最近にわかに人気となってきているのが車の中で宿泊する「車中泊」で、リーズナブルに泊まれることがウケています。
そんな車中泊には向いた車、向いていない車があるのですが、エコカーの代表であるハイブリッドカーはどうなのでしょうか。
今回はハイブリッドカーと車中泊の相性についてご説明します。
ハイブリッドカーは車中泊に特別向いている車ではない
車中泊は一人、もしくは複数人で一台の車の中で就寝することで、おもに旅行やキャンプなどで日をまたぐときに旅館やホテルのかわりの宿泊手段として使う方法です。
車中泊のやりかたはとくに決まっているわけではありませんが、車のリクライニング機能を使っただけの簡易的な車中泊や、専用のマットや遮光用のカーテンなどを車内に持ち込んで快適に睡眠が取れるようにした本格的なものまで、車中泊を行う人によってさまざまな形態があります。
ですがそういった点とは別に、車中泊を行ううえでとても重要な点があります。
そもそも車中泊をする際に重要なこと
車中泊をするときには寝床の快適さはもちろん重要ですが、それ以上に最も重要な点は車室内の空調です。
車中泊は何時間もの長時間に渡って車室内に滞在するわけですが、その時は気温や防犯の観点から車のドアや窓は閉めなければなりません。
そうなると車室内はほぼ完全な密閉空間となり、外気と室内の空気の循環はほとんどなくなります。
その状態で長時間車内にいると、寝ている間であっても人間の吐き出す二酸化炭素が車室内には溜まっていき、空気が非常に汚くなってしまうのです。
そのため車中泊を行うときには車室内の空気を循環させなくてはなりませんが、窓を開けたくない場合には車のエアコンを使って循環する必要があります。
エンジンがかかっていない状態でも電動ファンである程度は循環は行えますが、しっかり空気を循環させるにはやはりエンジンを動かしてエアコンを作動させたほうが良いです。
電動ファンだけでは車のバッテリーを消費してしまうので、長時間の使用には適さないのです。
そのため車中泊をしている車はたとえ駐車場に停車していても、エンジンをアイドリング状態で動かしていることが多いですが、その間は当然ながら燃料を消費しているので、車の燃費は悪化します。
なおエアコンの仕組みについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッド車のエアコンの仕組み!車中泊に最適?使用時の燃費まで全ての疑問を解決!ハイブリッドカーのメリットを車中泊に活かせるわけではない
さてハイブリッドカーであっても車中泊をするときにはエアコンでの空気循環は必要で、基本的な点は普通のガソリン車やディーゼル車とかわりません。
ハイブリッドカーは従来のエンジン車に電動モーターを組み合わせた車種のことを指し、モーターによってエンジンの非効率な点を補うことで燃費を向上させる車種です。
その仕組みは以下の記事でご説明していますが、簡単に説明するとエンジン走行時に無駄になっていた減速のエネルギーを電気エネルギーとして回収し、その電力でモーターを動かすことでエンジンを一部停止させることができます。このことから燃料消費量が減少し、燃費を向上させることができるのです。
ハイブリッド車は燃費が悪い?低燃費車を比較してランキング形式で紹介!ですがハイブリッドカーが発電を行うのは車の走行時だけであり、停車中やアイドリング中には発電は基本的に行いません。
そのため車中泊のときにはエンジンは稼動している状態となり、ハイブリッドカーといってもエンジンを稼働させれば燃料消費量は増大します。
つまり車中泊においてはハイブリッドカーは通常のガソリン車やディーゼル車と性能面では大差はなく、燃費の良さというハイブリッドカーのメリットが活かせるわけではありません。
ハイブリッドカーが車中泊に不向きな点
ハイブリッドカーは車中泊中の燃費性能に関しては従来の車と大差ありませんが、その構造面においては車中泊に不向きな点もあります。
それは車中泊を快適に過ごすために必要な車室内の広さで、ハイブリッドカーは従来の車より一部狭くなっている部分があります。
それはハイブリッドシステム用の駆動用バッテリーが搭載される床下およびトランクルームと、車の空力に重要な天井部分です。
床下とトランクルームの容積減少
ハイブリッドカーにはハイブリッドシステムに電力を供給するための大型のバッテリーが必要なのですが、一般的にその搭載位置は車の床下およびトランクルームの下で、その搭載スペース確保のために室内容積が多少犠牲になりがちです。
ハイブリッドカーはバッテリーが大きければ大きいほど燃費が向上する傾向にあり、高い燃費性能を持つ車ほど搭載スペースが必要になります。
そのため同クラスのガソリン車と比べるとハイブリッドカーは室内容量が多少減るとともに、トランクの下部が埋まっています。
このことが車中泊に影響する点はシートアレンジへの影響で、車中泊に最適なフルフラットモードを作り出そうとしても、バッテリーの搭載スペースが邪魔となってうまくできないことがあります。
最近の車はそれでもかなり良いところまでフラットにはなるのですが、フルフラットでの車中泊の快適さには及びません。
全ての車がフルフラットにならないわけではなく車種や車の設計によってうまく作られている車もありますが、それでもハイブリッドカーはシートアレンジに対して苦手な車種といえます。
天井の低さ
ハイブリッドカーにも様々な車種がありますが、最も代表的な車種であるトヨタ プリウスのようなワゴン系の車種は天井が少し低くなっており、車中泊には少し不向きです。
ハイブリッドカーの燃費の良さを確保しているのはエンジンやハイブリッドシステムの性能だけではなく車体の作り方も重要で、とくに空力特性の良さは重要な点です。
プリウスなどは車のフォルムを徹底的に空力特性の良いものに設計しており、スポーツカー並の空力抵抗の少なさは燃費を伸ばす大きな要因の一つになっています。
ですが空力特性を良くすると車のフォルムは天井が少し低く、また車の後方にいくにしたがって天井が低くなっていきます。
そのため車室内もその影響で天井が低くなって狭くなっていくので、車中泊をするには少し窮屈な車もハイブリッドカーには多いです。
全てのハイブリッドカーがこのような形ではありませんが、天井の高さはハイブリッドカーの特徴である燃費とは反対の関係となります。
もしハイブリッド車を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!車中泊に最適なハイブリッドカー
ハイブリッドカーはその特徴が車中泊に最適というわけではありませんが、それでも車種によっては車中泊がやりやすい車種もあります。
ミニバン系のハイブリッドカー
ハイブリッドカーには車のタイプに様々な車種がありますが、その中でミニバン系の車種は車中泊がやりやすい車の一つです。
ミニバンは多人数乗りが可能なワゴンやバンタイプの車で、とくに車室が広いトールタイプミニバンが人気です。
トールタイプミニバンにもハイブリッド系の車種は増えてきており、こういった車なら車中泊には向いています。
車室内が広く天井も高く、またシートアレンジにも余裕があるので車中泊がしやすい車と言えます。
当然これらの車種にも床下にハイブリッドシステム用のバッテリーが搭載されていますが、車自体が大きいので余裕はあります。
車種としてはトヨタでは
- アルファード
- ヴェルファイア
などの大型ミニバン、
- ノア
- ヴォクシー
- エスクァイア
などの中型ミニバン、エスティマなどにもハイブリッドモデルがあります。
アルファードの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ヴォクシーの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!エスティマの口コミ評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!他には
- ホンダ ステップワゴンスパーダ
- 日産セレナ
などもハイブリッドカーがあります。
ステップワゴンの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!セレナ(e-power)の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ただ車中泊はしやすくてもハイブリッドカーの特徴である燃費はあまり高くなく、大型で重たい車なので仕方ない点です。
プラグインハイブリッドカー
プラグインハイブリッドカーは最新のハイブリッドシステムを持つ車種で、その特徴は外部からハイブリッド用のバッテリーへ充電できるシステムがついていることです。
プラグインハイブリッド(PHEV)とは?EV,PHV,HVとの違いからメリット/デメリットまで解説!プラグインハイブリッドカーは外部からバッテリーに充電することで電気自動車のような使い方ができるハイブリッドカーで、従来のハイブリッドカーと違って数十キロもの距離をバッテリーとモーターだけで走行することができます。
それを可能としているのはバッテリーの容量の大きさで、従来のハイブリッドカーよりかなり大きいバッテリーを持っています。
その特徴を活かしてエンジンを可能な限り停止させて、可能であればバッテリーを再充電しながらずっと走行することもできます。
さてプラグインハイブリッドカーは車中泊に向いているのはこのバッテリー容量の大きさにあり、この車であればバッテリーの充電が十分にあればバッテリーだけで長い時間室内の空調を動かすことができます。
また停車中にも外部から充電することができるので、充電設備がある場所ならエンジンを動かさなくても快適な車中泊を過ごすことが可能です。
そうすれば燃費の悪化は最小限になりますので、ハイブリッドカーとしては車中泊に向いているといえるでしょう。
プラグインハイブリッドカーはまだ車種が少なく、国産車では
- トヨタ プリウスPHV
- 三菱アウトランダー PHEV
などの車種があります。
どちらの車種も室内空間は底まで広くないですが、車中泊で特に重要な空調をバッテリーで稼働させられるという点が向いています。
なおプラグインハイブリッドの車種については以下の記事でまとめているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プラグインハイブリッド(PHEV)の車種一覧とおすすめ!2019年今後の予定の車種も紹介!ハイブリッド車で車中泊をする際の注意点
ハイブリッド車で車中泊をする上での注意点は前述したとおり、室内の空気循環をなにより確保することです。
一度車中泊をやってみると分かるのですが、エンジンを切って空調を止めた状態で車の中で寝ると、寝て起きたときにはかなり空気が汚くなっています。
私も短い時間なら大丈夫と思ってエンジンを切って車中泊をしたことがありますが、起きるとなんとなく息苦しい感じになっており、大変だった思いがあります。
どうしてもハイブリッドカーは燃費を考えるあまりエンジンを停止してしまいがちですが、車中泊に関しては燃費よりも空調を優先するようにしましょう。
なお以下の記事でハイブリッドカーの車種を紹介しているので、購入を検討している方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッドのメーカー別車種の一覧表!国産車/外車ともに燃費情報とあわせて紹介!