冬に強い車といえば、「スバル車」というイメージをもつ方が多いんじゃないでしょうか?
ラインナップを見てみると、その多くがフルタイム4WDに設定され、まさに「冬向け」な車がめじろ押し。
そのなかでも、コンパクトSUVの「XV」はサイズ感が普段使いしやすく、今注目の売れっ子モデルです。
というわけで今回は、スバルの人気コンパクトSUV「XV」について、雪道走行の性能を分析してみました。
ライバル車とも比較してみたので、購入について悩んでいる方はぜひ参考にしてくださいね。
XVは雪道でもガンガン走れる高性能の車
雪道での走行性能を評価するには、いくつかのパートについて考えるとわかりやすいです。
公称性能を参考にしながら、「走行性能」「コーナリング性能」「ブレーキ性能」の3項目について評価してみましょう。
まずは、XVの諸元をご覧ください。
項目 | 1.6Lモデル | 2.0Lモデル | 2.0Lハイブリッド |
種類 | 水平対向4気筒DOHC | 水平対向4気筒DOHC | 水平対向4気筒DOHC+モーター |
排気量 | 1,559cc | 1,995cc | 1,995cc |
最高出力 | 115PS/6,200rpm | 154PS/6,000rpm | エンジン: 145PS/6,000rpm モーター: 13.6PS |
最大トルク | 15.1kgf・m/3,600rpm | 20.0kgf・m/4,000rpm | エンジン: 19.2kgf・m/4,000rpm モーター: 6.6kgf・m |
車重 | 1,410kg | 1,420-1,440kg | 1,550kg |
全長×全幅×全高 | 4,465×1,800×1,550mm | ||
最低地上高 | 200mm | ||
駆動方式 | 4WD |
※水平対向4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水平対向4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!走行性能の評価
まず第一に、「雪の上を進むことができるのか?」について評価してみましょう。
雪上・氷上でのスリップや、氷塊や轍(わだち)といった障害物など、雪道は通常の路面よりも走りにくい環境になっています。
ただ「走る」といっても、これらに対応するには、ある程度の能力が求められるのです。諸元表から読み取れる部分でいうと、この3項目を見てください。
- 駆動方式
- 最低地上高の高さ
- トルクの大きさ
まず「駆動方式」ですが、雪道ではいうまでもなく4WDが有効です。
XVには、水平対向エンジンと左右対象に構成されたスバル独自のAWDシステム「シンメトリカルAWD」が採用されているので、雪道でも優れた安定性を発揮します。(水平対向エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
水平対向エンジン/ボクサーエンジンのメリット5つとデメリット5つ!音がいい?!次に見るのは「最低地上高」です。150mm以上が雪道でも楽に走れる高さといわれていますが、XVはこれを大きく上回る200mmという高さを確保しています。ちょっとした障害物なら、楽々とクリアできるでしょう。
雪道では「トルク性能」も大事。これは氷上というよりも、雪が深い状況で求められますね。XVは特別強力ではありませんが、優れた駆動機構によって、無駄なくトルクを伝えることが可能。
したがってXVは、雪道でも抜群の走行性能を発揮するということです。路面や走行状況に応じて、前後輪に最適なトルクを配分する機構も備わっているので、かなり高いレベルの悪路走行ができますよ。
コーナリング性能の評価
次に重要なのは、「安定しながら旋回できるか?」という点です。本来なら、大雪の日はコーナーの多い道を避けるのがベストですが、そうも言ってられないのが現状。
むしろウィンタースポーツや旅行といった目的で、冬だからこそ峠道を走ることも多いでしょう。
雪道で使うなら、コーナーでしっかり踏ん張れる車を選びたいところです。諸元から判断するなら、この2項目を見てください。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
多くの人が、経験的にコーナリングでも4WDが有利だと感じていることでしょう。でも実際には、駆動方式による差はそう大きくありません。
このように感じるのは、高剛性&高重量なボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。
ようするに、車体がコーナリングフォース(遠心力)に負けないからなのです。コンパクトカーと大型SUVとでは、重量がぜんぜん違いますよね?
しかし、雪道のコーナーでは単純に「重ければ有利」とはいえません。摩擦が極端に少ないため、コーナリングフォースがグリップを超えやすいんです。簡単にいえば、重いほどスリップしやすいということ。
「重心の高さ」もひとつのポイントで、コーナーにおいては低いほど有利です。重心が高いとモーメントが働き、横転しやすくなりますからね。スペース系の軽自動車は背が高くて足が弱いので、峠のコーナーは要注意というわけ。
XVをはじめ、スバル車は徹底して「高剛性化」「低重心化」が図られています。(スバル車の特徴の詳細は以下の記事をご参照ください。)
スバル車の決定的な特徴5つ!長所から欠点まですべて解説します!車体の強度アップやフレームワークの最適化はもちろん、水平対向エンジンの採用によって、重心バランスが最適に設計されているのです。
重量はやや重めですが、補って余りある剛性と低重心によって、コーナリング中も抜群の安定感を発揮しますよ。
ブレーキ性能の評価
最後にチェックすべきなのは、ブレーキ性能です。これは雪道において、いうまでもなく最重要ポイントといえるでしょう。
雪が降り始めると必然的に事故が増えますが、その要因のほとんどが「ブレーキ時のスリップ」です。
交差点などの停車ポイントは圧雪になっていることが多く、衝突事故が起きやすい環境になっています。
車両に搭載されるブレーキシステムや、タイヤの性能も重要ではありますが、ブレーキ性能は諸元からもある程度読み取ることができます。
- 車重の軽さ
- 駆動方式
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。
イメージとしては重い車のほうが止まりにくい気がしますよね?たしかに重い物を静止させるには、大きなエネルギーを必要とします。
しかし、大きな荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も増えるんです。重い車はタイヤサイズが大きいですし、そもそもブレーキシステムが強力だったりしますしね。つまり、車重はブレーキの制動距離に対して、大きく影響していないということ。
これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、これはあくまでもドライ路面における話。雪が積もった道路では適用されません…。
コーナリングの話と同じ理屈で、雪の上では推進力がグリップを超えやすいんです。
少し長い話になりましたが、ようするに「軽い車のほうが止まりやすい」ということ。そのため、XVはブレーキに関して少し注意が必要といえますね。
停車時には早めの減速を心がけて、余裕をもってブレーキをかけるようにしましょう。
XVは優れた駆動機構とボディをもつので、減速中でも挙動が乱れにくいのが強みです。
もしXVを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!XVの雪道走行での評価
XVの雪道走行については、みなさんどう思っているのでしょうか?Twitterから感想をいくつかピックアップしてみました。
初めて雪道走ってきた( ^ω^ )
AWDのおかげで全然スリップせずに走れました(^o^)
改めてスバルにして良かったと実感(*・ω・)ノ pic.twitter.com/U7YSr95rT9— Ryo@XV乗りの趣味垢 (@XV_Crosstrek) 2017年2月12日
こちらの投稿では、初めて雪道を走った時の感想が語られています。
初めてということで、他の車との比較することはできません。それでもXVの走行からは安定感が感じられたようですね。安心して運転できるのは、車にとって非常に大切な性能です。
本当はインプでも良かったんだけど、行動範囲内に下回りこすりそうな場所が点在してるのと、フォレが雪道で頼りになったので最低地上高200mmは必要だぞってことでXVにしました(`・ω・´)キリッ
— たかへろ🍜🚴🏇 (@_takahero) 2012年11月13日
スバル車は総じて雪道に強いことで知られています。たとえば以下の記事でも解説していますが、フォレスターやインプレッサなども雪道に強いです。
フォレスターは雪道に最強?雪道走行の性能について徹底分析しました!インプレッサは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!その理由は、バランスに優れた「シャシー構造」と「シンメトリカルAWD」の組み合わせにより、抜群の安定感を発揮するため。
そんなスバルのラインナップのなかでも、とくにXVは最低地上高が高いモデルなので、雪国でも大人気なのです。ボディも扱いやすいサイズなので、愛用者は数知れません。
今回の旅行での愛車、スバルXV
昔乗っていたSVXを彷彿させるコントロール性の高さと雪道でも踏める安心感。
SUVなんて、と言う気持ちはあったけど、雪国なら十分にアリです。
これは本当に良いクルマですね。 pic.twitter.com/ayJGQgbe4r— エヌ氏 (@Alfa_Brera) 2018年1月29日
雪道での運転歴が長い人からも、XVは高い評価を受けています。
雪道を走れる車はたくさんあれど、雪道が楽しめる車というのは、そう多くありません。
XVの雪道性能をほかの車と比較
ここで気になるのは、「ライバル車と比較すると、どうなのか?」ということ。
というわけで、同クラスのモデルと雪道性能を具体的に比べてみましょう。今回、比較対象に選んだのはトヨタ「C-HR」、マツダ「CX-3」、ホンダ「ヴェゼル」の3台です。
比較しやすいように価格も載せておきましたので、よかったら参考にしてみてください。ちなみに、XVの販売価格は214~227万円(1.6L)、251~270万円(2.0L)、283万円(ハイブリッド)となっています。
トヨタ C-HR
トヨタのコンパクトSUVといえば、現在販売されているのは「C-HR」ですね。
ラインナップは1.2Lターボと1.8Lハイブリッドの2種類で、1.2LモデルにはFFと4WDが用意されています。
XVと同じ価格帯の229~293万円ということで、SUVを選ぶなら迷うところ。雪道の性能について比較してみると、どちらが優れているのでしょう?
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHC ICターボ |
排気量 | 1,196cc |
最高出力 | 116PS/5,200~5,600rpm |
最大トルク | 18.9kgf・m/1,500~4,000rpm |
車重 | 1,470kg |
全長×全幅×全高 | 4,360×1,795×1,550mm |
最低地上高 | 155mm |
駆動方式 | FF/4WD |
※直列4気筒、ターボ、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!まず駆動方式について。両車同じく4WDですが、バランスに優れたXVのほうが、FFベースのC-HRよりも機構的に上手といえるでしょう。
また、トルク性能・最低地上高で勝っていることから、パワー面でもXVのほうが上手です。
このことから、雪道ではXVのほうが優れているといえます。C-HRはプリウスがベースとなった環境性能が強みですからね。悪路では一歩及びません。
なおC-HRについては試乗記事もございますので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
C-HR(ターボ/ハイブリッド)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!マツダ CX-3
マツダでは「CX-3」がライバル車にあたります。
ラインナップは2.0Lガソリン、1.8Lディーゼルターボの2種類で、駆動方式はそれぞれFFと4WDが用意されています。
価格帯は260~309万円ということで、若干XVよりも高いですが、選択肢として悩むモデルでしょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列DOHCディーゼルターボ |
排気量 | 1,756cc |
最高出力 | 116PS/4,000rpm |
最大トルク | 27.5kgf・m/1,600-2,600rpm |
車重 | 1,300-1,370kg |
全長×全幅×全高 | 4,275×1,765×1,550mm |
最低地上高 | 160mm |
駆動方式 | FF/4WD |
※ディーゼルターボエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
ディーゼルターボとは?速いのがメリットで寿命がデメリット?搭載車種も紹介車重・トルクはXVよりも優れた性能を有しており、とくに重量が100kg近く軽いことが大きなアドバンテージです。ブレーキ性能なら、CX-3のほうが上手でしょう。
最低地上高はXVが4cm高く、加えてバランスに優れたシンメトリカルAWDを備えていることから、走行面ではXVが優位です。
悪路走破性という点から、個人的にはXVのほうが雪道には強いと思います。街中で乗る機会が多い人は、CX-3という選択もアリでしょう。
CX-3の雪道性能については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
マツダCX-3は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!ホンダ ヴェゼル
最後に比較するのは、ホンダから販売される人気モデル「ヴェゼル」です。
XVよりも一回り小さい1.5Lハイブリッド、1.5Lガソリンの2種をラインナップしており、それぞれFFと4WDが用意されています。
価格帯はXVと同等の197~293万円というライン。バチバチのライバル関係ですね。とくに人気のハイブリッドモデルと比較してみましょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | 132PS/6,600rpm |
最大トルク | 15.9kgf・m/4,600rpm |
車重 | 1,180-1,270kg |
全長×全幅×全高 | 4,330×1,770×1,605mm |
最低地上高 | 185mm |
駆動方式 | FF/4WD |
トルク性能・最低地上高ならXV、軽量性ならヴェゼルといった具合に優劣が見られますね。
ヴェゼルのボディは、CX-3よりもさらに軽い1,200kgです。200kg近く軽量なため、タウンユースならヴェゼルのほうが乗りやすいかもしれません。燃費も優れていますしね。
反対に、トルクや車高、駆動機構といった面から、悪路にはXVのほうが適しています。場面によって適正は異なりますが、冬にアクティブに使いたいなら、XVという選択が妥当でしょう。
ヴェゼルの雪道性能については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ヴェゼルは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!XVは雪道走行する車としては買いの車
というわけで、XVの雪道走行についての解説は以上になります。
まとめると、『雪道でもガンガン使える、アクティブなコンパクトSUV』といった感じですね。その性能は、同クラスのなかでも際立っています。
したがって、雪道走行する車としては、ぜひともおすすめしたいモデルといえるでしょう。
なお雪道性能については、以下の記事でほかの車種を取り上げています。興味のある方はこちらもご参照いただき、エスクードと比較検討してみてください。
エクストレイルは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!マツダCX-5は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!