ハイブリッドカーはいまや日本で最も普及したエコカーとなっており、さまざまな車種に搭載されるようになりました。
そんなハイブリッドカーは以前は雪道に弱いともいわれていましたが、現在はどうなのでしょうか。
今回はハイブリッドカーの雪道走行性能についてご説明します。
ハイブリッドカーの雪道走行性能
日本で雪道の走行性能を重視する地域は結構多く、北海道はもとより、東北、北陸、近畿、山陰などでは、車を購入する際に雪道に強いかどうかは大きな注目点です。
ハイブリッドカーは日本のトヨタ自動車が初めて量産化に成功した車で1999年にトヨタ プリウスが登場しましたが、このときにはプリウスに4WDの設定がなく、「ハイブリッドカーは雪道に弱い」というイメージがついてしまいました。
プリウスの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ですが現在では状況がずいぶん変わっており、必ずしもハイブリッドカーが雪道に弱いわけではありません。
雪道走行に必要な性能
車が雪道を比較的安定して走行するためにはいくつかの必要な性能があり、とにかくスリップしないということが最も重要です。それに関係するのはタイヤと車の駆動方式です。
スリップの原因
車がスリップしてしまう最大の原因はタイヤと地面の間に液体の水が発生するためです。
雪道で一度スリップしてしまうとタイヤと雪の摩擦で次々と雪が水に変わってしまうので、一向に前に進むことができない状況が生まれます。
これを「スタック」といい、一度スタックした車は自力で雪から脱出することは難しくなります。つまり雪道走行性能を高くするためにはいかにスタックしないか、ということが重要になります。
冬季に使う雪道用のタイヤとして「スタッドレスタイヤ」というものがありますが、これはスリップした時に生まれた液体の水を排出するための溝が多いタイヤとなっており、スタックに強い特徴があります。
ちょっとした雪道であればスタッドレスタイヤの排水性能でスリップが防止できますが、深い雪道だと排水性能を越えてしまう場合があり、こうなるとスタッドレスタイヤといえどもスタックしてしまう危険性があります。
このように雪道ではタイヤが重要なのですが、もうひとつスタックしないために重要なのが車の駆動輪の位置と数です。
雪道に強い駆動形式
車の駆動形式にはエンジンの搭載位置と駆動輪の位置でいくつかタイプがあり、雪道に最も強いのは4輪すべてが駆動輪となる4WDです。
自動車の駆動形式の基本となるのは前か後ろの2輪を駆動する方式で、FFはフロントエンジンフロントドライブ、FRはフロントエンジンリアドライブ、などの形式があります。
ですが2輪で走るということは2つのタイヤに車の駆動力全てがかかっており、スリップしやすい状態です。FFはエンジンの重量がタイヤにかかるので比較的ましなのですが、重量が分散するFRは雪道では最悪です。
その点4WDは4つのタイヤに駆動力が分散し、タイヤ一つにかかる負荷が減るため、全体的にスリップしにくい駆動形式です。
また駆動輪の一つ二つがスリップ状態になっても残りの駆動輪で駆動力が稼げれば、車としてはスタックしない可能性が高くなります。
そのため雪の深い豪雪地帯などでは4WDの人気が圧倒的に高く、その車種に4WDがあるかないかで購入する車が決まると言っても過言ではありません。
初期ハイブリッドカーの4WD
さて上記のような事情は自動車メーカーであれば十分把握済みであり、日本市場での車には4WDが設定されるのは一般的です。
ですが最初期のハイブリッドカーには2WDしか設定されておらず、豪雪地帯ではハイブリッドカーという車種自体が適していない時期がありました。
というのも初期のハイブリッドカーはとにかく燃費性能を高めることに注視しており、車として重量のかさむ4WDは燃費を悪化させる原因となるので、2WDしか設定されませんでした。
初期はまだまだハイブリッドカーという車種自体が浸透しておらず、4WDなど仕様を増やすよりは燃費の良さをとにかくアピールする必要がありました。
また日本のほとんどの地域はスタッドレスタイヤ程度の装備で十分な場合も多く、FFの2WDで十分という考え方だったのです。
この戦略はあるところでは成功し、ハイブリッドカーという車は燃費がかなり良いという認識はすでに世界的なものとなっています。
ですがその裏では4WDがないからということで、ハイブリッドカーを手に入れられなかったユーザーも確実にいたでしょう。
なおハイブリッドカーの性能については以下の記事でも詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッドカーとは?メリット6つとデメリット/問題点11つ特徴をわかりやすく解説!雪道で使う場合のハイブリッドカーの選び方
さて現在では昔のように2WDしか選択肢がないということはなく、ハイブリッドカーにもさまざまなタイプの車種があります。
その中で雪道走行に適している車種を選ぶ場合、次のような特徴を重視して選ぶと良いでしょう。
4WD仕様のある車種
まずは前述でも述べているとおり、4WD仕様がある車種を選ぶことが最も雪道走行にメリットのある選択です。
ハイブリッドカーに4WD仕様が登場し始めたのはプリウスが発売されたすぐ後ぐらいで、2000年ごろからです。
ですがこのころは意外にもプリウスには4WDは設定されず、その後3代にわたってプリウスは4WDがありませんでした。
最新型となる4代目プリウスでようやく4WDが設定され、豪雪地帯にとって念願かなった形になりました。
プリウスは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!ですが他の車種には早くから4WDが設定され、初期には
- トヨタ エスティマハイブリッド
- アルファード ハイブリッド
などのミニバンに4WDが設定されています。
その後ハイブリッドシステムの採用はどんどん拡大していき、車種もミニバンだけではなく、
- コンパクトカー
- ハッチバック
- SUV
- 軽自動車
など、ほとんどのカテゴリーのハイブリッドカーには4WDが設定されました。
こういったハイブリッドカーの4WDは、ハイブリッドカーの肝でもある燃費性能が2WDに対して劣り、また価格面でも4WDシステムの追加分でコスト増加があります。
しかしそういったデメリットがあっても依然雪国での4WDへの信頼は厚く、一定の需要を満たすためにモデルを設定するメーカーが増えています。
SUV系の車種
もうひとつ雪道に強い車種としてSUV系の車種があり、これらにもハイブリッドカーは増加しています。
SUVは「Sports Utility Vehicle」の略で、スポーツ用多目的車と呼ばれます。一般的にSUVは大径のタイヤと高い車高が特徴で、さまざまな悪路を走破できるのが特徴です。この悪路走破性は雪道でも有利な性能であり、高い車高は深い雪が積もっていても走行できるメリットになります。
またSUV系の車種はアウトドアやクロスカントリー性能を求められることもあって、前述の4WD仕様がほとんどのSUVには設定されています。
そのためSUVのハイブリッドカーであれば雪道に強い車種であることが多く、最良の選択肢といえるでしょう。
もしハイブリッドカーを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!雪道に強いハイブリッドカー
では最後に、ここまでをまとめておすすめできる雪道に強いハイブリッドカーをご紹介します。
スバル XVハイブリッド
まず現行のハイブリッド車で最強ともいえるのがスバルのSUV XVハイブリッドです。
スバルは昔から4WDに力を入れているメーカーで、日本でも豪雪地帯では非常に信頼されているメーカーです。
そんなスバルはハイブリッドの導入が少し遅かったのですが、ここ数年でラインナップを増やし、SUVであるXVやフォレスターなどにも導入されています。
スペック | ハイブリッド(e-boxer) | ガソリンエンジン |
グレード | アドバンス | 2.0i-L、2.0i-S |
エンジン | FB20型 2.0ℓ水平対向4気筒+モーター | FB20型 2.0ℓ水平対向4気筒 |
最高出力 | エンジン:107kW(145ps)/6,000rpm モーター:10kW(13.6ps) | 113kW(154ps)/6,000rpm |
最大トルク | エンジン:188N・m(19.2kgf・m) /4,000rpm モーター:65N・m(6.6kgf・m) | 196N・m(20.0kgf・m)/4,000rpm |
燃費 | 19.2km/L | 16.4km/L~16.0km/L |
XVのハイブリッドカーとしてのスペックはそこまで高くないのですが、なにより4WDシステムがフルタイム4WDであることから悪路走破性が特に高いのが特徴です。
スペック面ではガソリンエンジン車とほとんど差はないのですが、燃費が2割ほどよいのはハイブリッドカーならではのメリットです。
それに加えてスバルというメーカーに対する雪道への信頼性もありますので、かなり安心できる選択肢といえるでしょう。
なおXVについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
スバルXVは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!スバルXVがキャンプに最適な理由6つ三菱 アウトランダーPHEV
もうひとつの最強クラスのSUVのハイブリッドカーとして挙げられるのが、三菱アウトランダーPHEVです。
アウトランダーはハイブリッドカーとしては進化系にあたる「プラグインハイブリッド」カーで、駆動バッテリーを外部から充電して電力だけで長い距離を走行できるハイブリッドカーです。
そんなアウトランダーPHEVはSUVとしての性能も高く、雪道にも強い性能があります。
スペック | アウトランダーPHEV | アウトランダー20M |
エンジン | 4B12 MIVEC型:2,359cc 直列4気筒DOHC | 4B12 MIVEC型:2,359cc 直列4気筒DOHC |
モーター | 永久磁石式同期モーター(フロント×1、リア×1) | なし |
最高出力 | エンジン:87kW (118PS)/4,500rpm モーター(前):60kW (82PS) モーター(後):60kW (82PS) | エンジン:124kW(169PS)/6,000rpm |
最大トルク | エンジン:186N・m (19.50kgf・m)/4,500rpm モーター(前):137N・m(14.0kgf・m) モーター(後):195N・m(19.9kgf・m) | エンジン:220N・m (22.4kgf・m)/4,200rpm |
カタログ燃費 | 18.6km/L(ハイブリッドモード) EV航続距離:65.0km/L | 14.6mkm/L |
まずガソリンエンジン車と違うのはモーターだけで走行できるという点で、PHEVならば65km程度までならガソリンエンジンを動かす必要がありません。
そのためそういった領域の走行を続ければ年料を節約でき、車としての燃費は大幅に向上します。
またハイブリッド走行時の燃費もSUVとしては決して悪くなく、環境性能は従来のハイブリッドカーを凌駕します。
加えてこの車は駆動輪の前後それぞれにモーターを持っており、その高いトルクは雪道を走破するために必要なスペックといえます。
ハイブリッドカーモードではエンジンのトルクに加えてモーターのトルクを合わせて使えるので、非常に高いトルクを活かした悪路走破性が雪道でのこの車のメリットです。
なおにアウトランダーついては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アウトランダーは雪道に弱い?雪道走行の性能について分析してみました!三菱アウトランダーがキャンプに最適な理由4つ日産 エクストレイル ハイブリッド
最後にご紹介するのが日産が誇るSUVであるエクストレイルのハイブリッドです。
エクストレイルはタフギアという名称が示す通りオフロード走行にも力を入れており、伝統的に4WDシステムも信頼性の高いシステムとなっています。
そんなエクストレイルには現行車から待望のハイブリッド仕様が登場しました。
スペック | 20S ハイブリッド | 20S ガソリン |
エンジン | MR20DD型 2.0ℓ水平対向4気筒+モーター | MR20DD型 2.0ℓ水平対向4気筒 |
最高出力 | エンジン:108kW(147ps)/6,000rpm モーター:30kW(41ps) | 108kW(147ps)/6,000rpm |
最大トルク | エンジン:207N・m(21.1kgf・m)/4,400rpm モーター:160N・m(16.3kgf・m) | 207N・m(21.1kgf・m)/4,400rpm |
燃費 | 20.0km/L〜20.8km/L | 16.4km/L |
エクストレイルのハイブリッドとガソリン車はエンジンスペックは一緒ですが、搭載されているモーターが高出力で高いトルクをもっています。
エンジンとモーターを合わせたハイブリッドモードでのトルクは強力で、これがエクストレイルが雪道走行で信頼できる点です。
また燃費は20.0km/Lを越えており、SUVという重たい車種にしては良好です。
なおエクストレイルについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
エクストレイルは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!エクストレイルの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!