最近、軽スポーツジャンルが盛り上がりを見せています。
アルトワークス、S660…小さい体に秘められた運動性能が、男のロマンを掻き立てますよね。
今回はその中から、ダイハツ「コペン」について解説したいと思います。
「2シーター&オープン」のコペンは、プレミアム感漂うスタイリングが注目されていますが、スポットを当てたのは「スタイリング」ではなく「雪道走行の性能」です。
実は気になっている方が多いんじゃないでしょうか?
以前、北海道で暮らし、雪の中フェアレディZを駆っていた経験から、コペンについて徹底的に分析してみました。
クーペの弱点という弱点を心得ておりますので、購入を考えている方の参考になればと思います。
コペンは雪道での走行はどうなのか
コペンの走行性能は、雪道に対してどれくらい対応しているのでしょうか?
性能を分析しながら、「雪道走行」について解説していきたいと思います。
“向いている”とはいえない
雪道に強い車といえば、まずSUVが思い浮かびますよね? 日本を代表するSUV「ランドクルーザー」なら、ハードな雪道でもまったく苦にしません。(ランクルの走破性の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ランクルの走破性を徹底解剖!クロカン・オフロード性能はいかに?!これは、オフロード走行を念頭においた構造をしてるからです。一方、コペンは「SUVと正反対のつくり」ともいえる構造をしているので、雪道はむしろ苦手としています…。
ただし、雪道といっても路面状況には程度があります。あまりハードな環境でなければ、コペンでも対応することは十分可能。
それでは、コペンの「雪道に向いていない理由」と「雪道を走る場合の注意点」について解説してきましょう。
ラインナップはFFモデルのみ
「駆動方式」は雪道走行において、かなり重要なポイントです。
フルタイム4WDのように4輪が常時駆動していれば、雪道でもしっかりと路面をとらえることができますからね。
ところがコペンには4WDモデルがなく、すべてFF(前輪駆動)のみのラインナップとなっているのです。
単純に考えて、駆動力は4WDの半分。アイスバーンや積雪の深いポイントでの発進時に、タイヤがスリップする可能性が高くなります。
例えば、停車中に雪がドッと降ったとしましょう。その状況で発進しようとすると、前輪が空転して、抜け出せなくなるケースが多いんです。雪国でよく見かける光景ですね。
…とはいいますが、実際にはよほどのアイスバーンじゃない限り、FFでもけっこう走れるものです。
北海道の冬でもFF車は普通に走っています。本州と比べると4WD車の割合は高いですが、「4WDばかりか?」というと、意外とそうでもありません。
- 発進時は急なアクセルを避ける
- 停車時は余裕をもって早めにブレーキング
この2点を心がければ、ある程度の雪道ならコペンでも対応できます。
ボディが軽い
次に挙げられるのは、「ボディの軽さ」です。
コペンの車重は850~870kgと、1tを下回る軽さになっています。通常の路面なら、軽量性がいい方向に働きますが、雪道ではデメリットになることが多いです。
- 発進時にスリップしやすい
- 轍(わだち)の影響を受けやすい
- 風に煽られやすい
- 横転しやすい
代表的なのは、この4つのデメリットです。タイヤと路面の摩擦力は、「ボディの重さ」に比例して強く働きます。
つまりボディが軽いと、摩擦力が弱まり、空転しやすくなるのです。同様の理由から、轍や突風の影響も受けやすくなり、車体のコントロールが困難になります。
また、ボディが軽いと横方向の力にも弱くなるので、コーナーリングで横転しやすくなります。
「とくに最近の軽自動車は重心が高いので、峠道の横転事故をよく見かけるんです。昔、札幌へむかう道中の中山峠で、軽自動車が5台横転しているの見てゾッとしました…」
コペンは重心がかなり低いため、突風に煽られたり、横転したりというのは起こりにくいですが、急なアクセルやステアリング操作には控えるべきですね…。
地上最低高が低い
コペンで雪道を走行する際、一番ネックになるなのが「地上最低高の低さ」です。
コペンの地上最低高は110mmということで、市販車としてはかなり低い部類に入ります。ちょっとした段差や轍でも、ボディ底を擦ってしまいます。
これが降りたての柔らかい雪ならマシなのですが、カチカチに固くなった路面では、ボディを傷つけてしまうことも。とくに、深い轍には注意が必要です。轍にタイヤを入れないように走らなくてはなりません。
また、普通車に比べて圧倒的に視点が低いので、前方に死角ができやすいのも弱点です。
雪のシーズンになると、車から落ちた氷塊が道路によく転がっていますが、視点の低いコペンでは視認しずらいのです。気づかずに氷塊の上を通過したら、バンパーの破壊は免れません…。
あまり積雪が多い日は、コペンに乗るのは避けた方が賢明ですね。どうじても走る場合は、慎重に道路を見極める必要があります。
もしコペンを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!コペンでの雪道走行での評価は?
実際にコペンに乗っている人は、冬の走行をどう感じているのでしょうか?
Twitterを参考にして、使用感を見てみましょう。
ある程度は走れる
九州一周旅 〜コペン女子に会いに〜
ターゲットは宮崎のはるしゃんと大分の久壽米木さん!
寒い中出迎えてくださり、ありがとうございました!
堀切MTもおじゃましました!
初の九州一周、途中やまなみハイウェイの雪道で遭難しかけて半べそ状態でしたが何とか長崎に帰り着きましたw
楽しかった! pic.twitter.com/cALd04T35Q— sada@ゆうちな (@copeo_uver) 2018年2月21日
コペンは「スポーティさ」と「可愛らしさ」を兼ね備えたルックスから、女性にも人気の高い車です。こちらの女性は、なんとコペンで九州を一周したとのこと。
高速道路の雪道を走行したようですが、無事走破できたようですね。
このように、雪道に強くないとはいっても、九州地方くらいの積雪なら問題はありません。高速道路は管理会社が念入りに手を加えているので、一般道よりも安全に走行できますよ。
雪の後。コペンのフロント右側、雪道で欠けました。車高が低いので雪道は苦手です。それでも乗れないコトはないので日々通勤に使っています。通勤が楽しすぎて。 #コペン #copen #la400k #シロクマチャンネル https://t.co/sHfQ2unVq1 pic.twitter.com/7w7qRXJlTT
— シロクマ_コペン (@sirokuma_aomori) 2018年5月28日
地上最低高の低さゆえ、フロントバンパーをやっちゃったようです…。コペンを雪国で乗るなら、いつかは通る道なのでしょう。
走行性能そのものに関しては、投稿者様がおっしゃるとおり「乗れないことはない」のです。楽しく通勤できるだけ、儲けものですよね。
ハードな雪道はきびしい
今日コペンで走ってる際、轍から車線変更しようとしたところ段差を登り切れずスリップする場面があり、若干ヒヤッとさせられました。雪道を走る方にはちょっと勧められない車です。
— scottie (@scoty755) 2018年2月18日
コペンが苦手とする轍で、ヒヤッとした経験があるとのこと。
FFでボディが軽いため、轍の影響をダイレクトに受けてしまいます。常に慎重さが求められますね。
ツイートにあるようにもあるように、とくに注意が必要なのが「車線変更」です。轍を乗り越えなくてはならないので、スリップする可能性が極めて高いです。
やはり「雪道には向かない」ので、あまりに路面がハードな日は、コペンに乗るのは控えた方がいいですね…。
この雪道でコペンが走ってて二度見した
— 前YaMa (@ryoonlineplay) 2018年2月6日
北海道の冬でも、コペンに乗っている人は見たことがありますが、さすがに積雪が多い日は見かけません。かなり積もってる日は、周囲から浮いてしまうほど目立ちます。
なお雪道性能でなく、スピードという意味での走行性能については、以下の記事で解説しています。興味のある方はこちらも参考にしてみてください。
コペンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?コペンの雪道性能をほかの車と比較
「コペンは雪道走行に適していない」ということですが、「小型スポーツ」としては雪道性能は優秀なんです。
ライバル車である「S660」「ロードスター」の雪道のスペックを分析し、コペンと比較してみましょう。
ホンダ S660
ホンダからリリースされているライトウェイトスポーツです。コペンと同じく軽自動車ジャンルで販売されています。
ミッドシップによる操作性が魅力の一台。 雪道性能に関してはどうでしょうか?
- 駆動方式:MR
- 車重:830~850kg
- 地上最低高:125mm
後輪駆動ということでコペン以上にスリップしやすく、車重もコペンよりも軽いです。よって、運動性能に関して、雪道ではかなり不安定であることは明白ですね。
地上最低高はコペンよりも1.5cm高いものの、それでも国産車としてはかなり低い部類。雪道で苦労することには変わりないでしょう。
このことから、コペンよりも冬に乗りにくい車と考えられます。運転するなら相当注意する必要がありますね。
マツダ ロードスター
マツダのロードスターは軽自動車ではありませんが、コペンのライバル候補のひとつでしょう。
普通車であるため、1.5Lの「標準モデル」と2.0Lの「モデルRF」の2タイプが用意されており、コペンよりもエンジン性能が高いです。
- 駆動方式:FR
- 車重:990~1,020kg
- 地上最低高:地上最低高140mm
後輪駆動なのでスリップしやすいですが、車重はコペンよりやや重く、トルクも大きいので、運動性能に関してはイーブンといった感じ。
地上最低高はコペンよりも3cm高いので、バンパーの損傷リスクは少ないでしょう。
総合的に考えると、駆動方式を除けはコペンよりも雪道に優れているといえます。発進はFFのコペンの方が優れていますね。
ロードスターの雪道性能については以下の記事でも詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらもご参照ください。
ロードスターは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!コペンは雪道走行する車としては買いか
というわけで、コペンの雪道性能に関して解説してまいりました。
地上最低高という点で、注意を払う場面が多いのがネックですが、乗り方次第で対応可能です。
- アクセル、ブレーキワークを丁寧に
- ハンドルをがっちりホールド[kanren id="投稿ID"]
- 路面状況を見極める
- スタットレスは国産のいいものを履く
- 冬用アイテムを積んでおく
この5点に注意を払うといいでしょう。
収納力は意外とあるので、「牽引フック」「小型スコップ」「スノーヘルパー」などスタック(雪にはまること)用の対策アイテムを積み込んでおけば、冬でも快適に使えると思いますよ。
というわけで、冬の車としてベストな選択とは言い難いですが、「遊べる軽スポーツ」と考えられる方にとっては、良い選択肢といえるでしょう。
コペンについては以下の記事でも解説しているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
コペンは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!コペンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?