クロスビーといえば、同社「ハスラー」の大型版として認知されるコンパクトモデルです。
丸みを帯びたルックスとポップなカラーリングが人気で、男女問わず支持を得ていますよね。
どこか中性的なイメージがあることから、走行性能や走破性などアグレッシブな印象がありませんが、実は隠れた「高性能モデル」なんですよ。
というわけで今回は、クロスビーの加速性能について、0-100km/h加速やユニット性能などの観点から解説していきたいと思います。
オーナーさんの口コミやライバル車との比較にも触れてみたので、ぜひ参考にしてください。
クロスビーの加速性能
可愛らしいルックスとカラーリングが人気のクロスビーですが、「見た目のイメージ以上に加速が速い」と話題になっています。
一見すると軽自動車にも間違われるクロスビーですが、動きは俊敏な動きが楽しめる優良モデルなんですよ。
まずは、こちらの諸元表を見ていただいてから、詳しい解説に入りたいと思います。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC12バルブ+モーター |
排気量 | 996cc |
最高出力 | エンジン:99PS/5,500rpm モーター:3.1PS |
最大トルク | エンジン:15.3kgf・m/1,700-4,000rpm モーター:5.1kgf・m |
車両重量 | 960kg |
PWR | 9.69kg/PS |
TWR | 62.74kg/kgf・m |
0-100km/h | 9.8秒 |
※水冷、直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!補足させていただくと、「エンジン種類~車重」の項目は公式カタログから引用し、「PWR・TWR」は平均重量から算出しました。「0-100km/h加速」のタイムは、オーナーさんの口コミを元にしています。
0-100km/h加速タイムをチェック
加速性能をイメージするのに役立つのが、発進から100km/hに達するタイム、通称「0-100km/h加速タイム」です。
ここまでの急加速を発揮する機会はまずありませんが、加速力を比較するためにチェックしておきましょう。
ハイブリッドモデル一本のクロスビーですが、加速タイムは「9.8秒」ということで、まずまず好タイムが実測されています。
わかりやすくトヨタの人気車種のタイムをまとめてみたので、よかった比較してみてください。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
86 | 7.3秒 |
アルファード 3.5L | 7.5秒 |
カローラフィールダー | 9.0秒 |
プリウス | 9.5秒 |
ヴォクシー | 11秒 |
シエンタ(ガソリン) | 12秒 |
なお上記の表にある車種の加速性能については以下の記事で取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アルファード/ヴェルファイアの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シエンタの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?パワーユニット性能をチェック
タイムをチェックしたところで、続いてパワーユニットの性能について目を向けていましょう。
高出力な「K10C型」エンジン
クロスビーには、スズキ自慢の「K10C型」が搭載されています。これは「ブースタージェットエンジン」と名付けられ、優れた燃費性能と高出力を両立したユニットです。
「1.0Lハイブリッド」という部分だけを見ると貧弱なイメージがあるクロスビーですが、K10C型には直噴ターボが組み込まれているので、発揮されるパワーは実質1.5Lクラスにも匹敵します。軽自動車のような外見ですが、その認識は間違いということですね。
直噴ターボとは?メリット3つとデメリット4つ!カーボンや耐久性のトラブル・不具合が多発?!数値としては「99PS、15.3kgf・m」と、それほど強力には見えないのですが、車重を考慮するとかなりバランスのいい数値なんです。これについては、後述したいと思います。
「マイルドハイブリッドシステム」でモーターアシスト
クロスビーの「マイルドハイブリッドシステム」は、減速時のエネルギーを利用して発電する仕組みになっています。
マイルドハイブリッド(MHEV)とは?仕組み/構造は?搭載車の燃費は悪いのか解説!加えて約9km/h以下になるとアイドリングストップが働いてエンジンが停止するため、非常に燃費性能に優れているのです。
充電した電力は駆動用モーターの動力として活かし、エンジン出力をアシストすることによって、低速域からグイグイ出力が発揮することが可能。発進直後からリニアにトルクを発揮できるので、瞬発力が非常に高いんですよ。
軽量性をチェック
加速性能にはボディの軽量性も大切です。クロスビーのボディは960kgと、軽自動車にも匹敵する軽さ。この小柄なボディには、スズキの優れた技術が詰め込まれているんですよ。
新プラットフォーム「HEARTECT」
「HEARTECT」とはスズキが新開発したプラットフォームのことで、軽量高剛性が特徴的です。主要構造や部品配置が全面刷新され、骨格からサスペンション構造にいたるまで、理想的な構造を実現しました。
例えば、骨格同氏が結合する部分を密集させ、補強部品の削減が行われているので、部品点数が大幅に減らされています。
さらにキャビン周りに「超高張力鋼板」、それ以外の部分に「高張力鋼板」を採用することで、軽量化と高剛性化を両立しているんです。
PWR・TWRで見る軽量性
1tを切るクロスビーですが、軽量性は違った部分でもチェックすることができます。それが「PWR(パワーウェイトレシオ)」「TWR(トルクウェイトレシオ)」ですね。
簡単にいうと出力・トルクに対するボディ重量のことで、「数字が小さいほど加速が速い」と考えるとわかりやすいでしょう。特性により例外もありますが、多くのケースでTWRが低いほど加速性能が高くなります。
クロスビーの主要諸元よりそれぞれ算出すると、PWRは「9.96kg/PS」、TWRは「62.74kg/kgf・m」ということになりますね。エンジン性能だけで算出しているため、モーターの動力を加味するとさらに低い数値になるでしょう。
実はこれなかなか優れた数値なんですよ。先ほどのトヨタ車一覧のPWR・TWRをまとめてみたので、こちらを参考にしてみてください。
車種 | PWR | TWR |
86 | 6.15[kg/PS] | 58.9[kg/kgf・m] |
アルファード (3.5L) | 7.14[kg/PS] | 58.4[kg/kgf・m] |
カローラフィールダー | 8.29[kg/PS] | 66.3[kg/kgf・m] |
プリウス | 13.98[kg/PS] | 94.5[kg/kgf・m] |
ヴォクシー | 10.33[kg/PS] | 79.7[kg/kgf・m] |
シエンタ(ガソリン) | 12.52[kg/PS] | 94.2[kg/kgf・m] |
もしクロスビーを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!クロスビーの実際の加速感
数字だけではいまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。実際に試乗なさった方の投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。
Twitterで加速感をチェック
クロスビー試乗なう。
オシャレだし、加速もスムーズだし、室内も広くてめっちゃいいですわ…(*´꒳`*)#クロスビー #スズキ pic.twitter.com/WmaMYnmGpV— タニシゲさん@にゃんにゃんにゃん (@Tanishige1012) 2018年7月7日
こちらの男性は、試乗してみてクロスビーのスタイリング、そして加速感にご満足の様子。可愛らしいルックスと、同社ハスラーよりも一回り大きなボディが非常に使いやすくて、一躍スズキの人気モデルになりましたからね。
ハスラーの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!そして、加速性能についても高評価が多数。外観は軽自動車にも見えますが、加速は一段上の性能を発揮しますよ。
クロスビーだけ試乗。なかなかいいですよこれ。室内広い。シート位置が高いので見晴らし良し。ターボなので加速も良し。乗りやすく使い勝手が良さそうな車だ。でも外装内装とも遊んでるデザインなのですぐ飽きそうな気がする。本命はSX4(マイナーチェンジ後)なんだけど、お店に無くて残念。 pic.twitter.com/zzh6AF6wSl
— さんぽ犬 (@walkdogsimo) 2018年1月27日
こちらの方も、試乗後にクロスビーをベタ褒めしています。室内の広さ、視点の高さ、さらにターボゆえの加速のよさ…コンパクトカーとして理想的といえるでしょう。
ツイートにもありますが、クロスビーはデザインに遊びが効いている分、人によっては早く飽きてしまうかも。ですが、人生で一度くらいは小洒落た車には乗ってみたいですよね。
クロスビーも普通の車にしては加速良いけどG感じる加速はしないから眠い
ただしスポーツカーに乗り慣れている人としては、物足りなく感じてしまうことでしょう。
クロスビーがいくら加速感が良いといっても、それは「普通車の中では」ということです。街乗りでは十分なレベルですが、「加速Gを感じたい」という方にはおすすめできませんね。
You Tubeで加速感をチェック
こちらはクロスビーの0-100km/h加速を撮影した動画です。1分10秒からタイム計測が開始し、9.83秒という結果になっています。冒頭で紹介したとおりのタイムで、小柄なボディからは想像できないくらい速いですね。
クロスビーを他の車と比較
加速感についてご覧いただいたところで、続きましてライバルと呼ばれる国産車と、その実力を比較してみたいと思います。
今回比較してみるのは、ホンダ「N-ONE」、トヨタ「タンク」、マツダ「デミオ」の3台です。0-100km/h加速のタイムや、TWRなどに注目しながらご覧ください。
ホンダ N-ONE
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC12バルブターボ |
排気量 | 658cc |
最高出力 | 64PS/6,000rpm |
最大トルク | 10.6kgf・m/2,600rpm |
車両重量 | 860kg |
PWR | 13.43kg/PS |
TWR | 81.13kg/kgf・m |
0-100km/h | 12秒 |
ホンダから販売される「N-ONE」は、コンパクトボディに丸目が特徴的で、クロスビーやハスラーとデザイン的に似ていますよね。可愛らしくてポップなイメージが、見事女性ウケにつながっています。
ただし加速性能については、0-100km/h加速のタイムからもわかる通り、クロスビーのほうが上手と見て間違いありません。加速タイムで2秒の差、そしてPWR・TWRでも大きな差があります。
かなりコンパクトなモデルとはいっても、クロスビーは普通車です。軽自動車とは発揮できるパワーが違いますから、いかなる速度域においてもN-ONEでは敵わないでしょう。
トヨタ タンク
項目 | 諸元 |
種類 | 直列3気筒DOHC ICターボ |
排気量 | 996cc |
最高出力 | 98PS/6,000rpm |
最大トルク | 14.3kgf・m/2,400-4,000rpm |
車両重量 | 1,100kg |
PWR | 11.22kg/PS |
TWR | 76.92kg/kgf・m |
0-100km/h | 11秒 |
トヨタのコンパクトモデル「タンク」はキャラクターこそ異なるものの、サイズ感・エンジン出力がクロスビーと非常に似ているモデルです。加速性能についてはどちらが上手でしょうか?
まず0-100km/h加速タイムに着目してみると、クロスビーとは1秒強の差がありますね。エンジン性能を比較したところ、動力性能に大きな差はありません。ゆえに、加速タイムの差は車重が影響しているものと思われます。
たしかに見比べると、車重は150kg近くクロスビーのほうが重いです。ほとんど同じ条件下で軽量性が勝るのですから、加速性能はクロスビーに軍配が上がると見て間違いないでしょう。
なおクロスビーについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
【画像/写真】タンクの内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!トヨタ タンクの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!マツダ デミオ
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,498cc |
最高出力 | 105PS/4,000rpm |
最大トルク | 25.5kgf・m/1,500-2,500rpm |
車両重量 | 1,130kg |
PWR | 10.76kg/PS |
TWR | 44.31kg/kgf・m |
0-100km/h | 8.6秒 |
最後に比較するのは、マツダのコンパクトモデル「デミオ」です。今回はスタンダードモデルの1.5Lガソリンモデルと比較してみたいと思います。
0-100km/h加速のタイムで見比べると、1秒強もデミオが速いですね。出力では大きな差はありませんが、これはトルク性能の差が表れているものと思われます。
欧州ウケを意識したデミオは、低速域にトルクバンドが確保されているので、発進加速において有利なのです。
車重では200kg近くデミオのほうが重いのですが、TWRで比べると勝っているため、その分だけデミオのほうが加速が素早いのです。したがって、加速性能はデミオのほうが上手と見て間違いないでしょう。
なおデミオについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
デミオの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?デミオの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!クロスビーはコンパクトカーとしては優秀な加速性能
というわけで、クロスビーの加速性能についての解説は以上になります。
一見、軽自動車とも見間違えてしまうほどのコンパクト感ですが、加速性能をはじめ、あらゆる面で軽自動車を凌駕したモデルなんですね。
思いのほか加速がよくて燃費性能も優秀、その上デザインも可愛らしいので、コンパクトカーを考えるならかなりおすすめのモデルですよ。
なおクロスビーについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
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