2018年7月に20年ぶりのフルモデルチェンジを果たし、話題となったスズキ ジムニー。
どこか懐かしいデザインながら、細部に先端の新しさを感じさせる4代目ジムニーの加速性能はどう変わったのでしょうか。
新型ジムニーの、気になる加速性能を先代JB23と比較してお送りします。
ジムニーの加速性能
凹凸のある山道や林道などオフロードを走破できる性能が与えられたスズキ ジムニーなどの車は、オフローダーと呼ばれます。
スズキ ジムニーは伝統的な高剛性ラダーフレームに、悪路でのトラクション性能に特化したリジットアクスルサスペンションを採用し、軽自動車ながら高い悪路走破性能を備えた車。
ファッショナブルなSUVとは一線を隔てる性能が与えられた本格的なオフローダーです。
先代JB23とのメカニズム比較
20年ぶりにフルモデルチェンジが行われ、4代目へと進化したスズキ ジムニー。
先代にあたるJB23型ジムニーは角を丸めたスクエアボディが特徴でしたが、新型ジムニーではさらに水平・垂直基調の内外装へと変更され、見切りの良さとドライバーが車体の傾きを直感的に感じ取れる合理的な形状へと進化されました。
ラダーフレームにはさらなる補強が施され、エンジンは低速トルク重視に改められたR06Aへと換装。
トランスミッションは実績のある複減速機付きの5MTと4ATが引き続き採用され、オフローダーとして性能向上がはかられています。
項目 | 新型ジムニー(JB64) | 先代ジムニー(JB23・最終型) |
エンジン型式 | R06A | K6A |
種類 | 水冷直列3気筒ターボ | 水冷直列3気筒ターボ |
排気量 | 658cc | 658cc |
最高出力 | 64PS/6,000rpm | 64PS/6,500rpm |
最大トルク | 9.8kg・m/3,500rpm | 10.5kg・m/3,500rpm |
内径×工程 | 64.0mm×68.2mm | 68.0mm×60.4mm |
※水冷、直列3気筒、ターボ、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!新旧ジムニーエンジン比較
新型ジムニーに搭載されるR06Aターボエンジンは、スズキ ワゴンRからアルトワークスまでに搭載されるスズキの軽自動車の主力エンジン。
先代ジムニーなどに搭載されていたK6Aエンジンと比べると、ロングストローク化され低速トルクの向上が図られた設計になっています。
徹底した内部フリクションの削減や、圧縮比の向上、燃焼効率の見直しなどが行われ、タービンが過給をし始めるまでのラグタイムを解消し、排気量を拡大したかのようなリニアなトルク特性が特徴です。
先代ジムニーの最終型に搭載されたK6Aエンジンと比べると、ピークトルク発生回転数は3,500rpmでわずかにトルクダウンをしています。
ただトルクの出方を線グラフに表すと、K6Aが3,500rpmをピークに急な傾斜を描いているのに対して、R06Aでは2,000から4,000rpmの間でピークトルクに近い値を維持した、ゆるやかな山なりのトルクカーブになります。
K6Aにくらべ加速の盛り上がりには欠けますが、R06Aのほうが扱いやすいエンジン特性であることが分かります。
新型ジムニーの0-100km/h加速タイム
新型ジムニーの5MTでの0-100km/h加速タイムは18秒ほど。
新型ジムニーの加速は遅い
先代ジムニーの5MTも同じくらいのタイムですが、100kgほど重くなっているにもかかわらず、同等の加速性能を確保している点はR06Aターボエンジンが優秀である証です。
しかし、18秒という0-100km/h加速タイムは、軽自動車といえども遅い部類になります。
ほぼ同じエンジンを搭載するスズキ アルトワークスの10秒を切る0-100km/h加速タイムとは比べるまでもなく、新型ジムニーの加速性能はおよそ軽ハイトワゴンと同じかやや劣るくらいです。
加速が鈍い原因は車の重さ
新型ジムニーの加速性能をスポイルしているのは、ラダーフレームやリジットアクスルによる車重の増加が挙げられます。
他にも、4WDシステムの駆動ロスに、スクエアボディによる空気抵抗。さらにオフロード走行に必要な低速トルクの確保を確保するため、重く設定されたフライホイールなどがエンジンパワーロスの原因になります。
しかし、一番の要因はオフロード向けの低めのギア比。
一般的に低いギア比は、出足の加速や、ギアのつながり、急な傾斜などの高負荷時の発進には有利とされていますが、0−100km/h加速ではシフト回数の増加はダイレクトにタイムロスとなってしまいます。
なおオフロード性能については以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもご参照ください。
ジムニーの走破性を徹底解剖!クロカン・オフロード性能はいかに?!加速性能よりも走破性を重視
オフロードでは絶対的なエンジントルクよりも、右足の裏とタイヤのグリップが直結したようなリニアなコントロール性が求められます。
よって、トルク変動のあるハイブリッドシステムや、空転感の伴うCVTはオフロード走行にはやや不向きな機構。
本格オフローダーとしての役目が与えられるジムニーに求められるのは、一般的な車に求められる加速性能や快適性能とは全く違う性能です。
そもそもスズキ ジムニーとは、乗用車として最低限の機能のみを残した競技車両なのです。
もしジムニーを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!ジムニーの実際の加速感
新型ジムニーに乗った人は、ジムニーの加速についてどう思ったのでしょうか。
Twitterからのツイートから検証していきます。
ジムニーユーザーの感想・評判
【新型 #ジムニー】
乗ったのは5MT。いやー、想像以上にいい車だった。
エンジンに関しては、フラットで乗りやすい。低回転時のトルクもあってエンストしづらいし、小さい交差点を曲がってからの立ち上がりも加速していく。 pic.twitter.com/TaN2GfQnRS— OFF-ROAD CENTER (@ORC_T) 2018年7月21日
新型ジムニーのR06エンジンの特徴でもある、低回転からのフラットトルクで扱いやすいのが特徴。
微低速からの強力なトルクは、街乗りはもちろん、オフロード走行でも強い武器になります。(雪道走行も可能で、詳細は以下の記事をご参照ください。)
ジムニーは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!弁天インターとこのスズキアリーナで新型ジムニー試乗してきました。めちゃくちゃ良いです!軽とは思えない乗り心地と静粛性。ドアの開け閉めもバタン、じゃなくてドンですよ!ただ軽なので加速はね。。。
そしていろいろもらったきた😅 pic.twitter.com/1hRxnpLKQW— ダーリン (@darin131637) 2018年7月12日
ジムニーが採用するリジットアクスル式サスペンションは、デフとホーシングがサスペンションアームの一部として機能するため、純粋な乗り心地では劣る傾向にありますが、一般的な軽自動車にはない、どっしりとした重厚感あふれる乗り味をもっています。
しかし、どうしても重量のかさんでしまうリジットアクスルとラダーフレームは、ただでさえ余裕のない軽自動車の加速を鈍らせてしまう大きな原因になります。
この動画での0-100km/h加速はおよそ18秒。
1速から2速へのシフト時、わずかにホイールスピンをしているので、2速で発進すれば1秒ほどタイムを短縮するができるでしょう。ジムニーの2速ギア比は、およそ一般的な軽自動車の1速に相当します。
先代ジムニーは2〜3速間が離れ気味でしたが、新型では改善されスムースにつながっています。しかし、新型は3速と4速のギアが離れているため、シフト時にわずかに失速しているのが確認できます。
新型はオフロード性能に特化
新型ジムニーの4速と5速ギアは高速巡航用のオーバードライブギアとして割り切った設定とすることで、1速〜3速の使い勝手を向上させています。
新型ジムニーの0-100km/h加速タイムが伸びない原因は、新型ジムニーの真価が発揮できる領域は3速80km/h以下に限定しているため。
フルモデルチェンジで、パフォーマンス全体の底上げがなされたように思われる4代目新型ジムニーですが、実際にはオフロードの走行性能にさらなる磨きをかける形で進化しています。
ちなみにジムニーの魅力はオフロード性能以外にもあります。詳細は以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもあわせてご参照ください。
ジムニーの魅力とは?6つの良さをわかりやすく解説!ジムニーの加速性能を他の車と比較
軽自動車ながら本格オフローダーであるジムニーに直接的なライバルは存在しません。唯一のライバルであった三菱パジェロミニは2012年に生産終了しています。
しかし、世界的なSUVブームを受けて本格的な走行性能を売りにした軽自動車が登場。軽SUVと呼ばれる2台と新型ジムニーを比較します。
スズキ ハスラー Xターボ 4WD
性能項目 | 数値 |
最高出力 | 64PS/6,000rpm |
最大トルク | 9.7kg・m/3,000rpm |
車重 | 870kg(4WD) |
0-100km/h加速タイム | 約12秒 |
スズキ ハスラーは軽トールワゴンとSUVのクロスオーバー。
ボディこそ、一般の車と同じモノコックボディを採用しますが、大径タイヤとストロークが長めのサスペンション、傾斜地でも走破できる深いアプローチ・デパーチャーアングルがつけられた軽SUVです。(走破性の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ハスラーの走破性を徹底解剖!クロカン・オフロード性能はいかに?!エンジンは、新型ジムニーと同じR06Aに加えてマイルドハイブリッドが搭載され加速をアシスト。
トランスミッションはCVTでR06Aの低速トルクを上手に維持しながら加速し、0-100km/h加速タイムはジムニーよりも早い約12秒です。
ブレーキLSDや、ヒルアシスト・ヒルディセントコントロールなどを備え、ラダーフレームのボディ以外はジムニーとほぼ同じ装備が与えられますが、ジムニーと同じ悪路を走るだけの走破性は備えていません。
本格的なオフロード走行はしないけれども、車を使ったアウトドアレジャーやSUVが好きな方にはジムニーよりも広く快適で速い、スズキ ハスラーがおすすめです。
ダイハツ キャスト アクティバ Gターボ
性能項目 | 数値 |
最高出力 | 64PS/6,400rpm |
最大トルク | 9.4kg・m/3,200rpm |
車重 | 890kg(4WD) |
0-100km/h加速タイム | 約14秒 |
軽SUVとして大ヒットしたスズキ ハスラーから遅れて登場したダイハツ キャスト アクティバ。
ハスラーと同じく、大径タイヤと車高を確保したうえで、ブレーキLSDやヒルアシスト・ヒルディセントコントロールに相当する制御を装備し、軽SUVとしては十分な性能を持っています。
エンジンは高い燃費効率を誇るターボエンジンの動力をCVTで伝達し、0-100km/h加速タイムはジムニーより速く、ハスラーよりやや遅い約14秒。
ジムニーほど高いオフロード性能は持ち合わせていませんが、ある程度の林道やオフロードコースも難なくこなしてしまう走破性能はハスラーよりも上でしょう。
加速性能を含めた実用性と、悪路走破性を両立するならキャスト アクティバがおすすめです。
ジムニーについては以下の記事でも取り上げているので、もっと詳しく知りたい方はこちらもあわせてご参照ください。
ジムニーを欲しい人が知るべき6つの欠点!買う前に必ず見てください!絶対読んでください!ジムニーの中古車を購入時の11の注意点!