環境性能に注視するトヨタは「プリウス」や「アクア」など人気ハイブリッドを多くラインナップしています。
圧倒的な低燃費でハイブリッド部門を牽引するプリウスは、今や見かけない日はないくらい街中でよく走っていますよね?
そこで気になるのは、「プリウスは環境性能だけの車なのか?」ということ。
というわけで今回は、プリウスの雪道走行について解説していきたいと思います。
ライバル車やTwitterの口コミも参考にしてみたので、ぜひご覧ください。
プリウスの雪道走行性能
結論としては「気を付けて丁寧に運転すれば、雪道でも走れるモデル」といえます。つまり、あまりハードな雪道では警戒が必要ということですね。
具体的な解説については後に回すとして、まずは世間の評価を見ていきましょう。プリウスに対する感想をTwitterからいくつかピックアップしてみました。
雪道でスタックしてる爺さんのプリウスが居ましてね、押してあげたんですよ。
後ろから押してるのに、タイヤの回転を見たら後進しようとしてるんですよ。
これ、俺が轢かれるパターンだなと思って「人力じゃ無理ですわー。手助けできず申し訳ありません」って逃げてきました。— 駅メモよねっち (@ekimemoyone) 2018年3月5日
Twitterでプリウスについて調べてみると、このようにネガティブな意見が大変多いです。ハッシュタグで「#今日のプリウス」というネタツイートがあるくらいですからね。
しかしこれは性能的なものではなく、オーナーさんに運転の未熟な人が多いことが原因のようです。
雪道にめっぽう強わけではありませんが、けっしてプリウスが低スペックというわけではありません。
なおこの話題については以下の記事でも取り上げています。興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
運転下手のクズ野郎!?プリウス乗りのマナーの悪さの原因を分析!トヨタの営業と話したけど、プリウスは4駆でなくても雪道は十分走れるそうだ。走り方で800kmは無給油で走れるそうだ。今まで感じていた疑問が解決したような気がする。車中泊にも向いているみたい。
— 孝 (@TKSNKI) 2012年10月26日
このようにディーラーの営業マンは「雪道でも十分走れる」と豪語していますからね。車を売るために誇張している可能性も捨てきれませんが、この内容だとセールストークではないでしょう。
どの車にもいえることですが、結局はドライバーの運転次第ということです。反対にいえば、プリウスでも雪道に対応できるということ。
意外とプリウスは雪道走れる子なのがわかって安心した。
— ヴィンナ@鋼のケツ同盟 (@bina_CBR250R) 2016年11月9日
雪道に弱いイメージが世間に浸透しているプリウスですが、それゆえに、乗ってみて「意外と走れる」と感じる人が多いようです。
少し前のモデルはFFしか設定されていなかったので、こういったイメージが残っているのでしょう。
現在は前後にモーターを配した4WDモデルも用意されていますよ。
なおプリウスの口コミ・評判については以下の記事でもまとめています。もっと詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
プリウスの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!プリウスの雪道走行性能の理由
雪道での走行性能を評価するには、いくつかのパートについて考えるとわかりやすいです。
そこで今回は、公称性能を参考にして「走行性能」「コーナリング性能」「ブレーキ性能」の3項目について解説したいと思います。
まずは、プリウスの諸元をご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC+モーター |
排気量 | 1,797cc |
最高出力 | エンジン:98PS/5,200rpm Fモーター:72PS Rモーター:7.2PS |
最大トルク | エンジン:14.5kgf・m/3,600rpm Fモーター:16.6kgf・m Rモーター:5.6kgf・m |
車重 | 1,310-1,390kg |
全長×全幅×全高 | 4,540×1,760×1,470mm |
最低地上高 | 130mm |
駆動方式 | FF/4WD |
※水冷、直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!雪道における走行性能
まず気になるのは「雪の上を進むことができるのか?」ということ。
路面が凍結しているときは発進が困難ですし、轍(わだち)が酷いときは足をとられてしまいます。積雪が多いときは、雪に埋もれて動けなくなることだって…。ただ走るだけでも、雪道にはさまざまな障害があるのです…。
雪道でも安全に走れる車とは、どんな能力が求められるのでしょうか? チェックポイントとして、以下3点を挙げてみました。
- 駆動方式
- 最低地上高の高さ
- トルクの大きさ
まず「駆動方式」ですが、雪道ではいうまでもなく4WDが有効です。プリウスは、前後に搭載されたモーターによりトルク配分を適切にコントロールするので、雪の上でも走ることができます。
次に見るのは「最低地上高」です。一般的には150mm以上が雪道でも楽に走れる目安だといわれています。プリウスはこれより少し低い130mmなので、路面に気を使う必要がありそうです。
雪道では「トルク性能」も大事。これは氷上というよりも、雪が深い状況で求められますね。モーターによって低速域からトルクを発揮できますが、パワー自体は弱いので油断はできません。トルクの弱さがプリウスの弱点といえます。
加えて、スタック(雪にハマること)したとき、モーターが駆動しないケースがあるので、雪から抜け出すのに骨が折れるかも…。念のため、「牽引ロープ」「スコップ」「スタックラダー」などを準備しておきましょう。
なおプリウスの走行性能については、以下の記事でも詳しく解説しています。興味のある方はこちらもご参照ください。
新型プリウス(50系後期)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!雪道におけるコーナリング性能
雪道では「コーナリング性能」も大切です。北海道の峠道なんかでは、路肩に突っ込んでいる事故現場をたびたび目にしますよね。1箇所のコーナーで、軽自動車が4、5台横転している状況も珍しくありません…。
プリウスは安定して曲がれる車なのでしょうか? この2点を評価してみましょう。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
コーナリングでも4WDが有利な気がしますが、実際にはそう大差ありません。
このように感じるのは、強くて重いボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。ようするに、車体がコーナリングフォース(遠心力)に負けないからなのです。コンパクトカーと大型SUVとでは、重量がぜんぜん違いますよね?
しかし、雪道のコーナーでは単純に「重ければ有利」とはいえません。摩擦が極端に少ないため、コーナリングフォースがグリップを超えやすいんです。簡単にいえば、重いほどスリップしやすいということ。
「重心の高さ」もポイントで、コーナーにおいては低いほど有利です。重心が高いと、コーナー旋回中に踏ん張りが効かず、横転しやすくなりますからね。
その点プリウスの重量と重心は標準的といえるので、コーナーにおいて大きな心配はありません。スピードの出し過ぎに注意すれば、冬の峠道にもしっかり対応できるでしょう。
雪道におけるブレーキ性能
雪道でもっとも怖いのは、「ブレーキを踏んでも止まれないこと」です。周りに車がいなければいいですが、大きな道路でやってしまったら一大事ですよね…。
ブレーキシステム自体の制動力やスタッドレスの性能も重要ではありますが、他にもこんなものが関連しています。
- 車重の軽さ
- 駆動方式
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。
イメージとしては重い車のほうが止まりにくい気がしますよね?たしかに重い物を静止させるには、大きなエネルギーを必要とします。
しかし、大きな荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も増えるんです。重い車はタイヤサイズが大きいですし、そもそもブレーキシステムが強力だったりしますしね。つまり、車重はブレーキの制動距離に対して、大きく影響していないということ。
これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、これはあくまでもドライ路面における話。雪が積もった道路では適用されません…。コーナリングの話と同じ理屈で、雪の上では推進力がグリップを超えやすいんです。
少し長い話になりましたが、ようするに「軽い車のほうが止まりやすい」ということ。車格が異なるケースでは一概にいえませんが、少なくとも、似たようなモデルなら「軽量性=ブレーキ性能」と考えて間違いないでしょう。
同クラスにおいてプリウスは標準的な重量ですから、ブレーキ性能も標準的なレベルです。特別強力ではありませんが、際立って弱いこともありません。
4WDモデルであれば、エンジンブレーキも4輪に働くので、減速も心配ありませんね。丁寧な減速を心がければ、冬でも安全に運転することができます。
もしプリウスを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!プリウスの雪道走行性能を他の車と比較
ここで気になるのは、「ライバル車と比較するとどうなのか?」ということ。
というわけで、同クラスのモデルと雪道性能を具体的に比べてみましょう。今回、比較対象に選んだのはホンダ「シャトル」、マツダ「アクセラ ハイブリッド」、スバル「インプレッサ スポーツ」の3台です。
比較しやすいように価格も載せておきましたので、よかったら参考にしてみてください。ちなみに、プリウスは260~404万円に設定されています。
ホンダ シャトル
ホンダから販売されるハイブリッドシリーズのなかで、プリウスと似た車格といえば「シャトル」の名が挙がります。
ハイブリッドカーとしてはプリウスの影に埋もれがちですが、シャトルも優れた車ですよ。
ちなみに車体価格は169~263万円となっており、プリウスよりも廉価なラインです。雪道性能はどちらが優れているのでしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | エンジン:110PS/6,000rpm モーター:29.5PS |
最大トルク | エンジン:13.7kgf・m/5,000rpm モーター:16.3kgf・m |
車重 | 1,190-1,300kg |
全長×全幅×全高 | 4,400×1,695×1,545mm |
最低地上高 | 130mm |
駆動方式 | FF/4WD |
こう見比べてみると、性能はなかなか近いものがありますね。車体もエンジンもプリウスよりも小柄ですが、中身の性能はプリウスにも劣らない印象です。
駆動方式、エンジン性能に関しては五分五分といったところ。最低地上高も同じ130mmです。
強いていうなら、プリウスのほうが重心が低く、シャトルのほうが車体が軽量ということでしょうか。とはいっても、雪道性能についてはほとんど互角のレベルです。
なおシャトルについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
シャトルの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!シャトルの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!マツダ アクセラ ハイブリッド
マツダのハイブリッドモデルとして人気なのは「アクセラ ハイブリッド」。セダンベースなのでプリウスよりやや大きめですが、比較対象としてはちょうどいいポジションといえます。
ちなみに価格帯は250~288万円に設定されているため、プリウスと悩む人が多いかも。雪道の走行性能についてはどうでしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,997cc |
最高出力 | エンジン:99PS/5,200rpm モーター:82PS |
最大トルク | エンジン:14.5kgf・m/4,000rpm モーター:21.1kgf・m |
車重 | 1,410kg |
全長×全幅×全高 | 4,580×1,795×1,455mm |
最低地上高 | 155mm |
駆動方式 | FF |
エンジン性能はプリウスと同程度ですが、最低地上高はアクセラのほうが2.5cm高いので、障害物には強そう。
しかし、車重が100kg近く軽いことと駆動方式の点から、雪道ではプリウスのほうが走れるでしょう。もちろん燃費性能もプリウスに軍配が上がるので、トータルではプリウスのほうが使い勝手がいいといえます。
なおアクセラについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アクセラの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!アクセラの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!スバル インプレッサ スポーツ
雪道でおなじみのメーカーといえばスバルです。プリウスとの比較対象に考えるなら「インプレッサ スポーツ」が相当するでしょう。
スバルの人気車種らしく1.6Lと2.0Lの2種類ガソリンモデルがラインナップされ、それぞれFFと4WDが用意されています。ちなみに価格は194~261万円となっており、プリウスよりも廉価です。
それではインプレッサと雪道性能を比較してみましょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 水平対向4気筒DOHC16バルブ |
排気量 | 1,599cc |
最高出力 | 115PS/6,200rpm |
最大トルク | 15.1kgf・m/3,600rpm |
車重 | 1,360-1,400kg |
全長×全幅×全高 | 4,460×1,775×1,4840mm |
最低地上高 | 130mm |
駆動方式 | FF/4WD |
※水平対向4気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水平対向4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!エンジン性能、車重、最低地上高はプリウスと互角の性能ですね。加えて駆動方式も4WDということで、諸元表の上では大きな差がないように思えます。
しかし、この駆動方式が肝心なのです。スバルの4WDシステムである「シンメトリカルAWD」はバランスに優れており、四輪に常時グリップ力が働くので雪道ではかなり心強いんですよ。
加えて、モーター駆動よりも強力なので、スタックなどのトラブルにはハイブリッドよりも強いです。よって、インプレッサのほうが、数値で見る印象以上に雪道への対応力があります。
なおインプレッサについては以下の記事でも取り上げているので、詳しく知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
インプレッサは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!インプレッサG4の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!プリウスは日常レベルの雪道走行なら可能
というわけで、プリウスの雪道走行についての解説は以上になります。
オフロードのような荒れた路面を走行するパワーはありませんが、日常レベルの雪道なら問題なく走行できるでしょう。
したがって、コスト面も考慮するなら、プリウスは雪道走行する車として考えてもいいと思いますよ。
なおプリウスについては以下の記事でも取り上げています。興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プリウスの月、年間の維持費を計算!高いのか安いのか比較して解説!プリウスの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!