アウトランダーPHEVは三菱自動車が誇るハイブリッドSUVで、「プラグインハイブリッドカー」という最新型の環境対応車です。
今回はそんなアウトランダーPHEVの故障に関してご説明します。
アウトランダーPHEVの故障率
参考:www.mitsubishi-motors.co.jp
アウトランダーPHEVは三菱を代表するクロスオーバーSUVですが、その車をベースとしてPHEV(プラグインハイブリッドカー)に改良した車種となります。
プラグインハイブリッドカーは燃費の良い環境対応車であるハイブリッドカーの一種ですが、その大きな特徴として外部からハイブリッドカーのバッテリーを充電できるという点で、従来のハイブリッドカーでは不可能な機能です。
この機能によってPHEVは電気モーターによって長距離を走行することが可能となっており、エンジンを可能な限り停止させることで燃費を大幅に向上させる技術です。
PHEVはまだまだ国内メーカーでは少ない車種で、国産SUVではアウトランダーPHEVが唯一となります。そんなアウトランダーPHEVの故障に関しては次のような点から見ることができます。
三菱の自動車耐久品質調査
自動車の故障率というものは、自動車メーカー各社が調査してデータを収集していますが、これは非常に重要な機密データであり一般には決して公表されないものです。
そのため私達がひとつの車種の詳しい故障率がどのぐらいか、というのは見ることができないので、メーカー以外の調査会社が独自に調査して公表しているデータを見る必要があります。
その一つが米国J.D.パワー社の「自動車耐久品質調査」で、世界的にも信頼される調査結果の1つです。
この調査では各国市場の新車を購入したユーザーから、購入後3年〜5年程度の間に起こった不具合を聞き取り調査して、その件数が少なかったメーカー順にランキング形式で発表しているものです。
以下が最新の日本市場での調査結果で、三菱もランクインしています。
ランキング | メーカー | 不具合指摘件数 |
1 | レクサス | 51 |
2 | トヨタ | 61 |
3 | ダイハツ | 73 |
4 | スバル | 77 |
5 | 日産 | 78 |
6 | ホンダ | 79 |
7 | 三菱 | 82 |
8 | スズキ | 82 |
9 | BMW | 92 |
10 | マツダ | 102 |
11 | メルセデス・ベンツ | 103 |
12 | アウディ | 104 |
このランキングではメーカーごとの故障件数の少なさしかわかりませんが、それでも最新車の故障の度合いを図ることができるデータです。
三菱はこのランキングでは7位となっており、国産メーカーとしては少し低い位置にあります。
ですが上位のトヨタやレクサスは別にしても、日産やホンダなどの大きなメーカーとほぼ変わらない不具合件数であり、全体的には信頼性は十分にあるメーカーといえるでしょう。
アウトランダーPHEVの初期不具合
アウトランダーPHEVは2012年にアウトランダーの追加仕様という形で追加された車種ですが、その初期には不具合が多くリコールも数多く出ています。
車両系の不具合もありましたがその多くはエンジンおよびハイブリッドシステム関係のものが数多くありました。
アウトランダーPHEVは三菱が初めて実用化した量産型のハイブリッドカーであり、また当時としては非常に先進的なプラグインハイブリッドカーということで、不具合を開発段階で潰しこめなかったことが理由でしょう。
特にPHEV関係の制御プログラムの修正が多く充電やモーター駆動関係のものが数多く修正されました。
ほかにもハイブリッドシステムの駆動用バッテリーなどの部品不具合や、ハイブリッドシステムの高圧電源を活用する部品などの不具合も出ており、1つの車種としてはリコールが結構多かった車でもあります。
直近では2019年の2月にリコールの届け出が出されており、これも最終的にはハイブリッドシステムに不具合を及ぼすものでした。
これらのリコール対応はすべてメーカーの無償修理となるためユーザーが費用負担することはありませんが、購入後にリコール対応が必要な場合が出てくるかも知れません。
中古のアウトランダーPHEVの故障しやすさ
アウトランダーPHEVは2012年から現在まで発売されている車種であり、販売台数もこのクラスの車としては良好なので、中古車市場にも多くの車が出てきています。
そんなアウトランダーPHEVの中古車の故障に関してですが、基本的には年式や走行距離に応じてそれに準じた故障が起こってくるものです。
おおよそ年式10年越え、もしくは走行距離100,000km超えが1つの目安となっており、これ以上超える車は故障箇所が増えてきます。
とはいえアウトランダーPHEVに関しては一番古い車でも7年落ちまでなので、主に気にする部分は走行距離となるでしょう。
走行距離が50,000kmぐらいまではほぼ故障もなく乗り続けることが出来ますが、80,000kmに達するまでのところで定期交換部品のいくつかを修理する必要が出てくるでしょう。
肝心のハイブリッドシステムに関しては100,000kmまでは保証が残っていますが、それ以降に関しては故障が増えてきますので、できるだけ走行距離の少ない中古車を選ぶことが大前提です。
なおリコールに関しては中古車でも新車と同様に無償修理となりますので、通知が来たら即座にディーラーに持ち込んで修理してもらいましょう。
アウトランダーPHEVオーナーの評判
アウトランダーPHEVの故障に関してはTwitterにもいくつか投稿が見られますが、やはりリコール関係の話題が多くみられます。
そんなツイートのいくつかをご紹介します。
アウトランダーPHEVのリコール通知が来た。早速地元の静岡三菱店で修理依頼し土曜日に入庫予約済。ちょこっとしかエンジンを起動しない場合にプラグにすすが溜まってくすぶるそうな。PHEV特有のリコールだなぁ。私のクルマは絶好調でエンジンもスムーズに始動するが、少し心配になる。
— 池新田 (@takeruharakawa) May 26, 2017
こちらの方はリコール対応でアウトランダーPHEVをディーラーに入庫されましたが、原因はエンジンプラグにすすがたまるというものです。
普通の車であれば走行していればすすはあまりたまらないものなのですが、エンジンの使用頻度が少ないプラグインハイブリッドカーだからこそ起こる不具合といえるでしょう。
#アウトランダー #PHEV 「 #EVシステム異常 」は異常な電池セルが特定されたのでセル交換で治るらしい。セルバランス大事だね。
修理中の代車は #ガスランダー こちらは七人乗りで違いが楽しみ
— hibino misaki (@hibinomisaki) March 30, 2017
こちらの方のアウトランダーPHEVは、ハイブリッドシステムの中核ともいえる駆動用バッテリーに不具合があり修理されたそうです。
その原因はバッテリーの内部で細かく別れているセルという部品の不具合であり、これもハイブリッドシステムならではのものといえます。
アウトランダーPHEVの故障事例
アウトランダーPHEVはリコールという形でさまざまな部分を修理、改良しながら今に至りますが、そういったリコールとは関係ない部分の故障事例もあります。
その中から今回はいくつか代表的な故障事例をご紹介しましょう。
エンジンチェックランプの点灯
参考:www.mitsubishi-motors.co.jp
アウトランダーで比較的多い故障事例はエンジンチェックランプの点灯で、様々な要因から起こるものです。
エンジンチェックランプはエンジン部品やハイブリッド関連部品になにか不具合が起こった場合に点灯するもので、普通のエンジン車だとセンサーの故障や部品の性能低下で発生するものです。
ですがプラグインハイブリッドカーであるアウトランダーPHEVでは、前述のTwitterにもあるようにエンジンの稼動が少ないことから、カーボンが堆積したりという独自の故障が起こる場合があります。
その他にはやはりハイブリッドシステム関連の故障によるものが多く、モーター、インバーター、駆動用バッテリーなどのセンサー類が故障しただけでもチェックランプが点灯するので、その場合は車の走行ができなくなる場合もあります。
そうなると車を自力走行できなくなるので、輸送費用も必要となる場合が多いです。
修理費用に関しては部品によってまちまちですが、エンジン部品の修理であれば50,000円前後の修理が多いです。
一方でハイブリッドシステムに関しては100,000円以上の高額修理となる場合が多く、自動車修理としては費用面で大変な場合が多いです。
エアコンコンプレッサーの故障
アウトランダーPHEVにも空調システムとしてエアコンが装着されていますが、走行距離が増えてきた場合にはその中核であるエアコンコンプレッサーの故障が可能性として挙がってきます。
エアコンコンプレッサーは普通のエンジン車にも搭載されていますが、その作動はエンジンの動力をベルト駆動で伝達して作動しています。
ですがプラグインハイブリッドカーであるアウトランダーPHEVでは、エンジンが動かない領域というのが非常に多いので通常のエアコンコンプレッサーは使えず、ハイブリッド用の駆動バッテリーで作動する電動エアコンコンプレッサーとなっています。
電動エアコンコンプレッサーであっても耐久性は普通のエアコンコンプレッサーと大差はなく、走行距離80,000km〜100,000kmまで保証されている部品です。
ですがそれ以降では定期交換が必要な部品となるので故障すると部品交換が必要で、それには高額な修理費用が必要となります。
電動エアコンコンプレッサーは普通のエアコンコンプレッサーより高額で、150,000円前後の修理費用となります。
エアコンコンプレッサーは普通に新車購入であれば交換が必要な時期は随分先ですが、中古車の場合は走行距離に注意して選ばなければなりません。
パワーウインドウの故障
アウトランダーPHEVの故障事例はなにもハイブリッドシステムに限ったことだけではなく、車両部品の一つであるパワーウインドウの部品に故障が起こる場合もあります。
パワーウインドウは窓ガラスをモーターとアームなどで構成されたウインドウレギュレーターという部品で動かしており、重量のある窓ガラスを開閉することでかなり負荷がかかる部品です。
そのため年式が経過したり走行距離が増えてきたりすると、パワーウインドウレギュレーターが故障して窓ガラスが開閉できないなどの故障が発生します。
こういった故障は10年、100,000kmに達するまででも起こる可能性はあり、前兆がないため窓ガラスを開け閉めしているときに見つけることが多いです。
修理にはパワーウインドウレギュレーターを交換する必要があり、修理費用は100,000円前後が必要です。
アウトランダーPHEVは買っても大丈夫か?
アウトランダーPHEVは国内車では唯一のプラグインハイブリッドSUVで、その環境性能は非常に高いものがあります。
一方でリコールの多さでもわかるように、子の車の完成度はまだ高いわけではなく、今後も何か不具合が出てくる可能性はあるでしょう。
しかしそれはプラグインハイブリッドカーとして特別な部分の問題であることが多く、通常の車の構造部分などは一定の信頼度を持っているといえるでしょう。
そういった課題はあるものの、アウトランダーPHEVはその性能において唯一無二の魅力がある車なので、新車もしくは状態の良い中古車であれば十分買いといえるでしょう。