「キャンピングカーに興味があるんだけど、種類がいっぱいありすぎてよくわからない…」
「最新のキャンピングカーってどんな設備がついてるの?」
車1台で複数の大人が寝泊まりできる、遊びに便利なキャンピングカー。
タイプがいろいろありますが、コスト・広さ・車体の大きさといったように、何を重要視するかによって選ぶ車が変わってきます。
そこで最新モデルのキャンピングカー・ジル520クルーズを紹介します。内装や設備について写真つきで解説しますので、キャンピングカー選びの参考にしてください。
なおこの車種については東京キャンピングカーショー2018で展示されていたのを取材しました。展示の様子は以下の記事でまとめているので、詳細が知りたい方はこちらもご参照ください。
東京キャンピングカーショー2018レポート!最新車種イベントで取材してきた!キャンピングカーの8つのタイプ
まず、キャンピングカーには以下の8つのタイプがあります。
- 「バンコン」
- 「キャブコン」
- 「軽キャンパー」
- 「フルコン」
- 「セミフルコン」
- 「バスコン」
- 「トラキャン」
- 「キャンピングトレーラー」
※種類の詳細は以下の記事をご参照ください。
キャンピングカーの全ての種類8つを解説!特徴から価格まで!この記事で紹介するバンテック社のジル520クルーズは、キャブコンタイプです。
キャブコンとは、トラックやワンボックス車にキャンピングシェルを搭載した車のことです。
車体が大きいキャンピングカーなので、中がとても広くて快適に過ごせるというメリットがあります。
断熱性や防音性に優れていて、どんな場所でもまるで家にいるかのような感覚で車中泊ができます。
荷物もたくさん積めて、長期での旅行にもピッタリです。
なおキャブコンタイプのキャンピングカーは以下の記事でも紹介しているので、こちらもあわせてご参照いただき比較してみてください。
ライトエースのキャンピングカー内装や値段【キャブコン】アレンボンゴのキャンピングカー内装や値段【キャブコン】アミティジル520クルーズ(メーカー:バンテック)の内装写真
バンテック社のジル520クルーズです。いすゞ・エルフをベースにしたキャンピングカーで、主要スペックは以下のようになっています。
- 乗車定員:7人
- 就寝定員:5人
- 全長:5,190mm
- 全幅:2,110mm
- 全高:3,000mm
- ベース車:エルフ 標準2t
- 排気量:3,000cc
- 燃料:軽油
- 最高出力:110(150)ps
- 駆動方式:4WD
- ミッション:スムーサーEX
- 燃費:10km/l以上
乗車定員は7人ですが、就寝定員は5人だけです。7人でキャンプに行ってしまうと2人は車内で寝られなくなってしまうので、注意してください。
巨大な車体で、いかにもキャンピングカーといったルックスですね。街中では間違いなく目立つでしょう。
白を基調としたシンプルなボディーカラーも、奇をてらいすぎていなくて私は好きです。
車体が大きいだけに、購入後は屋根の上までのぼって洗車するのが大変そう。キャブコンにはつきものの悩みですね。
それではさっそく内装を見てみましょう。
ジル520クルーズ、居住スペースへの出入り口です。天井が高くて乗り降りしやすい。
出入り口のステップです。くつを脱いで踏んでみると、踏み心地が気持ちいい。
車内に入る前から乗り心地の良さに期待が持てますね。
車内全体の見取り図です。出入り口から入って左手がバンクベッド、正面がテーブル席、右手にキッチンとマルチルーム(シャワー・トイレルーム)があって、いちばん右手奥が2段ベッドになっています。
まずは入り口入って左手のバンクベッド。写真はバラした状態ですが、展開させれば幅1,860mm×長さ1,830mmの大人2人寝られるベッドに変わります。
小柄なひとだったら3人でも寝られそうですね。実際に横になってみれなかったのが残念です。
バンクベッドにはカーテンがついていて、寝るときは閉めておけば、居住スペースとのあいだに仕切りができます。
購入の決め手になる部分ではないですが、複数人数で車中泊する場合は地味に嬉しいポイントじゃないでしょうか。団体行動でも寝るときぐらいはプライベート空間を確保したいですよね。
なおキャンピングカーでの車中泊の方法や注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもご参照ください。
キャンピングカーで車中泊はどうやる?宿泊場所についても解説!テーブル席のシート。展開させれば幅875mm×長さ1,830mmの大人1人用のベッドになります。
写真の状態だと2人すわれるようにシートベルトがついていますが、大人2人ですわるにはかなり狭いシートだと思いますね。
ちなみにすわり心地は硬すぎずやわらかすぎず、ちょうどいいです。
テーブルにはドリンクホルダーが2つついています。左側のドリンクホルダーに挿してあるのは、エアコンのリモコンです。
テーブル席には窓がついていて、外の景色を見ながら食事ができます。網戸がついているので、窓を開けても虫が入ってきません。
写真は網戸を下半分だけ開けた状態です。
網戸だけではなく、ロールシェードもついているので、外から見られたくないときは景色をシャットアウトできます。写真は下半分だけ閉めた状態です。
キャンピングカーは見た目が特殊なだけに、街中で目立ちます。つねに注目を浴びつづけているとだんだん嫌気が差してきますが、そんな視線をシャットアウトできるのは、すごくいい機能だと思いますね。
それと、ジル520クルーズの窓はすべてアクリル2重窓。ガラスよりも値段が高いですが、断熱性が高く、結露がつきにくいのが特徴です。
せっかく高い金額を出してキャンピングカーを買うなら、こういう買ってから気づくような細かいところまで気をつかっているもののほうが良いですよね。
テーブル席の上の家庭用エアコンです。夏の車内でしたが、このエアコンが稼働していることで暑さはまったく感じませんでした。効きの良さはバッチリだと思います。
なおキャンピングカーのエアコンの必要性については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
キャンピングカーのエアコン・クーラーは必要か考察!夏はないと無理?!エアコンのとなりには収納スペースがついています。木製ですが、木の独特の嫌なニオイはしません。
テーブル席から見える位置(出入り口左手、バンクベッドの手前)には、テレビ設置用のアームがついています。
テレビ本体は有料オプションですが、アームが最初からついているというのは、設置する手間が省けて嬉しいですね。自分でつけようとして失敗して穴だけのこってしまう心配もありません。
なおジル520クルーズでは標準装備ではテレビがありませんが、見たい方は以下の記事で導入の仕方を解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
キャンピングカーでテレビを見る方法!アンテナ取り付けはどうする?テーブル席の後ろの、電圧計、インバーターのON・OFFスイッチ、FFヒーター(エンジンOFF状態で使用できる暖房装置)のコントロールスイッチです。
ジル520クルーズにはなんと、FFヒーターが標準装備されています。冬の車中泊では必須アイテムですが、大体のキャンピングカーでは200,000円前後のオプションなので、最初からついているというのは嬉しいですね。
ジル520クルーズのキッチンです。ガスコンロ2つとシンクがついています。
つかわないときはこのようにフタをしておけば、邪魔になりません。(シンクの必要性については以下の記事で解説しているので、こちらもあわせてご参照ください。)
キャンピングカーのキッチン・シンクはなしでいい?必要性を考察!ガスコンロの点火スイッチと、キッチンの照明スイッチです。
キッチンの上にはレンジフードがついています。料理で出た煙を外へ逃がしてくれるので、肉を焼いたりしても車内が煙たくなってしまう心配がありません。
レンジフードの裏側です。排気ホースが車外につながっています。
排気ホースのとなりは収納スペースです。キッチンの上なので、食器なんかを入れておくといいかもしれませんね。
ガス台の下には90Lの冷蔵庫がついています。キッチンからすぐに食材が取り出せる位置ですが、ドアが左側に開くので、料理しながらだと右側にまわる必要があってちょっとめんどくさそう。
キッチンの横には小さなクローゼットがあります。写真の真ん中にうつっている扉です。
クローゼットのなかの様子。
車中泊では着替えも必要です。脱いだ服を車内に置いておくと、余計なスペースをつかってどんどん狭くなっていきます。
このクローゼットは小さいのでそれほどたくさんは入りませんが、あると便利だと思いますね。
2つ前の写真の奥に写っているカーテン付きの扉を開ける(展開させる)と、2段ベッドになります。この写真は下段のベッド。
寸法は幅800mm×長さ1,910mmと、長さは充分ですが幅がかなり狭いですね。
こちらは上段のベッドです。実際に寝てみることはできませんでしたが、さわり心地はやわらかめで気持ちよさそう。
ただ寸法は幅755mm×長さ1,910mmと、大人が寝るには幅がとても足りません。
さわり心地が良いだけに、惜しいベッドだと思いますね。
下段のベッドにも上段のベッドにも、枕元に100Vコンセントがついています。家から持ってきた家電もこのコンセントに差せば使えますよ。
コンセントの上の灰色の丸いスイッチは、ベッドの照明のON・OFFスイッチです。
キッチンから通路はさんで正面の、マルチルーム。電動式水洗トイレと洗面台がついていて、シャワーも浴びられます。(トイレの仕組みの詳細は以下の記事をご参照ください。)
キャンピングカーのトイレの処理・掃除の仕組み!トイレ付きがいいのか解説!キャンピングカーのマルチルームとしてはとくべつ広くも狭くもないですが、シャワーを浴びる場所として考えると狭いですね。
シャワーヘッドはこんな感じ。家庭用とは違う、やや特殊な形をしていますね。(シャワーの仕組みの詳細は以下の記事をご参照ください。)
キャンピングカーは風呂・シャワー付き?水の補給の仕組みまで解説!洗面台の下の収納棚。洗顔フォームやシャンプー、ボディーソープなんかを置いておくといいでしょう。
マルチルームの入り口上部には、収納スペースが2つついています。トイレットペーパーやタオルを入れておくのに便利な位置ですね。
通路の天井にはルーフベンチレーター(換気扇)。涼しい季節であれば、エアコンをつけなくてもこれを回すだけである程度暑さはしのげますよ。
ジル520クルーズは、給水タンクが車外の収納スペースに設置されています。車内で余計なスペースをつかわず、居住スペースを少しでも広くしようという工夫ですね。
車外後部にも収納スペースがあります。キャンプで出たゴミなんかをここに入れておけば、車内が汚れません。
ジル520クルーズの価格と標準装備・オプション
ジル520クルーズの車両本体価格は、税込みで10,773,000円です。キャブコンのなかでもかなり高いほうですね。
もっと安く購入したいなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!標準装備として以下のものが架装されています。
- リクライニング機構付きリライアンスシート(サードシート)
- バンクベッド(スライド式/ラダー付き)
- 常設リヤ2段ベッド
- ルーフベンチレーター(MAXX FAN)
- デュアルソースエアコンシステム
- FFヒーター(べバスト社製)
- コンビロール(ロールシェード&網戸内蔵)×9
- スライド式シューズボックス
- テレビ台
- 簡易消火器
- エアロフレックス(断熱材)
- フロント間仕切りカーテン
- バンクベッドカーテン
- エントランスカーテン
- リヤベッドカーテン
- クッションフロアー&フロアカーペット
- 網戸付きエントランスドア
- セキュリティ集中ドアロック
- エントランスアシストステップ(電動)
- アクリル断熱2重窓×9
- 400Wフレキシブルソーラーパネル
- ルーフサイドレインドリップモール
- ルーフレール
- リヤラダー
- ハイマウントストップランプ
- 電動サイドオーニング(3.5M)
- 外部収納庫
- 外部ゴミ専用収納庫(後部スライド式)
- 清水タンク(20L)
- 生活用水タンク(56L)
- 排水タンク(70L)
- 水量計
- ステンレス製2口ガス一体型シンク(ガラスカバー付き)
- 清水用蛇口
- 生活用水用蛇口(温水冷水ミックス)
- 温水設備(100V電源&エンジン熱交換/22L)
- カセットガスカートリッジ/250g×2
- 照明&ファン付きレンジフード
- 電気冷蔵庫90L
- シャワー(温水冷水ミックス)
- シャワーパン
- トイレ(電動式水洗)
- 上部吊り戸棚
- ソーラールーフベンチレーター(常時換気)
- 100Aディープサイクルサブバッテリー×4
- バッテリープロテクター
- シグナルスタートチャージシステム
- AC充電器(24V 30A)
- ダブルメインスイッチ
- チャージエラーランプ
- バッテリー残量計
- アクティブチャージライン
- AC100Vコンセント×7
- DC12V室内コンセント×1
- USB室内コンセント×1
- AC100V外部入力コンセント
- リモートスイッチ付きサイン波インバーター(1,500W)
先ほど写真で紹介したものはすべて標準装備です。家庭用エアコンやFFヒーターが最初からついているのは嬉しいですね。
デュアルソースエアコンシステムとは、発電機をつかわずに家庭用エアコンを動かすシステムです。走行中はエンジンが発電した電気を直接使用し、停車中はサブバッテリーの電気を使用します。
発電機は音がうるさく、車中泊で使用するとまわりの迷惑になってしまう問題がありました。しかし、この発電機をつかわないシステムによって、夜中でも気にせずにエアコンをガンガンつけたまま寝られますよ。
シグナルスタートチャージシステムとは、サブバッテリーの過充電を防ぐためのシステムです。過充電が発生しそうになると充電回路に電流が流れるのを防ぎ、サブバッテリーを守ってくれます。
ふつうに乗っているぶんには目に見えないシステムですが、見えないところでしっかりとした働きをし、安心して車内で電気製品を使えるようになっているんですね。
また、オプションでは以下のものがつけられます。
- 地デジアンテナ(無指向性)(56,160円)
- BS/CS110自動追尾アンテナ(211,680円)
- BS/CS110自動追尾フルオートアンテナ(265,680円)
- 同軸ケーブル追加(15,120円)
- 液晶テレビ(ORION 16インチ 地デジ)(56,160円)
- シャワーカーテン(19,440円)
- セーフティネット(バンク落下防止)(25,920円)
- 電子レンジ(43,200円)
- ベッド補助マット(48,600円)
- マルチシェード(フロント3面 ELF標準)(12,960円)
- オーディオリヤスピーカー追加(34,560円)
- 路肩灯LED(後部車輪周辺照明)(29,160円)
- i box(ポータブル発電機16i別/電源引き込み)(280,800円)
- 車載用地上波デジタルテレビ用チューナー(69,120円)
- サイクルキャリア取り付け(64,800円)
- 持ち込み液晶テレビ取り付け(19インチ)(10,800円)
- FFヒータースイッチ変更(べバスト社製 マルチコントロール)(17,280円)
先ほどテレビ設置用のアームの写真を紹介しましたが、テレビ本体はオプションです。
56,160円で16インチのテレビをつけることもできますし、自分でテレビだけ別に用意して10,800円で取り付けるというやり方もできます。アンテナはまた別料金なので注意してください。
i boxとは、発電機の騒音を抑える防音ボックスです。これをつけないで発電機を使用すると最大86dB(電車の車内並み)の騒音が発生しますが、つけることで50dB(静かな事務所並み)に抑えられます。
ジル520クルーズは基本的に必要なものは標準装備でそろっているので、オプションの数はそれほど多くありません。そのぶん車両本体価格は高いですが、この内容を見ればまぁ納得ですね。
総評:ベッドの幅が狭いことを除けば至れり尽くせりのキャンピングカー
ジル520クルーズの内装はズバリいえば、「ベッドの幅が狭いことを除けば至れり尽くせりのキャンピングカー」。
暑さ寒さ対策はバッチリで、騒音にまで気を配った仕様になっています。
キッチンにはレンジフード、マルチルームには常時換気用の換気扇、清水タンクは外。ただ設備を増やすだけでなく、「使うひとがどうしたら快適に使えるか」をよく考えてつくられている感じがしますね。
まさにキャンピングカーのなかの高級車といった内装でした。
ただ、ベッドの幅の狭さだけは残念。車体の大きさの問題があるんでしょうが、あのベッドでは大人が身体を伸ばして寝ることは難しいでしょう。
起きてるときはいいけど寝るとき困る、そんなキャンピングカーです。
ここまで書いてきましたが、木製の収納スペースから木のニオイがしないのも嬉しいポイントでした。
この記事を読んだことで、ジル520クルーズを購入するかどうかの判断材料のひとつになれることを願っています。
なおキャブコンタイプのキャンピングカーは以下の記事でも紹介しているので、こちらもあわせてご参照していただき比較してみてください。
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