割行程役割
①吸気シリンダーに空気と燃料(混合気)を取り込む①下降行程前半:上昇行程で取り込まれた混合気が爆発

後半:掃気、排気ガスを排出しながら新しい混合気を吸入する

下死点
②圧縮混合気を圧縮する②上昇行程前半:掃気しながらピストンが上昇

後半:混合気を圧縮する

上死点
③爆発(膨張)圧縮した混合気に火花で点火する①下降行程繰り返し下死点
④排気燃焼の終わったガスを排気する②上昇行程繰り返し上死点

2ストロークエンジンでは、4ストロークエンジンが4つに分けていた行程を2つ同時に行っており、4ストロークエンジンが1回サイクルを終わらせる間に、2ストロークエンジンは2サイクル回せることになります。

そのため同じエンジン回転数では2ストロークエンジンのほうが倍の爆発回数を持っており、エンジンの出力も高くなるのです。

また前述した振動と音の面でも、爆発回数が倍の2ストロークエンジンは倍の周波数を発するわけで、エンジン音はより甲高くなります。

このサイクルの違いによってエンジンの内部構造は大きく違っており、主に次のような違いがあります。

4ストロークエンジンの基本構造

4ストロークエンジンも2ストロークエンジンも同じレシプロエンジンなので、基本となるシリンダー、ピストン、クランクシャフトコンロッドがあります。

そこに4ストロークエンジン特有のバルブ機構が組み合わさり、このエンジンの基本構造を構成しています。

4ストロークエンジンの基本構造を以下の表にまとめてみました。エンジンを構成する要素はこれ以外にもたくさんありますが、4ストローク独特な要素はこれです。

主要部品役割
シリンダー円筒の筒でレシプロエンジンの基本構造
ピストン混合気の圧縮、及び燃焼エネルギーの伝達
コンロッドピストンとクランクシャフトの接続
クランクシャフトピストンの上下運動を回転運動に変える
吸排気バルブ吸気や排気行程では開いて気体をシリンダーに吸排気し、膨張、圧縮行程ではシリンダーを密閉する
オイルパンピストン潤滑、冷却、密閉用のエンジンオイルを保持する受け皿
オイルポンプ&オイルジェットエンジンオイルをピストンに噴射する機構。エンジン内の油圧も生み出す

4ストロークと2ストロークで決定的に違うのは、バルブ機構を持つことと燃料とは別のエンジンオイルがあることです。

この2点が4ストロークエンジンの構造上のメリットとなっており、後述するように2ストロークエンジンを減らしてきた理由でもあるのです。

4ストロークエンジンの基本的な動きが分かる動画を用意しましたので、参考にご覧ください。


この動画ではオイルジェットは触れられていませんが、ピストンの下側にエンジンオイルを噴射する構造となっており、ピストンとシリンダーの間の潤滑、冷却、密閉などを行う重要なものです。

2ストロークエンジンの基本構造

2ストロークエンジンの基本構造は4ストロークエンジンより簡便になっており、4ストロークエンジンと同様の基本構造をまとめると次の通り部品点数が非常に少ないエンジンです。

主要部品役割
シリンダー円筒の筒でレシプロエンジンの基本構造。2ストロークの場合にはシリンダー側面に吸排気ポートがあるため、完全な円筒ではない
ピストン混合気の圧縮、及び燃焼エネルギーの伝達
コンロッドピストンとクランクシャフトの接続
クランクシャフトピストンの上下運動を回転運動に変える

まず2ストロークエンジンの動きを理解するために、動画をご覧ください。

よく見ていただきたいところは、シリンダーに吸気しながら排気する掃気での、ピストンの位置です。


2ストロークエンジンは吸排気のバルブがない代わりにピストン自体でシリンダーの密閉を行っており、ピストンが下降してシリンダーの掃気ポートを開けると掃気が始まります。

またもう一つの特徴として、シリンダーブロックの下側、クランクシャフトが回転している部分も吸気を吸い込む部屋として機能していることで、ピストンが上昇中にこの部屋に吸気を吸い込み、ピストンが下降するとともに燃焼室に吸気が移動するのです。

ポイント

なお4ストロークエンジンではこの部屋はオイルパンの一部となっておりエンジンオイルが入っています。

そのため2ストロークエンジンは4ストロークエンジンのようにオイルジェットによるピストンの潤滑が構造上できません。

ですがピストン潤滑は必ず必要なので、このエンジンは燃料にエンジンオイルを混ぜており、その燃料がピストンの外壁に付着することでエンジンオイルで潤滑をしているのです。

そのためエンジンオイルが燃料と一緒に燃焼する量が多く、排気ガスに特有の白煙が出るのも特徴です。

なお2ストロークエンジンについては以下の記事でも詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

2ストロークエンジン2サイクル(ストローク)エンジンとは?仕組みは?かからない特徴あり?!

4サイクルエンジン/4ストロークエンジンの音

4ストロークエンジンの音は2ストロークエンジンとは大きく違っており、それは前述したとおりエンジンが発する振動周波数が違うからです。

それが分かる動画がありましたので、まずはお聞きください。

ホンダ NS-1というバイクで50ccの単気筒エンジンですが、動画冒頭が2ストロークエンジン、後半が4ストロークエンジンになっています。


このNS-1というバイクは2ストロークエンジンの車種なのですが、市販にはないカスタムとしてカブなどの4ストロークエンジンを搭載することができます。

音の特徴としては2ストロークエンジンの甲高いパパパパというような音に対して、4ストロークエンジンは低くドドドドというような音の特徴があります。

現在街中でみる車もバイクもほとんどすべてが4ストロークエンジンなので音の特徴に気づかない場合がありますが、たまに小型のバイクが高い音を発しながら走っているのを見ます。

こういったバイクはほぼ間違いなく2ストロークエンジンのバイクで、いまでは珍しいといえるでしょう。

MEMO

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4サイクルエンジン/4ストロークエンジンの長所・短所

メリット、デメリット

さて4ストロークエンジンの長所や短所は2ストロークエンジンと裏表であり、4ストロークエンジンが2ストロークエンジンに負けているところもあります。

ですが主に環境性能において4ストロークエンジンに大きなメリットがあり、2ストロークエンジンでは年々厳しくなる環境対策に対応できなくなってきたというのが世界的な流れです。

4ストロークエンジンの長所

では4ストロークエンジンが2ストロークエンジンより勝っている点をご説明していきましょう。

環境性能の高さ

まず4ストロークエンジンが主流となっている最大の長所である環境性能ですが、主に排気ガスの燃焼状態に特徴があります。

2ストロークエンジンは内部で燃焼の終わったガスを掃気行程で排出しますが、そのときには吸気も一緒にシリンダーに入ってきますので、未燃焼状態の混合器の一部が排気ガスに交って排出されてしまいます。

この未燃焼ガスには大気汚染の原因となる物質が多数含まれており、各国の排気ガス規制で排出量を規制されているものです。

またエンジンオイルを燃料に混ぜている関係上、排気ガスには未燃焼のエンジンオイルも混ざっており、これも規制の対象です。

ですが4ストロークエンジンでは吸気と排気は完全に行程として別れており、排気ガスは基本的に燃焼の終わったガスしか排出されません。

吸気と排気の行程はそれぞれバルブで制御されますので、吸気が排気に混ざることというのはないのです。

またエンジンオイルは燃料とは別であり、燃焼室に入れることはないのも良い点です。実際はピストンとシリンダーの間からほんのわずか燃焼室にも入ってきますが、量がとにかく少ないので問題となるようなものではありません。

4ストロークエンジンでもエンジンから排出されたガスには有害物質が含まれているのですが、触媒などの後処理装置によって年々排気ガスのクリーン化は進んでいます。

2ストロークエンジンも同様な処理は技術的には可能なのですが、4ストロークエンジンより排出される有害物質が多いために後処理装置が複雑で高コストのものを使わなければ、年々厳しくなる排気ガス規制に対して難しいエンジンとなります。

この排気ガス規制への対応が難しくなったことが2ストロークエンジンの減少の最大の原因であり、4ストロークエンジンが生き残っている理由でもあります。

エンジンオイル消費量の少なさ

前述したように4ストロークエンジンはエンジンオイルを燃焼させたりしませんので、2ストロークエンジンよりエンジンオイルの消費量がかなり少ないです。

4ストロークエンジンの車では5,000km~10,000km走行ごとにエンジンオイル交換を行いますが、2ストロークエンジンの場合には燃料補給数回ごとにエンジンオイルを追加する必要が出てきます。

どちらもエンジンオイル自体の値段はそこまで高くないものの、2ストロークエンジンは常にオイル追加を気にしていなければならないエンジンといえるでしょう。

その点4ストロークエンジンでは年に1、2回ぐらい交換すれば十分であり、毎年の定期点検のときに一緒に交換すれば良いので頻繁に気にする必要もないのが便利です。

また4ストロークエンジンのオイル交換は汚れたオイルの交換がメインですので、量がなくなるわけではないので多少交換が長くなってもすぐに問題が起こらないのも良い点です。

エンジン音の静かさ

エンジン音の違いについては前述の動画でご紹介しましたが、一般的にはバイクも自動車もエンジン音は静かな方が好まれますので、4ストロークエンジンの低い音のほうが耳障りではなく上質感があります。

2ストロークエンジンの甲高い音もレーシーで好きな人には好まれるのですが、乗用車ではやはり静かさというのは重要な点ですので4ストロークエンジンのほうがメリットが大きいです。

4ストロークエンジンばかりになったことで、たまに2ストロークエンジンのバイクが横を通ったりするとうるさく感じることが多いのが、その状況を際立たせているといえるでしょう。

エンジン音を静かにさせる技術もさまざまありますので、2ストロークエンジンでもある程度静かなものにはできるのですが、4ストロークエンジンのレベルにまで音を下げるのにはかなりコストがかかるでしょう。

燃費が良い

燃費メーター

2ストロークエンジンは4ストロークエンジンの倍の爆発回数があって出力が高いのですが、それは同時に燃料消費量が多いということになりますので、燃費という観点では4ストロークエンジンのほうにメリットがあります。

2ストロークエンジンがよりパワーを出せると言っても、一般道のさまざまな道路状況では細かく対応できるわけではないので、無駄なパワーを持って燃料消費が多いというエンジンになりがちです。

また後述するパワーバンドの問題で2ストロークエンジンは回転数が高めになる特徴があり、これも燃費を悪化させることに繋がっています。

その点4ストロークエンジンは非常に安定した爆発を起こせるエンジンで、状況に応じてエンジン回転数を細かく対応させることに向いています。

近年はバルブの開閉量を電子的にコントロールする可変バルブも一般的となり、より細かな制御が可能となっているのも燃費を大きく向上させました。

また2ストロークエンジンは燃料を含んだ吸気の一部が排気ガスに混ざって排出されてしまうので、燃料すべてを燃やせてないというのも燃費には悪影響でしょう。

パワーバンドが広い

4ストロークエンジンはエンジンの最もパワーの出る回転数、いわゆる「パワーバンド」が広く、2ストロークエンジンより広い運転域で安定した走行性能を得られます。

MEMO

パワーバンドとはエンジンが最も安定して性能を発揮できる回転数のことを指し、エンジンによって違いはありますが、ある程度の範囲を持って表します。

運転中にこのパワーバンド内でエンジンを使えていれば、快適で効率の良い運転ができているということであり、燃費もよく、またエンジンが無理な音を発生させることもありません。

パワーバンドが広いエンジンほど日常的な運転で使いやすいエンジンといえ、自動車やバイクには重要な点です。

2ストロークエンジンは最大パワー自体は4ストロークエンジンより出るものの、パワーバンドが狭いエンジンになりがちであり、案外使いづらいエンジンでもあります。

2ストロークエンジンは上昇行程でピストンで吸気を圧縮しながら排気も行いますので、実は吸気を十分に圧縮できていないというデメリットを持っており、それが安定する回転域が非常に狭いのです。

ポイント

その点4ストロークエンジンは圧縮行程はバルブが閉じて密閉状態で圧縮できるので、どの回転数でも安定した燃焼状態を維持できます。

回転数が低くても高くてもその状態は維持できますので、エンジン本体のパワーバンドが広くできるのです。

またパワーバンドと少し違うトルクバンドというものもありますが、こちらも4ストロークエンジンのほうが広くて、低回転から安定した加速ができるのもメリットです。

2ストロークエンジンのバイクに乗ったことがある人ならわかりますが、発進時にゆっくりアクセルを開けてもなかなか加速せず、ある回転数になると急激な加速が突然起こるのです。

これがパワーバンドやトルクバンドが狭いエンジンの特徴で、慣れていても乗りにくいものです。

エンジンの耐久性が高い

4ストロークエンジンは一般的に2ストロークエンジンより耐久性が高いと言われており、その理由の大半はピストンとシリンダーまわりの構造の違いによって生まれています。

エンジンの耐久性に関係する構造というのはさまざまなものがあるのですが、4ストロークと2ストロークを比較した時に気になってくるのはピストン周りの耐久性です。

ピストンとシリンダーの間には金属のピストンリングというリングが挟まっており、リングによってシリンダーの密閉を確保しています。

またリングとシリンダーの間にはエンジンオイルによって膜ができており、これが潤滑と冷却、密閉の手助けをしています。

さて4ストロークエンジンではエンジンオイルが常にピストンに噴射されており、ピストンリングとシリンダーの間の状態は最適に保たれています。

この状態ならばピストンリングの耐久性やシリンダーの耐久性がしっかり確保でき、長期間稼動するエンジン全体の耐久性も上げていることとなります。

ですが2ストロークエンジンでは燃料にエンジンオイルが入っている関係上、積極的にピストンリングにオイルが供給されるわけではありません。

エンジンの稼動については問題にならなくても、長期間としてみると4ストロークエンジンより部品の摩耗は大きくなってしまい、どうしても基本的な耐久性では4ストロークエンジンに劣るのです。

4ストロークエンジンの短所

さまざまな長所のある4ストロークエンジンですが短所がないわけではなく、特に軽量小型のバイクにとっては2ストロークエンジンのほうがメリットは多くなります。

2ストロークエンジンの半分の出力

エンジンの回転数が同じ場合、4ストロークエンジンは2ストロークエンジンの半分の爆発回数しかないので、単純計算で出力は半分になってしまいます。

2ストロークエンジンのメリットのほぼ全てがこの出力に関係しており、小型エンジンでも高出力を出せることです。

実際には4ストロークエンジンの倍は出なく、さまざまな抵抗やロスなどで1.5倍程度の出力差ではあります。

しかし排気量の小さなエンジンほどこの特徴は際立って来るので、小型バイクに2ストロークエンジンが多く採用されていたのにはこのメリットによるものです。

4ストロークエンジンでも排気量アップや過給機などパワーアップの手段はさまざまありますが、2ストロークエンジンで同様の手段を取ればさらなる高出力化が可能となりますので、どうしても出力という点では4ストロークエンジンは不利になります。

バルブが抵抗になる

4ストロークエンジンの環境性能や密閉度にさまざまなメリットのあるバルブですが、空気の通り道として考えた場合はバルブは邪魔なものであり、吸気と排気の抵抗となります。

吸排気の抵抗が大きくなると、最終的にはエンジンの効率低下から出力低下につながるもので、これも2ストロークエンジンより出力が下がる原因となります。

2ストロークエンジンはバルブがない分吸気と排気がスムーズに流れるのは良い点ですが、バルブがなければ結局前述したように排気ガスの規制に対応できなくなるので、一長一短といったところでしょう。

実際2ストロークエンジンにバルブを取り付けたエンジンもあるのですが、複雑で高コスト、出力は低下するのであまり普及しませんでした。

構造が複雑でコスト高

車のコスト

4ストロークエンジンと2ストロークエンジンの基本構造の違いはすでにご説明しましたが、4ストロークエンジンは2ストロークエンジンより複雑な構造なので、その分重量もかさみますしコストも高くなります。

同排気量のエンジンとして比較すると、4ストロークエンジンの部品点数は2ストロークエンジンよりかなり多く、とくにバルブなどの動弁系が部品点数を増やす原因となります。

2ストロークエンジンは行程が少ない分構造が簡単で、軽量コンパクト、低コストで製造できますので、小型バイクには向いています。

また草刈り機などの小型機械についても、手持ちで扱ったり、持ち運びができたりする点では2ストロークエンジンの軽量さが大きなメリットとなりますので、そういった用途についてはまだまだ2ストロークエンジンのほうが長所があると言えるでしょう。

4サイクルエンジン/4ストロークエンジンの評価・乗り心地

4ストロークエンジンについての評判はTwitterにも多数上がっており、今回はその中からいくつかご紹介します。

4ストエンジンは静かで便利

芝刈り機などの小型機械は昔はほとんど2ストロークエンジンだったのですが、4ストロークエンジンの機械もどんどん増えていっています。

この芝刈り機は手で押すエンジンタイプですが、家庭の庭で使うので4ストロークエンジンの静かさは大きなメリットですね。

2ストエンジンは恐怖に感じる

4ストロークエンジンは自動車とバイクのほとんどに普及したのであまり気にしていない人も多いかと思いますが、2ストロークエンジンに比べるとかなり扱いやすく便利なエンジンなのです。

この方は昔の2ストバイクに乗っていらっしゃった時に、そのパワーの出方や加速が尖りすぎて扱いづらく、恐怖さえ感じたというほどです。

2ストエンジンはスペック上は4ストエンジンを上回る場合も多いものの、実際に運転するなら4ストロークエンジンのほうが何杯も使いやすいでしょう。

新型ポンプは待望の4ストエンジン

各地の消防団にはエンジンで動くポンプが配備されているのですが、多くは古い機械が多くて2ストエンジンもまだ数多く残っています。

ですがそのエンジン音の大きさには消防団の方も問題に感じておられたようで、ついに待望の新型ポンプがきたということで喜ばれていますね。

新型は4ストロークエンジン式で静かなので、夜中でも近所迷惑を最低限に抑えることができるというのはかなりの利点でしょう。

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4サイクルエンジン/4ストロークエンジン搭載車

さて4ストロークエンジンの搭載車をご紹介しようと思ったのですが、現在国内の自動車もバイクもすべて4ストロークエンジンになっているので対象が多すぎます。

そこで今回は2ストロークエンジンから4ストロークエンジンに切り替わった時の代表的な車やバイクをご紹介しようと思います。

スズキ セルボ

 

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セルボはスズキが古くから生産している軽自動車の一車種で、スポーティなデザインが特徴の軽自動車です。

セルボは2009年までモデルの継続した車で最終型は5代目でしたが、初代に2ストロークエンジンが搭載されており、2代目で4ストロークエンジンに変更された経緯があります。

国内ではセルボを始めとした何車種かが最後の2ストロークエンジン搭載車種であり、セルボは1984年まで生産されました。

国内では1982年にフルモデルチェンジを果たしましたので、事実上国内の2スト自動車はこれで最後といえるでしょう。

スペック初代セルボ2代目セルボ
エンジン形式T5A型 0.539L 直3 2ストローク キャブF5A型 0.543L 直3 SOHC 4ストローク
最高出力 28ps/5,000rpm29ps/6,000rpm
最大トルク5.3kg-m/3,000rpm4.2kg-m/4,000rpm
駆動形式RRFF

※直3、SOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。

日産 NOTE 直3エンジン直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!エンジンSOHCエンジンとは?仕組み/構造は?メリット3つデメリット3つ!

初代セルボと2代目セルボではエンジンの排気量はほぼ同じ(軽自動車上限)ですが、注目すべきはその最高出力とトルクです。

最高出力は28馬力と29馬力ということであまり変わっていないようにも見えますが、実際には2ストロークエンジンのほうが低回転で最高出力が出ていますので、同回転数での4ストロークエンジンではもっと出力が低いでしょう。

また最大トルクも2ストロークエンジンのほうが最大値、回転数とも上回っており、スペック上では4ストロークエンジンのほうが低いことがわかります。

初代セルボの2ストロークエンジンにしても、ギリギリまで排気ガス規制のために改良はされており、触媒を二重にしたり「エアポンプ式二次空気導入装置」という再燃焼装置を装着して、排気ガスの浄化レベルは上がっていました。

ですがそれでも排気ガス規制という大きな制約の前には4ストローク化は逃れられないことであり、1982年当時の規制値ですでに対応できないことから現在の規制では2ストロークエンジン復活の目はないでしょう。

ヤマハ ルネッサ/R1-Z

 

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自動車では1980年代前半には絶滅した2ストロークエンジンも、排気ガス規制が比較的緩やかなオートバイの世界では生き残っていました。

ですが1999年には最後の2ストバイクといえるヤマハ R1-Zが生産終了となり、国内販売の2ストロークエンジンはすべてなくなり、自動車とバイクは4ストロークエンジンのみとなったのです。

同時期にヤマハで発売されていたバイクにルネッサというモデルがありますので、この2車種でスペックを比較してみましょう。

スペックヤマハ R1-Zヤマハ ルネッサ
エンジン形式249cc 2ストローク水冷並列2気筒クランクケースリードバルブ248cc V型2気筒 4ストローク空冷SOHC2バルブ
最高出力45ps/9,500rpm
(3XC3は40ps/8,500rpm)
27ps/8,500rpm
最大トルク3.7kg-m/8,500rpm
(3XC3は3.4kg-m/7,500rpm)
2.5kg-m/6,500rpm

※水冷エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。

ポルシェ 水冷エンジン水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!

R1-Zもルネッサも同じ250ccのバイクですが、やはり2ストロークエンジンのR1-Zのほうが出力、トルクとも1.5倍近く高く、性能面では高性能ということがわかります。

またこの2車種はコンセプトが少し違っており、ルネッサはツーリング向きのネイキッドバイクですが、R1-Zはスポーツタイプのネイキッドバイクです。

その性格の違いからR1-Zの2ストロークエンジンはスポーティという評価を受けながらも、やはり扱いやすさという点では劣っており、一般受けする性格のエンジンではありませんでした。

その点ルネッサの4ストロークエンジンはおとなしい性格で扱いやすく、ツーリングにはもってこいのバイクといえるでしょう。

なお最新のヤマハの250ccバイクにスポーツモデルのYZF-R25というバイクがあるのですが、最新の4ストロークエンジンのこの車種でも最高出力:36PS/12,000rpm、最大トルク:2.3kgf・m/10,000rpmと、R1-Zのスペックには到達していません。

さまざまなエンジンの技術革新があったにもかかわらずスペックが覆らないほど、4ストロークエンジンと2ストロークエンジンの基本スペックには差があるのです。

4サイクルエンジン/4ストロークエンジンの今後

自動車用、バイク用エンジンとしては日本のみならず世界的にも4ストロークエンジンが主流であり、2ストロークエンジンは排気ガス規制のゆるい新興国向けのバイクで一部残るのみです。

2ストロークエンジンのスペック的なメリットはあるものの、新興国でも年々排気ガス規制は厳しくなっているので、今後4ストロークエンジンに置き換えられていくのは遠い未来ではないはずです。

ポイント

また小型機械用のエンジンとしても2ストロークエンジンは減少方向にあり、ホンダがいち早く4ストロークエンジンの機種を増やしているのはその先鞭と言えます。

いまはまだ2ストロークエンジンの機械は発売されていますが、年々環境対策が厳しくなっている世の中ですので、近い将来こちらも排気ガス規制が入って4ストロークエンジン化されるでしょう。

欧州ではいち早くそういった規制が取り入れられていますので、日本でも取り入れられる可能性は高いでしょう。

なおエンジンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

ツインカムエンジンツインカムエンジンとは?仕組みは?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!バルブ エンジン5バルブエンジンとは?メリット2つとデメリット5つの特徴を解説!