トヨタはバラエティに富んでいて、好みのモデルを選べる楽しさがありますよね。
そのなかでも、SUVと高級セダンの魅力をいいとこ取りした「ハリアー」は、一際輝いているモデルといえます。
ハリアーというと、そのゴージャスな外観に目を取られがちですが、マイナーチェンジで加わったターボモデルが「加速がいい!」と評判です。
そこで今回は、優れた加速性能を持つといわれるハリアーターボの、その実力について解説しましょう。
「0-100km/h加速タイム」や「オーナーさんの口コミ」も紹介したいと思います。
ハリアーの加速性能
高級セダンの上質さと、クロスオーバーSUVの走行性能を兼ね備えたモデルとして、1997年に初代ハリアーが誕生しました。「WILD but FORMAL」というキャッチコピーは、非常に印象的ですよね。
レクサスブランドから「RX」のネームで販売されており、海外でも高い人気を誇っています。
今でこそ世界的に流行している「高級クロスオーバーSUV」ですが、ハリアーはその先駆けとなったモデルといっても過言ではありません。
ターボモデルは快速?
2013年に3代目へとフルモデルチェンジが施行されたハリアーですが、従来のモデルから大胆に刷新されました。
RXとは完全に分離し、日本国内仕様車としてボディをやや縮小化。エンジンの設定も「2.0L NAモデル」と「2.0L ハイブリッドモデル」の2種に絞られ、大排気量モデルは廃止されました。
NAエンジン(自然吸気エンジン)とは?メリット5つ!音が最強の魅力?!エクステリアに上質感は残しているものの、環境性能と安全性能を重視するあまり、大人しい走りをする車となってしまったのです。
これはこれで良い車なのですが、以前のV6エンジン仕様を知るファンからすると「物足りなさ」は否めません。実際、ハイパワーモデルを熱望する声が、メーカーに多数寄せられたといいます。
V6エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!こういった経緯から、2017年6月のマイナーチェンジによって、「2.0L ターボモデル」がラインナップに組み込まれました。
スポーツカーのような「圧倒的な加速」とはいきませんが、最近の車には珍しい「これぞターボ車!」というガツンと加速する感覚が、多くの人を虜にしています。
ターボエンジンについては、以下の記事で詳細を解説しています。興味がある方はこちらも参考にしてみてください。
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!0-100km/h加速で見るハリアーターボの加速性能
加速性能がどれほどのものか、気になりますよね? というわけで、静止状態から100km/hに達するまでのタイム、いわゆる「0-100km/h加速タイム」を参考に、その実力を紹介したいと思います。
現在、0-100km/h加速のタイムを公称するメーカーは非常に珍しく、正式なタイムを知るのは困難。ハリアーについても、公式的なタイムは発表されていませんでした…。
しかし、SNSを通じて情報を集めてみたところ、0-100km/h加速に関して大半を占める意見がありました。こちらをご覧ください。
私のハリアー0-100は約7秒
嫁のv40で0-100約6秒
充分速い— Pes (@pes077) 2015年10月13日
おおむね、7秒程度という意見が多かったです。
「ボルボ V40より遅いのか、大したことないじゃん…」と感じるかもしれませんが、2t近いクロスオーバーSUVにしては、なかなかの加速力ですよ。
街乗りで使うには、十分な加速性能といえるでしょう。
タイムだけではピンとこないと思うので、トヨタブランドの他車種と比較してみましょう。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
クラウン | 6.9秒 |
ハリアー(ターボ) | 7.0秒 |
86 | 7.3秒 |
ランドクルーザー | 7.6秒 |
レクサス RX450h | 7.8秒 |
レクサス GS300h | 8.0秒 |
レクサス IS300h | 8.1秒 |
アルファード | 10.2秒 |
プリウス | 11.0秒 |
ヴォクシー/ノア | 11.6秒 |
シエンタ | 12.2秒 |
※プリウスの加速性能については、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもあわせてご参照ください。
プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?こちらのタイム一覧は、口コミや動画を元に作成しました。
純正の車載スピードメーターで計測していますし、グレードなどにも大きく左右されますが、ベーシックなモデルの加速タイムは大体こんな感じです。公称値ではありませんが、イメージはしやすいかと思います。
さて、かなり上位であることが、一見してわかりますよね?
トヨタの現行モデルとしては、間違いなく加速性能の高いモデルであることは間違いありません。ちなみに、2.0LのNAモデルは10秒前後、ハイブリッドモデルは8秒程度といわれています。
ターボモデルはエンジン性能が高い
ここからは加速性能の秘密について、じっくり解説していきたいと思います。
動力性能において最も大切な要素となるのはエンジンです。まずは、ハリアーに用意されている3種類のエンジンの、それぞれのスペックをご覧いただきましょう。
項目 | 諸元 | ||
エンジン型式 | 3ZR-FAE型 | 8AR-FTS型 | 2AR-FXE型 |
種類 | 直列4気筒 DOHC | 直列4気筒 DOHC ICターボ | 直列4気筒 DOHC+ モーター |
最高出力 | 151PS/6,100rpm | 231PS/ 5,200~5,600rpm | 152PS/5,700rpm |
最大トルク | 19.7kg・m/ 3,800rpm | 35.7kg・m/ 1,650~4,000rpm | 21.0kg・m/ 4,400~4,800rpm |
排気量 | 1,986cc | 1,998cc | 2,493cc |
内径×行程 | 80.5mm×97.6mm | 86.0mm×86.0mm | 90.0mm×98.0mm |
車両重量 | 1,580-1,945kg | 1,660-2,015kg | 1,770-2,085kg |
※直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!ラインナップのなかで、いかにターボモデルがずば抜けているか、よくわかりますよね?
注目すべき項目はトルクです。1,650~4,000rpmという発進からスピードに乗るまでの領域で、最大35.7kg・mのトルクを発揮します。
2tにせまる重量はあるものの、35kg・mものトルクが出るなら速いのも納得。
この「8AR-FTS型」というエンジンは、ハリアー以外にも
- クラウン アスリート
- レクサス IS
- レクサス GS
- レクサス NX
などに搭載され、トヨタブランドの人気車種に広く採用されるものです。
実際には2.0Lの直列4気筒ですが、その力強さは3.5Lの6気筒エンジンに匹敵するといっても、過言ではありません。(直6エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
直列6気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!ターボ感のある加速
とりわけ素晴らしいのが、「ブーストの鋭さ」です。3,000rpmを超えたあたりから過給が始まり、ターボらしくモリモリ加速していきます。
最近ではヨーロッパをはじめ、ターボモデルでもスムーズな回転性質が意識され、まるでNAのようなフィーリングに仕上げられることが多いです。予備知識がない状態で運転していたら、NAと勘違いしてしまうでしょう。
日本車にも徐々に取り入れられており、ひとつのトレンドになりつつあります。
一方、あえてハリアーは、急激に鋭さを増すエンジンに設定しています。この「ターボらしいパワフルさ」によって、優れた加速性能を備えているのです。
「過給が始まるまでは、思うように加速しない」といった、ターボ車特有のデメリットも色濃く残しています。いわゆる「ターボラグ」ですね。NA派の人にはしっくりこないでしょう。
ターボラグとはどんな意味?起こる原因と解消する対策について解説!ですが、ひと昔前のターボ車のような、ドッカンと加速をする感覚が好きな人には、たまらないと思いますよ。(このターボのことを「ドッカンターボ」と呼んだりします。詳細は以下の記事をご参照ください。)
ドッカンターボとは?メリット3つとデメリット1つ!搭載車を軽自動車からも紹介!トランスミッションに6ATを採用
ハリアーターボの加速性能を支えているのは、なにもエンジンだけではありません。
搭載エンジンに合わせて、新しいトランスミッションを採用したことも大きな理由なのです。
「スーパーインテリジェント6速AT」という、トルクコンバータ式の6速有段式トランスミッションにより変速しています。
NAモデルとハイブリッドモデルには「CVT(無段変速)」を採用しており、燃費は優れているものの、加速に関しては今一つでした…。
ところが、ハリアーターボが登場したことで、従来の「ワイルド」の部分が復活。リズミカルな変速によって、スポーティなキャラクターを取り戻しました。
もちろん感覚的なことだけでなく、走行性能にも効果は表れています。エンジンの回転数に合わせてギアを変えるので、ターボのメリットを生かした走りが可能に。
燃費は劣りますが、走る楽しさを考慮するなら断然ターボモデルがおすすめです。
細部まで作りこまれたボディ
ボディの作りこみも、加速性能に貢献しています。もし車体が弱かったら、パワーを使いこなせませんからね。
ターボモデルは、底面に「パフォーマンスダンパー」というパーツが装着されており、これによってボディ剛性を向上させています。
具体的には、サイドメンバーと呼ばれる車体底面のフレームに施されているのですが、単なる補強パーツでないのがミソなんです。
ボディ補強には、鋼材をフレームに溶接することが一般的です。ところがハリアーターボは単なる鋼材ではなく、ダンパー(サスペンションの芯)形状のパーツが使用されています。
サスペンションのように衝撃を吸収するので、車体の「ねじれ」を低減させる効果があります。
つまり、ボディ剛性を高めつつ、乗り心地にも良い効果を与えているのです。このへんが、さすが高級SUVといったところですよね。
もしハリアーを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!ハリアーの実際の加速感
それではネットの投稿を引用して、オーナーさんの感想をいくつか紹介したいと思います。
TwitterとYouTubeから気になるものを見つけたので、ご覧ください。
Twitterで見るオーナーの感想
代車のハリアーやけに速いなと思ったら2Lターボだったw 静かで速くてすごいw
— のっしー@TBK (@tbk3616) 2018年8月17日
こちらの投稿者様は、代車としてハリアーに乗ったことがあるようですね。
前期型ハリアーのラインナップはNAとハイブリッドだけだったので、モデル追加を知らなかった人は乗ってから加速性能に驚いているみたいです。
今、ここまでターボ感のある車は珍しいですから、驚くのも無理はありません…。
今日この型のハリアー運転したけど
エアコンかけてもスムーズで
加速めちゃくちゃいいし
内装も茶色の革張りで綺麗*°往復100kmぐらい走ったけど
全然ガソリン減ってなかった😳目線高いし大きいし、
運転 楽しかった🤤💕 pic.twitter.com/jcsw9GjaNT— あかっぴー (@__Spacia__) 2018年8月8日
こちらの方は試乗なさったのでしょうか? その質感の高さに満足のご様子です。
エアコンをかけると、コンプレッサーが起動することで走行性能が落ちる車もありますが、ハリアーはもちろんそんなことありません。エアコンをかけようが、モリモリ加速します。
それでいてインテリアも上質なんですから、運転が楽しくなりますよね。
しかも、カタログ燃費が13mk/Lと、意外と優れているんですよね。街乗りで使うと10km/L程度だと思いますが、それでもこのクラスのSUV、ましてやターボモデルとしては破格の燃費です。
なおターボ車の燃費については、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらも参考にしてみてください。
ターボエンジン車は燃費が悪い?燃費向上は走り方次第で可能?!ハリアーさ、電子制御のせいか出足はもっさりなのに3500回転あたりからの加速が意外と良いな、ベタ踏みしたら120くらいまで軽々加速した
こちらは、なかなか辛口な評価ですね。
ご指摘のとおり、この部分がハリアーターボの数少ない弱点といえるでしょう。過給がかかるまでは、思うようなパワーはでないのです。
アクセルワークに対して、車が進まない感覚があるので、好みが分かれるところ。
この領域を超えれば、ブーストがかかってドッカンと加速するので、ターボの特性を理解している人なら楽しめると思いますよ。
Youtube動画で見る0-100km/h加速
こちらはハリアーターボの0-100km/h加速の動画です。
おそらくフルノーマルの車両だとは思いますが、7秒程度で100km/hに達してることが確認できますよね。
3,000rpmまでは若干おとなしさを感じますが、超えたあたりから音が変わり、あっという間に加速していきます。あと、ベタ踏みしているわりには音が静かなのもいいですね。
こちらはハイブリッドモデルの加速です。
先ほど、ハイブリッドは8秒程度といいましたが、この動画では7秒ほどで100km/hに達していますね…。この加速性能で燃費も優れているのだから、恐ろしいです。
ハリアーの加速性能を他の車と比較
それでは最後に、ハリアーターボのライバルにあたる車と、加速性能を比較してみたいと思います。
マツダ CX-5 ディーゼル
マツダから販売される「CX-5」のディーゼルモデルも非常に魅力的なSUVです。低速から発揮される太いトルクが特徴的で、発進加速に定評があります。
「エクステリアの上質さ」という点では、ハリアーと似たキャラクターといえます。
項目 | 諸元 |
排気量 | 2,188cc |
最高出力 | 175PS/4,500rpm |
最大トルク | 42.8kg・m/2,000rpm |
0-100km/h加速タイム | 7.2秒 |
こちらがCX-5 ディーゼルの諸元です。(ディーゼルエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
スカイアクティブD(クリーンディーゼル)とは?欠点2つ!不具合や故障が多く耐久性に難あり?!2,000rpmという低回転から40kg・mを超えるトルクを発揮し、加速タイムは7.2秒に達します。
中~高回転域においてはやや力不足でありますが、発進加速はなかなかの性能ですね。
しかし、0-100km/h加速を含め、走行性能は全体的にハリアーターボの方が優れているといえるでしょう。
燃費に関してはカタログ値17km/Lということで、ディーゼルモデルのCX-5が優れています。
なおCX-5については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
マツダCX-5の加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?CX-5の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!日産 エクストレイル ハイブリッド
日産から販売されるエクストレイルは、SUVらしくアクティブなキャラクターが魅力的です。
ハイブリッドモデルも力を入れており、燃費と走行性能をバランスよく両立してます。
項目 | 諸元 |
排気量 | 1,997cc |
最高出力 | エンジン:147PS/6,000rpm モーター:41PS システム:188PS |
最大トルク | エンジン:21.1kg・m/4,400rpm モーター:16.3kg・m システム:27.5kg・m |
0-100km/h加速タイム | 7.0秒 |
こちらがエクストレイルハイブリッドの諸元です。
トルクや出力はそれほど高出力ではないものの、0-100km/hタイムはハリアーターボと等しい7.0秒です。
電気モーターは、アクセルオンから一気にトルクを発揮するので、リニアな加速が味わえます。
ある領域からパワーを発揮するターボチャージャーとは異なり、踏み出しからパワフルに発進するのがハイブリッド。
単純な加速性能については、ハリアーとほとんど同じくらいですが、中~高速域に関してはターボ車であるハリアーの方が勝っています。
「ラグジュアリ&走行性能」で選ぶならハリアー、「クール&力強さ」で選ぶならCX-5、「アクティブ&環境性能」で選ぶならエクストレイルといったところでしょうか。
なおエクストレイルについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
エクストレイルの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?エクストレイルの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!