ホンダ ジェイドはホンダが販売する5ドアミニバンで、背が低くスタイリッシュでありながら6人乗車が可能な車です。
ステップワゴンと共にホンダの主力車種に位置付けられるジェイドですが、どうやら販売は非常に不調で当初の月間販売予定台数を大幅に未達しているようなのです。
今回はホンダ ジェイドが不人気な理由をご説明しましょう。
ジェイドは不人気で売れてない
ホンダ ジェイドは2015年に登場した比較的新しい車で、それまでラインナップにあった4代目オデッセイとストリームを統合する形で生まれました。
ホンダの人気車種だったオデッセイの流れを受けた車なので人気が出るかと思いきや、その販売台数はこれまで一度も3000台の月間予定台数に達したことはなく、現在では月間3桁台の販売台数と悲惨な状況です。
なぜこんなに販売が不調なのかについては後述するとして、まずは販売台数のデータを表にしてみましょう。
ジェイドの登場は2015年2月なので2月~4月の月間販売台数と、それ以降は年間販売台数をまとめます。
年月 | ジェイド販売台数 |
2015年2月 | 2,789台 |
3月 | 2,174台 |
4月 | 681台 |
2015年 年間 | 12,656台 |
2016年 年間 | 6,520台 |
2017年 1月~10月 | 1,779台 |
ジェイドの当初の月間販売目標台数は3,000台だったのですが、登場した2月ですでに台数は割り込んでしまっています。
しかも2月、3月はそれなりに2,000台程度は出ていたものが4月に入り激減してその後もずっと低調なままです。
2015年だけでも年間販売台数はわずか12,000台と登場1年未満の車とは思えない丁重ぶりですが、2016年、2017年とさらに悪くなり、2017年は月160台前後しか売れない超不人気車種になってしまいました。
一応ホンダのラインナップにはまだ残っているものの、CMはおろか広告もほとんどなく、いつ消えてもおかしくない車種です。
ジェイドがここまで不人気なのはれっきとした理由がありますが、車の問題というよりはホンダの戦略性のなさが大きな原因なのです。
次はその辺りの事情をご説明していきましょう。
ジェイドが売れてない理由
ジェイドが売れていない理由をご説明する前に、ジェイドという車について簡単に解説しましょう。
ジェイドはこんな車
ホンダ ジェイドはミニバンカテゴリーに属する車ですが、現在主流のトールサイズミニバンではなく、背の低いステーションワゴンタイプのミニバンです。
これは4代目のオデッセイまでと同じコンセプトであり、車高が低くスタイリッシュなボディと大人数が乗れるミニバンの利便性を兼ね備えた車で、トールサイズミニバンが主流となる前にはよく見られたコンセプトです。
ちなみに現在の5代目オデッセイは、ホンダミニバンのフラッグシップモデルとしてトールサイズミニバンにサイズアップしてしまいました。(オデッセイの詳細は以下の記事でも解説しています。)
【画像】オデッセイはかっこいいのか?デザインについて徹底分析!ジェイドのボディサイズは日本の立体駐車場におさまるように決められており、都心部でありがちなタワーパーキングの制限車高1,550mmにひっからないように、前高を1,530mmにおさえています。
またシートレイアウトは変則的な3列シートで、2列目3列目ともに2人掛けのセパレートシートで6人まで乗車できます。
デザインはシンプルながらホンダらしいカッコいい一体感をもっており、ミニバンとは思えないスポーティさです。
またホンダの得意技術である低床・低重心レイアウトはジェイドの走行性能をしっかり確保しており、ハイブリッドや上級グレードのRSなどハイパフォーマンスなモデルまであります。6,520台おり、決して悪い車ではありません。
項目 | ジェイド | ステップワゴン |
タイプ | 5ドアミニバン | 5ドアミニバン (スライドドア) |
乗車定員 | 3列 6人乗り | 3列 7人/8人 |
エンジン | ・RS:L15B型 1.5L 直4 DOHC ・ハイブリッド :LEB型 1.5L 直4 DOHC | ・ガソリン車:L15B型 1.5L 直4 DOHC VTECターボ ・ハイブリッド(スパーダのみ) :LFA型 2.0L 直4 DOHC VTEC |
全長 | 4,650mm | 標準:4,690mm スパーダ:4,760mm |
全幅 | 1,775mm | 1,695mm |
全高 | 1,530mm | FF:1,840mm 4WD:1,855mm |
車重 | 1,510kg | 1,630 – 1,820kg |
価格帯 | 2,530,000円〜 2,920,000円 | 2,455,920円〜 3,559,680円 |
※VTECターボ、直4、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
VTECターボエンジンとは?搭載車は?邪道と言われる理由は仕組みにあり!?直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!しかし実際には不人気車となってしまっており、次のような車のでき以外の点が問題なようです。
ジェイドが不人気車の理由
ジェイドが不人気車になってしまった原因については、主に市場環境とホンダの戦略性のなさの2つがあり、両方が重なった結果ジェイドは月百数十台という超低調な売れ行きになってしまっています。
トールサイズミニバンが大人気
現在ミニバンといえばトールサイズといわれるほどこのサイズのミニバンは大人気であり、そのせいでジェイドのような背の低いミニバンというのはそもそも市場で人気がなくなってしまっています。
かつてはファミリーカーといえばステーションワゴンが主流であり、ミニバンもその流れを受けて背の低い車種が数多く生まれました。
ホンダはオデッセイやストリームといった車種を展開させて好評な販売を記録し、ジェイドのような車種は一定の顧客層がいるカテゴリーではあります。
しかし日産 エルグランドやトヨタ アルファードなどが作り出したトールサイズミニバン市場は年々人気が上昇。(車の詳細は以下の記事をご参照ください。)
エルグランドの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!アルファードの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!車は大きいながらも多人数乗車ができ、荷物もたくさん積めるトールサイズミニバンは瞬く間にファミリーカーの主流となってしまい現在に至ります。
エルグランドやアルファードよりワンサイズ小型のミドルサイズミニバンも各自動車メーカーの主力車種となり、ホンダではステップワゴンがその位置付けです。
トールサイズミニバン市場が年々拡大して販売台数が増える一方で、背の低いジェイドのようなミニバンはどのメーカーでも人気が落ちており、乗り換え需要もトールサイズミニバンに流れています。
そんな市場環境のなかではいくらジェイドのできがよくても販売は見込めず、スタイルよりも利便性の高いトールサイズミニバンに顧客が集中した結果、ジェイドは大幅な販売不振に至っているのです。
新型ステップワゴンとの発売時期の重なり
ジェイドが市場環境にいまいちマッチしていないことはありますが、それに加えてジェイドの発売時期がステップワゴンのフルモデルチェンジと重なるというホンダの戦略性のなさが販売不振に拍車をかけています。
※ステップワゴンの詳細は以下の記事をご参照ください。
ステップワゴンの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ジェイドの発売は2015年2月ですが、ステップワゴンのフルモデルチェンジは2015年4月であり、わずか2ヶ月のうちに性格の違うミニバンが2車種新発売されたことになります。
普通どんな車種でも発売後数ヵ月は販売台数が好調なものですが、ジェイドはわずか3ヶ月後に3桁台に落ち込んでいるのは、間違いなくステップワゴンに顧客が流れた結果でしょう。
車としての人気はステップワゴンのほうが高く、後述する価格面でもメリットがないのであればジェイドの販売が不振になるのも当然です。(ただ人気はすごく高いわけではなく、売れ行きはいまいちです。詳細は以下の記事をご参照ください。)
なぜ売れないのか?ステップワゴンが不人気な3つの理由を解説!こういう事態になるのは当のホンダが一番わかっているはずなのですが、ホンダの悪いところである戦略性のなさが露呈した結果といえます。
価格は割高感がある
ジェイドは価格面でも割高感があり、前型車であったストリームより高くなっただけでなく、ステップワゴンとの価格差もほぼなくなってしまいました。
ジェイドのようなローボディのミニバンの価値観のひとつに、トールサイズミニバンより小さい分価格が控えめなことがありました。
同程度の人数が乗れて天井は低く少し狭いものの、値段が安いという点で差別化されていたのです。
しかしジェイドはステップワゴンと最低価格がほぼ同額となってしまいその価格差のメリットがなくなってしまっているのです。
加えて前述した発売時期まで同じとなると、多くの人が広くて使い勝手の良いステップワゴンに流れてしまうのも自然なことですよね。
ジェイドにはジェイドの良い点があるとはいえ、トールサイズミニバンより安くなければあまりメリットは感じませんので、ジェイドの販売台数が延びないのは当然です。
ただ正しいやり方で値引き交渉をすれば、もう少し安い価格でジェイドを購入できます。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!シートレイアウトがいまいち
ジェイドは6人乗車が可能なミニバンですが、そのシートレイアウトが独特で使い勝手はいまいちです。
ジェイドは3列シートでありながら6人乗車なので、それぞれの列に2人ずつ座れるセパレートシートになっています。
2列目に3人乗れるベンチシートはフル乗車すると狭くなりセパレートシートのほうが高級感が出るのですが、ジェイドの使い方の場合3列目はあくまでサブ座席のような位置付けなので、普段は折り畳まれていることが多いのです。
ということは通常は4人乗車がメインとなり、5人以上乗る場合には3列目を使わざるを得なくなるのです。
さらにジェイドの2列目から3列目はウォークスルーできるわけではないので、乗り降りも結構大変です。
とはいえジェイドクラスの車では使い勝手はほぼ変わりませんが、発売同時期にもっと便利なステップワゴンがあっては、2列目の豪華さより使いづらさが嫌でも目についてしまいます。
中途半端な立ち位置
ホンダにはステップワゴンやジェイド以外にも多人数乗車できる車種があり、いまいちジェイドの立ち位置が中途半端です。
ホンダのミニバンにはホンダ1、2を争うほど売れ行きの良いフリードがあります。
フリードはジェイドより小型のミニバンですが、デザインはスタイリッシュでさらにジェイドと同じく6人乗車ができます。(フリードの詳細は以下の記事をご参照ください。)
フリードの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!そして価格は1,800,000円台からと圧倒的に安く、ホンダでミニバンを探す人は一度はフリードを検討するでしょう。
そしてその上にはジェイドと、同じ価格帯のステップワゴンがいるのですから、ジェイドの存在感はどうしても薄くなります。
またジェイドのようなワゴンタイプの車では、同じハイブリッドシステムを積み車体寸法もほぼ同じのシャトルがあります。
こちらは2列シートで5人乗車までですが、広い荷室と1名分しか変わらない乗車定員ではシャトルのほうが使い勝手はよい点も多そうです。
シャトルも価格は1,770,000円からとジェイドよりかなり安く、質感などで劣るもののコスパは最高です。
シャトルの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ジェイドは車の完成度は高くよい車なのですが、いかんせん器用貧乏的なところがありホンダのなかでも競合車がでてしまいます。
これで価格的なメリットがステップワゴンよりあれば話は違うのですが、それもないのでジェイドに向かうユーザーは別のホンダ車を選んでいるのです。
ホンダは昔からニッチな顧客層向けの車を出していましたがいずれも売れ行きは悪く、ジェイドもそうした車種のひとつ担ってしまったと言えるでしょう。
ジェイドは走行性能が良いデザインも良い買いの車
何度も前述しているのように、ジェイドの車としての完成度はデザイン的にも機能性的にも高いものがあり、ジェイドを所有すれば結構な満足感は得られるはずなのです。
とくに走行性能はミニバン以上のものがあるので、ファミリーカーでも走りがほしい人にはなかなかうってつけの車といえます。
しかし車の利便性とコストパフォーマンスを考えるとジェイドが選択肢から外れがちになるのは当然で、そうなったら素直に別の車をおすすめします。
ジェイドをおすすめしたい人は、ミニバンと言えどもカッコいいスタイルを求める人や、走行性能がほしい人などです。
ちなみにジェイドは圧倒的な不人気車ですので、在庫を持ちたくないディーラーでは大きな値引きが期待できるかもしれません。
また低走行の新古車や展示車なども狙い目だったりします。
そういう意味では状態のよい中古車としてのコストパフォーマンスはあるのかもしれません。
なおホンダ車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ヴェゼルの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!フィットの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!