スズキ ジムニーは軽自動車でありながら本格的なクロカンSUVの性能を持つ車で、世界的にもここまで小型のSUVは珍しい存在です。
山道や不整地には最高のジムニーですが、そういう車での長距離ドライブってどうなのでしょうか?
今回はジムニーが長距離ドライブに適しているかどうかについてご説明します。
ジムニーの長距離ドライブに適した点
ジムニーは1970年の登場より現行で4代目となりますが、一貫してクロカンとして最高の構造であるラダーフレームとリジッドサスペンションを採用してきました。
この組み合わせは非常に頑丈で山道や不整地でも走れなくなるということが少なく、ジムニーの命ともいえる構造となっています。
しかし長距離ドライブとなると、ジムニーが得意としているシーンとは180°違った走行シーンとなるため、正直いってジムニーは長距離ドライブにピッタリということはありません。
これまでの3代目ジムニーまでは長距離運転となるとかなりの弱点となっていました。
2018年に登場した新型ジムニーではその弱点がある程度改善されて高速道路などでの快適性は少しよくなっていますが、乗用車系の車と比べると弱点であるのには変わりません。
しかしそれでもいくつかは長距離ドライブに適している点がありますので、まずはそれをご説明しましょう。
どこへでも不安なく行ける
ジムニー最大の魅力というのは、普通の車では走れないような状況でもしっかりと走れる走破性にあります。山道はもとより泥道、雪道などどこでも走ることができます。
一見長距離ドライブには関係ないようにも思いますが、ジムニーのこの特性はどんな場所旅に行っても不安なく走れることを意味しています。
特に冬場などは長距離ドライブしたあとにスキー場にいくなどのシーンでも、ジムニーなら一般道も雪道も問題なく走れるという安心感を持てるのです。(雪道性能の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ジムニーは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!他にもキャンプや登山、北海道旅行など、長距離走ったあとに道の悪いところを走ることは旅なら結構ありますが、どこでも走れる性能というのは心にゆとりがもてるものです。
普通車はもとより4WDのステーションワゴンなども走行性能という点ではジムニーにはかなわず、ジムニーがあれば日本中どこに行っても旅ができるでしょう。
走行性能については以下の記事でさらに詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
ジムニーの走破性を徹底解剖!クロカン・オフロード性能はいかに?!長距離向けなシートの固さ
ジムニーの以外な長距離向けの特徴として、シートの固さが疲れにくいという点があります。
軽自動車の一般的なシートはかなり柔らかめで、一般道を短時間運転する分にはよいのですが、長距離でずっと座っていると腰やおしりが痛くなってきます。
これは軽自動車で長距離ドライブするときの大きな欠点として知られており、軽自動車は疲れやすいといわれる原因のひとつです。
ジムニーのシートは不整地を走るためにホールド性の高い形状をしており、固さも普通の軽自動車より固めで、長距離ドライブでも疲れにくく長時間座っていられます。
ただしホールド性の高いのは前席だけで、後席はベンチシートなのでそちらはさほど快適ではないでしょう。ジムニーはあくまでドライバーメインの車なのです。
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ジムニーの長距離ドライブに不向きな点
ジムニーはやはり長距離ドライブに不向きな点が多い車で、次のような問題があります。
固い乗り心地
まずジムニーは乗り心地が固く、長距離ドライブには不向きです。
サスペンションのせいで車の跳ね、揺れが大きい
ジムニーのサスペンションは不整地向けに固めのセッティングとなっており舗装路では結構車が上下するのですが、これが長距離ドライブではかなり効いてきます。
ジムニーのサスペンションの固さは普通の軽自動車より固く、どうしても路面状況によっては車の跳ねや揺れが大きくなります。
短時間であればあまり気にならないレベルの乗り心地ですが、長時間の乗車となると乗り心地が固いのは疲れの原因になります。
ジムニーの車体構造はラダーフレームというトラックのようなフレーム構造となっており、クロカン走行では堅牢さと耐久性を持つ良い構造なのですが、乗り心地という点では乗用車のモノコックボディには及ばない欠点となります。(耐久性の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ジムニーの耐久性が高い4つの理由!強度が半端ない?!ジムニーのボディはそのラダーフレームに乗っかっている形で、接合部には一応振動吸収のゴムも入っているのですが、完全な振動吸収は難しいのです。
新型ジムニーでは乗り心地は少し改善
3代目ジムニーまでは長距離の乗り心地は評判が悪かったのですが、最新型となる4代目ジムニーでは一定の改善が見られています。
新型の4代目ジムニーでは振動吸収ゴムの設計が大幅に改善されており、フレームからボディに伝わる振動が大幅に低減されました。
高速での乗り心地は前型車に対してかなりよくなっており、静粛性もあがっています。
ですが一般的な乗用車と比べるとシートが疲れにくい形状であったとしても根本的な乗り心地の悪さはどうしようもないので、ジムニーが長距離ドライブにあまり向かないのはかわらないでしょう。
横揺れが大きい
ジムニーの乗り心地の悪さにはもうひとつあり、車高の高さから来る横揺れの大きさがあります。
ジムニーの車高は乗り心地への悪影響が大きい
ジムニーは悪路走行のために大きなタイヤを履いており、そのために軽自動車としては車高が高く、床面の位置も高い車です。
そういった車はロール、つまり横揺れが大きい傾向にあり、左右の揺れが乗り心地の悪化に影響します。
特に高速道路の走行時に顕著に現れ、横風が強いときや、カーブを曲がって横Gがかかるときなどに車の横揺れは大きくなり、乗り心地はかなり悪化してしまうのです。
もうひとつ車のロールに影響するものがボディの剛性ですが、ジムニーの場合はラダーフレームの剛性が重要です。
新型ジムニーでは乗り心地も多少改善
3代目までのジムニーのラダーフレームもかなりの強度を持つものだったのですが、4代目ではラダーフレームにX型のクロスメンバーが新たに追加されたことでねじり剛性が1.5倍も改善しました。
4代目ジムニーではラダーフレームがねじれなくなったことでロールに対してはよい影響となっており、非常にしっかりした乗り心地となっています。
最新型ジムニーは背の高さによるロール性への悪影響は相変わらずあるものの、確実に改善しているといえるでしょう。
ちなみに昔「ジムニーは横転しやすい」と言われていましたが、全然そんなことはありません。詳細は以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもご参照ください。
ジムニーは横転しやすい車なのか?本当のことを暴露します!高速巡航向きではないギアセッティング
ジムニーは車の設計上、高速巡航は苦手としており、高速道路での長距離走行は得意ではありません。
ジムニーという車の使い方では、車はスピードよりもトルクが重要であり、低速時のパワーこそ悪路走行には必要です。
エンジンのパワーこそ軽自動車なので少ないのですが、トランスミッションを低速向けのセッティングとし必要なトルクを稼いでいます。
そのため高速走行にはギアのセッティングがあまり適しておらず、高速道路の制限速度である100km/hでも結構エンジンをまわさなければなりません。
車が壊れたり走れなくなったりするわけではありませんが、そもそも快適な高速走行ができる車には設計されていないのです。
ジムニーの走行性能については、以下の記事でも掘り下げて解説しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
ジムニーの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?燃費も軽自動車としてはよくない
軽自動車が長距離ドライブに向いている数少ない利点には燃費の良さがありますが、同じ軽自動車でもジムニーは燃費があまりよくなく燃費での経済性はあまりたかくありません。
現在の軽自動車の燃費は、カタログ燃費で25km/L~30km/Lという高水準にあり、実燃費も20km/Lとかなり高いものとなっています。(以下の記事で解説している軽自動車のハスラー、タントの燃費を参考にしてみてください。)
ハスラーの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!タントの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!高速燃費も同じ位よく、軽自動車は長距離ドライブをするにはかなり経済性の高い車種と言えるのです。
しかしジムニーはカタログ燃費からして14.6km/L~16.4km/Lとあまりよくなく、実燃費でも11km/L~13km/L程度なので、軽自動車のメリットである経済性はジムニーにはありません。
これも前述したジムニーの設計が影響しており、低速向けのセッティングのため燃費がふるわないのです。
ただ4代目ジムニーについてはエンジンの変更により高速走行が少しは改善しており、可変バルブシステムの導入で低速から高速までバルブの切り替えで効率がよくなっています。
数字上の燃費にはあまり出てこないのですが、高速燃費は先代よりも改善しています。
騒音が大きい
高速巡航が苦手であることの影響のひとつに騒音の大きさがあり、特に高速道路走行ではエンジン回転数が高めになるのでエンジン音が高くなります。
まずエンジン回転数は100km/h巡航でも4,000rpm~5,000rpmと高いものが必要で、これだけでもエンジン音がかなり高めです。
またジムニーのタイヤが大きいことでロードノイズも大きくなり、さらに軽自動車はコスト的に吸音材をたくさんつけられないので、車内に聞こえてくるノイズはかなり高めとなります。
長距離ドライブでは車のノイズは結構堪えるもので、長く聞いていると耳がおかしくなって疲れがたまります。
少しでも改善させるにはスピードを落として走行するしかないので、ジムニーで高速を走るときには平均スピードを控えめにしましょう。
なおこの騒音については前述したとおり新型ジムニーでは大きな改善がなされており、ゴムマウントの改善は大きな効果があったといえるでしょう。
ロードノイズについては工夫次第で少しは和らげることもできます。もしこの欠点を見てもジムニーを買おうと思っている方は、以下のロードノイズ対策の記事も参考にしてみてください。
車のロードノイズ対策3つ!低減マットやタイヤを駆使しよう!長距離ドライブをした人の評価
ジムニーで長距離ドライブをした人の評価はTwitterにいくつもあげられていますので、今回はその中から3件ご紹介します。
長距離ジムニーは手が疲れる
長距離ジムニー運転すると、腰より、左足より、左手が痛くなる。
無駄なシフト操作が原因と思われる。ギヤ弄るのだいすきなんだよな。オートマはもう乗れない身体になってる、かな。まあそれも慣れなんだけろうけどね。— 夕力八シKAZ (@kazzhiro) 2017年10月12日
この方はマニュアルシフトのジムニーにのっていらっしゃるようですが、長距離走行ではシフトに使う左手が疲れるとおっしゃっています。
ジムニーで巡航走行しようとするとどうしてもシフトを上げ下げしがちになりますので、そのせいで手が疲れてしまうのでしょう。
低速向きのジムニーの泣き所のひとつですね。
燃費が悪くてガス欠を気にする必要がある
ガス欠寸前でスタンドに駆け込んだ。40㍑タンクに39.88㍑入った。ジムニーの燃費悪すぎ&残量警告灯無くてまじで危ない!
— 🐷ひわいさん🍖 (@hiwai_rs) 2012年10月12日
ジムニーの欠点である燃費の悪さは長距離ドライブではもうひとつ不安がでてきます。それはガソリンスタンドを探す必要があることです。
燃費が悪いとガソリンスタンドに寄る頻度もあがりますが、土地勘のない地域でスタンドを探すのは結構大変なものです。
とはいえ最近はスマホなどで探しやすくなってはいますが、ジムニーが得意な山の方に入ってしまうとそもそもスタンドが少ないこともあります。
致命的な欠点にはならないものの、気にすることが増えてしまうことは間違いありません。
長距離ドライブ関係なしに、単純にジムニーの欠点については、以下の記事でも掘り下げています。こちらもあわせてご参照ください。
ジムニーを欲しい人が知るべき6つの欠点!買う前に必ず見てください!ジムニーが悲鳴をあげる
ジムニーMTは前のカローラワゴンATより燃費がなぜか断然良い。もっと悪くなると思っていたがより良くなった。
ただやはり軽なので時速60キロだともう回転数が3000近くなって車が悲鳴を上げだすので50キロでゆったり走りたい。
高速道路では走りたくない。えらいことになる— ふじや(音楽ゲームスポーツ) (@fujiyazzzzjp) 2017年11月28日
ジムニーのマニュアルがオートマとはいえカローラより良いのは面白い点ですが、それよりジムニーのエンジンノイズの高さは結構気になる点のようです。
エンジンにもよりますが軽自動車用だと3,000rpmも回すと結構大きな音を出すようになり、まさに悲鳴をあげ始めるような感じになります。
ジムニーが高速に向いていないことがこれからもはっきりしますので、あまり速度はあげすぎなほうが車にもドライバーにも優しいですね。
ジムニーで長距離ドライブには向いていない
ジムニーは控えめに言っても長距離ドライブに向いているとはいえず、特に高速道路の走行は苦手です。
普通の車と同じ感覚で高速走行をすると、とにかく疲れがたまるドライブとなってしまいあまりよいことはありません。
ジムニーでの高速走行は控えめに80km/hぐらいの速度で巡航すると、ノイズも燃費も多少はましになるでしょう。
ジムニーは本格的なクロカンSUVであり性能はその方向に特化されています。その分長距離ドライブは欠点が多くなってしまいますが、ジムニーの特殊性から考えれば当然とも言えるでしょう。
これからジムニーを買おうと思っている方は、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。購入の参考になりますよ。
ジムニーは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!絶対読んでください!ジムニーの中古車を購入時の11の注意点!