ダイハツ コペンは近年の国産車には珍しい軽自動車のオープンカーで、コンパクトなボディと2人乗りの軽量軽快な走りが楽しい車です。
そんなコペンですが、国産車ながらスポーツカーですので故障しやすいかどうかはきになりますよね。
今回はコペンの故障率についてご説明します。
コペンの故障率
コペンは2002年に登場した車ですが、それまでのダイハツにはないラインナップのスポーツカーで、2シーターのオープンスポーツカーというコンセプトで誕生しました。
このコンセプトは昔からスポーツカーのお手本というべきものであり、大衆車が得意のダイハツにおいてはかなりチャレンジングな車といえます。
しかしコペンの軽快さとスポーティーさは日本のドライバーに好意的に受け入れられ、スポーツカーとしてはかなり好調な売り上げを記録し、その好評さから2014年にはフルモデルチェンジを果たして2代目となりました。
コペンは一見すると若者向けの車に見えますが、購入層は案外40代~50代のオーナーが多く、かつてスポーツカーに憧れていた層に受け入れられているのです。
そんな素敵な車に仕上がっているコペンですが、信頼性についてはどの程度なのか、実際のデータをもとに調べてみましょう。
ダイハツの信頼性はそれなり
車の故障率というのはメーカーが調査しデータを収集していますが、そのデータは最高の機密情報となっており一般には公開されていません。
そのため車種ごとの故障率を知ることはできないのですが、メーカーとしての故障率であれば別のデータから推し量ることは可能です。
民間調査会社のJ.D.パワー社はさまざまな事柄の調査を行って公表している団体で、車の信頼性調査も毎年公表されています。
この「自動車耐久品質調査」は車の実際のオーナーから故障件数を聞き取り調査して収集しており、新車購入から3年~5年の間のトラブルが少ないメーカーごとにランキング形式で発表しています。
2017年 日本自動車耐久品質調査
ランキング | メーカー | スコア |
1 | トヨタ | 59 |
2 | レクサス | 63 |
3 | ホンダ | 74 |
業界平均 | 74 | |
4 | メルセデス・ ベンツ | 75 |
5 | スズキ | 79 |
6 | 三菱 | 80 |
6 | 日産 | 80 |
8 | ダイハツ | 82 |
8 | スバル | 82 |
10 | MINI | 88 |
11 | マツダ | 93 |
最新のランキングではダイハツは8位となっており、国産車メーカーの中ではそこまで高いわけではありません。
トップは日本最大のメーカーであるトヨタで、故障率の少なさを表すスコアも59と、ダイハツの82に対して1.3倍程度の差があります。
ダイハツの故障が多いわけではありませんが、トヨタなどにくらべればまだまだということです。
メーカーごとの故障率は以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
トヨタは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!ホンダは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!マツダ車は故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!コペンのベースはダイハツ ミラ
コペンのようなスポーツカーを見ると、非常に特別で専用に設計された車と思えてきますが、コペンに関しては専用設計ではなくダイハツの軽自動車であるミラとプラットフォームを共用しています。
プラットフォームは車の基本設計を司る最重要部位であり、車の信頼性を考える上でも重要な部位です。
ミラはダイハツの代表車種であり基本設計は信頼性の高いものですので、コペンもその信頼性の一部を受け継いでいるのは間違いありません。
またエンジンのベースもダイハツの660ccターボエンジンであり、一般の軽自動車に採用されるエンジンを流用したものとなります。(ターボエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!コペンの基本的なコンポーネントはこれまでの軽自動車のものをうまく組み合わせ、そこにスポーツカーとしての剛性の高さやオープンカーのデザインを織り込んだ車といえます。
ダイハツのこれまでの経験値をしっかり流用しており、信頼性はほかのダイハツの軽自動車と大差ないものといえるでしょう。
さきほどの信頼性調査に関してもコペンも同様の水準にあるでしょう。
中古のコペンの故障しやすさ
コペンの初代は2002年登場ということで、初期型の場合はすでに15年以上。最終型は2012年発売なので6年経過しているのです。
中古車の判断基準として年式10年以内の車というものがあります。(詳細は以下の記事をご参照ください。)
中古車購入時の年式の目安とは?狙うべきなのはどの年式?初代コペンの場合はこの年式10年にひっかかる中古車も多数あり、おもに部品の劣化によるトラブルによって故障が起こる可能性は高いでしょう。
またコペンは走りを楽しむスポーツカーですので走行距離も多めの車が多いです。
こちらも寿命の目安としては走行距離100,000km以内であり、軽自動車ということもありそれ以上の走行距離を経過しているコペンには、おもにエンジン関係のトラブルは増えてくるでしょう。(走行距離の寿命は以下の記事をご参照ください。)
中古車は走行距離が何万キロまで安心して乗れる?答えはこれだ!しかし現行型である2代目コペンは2014年登場であり、中古車も年式はまだまだ状態のよい車ばかりです。
走行距離に関しては結構走っている車もありますが、総じて100,000kmまでいくことは希です。
現行コペンは初代よりも車体も強化されて剛性は上がっており、車の性能としてもレベルアップを果たしています。
中古車のコペンにトラブルが起こったとしても、まだまだ修理部品は潤沢にある車種ですし、基本は軽自動車なので修理費用もそこまで高額にはなりません。
スポーツカーというと故障は付き物のイメージがありますが、コペンは維持費の面でとっても楽なスポーツカーであるといえます。
あとは基本的に中古車の選び方の一般的なポイントを抑えておけば、大きな問題はありません。中古車の一般的な選び方が分からない方は、こちらの記事もご覧ください。
初心者が絶対意識すべき中古車の選び方の5つのポイント・コツ!コペンオーナーの評判
コペンの故障の実態については実際に乗っているオーナーさんが一番よくわかっておられます。
そんなオーナーさんの体験談がTwitterに多数投稿されていますので、いくつかご紹介しましょう。
オープンカーの宿命
ずっとコペンに乗りたいですね。だんだんボロくなってきたのと、10年超えると税金が上がるのがネックです。今のところ大丈夫ですが、オープン部分の故障がそのうち出そうで、修理代が30万するらしく。半年毎にディーラー点検してるから、あとは大事に乗るだけかな。次に乗りたい車が無いんですよね
— Hashi (@Hashi6001) October 26, 2017
コペンのようなオープンカーにはルーフを開閉する機構がついており、コペンは電動でハードトップをトランクに格納する機能があります。
しかしこの電動ハードトップは、かなりの重量がある鉄製の屋根をモーターと油圧の動力で格納するシステムであるため、格納機構本体の部分には結構な負担がかかります。
そのため走行距離が増えてくるとトラブルのもととなる箇所で、このオーナーさんは頻繁に点検に出して対応されています。
コペンの熱環境は結構厳しい
実はコペンを修理に出してまして、さっき電話あって無事治った見たいです。
故障箇所は、冷却水を覚ますためのファンのモーターが逝ってて、冷却水があっつあつになってました。スグに気づいたお陰か、エンジンには冷却水は行ってなくて大丈夫だったそうです。嬉しくて泣きそう— まさよし #SR400 #コペン (@tara233tara) August 9, 2017
この方のコペンはラジエーターに風を送るファンモーターが故障して冷却水の放熱が悪くなっていたそうですが、早期に気づいたのでエンジン本体の故障に繋がらずすんだようです。
のちほどご説明しますが、コペンはエンジンの熱関係が結構厳しい環境にある車で、冷却性能が落ちると割と致命的なトラブルに繋がりやすい車です。
冷却水温度は運転席でも確認できますので、異常に上がっているようならすぐに車を止めてディーラーなどに連絡した方が懸命です。
12年でも大きなトラブルなし
@gardner1nsr
車(コペン)を買ってから
もうすぐ12年になります。
たいした故障も無くここまで
たどり着きました
ポン吉の相棒です(^o^)— 狸山ポン吉 (@tanukiyama) March 14, 2015
この方のコペンは2015年時点で12年経過しているということで、初代コペンのほぼ初期型に乗っておられるようですが、ここまで大きな故障もなく乗ってこられたというのは素晴らしいことです。
これもオーナーさんの愛情としっかりしたメンテナンスの賜物ですが、軽のスポーツカーという特殊な車でも、信頼性はしっかり高水準にあることがわかります。
もしコペンの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!コペンの故障事例
コペンの故障の多くはエンジン関係かアクティブトップ関連のものとなっており、それぞれ代表的な故障事例をご紹介します、
エンジンのタービンブロー
さきほどのツイートにあった熱環境ですが、もし車の冷却性能が低下してもっとも最初に故障が起こるのがターボチャージャーです。
ターボチャージャーからの放熱
ターボチャージャーは別名「過吸機」とも呼ばれ、エンジンに吸入する空気の量(密度)を高めて高出力を産み出す部品です。(仕組みの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ターボチャージャーとスーパーチャージャーの違い2つを比較!両方搭載も可能?!以前は大排気量のスポーツカーに採用されていましたが、最近は小排気量のエンジンに組み合わせることで低速トルクと加速を重視する使い方となり、軽自動車用のエンジンでも採用されることが増えました。
ターボチャージャーは排気ガスの圧力を動力として吸気を圧縮する部品であり、タービンと呼ばれる排気管側の部品は常に高温の排気ガスにさらされています。
しかも高回転する部品でもあり、回転部分のベアリングはそのままでは焼き付き危険があるので常にオイルを循環させて冷却を行っています。
しかしさきほどのファンモーターのトラブルなどで冷却性能が落ちると、ターボに循環しているオイルを冷やすオイルクーラーも性能が落ちてしまい、結果的にターボの焼き付きおよびタービンブローによってターボチャージャーは致命的なダメージを負ってしまいます。
またコペンのエンジンは初代から全車ターボ付きで、軽自動車にしては加速もよくスポーツカーとしての性能を満たすためにかかせない部品です。(加速性能の詳細は以下の記事をご参照ください。)
コペンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?しかしコペンのエンジンルームは比較的狭くて空気の流れが悪いため、ターボチャージャーからの放熱もしにくい構造で熱がこもりやすくなっているのも、トラブルのもととなります。
修理にはターボチャージャー全体の交換が必要であり、費用は150,000円程度と結構な高額修理となります。
タービンブレードの破損
またターボチャージャーだけではなく、ターボチャージャーの内部部品(タービンブレード)などが破損するとそれが排気管や触媒、またはエンジン内部に入ってほかの部分にも影響を及ぼしますので、ほかに被害が及んでいないかの確認も必要です。
これを防ぐためには冷却水温度のチェックや、循環するエンジンオイルの劣化を防ぐための頻繁なオイル交換などをしっかり行う必要があります。
オイル交換の具体的なやり方は以下の記事をご参照ください。
ターボ車のエンジンオイルの交換時期は?おすすめのオイルはこれ!こういった基本的なメンテナンスを行っておけば、基本的にはタービンブローはおこりません。
また中古車ではチェックが難しいこともありますが、前のオーナーの走り方や改造などでターボチャージャーにダメージが及んでいる場合もあるので、走行距離の多いコペンは注意が必要です。
ターボ車には故障以外にもいろいろと注意が必要です。以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもあわせて参考にしてみてください。
ターボ車の注意点4つ!乗り方から手入れ/メンテナンスまで解説!ラジエーターからの冷却水漏れ
これは初代コペンに多いトラブルで、ラジエーターの本体から水漏れが起こる故障が比較的起こりやすいです。
ラジエーターは前述の冷却水のクーラー部分で、常に高温の冷却水が流れ込んでいます。
しかし初代コペンはラジエーターに金属と樹脂性部品が組合わさった部品となっており、経年劣化によって樹脂が疲労してくると、その接合部分などから冷却水が漏れることがあります。
樹脂はおおよそ10年経過で経年劣化が進む部品ですが、それに加えて常に高温と冷却を繰り返すラジエーターのような部分に使う場合にはかなりの信頼性設計が必要です。
初代コペンではいささか信頼性設計が劣るのか、年式が古くなるとトラブルの可能性は高まります。
修理にはラジエーター全体の交換が必要で、数万円程度の修理費用となるでしょうが、冷却水漏れは前述したような熱環境の厳しい部品の冷却性能を低下させますので、ほかの部分にも問題が及ぶ可能性はあります。
アクティブトップのトラブル
コペンのようなオープンカーに付き物のオープンルーフのトラブルは、やはり年式が古くなってくると発生するもので、いくつか原因があります。
なおオープンルーフのことをコペンではアクティブトップと呼んでいますので、以後この名称を使います。
アクティブトップが開閉できない
まず起こりやすいのがアクティブトップの開閉不良のトラブルで、おもに油圧アクチュエータの故障によるものです。
金属製のハードトップは電動の油圧アクチュエータの動力により自動的に開閉しており、重量のある屋根を稼働させるために油圧アクチュエータには高い負荷がかかっています。
とはいってもそこまで古くない場合にはほとんどトラブルは起こらないのですが、年式が古くなってくるとアクチュエータのモーターなどおもに電気系統のトラブルによって動かなくなるものがでてきます。
修理には油圧アクチュエーターの交換が必要で、50,000円〜100,000円ほど必要になってきます。
故障頻度としてはそこまで多くないので、コペンに乗っている期間中にせいぜい1回起こるかどうかでしょう。
しかしやはり中古車では年式の古い車に発生しやすくなりますので、それなりの維持費を考えておきましょう。
アクティブトップからの雨漏り
アクティブトップは閉まるときにフロントウインドウやサイドウインドウのガラスとの間で水密シールによって雨の侵入を防いでいるのですが、水密シールのゴムが劣化してくるととたんに雨漏りを起こすことがあります。
ゴムの劣化は約10年ぐらいで起こりますので、年式が10年程度の車では特に注意が必要です。(年式の詳細は以下の記事をご参照ください。)
中古車購入時の年式の目安とは?狙うべきなのはどの年式?車の水密シールはオープンカーではない車にも当然使われているものの、基本的にはいちど製造されたら生涯動かないものです。
ところがアクティブトップのように屋根を明け閉めする必要があると、水密シールは複雑で要求の高い仕様のものが必要となります。
しかし基本的にはゴムを押し付けてシールする構造は変わらないので、ゴムが経年劣化でへたれてくれば、複雑な構造を持つ分アクティブトップの水密シールのほうが弱くなります。
これはなにもコペンに限ったことではなくオープンカーには付き物のトラブルでオープンカーの宿命ともいえるものですが、ひとたび起こると早急に修理しなければ車内が水浸しになってしまいます。
修理には水密シールの交換となるため結構大がかりな修理となり、費用的には50,000円〜100,000円の間ぐらいが相場です。
また水密シールの経年劣化以外にも、アクティブトップが収まるトランクルームにうっかり固いものを置き忘れて、それにアクティブトップがぶつかる、アクティブトップが歪んで雨漏り、なんて例もあるようです。
くれぐれもオープンにする際にはトランクルームをいちど確認した方がよいでしょう。
コペンは買っても大丈夫か?
コペンは軽自動車のスポーツカーという日本でも珍しいタイプの車で、普通の軽自動車では味わえない車の楽しさを感じさせてくれる車です。
しかも設計はダイハツの軽自動車のノウハウが織り込まれていますので、信頼性も普通の車と大差はなく、新しいうちは故障はあまり考えなくてもよいでしょう。
しかしコペンならではのアクティブトップの故障や、エンジンの冷却系故障などは経年劣化によって引き起こされるものがほとんどで、中古車などの年式の古いコペンにはそれなりにリスクがあります。
運転することがとにかく楽しくなる車ですので、安い車で余計なトラブルをかかえこむよりは、少々値段が高くても不安の少ない1台を選ぶ方が、カーライフにとってよいことだとは思いませんか?
これからコペンを買おうと思っている方は、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。購入の参考になりますよ。
コペンは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しましたコペンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?