小型軽量スポーツとして人気の「マツダ ロードスター」。
その人気は日本だけに留まらず、世界で一番多く生産された「2人乗りオープンカー」として、ギネス世界記録に認定されるほど。
まさしく、マツダの掲げる「人馬一体の走り」を体現した、至極の一台なのです。
今現在、購入を検討している方も多いことでしょう。
その際、気になるのが、ロードスターの燃料。小柄なボディのため、レギュラーガソリンで走りそうな印象がありますよね?
というわけで今回は、ロードスターのガソリンに焦点を当てて、解説していきたいと思います。
具体的な数字を元に、維持費についても触れていくので、ロードスターの購入を考えている方は必見ですよ。
ロードスターのガソリンの種類はモデルごとに違う
1989年に登場し、2018年現在のモデルで、4代目を数えるロードスター。3代目を除いて、2.0Lと1.5Lの2種類をラインナップしています。
まずは、モデルごとの諸元について、表を用いて解説したいと思います。
2.0Lモデルはすべてハイオク仕様
型式 | 4代目ND型 | 3代目NC型 | 2代目NB型 | 初代NA型 |
エンジン型式 | PE-VPR型 | LF-VE型 | BP-VE型 | BP-ZE型 |
最高出力 | 158ps/6,000rpm | 170ps/7,000rpm | 160ps/7,000rpm | 130ps/6,500rpm |
最大トルク | 20.4kg・m/ 4,600rpm | 19.3kg・m/ 5,000rpm | 17.3kg・m/ 5,500rpm | 16.0kg・m/ 4,500rpm |
総排気量 | 1,997cc | 1,998cc | 1,839cc | 1,839cc |
燃料タンク容量 | 45L | 50L | 48L | 48L |
使用燃料 | ハイオク | ハイオク | ハイオク | ハイオク |
燃費 | 15.6km/L | 12.6km/L | 13.0km/L | 12.0km/L |
初代から現在にかけて、全モデルにおいてラインナップされているのが2.0Lモデルです。小型ながらスポーティな走行が可能ということで、人気を博しています。
現行モデルの4代目ND型は、厳密には「ロードスターRF」という車名で販売されています。当然、燃料としているのはハイオクですね。
1.5Lモデルにはレギュラー仕様も設定
型式 | 4代目ND型 | 2代目NB型 | 初代NA型 |
エンジン型式 | P5-VP型 | B6-Z型 | B6-ZE型 |
最高出力 | 131ps/7,000rpm | 125ps/6,500rpm | 120ps/6,500rpm |
最大トルク | 15.3kg・m/ 4,800rpm | 14.5kg・m/ 5,000rpm | 14.0kg・m/ 5,500rpm |
総排気量 | 1,496cc | 1,597cc | 1,597cc |
燃料タンク容量 | 40L | 48L | 45L |
使用燃料 | ハイオク | レギュラー | レギュラー |
燃費 | 17.2km/L | 14.2km/L | 13.2km/L |
スポーツ色に強かった3代目モデルを除き、ラインナップされていた1.5Lモデル。現行モデルの4代目ND型はハイオクに設定されていますが、初代モデル、2代目モデルはレギュラーなんです。
ちなみにレクサスは高級車であるにもかかわらず、ロードスターと同様にレギュラーもハイオクもあります。
レクサスのガソリンの種類はハイオク?レギュラー仕様?どっちなのか解説!ハイオク車にレギュラーを入れるのは大丈夫だがおすすめしない
7種あるモデルのうち、5種がハイオクということになりますね。それも、レギュラーに設定されているのは初期だけなので、実質ほとんどのモデルがハイオクということになります。
はたして、ハイオク車にレギュラーを入れても大丈夫なのか?
結論からいうと、大丈夫といえば大丈夫です。あまり推奨できることではありませんが…。
順を追って解説していきましょう。
燃料の種類
レギュラーやハイオクについて解説する前に、まずは燃料について簡単に説明したいと思います。エンジン(内燃機関)の燃料には、主に以下のようなものがあります。
- ガソリン:自動車に使用
- 灯油:ストーブなどに使用
- 軽油:バスやトラックに使用
- 重油:飛行機や船舶に使用
ご存知のとおり、これらは「原油」を精製することで作られています。
油田からとれた原油は、加熱炉で350度で加熱され、蒸気となります。この蒸気を沸点が低い順に分け、蒸留したものが「ガソリン」「灯油」「軽油」となり、炉に余ったものが「重油」になるのです。
それぞれの燃料は、さらに細かく精製され、用途によって分けられていきます。ガソリンの場合は、「オクタン価」という指標でハイオクやレギュラーに分けています。
実は、軽油も「プレミアム軽油」、重油も「A重油」「C重油」などの種類があるんですよ。
庄司憲正(著者)
以前、重油やガソリンを運ぶタンカーで勤務していたので、この辺の事情には詳しいのです…
オクタン価
少し話が逸れてしまいましたね。そろそろ本題に入りましょうか。
ガソリンは「オクタン価」という指標で分けられるのですが、これだけではピンときませんよね?なので、このようにイメージしてみてください。
「ハイオクは燃えにくく、レギュラーは燃えやすい」
厳密には若干ニュアンスが異なりますが、この認識でほぼ間違いありません。なぜなら精製後に、以下の2種類の液体を混ぜることで、市販のガソリンが作られるからです。
- ノルマルへプタン:自己発火しやすい性質
- イソオクタン:自己発火しにくい性質
要するにオクタン価とは、「イソオクタン」がどれだけ割合を占めるかを表しているのです。
具体的には、JIS(日本工業標準調査会)規格で、オクタン価89%以上で「無鉛ガソリン(レギュラー)」、96%以上で「無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)」と定められています。
あくまでもJIS規格で定められているので、日本だけの指標です。海外のレギュラーガソリンは、日本のハイオクに相当するオクタン価。
ベンツやアウディも一部例外を除いてハイオクなのです。詳細は以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもご覧ください。
実は軽油?!ベンツのガソリンの種類はハイオク?レギュラー仕様?どれか解説!アウディのガソリンの種類はハイオク?レギュラー仕様?どっちなのか解説!余談ですが、マツダは欧州ウケを重視しているので、最近のロードスターは1.5Lでもハイオク仕様なのです。
高性能エンジンにはハイオク
レギュラーは軽自動車や普通車、ハイオクは高級車やスポーツカーというのが一般的です。
実際プリウスやジムニーはガソリン仕様で、ヴェルファイアには一部ハイオク仕様があったりします。詳細は以下の記事をご覧ください。
プリウスのガソリンの種類はハイオク?レギュラーと何が違うのか解説!ジムニーのガソリンの種類はハイオク仕様?レギュラー?どっちなのか解説!アルファード/ヴェルファイアのガソリンの種類はハイオク?レギュラー仕様?どっちなのか解説!燃えにくい燃料の方が、高性能なエンジンに適しているんですね。なぜかというと、高性能なエンジンほど、ピストンの圧縮が大きいからです。
普通のエンジンよりも、ギュッと圧縮するんです。強く圧縮するほど、燃焼室内が高温になるので、燃料が燃えやすい環境になります。
エンジンは、最適なタイミングで燃料を爆発させることで、設計どおりのパワーを得るもの。予期しないタイミングで爆発されると、本来の性能が発揮できないということですね。
この予期しない燃焼のことを、「ノッキング」なんて言ったりします。ノッキングを防ぐために、あえて燃えにくいハイオクを燃料にしているというわけ。
ハイオク車にレギュラーを入れると性能を引き出せない
ここまできたら、言うまでもないですよね。ハイオク車にレギュラーをいれると、性能を引き出せません。(もともとの性能の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ロードスターの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?圧縮の大きいエンジンに、燃えやすい燃料を投入するわけですから、ノッキングし放題。燃焼のタイミングもズレるため、本来の性能も引き出せません。
また、ハイオクは燃えにくいだけではなく、洗浄剤も含まれているので、燃焼と同時にエンジン内部を綺麗にする働きがあります。
レギュラーには洗浄剤は含まれていないので、ハイオク車に使うとエンジンが汚れる元になりますよ。
最近の車はレギュラーを入れても大丈夫
とはいえ、これは理論的な話です。実際には、そこまで気する必要はないとも。
私も、間違ってレギュラーを入れてしまったことがあります。フェアレディZに給油してしまったのですが、そこまで気になりませんでしたね。
「少し元気がないかな~?」
というくらいだったので、大げさな話だったんだ、と思いました。
後日知り合いの車屋さんに聞いたところ、最近の車はレギュラーを給油しても大丈夫、とのことでした。レギュラーの給油を想定したコンピューターが組み込まれているので、大事には至らないようです。
もしロードスターの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!ロードスターのガソリン代
実際のところ、ガソリン代はどの程度なのか、気になりますよね?
結論からいうと、ハイオクとレギュラーでは、金額に大きな差はないのです。
「現行ND型 」「3代目NC型」の2車種を例にとって、1ヶ月あたりの具体的なガソリン代を計算してみましょう。
ガソリン代を導くにあたって、条件は以下のように仮定します。
- 月間1,000km走行
- カタログ値-2km/Lを実燃費とする
- ハイオクの料金は150円/L
- レギュラーの料金は140円/L
先ほど諸元表で紹介した燃費は、あくまでもカタログ値なので、実燃費として「カタログ値-2km/L」を採用。
また、2016~2017年のガソリン料金の変動は、ハイオクが134.7~150.8円/L、レギュラーが123.8~140.2円/Lなので、高めに見積もって「ハイオク150円」「レギュラー140円」と仮定します。
現行ND型のガソリン代
燃費のカタログ値は17.2km/Lなので、実燃費は15km/Lと仮定します。
1ヶ月に必要なガソリン量
1000(km)/ 15(km/L)= 66.6(L)
1ヶ月に66.6Lのガソリンが必要になります。タンク容量は40Lなので、1ヶ月に満タン給油2~3回の計算ですね。
1ヶ月のガソリン代
ハイオクの場合 150(円/L)× 66.6(L)=9990(円)
レギュラーの場合 140(円/L)× 66.6(L)=9324(円)
1ヶ月に同じ距離を走行すると、ハイオクの場合は9,990円、レギュラーの場合は9,340円となります。金額差は666円ですね。
三代目NC型のガソリン代
燃費のカタログ値は12.6km/Lなので、実燃費は10km/Lと仮定します。
1ヶ月に必要なガソリン量
1000(km)/ 10(km/L)= 100(L)
1ヶ月に100Lのガソリンが必要になります。タンク容量は50Lなので、1ヶ月に満タン給油3~4回の計算ですね。
1ヶ月のガソリン代
ハイオクの場合 150(円/L)× 100(L)=15000(円)
レギュラーの場合 140(円/L)× 100(L)=14000(円)
1ヶ月に同じ距離を走行すると、ハイオクの場合は15,000円、レギュラーの場合は14,000円となります。金額差は1,000円ですね。
それほど金額差は大きくない
ハイオク仕様の現行型1.5Lモデルと、3代目2.0Lモデルを計算してみました。
「どうでしょう? 想像していたほど、大きな差ではないですよね?」
仮定よりも燃費が悪くなることもありますし、1ヶ月に2,000km走る人もいることでしょう。
それでも、せいぜい2,000円程度しか差がないのです。維持費を節約しようとしてガソリンを気にしてもそれほど効果はありません。
なお維持費の節約については、以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもあわせてご覧ください。
安く抑えよう!私が実際に成功した車の維持費を節約する3+1の方法!ロードスターでガソリンはハイオクがおすすめ
というわけで、ロードスターのガソリンにはハイオクを使用するのがベストでしょう。
一時的に使用する分には問題ないので、節約したいときはレギュラーを入れても構いません。しかし、常習化することは避けた方がいいです。
実際、金額的にも大きな差はないのですから、愛車のためだと思ってハイオクを入れてあげましょう。
これからロードスターを買おうと思っている方は、以下の記事もぜひ一緒にご覧ください。購入の参考になりますよ。
ロードスターを買って後悔している人はいるか?実態を調査してみた!ロードスターが楽しい車である7つの理由!運転が最高に面白い?!