一昔前に比べ、ずいぶんと少なくなったワゴン車ですが、今でも人気のモデルはいくつかあります。
そのなかでも、スバル「レヴォーグ」はどことなくスポーティな雰囲気があり、とても魅力的ですよね。
「見掛け倒しなのか?それとも走れる車なのか?」気になるところであります…。
というわけで今回は、レヴォーグについて「雪道でもちゃんと走れるのか?」分析してみました。
ライバル車とも比較してみたので、購入について悩んでいる方はぜひ参考にしてくださいね。
レヴォーグは雪道での走行はどうなのか?
雪道での走行性能を評価するには、いくつかのパートについて考えるとわかりやすいです。
というわけで、ざっくりと「走行性能」「コーナリング性能」「ブレーキ性能」の3項目にわけて、公称スペックを参考に評価したいと思います。
まずは、レヴォーグの諸元をご覧ください。
項目 | 1.6Lモデル | 2.0Lモデル |
種類 | 水平対向4気筒DOHC16バルブターボ | 水平対向4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,599cc | 1,998cc |
最高出力 | 170PS/4,800-5,600rpm | 300PS/5,600rpm |
最大トルク | 25.5kgf・m/1,800-4,800rpm | 40.8kgf・m/2,000-4,800rpm |
車重 | 1,540-1,560kg | 1,540-1,570kg |
全長×全幅×全高 | 4,690×1,780×1,495mm | 4,690×1,780×1,500mm |
最低地上高 | 140mm | 135mm |
駆動方式 | フルタイム4WD |
※水平対向4気筒、DOHCエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水平対向4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!走行性能の評価
真冬の早朝や雨天時は氷上に水が張ってしまい、なかなか発進できません。
こんな日は近場の移動さえも一苦労です。交差点はアイスバーンになりやすいため、とくにスリップしやすいポイント。
アイスバーン以外にも、轍(わだち)や道路の凹凸、登坂など、走りにくい場所は日常のいたる所に潜んでいます。
雪道でも安全に走れる車とは、どんな能力が求められるのでしょうか?チェックポイントとして、以下3点を挙げてみました。
- 駆動方式
- 最低地上高の高さ
- トルクの大きさ
まず「駆動方式」ですが、雪道ではいうまでもなく4WDが有効です。
レヴォーグに搭載される「シンメトリカルAWD」は優れた機械的機構と電子制御により、前後のトルク配分を適切にコントロールします。雪が多くても、ガッチリと掴むように走ってくれますよ。
次に見るのは「最低地上高」です。一般的には150mm以上が、雪道でも楽に走れるラインといわれています。
レヴォーグは135/140mmということで、これよりは若干低いですね。少し気を使う必要がありそう…。
雪道では「トルク性能」も大事。これは氷上というよりも、雪が深い状況で求められますね。スバルの十八番「水平対向4気筒ターボ」により、低速域から大きなトルクを発揮するので、けっこうな雪でもゴリゴリ突き進むでしょう。
まとめると、レヴォーグは雪道でも安心して走れる車ということになります。アイスバーンでの発進はもちろん、大雪の日でもしっかり走ってくれそうです。
スタックした車両を救出できるように、牽引ロープやスコップを積んでおくといいかもしれません。
なおスピードという意味での走行性能については、以下の記事で詳しく解説しているので、興味のある方はこちらも目を通してみてください。
レヴォーグは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!コーナリング性能の評価
雪道でもコーナリング性能も重要な項目です。雪が積もるとタイヤが踏ん張りにくくなりますからね。雪国では冬になると、路肩に突っ込んでいる事故現場をたびたび目にするものです。
レヴォーグは安定して曲がれる車なのでしょうか?この2点を評価してみましょう。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
コーナリングでも4WDが有利な気がしますが、実際にはそう大差ありません。このように感じるのは、強くて重いボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。
ようするに、車体がコーナリングフォース(遠心力)に負けないからなのです。コンパクトカーと大型SUVとでは、重量がぜんぜん違いますよね?
しかし、雪道のコーナーでは単純に「重ければ有利」とはいえません。摩擦が極端に少ないため、コーナリングフォースがグリップを超えやすいんです。簡単にいえば、重いほどスリップしやすいということ。
「重心の高さ」もポイントで、コーナーにおいては低いほど有利です。
重心が高いと、コーナー旋回中に踏ん張りが効かず、横転しやすくなりますからね。背が高くて足が弱いスペース系の軽自動車は、峠のコーナーは要注意ですよ。
レヴォーグは1,500kg超となかなかの重さなので、少しアンダーステアをとられそうです。ただし、水平対向エンジンといえば低重心がウリですから、コーナーでの安定感は抜群なので、横転の心配はありません。(水平対向エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
水平対向エンジン/ボクサーエンジンのメリット5つとデメリット5つ!音がいい?!スピードの出し過ぎには注意ですが、総合的に見て、レヴォーグはコーナーでも安心して走れる車といえるでしょう。
ブレーキ性能の評価
雪道において「ブレーキ」には細心の注意を払う必要があります。
アイスバーンを普段どおりの感覚でブレーキングしたら、おそらくスリップするでしょうね…。信号のタイミングによっては、重大な事故に発展する恐れもあります。
そのため、「ブレーキ性能」は雪道性能で一番チェックすべきポイント。スタットレスタイヤの性能はいうまでもありませんが、他にもこんなチェックポイントがあります。
- 車重の軽さ
- 駆動方式
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。
なんとなく、重い車のほうが止まりにくい気がしますよね?たしかに重い物を静止させるには、大きなエネルギーを必要とします。
しかし、大きな荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も増えるんです。重い車はタイヤサイズが大きいですし、そもそもブレーキシステムが強力だったりしますしね。
つまり、車重はブレーキの制動距離に対して、大きく影響していないということ。
これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、これはあくまでもドライ路面における話。雪が積もった道路では適用されません…。コーナリングの話と同じ理屈で、雪の上では推進力がグリップを超えやすいんです。
少し長い話になりましたが、ようするに「軽い車のほうが止まりやすい」ということ。レヴォーグはボディが重めなので、ブレーキングには少し注意が必要ですね。
ただし、もともとからスポーティな味付けのモデルなので、ブレーキそのものは強いです。
そのため、他クラスと比較しても大きく劣るようなことはありません。丁寧なブレーキを心がければ、しっかり止まってくれますよ。
もしレヴォーグを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!レヴォーグの雪道走行での評価
レヴォーグの雪道走行については、みなさんどう思っているのでしょうか?
Twitterから感想をいくつかピックアップしてみました。
そういえばレヴォーグに乗り換えて初めて雪道はしったけど、ホント安定してるのね。
もちろん安全第一のゆっくり運転だけど、それでも4輪全てで掴んでる感じが伝わってきて凄く頼もしかった。 pic.twitter.com/Aeb0KKwt0B— (@takabou_photo) 2018年1月24日
レヴォーグに限らずですが、初めてスバル車で雪道を走った人は、みんな口をそろえてこう言います。
スバルのシンメトリカルAWDは、ただ単に電子制御で四輪を動かしているのでなく、機械的な機構にもこだわり抜かれて作られています。
レイアウトが左右前後にバランスがとられているため、4本のタイヤが常にグリップしてくれるんですね。
ゆえに「4輪すべてで掴んでる感じ」と、このように感じたのでしょう。これぞまさしく、「AWD(All Wheel Drive)」のなせる業です。
レヴォーグの雪道性能ですが、こっちも秀逸でした。
ラフなアクセル操作をしても暴れないし、安定して加速していきます。
旋回もトルクベクタリングが効いてOK。
ドッシリ安定してて、凄く走りやすかったです。
やっぱ車高はノーマルがいいやw— まっつん (@allora1207) 2014年12月14日
レヴォーグはターボ車ではありますが、アクセルに対する感覚がとてもマイルド。(ターボエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!雪道ではこれは功を奏し、アイスバーンでもスリップしないで走れるんです。
コーナーの安定感もバッチリ。低重心なボディの作りと電子制御によって、常に安定しながら走行するので、冬に心強いこと間違いありません。
レヴォーグって意外に雪道に弱いのか?
レガシィ時代では考えられなかった挙動して結構アイスバーンで全くステアが効かなくなる時あってヒヤッとするんだけど、タイヤの問題かね。
ダンロップのWINTER MAXX 01との相性が悪いのか。
やはりブリザックじゃないとダメか?
— 髙橋 翔 (@ShowTakahashi) 2017年1月21日
とはいえ、100%安定するわけではありません。やはり路面の程度やタイヤの状態・相性によっては、ヒヤッとする場面もちらほらあります。
丁寧な運転はもちろん、タイヤ溝のチェックなど、日々のメンテナンスもきっちり行いたいところです。過信は絶対いけませんよ。
レヴォーグの雪道性能をほかの車と比較
ここで気になるのは、「ライバル車と比較すると、どうなのか?」ということ。
というわけで、同クラスのモデルと雪道性能を具体的に比べてみましょう。今回、比較対象に選んだのはホンダ「ジェイド」、トヨタ「プリウスα」、マツダ「アテンザ ワゴン」の3台です。
比較しやすいように価格も載せておきましたので、よかったら参考にしてみてください。ちなみに、レヴォーグの販売価格は1.6Lモデルで286~356万円、2.0Lモデルで362~405万円となっています。
ホンダ ジェイド
ホンダから2015年登場したステーションワゴンですね。販売価格は240~309万円ということですが、レヴォーグとはルックスに似ている部分があります。
ラインナップは1.5Lガソリンターボと、1.5Lハイブリッドの2種類で、駆動方式はFFの設定のみ。
トランスミッションは6ATとCVTの2種類。雪道性能はどちらが優れているのでしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | エンジン:131PS/6,600rpm モーター:29.5PS |
最大トルク | エンジン:15.8kgf・m/4,600rpm モーター:16.3kgf・m |
車重 | 1,530kg |
全長×全幅×全高 | 4,660×1,775×1,540mm |
最低地上高 | 140mm |
駆動方式 | FF |
※水冷エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!駆動方式がFFだけなので、発進のときはレヴォーグのほうが強いですね。
加えて、車重・最低地上高・トルクは同じくらいなので、トータル面での雪道性能はレヴォーグのほうが有利でしょう。
トヨタ プリウスα
トヨタから販売される人気ステーションワゴンですね。エンジンは1.8Lハイブリッド、駆動方式はCVTによるFFのみ。
ボディラインナップには2列シート5人乗りと、3列7人乗りが用意され、レヴォーグよりもかなりファミリー向けです。
販売価格は256~356万円ということで、レヴォーグより若干安い。それでは、雪道性能について比較してみましょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒+モーター |
排気量 | 1,797cc |
最高出力 | エンジン:99PS/5,200rpm モーター:82PS |
最大トルク | エンジン:14.5kgf・m/4,000rpm モーター:21.1kgf・m |
車重 | 1,450-1,480kg |
全長×全幅×全高 | 4,645×1,775×1,575mm |
最低地上高 | 145mm |
駆動方式 | FF |
※直列4気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!FFのみということで、レヴォーグのほうが雪道で走れますね。
車重・最低地上高に関してはプリウスαのほうが勝っているので、コーナリングやブレーキングでは安定感を見せるでしょう。
しかし、4WDを駆動することからレヴォーグのほうが総合的な性能は上といえます。
プリウスαの雪道性能は以下の記事でさらに詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
プリウスαは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!マツダ アテンザ ワゴン
マツダのフラッグシップセダン「アテンザ」のワゴンモデルです。ラインナップは2.0L・2.5Lのガソリン、2.2Lのディ―ゼルターボの3モデル。XD(ディーゼル)なら4WDの設定があるため、雪道には強そうですね。
販売価格は282~354万円ということで、ちょうどレヴォーグと同じくらい。雪道性能についてはどうでしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC ディーゼルターボ |
排気量 | 2,188cc |
最高出力 | 190PS/4,500rpm |
最大トルク | 45.9kgf・m/2,000rpm |
車重 | 1,520-1,620kg |
全長×全幅×全高 | 4,805×1,840×1,480mm |
最低地上高 | 160mm |
駆動方式 | FF/4WD |
車重・最低地上高・トルクでは、アテンザ ワゴンが大きくリードしていますね。レヴォーグよりも、発進やスタックなどのアクシデントには強そうです。
低重心なため、コーナーではレヴォーグのほうが有利。
このように、得意分野が異なるものの、雪道性能についてはほとんど互角といえるでしょう。どこを注視するかで、選択が変わってきそうです。
レヴォーグは雪道走行する車としては買いか?
というわけで、レヴォーグの雪道走行についての解説は以上になります。
まとめると、『雪道での走行性能は申し分ないが、本格的な走破性には欠ける』といった感じですね。
あまりに荒れた路面の走行には向きませんが、日常レベルの雪道なら問題なく走行できるでしょう。
したがって、冬に乗る車としておすすめできる一台といえます。
レヴォーグについては以下の記事でも解説しているので、興味のある方はこちらもあわせてご参照ください。購入の参考になりますよ。
レヴォーグは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!レヴォーグの決定的な5つの欠点!弱点を徹底的に洗い出します!