三菱パジェロミニは三菱を代表するSUVのパジェロをスケールダウンした軽自動車で、パジェロの力強さを残しながら価格はリーズナブルと人気を博したモデルです。
パジェロミニはいまでも人気があるのですが、いかんせん少し古い車となってきましたので故障が気になる車でもあります。
今回はそんなパジェロミニの故障率をご説明しましょう。
パジェロミニの故障率
パジェロミニはその名前の通りパジェロを小さくしたようなデザインをしている軽自動車です。
パジェロほどのクロスカントリー性能はないものの、軽量で使い勝手のよい軽自動車であり小型なので女性にも運転しやすいということで、独自の人気を獲得してきた車です。
ライバルには同じく軽自動車のスズキ ジムニーがいますが、ジムニーは本格的なクロカン性能を追求した結果乗用車としての快適性が犠牲になっています。(詳細は以下の記事をご参照ください。)
ジムニーを欲しい人が知るべき6つの欠点!買う前に必ず見てください!パジェロミニではより快適性の高い普段使いの車というアドバンテージがあり、一時期の販売台数はパジェロミニのほうが多かったりします。
そんなパジェロミニは1994年の登場後4年で降るモデルチェンジを迎えて2代目となりますが、その後は三菱自動車の経営が芳しくなかったこともありモデルチェンジは行われず、2012年に生産終了となりました。
現在ではパジェロミニは中古車市場にのみ流通していますが、初代が4年と短かったのにに対し2代目の時期が14年と非常に長かったため、残存しているパジェロミニはほとんど2代目となるでしょう。
オンリーワンな魅力を持つ車ですので今でも中古車市場で人気が高い車ですが、いかんせん古くなってきているので故障が心配な車でもあります。
そこでパジェロミニの故障率をできるだけ当時のデータを参考にしつつ見てみることにしましょう。
三菱の初期品質調査
車の車種ごとの故障率というのはメーカーが独自に調べて開発に活かしているのですが、このデータは非常に重要な機密情報となっているため一般には一切公開されないデータでもあります。
そのためパジェロミニの故障率を直接調べることができないのですが、そこで参考にできるのが民間調査会社が独自に調べて公開しているカーメーカーの信頼性ランキングです。
米国J.D.パワー車は自動車メーカーの信頼性や故障件数について長年独自に調査している会社で、近年は自動車耐久品質調査という調査で新車購入から3年~5年の間に起こったトラブル件数をまとめてメーカーごとのランキングで発表しています。
しかしパジェロミニの生産されていた2012年当時には日本市場でまだこの調査が行われておらず、残念ながらこのデータは活用できません。
その代わり同社のもうひとつの調査である「自動車初期品質調査」のデータを参考にしたく、この調査では新車から9ヶ月目までのトラブル件数のランキングとなっていますので故障率としては微妙なのですが、少なくとも三菱と他メーカーの信頼性の比較はできるでしょう。
2012 日本自動車初期品質調査
ランキング | メーカー | スコア |
1 | レクサス | 66 |
2 | トヨタ | 92 |
3 | ホンダ | 95 |
業界平均 | 101 | |
4 | ダイハツ | 103 |
4 | スズキ | 103 |
6 | マツダ | 106 |
7 | 日産 | 110 |
8 | スバル | 111 |
9 | 三菱 | 113 |
10 | メルセデス・ ベンツ | 120 |
11 | BMW | 149 |
12 | フォルクス ワーゲン | 161 |
参考:2012年日本自動車初期品質調査(IQS) J.D. Power
この調査では新車の完成度および設計の確かさが反映されるもので、新車を購入してすぐに起こったトラブルが少なくスコアが少ないほど上位にランクインします。
三菱はこのランキングでは9位と低い位置であり、日本メーカーの中では最低です。
とはいえ7位の日産から9位の三菱までは大きなスコアの差はないので、そこまで大きな開きがあるわけではなさそうです。
とはいえトップのレクサスに比べると倍近いスコア差がありますし、トヨタやホンダと比べるとやはり開きがあります。
このことから三菱はそれなりの信頼性はあるものの、決して評価は高くないことがわかります。
メーカーごとの故障率は以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてみてください。
日産車は故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!レクサスは故障しない?逆に多い?故障率を徹底解明!トヨタは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!パジェロミニの基本設計は古い
パジェロミニは2012年まで生産されたとはいえ、その基本設計は1998年当時のままです。
マイナーチェンジは何度も行われているものの根本的な設計変更は行われておらず、現代の水準と比べるといささか信頼性にかけるのは仕方ない面もあります。
のちほど詳しくご説明しますが、基本設計の古さはいくつかの問題点を持ち続けることにも繋がっており、今となってはメンテナンスと部品交換で対応が必要になっています。
またそもそも車自体が古くなってきていることもあり、車の寿命のひとつと言われる年式10年以上のパジェロミニも年々増加しています。(年式の寿命の詳細は以下の記事をご参照ください。)
中古車購入時の年式の目安とは?狙うべきなのはどの年式?10年を越えると車のゴム部品や樹脂部品、的交換の必要な部品などが経年劣化を起こしている時期といえ、部品自体の寿命が尽きてトラブルになるケースも少なくありません。
パジェロミニはたしかに魅力的な車ではありますが、故障の増加している車種であることは間違いなく、今後も祖の傾向は強くなるでしょう。
中古のパジェロミニの故障しやすさ
パジェロミニは現時点では中古車しかないので故障のしやすさについては前述したとおりですが、それでも故障の少ないパジェロミニを選ぶにはとにかく少しでも年式が新しく走行距離が少ないものを選ぶことです。
最終型でもすでに6年経過と軽自動車としては少々トラブルが増える時期に差し掛かっていますが、2代目の初期型などはすでに20年が経過している古い車になってしまっています。
軽自動車でここまで古くなっていると車の骨格まで問題が及んでいる場合も少なくなく、錆びの発生や車体の歪みなどで車自体の寿命が来てしまっている可能性も高いです。
そのため中古のパジェロミニを選ぶ目安はやはり年式10年以内か、もしくは走行距離100,000km以内でできるだけ少ないものとなるでしょう。
またパジェロミニは性能的にはあくまでちょっと頑丈な軽自動車という程度でオフロード走行に耐えられるようにはなっていません。(走行性能の詳細は以下の記事をご参照ください。)
パジェロミニの走破性を徹底解剖!オフロード・クロカン性能はいかに?!しかしそのデザインから激しい悪路走行に使われた中古車もなかには存在します。
ライバルのジムニーのような頑丈さはパジェロミニにはありませんので、そういった使い方をされた車では車体の歪みや凹みなど骨格部分に影響する不具合がある場合があります。
そうなると車がまっすぐ走らなかったり予想外のトラブルの原因にもなるので、中古車としては絶対に避けるべきものです。
もしパジェロミニの中古車で異常に相場より安い車があればそういったトラブルを抱えた車である可能性もありますので、下回りをしっかり調べたり試乗してみたりして問題がないかを確認したほうがよいでしょう。
パジェロミニの中古車を買う際の注意点は、以下の記事でも解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
買う前にちょっと待って!パジェロミニの中古車を購入時の6つの注意点!パジェロミニオーナーの評判
パジェロミニの故障に関する評判はやはり長年乗っているオーナーさんの意見が参考になります。
そこで今回はTwitterからそんなご意見を集めてみました。
結構頑丈だったパジェロミニ
5年間ありがとう。パジェロミニ。ノンターボで非力だったけどもいい車だった。7万キロから15万キロ走ったけども全然故障も無く本当にいい車だったよ。エモいな。 pic.twitter.com/ajSwJo4UEn
— けーおいで (@k_oide_0p0) May 3, 2018
前述のランキングで三菱はあまりよい順位ではありませんでしたが、パジェロミニは結構頑丈な個体もあるようで、故障なしで長年乗っているという人は多く見かけました。
車自体が現在の車より頑丈な設計で、なおかつメンテナンスをしっかりしているからこその故障なしですが、パジェロミニはうまく付き合えば長年乗り続けられる車です。
故障が多発
パジェロミニの持病である
・3速固定
・ベルト鳴き
・ISCV故障
・マルチメーター故障
・パワーウィンドウ不調
・排気漏れ
をすべて併発しております— 麦の人 (@mugi_no_hito) March 14, 2018
一転してこの方のパジェロミニは故障の多い個体だったようで、さまざまな故障を併発させています。
車によって故障のある車ない車の差が結構大きいですね。
この中でギアの固定とISCVの故障についてはパジェロミニに付き物となっており、のちほど詳しくご説明します。
エアコントラブルもありがち
パジェロミニはエアコンコンプレッサー交換・30万キロ走行のミッションを7.4万キロ走行のものに積み替え、クラッチも具合が悪ければ交換します。またもや大規模修理ですが、ここまで手を入れれば当分修理はしないでしょう。
— : (@Ha03Topo) July 3, 2016
パジェロミニは走行距離の多い個体が増えてきているので、定期交換部品であるエアコンコンプレッサーやオルタネータなど補機類の寿命が来ている車が多いです。
おおよそ100,000kmごとに交換しなければならないので、1度ならず何度か交換することもあり得ます。
この方のパジェロミニはどうやら300,000km近い距離を走ってこられたようなので、エアコンコンプレッサー交換も2度目か3度目なのでしょうね。
もしパジェロミニの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!パジェロミニの故障事例
それではツイートにある故障事例について詳しくご説明していきましょう。
ATのギア固定トラブル
AT(オートマチックトランスミッション)のトラブルは初代、および2代目パジェロミニどちらにも起こりやすいトラブルとなっており、症状としてはギアがどこかに固定したまま変速できないというものです。
多くは3速で固定してしまう症状が多く、そのまま自走できないわけではありませんが、すぐに修理が必要な状態です。
ATの変速トラブルの原因として多いのは自動変速を制御している油圧回路であることが多く、回路内へのゴミや金属粉の詰まりや電子制御のソレノイドバルブが故障することがよくあります。
パジェロミニでもそういった症状が出る場合もありますが、それよりパジェロミニ固有の故障原因として多いのがAT変速用コンピューターの故障なのです。
AT車を運転した人ならわかりますが、ATの自動変速はエンジンの回転数と車の速度によってさまざまに変化します。
その変化を制御しているのがコンピューターなのですが、パジェロミニのものは内部の電子部品の経年劣化によって機能の一部を失ってしまうことがあり、それが原因でギアが変速されず固定してしまうのです。
修理にはAT変速用コンピューターの部品交換が必要ですが、三菱が純正として販売しているコンピューターは一応対策も施されていてよいのですが、部品代が70,000円と非常に高く修理を足踏みしてしまう人も少なくありません。
そのため中には民間の業者が独自に販売しているコンピューターを使って修理されることもあり、それで格安で直る場合もあります。
多くはこのトラブルに精通している自動車修理工場などが、コンピューターの内部部品を対策品に交換しているので、一応それなりにちゃんと修理できていると言えるでしょう。
パジェロミニのAT制御用コンピューターは車が古くなってくると結構な確率で発生するトラブルであり、高額な部品が使えないのなら民間の部品を使うのもやむを得ない場合があるでしょう。
しかしメーカーの保証がない部品であることは間違いなく、これが原因でなにか問題が起こったとしても車のオーナーの自己責任となってしまうところにリスクがあります。
もしこのトラブルから完全に無縁でいたいのであれば、台数は少ないですがMT(マニュアルトランスミッション)のパジェロミニにするのが最良です。
ISCVトラブルでのアイドリング不調
これも車が古くなってくると起こりやすいトラブルで、エンジンのアイドリングが不安定になってしまう症状が現れます。
アイドリングにはエンジンの燃料噴射の問題やスパークプラグの点火、タイミングベルトの劣化などさまざまな原因が考えられるのですが、パジェロミニではISCVという吸気系の部品に問題がある場合が多いようです。
ISCV(idle speed control valve)とはあまり聞きなれない部品ですが、その名のとおりアイドリングのコントロールを行っているバルブ系部品で、スロットルバルブが閉の状態のときにISCVで空気量をコントロールしてアイドリングを制御するものです。
走行距離が増えてくるとこのISCVにカーボンや汚れなどが付着してバルブの開閉が不安定になったり、ISCV自体の経年劣化による故障で空気量がコントロールできずにアイドリング不調に陥ります。
修理にはISCVの清掃で住む場合があり、この場合はディーラーや自動車修理工場などでそれなりにリーズナブルな費用で対処できます。
またISCVの部品交換の場合でも数万円程度の部品交換費用ですので、そこまで高額にはならないでしょう。
ただこの清掃については適切な手順や道具を使わないと部品の故障に繋がる可能性があり、その事例が多かったことから三菱自動車が特別にISCVの点検、整備要領をアナウンスしているほどです。
参考 eKワゴン、トッポ、ミニカ、トッポBJ、ミニキャブ、パジェロミニ スロットルボデーの点検、清掃要領三菱 公式サイト清掃ぐらいなら個人でできるとやってしまう人もいるのですが、しっかり手順と注意点を把握しておかなければ結局部品交換に繋がる必要があるので注意が必要です。
補機類の経年劣化
パジェロミニは走行距離が多い車が増えてきましたので、定期交換部品の定番である補機類の故障が増えてきています。
補機には発電機であるオルタネータやエアコンのコンプレッサーなどがあり、それらはエンジンの回転をベルトで伝達して稼働しているので常に高速回転をしています。
走行距離が増えてくるとその回転部分のベアリングが劣化して異常振動や異音の原因となったり、それ以外の電気部品の経年劣化によって正常に動かなくなってしまうのです。
補機類の交換時期は走行距離が80,000km~100,000kmごとであり、車が古くなれば必ず交換が必要となります。(走行距離の寿命の詳細は以下の記事をご参照ください。)
中古車は走行距離が何万キロまで安心して乗れる?答えはこれだ!しかし中古車などでは交換が行われないまま販売されているものもあり、そういった車を購入してほどなくトラブルが起こることもあります。
修理には補機の交換が必要で補機一種類で30,000円〜50,000円ぐらいが相場です。
補機の交換は故障してからでは遅く、とくにオルタネータは動かなくなると車が自走できなくなるので、異常が出たところですぐに交換してしまうほうがよいでしょう。
また補機ではありませんが、エンジンの冷却水を循環させているウォーターポンプも同じような原因で交換が必要となる部品です。
補機に異常が現れた際にはウォーターポンプにも経年劣化が進んでいる場合がありますので、一緒に交換してしまうのもよいでしょう。
パジェロミニは買っても大丈夫か?
パジェロミニはSUVとしてのデザインがよく、乗用車としてみても便利で使いやすい車でいまでも人気があるのはうなずけます。
中古車しかないとはいえ非常に台数が多いので選択肢も広く、状態のよい個体もまだまだ残っているでしょう。
しかし全体的に見れば年式が古い車が多いのは事実であり、車の設計的な故障よりは経年劣化による部品の寿命が問題となることが多いのです。
今後もこの傾向はどんどん進行していきますので、パジェロミニに乗りたい人は早め早めによい状態の車を押さえておいたほうがよいでしょう。
パジェロミニのライバル車のジムニーについては、以下の記事もございます。こちらも購入の参考にしてみてください。
ジムニーの魅力とは?6つの良さをわかりやすく解説!ジムニーは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!