環境性能の高いSUVとして人気の三菱「アウトランダーPHEV」。
従来のようなクロカン車とはうって変わり、充電すれば「ガソリンさえもいらない」という点に、エコ志向の高いユーザーが集まっていますよね。
しかし、あえてエコカーとしてSUVを選ぶということは、環境性能だけでなく、アクティブな要素も求めていることに他なりません。
そんなわけで今回は、アウトランダーPHEVに興味がある方に向けて、「加速性能はどれほどのものなのか?」について解説していきたいと思います。
アウトランダーPHEVの加速性能
環境性能が注目されるアウトランダーPHEVですが、加速性能について一言で表すと、「乗用車として標準的なレベル」となるでしょう。
ミドルクラスのSUVということですから、イメージとのギャップで遅く感じてしまうかもしれません。
というわけで、まずはこちらの諸元表をご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 2,395cc |
最高出力 | エンジン:128PS/4,500rpm Fモーター:82PS Rモーター:95PS |
最大トルク | トルク エンジン:20.3kgf・m/4,500rpm Fモーター:14.0kgf・m Rモーター:19.9kgf・m |
車両重量 | 1,890kg |
PWR | 10.68kg/PS |
TWR | 55.75kg/kgf・m |
0-100km/h | 9.8秒 |
※直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!補足させていただくと、「エンジン種類~車重」の項目は公式カタログから引用し、「PWR・TWR」は平均重量から算出しました。「0-100km/h加速」のタイムは、オーナーさんの口コミを元にしています。
0-100km/h加速タイムをチェック
加速性能をイメージするのに役立つのが、発進から100km/hに達するタイム、通称「0-100km/h加速タイム」です。
こんな急加速をする状況はまず考えられませんが、加速感をイメージするうえでは参考になりますよね。
XVの0-100km/h加速ですが、1.6Lガソリンは「9.5秒」、2.0Lガソリンは「8.9秒」、そして2.0Lハイブリッドは「11.6秒」ということで、ファミリーカーとしては標準的です。
他の車種のタイムが気になる方は、こちらにトヨタの人気モデルをまとめてみたのでご覧ください。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
マークX(3.5L) | 5.9秒 |
86 | 7.3秒 |
クラウン(ターボ) | 7.5秒 |
アルファード 3.5L | 7.5秒 |
プリウス | 9.5秒 |
シエンタ(ガソリン) | 12秒 |
なお上記の表にある車種の加速性能については以下の記事で取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
マークXは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!クラウンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シエンタの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?パワーユニットの性能をチェック
それでは、もう少し性能的な部分の話に入りたいと思います。PHEVのパワーユニットは、2.4Lのエンジンと、前後に配された2基のモーターの3種類です。それぞれに分けてチェックしていきましょう。
エンジン性能は並
PHEV(プラグインハイブリッド)とは、すなわちハイブリッド自動車に充電機能が追加されたような仕組みのものです。ハイブリッド(HV)と電気自動車(EV)の中間のような存在ですね。
PHEVの最大の利点は、短い距離なら供給された電力で走行できること。長い遠出でなければ、ガソリンを消費しないということになります。
そのため、エンジンは副次的な側面をもち、2.4Lとしてはそれほど大きなパワーではありません。
エンジン単体で見ると、最高出力は「128PS」、最大トルクは「20.3kgf・m」。数字だけ見ると、2.0LのNAエンジン並みの性能ですからね。
なおPHEVについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プラグインハイブリッド(PHEV)とは?EV,PHV,HVとの違いからメリット/デメリットまで解説!高出力モーターを2基備えるが
前後に2基のモーターを備えるアウトランダーですが、大きな車体を動かす主要動力だけあり、一般的なハイブリッドモデルに比べ、高出力なものが採用されています。
その数値はフロントが「82PS、14.0kgf・m」、リアが「95PS、19.9kgf・m」ということで、単体で1.0Lクラスのエンジンに匹敵するパワーを発揮。これが2基搭載されているわけですから、初動加速はなかなかのものです。
ただし、電動モーターは始動から素早くパワーを出せる一方、トルク特性がフラットで、かつ中~高速域では枯渇してしまう性質をもちます。
コンパクトカーならともかく、SUVの大きな車体に対しては、パワー不足感が否めません。
環境性能が高められたアウトランダーPHEVですが、「動力性能はさほど優れてはいない」ということですね。
シャシーの性能をチェック
続いてシャシーの性能ということで、加速性能において重要な「駆動方式」と「軽量性」に目を向けてみましょう。
4WDシステム「S-WAC」は素晴らしい出来栄え
SUVらしく高剛性なボディ、ビルシュタイン製の高性能なサスペンションを完備するアウトランダーPHEVですが、4WDシステムも非常に充実しています。
これが知る人ぞ知る「S-WAC」ですね。ツインモーターをベースとした4WDシステムによって、常に4輪の駆動力を発揮することが可能。
加速性能において、4WDはもっとも適した駆動方式ですから、その点有利といえますね。パワーはそれほどではありませんが、4輪がしっかりグリップしていく加速感は非常に素晴らしいですよ。
なお4WDがあるので雪道性能も優れています。雪道性能については以下の記事で取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アウトランダーは雪道に弱い?雪道走行の性能について分析してみました!軽量性は低め
車の軽量性を示す指標に、「PWR(パワーウェイトレシオ)」「TWR(トルクウェイトレシオ)」というものがあります。
簡単にいうと、出力・トルクに対するボディ重量のことですね。「数字が小さいほど加速が速い」と考えるとわかりやすいでしょう。
ベースのボディが重いアウトランダーPHEVは、さらに大容量バッテリーと2基の高出力モーターを搭載していることから、1,890kgという重量を誇ります。反対にいえば、それだけ加速に関して不利ということです。
PWR・TWRはそれぞれ「10.68kg/PS、55.75kg/kgf・m」という数値になっています。さきほどのトヨタ車と比較できるよう、こちらに数値をまとめてみました。
車種 | PWR | TWR |
マークX(3.5L) | 4.87[kg/PS] | 40.1[kg/kgf・m] |
86 | 6.15[kg/PS] | 58.9[kg/kgf・m] |
クラウン(ターボ) | 7.06[kg/PS] | 48.1[kg/kgf・m] |
アルファード (3.5L) | 7.14[kg/PS] | 58.4[kg/kgf・m] |
プリウス | 13.98[kg/PS] | 94.5[kg/kgf・m] |
シエンタ(ガソリン) | 12.52[kg/PS] | 94.2[kg/kgf・m] |
もしアウトランダーPHEVを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!アウトランダーPHEVの実際の加速感
数字だけではいまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。オーナーさんの投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。
Twitterで加速感をチェック
アウトランダーPHEV
力不足を感じることがなく加速がいいので気持ちよく走る楽しみと、電気とガソリンで走れる車なのでどのように走ればガソリンを多く消費しないで走れるかという楽しい走れる1台。
現行の後期型で2.4Lになったのでバッテリーがなくても快適に走れるようになったのかな。 pic.twitter.com/Qmxm2IdpW0
— ピカブイ (@pikachu_ev_) 2019年1月23日
こちらのオーナーさんいわく、「力不足を感じることのなく加速がいい」とのこと。
数値から感じるイメージとは少し異なりますね。そう、アウトランダーPHEVはフィーリングがとても優れているんですよ。
アウトランダーPHEV、スポーツモードは非常にトルクフルで面白かった。加速感はインプ4速パワーバンド辺りに近い感じでした。スポーツのスイッチ使いづらい場所でしたね。あと気になったのは、若干フロントよりリアの方が突き上げ強いから、シートもかなり硬いのプラスされると後席長時間キツイかなー
— tetsuya86 (@tetsuya86gdb) 2018年11月4日
こちらの方は、以前インプレッサに乗っていたようですね。アウトランダーPHEVの加速感を、「インプレッサの4速時のトルク感」に近いものがあると語っています。
インプレッサは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!ほかのPHVやEVと比較すると、トルクフルな走りが楽しめるので、エコカーに「アクティブさ」と「加速感」を求めるならアウトランダーという選択はかなりおすすめ。
スイッチの使用感やシートの出来栄えなど難点がいくつかあるので、今後の年次改良が楽しみです。
三菱自動車本社にてインターネット生番組に出演。三菱自動車アンバサダーに就任し、アウトランダーPHEVに乗っていますが、バッテリーが床下にズラリと並んでいるためと重心が低く路面に張り付くような安定感がとてもいい!またモーター特有の加速も素晴らしい!エコでありドライビングも楽しい車です。 pic.twitter.com/hUbXCazxUl
— 野口健(アルピニスト) (@kennoguchi0821) 2018年9月15日
実は、アルピニストの野口 健さんも愛車に選んでいるようです。
アウトランダーPHEVの安定感と加速感については、野口さんからもお墨付きを頂いていますね。ドライビングの楽しさや、環境性能を高く評価しています。
You Tubeで加速感をチェック
こちらは、海外で撮影された加速動画ですね。開始20秒からテスト走行の計測が始まり、「9.8秒」という結果を残しています。これだけを見えると、とりわけ速い感じではありません。
ですがこちらの動画では、メーターだけでなく動画後半では外からも撮影されています。
これを見ると、なかなかいい走りをしていると思いませんか?運転していて、かなり楽しめそうな予感。ボディが重い印象がありましたが、これなら許容範囲といえるでしょう。
アウトランダーPHEVの加速性能を他の車と比較
加速感についてご覧いただいたところで、続きましてライバルと呼ばれる国産車と、その実力を比較してみたいと思います。
今回比較してみるのは、同じ排気量の近い国産SUVであるマツダ「CX-5」、日産「エクストレイル」、トヨタ「ハリアー」の3車種です。
マツダ CX-5
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ ディーゼルターボ |
排気量 | 2,188cc |
最高出力 | 190PS/4,500rpm |
最大トルク | 45.9kgf・m/2,000rpm |
車両重量 | 1,670kg |
PWR | 8.79kg/PS |
TWR | 36.38kg/kgf・m |
0-100km/h | 9秒 |
まず比較してみるのは、マツダのフラッグシップSUV「CX-5」です。ヨーロッパへのウケを意識していることから、質感と環境性能、そして走行性能に定評のあるモデルですが、加速性能はアウトランダーと比べてどうでしょう。
さて、0-100km/h加速はおよそ「9秒」ということで、アウトランダーPHEVよりもわずかに速いタイム。誤差として処理できる範囲なので、同程度と見ることができますね。
エンジン性能に関しては、CX-5はディーゼルらしく「低速からガツンと効くトルク」が特徴的です。
その数値は「45.9kgf・m」というもので、本格クロカン並みの性能。モーターを備えるPHEVとは単純比較は難しいですが、トルク感はCX-5のほうが大きいでしょう。加えて、車重が200kg近く軽いことから、加速性能はCX-5が有利と考えられます。
なおCX-5については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
マツダCX-5の加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?CX-5の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!日産 エクストレイル
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,997cc |
最高出力 | エンジン:147PS/6,000rpm モーター:41PS |
最大トルク | エンジン:21.1kgf・m/4,400rpm モーター:16.3kgf・m |
車両重量 | 1,640kg |
PWR | 11.15kg/PS |
TWR | 78.09kg/kgf・m |
0-100km/h | 8.3秒 |
続いて比較するのは、日産の大人気SUV「エクストレイル」。こちらもハイブリッドで、アクティブなキャラクターなど共通点も多く、アウトランダーの強力なライバルモデルにあたります。
まず、0-100km/h加速ですが、「8.3秒」ということでタイムはエクストレイルのほうが上ですね。1秒以上短いので、これは加速において優位と見ていいでしょう。
たしかに性能を目を通してみると、エンジンと車重はエクストレイルが上回っています。
モーターはアウトランダーPHEVのほうが強力ですが、エンジンユニットと車重のアドバンテージによって、中~高速域での加速で差が出てくるかと思われます。
なおエクストレイルについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
エクストレイルの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?エクストレイルの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!トヨタ ハリアー
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHCICターボ |
排気量 | 1,998cc |
最高出力 | 231PS/5,200-5,600rpm |
最大トルク | 35.7kgf・m/1,650-4,000rpm |
車両重量 | 1,740kg |
PWR | 7.53kg/PS |
TWR | 48.74kg/kgf・m |
0-100km/h | 6.3秒 |
最後に比較するのは、トヨタの上級SUVである「ハリアー」。上級セダンの優雅さをSUVへ上手にミックスしたモデルで、今やトレンドとなっている上級SUVの先駆けとなったモデルです。
ハリアーの2.0Lターボモデルは、0-100km/h加速が「6.3秒」と実測されており、非常に優秀な加速性能をもつモデルです。
この数値は上級セダンにも匹敵するタイムで、当然アウトランダーPHEVよりも数段上。加速性能については、間違いなくSUVとしてトップクラスの性能です。
スペックについては、ターボによって231PSという高い出力が魅力的。トルクも35.7kgf・mと力強く、車重もそれほど重くないですからね。これだけの加速を発揮できるのもうなづけます。
なおハリアーについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハリアーの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?ハリアーの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!アクティブなエコカーを求めるならアウトランダーがベスト
まとめると、アウトランダーPHEVは「環境性能が高く、使い勝手のいいモデル」といえるでしょう。
エコロジーな部分にスポットを当てたモデルなので、加速性能に関してはそれほど大きな期待はできません。
しかし、他のエコカーと比較すると、加速フィーリングや操縦性は抜きん出ています。ゆえに、エコカーという枠組みで加速性能を求めるなら、アウトランダーPHEVはかなりいい選択だと思いますよ。スタイルも、綺麗にまとめられてかっこいいですしね。
なおアウトランダーPHEVについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
三菱アウトランダーがキャンプに最適な理由4つアウトランダーは雪道に弱い?雪道走行の性能について分析してみました!