日産自動車は1933年創業で90年近く自動車開発を行っているメーカーです。
キャッチフレーズは「技術の日産」で、なにより技術力を売りにした高性能な車は多くのファンを得て、販売台数ではトヨタについで国内2位となっています。
日産自動車は日本の自動車産業の黎明期から活躍する大メーカーで、いまでも信頼性の高い日本車メーカーとして世界的にも有名です。
そんな日産車ですが、こと故障率についてはどのぐらいなのでしょうか。
この記事では日産車の故障率を、データを用いながら解説していきます。
日産車の故障率
では早速日産の故障率を見ていきましょう。
日産の自動車耐久品質調査のデータ
さてそんな日産の車の故障率ですが、正式な故障率のデータというのはメーカーの社外秘になっており、一般に公開されるものではありません。
しかしそのデータとは別に民間調査会社が収集した故障率のデータがあり、今回はそちらを参考にどのぐらいの故障件数があるのかを見ていきましょう。
このデータはJ.D. パワー社というアメリカの調査会社が毎年公表している故障率の少ないメーカーのランキングで、「自動車耐久品質調査(VDS)」と呼ばれています。
調査内容は各国の市場で実際に車を所有している人から、新車購入後3年~5年経過時点での故障の発生を聞き取り調査し、不具合件数の少なさで集計してあるものです。
2017年 日本自動車耐久品質調査
ランキング | メーカー | スコア |
1 | トヨタ | 59 |
2 | レクサス | 63 |
3 | ホンダ | 74 |
業界平均 | 74 | |
4 | メルセデス・ ベンツ | 75 |
5 | スズキ | 79 |
6 | 三菱 | 80 |
6 | 日産 | 80 |
8 | ダイハツ | 82 |
8 | スバル | 82 |
10 | MINI | 88 |
さてこのランキングを見てみるとトヨタ系のメーカーが圧倒的に良く、国内3位のホンダもよい位置についています。
日産は三菱と同率の6位で、業界平均よりも少し低い位置にありますね。
このランキングは多数の国内メーカー、海外メーカーすべてでのランキングですので6位でも十分信頼できるレベルなのですが、スコアを見てもトヨタ系には故障率では及びません。
日産以外のメーカーの故障率は、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
トヨタは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!ホンダは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!日産車の故障率の秘密
日産車はトヨタ車より故障率は高いですが、一体何が違うのでしょうか?
日産車は新技術を積極的に取り入れて車の価値をあげています。一方、トヨタ車は既存の設計を多くの車に採用して、目新しくはないものの堅実で信頼性の高さを売りにしているのです。
車の販売台数はトヨタのほうが圧倒的に多いので堅実路線にならざるをへないこともあるでしょうが、それがこと故障率という点にクローズアップすると他社以上の信頼性を持つに至っているのでしょう。
日産は「技術の日産」を自負するだけあって新技術に目がなく、トヨタ車より面白い車をたくさん産み出す一方で、新しい技術に故障は付き物ですので故障率という点では一歩及ばないのも事実ですね。
ちなみに日産は新技術だけが取り柄ではありません。以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもぜひ目を通してみてください。
日産車の決定的な特徴5つ!魅力から欠点まですべて解説します!中古の日産車の故障しやすさ
日本車では新車の時点ではどのメーカーも故障など起こさないので大きな差はありませんが、車の年式が古くなったり走行距離が増えてきたりすると次第にその差が現れてきます。
ということは中古車で購入する際にはメーカー後との故障率は気になる点ということです。
日本では車の寿命は一般的に10年100,000kmと言われており、中古車を買う際のひとつの目安にしている人は多いでしょう。(詳細は以下の記事をご参照ください。)
中古車は走行距離が何万キロまで安心して乗れる?答えはこれだ!日産車もトヨタ車も車の保証距離自体はかわりませんが、やはり年式や走行距離が多い車では日産車よりトヨタ車のほうが故障が少ない傾向にあります。
中古車のコンディションはそれまでの乗り方や環境などでさまざま違ってくるのですが、故障率を気にするのであれば日産車は走行距離の少ないコンディションの車を選ぶのが無難でしょう。
具体的な走行距離の目安は以下の記事をご参照ください。
基準はこれを参考に!中古車の走行距離の目安を解説します!日産車オーナーの評判
日産車の故障についてはTwitterにもさまざまな意見があり、故障したことがないという人から故障が多いという人までさまざまです。
車の故障の要因にはもちろん設計の信頼性はありますが、それ以外にも車の乗り方走り方、環境要件など非常に複雑ですので、一概にすべての日産車が故障するというわけではありません。
しかしそのなかでも比較的意見の多かったものを含め、いくつかツイートをご紹介しましょう。
全く故障のなかった日産キューブ
ヴィッツも強強ですねw
故障なしといえば日産車も全く壊れなかったんですよね。初代キューブ。
リコールはありましたが、全く問題なくノートラブルで10万キロを余裕でこえて生涯を終えました…
私の中の結論では、トヨタ(レクサス)、日産がサイツヨかなと…— 修理地獄の愛車に苦しむYuzu。 (@yuzu39s) February 19, 2018
この方は日産キューブに100,000km以上乗られていたそうですが、その間故障はなくノートラブルだったそうです。
キューブは日産の一般的なコンパクトカーで特別故障率の低い車というわけではないので、よい状態におかれればノートラブルの車もありえるというよい例ですね。
ただその状態になるためには定期的なメンテナンスや消耗品の交換はかかせません。
メンテナンスをしていない車ではトヨタでも日産でも100,000kmまでノートラブルとはいかないでしょう。
日産車はトヨタより故障しやすいイメージ
日産車はしらんけど、実際どうかは別としてトヨタ車は故障しにくい、信頼性高いってイメージが根強い印象だからこだわりない限りはトヨタ車に行くんじゃないかしら
あと大人気のプリウスみたいなの乗っちゃったら他の乗るの馬鹿らしくなりそうだし— リツカ (@nankuru0315) September 2, 2016
前述した故障率のデータを見るまでもなく、世間的なイメージは日産車はトヨタ車より故障は多いというのが定着しています。
それほどまでにトヨタ車の故障が少ないということなのですが、日産車がこれを覆すためにはかなりの信頼性アップが必要でしょう。
日産車は電気系が弱い
日産車は電気系の部品が弱いですね。僕の担当のNV200も、故障が多発していて困っています。(直近3出番、他の車で出庫)
— 美甘 章雄 (@nishiarai43) February 6, 2018
これも昔から良く言われていることで、日産車の弱点は電気系にあるという点です。
これについてはのちほど詳しく解説しますが、日産車の電気系の部品が壊れることはよくあります。
とはいえこれも大半は走行距離の多さによる劣化が原因で、比較的新しい車が故障することはまれです。
しかし昔からあるイメージは強く、日産車の電気系が壊れるとどうしてもイメージが出てきてしまいますね。
もし日産車の購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!日産車の故障事例
日産車の故障事例はいろいろありますが、いくつか主要なものをご紹介していきましょう。
電気系の故障
さきほどのツイートにもあったように、日産車の弱点と言われている電気系についてご説明します。
おおまかに電気系といってもいくつもの部品がありますが、よく故障する部品の代表にあがるのはエアコン系とオルタネータでしょう。
またエンジンのO2センサーなども筆頭にあげられます。
エアコンの故障
エアコン系の故障には主に2つあり、エアコンコンプレッサーとブロアー系の2つです。
エアコンコンプレッサーはエンジンの動力で稼働する部品で、高速回転する部品なので消耗してくるとベアリングなどが痛んできます。
そうすると異音や稼働不良が発生し、エアコンの故障と診断されます。
エアコンコンプレッサー自体は80,000km~100,000kmで交換が必要な部品なので走行距離が増えてくるとトラブルのかの異性が高くなります。
ブロアー系は車室内のダッシュボードの奥にあるエアコンの吹き出しシステムで、こちらも経年劣化で吹き出しが止まったり異音がしたりします。
昔私が乗っていた日産スカイラインもブロアーからいろいろ異音がしていましたね。
ブロアー系は内部を分解して故障した部品の交換で対応となります。
費用的には国産車として標準的で、エアコンコンプレッサーの交換には50,000円〜70,000、ブロアー系の修理でも30,000円〜50,000円ぐらいが相場です。
その他にエアコンのガス漏れなどのトラブルもありますが、これは漏れた部分の部品交換とガス再充填で20,000円ぐらいの修理になるでしょう。
オルタネータの故障
オルタネータは車で使う電気を発電する発電機で、エンジンの動力を使って発電しています。
これもエアコンコンプレッサーと同じように走行距離が増えてくると交換が必要な部品で、走行距離が増えると異音などのトラブルが増えてきます。
オルタネータも負荷が大きく比較的消耗の早い部品で、車の部品として故障しやすいといえます。
オルタネータが消耗してくると異音でトラブルがわかるのですが、そのままにしておくと完全に故障して車の電気系統が止まってしまいます。またエンジンもかからなくなるので、オルタネータのトラブルが見つかったらすぐに交換が必要です。
オルタネータの交換には70,000円〜100,000円ぐらいが相場ですが、長距離を走った車には必要なメンテナンスといえるでしょう。
O2センサーの故障
O2センサーはエンジンの排気ガスを調べるセンサーで、走行距離100,000kmまでのどこかで交換が必要になる部品です。
しかし日産車は走行距離がもう少し短く80,000kmぐらいからトラブルが出ることが多いようです。
O2センサーは常に高温の排気ガスにさらされている部品で、部品の劣化が激しい部位におかれています。
それでも長距離の走行に耐えられるよう設計されていますが、日産車のものは条件によってはトラブルがでてきます。
トラブルが出ると運転席の警告灯がつくのですぐにわかります。
O2センサーが壊れやすい部品というのはあらかじめわかっていて交換も楽な構造になっていますので、交換費用はそこまで高くなく15,000円〜20,000円といったところです。
日産車に限らずトヨタ車でも現れるトラブルですが、前述したイメージのこともあり日産車に多いと思われているようですね。
その他の電気系部品
その他にも電気系部品でトラブルを抱えやすいのは、エンジンのスタータモーターと、パワーウインドウのモーターです。
エンジンのスタータモーターはエンジンをかけるときに必須の部品で、停止状態のエンジンを回転させるので大きな負荷がかかります。
やはり100,000kmまでで交換する部品ですが、早めに異音などのトラブルに見舞われやすい部品でもあります。
交換には50,000円程度の費用がかかるでしょう。
またパワーウインドウのモーターはガラスドアを上下させるためのモーターですが、日産車は比較的ここにトラブルが発生しやすいようです。
モーターが動かなくなるとパワーウインドウが動かないので、最悪ガラスが開きっぱなしになります。
モーター交換には20,000円〜30,000円ぐらいの費用となります。
これらのモーターのトラブルは日産車も年々改善されており、以前に比べて発生頻度は減っているようです。
しかし車が工業製品である限り故障しないものはありませんので、とにかく異音などがしたらすぐにメンテナンスをするのが一番です。
CVTのトラブル
電気系統とあわせてよくトラブルがあると言われるのは、CVT(無段階変速機)のトラブルです。
CVTはベルトやローラーで変速を行う自動変速機の一種で、ATよりも高効率で日産車では小型車を中心に幅広い車種で採用されています。
騒音も静かで燃費もよくコンパクトカーなどにはもってこいの機構なのですが、内部部品には非常に負荷のかかる部分が多く、機械的にはATよりもトラブルの多い機構といえます。
この点は走行距離の多い日産車で度々みられるもので、CVT自体は正常に稼働するものの、異音や燃費の悪化などの問題点が現れてきます。
CVTの部品の交換には多額の費用がかかり、もしCVT全体を交換となると200,000円近い費用が必要となります。
少しでもトラブルを減らすためにはCVTオイルの定期的な交換が効果的なようです。
日産の設計ではオイル交換は不要となっているのですが、CVTオイル由来のトラブルも多いので新しいオイルにしたほうがよいのはいうまでもありません。
オイル交換費用は10,000円〜15,000円程度なので、数万キロごとぐらいで交換しておけばトラブルを減らせるでしょう。
日産車は買っても大丈夫か?
日産車は故障率の点ではトヨタに一歩及ばないのは事実ですが、日産車も年々信頼性は向上しておりトラブルの発生率自体はかなり減っています。
新車はもちろんのこと、中古車でも走行距離や年式の新しいものはほとんどトラブルもなく、メンテナンスさえしっかりしていればかなりの距離をノートラブルで走れるでしょう。
前述した日産車の弱点も定期点検時に見つかることが多く、定期点検は欠かせません。
なにより日産車にはトヨタ車にはない魅力もたくさんありますので、故障率以外の面では決してトヨタにひけはとらないでしょう。
日産車の魅力は例えば以下のような記事で解説しています。こちらもぜひあわせてご覧ください。
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