「雪道に強い自動車メーカーといえば?」
こう聞かれたら、多くの人が「スバル」と答えるかと思います。
実際、雪国へ行くとスバル車を多く見かけますしね。
しかし、具体的に「どんな理由で雪に強いのか」知らない方が多いんじゃないでしょうか?
今回は、そんなみなさんの疑問を解明すべく、スバルが雪道に強い3つの理由について、具体的に解説していきたいと思います。
Twitterの投稿や、車種ごとの性能、そして他メーカーとの比較なども調べ上げたので、ぜひ最後までご覧になってください。
スバルの雪道走行性能の実態
まずは、スバルオーナーさんの感想を見ていきましょう。いくつかピックアップしてみたので、参考までにご覧ください。
今回の旅行での愛車、スバルXV
昔乗っていたSVXを彷彿させるコントロール性の高さと雪道でも踏める安心感。
SUVなんて、と言う気持ちはあったけど、雪国なら十分にアリです。
これは本当に良いクルマですね。 pic.twitter.com/ayJGQgbe4r— エヌ氏 (@Alfa_Brera) 2018年1月29日
SUVが流行っているこの頃ですが、やはり人気なのはスバル。こちらの方はレンタルカーで雪道を走ったようですが、普段スバル車に乗っていない人ほど、その安定性を痛感するようです。
フルタイム4WDということですが、意外にも燃費は悪くないので、街乗りにも十分使えます。ですがやはり真価を発揮するのは雪が積もってからのようですね。
今回の雪はスバルのシンメトリカルAWDの強さを感じられた
あらゆる雪道でもスタックする事なく普通に走れるスタッドレスとスバルの四駆の組み合わせは素晴らしい pic.twitter.com/KYaI234YRy— 純一 (@jsnoraneko) 2018年1月24日
シンメトリカルAWDという言葉がでてきましたね。のちほど詳しく触れますが、このスバル独自の4WD機構は本当に優れており、他社から乗り換えた人の多くが感動しています。
みんな合流して朝から3台で雪道ツーリングからのスキー場駐車場にてスバルの法則! pic.twitter.com/3IsPlFOPvQ
— けんた (@ken_sj5_8413) 2017年12月30日
これだけ優れているのですから、雪の降るレジャー先では、おのずとスバル車ばかりが並びます。私が過去に北海道に住んでいたころも、先々の駐車場で似たような光景を見たものです。
スバルが雪道に強い理由
スバル車への生の声がわかったところで、さっそく「雪道に強い3つの理由」について見ていきたいと思います。
少しばかり用語が出ててくるので、簡単な説明を交えながら解説していきましょう。
「シンメトリカルAWD」が生む安定感
ご存知のとおり、スバルは4WDの採用率が非常に高いんですよね。この4WDシステムは「シンメトリカルAWD」と名付けられ、ネーミングからもわかるように、優れたレイアウトが抜群の安定感を生みます。
簡単にいうと、エンジンを核としたパワートレーンが左右対称、かつ一直線に配置されているということ。4輪にバランスよく荷重がかかるため、タイヤの接地性をしっかり確保できるのです。
またスバルの水平対向エンジンは左右対称であるだけでなく、重心が低くく、軽量でコンパクトというのも大きな特徴です。
水平対向エンジン/ボクサーエンジンのメリット5つとデメリット5つ!音がいい?!フロントノーズが軽いということは、つまり慣性モーメントが小さいということ。コーナリングやブレーキング時の挙動が安定しやすく、車体が揺れにくいんですよ。
こういった理由から、シンメトリカルAWDは4輪のポテンシャルを最大限に活かすことが可能となるのです。「スバル車は、雪道でも安心して乗れる」というのがよくわかりますね。
スバル伝統の「ACT-4」
聞きなれないかと思いますが、「ACT-4(アクティブトルクスプリト式AWD)」とはAWDをさらに細かく分類した呼び方です。4WD機構は、ディファレンシャルギアの方式によって細分化されているのですが、その内のひとつとお考え下さい。
ちなみにディファレンシャルギアとは車軸の中間に備えられた「差動装置」のことで、車軸両端の回転数を調整する働きがあります。4WDにはこれが3つ装着されていますが、前後輪車軸をつなぐセンターデフの働きは、4WD性能を左右するといっても過言ではないでしょう。
例えばマツダの「i-ACTIVE AWD」なら、基本的にはFFで走り、センターデフ(ビスカス)が前輪の空転を感知したときのみ後輪も駆動させるといった具合です。厳密には後輪も常時駆動しているとのことですが、ほとんどトルクを発揮していないので、100:0の割合でFF走行と考えられます。
ランクルやパジェロなどの本格クロカン車、軽トラなどの商用車を除けば、ほとんどの国産4WDモデルは、このような方式と考えて間違いありません。
ランドクルーザーは雪道に弱い?雪道走行の性能について分析してみました!パジェロは雪道に弱い?雪道走行の性能について分析してみました!対してスバルのACT-4は、前後輪が常時駆動する仕組みになっているのです。FFベースなので、トルク配分は60:40で前輪が大きいものの、後輪も常に駆動しているんですよ。もちろん状況に応じては、電子制御ビスカスカップリングが50:50にトルクを配分します。
つまり雪道走行において、スバルのACT-4は、他社よりも高位の駆動方式なのです。これが4WDモデル(AT)のほとんどに装備されているのですから、雪道に弱いわけありませんよね?
ちなみに、WRXやフォレスターなどのMTモデルは、さらに強力な仕様になっています。
スバルWRXとはどんな車か?読み方から9つの特徴まで解説!堅牢なボディ剛性
スバル車の特徴としてもうひとつ挙げられるのは、ボディ剛性の高さです。スバル車は昔からボディ剛性が高いと評判でしたが、スポット溶接の箇所を増やすなどして、年々ボディを強化しています。
例えば現行モデルのプラットフォームは、
- フロント部への横曲げ剛性は90%
- フロントサスペンション剛性は70%
- 車体ねじり剛性は70%
- リヤサブフレーム剛性は100%
それぞれアップさせているといいます。
シャシーの剛性が高まることで、コーナリングにおける「ねじれ」などに強い耐性ができ、挙動が安定しやすいんですね。狙ったラインをトレースできるので、こういった面からも安心感が感じられるのでしょう。
もしスバル車を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!スバルの車種ごとの雪道走行性能
続いては、スバルのおすすめモデルについて具体的に見ていきたいと思います。スバル車は雪道に強いモデルばかりですが、今回はとくに人気なモデルを選んでみました。
フォレスター
項目 | 2.5L モデル | 2.0L ハイブリッド |
種類 | 水平対向4気筒DOHC16バルブ | 水平対向4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 2,498cc | 1,995cc |
最高出力 | 184PS/5,800rpm | エンジン:145PS/6,000rpm モーター:13.6PS |
最大トルク | 24.4kgf・m/4,400rpm | エンジン:19.2kgf・m/4,000rpm モーター:6.6kgf・m |
車重 | 1,520kg | 1,640kg |
全長×全幅×全高 | 4,625×1,815×1,715mm | 4,625×1,815×1,715mm |
最低地上高 | 220mm | 220mm |
駆動方式 | フルタイム4WD | フルタイム4WD |
※水平対向4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水平対向4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!スバルのSUVシリーズの一角をになうフォレスターは、2.5Lガソリンモデルと2.0Lハイブリッドモデルがラインナップされており、駆動方式はどれもACT-4です。XVやアウトバックも同等の実力を持ちますが、代表として今回はフォレスターを見ていただきましょう。
駆動方式については先ほど解説したとおりで、雪道にはうってつけの性能です。これに加えて、220mmもの最低地上高を確保しているので、深い積雪でもガンガン走れますね。
ガソリンモデルはトルクの領域がやや上ですが、数値自体はまずまずといったところ。モデルチェンジによってターボモデルが廃されたものの、普通に走る分なら十分なパワーといえるでしょう。車重も、このクラスのSUVとしては標準的なので、ブレーキ性能も心配ないですね。
新たに加わったハイブリッドモデルも力強い印象ではありませんが、通常走行には問題ない性能です。車重はやや重めですが、新機能の「X-BODE」をONにしておけば、危険を予兆して挙動を制御してくれますよ。
したがって、フォレスターは雪道に対してかなり強いモデルといえます。国産車トップクラスの実力といっても過言ではありません。
なおフォレスターについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
フォレスターは雪道に最強?雪道走行の性能について徹底分析しました!フォレスターの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!レガシィB4
項目 | 諸元 |
種類 | 水平対向4気筒DOHC16バルブ |
排気量 | 2,498cc |
最高出力 | 175PS/5,800rpm |
最大トルク | 24.0kgf・m/4,000rpm |
車重 | 1,540kg |
全長×全幅×全高 | 4,800×1,840×1,500mm |
最低地上高 | 150mm |
駆動方式 | フルタイム4WD |
続いて見ていくのは、フラッグシップセダンのレガシィB4です。スバルのなかでも古参のモデルで、レガシィから派生していったモデルは数知れません。
現在は2.5Lガソリンモデルのみとなっており、もちろん駆動方式はACT-4です。セダンとしては比較的高めの150mmという地上高を誇るので、雪道でもストレスなく運転できそう。従来のモデルほどパワフルさは感じませんが、通常走行には何ら影響ないでしょう。
上級セダンということで車重がそれなりにあるため、ブレーキには少し注意が必要ですね。とはいえ、他社のセダンと比較した場合、雪道への適性は圧倒的に勝っています。
なおレガシィについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
レガシィB4は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!レガシィB4は速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!レヴォーグ
項目 | 1.6Lモデル | 2.0Lモデル |
種類 | 水平対向4気筒DOHC16バルブターボ | 水平対向4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,599cc | 1,998cc |
最高出力 | 170PS/4,800-5,600rpm | 300PS/5,600rpm |
最大トルク | 25.5kgf・m/1,800-4,800rpm | 40.8kgf・m/2,000-4,800rpm |
車重 | 1,540-1,560kg | 1,540-1,570kg |
全長×全幅×全高 | 4,690×1,780×1,495mm | 4,690×1,780×1,500mm |
最低地上高 | 140mm | 135mm |
駆動方式 | フルタイム4WD | フルタイム4WD |
※ターボの詳細は以下の記事をご参照ください。
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!レガシィ ツーリングワゴンの後継モデルとして誕生したレヴォーグですが、このモデルもワゴンとしてはトップクラスの雪道性能を誇ります。
ラインナップは1.6Lモデルと2.0Lモデルの2種類が用意され、どちらもターボモデルです。また、1.6LモデルがACT-4なのに対し、2.0Lモデルは「VTD-AWD」という駆動方式を採用しています。
VTD-AWDはACT-4より上位の駆動機構で、センターデフに複合遊星歯車(プラネタリーギヤ)と電子制御LSD(油圧多板クラッチ)を用い、前後輪の基本となる駆動配分を45:55に分配。レヴォーグの他にはWRX S4がこれを採用しており、スポーツ走行に特化した駆動となっています。
レヴォーグは、やや最低地上高が低いのが気になりますが、トルク性能はピカイチなので、かなりスポーティな走りが可能です。ステーションワゴンとしてはボディが重いので、ブレーキには気を使いましょう。
なおレヴォーグについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
レヴォーグは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!レヴォーグの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!スバルと他のメーカーの雪道走行性能を比較
スバル車が雪道に強いのはわかりましたが、他社と比較すると実際どうなんでしょうか?雪道に定評のあるマツダと三菱、それからシェアNo.1のトヨタを比べてみたいと思います。
マツダ
さきほど少し触れましたが、マツダは「i-ACTIVE AWD」という4WDシステムを採用しています。
実はなかなか評判がよく、スバルのシンメトリカルAWDに匹敵するほどの実力とも称されているんですね。しかし、好みの問題はありますが、総合的に見るとスバルのほうが上手といえるでしょう。
AWDということですが、これは4輪駆動へ移行する際、バックラッシュを除去するために僅かに後輪を駆動させているんです。つまり、スムーズに駆動を切り替えるためのもので、グリップを狙ったものではないということ。
TCS(トラクションコントロールシステム)によってタイヤの空転を制御する機構も備わっているので、非常に優れているシステムなのですが、スバルの4WDには一歩及びません。
なおマツダ車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ロードスターは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!マツダCX-5は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!三菱
三菱といえば、パジェロやデリカ、そしてアウトランダーなど、アウトドア系統のモデルに強いイメージがありますよね。実際に、雪国では三菱の車がよく走っていますし、この認識は正しいのでしょう。しかし、総合的に見ると、スバルのほうが上手といえます。
三菱の代表的な4WD機構といえば、パジェロの「スーパーセレクト4WD-Ⅱ」、ランサーエボリューションの「AYC」、そしてデリカやアウトランダーの「S-WAC」が挙げられます。
スーパーセレクト4WD-Ⅱは悪路においてかなり強力なので、スバル車よりも雪道に強いです。ランエボのAYCも、スバルの最高傑作であるインプレッサWRXに搭載された「DCCD」と肩を並べるほどの実力。
しかし、この2モデルを除けば、平均的に見てスバルのほうが雪道では乗りやすいですよ。ランエボはすでに生産終了したモデルなので、実質的にはパジェロのみが張り合える性能といえます。
なお三菱車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アウトランダーは雪道に弱い?雪道走行の性能について分析してみました!デリカD:5は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!トヨタ
ラインナップを豊富に抱えるトヨタは、SUVの種類も多いですよね。
なかでも、国産最強SUVとして名高いランドクルーザーは、マルチテレインセレクトというフルタイム4WD機構を備えており、悪路走破においてはスバル車といえど敵いません。
しかし、その他のモデルに搭載される「i-Four」「E-Four」「アクティブトルクコントロール4WD」などは常時全輪駆動ではありませんから、ATC-4よりも雪への耐性は低いでしょう。
重量バランスも優れていますし、総合的に見るとスバルのほうが雪道に強いと思われます。
なおトヨタ車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ランドクルーザーは雪道に弱い?雪道走行の性能について分析してみました!プリウスは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!スバルは雪道走行する車としては買いの車
というわけで、スバルが雪道に強い理由についての解説は以上になります。スバル車がどれだけ雪に強いか、おわかりいただけましたか?
スバルはラインナップが独特な感じではありますが、優れたモデルばかりなんですよ。好みなどもありますが、雪道で乗る車を悩んでいるなら、ぜひ候補に入れてみてはどうでしょう。
個人的には、アウトドア目的ならフォレスターやアウトバック、市街地で乗るならレガシィやインプレッサ、レヴォーグなんかがおすすめですね。
他にもラインナップがあるので、よかったチェックしてみてください。
なおスバル車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アウトバックは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!インプレッサは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!