近年、コンパクトカー市場の競争が激化していますが、激しいからこそ、スズキのラインナップにはセンスを感じますよね。
こと走行性能については、メーカーNo.1の高性能コンパクトカー「スイフトスポーツ」が抜きんでたスペックを持っています。
加速性能に関しては、本格スポーツカーに引けを取らない水準。
というわけで今回は、スイフトに焦点を当てて、その優れた性能について紹介していきたいと思います。
「公式データ」「0-100km/h加速タイム」「オーナーの口コミ」などを参考にしながら、スイフトの加速性能について詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
スイフトの加速性能
スイフトの加速性能について、さまざまな観点から解説していきたいと思います。
どれくらいのものなのか見ていきましょう。
現行スイフトは加速が速い
スイフトといえば「軽快な走り」で有名な車ですよね。これは、旋回性能や安定性はもちろん、加速性能にもいえることです。
スイフトには通常モデルの「スイフト」と、スポーツモデルの「スイフトスポーツ」が用意されていますが、とくにスイフトスポーツの加速性能には目を見張るものがあります。
その優れた加速性能から、「異種格闘技戦」と銘打ったレース企画で、スポーツカーと熱いバトルを繰り広げるほど。
こういった企画で「乗用車代表=スイフト」というのは、もはや定番となりつつあります。
スイフトの逸話について触れたところで、実際どれくらい速いのか解説したいと思います。
0-100km/h加速タイム
加速性能を考えるうえで、100km/hに達するまでのタイムが良い判断材料になります。
最近では、メーカーがあまり加速タイムを公称しませんが、実際に所有している人の間では「ハイブリッドモデルで10秒程度」という意見が多いです。先代ハイブリッドモデルが14秒くらいだったので、大きく飛躍していますね。
スイフトスポーツに関しては「8.1秒」と公称されています。
ただし、公称値とは低めに発表されることが多いです。加速タイムはドライバーの腕にもよりますから、メーカーは「最低限このスペックは保証できる」というタイムを公称するのです。
Twitterで調べてみたところ、このような意見を多く見つけることができました。
新型スイスポに直線で煽られる時代でしょうか0-100がATで6.9sです
速くなりましたね。
乗り心地や足腰は比較できるレベルにないでしょうけど。
ただ興味本意でスズキさんにお邪魔して味見してみたい。
ついでに86馬鹿にされてます(笑) pic.twitter.com/uESnIIpqfR— ぶんちん GT yellow (@kafepop) 2018年2月19日
0-100km/h加速で7秒を切るなら、それはもはや本格スポーツカーの領域ですよね。
身近なところでいえば、トヨタ「86」やマツダ「ロードスター RF」よりも優れたタイムです。(ロードスターの加速性能の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ロードスターの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?現行スイフトスポーツの発進加速は、先代モデルより「MT車で約20%、AT車で約25%向上している」というのがスズキの公式発表。
これを考慮すると、MTモデルの0-100km/h加速が7秒を切るのは、現実的な数字といえるでしょう。
スイフトスポーツの速さの秘密
もう少し踏み込んで、スイフトスポーツの「加速性能の秘密」について解説したいと思います。
スイフトスポーツの立ち位置を簡単に紹介し、続いて「エンジン」「ボディ」について触れながら紐解いていきましょう。
スイスポはスズキのフラッグシップスポーツ
現行4代目スイフトには4種類のモデルが用意され、加えて「スイフトスポーツ」というネームでスポーツモデルが販売されています。よく「スイスポ」と略称で呼ばれますよね。
スイフトスポーツは公式ページでも別ネームで展開されており、性能にも大きく差があることから「別の車種」と捉える人もいるくらいです。
イメージとしては「インプレッサ」と「インプレッサ WRX」のような関係、といったところでしょうか…。(インプレッサの加速性能の詳細は以下の記事をご参照ください。)
インプレッサは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!と、前置きをしたうえでまとめると、スイフトの販売モデルは以下のようになります。
- 1.2L NAモデル
- 1.0L ターボモデル
- 1.2L ハイブリッドモデル
- 1.2L マイルドハイブリッドモデル
- スイフトスポーツ(1.4L ターボ)
※エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
NAエンジン(自然吸気エンジン)とは?メリット5つ!音が最強の魅力?!ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!マイルドハイブリッド(MHEV)とは?仕組み/構造は?搭載車の燃費は悪いのか解説!近年の自動車業界は、それぞれのニーズに合わせて幅広くグレードを展開していますよね。人気車種になるほど、これは顕著に現れます。
内・外装や足回り、駆動方式でグレードを区分することはよくありますが、スイフトはエンジンだけでも3種類のバリエーションが用意されています。ようするに「かなり力を入れて作られている車」ということ。
スズキといえば「ジムニー」「アルト」「エブリィ」「ハスラー」…ヒットした軽自動車を数えたらキリがありません。まさに「小型車のヒットメーカー」といえるでしょう。
コンパクトカーのノウハウを貯めこんだスズキが、精力を注いで開発しているのですから、スイスポの性能が低いわけありませんよね。
エンジン性能
項目 | 諸元 | ||
形式 | K12C型 | K10C型 | K14C型 |
最高出力 | 91PS/6,000rpm | 102PS/5,500rpm | 140PS/5,500rpm |
最大トルク | 12.0kg・m/ 4,400rpm | 15.3kg・m/ 1,700~4,500rpm | 23.4kg・m/ 2,500~3,500rpm |
種類 | 水冷直列4気筒 1.2L NA | 水冷直列3気筒 1.0L ターボ | 水冷直列4気筒 1.4L ターボ |
排気量 | 1,242cc | 996cc | 1,371cc |
内径×行程 | 73.0mm×74.2mm | 73.0mm×79.4mm | 73.0mm×81.9mm |
圧縮比 | 12.5 | 10.0 | 9.9 |
搭載モデル | RS、XL、XG ハイブリッド(SL、SG) マイルドハイブリッド (RS、ML) | RSt | スイフトスポーツ |
※水冷、直列3、4気筒、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!スイフトに採用されている3種類のエンジンを、わかりやすくまとめてみました。パッと見た感じでも、性能には差が見て取れます。
先代モデルから加速性能を高めた「ハイブリッドRS」も、1.5L並みの加速性能を持つ「RSt」も、仕上がりに関して好評価を受けています。
しかし、スイフトスポーツの動力性能はまさに圧倒的。
「BOOSTER JET」と名付けられた「K14C型」エンジンは1.4Lとは思えないパワーを生み、アクセルを踏んだ瞬間から力強いトルクを発揮。パワフルですが、ターボ車とは思えないほどスムーズなので、NAのような加速フィーリングを楽しめます。
タービン音も静かなので、激しい加速感ではありませんが、踏み込んでいるとあっという間に100km/hへ到達してしまいます。
軽量&高剛性のボディ
加速性能において、エンジンと同じくらい重要なのが、ボディの「剛性」と「重量」です。
体が弱ければパワーに負けてしまいますし、体が重くてはパワーを発揮できません。
スイスポは、そのどちらも高い水準で確保しています。基本構造はほぼ同じであるため、これは通常のスイフトも同様です。
スイフトは、現行型へのモデルチェンジにともなって、軽量高剛性の新プラットフォーム「HEARTECT」に全面的に刷新されました。
超高張力鋼板や高張力鋼板をフレームの広範囲に採用することで、剛性を高めつつ、補強パーツを減らすことに成功。
理想的な骨格構造となり、基本性能の向上と軽量化を両立しました。ちなみに、車体重量は860~940kg程度です。
車の性能を見る指標として「パワーウェイトレシオ」というものがありますね。これは「車重」に対する「最大出力」の割合を示したもので、数値が低いほど優れた性能を表します。
スイスポの数値を計算してみると、7.0kg/PSを切る結果となりました。これはスズキのなかでもダントツの数値です。
ほかの車種と比較すると、こんな感じです。
モデル名 | PWR(パワーウェイトレシオ) |
レクサス RX350 ArtWorks | 6.93kg/PS |
スズキ スイフトスポーツ BaseGrade | 6.93kg/PS |
マツダ ロードスター RF RS | 6.96kg/PS |
トヨタ アルファード 3.5SC | 6.97kg/PS |
日産 ジューク NISMO | 7.00kg/PS |
トヨタ クラウン RS-Advance | 7.96kg/PS |
スズキ スイフト Hybrid RS | 10.66kg/PS |
現行国産車で計算してみたところ、7.0kg/PS前後の車種はこのようになりました。これはそうそうたる面々ですね…。
スポ―ツカーというわけではありませんが、どれも車格が上のモデルばかりです。
言い換えれば、スイスポは「車重を考慮すれば、これらの車種と同じくらいの出力」ということになります。
もしスイフトを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!スイフトの実際の加速感
それではネットに投稿を参考に、実際の加速感を紹介したいと思います。
TwitterとYouTubeから気になるものを見つけたので、ご覧ください。
オーナーさんのツイート
今日は往復スイスポで走ってみてよくわかった
すんごいなこいつ…、車重の軽さを活かした加速がすんごいわ…
そらGH8インプに比べたらターボの加速はそこまででもないんだけど
NAっぽい感じで吹け上がるんだよな、自然な感じで— しびる (@eternal8823) 2018年8月6日
スイフトスポーツの加速感を投稿したツイートです。軽さを活かした軽快な走りに驚いていますね!
スポーツはターボモデルですが、スムーズに吹き上がる回転フィーリングが魅力的。一度乗ってみるとわかりますが、まるでNAのような雰囲気を味わえますよ。
インプレッサのような、いわゆる「ドッカンターボ」とは違った加速感ですが、この感触に病みつきになるオーナーさんが続出です。(ドッカンターボの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ドッカンターボとは?メリット3つとデメリット1つ!搭載車を軽自動車からも紹介!興味ない人も一回スイスポ試乗してみたらいいかも。好き嫌いは別として、あの加速はビビる。WRXやランエボとも違う全く異質の加速感。だってターボラグが無いんだもん pic.twitter.com/cNpr8a9xLy
— ししゃもねぎ (@negishishamo2) 2018年7月12日
こちらのオーナーさんも、NAのような加速感について語っています。
そりゃ驚きますよね。ターボといったら、踏んでからのラグがデメリットですから。
グンと加速する感覚は確かに気持ちいいですが、ターボラグがいまいち好きになれない方は多いことでしょう。(ターボラグの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ターボラグとはどんな意味?起こる原因と解消する対策について解説!その点スイフトスポーツは、ペダルワークとリンクするように回転していく感覚は、ターボ車のソレとは違ったものです。まさに「異質」としか形容できません。
200km/hまでストレスなく加速する動力性能と、それをしっかり受け止められるボディを33スイフトは兼ね備えています🚗
Powered by Lap Bee ECU(BBR)🐝#ZC33S #スイフトスポーツ#スイフト#ECUチューン pic.twitter.com/1DuQJnyxFc
— でぃーぷ@ZC33S (@DEEPkn) 2018年4月24日
こちらのオーナーさんはスイフトにECUチューンを施しているようなので、ノーマルより一段上の加速に仕上げています。
その性能は…200km/hまでストレスなく加速しちゃうくらいです。
スイフトは、コンパクトなボディ全体でパワーを受け止めながら加速するので、ただエンジンが強力な車とは違います。
このあたりの作りこみが、「さすがスズキ!」といったところでしょうか。
爆発的な加速力のスイスポ。
軽快なエンジンでどこでも踏みまくれるRS。迷いに迷ったのでもう一日時間を貰った。取りあえず言えるのは、現行スイフト凄い。売れて当然だよアレ。 pic.twitter.com/zMRwt6x2HN— ししゃもねぎ (@negishishamo2) 2018年7月12日
さきほどの投稿と同じオーナーさんです。これだけ熱いツイートを繰り出せるとは、相当スイフトに惚れ込んでいますね。
スイスポの魅力は「圧倒的な加速力」、そしてスイフトRSの魅力は「NAならではの軽快さ」と語っています。どちらを買うかで悩んだ結果、スポーツにしたようです。
どちらのモデルもそれぞれ長所があり、車として非常に魅力的。同じ車でも、違ったキャラクターを持ち合わるスイフトは、「売れて当然だよアレ。」と言わしめるほどです。
ちなみに私もまったく同意見で、現行スイフトは売れて当然の車だと思います。
YouTubeで加速感をチェック
こちらは現行モデルのスイフトスポーツの加速動画です。メーターしか映されていませんが、加速感は十分伝わるかと思います。
まず、スピードメーターの伸びが非常に速いですよね。スポーティな音を吹き上げながら、スムーズに回転していくのが、見ていて気持ちいい。とくに5,000rpm付近の音がすごくいい感じです。
スイフトの加速性能をほかの車と比較すると
最後に、スイスポの加速性能を同クラスの車種と比較してみたいと思います。
「ノート e-power NISMO」「ヴィッツ GRMN」の2モデルを比較対象にして、見ていきましょう。
日産 ノート e-power NISMO
話題になっているコンパクトカーといえば、日産「ノート e-power」ですよね?電気モーターを搭載し、発進加速はピカイチ。
なかでもNISIMOがチューニングを手掛けた「e-power NISMO」は抜群の運動性能を誇ります。
項目 | 諸元 |
最高出力 | 79PS/5,400rpm |
最大トルク | 10.5kg・m/3,600~5,200rpm |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC+モーター |
排気量 | 1,198cc |
車重 | 1,250kg |
PWR | 15.8kg/PS |
0-100km/h加速 | 7.5秒 ※オーナー実測値 |
※水冷、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!こちらが、ノート e-power NISMOのスペックです。ざっと見た感じはスイスポの方が優れていますが、この表はモーター性能を考慮していません。
モーター出力も含めるとシステム全体の最高出力は100PSほどになり、パワーウェイトレシオは12kg/PSに迫ります。
加えて、NISMOモデルはアクセル開度がチューニングされ、立ち上がりが鋭くなっているので、0-100km/h加速は通常のe-powwerを超える7.5秒。
スイスポには一歩及ばないものの、加速性能としては十分なレベルですね。
なおノートについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
日産ノート(e-power)の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!日産ノート(e-power)の燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!トヨタ ヴィッツ GRMN
トヨタ「ヴィッツ」には、加速が速いイメージがありませんよね?
ところが、TOYOTA GAZOO Racingが手掛けるコンプリートモデル「GRMN」は、本格スポーツカーに匹敵する性能を有していんです。
項目 | 諸元 |
最高出力 | 212PS/6,800rpm |
最大トルク | 25.5kg・m/4,800rpm |
種類 | 直列4気筒DOHC Sチャージャー |
排気量 | 1,797cc |
車重 | 1,140kg |
PWR | 5.37kg/PS |
0-100km/h加速 | 6.5秒 ※公式タイム |
こちらがヴィッツ GRMNのスペックです。すべての数値に関して、スイスポを大きく上回っていますね。コンプリートモデルなので、当然といえば当然ですが…。
1.8L スーパーチャージャー付きエンジンから繰り出されるパワーは212PSを記録し、25.5kg・mものトルクを生みます。
スーパーチャージャーとは?仕組み/構造は?音が最高のメリット?!それでいて車重は1100kg台なので、パワーウェイトレシオは5.37kg/PSという堂々たる数字。
0-100km/h加速は海外のサーキットで計測され、6.3~6.5秒と公称されているので、信頼できるタイムです。
コンパクトカーとしては、加速性能でスイスポを上回る、唯一のモデルといってもいいでしょう。
逆説的に考えると、この車格でスイスポを上回るには「コンプリートモデルを作るしかない」ということ。スイスポの加速性能は、それくらい高水準なのです。
なおヴィッツについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ヴィッツの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ヴィッツの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!