ハイブリッドカーはエンジンとモーターを使って走る車で、高い燃費性能を持つことが特徴です。
そんなハイブリッドカーですが一般道では高い効率を持っているのですが、一方で高速道路などでの高速走行はどうでしょうか?
今回はハイブリッドカーの高速走行についてご説明します。
ハイブリッドカーの高速道路走行の性能
ハイブリッドカーのイメージは従来の車より燃費が良いというものが一般的で、特に日本ではハイブリッドカーは非常に人気な車種に成長しました。
実際ハイブリッドカーの元祖であるトヨタ プリウスはカタログ燃費で40.8km/Lを達成しており、従来の同クラスのガソリンエンジン車の燃費が20km/L〜25km/Lであることを考えるとかなり燃費が改善できる技術といえます。
ですが実はハイブリッドカーは高速走行が苦手という特徴があり、高速走行では燃費が悪化傾向にあります。
それはハイブリッドカーの構造と特徴に関係していますので、まずは簡単にそのあたりをご説明します。
エンジンの苦手な領域
ハイブリッドカーは燃費が良いというのは誰でも知っている特徴ですが、それを実現しているのはエンジンの持つ効率の悪い面を電動モーターで補助するというハイブリッドシステムにあります。
ハイブリッドカーとは?メリット6つとデメリット/問題点11つ特徴をわかりやすく解説!自動車に使われるガソリンエンジンやディーゼルエンジンは、車の速度にあわせて低回転から高回転まで広い領域で活用されるものですが、その全域でエンジンの効率がよいわけではありません。
エンジンは低回転向きや高回転向きなどその用途にあわせてセッティングができるのですが、自動車用のエンジンは高回転向きにセッティングされていることが多いです。
高回転向きのエンジンはその特徴として最高出力が高くなるので、自動車のカタログスペック上の出力が高くなり車の魅力に繋がります。
ですがそのデメリットとして低回転域ではエンジンの効率が低下し、その結果車の燃費が悪化することになります。
自動車を運転したことがある人なら経験はあるかもしれませんが、高速道路を走行すると実燃費がグンと伸びるのはこの特徴があるからで、一般道を走行している時というのは結構燃費が悪い状態です。
そこでハイブリッドカーはこの効率の悪い領域を改善するための技術といえます。
ハイブリッドシステムの構造
ハイブリッドシステムは既存のエンジンに電動モーターや駆動用バッテリー、インバーターなどの電動部品を追加したシステムです。
詳しくはハイブリッドカーを説明している以下の記事を参照いただきたいですが、ハイブリッドカーの燃費改善を行っているのは電動モーターによる走行領域をもたせることです。
ハイブリッド車の仕組み/構造を簡単にわかりやすく解説!言葉の意味が重要?!エンジンの効率が特に悪い低回転領域をモーターだけで走行することでエンジンを停止させ、燃料消費を完全に無くすことができます。
モーターで走行できる時間がながければ長いほど燃費は良くなりますが、そのモーターを駆動させるための電力も車の走行時に生み出されます。
モーターの駆動用バッテリーの充電は「回生ブレーキ」というシステムがあり、これまで車の減速時に無駄になっていたエネルギーを電力として回収しています。
ブレーキで減速するときというのはエンジンで生まれた走行エネルギーを熱エネルギーに変換して速度を落としており、エンジンのエネルギーを無駄にしていたのですが、それをモーターを逆回転して発電する際の抵抗として使うことでブレーキの補助をします。
そしてそこで発電した電気で走行することで、エンジンの無駄をなくすことも可能となっています。
ハイブリッドシステムの主な働きは上記の2つで、どちらもエンジンの無駄を減らして効率を高め、結果的に燃費を向上させています。
ハイブリッドシステムの苦手な領域
さてハイブリッドシステムは車の効率を大きく高めることが出来ますが、一方で苦手としている領域もあり、それが高速領域です。
ハイブリッドシステムでエンジンを補助しているのは主にエンジンの低回転時で、回転数や速度が上がっていくとエンジンが再始動してエンジンメインで走行をします。
モーターもエンジンを補助しますがバッテリーの充電がある間だけであり、高速道路での走行時にはほとんどモーターは走行に関与しません。
また回生ブレーキによる充電も車が減速しなければ行えないので、高速道路での走行時には減速する機会が少なく充電はそこまで効率的に行なえません。
また速度を落としたときに回生ブレーキが働いても、そこで充電された電力は加速時にモーターで使用されるので、エンジンを補助する以上の使い方が出来ないのです。
ハイブリッドカーに搭載されているエンジンももともと燃費が良好なエンジンなので、従来の車よりも高速燃費が悪化するだけではありませんが、ハイブリッドカーのメリットは活かされないのです。
ハイブリッドカーでの高速道路走行のメリット
ハイブリッドカーはその構造上では高速道路走行に適した車とは言えませんが、それでもエンジンの効率の高さからある程度の燃費は確保できます。
ハイブリッドカーのエンジンの多くはアトキンソンサイクルという効率重視の設計となっており、エンジン性能としてとくに燃費を重視したものとなります。
ですがその一方でエンジンの最高出力や最高速度などが控えめになっているので、ハイブリッドカーの高速燃費を伸ばすためには余り速度を挙げない走り方が必要になります。
従来のガソリン車などのように高い速度で走るのではなく、一定速度で常に走るのが重要で、ハイブリッドカーにあわせた走りをすれば燃費はそこそこ出るでしょう。
なお燃費については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッド車は燃費が悪い?低燃費車を比較してランキング形式で紹介!ハイブリッドカーでの高速道路走行のデメリット
さてハイブリッドカーは高速道路で燃費改善効果が悪いということはご説明しましたが、その他のデメリットについてもう少し詳しくご説明しましょう。
重量増大による燃費への悪影響
ハイブリッドカーに搭載されているハイブリッドシステムは部品の重量が重く、普通のガソリン車やディーゼル車に比べるとハイブリッドカーは車重が重たくなります。
「ハイブリッド」vs「クリーンディーゼル」の違い8つ!燃費や維持費まで比較!重たい車は当然ながら車を走行させるときにエネルギーを多く使うので、燃費には悪影響が大きいのです。
ハイブリッドシステムの
- モーター
- インバーター
- 電線
などには銅線が多く使われているのですがこれは非常に大きな重量増の原因となります。
また駆動用バッテリーも構造的には金属の塊のようなものなので、車の部品の中でもとくに重量のある部品となります。
これらハイブリッドシステムのトータル重量は100kg前後にものぼり、車の軽量化が重要とされている中において大きなデメリットとなります。
一般道路での走行であれば重量が重たくてもハイブリッドシステムの燃費改善効果のほうが上回りますが、高速道路での走行では重量増のほうが影響が強く燃費を悪化させる原因となります。
エンジン回転数が高めになると燃費が悪化
ハイブリッドカーでも一定の条件を整えれば高速走行でもある程度の燃費は確保できますが、そういった走り方を徹底しなければ燃費は悪化することになります。
高速道路での走行時はどうしても速度が出がちになるもので、周りの速度が早いとそれにつられてしまうことも多いです。そうなるとエンジンの回転数がどうしても高めになってしまうので、燃費はより悪化傾向になります。
とくにそれまでハイブリッドカーでない車で慣れている人などは、車の走り方が確立されてしまっていることも多く、どうしても速度が出がちとなります。
またハイブリッドカーであっても速度を出した走り方をする人も多く、ハイブリッドカーに期待された燃費性能は高速道路では発揮できません。
もしハイブリッドカーを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
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ハイブリッドカーの高速道路での実燃費は道路条件や渋滞の有無、ドライバーの走り方によって結構大きく変わってきますが、一般的な走行条件での実燃費がどのぐらいかみてみましょう。
車はハイブリッドカーの代表格であるトヨタ プリウスを取り上げます。現行のトヨタ プリウスのカタログ燃費は37.2km/L〜40.8km/Lとなっており、国産車だけでなく海外車含めてもトップの燃費性能を持っています。
プリウスの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!そんなプリウスの一般道路での実燃費と高速道路での実燃費をまとめました。
トヨタ プリウス実燃費 | 燃費 |
カタログ燃費 | 37.2km/L〜40.8km/L |
一般道路 | 30.0km/L〜28.0km/L |
高速燃費 | 28.0km/L〜26.0km/L |
一般的に自動車の実燃費はカタログ燃費の3割減程度となっており、プリウスの実燃費もおおよそその程度となります。
それでも一般道路での実燃費が30km/L程度というのは非常に良好な燃費であり、ハイブリッドカーの効果は非常に良いのは確かです。
また高速道路での燃費も決して悪いわけではなく、一般道路の燃費から1割減程度となっています。
これからも確かにハイブリッドカーは高速燃費が悪化する傾向にあるのは確かなのですが、燃費自体は決して悪いわけではないのです。
普通のガソリン車が高速燃費のほうが良くなることからハイブリッドカーは高速燃費が悪いとよくいわれるのですが、実際の燃費の値としてはハイブリッドカーも悪くはありません。ですがそれも車の走り方によってはもっと悪化する場合もあります。
ハイブリッドカーの高速道路の走り方
ハイブリッドカーで高速道路を走る際には効率的な走り方があり、燃費を重視するなら走り方を気をつけなくてはなりません。
ハイブリッドカーでの高速燃費を良くするためにはとにかく速度を一定以上に上げないことで、80km/h程度の低速走行を続けることが燃費を保つ方法です。
とくにハイブリッドカーで100km/h以上の速度となると燃費は一気に悪くなり、25km/L〜20km/L前後まで落ちてしまいます。
これには前述したエンジンの効率や重量の重さなどが関係しています。またこれは普通の車にもいえることですが、加速と減速を急速に行わないことでも燃費を保つことが出来ます。
加速や減速時にはエンジンの回転数が急激に上下するので、加速時には燃料消費量が増え、それを減速時にロスするので燃費が悪化します。
ハイブリッドカーは減速時のロスはある程度減らすことはできますが、それでも加減速は燃費に対して大きく悪影響を与えています。
まとめるとハイブリッドカーの燃費を悪化させないためには80km/L前後で一定速度で走行することに徹することであり、周りの車にあまり引っ張られずに燃費走行を続けることでしょう。
高速道路の走行に最適なハイブリッドカー
では最後にハイブリッドカーの中でも高速燃費が比較的良好な車をいくつかご紹介しましょう。
トヨタ プリウス
まずは前述でも挙げているトヨタ プリウスですが、絶対的な燃費の良さからこの車を挙げないわけにはいかないでしょう。
現行プリウスの高速燃費は前述したとおりですが、昔からプリウスの高速燃費にはよく不満が言われており、これまで4代に渡ってプリウスは高速燃費を改善してきています。
初期のプリウスはエンジンの排気量が小さかったこともあり、高速走行ではエンジン回転数が高めとなることで燃費が悪化していました。
そこで現行プリウスの前型である3代目プリウスからエンジン排気量を1.5Lから1.8Lに拡大し、高速燃費の改善を行っています。
その結果最新型プリウスではかなり良好な燃費を発揮する結果となっており、乗り方をハイブリッドカー向けにすれば高速燃費もそんなに悪くはならないでしょう。
なおプリウスについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プリウスの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!新型プリウス(50系後期)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!ホンダ フィット ハイブリッド
フィットハイブリッドはホンダを代表するコンパクトカーで、現行型は2代目となります。
フィットハイブリッドのカタログ燃費はプリウスなどに次ぐ37.2km/Lを記録しており、前型車から大幅に燃費を向上させた車です。
1.5LエンジンにはDCT(ダブルクラッチトランスミッション)が組み合わされ、ハイブリッドカーとしては珍しい組み合わせとなっています。
DCTは高速走行時の効率が良いトランスミッションで、ハイブリッドカーであってもその効果はあります。
フィット ハイブリッド実燃費 | 燃費 |
カタログ燃費 | 28.0km/L(4WD)〜37.2km/L |
一般道路 | 24.0km/L〜25.0km/L |
高速燃費 | 26.0km/L〜27.0km/L |
フィットハイブリッドにはプリウスと違って4WDのグレードがあり、カタログ燃費の最低値は少し低いですが、売れ筋の2WDモデルはかなり良好なカタログ燃費を持ちます。
実燃費に関しては25.0km/L前後となかなか良好で、コンパクトハイブリッドカーとしては十分な性能でしょう。
高速燃費も一般道路の1割増し程度は確保されており、全体的に良好な実燃費を持つ車です。
なおフィットについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
フィットの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!フィットの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!トヨタ アクア
トヨタ アクアはプリウスよりワンランク小型のコンパクトハイブリッドカーで、フィットハイブリッドと同クラスの車です。
エンジンの排気量も同じでカタログ燃費でも同クラスということで、高速燃費も期待できる車です。
フィット ハイブリッド実燃費 | 燃費 |
カタログ燃費 | 34.4km/L〜38.0km/L |
一般道路 | 26.0km/L〜27.0km/L |
高速燃費 | 27.0km/L〜28.0km/L |
アクアの実燃費はフィットハイブリッドよりわずかに良くなっており、もともとのカタログ燃費の差が表れています。
高速燃費も27.0km/L程度まで伸びており、コンパクトカーではトップクラスでしょう。アクアのハイブリッドシステムは基本的にプリウスと一緒ですが、エンジンの排気量は少し小さくなります。
ですが車自体が小型で軽量なので実燃費への影響はそこまでなく、ほぼ同等の良好な実燃費を実現しています。
なおアクアについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アクアの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!アクアの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!