三菱 デリカD:5はオフロードを意識した中型ミニバンで、他のメーカーのミニバンにはない特徴を備えています。
今回はそんなデリカD:5のデザインについてご説明します。
デリカD:5のデザイン
参考:www.mitsubishi-motors.co.jp
デリカD:5は三菱が2007年から現在まで長期に渡ってラインナップしているトールサイズミニバンで、ミニバンとSUVを合体させたような性能を持っています。
トールサイズミニバンは現在のファミリーカーのトレンドの一つで、車の車高が高くて車内の上下スペースが広々とした車です。
トールサイズミニバンでは何より車内の居住性に重点が当てられており、7人〜8人乗りが可能なあ3列シートや広々としたラゲッジスペースを確保するためのシートアレンジ、走行中の車内の静粛性などがポイントです。
その性能からトールサイズミニバンはファミリーカーとしての需要が高いのですが、その他にもその積載性や居住性を利用してのアウトドアやキャンプ、車内を使った車中泊など幅広い使われ方があります。
そういったトールサイズミニバンの中でも一際変わった特徴を持つのがデリカD:5で、この車は「世界で唯一のオールラウンダーミニバン」をコンセプトとしています。
デリカD:5は車高が高くスクエアボディを持つミニバンではありますが、一方で強度の高いボディや車の最低地上高を高くしたり大径タイヤを採用するなどSUV系の車種の走破性の高さも持ち合わせています。
デリカという車種は昔からオフロードやアウトドアに強いバンとして人気があった車で、デリカD:5でもそのコンセプトを受け継ぎ普段使いだけでなく多少の悪路ならばしっかり走破できる性能もあります。
またそのコンセプトからミニバンとしては珍しくトルクフルなディーゼルエンジンを搭載できたり、強力な4WDシステムも設定できるなど、普通のミニバンでは見られない特徴を持っています。
今回はそんなデリカD:5のデザインについてご説明します。
デリカD:5のエクステリアデザイン
デリカD:5は2007年に登場した車ですが、途中でビッグマイナーチェンジを迎えてデザインが大幅変更されており、現状の最新モデルが次のデザインとなります。
参考:www.mitsubishi-motors.co.jp
デリカD:5の大きな特徴となっているのが押し出し感の強いフロントマスクで、メッキパーツを多用した豪華なグリルが目を引きます。
グリルとつながるように切れ長のヘッドライトのようなデザインがありますが、実はこのランプはポジションランプでありヘッドライトはその下です。
普通の車ならフォグランプの位置にある縦型の大きなライトがヘッドライトとなっており、SUVらしいデザインをうまく活用した大胆なデザインが取られています。
なおフォグランプについては更にその下のフロントバンパー部分にあるライトで、上下3段に渡って配置されたライト類は視認性と相まってデリカD:5の力強いデザインをしっかり表現しています。
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一方でリアのデザインについては比較的落ち着いたものですが、左右のコンビランプを真っ直ぐつなげるような直線的なデザインはデリカD:5ならではのものです。
リアバンパーには下部にバンパープロテクターのような部分がありますが、これはデザインだけでなくデリカD:5で悪路を走行する際には役に立つものです。
またデリカD:5の全体のフォルムはスクエアボディのミニバンですが、リアから見ると分かるとおりデリカD:5の地上からボディ下までの距離が大きく取られており、SUV並みの悪路走破性を確保しています。
クラス的には中型ミニバンのデリカD:5ですが、フロントマスクの豪華さや全体的な車の大きさの印象でワンランク上の雰囲気を持つミニバンです。
デリカD:5のインテリアデザイン
デリカD:5はインテリアにも特徴がいくつもありますのでご紹介します。
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まずデリカD:5のインパネ部分ですが、こちらは全体的に直線基調で構成されておりカーナビの画面を中心として規律の取れたラインで構成されています。
エアコンダクトやシフトレバー、エアコンパネルなどもまとまりがよく、ダッシュボードのラインなども含めて複雑になりすぎることなく質感の高いインテリアに仕上がっています。
そしてインパネやドアパネルには木目調の豪華なパネルが設定されており、ミニバンとしての高級感も感じられるものとなります。
なおデリカD:5のインテリアカラーはこの写真にあるベージュかブラックかで選択でき、シックなインテリアでも高級感のあるインテリアでも選択できます。
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デリカD:5のインテリアもなかなか豪華なものに仕上がっており、シート表皮などは特徴的なパターンのあるソファーみたいなシートになっています。
デリカD:5には8人乗りと7人乗りモデルがありますが、8人乗りモデルでは2列目シートがベンチシート式のものとなり、広々としたスペースがあります。
一方で7人乗りでは2列目シートが左右独立式のキャプテンシートになっており、より高級感を増したミニバンらしい仕様にもできます。
3列目シートを展開した状態ではラゲッジスペースはそこまで大きくありませんが、シートを収納することで一気にたくさんの荷物を載せることもできます。
エクステリアデザインからデリカD:5はオフロードの印象が強い車ではありますが、インテリアは間違いなく居住性の高いミニバンのものに仕上がっています。
デリカD:5 アーバンパッケージのデザイン
デリカD:5には高級仕様としてアーバンパッケージというグレードがあり、こちらもデザインをご紹介します。
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デリカD:5のアーバンパッケージはよりミニバンらしい高級感を出した仕様となっており、エクステリアデザインとしてフロントとサイドにバンパーやサイドスカートを延長するようなスポイラーが付きました。
またフロントグリルとメッキパーツが専用デザインとなり、通常モデルをさらに豪華に仕上げています。
標準仕様では最低地上高が確保されることで背の高い印象のデザインだったのですが、アーバンパッケージでは最低地上高も下がってミニバンのデザインが前に出ています。
参考:www.mitsubishi-motors.co.jp
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またアーバンパッケージではインテリアにも変更があり、標準仕様で木目調パネルがあった部分には青色のクールなデザインのパネルになっています。
さらにステアリングが本革巻きになったり加飾も増えていたりと全体的に豪華に仕上がっており、質感の高さが見えてきます。
シートにも本革シートが設定されるとともにアーバンパッケージは7人乗りモデルが基本となっているので、特にキャプテンシートになった2列目シートの快適さはすばらしいものがあります。
アーバンパッケージはデリカD:5の最上級仕様として、デザイン的にもまた価格帯的にも高級ミニバンとしての存在感がある車です。
デリカD:5の前期型デザイン
デリカD:5は2007年から現在まで長くラインナップが続いている車ですが、現在のデザインは2018年に大きく変更されたものでありそれまでのデリカD:5は印象が大きく違います。
そんな変更前のデリカD:5もまだまだ中古車市場などで見かけるので、デザインをご紹介しておきます。
まずデリカD:5で大きく変更された点がフロントマスクのデザインで、現在のモデルがかなり押し出し感が強いデザインなのに対して前期型はもっとオフローダーのようなデザインでした。
ヘッドライトはシャープで大きなデザインでそこにつながるグリルが特徴的ですが、このあたりのデザインは過去のデリカにつながるところがあります。
またフロントバンパーにはSUVらしいバンパーガードが形作られており、悪路走破性をデザイン的にも盛り込んだものとなります。
加えてボンネット形状やフロント周りのラインも変わっていますが、SUVらしさを各所に感じさせるデザインです。
一方でサイドやリアのデザインについては基本的に現在でも変わっておらず、リアコンビランプのデザインは完全にそのままです。
基本的には前期型から後期型で変わったのはフロントマスクなのですが、その印象が大きく変化したことでデリカD:5は高級ミニバンとしての印象を強めた形になります。
インテリアなども基本的なデザインは変わっていませんが、以前のデリカD:5にあったオフロード向けの仕様は現在は廃止されており、その代わりにアーバンパッケージなどの高級仕様が増えています。
デリカD:5のデザイン変更には高級路線への変化という意味が含まれており、価格帯なども多少高級路線へシフトしています。
デリカD:5のボディカラー
デリカD:5にはいろいろなボディカラーが設定されていますが、現行モデルのボディカラーと以前のボディカラーをご紹介します。
デリカD:5 現行ボディカラー | ホワイトダイヤモンド |
スターリングシルバーメタリック | |
ブラックマイカ | |
ブラックダイヤモンド | |
ホワイトダイヤモンド+スターリングシルバーメタリック | |
スターリングシルバーメタリック+グラファイトグレーメタリック | |
グラファイトグレーメタリック+ブラックマイカ | |
ブラックダイヤモンド+グラファイトグレーメタリック | |
前期型ボディカラー | ディープシーグリーンマイカ |
アイガーグレーメタリック | |
ダイヤモンドブラックマイカ | |
クールシルバーメタリック | |
ウォームホワイトパール | |
ダークイッシュグレーマイカ | |
プラチナベージュメタリック | |
ジェイドグリーンマイカ |
現在のデリカD:5のボディカラーには大きく分けて2種類があり、単色のボディカラーと車の上下で塗り分けを行ったツートーンカラーがあります。
ボディカラー自体は非常にシンプルな構成となっており、ホワイト、シルバーのほかにブラック系統が2種類という構成です。
ツートーンカラーにはグラファイトグレーメタリックというグレー系のカラーもありますが、全体的にはシックなボディカラーのみの設定となっていてSUVらしいカラーなどはありません。
一方でフロントマスクデザインが違う前期型ではボディカラーの構成も大きく変わっており、ホワイト、シルバー、ブラック系はあるもののボディカラーとしてはカラーが多少違います。
その他にアースカラーと呼ばれるグリーン、ライトブルー、ベージュなどのボディカラーが設定されており、これはSUVとミニバンを合体させたデリカD:5らしいボディカラーといえます。
特にグリーン系のカラーが度々登場しているのは、アウトドア向けのミニバンであるデリカD:5だからでしょう。
前期型と現行型でボディカラーの構成が大きく違うのは車としてのコンセプトが高級路線へ変化したためであり、ここまで大きな変化がある車種というのはあまり見られません。
デリカD:5は人気か?
デリカD:5は中型〜大型ミニバンとしては唯一のコンセプトを持った車でさまざまな用途に活用できる車ですが、販売台数的に見ると他のミニバン系車種よりは少ないです。
トールサイズミニバンは国内市場の売れ筋カテゴリーの一つで各社からさまざまな車種が登場していますが、その殆どは乗用車としての普段使いがメインの車です。
これに対してデリカD:5にはミニバンだけでなくSUVの要素が加わっていることが大きな違いであり、他のミニバンではデリカD:5ほどの悪路走破性は発揮できません。
この特徴からデリカD:5は一部のユーザーには非常に人気であり、特にアウトドアやレジャーを楽しむ人には多目的に使える便利な車となっています。
しかし販売台数で見ると何年もの間で年間販売台数は10,000台〜20,000台規模となっており、不人気というわけではありませんが大人気という台数でもありません。
ですがこれはデリカD:5という車が少し特殊なコンセプトを持つことや、そもそも発売から15年もの間継続している長寿車種となっていることで仕方ない面でもあります。
むしろこれほどの長期に渡ってコンスタントに販売されている車種なので、一定の層にしっかり定着している車種といえるでしょう。
デリカD:5の評判
デリカD:5はデザインの評価にはいろいろある車ですが、twitterなどでは次の様な評価が多いですね。
正直、デリカD5のデザイン変更時は「何コレ?」感が凄く、4枚刃髭剃り、波動砲と小馬鹿にしてた側やったんやけど、いつの間にか「カッコいい」派になってた。 pic.twitter.com/MRdBnZZ1A3
— 局地戦闘機 フェンリル デリカD5 (@fenlil8492) April 13, 2021
こちらの方は現在の押し出し感の強いデリカD:5のデザインについて言及されていますが、デザインの変更当時はあまり好きにならなかったようです。
ですが時間が経って現在はカッコいいという評価になっており、第一印象と慣れたあとの印象が随分違う車ということですね。
三菱デリカD:5のカタログ届いたー!
ダイナミックシールドというフロントデザインは初めて見た時は失笑した。
慣れとは恐ろしいもので最近はなかなか良く思えてきたりして。ちなみに購入予定は全く無い。 pic.twitter.com/z3oA4rqO8I
— うどん (@N_tsu_sun) April 18, 2021
こちらの方もデザイン変更されたデリカD:5のフロントデザインは最初は受け入れられなかったそうですが、慣れるとよく感じてきたそうです。
デリカD:5のデザインはかなり大胆なものなので初めて見たときにはびっくりするのですが、意外としっかり高級感のあるデザインなので時間が経ってから評価されるのでしょう。
我が家のデリカD5は旧モデルですが、スッキリしたデザインとアドブルーが要らないクリーンディーゼルであることが素敵。
四駆の性能は言うに及ばず、剛性感のある車体とゆとりのトルクで乗り心地が良いのも美点。
そして、踏むと速い。 pic.twitter.com/Ms1S7r23vp— タロウ@フリーダム (@taro_VR) January 9, 2022
こちらの方は前期型のデザインのデリカD:5に乗っていらっしゃいますが、デザイン的にスッキリしている点を好まれているようです。
1つの車種でこれほど違うフロントマスクのデザインになることはあまりないのですが、逆に選択肢が広くなるという点で良いのでしょう。
デリカD:5の欠点
デリカD:5はミニバンとしては標準的なサイズの車ですが、その特殊なコンセプトからデザイン的に少し残念な部分もあります。
デリカD:5の全長、全幅、全高などのサイズは中型ミニバンとして一般的なサイズ感で、車が大きすぎて扱いづらいということはありません。
ですがデリカD:5は普通のトールサイズミニバンと違う点としてSUV的な要素が加わっていることで、悪路走破性を高めるために地上から車体下までの最低地上高が高く設定されています。
またタイヤなどもSUVらしい大径のものが設定できるようになっており、それに合わせてボディも作られています。
こういった点はミニバンの中でもデリカD:5ぐらいしか備えていない特徴で、悪路走破できるミニバンはかなり貴重です。
しかしそういった部分にスペースをとられるので車内のスペースがそれだけ減少するということであり、同サイズのミニバンと比べると多少車内が狭くなってしまいます。
窮屈と言うほどではありませんが特に室内高の部分で減少傾向にあり、車内スペースを何より優先する方にはデリカD:5はあまりおすすめできないでしょう。
デリカD:5の値段
では最後にデリカD:5の現在の新車価格と、中古車価格をそれぞれご紹介します。
なお中古車価格については前期型のデリカD:5も含まれており、大手中古車情報サイトであるカーセンサーとgoo-netで調査しています。
デリカD:5 | 新車価格 | 中古車本体価格相場 | |
デリカD:5(後期型) | 3,913,800円〜4,489,100円 | カーセンサー | 98,000円〜7,980,000円 |
goo-net | 98,000円〜6,950,000円 |
まずデリカD:5の新車価格ですが、現在は4,000,000円〜4,500,000円という価格帯にある車で価格だけで見ると高級ミニバンの範疇です。
この価格帯になったのはフロントマスクが変更された後期型からで、以前の前期型のときには2,500,000円〜4,000,000円ぐらいの価格帯にありました。
フロントマスクの変更に伴って高級ミニバンへのシフトが行われた結果、上級グレードのみを残す形で上位の価格帯になったのです。
しかし中古車としてはまだまだ前期型もたくさんの中古車が残っており、また15年も続けて販売されている車なので最低価格と最高価格の差が大きくなっています。
初期型のデリカD:5で年式や走行距離が多くなっている車であれば100,000円程度から購入でき、もう少し状態の良い中古車でもコストパフォーマンスは良い車といえます。
最高価格が新車価格より高くなっている中古車にはさまざまなエアロパーツやカスタムが入っている車であり、アウトドアやオフロード向きにデリカD:5をベースとしてカスタムしている人も数多くいらっしゃいます。
全体的に見ればデリカD:5はファミリーカーとしても遊びの車としても利便性の高い車であり、中古車が豊富なので予算とスタイル、装備など様々な面から自分にあった1台を見つけることができるでしょう。