国内最強の走破性といっても過言ではないスズキ「ジムニー」。
その走破力をもってすれば、「一般道の雪道なんて敵じゃないと思う…けど、実際どうなの?」なんて気になりますよね。
さながら、「ボクサーは本当に喧嘩が強いのか?」といった疑問に近いものがあります。
そこで今回は、ジムニーは一般道の雪道において「どれくらい走れる車なのか?」を、あらゆる角度から分析してみました。
ライバル車とも比較をしてみたので、合わせご覧ください。
ジムニーは雪道での走行はどうなのか?
ジムニーといえば、2018年の夏にフルモデルチェンジしたばかりですが、雪道の性能についてはどうでしょうか?
諸元を参考にしながら、具体的にどのくらい雪道を走れるのか見ていきましょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC ICターボ |
排気量 | 658cc |
最高出力 | 64PS/6,000rpm |
最大トルク | 9.8kgf・m/3,500rpm |
車重 | 1,030-1,040kg |
全長×全幅×全高 | 3,395×1,475×1,725mm |
最低地上高 | 205mm |
駆動方式 | パートタイム4WD |
※水冷、直列3気筒、DOHCエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!走行性能の評価
まずは、雪が降っても走れるのかが気になりまよね。
雪はただ積もるだけではなく、路面を凍結させて発進を困難にしたり、轍(わだち)を作って路面に凹凸を作ったりします。あまりに積雪が多いときは、車が雪で埋もれることも…。
雪道でも安全に走れる車とは、どんな能力が求められるのでしょうか?チェックポイントとして、以下3点を挙げてみました。
- 駆動方式
- 最低地上高
- トルク
さて、ジムニーについてですが、なんとこれらの項目をすべてクリアしているんですね。順番に見ていきましょう。
まず「駆動方式」ですが、いうまでもなく4WDが有利です。それもジムニーの場合は、機械的機構によって駆動する「パートタイム4WD」なので、電子制御4WDのように故障のリスクも限りなく低いんですよ。
「最低地上高」も大切な要素ですね。雪が降ると滑るだけでなく、積雪や轍、雪の塊など、道が荒れた状態になります。
これらを気にせず雪道を走るには、150mm以上の地上高が欲しところ。ジムニーは…なんと205mmという高さ。さすがオフロード車というべきですね。
また、あまりに積雪量が多い場合、「トルク」も必要となります。とくに低速域で発揮できると重宝しますね。
ジムニーはそれほど大きなトルクを発揮するわけではありませんが…サスペンションが「リジットアクスル(車軸懸架)」という構造によって駆動力を補っています。左右の車軸がつながっているので、片方が浮いても空転しません。
というわけで、ジムニーの走行性能は雪道に対して「文句なし!」といえますね。
「牽引ロープ」「スコップ」「スタックラダー」などを準備しておき、スタックした車を助けてあげましょう。
コーナリング性能の評価
続いて評価するのは、ジムニーのコーナリング性能。ウィンタースポーツに出かける人などは、冬の峠道を頻繁に走ることでしょう。
もしコーナーリング性能が悪かったら、事故に遭うこともこともあり、楽しい気分が台無しです。最悪、命に係わる危険性だってあります…。
コーナーは街中にもありますし、コーナリング性能を見極めるチェックポイントはしっかり押さえておきましょう。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
コーナリングでも4WDが有利な気がしますが、実際にはそう大差ありません。
このように感じるのは、強くて重いボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。ようするに、グリップがコーナリングフォース(遠心力)に負けないんです。
しかし、摩擦が極端に少ない雪道では、軽いボデイのほうが有利なんですよ。雪の上ではグリップが強く働かず、コーナリングフォースによって横滑りしてしまいます。
つまり車重が軽い車のほうが、コーナーで思うように旋回できるということ。ジムニーは軽自動車のなかでは重い部類ですが、一般的にいえば軽量クラスなので安心ですね。
次に「重心」ですが、これは低いほど有利。重心が高いと、コーナー旋回中に踏ん張りが利かず、横転してしまうことがあります。
最近の軽自動車は背が高いので、峠道でよく横転していますよね。多いときには、1か所のコーナーで4、5台倒れていることもあるくらい…。
ジムニーは重心がやや高めですが、横転はそれほど心配ではありません。
シャシー(駆動部)とキャビン(居住区)が別体構造をしているのでねじり剛性が強く、内側のタイヤが浮きにくいんです。
これは「ラダーフレーム」と呼ばれるフレーム構造で、多くのオフロード車に採用される仕組み。(詳細は以下の記事をご参照ください。)
ジムニーの走破性を徹底解剖!クロカン・オフロード性能はいかに?!まとめると、軽くてねじりに強いジムニーは、雪道のコーナーにも強い車ということですね。過信してはいけませんが、スピードを抑えれば冬の峠道も快適に走れますよ。
ブレーキ性能の評価
雪道でもっとも怖いのは、「ブレーキを踏んでも止まれないこと」です。周りに車がいなければいいですが、大きな道路でやってしまったら一大事ですよ…。
ブレーキシステムの制動力や、タイヤの性能も重要ではありますが、他にもこんなものが関連しています。
- 車重の軽さ
- 駆動方式
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。
なんとなく、重い車のほうが止まりにくい気がしますよね?たしかに重い物を静止させるには、大きなエネルギーを必要とします。
しかし、大きな荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も増えるんです。
重い車はタイヤサイズが大きいですし、そもそもブレーキシステムが強力だったりしますしね。つまり、車重はブレーキの制動距離に対して、大きく影響していないということ。
これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、これはあくまでもドライ路面における話。雪が積もった道路では適用されません…。コーナリングの話と同じ理屈で、雪の上では推進力がグリップを超えやすいんです。
少し長い話になりましたが、ようするに「軽い車のほうが止まりやすい」ということ。
コーナリングの部分でも触れましたが、ジムニーは比較的軽量な車なので、氷上でも止まりやすいですよ。
四輪駆動というものブレーキ性能には影響していて、アクセルオフやエンジンブレーキの減速力が二輪駆動よりも強く働くんです。
フットブレーキと違って、二輪駆動なら前後のどちらかしか働きませんからね。
したがって、ジムニーはブレーキの性能も高いことがわかりましたね。ジムニーを丁寧に運転すれば、冬でも事故に遭うことはまずないでしょう。
もしジムニーを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!ジムニーの雪道走行での評価
ジムニーの雪道走行については、みなさんどう思っているのでしょうか?
現行モデルはまだ口コミが少ないので、過去モデルに関する感想をTwitterからピックアップしてみました。
北海道の事故はスピード出てるケースが多いので単純に衝突安全性が低いと死ぬ
パワー不足なので雪道や凍結路面が怖い (ジムニーとかのオフローダーは除く)
ガソリンタンクが小さいので立ち往生したらヤバいこんなかんじですかね
実際冬に軽自動車運転するのはすげー怖かったです— ごる (@golgi555) 2018年7月4日
「衝突安全性」「パワー」「タンク容量」…この3つの観点から、冬における軽自動車の危険性を指摘しています。
私も過去に、北海道の冬道を友人の軽自動車で長時間運転したことがあります。それなりに走れはしたものの、常に神経を張るので、やはり疲労感が尋常ではありませんでした…。
しかし、ジムニーは他の軽自動車に比べて、パワフルかつ堅牢なので心配無用。さすがオフロードカーといったところですね。
俺のジムニーは古いだの遅いだのと言われ続けたが、今日の雪道の通勤は本当に気持ち良かった!、やっぱジムニーは悪路のチャンピオンだね😉
— 狩猟ジャンキー (@takeshiworld1) 2018年1月23日
ジムニーの弱点としてよく上げられるのが、「パワー不足」という点です。
駆動力と車体は強力ですが、車重が1tほどあるので加速性能はイマイチ…。(加速性能の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ジムニーの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?そのうえ乗り心地も悪いので、普通の道路において「高性能」とはいえませんね…。
ただし、冬が降ったら話は別。これほど安心して運転できる車は国産車でも数えるくらいです。実際、北海道ではジムニーを本当によく見かけますからね。
ジムニーの動画観たら「次乗り換えるならジムニー一択」ってくらいジムニーはいいぞ。
なんてったってこのド田舎クソ雪国のもはや道ではない雪道でも轍でも余裕で進む。はまらない。
しかも山道なんなく登れちゃう。
しかしながら2ドア……
年よりになったら乗ろう。— ダメウーマン (@tbk_reonaism) 2018年9月27日
「もはや道ではない雪道でも轍でも」…こんな道、普通の車ならまず走ることはできません。公道だけを走るように設計されていますから。
いっぽうジムニーは、普通の道だけでなく悪路さえも視野に入れた構造をしてます。(耐久性の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ジムニーの耐久性が高い4つの理由!強度が半端ない?!なにせ、林道や岩肌さえもガンガン走れますからね。多少の積雪くらい苦にしません。
ジムニーの雪道性能をほかの車と比較
ここで気になるのは、「ライバル車と比較すると、どうなのか?」ということ。
というわけで、同クラスのモデルと雪道性能を具体的に比べてみましょう。今回、比較対象に選んだのはダイハツ「キャスト」、スズキ「ハスラー」の2台です。
ダイハツ キャスト
ダイハツから販売される「キャスト」は、4WDモデルの「アクティバ」を販売するなど、クロスオーバーSUV風のキャラクターも売り出しています。
雪道性能については、どれくらいの実力なのでしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC |
排気量 | 658cc |
最高出力 | 52PS/6,800rpm |
最大トルク | 6.1kgf・m/5,200rpm |
車重 | 890kg |
全長×全幅×全高 | 3,395×1,475×1,630mm |
最低地上高 | 175mm |
駆動方式 | フルタイム4WD |
まず、駆動方式がフルタイム4WDということで、雪道への対応力はありそうですね。
もっとも、モノコックボディ(シャシー一体フレーム)のシャシー構造、独立懸架方式のフロントサスペンションですから、ジムニーほどの走破性はありません。
最低地上高についても、ジムニーのほうが3cm高いですね。積雪が多いときは、ジムニーが断然有利です。ただし、コーナーやブレーキに関しては、100kgほど軽量なキャストがリード。
しかし、ジムニーも一般的な乗用車のなかでは軽量な部類なので、ブレーキ性能に不安はありません。
したがって、雪道性能について優劣をつけるなら、ジムニーに軍配が上がるでしょう。
スズキ ハスラー
同社「ハスラー」も、アクティブなキャラクターで売れているモデルですね。同じメーカーではありますが、雪道性能について比較してみましょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC |
排気量 | 658cc |
最高出力 | 64PS/6,000rpm |
最大トルク | 9.7kgf・m/3,000rpm |
車重 | 820-870kg |
全長×全幅×全高 | 3,395×1,475×1,665mm |
最低地上高 | 175mm |
駆動方式 | フルタイム4WD |
こちらも駆動方式はフルタイムの4WDということですが、シャシーやサスペンションのつくりはキャスト アクティバと同様のものです。
したがって、悪路における走破性はジムニーに及びません。最低地上高もジムニーよりも3cm低く、勝っているのは車重だけ。
つまり、雪道の走行性能はジムニーのほうが上ということになりますね。やはり本格オフロードと比較すると、一歩届かない印象です…。
こちらは女性にも乗りやすい、アクティブながらも可愛らしいエクステリア&インテリアが魅力で、キャストと競合関係のモデルです。
ボディのつくりは似通っているものの、エンジン性能が高いことから、キャストよりも走れる車といえるでしょう。
ハスラーの雪道性能は以下の記事でも解説しています。もっと詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
ハスラーは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!ジムニーは雪道走行する車としては買いか?
というわけで、ジムニーの雪道走行についての解説は以上になります。
まとめると、『雪道を含む、悪路において抜群の性能を発揮するモデル』といった感じですね。
本格オフロードとして長きにわたり研鑽を積んだだけあり、ほかの車とは一線を画す存在といえるでしょう。
したがって、冬に乗る車として断然おすすめできる一台といえます。
ジムニーについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせてご参照ください。
絶対読んでください!ジムニーの中古車を購入時の11の注意点!ジムニーは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!