最近ではハイブリッドモデルに磨きをかけるホンダですが、もちろんスポーティな路線もまだ捨てていません。
その代表的なモデルといえば、やはりシビック タイプRでしょう。
深紅のインテリアに抜群の走行性能が魅力的な一台ですが、現行モデルはとくに加速性能が強化されています。
というわけで今回はホンダのフラッグシップスポーツ「シビック タイプR」について、加速性能という点に注目して解説していきたいと思います。
エンジン性能や0-100km/h加速タイムを参考にしながら、ライバル車とも比較してみたので、ぜひご覧になってください。
シビック タイプRの加速性能
シビック タイプRの加速性能は、国産車でもかなり速い部類です。
もともとは軽量なコンパクトスポーツとして名を高めましたが、現行型は従来よりも大型化し、V-TECエンジンにターボを搭載したハイパワーモデルですからね。
これを踏まえたうえで、シビック タイプRの加速性能を順序だてて解説していきたいと思います。というわけで、まずはこちらの諸元表をご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,995cc |
最高出力 | 320PS/6,500rpm |
最大トルク | 40.8kgf・m/2,500-4,500rpm |
車両重量 | 1,390kg |
PWR | 4.34kg/PS |
TWR | 34.07kg/kgf・m |
0-100km/h | 6.3秒 |
※水冷、直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!補足させていただくと、「エンジン種類~車重」の項目は公式カタログから引用し、「PWR・TWR」は平均重量から算出しました。「0-100km/h加速」のタイムは、オーナーさんの口コミを元にしています。
それでは、具体的な評価を見ていきましょう。
0-100km/h加速タイムの評価
まず注目したいのは、シビックの0-100km/h加速タイムです。静止状態から100mkm/h加速する現実的な状況ではありませんが、加速力をイメージするうえでは使える指標ですよね。
上の諸元表のとおり、シビック タイプRの加速タイムは6.3秒といわれています。
6秒で100km/hに達するのですから、なかなか速い部類ではないでしょうか。オーナーさんの実測値なので正式なタイムではありませんが、実際に動画が投稿されているので信頼度は高いでしょう。
「タイムだけではイメージできない」という人のため、一般車代表ということでトヨタの人気モデルを一覧にしてみました。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
マークX(3.5L) | 5.9秒 |
86 | 7.3秒 |
クラウン(ターボ) | 7.5秒 |
カローラフィールダー | 9.0秒 |
プリウス | 10秒 |
シエンタ(ガソリン) | 12秒 |
このように、乗用車と比較するとどれほど速いかがわかりますね。オーナーさんのなかには「5秒後半で走った」という人もいるので、そのポテンシャルの高さがうかがえます。
なお上記の表にある車種の加速性能については以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
マークXは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シエンタの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?エンジン性能の評価
シビックに搭載されるのは、高出力・高レスポンスが特徴の「VTEC TURBO」エンジンです。
VTECエンジンとは?仕組み/構造は?搭載車はバイクにもあり?!VTECターボエンジンとは?搭載車は?邪道と言われる理由は仕組みにあり!?最高出力は320PS、最大トルクは40.8kgf・mという驚異的な数字。ターボでありながら、低回転からピークまで一気に吹け上がります。
これは、排気側に「可変バルブタイミング・リフト構造(VTEC)」、吸気側に「連続可変バルブタイミング・コントロール機構(VTC)」を採用することで成し得ました。
バルブの開閉を全回転域で緻密にコントロールすることで、低回転・高回転のどちらでも高出力を発揮することが可能です。
また、冷却系にもこだわり抜かれており、エンジン内部に環状の冷却油路を設けてることで、高回転時もエンジン各所を適切にクールダウンすることが可能。エンジンというのは、冷えた分だけ出力が安定しますからね。
こういった繊細な設計によって、シビックはパワフルかつ安定した性能を発揮できるのです。
ボディ軽量性の評価
VTEC TURBOエンジンは、軽量なエンジンとしても有名です。
回転・往復運動部分にて、超軽量クランクトレーンや軽量アルミピストンなどを採用して、徹底して軽量化が施されています。そのためフロント部が非常に軽いため、重量バランスも優れているんですね。
軽量化の徹底ぶりは、もちろんボディにも見られます。新開発の高剛性プラットフォームは、軽量アルミをフロントフードに採用することで、低重心かつ軽量なボデイづくりに貢献。ほかにも、サスペンションにアルミを使うなどの徹底ぶりです。
その軽量性は、しっかりと数字に表れています。それが、「PWR(パワーウェイトレシオ)」「TWR(トルクウェイトレシオ)」という指標ですね。
これは簡単にいうと、出力・トルクに対するボディ重量のこと。「数字が小さいほど加速が速い」と考えるとわかりやすいでしょう。シビックはPWRが4.34kg/PS、TWRが34.07kg/kgf・mという、スポーツカーでも屈指の軽さを誇ります。
さきほどと同様、こちらにトヨタの人気モデルの数値をまとめてみたので、ぜひ比べてみてください。
車種 | PWR | TWR |
マークX(3.5L) | 4.87[kg/PS] | 40.1[kg/kgf・m] |
86 | 6.15[kg/PS] | 58.9[kg/kgf・m] |
クラウン(ターボ) | 6.90[kg/PS] | 47.3[kg/kgf・m] |
カローラフィールダー | 8.29[kg/PS] | 66.3[kg/kgf・m] |
プリウス | 13.98[kg/PS] | 94.5[kg/kgf・m] |
シエンタ(ガソリン) | 12.52[kg/PS] | 94.2[kg/kgf・m] |
もしシビックタイプRを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!シビックタイプRの実際の加速感
数字だけではいまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。オーナーさんの投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。
Twitterで加速感をチェック
我慢できずにシビックタイプR試乗して来た!!
クッソカッコよかった!!
あと、加速がエグいw
吹っ飛ぶかと思ったわwでもすっごいしっかりしてた!
その後のエイトはマジでおもちゃかと思うくらいw
こりゃ納車が楽しみや☺️ pic.twitter.com/ZXrAPuzNZU
— 稜馬 (@beloved_410) 2017年11月7日
シビックなどのスポーツカーは、よくホンダのイベントなんかでも体験試乗ができます。登場した当時は、行列ができるほどの人気ぶりでした。
こちらの投稿者さんは、体験試乗してみて加速のエグさに衝撃が走ったようです。
VTECユニットだけでも強烈な加速なのに、ターボも組み合わせていますからね。まさに「シートに押し付けられる加速」とはこのことでしょう。
シビックタイプRの撮影をしてきました。この車は素晴らしいの一言です!本当にノンストレスに6速どの域からも加速をして行くので、オートマかと勘違いしそうです。慣らしも早々に終わらせて本領を発揮させてみたい所ですね!そしてブレーキホールドとレブマッチシステムがとても素晴らしい! pic.twitter.com/UbQxSHzlzH
— ふくたく@FK8 (@Taku8Marble) 2018年9月23日
力強い加速感もさることながら、シビックのすばらしさはストレスを感じないレスポンシブルな加速にあります。エンジン性能の項で解説した機構が、非常にいい仕事をしているんですよ。
普通、ターボ車というと過給の際の「ターボラグ」によって、スムーズな加速感は味わえません。
ターボラグとはどんな意味?起こる原因と解消する対策について解説!たしかにターボ車は速いのですが、1テンポ遅れてやってくる加速感が好みに合わず、NAのほうがいいという人も多いですからね。
その点シビックは、全領域でスムーズに高出力を発揮するため、運転していてストレスを感じにくいです。さすがはホンダといったところでしょう。
たまたまだけどシビックタイプRの試乗車に乗ったけど、あの加速ヤバイね‼️
VTEC最高✨欲しくなっちゃったよ~😍
でも只今、9カ月待ち。
人気過ぎるスタッドレスがタイヤホイールで70万前後っていうのが、、、😱
セカンドカーをフィットにでもするかっうちの家、全てホンダ車になるね❤️ pic.twitter.com/Zcyb7LwKyd
— Chi-A (チエ) (@taratarako42) 2018年9月25日
それゆえに、2018年9月の時点でもまだまだ9か月待ちという状態です。おそらく、こちらの投稿者さんのように、試乗してハマった人もたくさんいらっしゃることかと。
従来のモデルに比べてかなり高額なモデルになりましたが、加速性能をはじめ、高くなっただけのことはある一台なのです。
You Tubeで加速感をチェック
こちらは、加速時のメータ-を撮影した動画です。こちらの動画によると。0-100km/h加速は6.3秒という測定結果になっていますね。
私がまず思ったのは「針の動きが速い」ということ。メーターのレイアウトもありますが、エンジンの回転がとてつもなく速いです。
あと、音がとてもいいですね。運転席でも聞こえてくる、このスポーティなサウンドがたまりません。
メーター撮影の動画だけでは味気ないので、主観ドライブの動画も探してみました。こちらは、外国で撮影されてものでしょうか?
道路の景色が入ると、実際の加速感がよくわかりますね。景色の流れがとても速いです。ミッションさばきや目視の感じが味わえるので、見てるだけでシビックを運転している気分になれますね。
シビックタイプRの加速性能を他の車と比較
加速感についてご覧いただいたところで、続きましてライバルと呼ばれる国産車と、その実力を比較してみたいと思います。
今回比較してみるのは、シビック タイプRと同じくスポーツカーとして販売される現行車のトヨタ「86」、日産「フェアレディZ」、スバル「WRX」の3台です。
トヨタ 86
まず比較してみたいのは、大人気のトヨタ「86」です。スポーツカーとしては比較的廉価であることから、幅広い層の人にウケていますよね。街で見かけない日はないほどに、よく走っています。
NAのFRスポーツということで、現行のシビック タイプRとはキャラクターが異なりますが、加速性能はどちらが上でしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | 水平対向4気筒DOHC |
排気量 | 1,998cc |
最高出力 | 200PS/7,000rpm |
最大トルク | 20.9kgf・m/6,400-6,600rpm |
車両重量 | 1,270kg |
PWR | 6.35kg/PS |
TWR | 60.7kg/kgf・m |
0-100km/h | 7.6秒 |
2.0L NAモデルということで、特筆するほど高性能ではありませんね。出力・トルクは完全にシビックが勝っています。
86のほうが100kgほど軽量ではあるのですが、PWR・TWRもシビックには及びません。とくにTWRの差はかなり大きく、これは加速性能において決定的です。
0-100km/hのタイムでもリードしていますし、これはシビックのほうが加速が優れているとみて間違いないでしょう。
なお86については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
トヨタ86(ハチロク)の試乗レビュー・感想!乗り心地はいかに?!【画像/写真】トヨタ86の内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!日産 フェアレディZ NISMO
「GT-R」をはじめ、スポーツカーに力を入れている日産。価格などを考慮すると、シビック タイプRのライバルは「フェアレディZ」が挙げられるでしょう。
排気量に差があるものの、国産の現行スポーツモデルとして、ぜひ比較してみたいところ。それではフェアレディZの性能を見てみましょう
項目 | 諸元 |
種類 | V型6気筒DOHC |
排気量 | 3,696cc |
最高出力 | 355PS/7,400rpm |
最大トルク | 38.1kgf・m/5,200rpm |
車両重量 | 1,540kg |
PWR | 4.34kg/PS |
TWR | 40.42kg/kgf・m |
0-100km/h | 5.1秒 |
大排気量から繰り出されるパワーは最高355PS、最大38.1kg/kgf・mという強大さですが、シビックのほうが数値は高く、加えてボディも軽いですね。
一見するとシビックの圧勝のように思えますが、加速タイムで見るとフェアレディZのほうが速いんですよね。
これは大排気量ゆえの高出力と、FR駆動であることがキーポイント。発進時はリアにトラクション(荷重)がかかるため、FFよりもFRモデルのほうがグリップ力が働くんですよ。シビックはあくまでもFFですから、その点不利というわけ。
さらにNISMOチューンのフェアレディZは、通常のモデルよりもエンジンのセッティングがスポーティに仕上げられているので、加速にも強いです。こういった理由から、フェアレディZのほうが加速性能が高いといえるでしょう。
なおフェアレディZの加速性能については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
フェアレディZの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?スバル WRX STI
最後に比較するのは、スバルのフラッグシップスポーツ「WRX STI」です。
かつて、ラリー界の頂点に立ち、今でも熱烈なファンを抱える超硬派モデル。AWDですから発進にはめっぽう強く、国産車でも類を見ない加速性能を誇ります。
同じターボモデルということで、ぜひシビック タイプRと比較してみたいところですね。
項目 | 諸元 |
種類 | 水平対向4気筒DOHC16バルブ ICターボ |
排気量 | 1,994cc |
最高出力 | 329PS/7,200rpm |
最大トルク | 44.0kgf・m/3,200-4,800rpm |
車両重量 | 1,480kg |
PWR | 4.50kg/PS |
TWR | 33.63kg/kgf・m |
0-100km/h | 4.7秒 |
パッと見て、数値のすごさに驚かれますね。最高329PS、最大44.0kg/kgf・mに達するエンジン性能は、まさに国産車トップクラス。ボディも1,500kgを下回るため、PWR・TWRも非常に優秀です。
当然0-100km/h加速も驚異な速さで、タイムは4.7秒をマークしています。ノーマルの状態では、とてもシビックに勝ち目はありませんね。
数値的には大きな差は感じられませんが、タイムでこれだけ差がついているのは、やはり駆動方式に原因があるとみていいでしょう。WRXは、スバルお馴染みの「シンメトリカルAWD」によって常時前後輪が駆動するので、発進加速が強力です。
したがって、加速性能はWRXに軍配があがります。
なおWRXについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
スバルWRXとはどんな車か?読み方から9つの特徴まで解説!WRX STIの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?ピカイチの加速性能をもつスポーツカー
というわけで、シビック タイプRの加速性能については以上になります。
WRXなど、国産最高峰のと比較するとやや劣りますが、それでも国内で10本の指には入るモデルです。
なにより、気持ちのいいドライブが楽しめる車なので、加速フィールングのいい車に乗りたいなら、非常におすすめの一台ですよ。