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2サイクル(ストローク)エンジンとは?仕組みは?かからない特徴あり?!

内燃機関のレシプロエンジンには2種類あり、4ストロークエンジンと2ストロークエンジンがあります。

現在は4ストロークエンジンが圧倒的にシェアが多く、2ストロークエンジンは珍しい形式となってしまいました。

今回はそのあたりの事情を含めて2ストロークエンジンについてご説明していきましょう。

2ストロークエンジン/2サイクルエンジンとは

2ストロークエンジン

2ストロークエンジンは別名2サイクルエンジンとも呼ばれており、エンジンの基本的な動きや機構を分類する言葉です。

内燃機関のレシプロエンジンは、シリンダー内部で爆発させた燃料のエネルギーをピストンで受け、その直線運動をクランクシャフトで回転運動に変えて出力を得るエンジンです。

2ストロークや4ストロークという呼び方は、このエンジンの一連の動作をいくつの行程で行っているかを表しており、2ストロークエンジンは2つの行程を基本単位とするエンジンということです。

エンジンの連続的な回転はこの行程の積み重ねであり、2ストロークか4ストロークかということはエンジンの性能、構造、特徴などを左右する重要な要素です。

ではまず2ストロークエンジンの基本的な動作をご説明しましょう。

2ストロークエンジンの行程

エンジンの一つ一つの動作を「行程」と呼んでおり、行程の数で2ストロークか4ストロークかが決まります。

一連の動作をサイクルと呼びますので、正式には「2ストローク1サイクルエンジン」と呼ぶのが正しいのですが、エンジンの動きという意味でサイクルと呼ぶこともあるので2サイクルエンジンと呼んでも通用します。

2ストロークエンジンは次の2つの行程で基本サイクルができており、下降行程と上昇行程と呼ばれています。

 2ストロークエンジンエンジンの機能
行程役割
①下降行程前半:上昇行程で取り込まれた混合気が爆発

後半:掃気、排気ガスを排出しながら新しい混合気を吸入する

燃焼
排気
吸気
②上昇行程前半:掃気しながらピストンが上昇

後半:混合気を圧縮する

排気
吸気
圧縮

内燃機関のエンジンに必要な機能は簡単にいえば4つあり、吸気、圧縮、燃焼(爆発)、排気です。

のちほどご説明するように4ストロークエンジンはこの動作がそれぞれ行程となっているのですが、2ストロークエンジンの場合4つの機能が2つの行程にまとめられています。

下降行程は燃料を爆発させて出力を得る行程ですが、爆発後ピストンが下降するあいだに「掃気」と呼ばれる動作が始まり、燃焼の終わった排気ガスを排出しながら、同時に新しい混合気を吸気します。

そしてピストンが一番下まで下がると今度は上昇行程が始まり、掃気を引き続き進めながらシリンダー内に吸気を多く取り込みます。

そして行程の後半でその吸気を圧縮し、ピストンが一番上昇した次点で混合気に点火し、爆発とともに次の下降行程に移るのです。

ポイント

この下降行程と上昇行程を繰り返すことでピストンが連続的に上下し、それをクランクシャフトにつなげてエンジンの出力軸が回転します。

つまり2ストロークエンジンの基本サイクル1回で、クランクシャフトも1回転するわけですね。

2ストロークエンジンの採用状況

2ストロークエンジンはのちほどご説明するように、軽量コンパクトで高出力なエンジンなのですが、排気ガス規制への対応が難しいという大きなデメリットがあって、現在はほとんど採用されなくなってきたエンジンです。

MEMO

以前はその特性から自動車でもバイクでも数多く採用されていたのですが、1970年頃から厳しくなった排気ガス規制の強化に押されるように、2ストロークエンジンは減少の一歩をたどりました。

1980年ごろには自動車のほとんどが4ストロークエンジンに置き換えられるようになっていき、日本で最後の2ストロークエンジン車が生産終了となったのは1984年頃になります。

バイクは排気ガス規制が自動車より緩かったこともあり、比較的長く採用が続きましたが、それも1999年に国内での2ストロークエンジンバイクが生産終了したことで、自動車、バイクとも完全に4ストロークエンジンに移行が完了しています。

しかしアジアを初めとした発展途上国では、まだ排気ガス規制がそこまで厳しくないので2ストロークエンジンのバイクは数多く走っており、日本メーカーもこのバイクを大量に生産しています。

ですが自動車は発展途上国でも2ストロークエンジンはなくなっています。

国内で現在2ストロークエンジンを使っているのは、草刈り機、芝刈り機、発電機、ポンプなどの小型機械類で、とくに手持ち系の機械に採用が多いです。

軽量小型な2ストロークエンジンのほうがこういった機械に向いているということもあり、また排気ガス規制がゆるいことから4ストロークエンジンへの置き換えは限定的です。

しかし小型機械で世界的に有名なホンダが2ストロークエンジンを4ストロークエンジンに置き換えを進めているので、減少傾向にあることは間違いありません。

2ストロークエンジンの振動と音

2ストロークエンジンは4ストロークエンジンとは違う独特な振動やエンジン音があり、かなり高いエンジン音が特徴です。

詳しくは4ストロークエンジンの記事でご説明していますが、エンジン音の特徴を生み出しているのは前述したサイクルが関係しています。

2ストロークエンジンがクランクシャフト一回点ごとに1度爆発を起こしているのと違い、4ストロークエンジンではその倍でクランクシャフト2回転ごとに1度爆発が起こります。

エンジンの振動と音はこの爆発がもととなっていますので、爆発回数の差はそのままエンジン音の周波数を決めており、爆発回数が多い2ストロークエンジンのほうが高い音となるわけです。

また同じエンジン回転数では2ストロークエンジンのほうが倍の振動を発していますので、一般的に振動も強くなります。

4ストロークエンジンと2ストロークエンジンの違い

2ストロークエンジンの採用が減り4ストロークエンジンに切り替わっていった背景には、その構造の違いによる特徴があり、2ストロークエンジン独特の構造は自動車やバイク用には向かない点が多かったのです。

2ストロークエンジンと4ストロークエンジンの違いについては、4ストロークエンジンの記事の方で詳しくご説明していますので、ここでは簡単にご説明することとします。

行程の違い

まずこの2つのエンジンの違いは行程にあり、2つの行程でサイクルが終わる2ストロークエンジンに対し、4ストロークエンジンは4つに別れています。

簡単に言えば2ストロークエンジンが1サイクル終わっても、4ストロークエンジンではまだ行程の半分しか進んでいません。

簡単に表にすると次のようになります。

2ストロークエンジン4ストロークエンジンピストン位置
行程
①下降行程①吸気下死点
②上昇行程②圧縮上死点
①下降行程③爆発(膨張)下死点
②上昇行程④排気上死点

この特徴から2ストロークエンジンは4ストロークエンジンの倍の回数爆発を起こすことができ、より出力が高いエンジンにできるのです。

エンジン構造の大きな違い

この行程の違いはエンジンの基本構造に反映されており、4ストロークエンジンの必要不可欠な部品が2ストロークエンジンでは不要だったりします。

それを簡単にまとめたのが次の表になります。

主要部品役割4ストローク
エンジン
2ストローク
エンジン
シリンダー円筒の筒でレシプロエンジンの基本構造
ピストン混合気の圧縮、及び燃焼エネルギーの伝達
コンロッドピストンとクランクシャフトの接続
クランクシャフトピストンの上下運動を回転運動に変える
吸排気バルブ吸気や排気行程では開いて気体をシリンダーに吸排気し、膨張、圧縮行程ではシリンダーを密閉する
オイルパンピストン潤滑、冷却、密閉用のエンジンオイルを保持する受け皿
オイルポンプ&
オイルジェット
エンジンオイルをピストンに噴射する機構。エンジン内の油圧も生み出す

2ストロークエンジンの構造的な特徴は2つあり、吸排気のバルブ系が存在しないことと、エンジンオイルの噴射装置がないことです。

このことから4ストロークエンジンに対して部品点数が少なくコンパクトに設計でき、またコスト面でもメリットがあります。

ではこれらの構造がない分、2ストロークエンジンがどういう構造を持っているかをご説明しましょう。

なおこれらの構造を理解するには動画で動きを見るのが一番ですので、まずは次の動画を参考にしてからご覧ください。


バルブは不要

4ストロークエンジンのバルブという部品は、吸気および排気行程で開くことでシリンダーに混合気を送り込んだり、排気を排出する部品です。

圧縮行程や爆発行程ではバルブは閉じており、シリンダー内の密閉を確保しています。

ポイント

ですが2ストロークエンジンにはバルブは必要なく、その代わりを果たしているのはピストン自体です。

シリンダーの横に吸気と排気のポートが空いているのですが、そこをピストンが通過することでシリンダーが密閉されたり吸気、および排気を行います。

2ストロークエンジンには上昇行程と下降行程しかありませんので、両方の行程で掃気を行う時のピストン位置が重要です。

下降行程の前半に燃料が爆発してピストンが下がりますが、その途中でまず排気ポートが開いて排気ガスを排出し、行程の後半で吸気ポートが開いて吸気を同時に行います。

上昇行程ではその逆であり、行程の前半で吸気ポートを閉じ、そのまま混合気を圧縮しながらピストンが上昇、その後排気ポートを閉じて行程が完了します。

こういった構造によって2ストロークエンジンは基本的にバルブが不要となり、エンジンがコンパクトで部品点数がかなり削減されます。

ですがのちほどご説明するデメリットのために、あえてバルブを設定する2ストロークエンジンもあります。

エンジンオイルは燃料と混ぜる

エンジンオイル

2ストロークエンジンは構造を簡略化させるためにシリンダーブロックの下側も吸気ポートとして活用しており、クランクシャフトが回転している部屋には空気と燃料を混ぜた混合気が入ります。

4ストロークエンジンの場合にはその部屋にエンジンオイルが溜まっており、ピストンとシリンダーの間の潤滑や冷却、密閉などを行うためにピストンの下側にエンジンオイルを吹き付ける機構を持ちます。

これによってシリンダーとピストンの間には常にエンジンオイルの膜が維持されており、エンジンの耐久性を確保するためには必要不可欠な要素です。

ですが2ストロークエンジンは吸気ポートの一部にしている関係で同様の構造は取れず、エンジンオイルを積極的にピストンに吹き付けることはしません。

その代わり燃料であるガソリンや軽油にエンジンオイルを混ぜており、それを混合気としてシリンダーに送ることでシリンダー内壁に付着させます。

その付着したエンジンオイルによって4ストロークエンジンと同じくピストン~シリンダー間の潤滑などを行っており、エンジンオイルがなければ正常に稼働しないのは4ストロークエンジンと同じです。

ですが燃料と一緒にシリンダーに送り込んでいる関係上、2ストロークエンジンはエンジンオイルも一緒に燃焼させてしまう特徴もあり、これもデメリットにつながる部分があります。

4ストロークエンジンも、ピストンとシリンダーの間からごく微小なオイルがシリンダーに入って燃えているのですが、2ストロークエンジンに比べると圧倒的に量が少ないです。

この特徴から2ストロークエンジンは燃料補給を何回か行うごとにエンジンオイルを継ぎ足す必要があって、4ストロークエンジンでは不要なメンテナンスがいるエンジンでもあります。

2サイクルエンジン/2ストロークエンジンの音

2ストロークエンジンは前述した特徴によって独特な音を持つエンジンでもあり、とくに爆発回数の差が4ストロークエンジンと大きく違うエンジン音を生み出しています。

今回はそのエンジン音の違いが分かる動画をご紹介します。


この動画にはNS-1というホンダのバイクが登場していますが、このバイクは50ccの2ストロークガソリンエンジンを搭載した車種として有名です。

ですがこの動画の前半に登場したバイクは、改造によって4ストロークエンジンに載せ替えを行ったバイクで、市販バイクではありません。

動画の前半が4ストロークエンジン、後半が2ストロークエンジンのノーマルバイクですが、そのエンジン音は大きく違っており、2ストロークエンジンは甲高いレーシーなサウンドであることがわかります。

4ストロークエンジンはそれと比べると低いエンジン音で、こちらのほうが聞き慣れているエンジン音でしょう。

2ストロークエンジンの自動車やバイクがほとんどなくなったのでこのエンジン音を聞く機会も少なくなりましたが、たまに街中で甲高い音のバイクを見かけたらそれは2ストロークエンジンの車種でしょう。

2サイクルエンジン/2ストロークエンジンのメリット・デメリット

2ストロークエンジンには独特な構造からくるメリットがいくつかありますが、その反面デメリットも多く、それが4ストロークエンジンに置き換えられてきた理由です。

そんな2ストロークエンジンのメリット、デメリットをご説明しましょう。

2ストロークエンジンのメリット

2ストロークエンジンのメリットはそのシンプルな構造と少ない行程によって生まれており、エンジンの走行性能という点では4ストロークエンジン以上のものがあります。

4ストロークエンジンよりパワーがある

まず2ストロークエンジン最大のメリットは出力の高さにあり、同排気量のエンジンでは2ストロークのほうが間違いなく出力が稼げます。

その理由は行程の少なさであり、4ストロークエンジンの2倍の爆発回数を持っていることにあります。

エンジンの爆発回数はそのままエンジン出力に直結しますので、クランクシャフト一回転あたり1度ずつ爆発する2ストロークエンジンは、2回転ごとに1度爆発する4ストロークエンジンの倍の出力が望めるのです。

ですが実際にはさまざまな抵抗やロスなどで2倍の出力とはならず、1.5倍程度の出力差となることがほとんどです。

しかし同じエンジンの排気量でより出力を出せるというメリットは、裏を返せば4ストロークエンジンより小さい排気量でも同じ出力をだせることであり、エンジンの小型化にも振り分けられるのです。

エンジン構造がシンプルでコストも低い

シリンダーブロック

2ストロークエンジンは出力は高くてもエンジンの構造自体は4ストロークエンジンよりシンプルで、コストも低く抑えられるというメリットを持ちます。

エンジンの構造の違いは前述でご説明したとおりですが、部品が少なくシンプルな構造の2ストロークエンジンは非常に小型で軽量なエンジンにできます。

とくに4ストロークエンジンで複雑になる吸排気バルブがないことが大きく、バルブ関連のスプリング、カムシャフトなど精度と強度が必要な部品が不要なことはエンジンの作りやすさも良くします。

また部品点数が少ないことでエンジンのコストは4ストロークエンジンより大幅に安くすることが可能で、バイク用のエンジンにもってこいの特徴とも言えます。

バルブがなく抵抗が少ない

2ストロークエンジンにバルブがないことは吸気と排気の抵抗を減らすことにも繋がっており、抵抗の少なさは出力を上げることに繋がっています。

4ストロークエンジンのバルブ機構は行程を完全に分けて密閉も確保できる良い構造なのですが、一方で空気の通路にフタをするようなものなのでバルブを開いてもそこには抵抗が生まれます。

吸気と排気の抵抗が高いと、その分混合気が効率的に入らなかったり、完全燃焼したガスが完全に排出できず、どちらもエンジンの出力が下がる原因です。

4ストロークエンジンではさまざまな方法でバルブの空気抵抗を下げる工夫をしているのですが、そもそもバルブがない2ストロークエンジンにはかないません。

一方で2ストロークエンジンの環境性能確保のためにバルブをもたせているエンジンもあり、そういったエンジンはバルブによる抵抗で出力を犠牲にしています。

2ストロークエンジンのデメリット

2ストロークエンジンは走行性能としてのエンジン性能は4ストロークエンジンより高いのですが、その他の性能で劣る点が多く、特に排気ガス規制については4ストロークエンジンのほうが圧倒的に対応範囲が広いのです。

排気ガス規制への対応が難しい

排気ガス

2ストロークエンジン最大の問題は排気ガス規制に対応が難しいことにあり、年々厳しくなる規制に対応できなくなったことから4ストロークエンジンへの置き換えが進みました。

エンジンの燃焼後の排気ガスにはさまざまな有害物質が含まれており、それを大気中に放出する量は排気ガス規制で厳密に規制されています。

有害物質を減らすための規制なので環境重視の昨今にあっては規制は厳しくなる一方であり、4ストロークエンジンであっても厳しい場面が多いのです。

その規制に対応すべく、4ストロークエンジンは燃焼状態の改善を行ったり、触媒などの後処理装置による無害化も重要となります。

さて2ストロークエンジンは4ストロークエンジンよりシンプルな行程となっており、とくに掃気の際には排気ガスを排出しながら吸気を取り込むという、同時進行的な行程があります。

効率的にも見えるこの行程ですが、実は排気ガスが排出される時に吸気の一部も一緒に排出されてしまう側面をもっており、2ストロークエンジンの排気ガスには未燃焼状態の燃料やエンジンオイルがそのまま含まれます。

その点4ストロークエンジンはバルブによって完全に吸気と排気が分断されますので、そういったデメリットはないわけです。

大気汚染物質は燃焼の終わったあとのガスにも含まれますが、それより未燃焼状態の燃料のほうが有害な物質が多いので、吸気がそのまま排出されるというのは規制に対して大きなデメリットとなります。

エンジンの排気ガス規制は4ストロークエンジンも2ストロークエンジンも同じ基準ですので、より有害な物質を排出する2ストロークエンジンが規制をクリアするのにはハードルが高いのです。

一応2ストロークエンジンでも触媒を使ったり、再燃焼装置を使ったりして改善は図られましたが、エンジンのもっとも基本的な構造の部分で4ストロークエンジンに遠く及びません。

MEMO

こういった理由から排気ガス規制に対応するために4ストロークエンジン化することが必須となった結果、自動車もバイクからも2ストロークエンジンはなくなりました。

2ストロークエンジンにバルブを取り付けたエンジンも開発されたものの、それでも掃気行程で吸気が排出されることは防ぎきれないので、普及しませんでした。

2ストロークエンジンを現代の排気ガス規制に対応させるためにはコストがあまりにもかかりすぎるため、今後も2ストロークエンジンが復活するのは難しいでしょう。

エンジンオイルの消費が多い

2ストロークエンジンが燃料にエンジンオイルを混ぜていることはご説明しましたが、当然ながらエンジンオイルの消費が激しくなるデメリットを抱えます。

4ストロークエンジンの場合、5,000km~10,000km走行ごとにエンジンオイルを交換すれば十分なので、せいぜい年に1回~2回程度のメンテナンスで十分です。

しかし2ストロークエンジンは燃料と一緒にエンジンオイルを燃やしてしまうので消費がおおく、激しいものでは3回燃料を入れるたびにエンジンオイルも追加しなければならないという、メンテナンスの大変さを持っています。

エンジンオイル自体の価格はそこまで高価ではありませんが、給油時に補給する関係上ドライバーが給油間隔を正確に把握して置かなければなりません。

また4ストロークエンジンではエンジンオイルの交換が少し遅くなってしまったとしても致命的な問題は起こりにくく、量がそこまで減らないのでオイル不足による潤滑不良などは考えにくいです。

注意

ですが2ストロークエンジンは量自体が少なくなりますので、交換を怠ってしまうと途端にシリンダーとピストン間の潤滑や冷却ができなくなることも問題です。

潤滑や冷却が満足にできなくなればそのエンジンは即座に焼き付きを起こして使用不能になってしまいますので、ドライバーのメンテナンスが何より重要なエンジンなのです。

エンジン音がうるさい

2ストロークエンジンの音は事前にお聞きいただいたかと思いますが、甲高くてレーシングカーのような音、といえば聞こえはいいものの、街中などではうるさくて耳障りな音でもあります。

2ストロークエンジンの音は好きな人にはたまらないものなのですが、一般的には高周波で気になる音が多いとも言えます。

4ストロークエンジンはそれより低いうなるような音なので2ストロークエンジンほどうるさくは感じません。

またそもそも街中で2ストロークエンジンと出会うことが少なくなったことで、急に甲高い音が聞こえることがよりうるささを助長させてもいるでしょう。

そういった傾向はとくに住宅街で顕著で、2ストロークエンジンのバイクに乗っている人の中には住宅街でエンジンをかけないという人もいるぐらいです。

またそういったバイクに乗っている人にとっても、長時間乗り続けていると知らないうちに疲労の原因にもなっています。

燃費が4ストロークエンジンより悪い

2ストロークエンジンは4ストロークエンジンよりパワーが得られる反面、燃費はどうしても悪化傾向にあります。

2ストロークエンジンが4ストロークエンジンの倍の爆発回数を持っていることはご説明しましたが、それはつまり燃料消費量も2倍ということです。

クランクシャフトの回転数が同じであっても2ストロークエンジンのほうが燃料を使いますので、特に低回転域での燃費の悪さが際立ちます。

回転数を上げればその出力の高さで効率も上がるのですが、一般道のほとんどは低速走行が基本ですので、2ストロークエンジンはどうしても燃費が悪くなります。

また次にご説明するパワーバンドの問題でも燃費は悪化傾向にあり、どうしても4ストロークエンジンには及ばないのです。

エンジンのパワーバンドが狭い

2ストロークエンジン特有の問題として、安定したパワーが出せる「パワーバンド」が狭いというデメリットがあり、そのパワーバンドは高回転域にあるのでどうしてもエンジン回転数が上がり気味になります。

パワーバンドとはエンジンの回転数の範囲のことで、ある一定の回転数に達すると効率良い運転ができる領域です。

4ストロークエンジンはパワーバンドが広いことが特徴で、低回転から高回転まで安定した走行が可能です。

MEMO

ですが2ストロークエンジンのパワーバンドは高回転側の狭い範囲にしかなく、必然その回転数にエンジンを吹かし気味となりますので、エンジンの回転数が高いままとなります。

そうなると燃料消費量も多くなり、燃費をさらに悪化させる原因となるのです。

2ストロークエンジンのパワーバンドが狭い原因には圧縮行程の不完全さがあり、上昇行程で掃気しながら吸気の圧縮を行う関係上、シリンダーのストローク全部で圧縮できているわけではありません。

ですので特に低回転域ではこの傾向が強くなり、圧縮が悪い分エンジンの効率もあがらないのです。

高回転域ではその問題もある程度解消されるのでパワーバンドに乗ってくるのですが、その回転数の範囲が狭く扱いづらいエンジンといえるのです。

この特性があるので2ストロークエンジンのバイクは低速域ではなかなか加速がよくならず、アクセルを開けていくとある回転数で急にパワーバンドに乗って加速が強烈になります。

これをスポーティと見るか扱いづらいと見るかは乗りて次第ですが、一般的にはやはりピーキーで扱いづらいエンジンといえるでしょう。

2サイクルエンジン/2ストロークエンジンがかかりにくい?

メンテンナンス

現在2ストロークエンジンの自動車やバイクは非常に少なくなってはいるものの、まだ中古車や中古バイクとしてはかなりの台数が残っています。

ですがこういった2ストロークエンジンを搭載した中古車はエンジンがかかりにくいことがよくあり、故障しているのではと思う人も多いでしょう。

ですがほとんどの場合はエンジンのメンテナンス不足や部品の不良がほとんどで、しっかりメンテナンスすれば直る場合が多いです。

現在のほとんどの4ストロークエンジンは燃料噴射や点火が電子制御化されており、エンジンがかかりにくいという自体は少なくなってきています。

注意

しかし現在残っている2ストロークエンジンは基本設計が古く、燃料噴射にキャブレター、点火にはCDIを使っているものが多いので、機械的なメンテナンスを適切に行わないとエンジンはかかりません。

多くの場合には燃料が濃すぎて失火していたり、スパークプラグがカブって火花が飛ばなくなっていたりすることが原因ですので、まずはしっかりメンテナンスを行うことが重要なのです。

さらに燃料系に機械的なキャブレターを使っているため、エンジンをかけない期間が長くなっていると燃料がなかなかエンジンに送られず始動不良となる場合もあります。

何度か始動することで直ることもありますが、できれば2ストロークエンジンは頻繁に始動させるようにしたほうがよいのです。

しかし他の原因としてはエンジンが焼き付いている可能性があり、この場合にはどんなメンテナンスをやってもエンジンがかかる可能性はないといえます。

2ストロークエンジンは前述したとおりエンジンオイル切れによる焼き付きがの可能性が高いエンジンなので、昔の使用者が適切にエンジンオイルを補給していなかった場合などに問題が起こっている可能性が考えられます。

エンジンを分解してみれば原因は見えてくるかと思いますが、一度焼き付いたエンジンは修理では直せませんので、その場合にはほかのエンジンを準備する必要が出てくるでしょう。

2サイクルエンジン/2ストロークエンジンの評価・乗り心地

2ストロークエンジンの車やバイクはいまやなかなか乗る機会の少ないものですが、Twitterにはいまでも2ストロークエンジン車に乗っている人は数多くおられ、その評価を聞くことができます。

そんな中からいくつかご紹介しましょう。

懐かしの2ストロークエンジン

前述したように現在は2ストロークエンジンの車やバイクは生産されておらず乗ることは難しくなっていますが、その加速の鋭さについては懐かしがる方も結構いらっしゃいます。

なおツイートにある白煙も2ストロークエンジンの特徴の一つで、エンジンがまだ冷たいときに始動すると、エンジンオイルが燃えて白い煙となるのです。

そのため2ストロークバイクの後ろを走ると白煙が邪魔だったり、燃え残ったオイルがフロントガラスにかかったりと、あまりうれしいことはありません。

パワフルだけどデリケート

2ストロークエンジンはそのパワフルさから激しく走りたくなるのですが、あまりぶん回しすぎるとエンジンオイルの潤滑が不十分になって焼き付く可能性も高まります。

ですので2ストロークエンジンを長持ちさせたいなら、あまり激しい使い方は控えたほうが良いでしょう。

2ストロークはとにかくうるさい

現在は2ストロークエンジンは小型機械に使われるのですが、その稼働音は結構うるさくて近くで使われると耳障りな音になります。

この方の近くではエンジン式のチェーンソーをよく使われるようで、そのエンジン音はかなり気になるもののようですね。

2サイクルエンジン/2ストロークエンジン搭載車

2ストロークエンジン搭載の自動車やバイクは中古車市場でも珍しい存在となりましたが、それでも昔の名車がいくつも2ストロークエンジンを搭載しています。

2ストロークエンジンは海外では普通車にも採用されていましたが、日本ではもっぱら軽自動車用のエンジンとして活躍しました。

排気量の制限がある軽自動車では、軽量小型でパワーのある2ストロークエンジンはぴったりだったのです。

今回はそんな自動車で2ストロークエンジンを搭載した名車たちを何台かご紹介します。

スバル 360

 

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まず最初は日本の軽自動車の中で最も有名と言っても良い一台、てんとう虫の愛称でも親しまれた「スバル 360」をご紹介します。

1950年代の日本の軽自動車というのは完成度が低く、2人乗りの小型自動車がやっとという状況でした。

MEMO

そこに一石を投じたのがスバル 360で、大人4人がしっかり乗れて、さらに走行性能も最高時速80km/hを発揮するなど非常に革新的な軽自動車として登場しました。

ボディは丸みを帯びた可愛らしいものでありながら、初めてファミリーカーとして使える軽自動車となったため、その人気は高く日本の国民車として愛された車です。

スバル 360には当時の排気量規制上限の360cc 2ストロークエンジンが搭載されており、次のようなスペックを持つ車です。

スペックスバル 360
エンジン形式360cc 強制空冷2ストローク直列2気筒自然吸気
最高出力16ps/4,500rpm
最大トルク3.0kg・m/3,000rpm
駆動形式RR

360cc といえば今ではバイクの中型バイクのエンジンぐらいですが、当時はこれが軽自動車規格だったのです。

16馬力という最高出力はいまでは自動車ではありえないほど低いものですが、じつはスバル 360は車両重量が385kgしかない超軽量車ですので、このスペックでも十分な走行性能を確保しています。

この軽量化のために360はさまざまな設計を織り込んでおり、ボディの外板の薄板化を始めとして車内の簡素化、RRレイアウト採用による部品点数削減など、ありとあらゆる努力が軽量化に向けられました。

2ストロークエンジンもそれに一役買っているのは間違いなく、小型軽量でハイパワーという特徴を最大限活かした結果と言えるでしょう。

スバル 360は1970年まで生産されましたが、今でも中古車市場では人気が高い車で、日本のクラシックカーの代名詞です。

スズキ ジムニー

 

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2ストロークエンジンの自動車として今でもよく見かけるのがスズキ ジムニーで、初代ジムニーおよび2代目ジムニーの前期まで2ストロークエンジンが採用されていました。

ジムニーは軽自動車としては珍しい、本格的なクロスカントリー性能を備えた4輪駆動車で、岩山や森林、河原などを走行することのできるオフロード車です。

そのため軽自動車ではありますがエンジンパワー、とくにトルクが普通の軽自動車より必要であり、2ストロークエンジンはジムニーには合っていたエンジンです。

スペック初代ジムニー2代目ジムニー(前期)2代目ジムニー(後期)
エンジン形式LJ50型 539cc
水冷2サイクル直列3気筒
LJ50型 539cc
水冷2サイクル直列3気筒
F5A型 543cc
水冷4サイクル直列3気筒 ターボ
最高出力26PS/4,500rpm28PS/4,500rpm42PS/6,000rpm
最大トルク5.3kg・m/3,000rpm5.4kg・m/2,500rpm5.9kg・m/4,000rpm
駆動形式4WD4WD4WD

ジムニーの初代と2代目のエンジンは同じLJ50型エンジンで排気量も同じですが、出力とトルクは2代目で向上しており、何より最大トルクが2,500rpmという低回転で発揮されるのがジムニーとして大きなメリットとなっています。

ですが1984年のマイナーチェンジで2代目ジムニーは後期型へと変わり、排気ガス規制の対応のために4ストロークエンジンに変更されました。

ターボ化もあって最高出力は大きく向上、最大トルクも向上しているのですが、最大トルクは4,000rpmで発生するという点がジムニーにとってはあまりうれしくない点でもあります。

また2ストロークエンジンのジムニーは運転特性がピーキーであったことから、オフロード好きの人でないと扱いづらい車でもあったようなので、4ストロークエンジン化は一般車としての魅力をアップさせたことは間違いありません。

ですが2ストロークエンジンの魅力はいまでも根強いものがあり、古いジムニーは最新型のジムニーと同じぐらい人気があります。

スズキ フロンテクーペ

 

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ジムニーと同時期にスズキから発売されていたのが、スポーティなデザインが特徴の軽自動車のフロンテクーペです。

MEMO

フロンテクーペに先立つ1967年にホンダからN360という高出力エンジンを搭載した軽自動車が登場し、これを皮切りとして軽自動車のパワー競争がスタートしました。

その競争に対抗するために生まれた車がスズキ フロンテクーペで、乗用バン風のN360とは打って変わって2ドアのスポーティクーペとして登場しました。

デザインの原案は数々のスポーツカーをデザインしたイタリアのジウジアーロであり、それまでの軽自動車とは一線を画したカッコいい車でした。

N360は4ストロークエンジンを搭載していましたが、フロンテクーペはパワー競争に打ち勝つために2ストロークエンジンを採用しており、当時はエンジン型式としてもいくつもの選択肢があったわけです。

スペックスズキ フロンテクーペホンダ N360
エンジン形式LC10W型 0.356L 2ストローク 直列3気筒 3キャブレターN360E型 354cc 強制空冷4ストローク2気筒SOHC
最高出力37ps/6,500rpm31PS/8,500rpm
最大トルク4.2kgm/4,500rpm3.0kgf·m/5,500rpm
駆動形式RRFF

2ストロークエンジンの採用によって、N360と比較しても出力、トルクともフロンテクーペが上回っており、非常に高性能な軽自動車に仕上がっています。

排気量はどちらも当時の上限である360ccにもかかわらず、37馬力という出力はいまでもかなり高出力なエンジンといえるでしょう。

それを可能としているのは各気筒ごとに設置されたキャブレター(燃料気化器)で、各気筒に適切な燃料を効率よく安定して送り出せることが関係しています。

このタイプのエンジンは当時のスポーツカーの目玉装備であり、軽自動車でこれが乗っているというのは性能面でもまたセールス面でもかなり大きなアピールポイントです。この特徴からフロンテクーペはレース用のベース車両としても活躍しました。

いまでも軽自動車のスポーツカーというのは一定の人気があるカテゴリーですが、その先駆けとなったのがフロンテクーペなのです。

2サイクルエンジン/2ストロークエンジンの今後

2ストロークエンジンは走行性能面では4ストロークエンジンより優れていることは疑いようもありませんが、排気ガス規制という大きな壁をクリアすることが難しく、国内では自動車、バイクともなくなってしまいました。

排気ガス規制をクリアする技術革新というのは年々高度化しており、4ストロークエンジンでもさまざまな技術を持ってクリアしている状況です。

その状況にあってもとより対応が難しい2ストロークエンジンを採用するメリットはそこまで多くなく、もとは軽量コンパクトなエンジンであっても排気ガス規制対策部品を組み込むと肥大化してしまうようではあまり意味はないのです。

ですので今後も2ストロークエンジン車の新車が国内で登場する見込みは、残念ながら非常に少ないと思ったほうが良いでしょう。

ですが世界に目を向けてみると環境対応した2ストロークエンジンを開発しているメーカーはまだあり、最後に最新型の2ストロークエンジン搭載バイクをご紹介することにしましょう。

最新型2ストバイク KTM 250 EXC TPI

KTM 250 EXC TPI

オーストリアのバイクメーカーKTMが発表したオフロードモデルのバイクが250 EXCで、もともと2ストロークエンジンのモデルでしたが、最新型では公道走行も可能な最新型エンジンになると発表がありました。

MEMO

2ストロークエンジンは公道走行車としては排気ガス規制で対応が難しいものの、オフロード専用車、競技用車としては変わらず人気があり、その中の一台がこの250 EXCでした。

一応公道走行も可能なモデルとはいえ、日本などでは規制がクリアできず走行できなかったのです。

ですがこの度発表された最新型エンジンにはTPI(Transfer Port Injection)と呼ばれる電子制御燃料噴射装置が設定され、これにより最適な量の燃料を常にコントロールすることができたことが、環境性能の向上につながっているようです。

欧州の排気ガス規制EURO4をクリアできるとされており、これまでの2ストロークエンジンとは一線を画す排気ガス性能を持ったエンジンと言えるでしょう。

TPIの採用によって燃費の改善、低速トルクの増加なども見られ、他の性能も改善されています。

ポイント

また2ストロークエンジン特有の燃料とエンジンオイルの混合は必要なく、あらかじめエンジンオイルを空気の中に噴射しておいて、あとから燃料を噴射することで、エンジン内部で混合する形式になりました。

これによりオイル消費量の減少、環境性能改善、オーナーの手間の減少などのメリットも生まれており、確実にデメリットを改善しています。

国内での発売は未定ですが、2ストロークエンジン特有のパワフルな走りを持つバイクなのでぜひ登場してほしいものです。

参考 KTM 250EXC TPI:不可能とされていた2ストロークエンジンのFI化をたった3kgの重量増で実現タンデムスタイル