電動アクティブトップのオープンスタイルが魅力のダイハツ コペン。

いまや希少となったライトウェイトオープンスポーツの軽自動車です。

2014年に2代目へとフルモデルチェンジしたダイハツ新型コペンですが、爆発的なヒットとなった初代コペンに比べると、加速が悪いという情報が散見されます。

実際に、カタログスペック上の最大トルク値は初代コペンよりもわずかにダウンしていますが、それは、メーカーがあえてそうしたことであり、新型コペンはスポーツカーとしてより優れた車へと進化しています。

車のパフォーマンスを表すもっとも分かりやすいバロメーターである0-100km/h加速タイムを参考に、新型コペンのメカニズムを解析した上で、他のライバル車とダイハツ コペンの加速性能を比較解説します。

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コペンの加速性能

ダイハツ コペン

2002年に誕生した初代L880Kコペンは、丸くて可愛いらしい外観とは裏腹に、軽自動車としては珍しい4気筒ターボエンジンを搭載し、鋭い加速性能を誇った軽ライトウェイトオープンスポーツ。

2014年にフルモデルチェンジされ、2代目へと進化したダイハツコペンは、コペンの最大の特徴である電動アクティブトップをそのままに、よりスタイリッシュなエクステリアデザインへと改められました。

2代目となる新型L440Kコペンは、ミライースのプラットフォームに改良を加え、フレームのみでボディ剛性を確保する構造になりました。

応力のかからないボディパネルは樹脂化することで軽量化にも貢献しています。

この構造は、同じく樹脂ボディパネルを採用するロータス エリーゼなどに採用されるバスタブフレームとほぼ同じであり、新型コペンにはライトウェイトオープンスポーツカーとして理想的なシャシーが与えられました。

これにより、ボディを服を着替えるかのように脱着可能とした新型コペンは、「Robe(ローブ)」「XPLAY(エクスプレイ)」「Cero(セロ)」の異なるエクステリアデザインを選択できる点が最大の特徴です。

新型コペンは加速が悪い?

ライトウェイトオープンスポーツの金字塔であるロータスと似た構造とすることでシャシー性能を飛躍的に向上させたコペンですが、スポーツカーとしてのもうひとつの醍醐味である加速感が悪いという意見が散見されます。

旧型コペンとエンジン性能を比較してみましょう。

    旧型コペン

  • 最高出力:47kW(64PS)/6,000rpm
  • 最大トルク:110Nm(11.2kgm)/3,200rpm
    新型コペン

  • 最高出力:47kW (64PS) /6,400rpm
  • 最大トルク:92N·m (9.4kgf·m) /3,200rpm

馬力の方は同じく規制いっぱいの64PSながら最大トルクは約20%ほど低下しており、660ccしかない軽自動車にとって20%のトルクダウンは加速感としてかなりのものとなります。

0-100km/hで比較すると、新型コペン(CVT)は、12.20秒。旧型コペン(AT)は、11.97秒。

公式な0-100km/hタイムではなく、あくまで参考値であり、CVTATの違いはあるものの、確かに遅いことが確認されます。

新型車は旧型に比べ、スペックが向上しているのが通常です。

なぜこのようなことになっているのでしょうか。新型と旧型のエンジンメカニズムの違いを解説していきます。

新型なのになぜ遅い

走っているコペン

旧型コペンのエンジンは4気筒。対する新型は3気筒。

エンジンは、摺動部が少ないほど内部ロスが減り、出力が向上します。

また、レシプロエンジンで出力を出す燃焼条件にするには、1気筒あたりの排気量が500ccが理想とされるため、本来は4気筒よりも3気筒の方が高出力にすることができます。

電子制御スロットルは初期加速が鈍い

また、新型コペンに搭載される3気筒エンジンは、ゼロ発進に有利な低速トルクを出しやすいロングストローク型。

さらにエンジンヘッドに可変バルブタイミング・リフト機構を設け、低回転から高回転まで理想的な吸気効率を実現した最新の3気筒ターボエンジンです。

エンジン構造だけをみれば、新型コペンが旧型より遅いはずはないのですが、エンジンを制御するシステムが旧型コペンと根本的に異なります。

その原因は、新型コペンに採用された電子制御スロットルと燃調によるものです。

旧来の機械式スロットルは、アクセルペダルとスロットルがワイヤーで連結されたもので、アクセルの踏み込みがダイレクトにスロットル開度に影響しました。

しかし、ワイヤーを廃しスロットルの開閉はモーターで行う電子制御スロットルは、ドライバーのアクセル操作に対し、わずかではありますが遅れて動作します。

これが、アクセルを全開にしたときの初期加速が鈍い原因となってしまうのです。

電子制御で燃費向上

では、なぜ電子制御スロットルを採用するかといえば、排気ガス規制への対応と燃費向上のためです。

エンジンのエネルギー効率だけを追求するのであれば、燃焼の際のガソリンと空気の比率を理論空燃比とよばれる114.7にすることで、理論上ガソリンは完全燃焼され、出てくるのは二酸化炭素と水と窒素だけになるクリーンな排気ガスながらレシプロエンジンによる最大効率のエネルギーをガソリンから取り出すことができるのです。

しかし、実際の走行では理論空燃費の燃焼であっても未燃焼ガスが発生し、大気汚染の原因となる炭化水素や窒素酸化物が発生してしまいます。

しかも、理論空燃費では、自動車のエンジンとしてのパワーを発生させることはできないため、加速時などの高い負荷がかかる状況では、ガソリンの比率を濃くしてやることでパワーを出さなければならないため、それだけ未燃焼ガスの発生量も多くなってしまいます。

これを解決するために、新型コペンでは電子制御スロットルと燃費指向の燃調に設定されます。

可能な限り理論空燃費に近づけつつ高出力を発生させるには、ドライバーの操作に電子制御を介入させることでエンジンパワーとエコロジーのバランスを取る必要があるのです。

これがスポーツカーであってもエコロジーを考慮しなければならない、現在主流となっているエコエンジンの実態です。

加速にどう影響する?

コペン 足回り

新型コペンに搭載される吸気可変バルブタイミング付き3気筒ターボエンジンは、そのエンジンメカニズムから伺い知れる通り、全回転域でフラットなトルク特性を発揮するエンジンになっています。

新型コペンはターボ車でありながら、排気量を拡大したようにどの回転数であっても加速するドライバビリティを重視したセッティングが施されているといえます。

しかし、低回転域でのアクセルレスポンスがスポーツカーらしからぬほど悪いのは、実用回転域である1,0003,000rpmでスロットルをゆっくり動かし、完全燃焼を促進しつつ燃費を向上させるための措置なのです。

たった660ccのターボエンジンで全回転域でフラットなトルク特性とするのは非常に難しく、さらに年々厳しくなる排ガス規制にも対応しているのですから、新型コペンに搭載されたエンジンには、10年前には決して成し得なかった優れた技術が投入されています。

旧型コペンでも低速域のレスポンスの悪さが指摘されますが、こちらは軽自動車に摺動ロスの大きな4気筒エンジンを積んだ弊害であり、タービンの過給圧が上がるまで加速できないターボラグと呼ばれる単純なトルク不足です。

しかし、過給圧が十分にかかり始めるところまで回転数が上がると急激に加速が始まり、そのギャップが激しいために実際よりも過大に加速したように感じてしまうドライバーの相対感覚が、「旧型コペンは加速が良い」という結果につながります。

それと同じように、全回転域でフラットなトルク特性が与えられた新型コペンは、分かりやすい加速の盛り上がりがないために加速が悪いと感じられ、評されてしまうのです。

かつてターボとサスペンション技術が未熟であった時代に、急激なトルク変動によるドッカンターボと呼ばれながらも名車となる車は確かに存在しました。

爆発的な加速で暴れる車を、腕でねじ伏せて走らせるのもスポーツカーの醍醐味ではありますが、正確なシャシーコントロールとリニアなエンジントルクで、ドライバーの思いのままに車を操るのが現代におけるスポーツカーとしてのトレンド。

新型コペンは、旧型コペンとくらべて確かに加速が悪いと感じるかもしれませんが、車としての完成度は飛躍的に上がっています。

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実際の加速感

実際にユーザーは新型コペンの加速をどう感じているのか、Twitterに投稿されたツイートから解説します。

旧型L880Kコペンは低速トルクの不足気味ながら、3,000回転からのややドッカンターボ気味の加速感が魅力。

それに対して、新型L400Kコペンの低速から高回転まで続くフラットトルクは排気量アップした自然吸気エンジンの様なフィーリングを備えます。

やはり、電子制御スロットルのレスポンスの悪さが不評ですが、全開時や高回転を多用するスポーツ走行時には、ドライバビリティを悪化させるほどの影響はありません。

新型コペンになって、実際に最大トルクは低下しており、絶対的な加速は低下してるいるのですが、フラットなエンジン特性を好む方には新型コペンはマッチするようです。

確かに、摺動抵抗が大きな4気筒エンジンより、3気筒エンジンの方が駆動ロスが少なく馬力では有利になりますが、バランスに優れる4気筒エンジンの方が回転フィーリングでは優秀。

とはいえ、小排気量エンジンではそれほど違いは感じられません。

3気筒エンジンは小排気量車にはベストな選択であり、リッターカークラスでは3気筒エンジン搭載車が増えてきています。

新型コペン0-100km/h加速

旧型コペン0-100km/h加速

次に新旧コペンの0-100km/h加速動画を解説します。

結果からいうと、新型コペン(CVT)12.20秒、旧型コペン(AT)11.97秒というタイムになっています。

旧型コペンはスタート時の盛大なトルコンスリップで出遅れるものの、タービンが仕事をし始める23,000rpmからの回転上昇の鋭さが見てとれます。一方の新型コペンは、一定に速度が高まっていくのが感じ取れます。

駆動ロスの少ないMTであればタイム差はもう少し広がるでしょう。

他の車と比較すると

コペンとそのライバルとなりうる車とを比較します。

エコエンジン主流の現代においては、低回転から効き始めるレスポンシブルなターボを備えた3気筒エンジンがパワーと環境性能を両立するもっとも効率のよい方法です。

比較する車は、軽自動車の64馬力規制があるため、エンジン出力はほぼ横一線でトルク特性もフラットになるようにセッティングされています。

違うのは、駆動方式と車重、エンジンの細かな設計や燃調セッティングがそれぞれの車の性格となって現れます。

ホンダ S660

ホンダ S660

往年のホンダ ビートを踏襲したスタイリングとミドシップエンジンレイアウトのオープンスポーツカーのホンダ S660は、発進加速時に車重が駆動輪にかかるため、後ろから押し出されるような加速感が特徴です。

あえて小径のタービンを装着することで、自然吸気の様なレスポンスを重視しており、104Nm[10.6kgm]の最大トルクを、コペンより低い2,600rpmで発生します。

軽自動車初搭載となる6MTはクロースレシオに設定され、効率よくエンジンパワーを速さに変えることができます。

0-100km/h加速タイムは10秒台後半。

218万円とコペンより高い価格ですが、ルーフは幌のソフトトップを採用することで、車重はコペンよりやや軽い830kgに抑えられています。

オープンカーとはいうものの、実際はルーフ上部だけを手動脱着するタルガトップであり、開放感と利便性はコペンの方が上です。

後輪駆動が好みであれば、この上ない魅力的な車です。

スズキ アルトワークス

スズキ アルトワークス

軽自動車らしからぬパワーでの64馬力規制がつくられた原因となった初代アルトワークス。

2015年12月に登場した新型アルトワークスは、コペンよりも約200kgも軽い670kgの軽量ボディを、100Nm[10.2kgm]3,000rpmで引っ張る0-100km/h加速は9秒台。

駆動方式はコペンと同じFFに加え、発進時の大パワーを路面に確実に伝えることのできる4WDも設定され0-100km/h加速では有利な条件を持っていますが、小排気量車ではそのパワーロスが大きく、加速性能に直結する装備とはいえません。

オープンスポーツカーではありませんが、151万円からと価格が安く、現在販売されている軽自動車のなか最も直線加速が速い軽自動車が欲しいのであればアルトワークスがベストです。

ダイハツ コペンは買い?

新型コペンの加速性能は軽自動車中最速ではありませんが、現在販売される軽自動車のなかでは5本指に入る加速性能を誇ります。

爆発的な加速とはいえませんが、全回転域でドライバーの要求に応えるだけのエンジン性能を有しています。

シャシーはFFらしい素直で上質なハンドリングを実現し、軽自動車としては豪快すぎる電動アクティブトップを装備したコペンは、スポーツカーというよりは、長距離を快適に走行する世界最小のグランドツーリングカーと呼べるでしょう。

新型コペンは、希少となりつつある軽スポーツカーのなかで、自信をもっておすすめできる1台です。

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この記事を書いた人

伊藤友春
伊藤友春
子供の頃はミニ四駆の改造が趣味。運転免許を取ってからは、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。 草ジムカーナに没頭し、大半の時間を車と運転技術のことを考えて過ごした20代を経て、貯めこんだ知識を開放すべくフリーの自動車ライターとして執筆活動。変わった車が大好きで、現在の愛車はフォード Ka。Kaに搭載されるOHVエンジンのタペット調整は大事な年中行事です。