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OHVエンジンとは?仕組み/構造は?メリット3つデメリット2つ!

自動車の動弁系と呼ばれる構造にはこれまでさまざまな種類のものが登場していますが、その一つにOHVという形式があります。

現在は結構珍しい形式なのですが、昔はかなり普及していた形式でもあります。

今回はそんなOHVについてご説明します。

OHVエンジンとは

コルベットC7 エンジン

OHVは正式名称をオーバーヘッドバルブ(OverHead Vale)といい、エンジンのバルブがシリンダーより上側に配置されているエンジンのことを指します。

動弁系とは、シリンダーに吸気や排気を行うポートを密閉するバルブを開閉する機構のことで、エンジンの適切なタイミングでバルブを開いて吸気と排気を行い、それ以外ではシリンダーの密閉を確保する役割を持ちます。

エンジンの回転と同期しながら機械的にバルブ開閉をコントロールしており、エンジンの回転数が高くなればそれだけ動弁系の動きも激しくなります。

現在この動弁系で主流なのはSOHCやDOHCといった機構で、OHVは1世代前に主流だった形式なのですが、バルブ配置という点では画期的な構造でもあるのです。

まずはそんなOHVの構造と、生まれた経緯をご説明しましょう。

OHVの構造

OHVはその名称の通りバルブがシリンダーの上部に配置されており、一般的には吸気バルブと排気バルブの2種類があります。

そのバルブは上下移動することで吸気や排気ポートを開け閉めするのですが、そのタイミングをコントロールしているのはカムシャフトと呼ばれる部品です。

カムシャフトは楕円のカムを何個も連結したシャフトで、回転するごとにカムでバルブの上下を作動させており、そのカムシャフトはクランクシャフトとギアなどで連結されて、同期して回転します。

カムシャフトはエンジンの低い位置に配置されており、その動きをシリンダー上のバルブに伝達するために「プッシュロッド」という突き上げ棒と、「ロッカーアーム」というシーソーのような部品で突き上げる動きをバルブを押し下げる動きに変換します。

押し下げられたバルブはカムの動きに合わせてまた戻るのですが、その戻る力は「バルブスプリング」というスプリングの反力を使います。

これら一連の部品の動きが連動することで、正常な動弁系のシステムを成立させているのです。

なお次の動画でOHVの動きが説明されているので、こちらもぜひ参考にしてください。


OHVの生まれた理由

OHVのようなエンジン上部にバルブを持つ構造は、いまでは一般的になりすぎて当たり前になってしまっていますが、OHVが登場する以前にはSV(Side Valve)という構造しかなく、エンジンの高出力化の妨げとなっていました。

OHVの登場エンジンの歴史の中では画期的であり、それ以降SV形式をほとんど駆逐してしまったほどです。

まずSV式の構造とOHVの違いをご説明します。

SV式の欠点

SV式は内燃機関のエンジンが開発された初期から使われている形式で、シリンダーの横にバルブが配置されているのが特徴です。

上からエンジンを見ると、シリンダーと横並びで2つのバルブが配置されるため、「サイドバルブ」と呼ばれます。

この形式はバルブの作動方法はOHVと一部同じで、OHVのプッシュロッドでバルブを直接押すような形になっています。そのためバルブは下から上に開くようになり、OHVとは全く逆です。

SVは構造が単純で製作上のメリットもあるのですが、そのバルブ配置からシリンダー上部の燃焼室が横に広くならざるを得ません。

シリンダーの径に加えてバルブ分の横広さが増えてしまうわけですが、そもそも燃焼室の効率の良い形状は半円形のものであり、SVは非常に効率の悪い形状です。

また吸気と排気が上下しながら流れるため流れも悪く、さらに燃焼も安定しません。

これらのデメリットによってSV式ではエンジンの圧縮比を上げることが出来ず、また燃焼効率も悪いため、エンジンの出力や最高回転数を上げることができませんでした。

それでもSV全盛期の1900年代前半ではエンジン製造技術の未熟さもあり、構造のシンプルなSV式でなければ信頼性や耐久性のあるエンジンが作れなかったのです。

しかしエンジン製造技術の高まりとともにOHVが実用化されると、またたく間にSVから置き換えが進み、一気に現代のエンジンに近づいたのです。

OHVの繁栄と衰退

OHVが本格的に採用され始めたのは1920年ごろのことで、当時はまだSVとOHVが混在していました。

吸気か排気のどちらかだけOHV化したエンジンもあり、まだまだ試行錯誤が続いていた頃です。

ですが1930年頃になると主要な自動車はOHVへと移行し、それ以降自動車用エンジンの動弁機構はOHVが主流になります。

第二次世界大戦ではおもに軍用車を中心に耐久性の高さからSVが復活したこともありましたが、戦後は一部のエンジンを除いてほぼOHVとなっています。

ですがその後1960年頃からOHVを進化させたOHCがエンジンの主流となり、さらにそれを一歩進めたDOHCも表れました。

OHCのほうがOHVよりエンジンの高性能化に有利であったため、OHVはOHCへの置き換えが急速に進み、国内や欧州などではOHVはほぼなくなっています。

しかし米国市場においては以前OHVは一定の需要があり、それはOHVが持つメリットによるものです。

OHCとの違い

OHCはオーバーヘッドカムシャフト(OverHead Camshaft)といい、OHVでエンジンの下側にあったカムシャフトをシリンダーの上側に配置したものです。

そのためOHVのプッシュロッドを廃止することが可能で、重たい部品がなくなったことでエンジンの高回転化に寄与します。

MEMO

その分OHCは構造が複雑になり、登場した当時はOHVより信頼性が低かったのですが、技術の進歩によってOHCの耐久性が上がるとOHVは急速に置き換えが進みました。

またさらなる高回転化が可能なDOHC(Double OverHead Camshaft)が実用化されたことでますますOHVはなくなり、1980年代には国内メーカーからOHCはなくなりました。

欧州でも本命はOHCとなりOHVはほとんど無くなっていますが、米国においては主要メーカーであるビッグ3(GM、フォード、クライスラー)のスポーツカーを中心としてOHVは今でも最新エンジンに採用されています。

これはOHVがOHCより構造が単純で信頼性が高いことに加え、シリンダーヘッド内にカムシャフトを持たないことでエンジン上部をコンパクトにしてエンジンの重心が低くできるのもメリットとなります。

そのメリットはスポーツカーにおいて走行性能を高めることに寄与します。またこれらのエンジンは総じて排気量が大きく、4.0L~6.0Lもの大型エンジンです。

これほど排気量が大きいとエンジンの回転数を高くしなくても出力を出せるので、OHCのメリットである高回転化が必ずしも必要ではなくなるのです。

ですが近年は排気量を小さくして燃費を改善する方向性も出てきており、それまでOHVだったエンジンのOHC化も進んでいます。

OHVエンジンのメリット・デメリット

メリット、デメリット

OHVはSVやOHCと比べてメリットデメリットがありますが、OHCとの比較は別の記事で詳しくご説明しています。

ここでは主にSVに対してのメリット、デメリットをご説明していきます。

OHVのメリット

OHVのメリットはエンジンの効率に関するもので、このメリットがあるからこそOHVは主流となりました。

燃焼室形状の自由度の高さ

まず前述したとおりOHVはSVよりも構造的に燃焼室の形状を効率的なものにできるのが、最大のメリットでしょう。

燃焼室の形状は燃料の効率的な燃焼や吸気排気の最適化などさまざまな面で影響を与えるものですが、SVのような異形の燃焼室では効率的な形状は実現できません。

OHVにすることで燃焼室形状は半球状にすることが可能となり、安定した燃焼ができることで高回転までスムーズに回るエンジンが実現するのです。

SVからOHV化の過渡期にあったSVとOHVの混合エンジンはこういったメリットを少しでも取り入れつつSVの特徴も残すために生まれましたが、完全なOHVが可能であればそれに越したことはないのです。

エンジン回転数を高く出来、出力、トルクを高められる

エンジンの回転数を高くすることができれば、その分エンジンの出力やトルクを高めることができ、エンジンスペックを高めることができます。

SVのエンジンは異常燃焼などの問題があってあまり回転数を高めることができず、自動車用としては4,000rpm程度が限界でした。

現在のOHCのエンジンなどは5,000rpm~6,000rpmも当たり前で、OHVであっても5,000rpmは十分に対応できます。

その分エンジンは最高出力を高められるので、車の競争力を高めるためにはSVではだめなのです。

OHVにしてがその競争力の面でOHCに取って代わられていますので、SVが残る道は殆どないのです。

熱損失を最小限に減らせる

SVは燃焼室が横に広く表面積も広いため、そこからの熱損失がかなり大きなエンジンです。

OHV化によって表面積を最小化できる半球状にすることが出来、熱による損失はかなり減少しました。

エンジンは稼働中は常に発熱していますが、その熱というのは燃料を燃やしたエネルギーの一部が熱として捨てられているということでもあります。

燃料のエネルギーを効率的に使用することで出力や燃費は良くなるのですが、SVはその点においても不利で、あまりの熱損失の高さに失火やバックファイヤーが起こるほどです。

ですがOHVならば熱による損失を最小限にすることが出来、これもエンジンスペックの向上に寄与しています。

このメリットはそのままOHCに引き継がれており、基本的な構造は変わっていません。

OHVのデメリット

OHVがSVに対して劣る面は構造の複雑さによるもので、このデメリットのために第二次世界大戦でSVが一時期復活したのです。

SVより構造が複雑

OHVはカムシャフトからプッシュロッド→スイングアーム→バルブと動きを伝達していますが、SV式であればカムシャフト→プッシュロッド→バルブと単純な構造にできますので、その分エンジンの耐久性を高めることが出来ます。

単純な構造というのは性能面でデメリットがあったとしても耐久性の面では大きくメリットが生まれるものです。

少ない部品点数、簡単な構造は部品の故障を少なくし、また長時間の使用に耐えられる頑丈さを与えるのも楽です。

構造が複雑化するほどそれらの確保は技術的に高度なものとなっていきますので、SVのメリットはまさにそこにあるといえます。

第二次世界大戦でSVが復活したのも軍用車という耐久性こそ重要な車種であったからで、また戦時中でできるだけ簡単に量産する必要もあったことからOHVを見送ったわけです。

現在ではOHVまたOHCも十分な耐久性を持つに至っているのでわざわざSV化する必要もないのですが、自動車以外の小型機械用エンジンではSVエンジンもまだ残っています。

シリンダーヘッドが大型化する

シリンダーヘッド

もうひとつOHVがSVより大型化するのがシリンダーヘッド部で、SVでは点火装置ぐらいしか置くものがないシリンダーヘッドに、OHVではバルブやスイングアームが入る分大型化してしまいます。

OHVとOHCの違いでもご説明したとおりシリンダーヘッドの大型化はエンジンの重心を上げるため、車の運転性に悪影響を与えます。

その点に置いてはSVのほうがエンジンを低くできるというメリットがありますが、このデメリットは他の部分でリカバリーできるものでもありますのでOHVが決定的に劣るということにはなりません。

またこのデメリットはシリンダーヘッドを外しにくいという点もあり、SVのほうがシリンダーヘッド周りは分解しやすいという面もあります。

OHVエンジンの評価・口コミ

OHVエンジンは今は珍しいエンジンとなっているので国内での評価などはあまり多くありませんが、Twitterではいくつかの投稿があります。

今回はその中からいくつかご紹介します。

アメ車のOHVは熟成されている

OHVはOHCに大半が置き換えられた歴史から古臭い構造と思われがちですが、長年OHVを使い続けてきた米国メーカーはOHVであっても決して見劣りしないエンジンを作り上げています。

日本や欧州ではすっかりそういった技術はなくなってしまいましたが、改良を続けてきた米国メーカーだからこそ、現代でも生き残っているのです。

OHVこそ王道

OHVはアメリカでは未だに魅力のあるエンジンとして認識されており、スポーツカーの他にも大型SUVなどに採用される上級エンジンに使われたりしています。

こういった大型車でも近年は小型ターボエンジンで十分なパワーが得られるようになってきましたが、大排気量でOHV独特の音を持つエンジンには代えがたいものがあるようです。

OHVの真の実力

アメリカではOHVエンジンは乗用車以外にもレーシングカーにも使われており、アメリカで大人気のNASCARレースではOHV以外は使えないレギュレーションです。

OHVは高回転が苦手なエンジンなのですが、そのNASCAR用エンジンは10,000rpm以上の高回転に対応できるエンジンになっており、最高速はOHCやDOHCのエンジンに決して引けを取らないものにまで進化しています。

これもOHVという形式をとことんまで突き詰めたアメリカであるからこそ成り立っているエンジンです。

OHVエンジン搭載車

OHVは現在は国産車にはなくなりましたが、今回は昔のいくつかの車種と、オートバイのベストセラーであるホンダ スーパーカブについてご説明します。

国産車最後のOHV:スバル レオーネ

 

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国産車の殆どは直列エンジンやV型エンジンを使っておりOHVからOHC化にはそれほど大きな問題はなかったのですが、ただ一社スバルだけは状況が違いました。

スバルは水平対向エンジンという珍しいエンジンを主要ユニットに据えているメーカーで、このエンジンは横に長いのが特徴だったため、OHC化をすると車の横幅に収めにくいというデメリットを持っていたのです。

そのため国産車としてはかなり最後までOHVを使い続けており、1984年のスバル レオーネまでOHVの水平対向エンジンが生産されていました。

1984年のフルモデルチェンジでスバルもようやくOHC化を果たし、これ以降国産車はOHVがなくなります。

スペック2代目レオーネ3代目レオーネ
エンジン型式EA81型 1.8L水平対向4気筒OHV ターボEA82型 1.8 L水平対向4気筒ターボ
最高出力120PS/5,200rpm135 PS/5,600rpm
最大トルク19.0kgf・m/2,400rpm20.0 kgf·m/2,800rpm

2代目レオーネは登場時はスペックの高さとスタイリングのよさ、そして4WDシステムの採用と非常に革新的な車だったのですが、その後は他社が進めるパワー競争の波に乗り遅れてしまい、商品性がどんどん落ちていきました。

それを対策するために水平対向エンジンをOHC化したEA82エンジンが開発され、排気量は変わらないまでも高回転化によって最高出力とトルクが増しています。

これによってスバルもようやくOHC化を果たし、パワー競争に参入できるようになったのです。

ホンダ スーパーカブのOHC化

ホンダ スーパーカブ

世界で最も有名なバイクと言っても過言ではない「ホンダ スーパーカブ」ですが、登場当時はOHVエンジンを搭載しており、その後OHC化されました。

スーパーカブは1958年から生産が開始され、現在まで改良を続けながら存続しているモデルですが、登場時のエンジンはOHVでした。

カブにはいくつかの排気量がありますが、まず50ccモデルが1964年にOHC化され、その後排気量順に順次OHCに変わりました。

スペックスーパーカブ50 1958年~1964年スーパーカブ50 1964年~スーパーカブ50 2018年モデル
エンジン型式49cc 空冷4ストローク単気筒OHV2バルブ49cc 空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ49cc 空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
最高出力4.5PS/9,500rpm4.8PS/10,000rpm4.5PS/7,000rpm
最大トルク0.33kgf・m/8,000rpm0.37kgf・m/8,200rpm0.52kgf・m/4,500rpm

スーパーカブの最も基本モデルである50ccモデルは、当初9,500rpmで4.5馬力を発生させるエンジンでした。

ポイント

それをOHC化することで最高回転数は10,000rpmまで向上し、最高出力も4.8馬力まで向上しています。それに伴いトルクもあがり、全域で性能が向上したことがわかるでしょう。

ですが、2018年現在最新のスーパーカブ50では同じく49ccのOHCエンジンながら、最高回転数は控えめで出力も下がっています。

ですがトルクは大幅に向上しており、最高速度よりも日常的に使いやすいトルクフルなエンジンになっています。

これは燃料噴射系が電子制御化されたことであまり回転数を上げなくても出力が出せるようになったためで、ほかにも排気ガス規制の対応などで出力が削られています。

スーパーカブのような小型でコスト重視のバイクではOHVも悪くはないのですが、OHCによる性能向上のほうが商品性を高める上で重要だったのです。

シボレー コルベットC7

シボレー コルベットC7

さて最後に現在最高のOHVエンジン搭載車である、アメリカ車のシボレーコルベットをご紹介しましょう。

コルベットは1954年から続く非常に歴史の長い車であり、現行車で7代目となります。

この車種は伝統的にOHVエンジンとリーフスプリングという一見古い構造を使っている車なのですが、その洗練度はふるさなど感じさせることはなく1級品のスポーツカーに仕上がっています。

スペックコルベット C7型 Z512
エンジン型式LT1型 6.2L V型8気筒 OHV
最高出力466ps(343kW)/6,000rpm
最大トルク64.2kgf・m(630N・m)/4,600rpm

コルベットのエンジンは6.2Lという日本車では考えられないほど大きな排気量を持ち、OHVながら最高出力は466馬力に達するハイパワーな車です。

ポイント

最高回転数は6,000rpmと決して高くないものの、その有り余る大排気量によって生み出されています。

またトルクも量産車としては破格の64.2kgfで、自然吸気エンジンでありながらその凄まじい加速はアメ車特有のものです。

日本ではなかなかお目にかかれないコルベットですが、OHVでもこれほどの性能を出せるということをまざまざと見せつけてくれます。

なお次期型ではコルベットもついにDOHC化されるようで、アメ車といえどもOHVは少なくなりつつあるようです。

OHVエンジンの今後

OHVエンジンは一時期エンジンのトレンドであったことは確かですが、現在はOHCもしくはDOHCの性能や耐久性が向上したことでOHVの出番はほぼなくなっており、今後増えていくことはありえないでしょう。

唯一OHVを使い続けてきた米国メーカーにしてもがDOHC化を少しづつ進めていますので、今後さらにOHVは減っていくものと思われます。